musicる FES 2017 ~Summer Edition~ キュウソネコカミ / GLIM SPANKY / NICO Touches the Walls / ヤバイTシャツ屋さん @Zepp Tokyo 7/1
- 2017/07/02
- 00:44
これまでにもフジテレビのFACTORYなど、音楽番組がライブを主催し、その様子をそのまま番組で放送するという手法は行われていたが、テレ朝の深夜に放送されている、多方面のアーティストに密着する、音楽プロデューサーのヒャダインをメインMCにしているmusicる TVが夏フェス時期ならではの豪華ラインアップでのイベントを開催。
会場内にはギター試奏スペースや出演者のサインボードなどが所狭しと並んでいる中、客席にカメラが多数配置されているのが音楽番組のイベントらしさを感じさせるが、キュウソネコカミの物販列の長さがすごいことになっている。
・ヤバイTシャツ屋さん
この日、入場時にチケットの半券をもぎる際に「お目当のバンドは?」という問いに「まぁ全部好きなんですよねぇ…」と答えたところ、そのもぎりをしていた女性に「じゃあヤバTで!ヤバTで!」とゴリ押しされたので、この日の自分のお目当バンドとなった、ヤバイTシャツ屋さん。ワンマンツアーを終えた直後でも全く休むことなく稼働している。
この日のMCであるヒャダインが「ヤバみが凄み」など、このバンドの歌詞を引用した紹介のあとに登場すると、「Tank-top of the world」からスタートし、「ウェイウェイ大学生」ではしばたが歌う後ろでこやまがEXILEのように踊るというパフォーマンスも。
「大阪の歌をやってもいいですか!」
と「喜志駅周辺なんもない」でmusicる TVに媚びを売りまくるコール&レスポンスも曲中に挟み、恒例のMCコーナーではこやまが
「このハゲー!」
と、今ワイドショーやニュースなどで最もホットな人物と言える、豊田真由子議員のモノマネまでも挟み、
「俺ら社会派バンドやから、時事ネタもガンガンやっていこう」
と嘯き、
「誰でも簡単に歌える曲」
という、その通りでしかない「ネコ飼いたい」で合唱を巻き起こし、「無線LANばり便利」では「Wi!Fi!」の叫びが響く。
こやまの学生時代の先輩である岡崎体育のライブMCでのネタを
「これ、何が面白いのかさっぱりわからん」
と言いながらもやりつつ、この日の「行けるかー!」ネタはお台場ということで「ビーナスフォート」に。こやまはビーナスフォートのことを全然わかっていないような感じだったが。
そして最新シングル曲「ヤバみ」から、ラストの「あつまれ!パーティーピーポー」では客席の上にあるミラーボールが輝く中でガンガン踊らせまくり、半分くらいがライブを初めて見るというアウェーな状況を全く感じさせない盛り上がりぶりだった。
ワンマンではもはやこのキャパですら余裕でソールドアウトするようなバンドになったが、フェスやイベントではまだ初めてライブを見るという人も多い。そういうアウェーな状況でこそ真価を発揮するバンドと言えるが、逆に言うとこれ以上キャパが拡大した時のホームでのライブでどうやっていい意味で期待を裏切ってくれるか、がこれからの飛躍のポイントになりそう。楽曲のキャッチーさと歌詞の独自性は随一と言ってもいいだけに。
1.Tank-top of the world
2.ウェイウェイ大学生
3.喜志駅周辺なんもない
4.ネコ飼いたい
5.無線LANばり便利
6.ヤバみ
7.あつまれ!パーティーピーポー
ヤバみ
https://youtu.be/329F4L9ATcw
転換中にはヒャダインをMCにしたトークショーが行なわれるのだが、ここではNICO Touches the Wallsとキュウソネコカミのメンバーが全員ステージに登場。お互いにあまり慣れていない関係性をうかがわせる空気だったが、NICOの古村が見事に天然っぷりを発揮して最後に全てをかっさらっていった。ちなみにヒャダインが両バンドに作って欲しい曲のタイトルは
NICO「B型とAB型」
キュウソ「オリンピック全然興味ない」
というもの。仲が良いキュウソに自身のオリンピックへの無関心さを委ねるというヒャダインの腹黒さが垣間見えた。(キュウソは「一緒にオリンピック見ましょうよ!」と言っていた)
・GLIM SPANKY
ブルースのSEが会場に流れるとそれまでの楽しげな空気は一変し、どこか緊張感にも似た空気が会場を満たしていく。
おなじみのサポートメンバーを加えた5人編成、髪を赤く染めた松尾レミが緑色の衣装を着ているのが目を惹くGLIM SPANKYである。
ヤバTの狂騒感や多幸感とは打って変わり、まるでブルースやロックンロールを歌うために生まれたような松尾の声が神聖に響く最新ミニアルバムのタイトル曲の「アイスタンドアローン」でこの出演者の中では異質と言える渋いサウンドに聴き入らせると、ONE PIECEの劇場版の主題歌になった「怒りをくれよ」ではアッパーなサウンドによって亀本も腕を振る仕草をすると観客の腕も上がり、この曲が幅広い層に浸透しているのがわかる。
持ち時間が短いだけに、そうしたいわゆる盛り上がるような曲だけをやるという選択肢もあるはずだが、このバンドは自身のルーツである音楽と自身のバンドのスタイルを何よりも大事にする、良い意味で全くブレないし媚びないバンドであるため、「闇に目を凝らせば」という全く盛り上がることのないブルース色の強い曲も当然のようにライブでやる。しかしこうした曲の方が松尾のハスキーを通り越した唯一無二の声を存分に堪能できるとも言える。
MCでは松尾がこのメンツでの対バンはなかなかないというヤバTのこやまが言っていたことをそのまま言ったのだが、
「ヤバイTシャツ屋さんさん」
と、正式バンド名にさらに「さん」をつけるという礼儀正しさ。亀本が
「ヤバイさん」
と呼んでいたのはもうよくわからない感じになっていたけど。
ドラマ主題歌にもなった最新作の「美しい棘」はバンドの持つメロディの美しさにも改めて気付かされる曲であるが、ラストの「ワイルドサイドを行け」で8割以上の人が初めてライブを見るというヤバT以上のアウェーさ(他の出演者的に仕方がないところだが)を覆すように再び腕を振り上げる光景を生み出して、あっという間の出番を終えた。
最新作「I STAND ALONE」にはこの日演奏された「アイスタンドアローン」や「美しい棘」という曲などが収録されているのだが、その中にはいわゆるアッパーな曲や速い曲、盛り上がるような曲が一切入っていない。しかしながらそんなミニアルバムがオリコンTOP10に入るくらいに支持されているというところに、このバンドが時流とは全く違う場所にいることがわかる。松尾の声もそうだが、亀本の作る曲とアレンジ力、そしてロックンロールやブルースが大好きなおっさん達をも唸らせるギタープレイも含めて、早くも本当に唯一無二の存在になっているバンドである。
1.アイスタンドアローン
2.怒りをくれよ
3.闇に目を凝らせば
4.美しい棘
5.ワイルドサイドを行け
美しい棘
https://youtu.be/Fssn7zCWe8c
・キュウソネコカミ
どんなフェスやイベントでも場所やシチュエーションに合わせてSEを変えるキュウソネコカミ。この日は「Summer Edition」というサブタイトルがついているからか、TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」で夏感を高めてくる。
セイヤが軽く挨拶すると、「サギグラファー」からスタートし、持ち時間が短い中でもラスサビ前でのシャッターポーズは欠かさない。
「musicる TVでこの曲がオンエアできるかどうか試してみようじゃないか!」
とセイヤが挑発して演奏されたのは新曲の「NO MORE 劣化実写化」。原作漫画が実写化してファンからの不評を買う出来になるというよくある出来事を歌詞にした曲だが、実写化に関する様々な疑問を全て「大人の都合」で片付けてしまう語り部分は確かにテレビでオンエアするのは難しいように感じる。
「海賊版ダメダメ」のフレーズの繰り返しでは「ビビった」や「MEGA SHAKE IT!」などに続くメンバーのコミカルなダンスパートもあり、この振り付けはライブで定番になっていきそう。
「40秒の本気」こと「家」を短い持ち時間にもかかわらず2回も演奏するというこのバンドらしいというか他のバンドでは絶対できないようなパフォーマンスを見せて沸かせ、まだリリース前のこの曲を覚えさせるという意味合いも持たせると、
「musicる TVは俺らが全然売れてへん時から番組に出してくれてて。タクロウの自宅でロケをやったり、シンノスケが「キャベツ」っていう曲にちなんで農家のおばちゃんに扮してキャベツを売ったりっていう企画もやったりして。あれから5年くらい経ってもお互いに生き残ってるのが嬉しい!ヒャダインさんのコメントにはヒヤヒヤさせられることばかりだけど!(笑)」
と自分たちをブレイク前から支えてくれた番組に感慨深げに感謝の思いを語り、「DQN~」ではセイヤが客席に突入するのだが、この日はNICOの坂倉が「筋斗雲が見たい」と事前のトークショーで言っていたこともあり、普段は「お願いシェンロン」で使っている筋斗雲を使って客席に突入し、ミラーボールの真下で
「ヤンキー怖い」
の大合唱を起こす。初めてライブを見た時(4年くらい前?)からこの突入からの大合唱を経るとさらにライブが楽しくなってテンションが上がってしまうのはなんなんだろうか。メンバーがそこまで観客の心境をわかっていてやっているんだとしたらとんでもない分析力だと思うのだが。
そしていつにも増してセイヤもヨコタも叫びまくっている感すらあった「ビビった」でライブを締めると、本当に楽しかったことと「musicる TV」を愛しているのが一目でわかるくらいの笑顔を浮かべながらメンバーはステージから去っていった。
5年も前だと、自分はまだキュウソに出会ってなかったか、出会っていたにしても多分ライブを見たことはなかった。そんな時からこのバンドに注目していたmusicるTVは本当に凄いし、このバンドの音楽と人間性の良さに早くから気付いていたからこそ、ここまで長い付き合いになっているのだろう。そう感じると同時に、これだけ大きなバンドになっても当時のことをしっかり覚えているというメンバーの義理堅さと真面目さを改めて実感せざるを得ない。
1.サギグラファー
2.ファントムバイブレーション
3.NO MORE 劣化実写化
4.家
5.家
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ビビった
ビビった
https://youtu.be/2jxjDAqulRo
転換中には2回目のトークショー。この回はGLIM SPANKYとヤバイTシャツ屋さんだが、ヤバTのこやまがライブ中の真っ黒な服ではなく、ダイダイの鮮やかなTシャツを着ているので、パッと見誰だかわからない。
時期的にフェスの話になると、ともに「テレビとかでずっと見てきた人とアーティストエリアで一緒になるとビックリする」と話していたが、野外フェスで大変なことについてGLIM SPANKY松尾が
「太陽光でエフェクターのスイッチのランプが見えないんですよ。そういうことありますよね?」
とこやまに振るも、
「エフェクター使ってないからわからないんですよねぇ…」
という回答。お互いに聞きたいことでGLIM SPANKYはヤバTに「Tシャツマニアなんですか?」と問うもそんなわけはなく、こやまは松尾に
「おにぎりとおむすびってどっちを使います?」
と聞き、しばたに
「しょうもな!聞きたいことないやん!」
と突っ込まれるも、
「普段はおにぎりですけど、テンション上がるとおむすびになりますね」
という亀本の優しさによって事なきを得ていた。
・NICO Touches the Walls
そしてこの日のトリはNICO Touches the Walls。SEもなしに登場したのはメンバー4人に加えてサポートの浅野尚志。春のホールツアー同様の5人編成である。
近年はフェスやイベントでは代表曲連発的なセトリであることが多いし、持ち時間も短いので今回ももちろんそういう内容になるだろうな、と思っていたが、1曲目からまさかの「B.C.G」で予想はあっさり裏切られる。
さらに「ストロベリーガール」と、まるでデビュー当時のような深いところを見せていく選曲が続く。しかしながら浅野のキーボードは力強いバンドのサウンドに彩りを与え、髪がより一層長くなった光村のボーカルはこの日も絶好調で、裏声を多用するこの曲でも全く揺らぐことはない。
「好き勝手にやって帰るんで、みんなも好き勝手に楽しんでって」
とこの日のライブのコンセプトを語ると、次に演奏されたのは「好き勝手」の極みとも言えるような「GUERNICA」。
いや、浅野がヴァイオリンを弾くこの曲はホールツアーでもハイライトの一つだったが、まさかワンマンではないこの持ち時間の短さでこの曲をやるとは。しかもホールツアー同様に間奏でセッション的な演奏が加わった、長尺アレンジ。普段からワンマンに行っているような我々からしたら嬉しいことではあるが、初めてこのバンドのライブを見たようなキュウソやヤバTのファンである若い人たちはどんなバンドだと思っただろうか。やはり近年のポップなシングル曲のイメージが強いバンドだったとしたら、ここまでにバンドが見せたのはそれとは真逆ではあるが、確かにこのバンドの大きな持ち味の一つである。
しかし「THE BUNGY」では手拍子(最前ブロックにいる人たちは裏拍で手拍子していた)が起こって踊らせまくると、
「次で最後の曲。正真正銘この日の最後の曲だよ。今日は長い時間どうもありがとう」
と語っての「Broken Youth」ではイントロからバンドの音塊が凄まじい迫力で迫ってくる。短い時間、少ない曲数であってもこのバンドのライブが素晴らしいものであるというのは十分伝わったし、光村のボーカルも曲の持つ力を引き出すどころか、もはや曲のスケールをはるかに超えるくらいのものになっている。
ラスサビ前のブレイクの瞬間に銀テープが舞うという、まるでワンマンのようなイベント側のバンドへの愛を感じられる演出もあり、
「もっと聴かせたい曲がたくさんあるけど、それはまた次に会った時に」
と再会を約束してステージから去ったが、光村の様子が近年のフレンドリーなものではなく、尖ったようにすら見えるクールな感じだったのには何か理由があるのか、それともよそ行きの仕様が今はこういう感じなのか。それはわからないが、一つ確かにわかるのはこの日最も来てよかったと思えたのはこのバンドだったということ。ファン以外からしたら、知らない曲ばっかりやってる、みたいな感じだったかもしれないが。それは登場前の紹介VTRで流れた「手をたたけ」や「夏の大三角形」という代表曲を一切やらなかっただけに。ロッキンのGRASS STAGEでこれをやったら本当に凄いけど。
NICOは今年も夏フェスに多く出演するが、それを経ての11/25、去年はインディー時代の曲縛りだった「イイニコの日」ライブを今年は幕張メッセでフェス形式で行うことを発表した。キャパ的に同等か、それ以上の規模のバンドたちが出るであろうことは間違いないが、個人的には近年のNICOのライブの中で最も大きな意味を持つライブになるんじゃないかと思っている。それはリベンジを果たした2度目の武道館ワンマン以来に。
1.B.C.G
2.ストロベリーガール
3.GUERNICA
4.THE BUNGY
5.Broken Youth
Broken Youth
https://youtu.be/U6IgltZmRbM
終演後、イベントTシャツに着替えた全出演者とヒャダインによるプレゼント抽選会。チケットの半券をメンバーが引き、その番号の人にプレゼントが当たるというシステムなのだが、最初に引いたNICOは3回連続で当選者がいないという事態になっていた。
そして最後は全員揃っての記念撮影。確かに楽しかった1日だったが、FACTORYやWOWOWの公開収録もそうだったけど、テレビの音楽番組のイベントは持ち時間が短いので、なかなか見れない生トークがあっても、好きなバンドであるほど物足りなさを感じてしまう。開演を1時間早くして1組10分増やしてくれれば全然違うんだけどなぁ。
Next→ 7/2 9mm Parabellum Bullet @昭和女子大学人見記念講堂
会場内にはギター試奏スペースや出演者のサインボードなどが所狭しと並んでいる中、客席にカメラが多数配置されているのが音楽番組のイベントらしさを感じさせるが、キュウソネコカミの物販列の長さがすごいことになっている。
・ヤバイTシャツ屋さん
この日、入場時にチケットの半券をもぎる際に「お目当のバンドは?」という問いに「まぁ全部好きなんですよねぇ…」と答えたところ、そのもぎりをしていた女性に「じゃあヤバTで!ヤバTで!」とゴリ押しされたので、この日の自分のお目当バンドとなった、ヤバイTシャツ屋さん。ワンマンツアーを終えた直後でも全く休むことなく稼働している。
この日のMCであるヒャダインが「ヤバみが凄み」など、このバンドの歌詞を引用した紹介のあとに登場すると、「Tank-top of the world」からスタートし、「ウェイウェイ大学生」ではしばたが歌う後ろでこやまがEXILEのように踊るというパフォーマンスも。
「大阪の歌をやってもいいですか!」
と「喜志駅周辺なんもない」でmusicる TVに媚びを売りまくるコール&レスポンスも曲中に挟み、恒例のMCコーナーではこやまが
「このハゲー!」
と、今ワイドショーやニュースなどで最もホットな人物と言える、豊田真由子議員のモノマネまでも挟み、
「俺ら社会派バンドやから、時事ネタもガンガンやっていこう」
と嘯き、
「誰でも簡単に歌える曲」
という、その通りでしかない「ネコ飼いたい」で合唱を巻き起こし、「無線LANばり便利」では「Wi!Fi!」の叫びが響く。
こやまの学生時代の先輩である岡崎体育のライブMCでのネタを
「これ、何が面白いのかさっぱりわからん」
と言いながらもやりつつ、この日の「行けるかー!」ネタはお台場ということで「ビーナスフォート」に。こやまはビーナスフォートのことを全然わかっていないような感じだったが。
そして最新シングル曲「ヤバみ」から、ラストの「あつまれ!パーティーピーポー」では客席の上にあるミラーボールが輝く中でガンガン踊らせまくり、半分くらいがライブを初めて見るというアウェーな状況を全く感じさせない盛り上がりぶりだった。
ワンマンではもはやこのキャパですら余裕でソールドアウトするようなバンドになったが、フェスやイベントではまだ初めてライブを見るという人も多い。そういうアウェーな状況でこそ真価を発揮するバンドと言えるが、逆に言うとこれ以上キャパが拡大した時のホームでのライブでどうやっていい意味で期待を裏切ってくれるか、がこれからの飛躍のポイントになりそう。楽曲のキャッチーさと歌詞の独自性は随一と言ってもいいだけに。
1.Tank-top of the world
2.ウェイウェイ大学生
3.喜志駅周辺なんもない
4.ネコ飼いたい
5.無線LANばり便利
6.ヤバみ
7.あつまれ!パーティーピーポー
ヤバみ
https://youtu.be/329F4L9ATcw
転換中にはヒャダインをMCにしたトークショーが行なわれるのだが、ここではNICO Touches the Wallsとキュウソネコカミのメンバーが全員ステージに登場。お互いにあまり慣れていない関係性をうかがわせる空気だったが、NICOの古村が見事に天然っぷりを発揮して最後に全てをかっさらっていった。ちなみにヒャダインが両バンドに作って欲しい曲のタイトルは
NICO「B型とAB型」
キュウソ「オリンピック全然興味ない」
というもの。仲が良いキュウソに自身のオリンピックへの無関心さを委ねるというヒャダインの腹黒さが垣間見えた。(キュウソは「一緒にオリンピック見ましょうよ!」と言っていた)
・GLIM SPANKY
ブルースのSEが会場に流れるとそれまでの楽しげな空気は一変し、どこか緊張感にも似た空気が会場を満たしていく。
おなじみのサポートメンバーを加えた5人編成、髪を赤く染めた松尾レミが緑色の衣装を着ているのが目を惹くGLIM SPANKYである。
ヤバTの狂騒感や多幸感とは打って変わり、まるでブルースやロックンロールを歌うために生まれたような松尾の声が神聖に響く最新ミニアルバムのタイトル曲の「アイスタンドアローン」でこの出演者の中では異質と言える渋いサウンドに聴き入らせると、ONE PIECEの劇場版の主題歌になった「怒りをくれよ」ではアッパーなサウンドによって亀本も腕を振る仕草をすると観客の腕も上がり、この曲が幅広い層に浸透しているのがわかる。
持ち時間が短いだけに、そうしたいわゆる盛り上がるような曲だけをやるという選択肢もあるはずだが、このバンドは自身のルーツである音楽と自身のバンドのスタイルを何よりも大事にする、良い意味で全くブレないし媚びないバンドであるため、「闇に目を凝らせば」という全く盛り上がることのないブルース色の強い曲も当然のようにライブでやる。しかしこうした曲の方が松尾のハスキーを通り越した唯一無二の声を存分に堪能できるとも言える。
MCでは松尾がこのメンツでの対バンはなかなかないというヤバTのこやまが言っていたことをそのまま言ったのだが、
「ヤバイTシャツ屋さんさん」
と、正式バンド名にさらに「さん」をつけるという礼儀正しさ。亀本が
「ヤバイさん」
と呼んでいたのはもうよくわからない感じになっていたけど。
ドラマ主題歌にもなった最新作の「美しい棘」はバンドの持つメロディの美しさにも改めて気付かされる曲であるが、ラストの「ワイルドサイドを行け」で8割以上の人が初めてライブを見るというヤバT以上のアウェーさ(他の出演者的に仕方がないところだが)を覆すように再び腕を振り上げる光景を生み出して、あっという間の出番を終えた。
最新作「I STAND ALONE」にはこの日演奏された「アイスタンドアローン」や「美しい棘」という曲などが収録されているのだが、その中にはいわゆるアッパーな曲や速い曲、盛り上がるような曲が一切入っていない。しかしながらそんなミニアルバムがオリコンTOP10に入るくらいに支持されているというところに、このバンドが時流とは全く違う場所にいることがわかる。松尾の声もそうだが、亀本の作る曲とアレンジ力、そしてロックンロールやブルースが大好きなおっさん達をも唸らせるギタープレイも含めて、早くも本当に唯一無二の存在になっているバンドである。
1.アイスタンドアローン
2.怒りをくれよ
3.闇に目を凝らせば
4.美しい棘
5.ワイルドサイドを行け
美しい棘
https://youtu.be/Fssn7zCWe8c
・キュウソネコカミ
どんなフェスやイベントでも場所やシチュエーションに合わせてSEを変えるキュウソネコカミ。この日は「Summer Edition」というサブタイトルがついているからか、TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」で夏感を高めてくる。
セイヤが軽く挨拶すると、「サギグラファー」からスタートし、持ち時間が短い中でもラスサビ前でのシャッターポーズは欠かさない。
「musicる TVでこの曲がオンエアできるかどうか試してみようじゃないか!」
とセイヤが挑発して演奏されたのは新曲の「NO MORE 劣化実写化」。原作漫画が実写化してファンからの不評を買う出来になるというよくある出来事を歌詞にした曲だが、実写化に関する様々な疑問を全て「大人の都合」で片付けてしまう語り部分は確かにテレビでオンエアするのは難しいように感じる。
「海賊版ダメダメ」のフレーズの繰り返しでは「ビビった」や「MEGA SHAKE IT!」などに続くメンバーのコミカルなダンスパートもあり、この振り付けはライブで定番になっていきそう。
「40秒の本気」こと「家」を短い持ち時間にもかかわらず2回も演奏するというこのバンドらしいというか他のバンドでは絶対できないようなパフォーマンスを見せて沸かせ、まだリリース前のこの曲を覚えさせるという意味合いも持たせると、
「musicる TVは俺らが全然売れてへん時から番組に出してくれてて。タクロウの自宅でロケをやったり、シンノスケが「キャベツ」っていう曲にちなんで農家のおばちゃんに扮してキャベツを売ったりっていう企画もやったりして。あれから5年くらい経ってもお互いに生き残ってるのが嬉しい!ヒャダインさんのコメントにはヒヤヒヤさせられることばかりだけど!(笑)」
と自分たちをブレイク前から支えてくれた番組に感慨深げに感謝の思いを語り、「DQN~」ではセイヤが客席に突入するのだが、この日はNICOの坂倉が「筋斗雲が見たい」と事前のトークショーで言っていたこともあり、普段は「お願いシェンロン」で使っている筋斗雲を使って客席に突入し、ミラーボールの真下で
「ヤンキー怖い」
の大合唱を起こす。初めてライブを見た時(4年くらい前?)からこの突入からの大合唱を経るとさらにライブが楽しくなってテンションが上がってしまうのはなんなんだろうか。メンバーがそこまで観客の心境をわかっていてやっているんだとしたらとんでもない分析力だと思うのだが。
そしていつにも増してセイヤもヨコタも叫びまくっている感すらあった「ビビった」でライブを締めると、本当に楽しかったことと「musicる TV」を愛しているのが一目でわかるくらいの笑顔を浮かべながらメンバーはステージから去っていった。
5年も前だと、自分はまだキュウソに出会ってなかったか、出会っていたにしても多分ライブを見たことはなかった。そんな時からこのバンドに注目していたmusicるTVは本当に凄いし、このバンドの音楽と人間性の良さに早くから気付いていたからこそ、ここまで長い付き合いになっているのだろう。そう感じると同時に、これだけ大きなバンドになっても当時のことをしっかり覚えているというメンバーの義理堅さと真面目さを改めて実感せざるを得ない。
1.サギグラファー
2.ファントムバイブレーション
3.NO MORE 劣化実写化
4.家
5.家
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ビビった
ビビった
https://youtu.be/2jxjDAqulRo
転換中には2回目のトークショー。この回はGLIM SPANKYとヤバイTシャツ屋さんだが、ヤバTのこやまがライブ中の真っ黒な服ではなく、ダイダイの鮮やかなTシャツを着ているので、パッと見誰だかわからない。
時期的にフェスの話になると、ともに「テレビとかでずっと見てきた人とアーティストエリアで一緒になるとビックリする」と話していたが、野外フェスで大変なことについてGLIM SPANKY松尾が
「太陽光でエフェクターのスイッチのランプが見えないんですよ。そういうことありますよね?」
とこやまに振るも、
「エフェクター使ってないからわからないんですよねぇ…」
という回答。お互いに聞きたいことでGLIM SPANKYはヤバTに「Tシャツマニアなんですか?」と問うもそんなわけはなく、こやまは松尾に
「おにぎりとおむすびってどっちを使います?」
と聞き、しばたに
「しょうもな!聞きたいことないやん!」
と突っ込まれるも、
「普段はおにぎりですけど、テンション上がるとおむすびになりますね」
という亀本の優しさによって事なきを得ていた。
・NICO Touches the Walls
そしてこの日のトリはNICO Touches the Walls。SEもなしに登場したのはメンバー4人に加えてサポートの浅野尚志。春のホールツアー同様の5人編成である。
近年はフェスやイベントでは代表曲連発的なセトリであることが多いし、持ち時間も短いので今回ももちろんそういう内容になるだろうな、と思っていたが、1曲目からまさかの「B.C.G」で予想はあっさり裏切られる。
さらに「ストロベリーガール」と、まるでデビュー当時のような深いところを見せていく選曲が続く。しかしながら浅野のキーボードは力強いバンドのサウンドに彩りを与え、髪がより一層長くなった光村のボーカルはこの日も絶好調で、裏声を多用するこの曲でも全く揺らぐことはない。
「好き勝手にやって帰るんで、みんなも好き勝手に楽しんでって」
とこの日のライブのコンセプトを語ると、次に演奏されたのは「好き勝手」の極みとも言えるような「GUERNICA」。
いや、浅野がヴァイオリンを弾くこの曲はホールツアーでもハイライトの一つだったが、まさかワンマンではないこの持ち時間の短さでこの曲をやるとは。しかもホールツアー同様に間奏でセッション的な演奏が加わった、長尺アレンジ。普段からワンマンに行っているような我々からしたら嬉しいことではあるが、初めてこのバンドのライブを見たようなキュウソやヤバTのファンである若い人たちはどんなバンドだと思っただろうか。やはり近年のポップなシングル曲のイメージが強いバンドだったとしたら、ここまでにバンドが見せたのはそれとは真逆ではあるが、確かにこのバンドの大きな持ち味の一つである。
しかし「THE BUNGY」では手拍子(最前ブロックにいる人たちは裏拍で手拍子していた)が起こって踊らせまくると、
「次で最後の曲。正真正銘この日の最後の曲だよ。今日は長い時間どうもありがとう」
と語っての「Broken Youth」ではイントロからバンドの音塊が凄まじい迫力で迫ってくる。短い時間、少ない曲数であってもこのバンドのライブが素晴らしいものであるというのは十分伝わったし、光村のボーカルも曲の持つ力を引き出すどころか、もはや曲のスケールをはるかに超えるくらいのものになっている。
ラスサビ前のブレイクの瞬間に銀テープが舞うという、まるでワンマンのようなイベント側のバンドへの愛を感じられる演出もあり、
「もっと聴かせたい曲がたくさんあるけど、それはまた次に会った時に」
と再会を約束してステージから去ったが、光村の様子が近年のフレンドリーなものではなく、尖ったようにすら見えるクールな感じだったのには何か理由があるのか、それともよそ行きの仕様が今はこういう感じなのか。それはわからないが、一つ確かにわかるのはこの日最も来てよかったと思えたのはこのバンドだったということ。ファン以外からしたら、知らない曲ばっかりやってる、みたいな感じだったかもしれないが。それは登場前の紹介VTRで流れた「手をたたけ」や「夏の大三角形」という代表曲を一切やらなかっただけに。ロッキンのGRASS STAGEでこれをやったら本当に凄いけど。
NICOは今年も夏フェスに多く出演するが、それを経ての11/25、去年はインディー時代の曲縛りだった「イイニコの日」ライブを今年は幕張メッセでフェス形式で行うことを発表した。キャパ的に同等か、それ以上の規模のバンドたちが出るであろうことは間違いないが、個人的には近年のNICOのライブの中で最も大きな意味を持つライブになるんじゃないかと思っている。それはリベンジを果たした2度目の武道館ワンマン以来に。
1.B.C.G
2.ストロベリーガール
3.GUERNICA
4.THE BUNGY
5.Broken Youth
Broken Youth
https://youtu.be/U6IgltZmRbM
終演後、イベントTシャツに着替えた全出演者とヒャダインによるプレゼント抽選会。チケットの半券をメンバーが引き、その番号の人にプレゼントが当たるというシステムなのだが、最初に引いたNICOは3回連続で当選者がいないという事態になっていた。
そして最後は全員揃っての記念撮影。確かに楽しかった1日だったが、FACTORYやWOWOWの公開収録もそうだったけど、テレビの音楽番組のイベントは持ち時間が短いので、なかなか見れない生トークがあっても、好きなバンドであるほど物足りなさを感じてしまう。開演を1時間早くして1組10分増やしてくれれば全然違うんだけどなぁ。
Next→ 7/2 9mm Parabellum Bullet @昭和女子大学人見記念講堂

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