SATANIC CARNIVAL '17 day2 @幕張メッセ 6/18
- 2017/06/19
- 14:51
2日目。この日は朝から天気が悪く、昼には雨が降り始めた。かつてもこのフェスでは雨が降っていたので、時期的にも雨のイメージが強い。この日は初日よりも始まるのが1時間早い。
11:00~ 04 Limited Sazabys [SATAN STAGE]
4年目を迎えるこのフェスにおいて皆勤賞になる、04 Limited Sazabys。去年まではEVIL STAGEだったが、日本武道館公演も経た今年は満を持してSATAN STAGEに登場となる。
おなじみのSEでテンションの高い4人がステージに登場すると、
「名古屋の04 Limited Sazabysです!」
とGENが挨拶し、「climb」からその澄んだハイトーンボイスを響かせるとともに、真昼間からダイバーが続出。しかしながらトップバッターとは思えないくらいのすごい人の多さである。このバンドが今どれだけたくさんの人に支持され、注目されているのかがよくわかる。
テンポよく曲を演奏していくというパンクバンドだからこそのスタイルを見せると、GENがついにこのステージに立てたこと、初めて出演したフェスが第1回のこのフェスであり、その時はオープニングアクトだったのが今ここまで来れたこと、その第1回の出演要請がPIZZA OF DEATHからGENの携帯に直電で来たことなど、このフェスの歩みとともにバンドが大きくなった歴史を感じさせる。
「名古屋から流星群を持ってきました!」
と言っておなじみの「midnight cruising」を演奏すると、間奏部分でRYU-TAが
「みなさん、世代交代の時が来ました!」
と自分たちがシーンを引っ張っていく覚悟を叫ぶのだが、いいところで噛んでしまうという絶妙な決まらなさ。ある意味ではRYU-TAらしいが、GENがいじりながらも
「RYU-TAが言ったことはバンドの意志」
とフォローし、
「Youtubeじゃ我慢できないからこうして生の音を聴きに来たんでしょう!?生の音を感じに来たんでしょう!?」
と「Feel」を演奏し、さらに日本のロックシーンとこのフェスに光が射すようにと「swim」を鳴らして、初のメインステージのライブを終えた。
フォーリミは本当にこのフェスから知名度を徐々に高めて今の位置までたどり着いた。だからこそこのフェスに対する思い入れの深さがライブから伝わってくる。そしてこれからはこのフェスを引っ張っていこうという意志すらも感じる。このフェスを引っ張るということは、パンクシーンそのものを引っ張っていくということ。すでにYON FESも新たな世代のアーティスト主催フェスとしてすっかり定着しているが、このバンドはそのさらに先を見据えている。そこで鳴り響く新たな時代のアンセムを、このバンドは作り出す予感がしている。
1.climb
2.monolith
3.escape
4.Remember
5.fiction
6.Warp
7.midnight cruising
8.Feel
9.swim
Feel
https://youtu.be/t7pj_DiGmBo
そのあと、EVIL STAGEでSWANKY DANKを少しだけ見る。
12:25~ ジャパハリネット [EVIL STAGE]
かつて青春パンクブーム末期に「インディーズの最終兵器」として2004年にメジャーデビューし、シングル、アルバムともにオリコンTOP10入り、さらにはミュージックステーションにも出演するという最高風速の凄まじさを誇っていたバンド、ジャパハリネット。
しかしその青春パンクブームに乗っかってしまったが故に、メジャーデビュー以降は悩んでいるのが曲や歌詞に正直に出てしまい、2007年に早々と解散。しかし2015年にまさかの再結成を果たし、このフェスには2年連続での出演となる。
城戸けんじろは赤いTシャツ、他の3人は白い揃いのツナギという出で立ちで登場すると、「It's a human road」からスタートし、「ああ、こうだったなぁ」と思い出させてくれるジャパハリ節。浸る間もないくらいにダイバーが発生しているが。
やはりメンバーの見た目はかつてよりは年齢を重ねているのがすごくよくわかるし、解散後は1人で歌い続けていただけに現役感は全く失われていないが、けんじろの声もやはり少し変わったように感じる。
バンドの代表曲の1曲である「列の瞬」を終えると、
「今やった3曲がジャパハリネットの中で最もラウドな3曲です(笑)
なのでここからやる曲は全てJ-POPです(笑)」
と冗談めかしながら、歳を重ねたことを感じさせる「プライマルエイジ」、「SATANIC CARNIVALで歌いたくて作った」という「people×people」と続けるが、けんじろはハンドマイクで歌いながら、他のバンドはまずそこまではやらないだろうという大げさにも見えるアクションで観客を煽りまくる。この辺りの身体能力に陰りは一切見えない。
この日のためにWANIMAのカラーを参考にして作ったというタオルを掲げると、けんじろはアコギを手にし、マイクスタンドに取り付けられたハープを吹いて始まったのは、ミュージックステーション出演時に披露した「哀愁交差点」。Mステの時もPVでもけんじろはアコギを弾いていなかったが、こうして弾くようになったのは再結成してからだったりするのだろうか。
「いつの日か 胸を張って 「帰ってきたよ」 そう言いたくて」
というサビのフレーズは、かつて故郷に凱旋する男の曲だったが、今ではこうしてステージに帰ってきたこのバンドそのものの歌になっている。紛れもなく年月が経ったことによって、曲が新たな意味合いを帯びている。かつて青春パンクというジャンル自体が音楽性や歌詞の拙さ(誰でもできるじゃん、という)を指摘されることが多かったが、どれも今聴いてみたら違った聴こえ方がするのかもしれない。
そして「贈りもの」ではラストのサビ前にけんじろが客席にマイクを向ける。驚いた。もう知ったのは15年くらい前。10年以上聴いていなかった曲なのに、自分は歌詞を完全に覚えていた。どれだけ新しいバンドの音楽を聴いていても、色褪せることなく脳内に残っていたのである。なので当然のことのように大きな声で歌った。この曲が名曲であることを自分自身に改めて教えるかのように。
「とにかく曲をたくさんやる」
というスタイルのライブだったため、まだもう1曲、とばかりに最後にけんじろがアカペラで歌ってから始まったのは「物憂げ世情」。やはり終盤にはけんじろが客席にマイクを向けた。
「はにかんで心から 笑えることができるなら
それだけでこの今を生きた意味があるでしょう」
というサビのフレーズでビックリするくらい大きな合唱が起こった。この曲を知っていて、歌える人がこんなにたくさんいた。このバンドのこの曲が青春時代のテーマだった人たちがまだライブに来ていて、みんなで一緒に歌っている。もしかしたらただの懐古趣味かもしれない。でも、こうしてバンドが活動していて、みんなで集まって好きだった曲が歌えるのなら、再結成するのも全く悪いことじゃない。
最後、演奏が終わる瞬間にけんじろは後方宙返りをして、大喝采を浴びた。かつてミュージックステーションに出た時も曲の最後にやって、共演者たちを驚かせていたが、タモリはあの瞬間や、「女の子にモテたくてバンド始めたんですけどね、僕の学校は男子校やったんですよ(笑)」というトークをけんじろとしたことを覚えているのだろうか。自分は今でもよーく覚えてる。
解散する前は、なかなか聴くのがキツい時も多かった。それくらいにバンドが迷走してるのがわかってしまっていたから。だから、彼らが階段を駆け上がっていた当時、本当にバンドが楽しかったのかどうかはわからない。でも今、36歳になって、解散してから再結成して、メンバーは本当に楽しそうに自分たちが作った音楽を鳴らしている。そう思えたのが、何よりも嬉しかった。
個人的にはベストアクトだが、このバンドのことを知らない若い人が初めて見てそう思うことは多分ない。それは自分があの時代に若者としてこのバンドの音楽を聴いていたからそう思えるんだっていうのはわかっている。
きっと青春パンクという枠の中にいたバンドはあの時代の徒花だったのだろうし、もう再評価されることはないのもわかっている。でも175Rやジャパハリネットが帰ってきて、ガガガSPたちはまだやっている。自分がバンドやロックに目覚めるきっかけになったバンドたちを今でも見れることがどれだけ幸せなことか。それだけでこの今を生きた意味があるでしょう?
2007年だったか、JUN SKY WALKER(S)が期間限定で再結成した時に(今は普通に活動している)、最後のライブをCOUNTDOWN JAPANで行った。リアルタイムで全く見れなかったバンドが見れたことに自分は興奮したのだが、最前ブロックにいた、きっと青春をジュンスカとともに過ごしていたであろう年齢の女性たちは終わった後にみんな涙を拭いながら歩いていた。当時はまだその感覚ー青春時代に聴いていたバンドが再結成して大人になってまた見れるーが自分にはわからなかった。まだ青春時代のバンドたちが解散も再結成もしていなかったから。でも今ならわかる。そう思えるくらいに自分も歳を重ねている。ライブに来るのをやめなければ、きっとそういう瞬間はこれから何回も訪れるはず。
誰もやる人がいないだろうけど、こうしてジャパハリネットや175Rが復活したのを見ると、銀杏BOYZとMONGOL800、ガガガSPやSHAKALABBITS、STANCE PUNKSにTHE STAND UP…それに解散してしまった太陽族やB-DASHにも戻ってきてもらって、青春パンクバンドばかり出るようなフェスに行ってみたい。あまりあのシーンは今に比べると連帯感がなかったし、むしろそこから抜け出そうとしているバンドもいたけれど、こうしてみんながバンドをやれているうちに。
リハ.若葉咲く頃
リハ.蹴り上げた坂道
1.It's a human road
2.少年バット
3.烈の瞬
4.プライマルエイジ
5.people×people
6.哀愁交差点
7.贈りもの
8.物憂げ世情
物憂げ世情
https://youtu.be/zxVbJSYhTn0
13:00~ RIZE [SATAN STAGE]
直前のジャパハリネットのセンチメンタルな気分を吹き飛ばすかのように、冒頭の「ONE SHOT」から凄まじい音圧を叩きつけて来る、RIZE。
サポートギターのRioも含めて完全にこの4人だからこそのグルーヴとチームワーク。そこに乗るJESSEのラップの切れ味も、メンバーのコーラスワークも圧巻の一言。
近年の曲が中心(最新シングル「SILVER」はやっていないけど)だが、過去の曲も完全にこのメンバー、2017年の今だからこそのアレンジにブラッシュアップされ、JESSEのカリスマ性はデビュー時から全く変わっていないどころか、
「このフェスに出たくても出れないバンドが腐るほどいて、出たくてもいなくなって出れなくなっちまったやつもいる」
と、いなくなった同志(Pay money To my PainのKらのことだろう)の意志も引き継いだ今、さらに求心力を増している。
JESSEの高速ラップが圧巻の「日本刀」から、kenkenがベースを銃のようにして客席に向ける「Gun Shot」(前日に出たSiMも同タイトルの曲があるが、全くサウンドが違うのが面白い)とライブ定番曲を続けてダイバーが続出する中、ラストの「カミナリ」ではラップ部分の前にダイバーの男を1人ステージに上げてラップをさせ、完成度の高いラップを見せるとJESSEとハグをしてからステージを去り、客席はさらなる熱狂に包まれながら、kenkenはステージに倒れるぐらいの熱演を見せ、Pay money To my Painの帽子とドラムスティックを高く放り投げた金子ノブアキはドラムセットを蹴散らしながらステージ前に出てきて仁王立ちし、JESSEの
「ただのジャパニーズロックバンドでした!」
という言葉でステージを去って行ったが、身震いするくらいの凄まじいカッコよさ。間違いなく今が1番ヤバいバンド。これまでにやろうと思えばやれる状況にあった中でついに立つ日本武道館のステージではどんなライブを見せてくれるんだろうか。
1.ONE SHOT
2.TKC
3.後ろの少年
4.PARTY HOUSE
5.日本刀
6.Gun Shot
7.カミナリ
ONE SHOT
https://youtu.be/PSb8a90Tebk
15:00~ MONGOL800 [SATAN STAGE]
このフェスでもおなじみの存在と言ってもいい、MONGOL800。カチャーシーのSEでメンバーがステージに現れると、おなじみのキヨサクの
「サタニック、遊びましょー!」
の一言から「あなたに」でいきなり割れんばかりの大合唱が発生。
かと思えば
「こんにちは、WANIMAです!」「改めまして、BEGINです!」
と遊び心も忘れない。BEGINは遠目で見たら似ているらしいが、どうだろうか。
そもそもがパンクシーンから出てきたバンドなだけに、このフェスとの親和性が高い、ダイブが発生しまくる曲もたくさんあるが、そんな中で沖縄民謡を取り入れた「OKINAWA CALLING」はこのバンドだからこその曲。さらに新曲の「宝物」ではサウンドではなく、歌詞のメッセージで沖縄のバンドだからこその思いを感じさせてくれる。それは痛切な願いにも似た「神様」もそうだが、このバンドは社会的なことや政治的なことも言いたいことを言いたいタイミングで曲にしてきた。で、きっとそれは彼らが今でも沖縄で暮らしているからこそ出てくる言葉。そうしてバンドが曲にして歌うことによって、なかなか関東に住んでいる身としてはわからないことをイメージすることができたり、考えるきっかけを与えてくれる。彼らにとって大切な「宝物」が、ずっと守られていけたらいいのだけど。
そういう意味でも、もともとは社会や政治に対する不満から生まれたのがパンクロックであるだけに、このバンドは根っからのパンクバンドである。大ヒットしたことによって、図らずもメインストリームとパンクシーンの橋渡し的な役割を担うことにもなったけれど。
そんな少し考えさせられるような中盤から、最後はやはり「小さな恋のうた」で大合唱。ポップなアーティストが軸のフェスでも、こうしたパンクバンドばかり出るようなフェスでも全く変わることなく、老若男女みんなが大きな声で最初から最後まで歌うことができる。そしてそのみんなで歌う光景がどれだけ素晴らしいものなのかということを実感させてくれる。だからキヨサクは後半ではほとんど自分で歌わずに、観客に委ねる。この曲はもう、みんなの歌だ、と言わんばかりに。
そして「DON'T WORRY BE HAPPY」でさらなる合唱を生んで文字どおりにハッピーな空気で会場を満たしたラスト。「明日は日曜日」ではなくて月曜日だけれど、ジャパハリネットがいてモンパチがいて、どちらも15年くらい前に世に出た曲を演奏して大合唱が起きている。なんだか、あの頃に戻ったみたいだった。
1.あなたに
2.Marriage Blue
3.OKINAWA CALLING
4.LOVE SONG
5.宝物
6.神様
7.小さな恋のうた
8.DON'T WORRY BE HAPPY
小さな恋のうた
https://youtu.be/u8EkSB9zSpE
16:00~ locofrank [EVIL STAGE]
この日、昼からすでに雨が降っていたが、パンク界での雨バンドといえば、自他共に認めざるを得ないのがこのバンドである。
もはやベテランの域に差し掛かった3人がステージに揃うと、「Returning」から全くベテランらしさを感じさせないフレッシュなメロディックパンクを炸裂させる。木下のボーカルも森のコーラスも全く年齢を感じさせないが、いろんな現場でも叩いてきたTatsuyaのドラムは曲のテンポをさらに引き上げるスピード感を出しているが、勢いだけではない器用さも感じさせるようになっている。
しかしながらMCでは
「もうここから先のこのステージには35歳以上のバンドしか出ません!(笑)」
とベテランの先陣を切ることを自覚しつつ、
「もう、今までは他のバンドのせいにしてたんだけど、諦めた(笑)雨降ってるのは俺たちのせいです!(笑)」
と雨バンドであることも自白。しかしその表情はどこまでも楽しそうである。
バンド最大のアンセムである「START」を最初でも最後でもなく中盤にやるというフェスらしからぬ流れであったが、後半のキラーチューン連発ぶりからはそれも納得せざるを得ない。震災後はポップな曲も増えたが、こうしてパンクバンドたちが居並ぶフェスで初期の頃の曲をやると、やはり死ぬまでこの3人はパンクバンドであると思わせてくれる。
だからこそ、最後に
「俺たちはずっと音楽を続けるから、君たちも君たちでいてな!」
という当たり前のようなことを言った後に演奏された「reason」が、いろんなことを感じさせて本当に響いた。なかなか苦しいことや辛い状況に陥ったことも隠さずに歩んできたバンドであるだけに。それでも辞めなかったんだから、本当にずっとこのバンドは続いていくんだろうな。
1.Returning
2.Mountain range
3.A GLOSSY DEMOCRACY
4.START
5.PASSED AWAY
6.Grab Again
7.share
8.BE FULL
9.reason
START
https://youtu.be/28Y5fiMemto
16:55~ HAWAIIAN6 [EVIL STAGE]
ベテランバンドが続く2日目後半のEVIL STAGEに続いて登場するのは、HAWAIIAN6。このフェスには初回から出演している、パンクシーンの裏番長的な存在である。
このバンドが他のパンクバンドと全く空気が違うのは、光よりも闇や影を感じさせる、マイナー調の曲が多く、それはハードコアパンクの影響が色濃いからでもあるが、この日も「THE LIGHTNING」「My Name Is Loneliness」という出だしはそのイメージ通りである。
しかしながら早くも演奏されたアンセム「Magic」からはガラッと楽しいライブハウスのような雰囲気に変わると、バンドのスポークスマンでもあるドラムのHATANOが、
「ライブハウスに来たことないっていう人はいる?じゃあいつもライブハウスに来てる人は?
俺たちもそうだけど、このSATANIC CARNIVALに出てるバンドはみんな、ライブハウスがなかったら育ってないからな!」
とひたすらにライブハウスでライブをして生きてきたバンドだからこその誇りを語ると、
「いつもライブハウスで俺たちがやってるやつ!」
と言って「RAINBOW,RAINBOW」では観客が肩を組んでグルグルと回るという、ライブハウスが怖い場所ではなくて楽しくて愛に溢れた場所であるということを示し、
「お前たちの青春の曲だ!」
と言って「Eternal Wish,Twinkle Star」からはさらなるキラーチューンの連発で、年齢層が高めの方々がキッズたちに混ざってフロントエリアに突入していく様が、青春に立ち返っているみたいで、実に微笑ましい。
「よく言われるんだよ、ひたちなかでライブ見ました、とか。でも俺はやっぱりライブハウスに来て欲しいわけ。あそこにはいつだって愛があるから。だから俺たちみたいなバンドで良ければ、いつだってライブハウスでお待ちしておりますので。ECHOESっていうイベントを今年も新木場STUDIO COASTでやりますんで、ライブハウスでの遊び方がわからない人がいたら、そこに来ればだいたいのことはわかるから」
と宣伝も交えつつ、このフェスを普段のライブハウスのライブに繋げよう、その入り口にしようという、ライブハウスに生きてライブハウスで死んでいくという覚悟すら感じられる男の言葉は、普段からライブハウスに行っている(というかこのフェスに来てる人は間違いなく普段からライブハウスに行ってる人たちなはず)人の背中を押し、そうやって生きてきたことを誇らしく思わせてくれた。
1.THE LIGHTNING
2.My Name Is Loneliness
3.Magic
4.RAINBOW,RAINBOW
5.Eternal Wish,Twinkle Star
6.WORLD
7.I BELIEVE
8.Tiny Soul
9.A Love Song
Magic
https://youtu.be/pt4P8lw1cEU
17:45~ Fear,and Loathing in Las Vegas [SATAN STAGE]
アルバム、シングルともに毎作のようにオリコンTOP3圏内に送り込むというモンスタークラスのバンドになりつつある、Las Vegas。ラウドバンド最後の砦として、メインステージのトリ前に登場。
けたたましい電子音とともにメンバーがテンションMAXとばかりに走ってステージに登場すると、バズリズムなどでそのキャラの良さが全国にも発見されてきたTaiki(ギター)の緑色のレスラーユニフォームが目を惹く中、「Acceleration」でSoがオートチューンを駆使したハイトーンボイスを響かせると、Minamiはシンセを操るよりもステージを走り回りながらデスボイスを轟かせまくり、「Rave-up Tonight」では2人の息のピッタリとあったフォーメーションも展開される。
「面白いことも言えないし、滑舌も悪いのにMCを担当している」と自虐したSxunが雨が降ったのは自分たちのせいであることを大観衆の前で謝罪したが、この日は先輩に雨バンドがたくさん揃っていただけに、それはこのバンドだけのせいではないだろう。
しかしながら直前まで見ていたのが、シンプルな編成でのパンクバンドばかりだったため、狂騒的な電子音を軸にしたダンスサウンドと、巨大なミラーボールまで回る(このバンド以外に誰も使ってない)様を見ると、自分が今SATANIC CARNIVALに来ているという事実を忘れてしまいそうになるくらいに、このバンドの世界観に会場全体が引きずり込まれてしまっている。
観客の声がさらなる狂騒と一体感を生み出す最新シングル曲「SHINE」から、TaikiとSxunもボーカルを取り、フロントの2人は体操みたいな動きを見せるのが実に面白い「Party Boys」と続き、モッシュやダイブだけではない幅広い楽しみ方を示してくれるが、それはこのバンドの音楽性そのものが幅広いということでもある。
そしてその音楽性の幅広さを支えるのは、メンバーの演奏力の高さ。ギターの2人とベースのKeiはステージを激しく動きながら演奏するので目立つが、動くことがないTomonoriのドラムの音の強さはこれだけ大きなキャパでライブができるのにも納得せざるを得ないし、実際にライブで見るとこれだけ展開が多すぎる複雑な曲を生ドラムで叩いてる凄まじさには恐れ入る。
そうしたバンドの魅力や持ち味をフルに発揮しながら、今年はアルバムのリリースと47都道府県全てを廻るツアーを行い、さらなるバンドの進化を予感させて最後に演奏されたのはこのバンドが世に出るきっかけとなった、「Love at First Sight」。完全にダンスチューンであるが、この曲でこんなにもダイバーが続出しているというのはありとあらゆる意味で凄い。
1.Acceleration
2.Jump Around
3.Rave-up Tonight
4.Meaning of Existance
5.Thunderclap
6.SHINE
7.Party Boys
8.Crossover
9.Let Me Hear
10.Virture and Vice
11.Love at First Sight
SHINE
https://youtu.be/qB2P1BXY6hs
19:10~ WANIMA [SATAN STAGE]
そして2日間を締めくくるのは、主催のPIZZA OF DEATHから飛び出してさらに大きな存在になった、WANIMA。
「JUICE UP!のテーマ」で3人が勢いよくステージに登場し、Fujiは踊りまくり、Ko-shinはKENTAの立ち位置で観客を煽ったためにKENTAに邪魔扱いされるという、言葉を発していないのにメンバーのキャラがよくわかるオープニングから、
「PIZZA OF DEATHから、WANIMAです!SATANIC CARNIVAL、開催しまーす!」
の宣言でラウドかつ妖しい夜の雰囲気を感じさせる「オドルヨル」からスタート。さいたまスーパーアリーナ以降のメジャー進出後のライブでは聞けなくなっていた「PIZZA OF DEATHから」という単語が聞けたのはこのフェスだからだろう。
「オドルヨル」同様に猥雑な空気を含んだ「ララバイ」の間に大名曲「1106」が挟まれるという感情の移動が忙しい流れの中、KENTAは
「みんな2日間お疲れ様!PIZZA OF DEATHのことは、良いところもそうでないところも、俺たちが1番良く知ってるから!」
と、メジャーに進出して巨大な存在になってもPIZZA OF DEATHのバンドであるという誇りを感じさせながら、最新シングル「CHARM」を力強く背中を押すというよりはそっと近くに寄り添うような優しさでもって鳴らし、「いいから」も含めて「BIG UP」も演奏し、エロさを感じさせる曲が多かったのは何か意図があったりしたんだろうか。
そしてトリといえどあっという間のラストは「ともに」。ここまでも大合唱の嵐だったが、ひときわ大きな合唱に包まれたあたり、この曲の持つ力を感じさせるし、そうした曲を夏の時期に青春を感じさせるCMのタイアップとしてシングルリリースできるというこのバンドの「持ってる」感は本当に凄いと改めて思わされる。
アンコールでは「ありがとうを込めて」と「THANX」を演奏したのだが、大合唱とモッシュ&ダイブに塗れる中、ステージにはCOWCOW善しが登場し、そのままステージを降りて客席に合流するという一面も。
この時、客席には子供を肩車した家族で来ている人もよく見かけたのだが、その子供が「THANX」を大きな声で歌いながら腕を振り回していた。普段だったら「危なくない?大丈夫?」と思ってしまうような場面だが、3歳くらいの子供でもそんな状態になるくらいにWANIMAの音楽は老若男女に響いている。だからこそ、PIZZA OF DEATHはこれからのパンクシーンは任せたという意味も込めて、このバンドをトリにしたんだろう。そしてWANIMAはその期待に応えるような景色を自分たちの手で作り上げ、最後には
「PIZZA OF DEATHから最初に出したCDの1曲目に入っている曲!」
と言って「Hey Lady」で最後の大合唱を巻き起こし、ステージからは銀テープが放たれた。それはWANIMAを筆頭にした、パンク新時代の幕開けの号砲のようだった。きっと近いうちにこの会場で今度はワンマンが見れるんだろうな。
1.オドルヨル
2.1106
3.ララバイ
4.つづくもの
5.いいから
6.CHARM
7.リベンジ
8.BIG UP
9.ともに
encore
10.THANX
11.Hey Lady
CHARM
https://youtu.be/Ir3EFQg4H7I
なぜ自分はパンクやラウドなどの激しい音楽が好きなのか。それはそういうバンドがほとんど年間100本以上ライブをしているライブバンドで、ライブが良くないわけがないというのと、そういうバンドほど、音の向こうに人間らしさが見えるから。だから汗を流しながら涙が出そうになる。
そしてそういう音楽を年齢をどれだけ重ねても好きなままでいられる、というのを自分自身の目と耳で再確認するために、毎年このフェスに足を運ぶ。今年も本当に楽しかった。やっぱりこういう音楽を聴いてライブに行くのは、死ぬまでやめられそうにない。
Next→ 6/19 チャットモンチー @EX THEATER

11:00~ 04 Limited Sazabys [SATAN STAGE]
4年目を迎えるこのフェスにおいて皆勤賞になる、04 Limited Sazabys。去年まではEVIL STAGEだったが、日本武道館公演も経た今年は満を持してSATAN STAGEに登場となる。
おなじみのSEでテンションの高い4人がステージに登場すると、
「名古屋の04 Limited Sazabysです!」
とGENが挨拶し、「climb」からその澄んだハイトーンボイスを響かせるとともに、真昼間からダイバーが続出。しかしながらトップバッターとは思えないくらいのすごい人の多さである。このバンドが今どれだけたくさんの人に支持され、注目されているのかがよくわかる。
テンポよく曲を演奏していくというパンクバンドだからこそのスタイルを見せると、GENがついにこのステージに立てたこと、初めて出演したフェスが第1回のこのフェスであり、その時はオープニングアクトだったのが今ここまで来れたこと、その第1回の出演要請がPIZZA OF DEATHからGENの携帯に直電で来たことなど、このフェスの歩みとともにバンドが大きくなった歴史を感じさせる。
「名古屋から流星群を持ってきました!」
と言っておなじみの「midnight cruising」を演奏すると、間奏部分でRYU-TAが
「みなさん、世代交代の時が来ました!」
と自分たちがシーンを引っ張っていく覚悟を叫ぶのだが、いいところで噛んでしまうという絶妙な決まらなさ。ある意味ではRYU-TAらしいが、GENがいじりながらも
「RYU-TAが言ったことはバンドの意志」
とフォローし、
「Youtubeじゃ我慢できないからこうして生の音を聴きに来たんでしょう!?生の音を感じに来たんでしょう!?」
と「Feel」を演奏し、さらに日本のロックシーンとこのフェスに光が射すようにと「swim」を鳴らして、初のメインステージのライブを終えた。
フォーリミは本当にこのフェスから知名度を徐々に高めて今の位置までたどり着いた。だからこそこのフェスに対する思い入れの深さがライブから伝わってくる。そしてこれからはこのフェスを引っ張っていこうという意志すらも感じる。このフェスを引っ張るということは、パンクシーンそのものを引っ張っていくということ。すでにYON FESも新たな世代のアーティスト主催フェスとしてすっかり定着しているが、このバンドはそのさらに先を見据えている。そこで鳴り響く新たな時代のアンセムを、このバンドは作り出す予感がしている。
1.climb
2.monolith
3.escape
4.Remember
5.fiction
6.Warp
7.midnight cruising
8.Feel
9.swim
Feel
https://youtu.be/t7pj_DiGmBo
そのあと、EVIL STAGEでSWANKY DANKを少しだけ見る。
12:25~ ジャパハリネット [EVIL STAGE]
かつて青春パンクブーム末期に「インディーズの最終兵器」として2004年にメジャーデビューし、シングル、アルバムともにオリコンTOP10入り、さらにはミュージックステーションにも出演するという最高風速の凄まじさを誇っていたバンド、ジャパハリネット。
しかしその青春パンクブームに乗っかってしまったが故に、メジャーデビュー以降は悩んでいるのが曲や歌詞に正直に出てしまい、2007年に早々と解散。しかし2015年にまさかの再結成を果たし、このフェスには2年連続での出演となる。
城戸けんじろは赤いTシャツ、他の3人は白い揃いのツナギという出で立ちで登場すると、「It's a human road」からスタートし、「ああ、こうだったなぁ」と思い出させてくれるジャパハリ節。浸る間もないくらいにダイバーが発生しているが。
やはりメンバーの見た目はかつてよりは年齢を重ねているのがすごくよくわかるし、解散後は1人で歌い続けていただけに現役感は全く失われていないが、けんじろの声もやはり少し変わったように感じる。
バンドの代表曲の1曲である「列の瞬」を終えると、
「今やった3曲がジャパハリネットの中で最もラウドな3曲です(笑)
なのでここからやる曲は全てJ-POPです(笑)」
と冗談めかしながら、歳を重ねたことを感じさせる「プライマルエイジ」、「SATANIC CARNIVALで歌いたくて作った」という「people×people」と続けるが、けんじろはハンドマイクで歌いながら、他のバンドはまずそこまではやらないだろうという大げさにも見えるアクションで観客を煽りまくる。この辺りの身体能力に陰りは一切見えない。
この日のためにWANIMAのカラーを参考にして作ったというタオルを掲げると、けんじろはアコギを手にし、マイクスタンドに取り付けられたハープを吹いて始まったのは、ミュージックステーション出演時に披露した「哀愁交差点」。Mステの時もPVでもけんじろはアコギを弾いていなかったが、こうして弾くようになったのは再結成してからだったりするのだろうか。
「いつの日か 胸を張って 「帰ってきたよ」 そう言いたくて」
というサビのフレーズは、かつて故郷に凱旋する男の曲だったが、今ではこうしてステージに帰ってきたこのバンドそのものの歌になっている。紛れもなく年月が経ったことによって、曲が新たな意味合いを帯びている。かつて青春パンクというジャンル自体が音楽性や歌詞の拙さ(誰でもできるじゃん、という)を指摘されることが多かったが、どれも今聴いてみたら違った聴こえ方がするのかもしれない。
そして「贈りもの」ではラストのサビ前にけんじろが客席にマイクを向ける。驚いた。もう知ったのは15年くらい前。10年以上聴いていなかった曲なのに、自分は歌詞を完全に覚えていた。どれだけ新しいバンドの音楽を聴いていても、色褪せることなく脳内に残っていたのである。なので当然のことのように大きな声で歌った。この曲が名曲であることを自分自身に改めて教えるかのように。
「とにかく曲をたくさんやる」
というスタイルのライブだったため、まだもう1曲、とばかりに最後にけんじろがアカペラで歌ってから始まったのは「物憂げ世情」。やはり終盤にはけんじろが客席にマイクを向けた。
「はにかんで心から 笑えることができるなら
それだけでこの今を生きた意味があるでしょう」
というサビのフレーズでビックリするくらい大きな合唱が起こった。この曲を知っていて、歌える人がこんなにたくさんいた。このバンドのこの曲が青春時代のテーマだった人たちがまだライブに来ていて、みんなで一緒に歌っている。もしかしたらただの懐古趣味かもしれない。でも、こうしてバンドが活動していて、みんなで集まって好きだった曲が歌えるのなら、再結成するのも全く悪いことじゃない。
最後、演奏が終わる瞬間にけんじろは後方宙返りをして、大喝采を浴びた。かつてミュージックステーションに出た時も曲の最後にやって、共演者たちを驚かせていたが、タモリはあの瞬間や、「女の子にモテたくてバンド始めたんですけどね、僕の学校は男子校やったんですよ(笑)」というトークをけんじろとしたことを覚えているのだろうか。自分は今でもよーく覚えてる。
解散する前は、なかなか聴くのがキツい時も多かった。それくらいにバンドが迷走してるのがわかってしまっていたから。だから、彼らが階段を駆け上がっていた当時、本当にバンドが楽しかったのかどうかはわからない。でも今、36歳になって、解散してから再結成して、メンバーは本当に楽しそうに自分たちが作った音楽を鳴らしている。そう思えたのが、何よりも嬉しかった。
個人的にはベストアクトだが、このバンドのことを知らない若い人が初めて見てそう思うことは多分ない。それは自分があの時代に若者としてこのバンドの音楽を聴いていたからそう思えるんだっていうのはわかっている。
きっと青春パンクという枠の中にいたバンドはあの時代の徒花だったのだろうし、もう再評価されることはないのもわかっている。でも175Rやジャパハリネットが帰ってきて、ガガガSPたちはまだやっている。自分がバンドやロックに目覚めるきっかけになったバンドたちを今でも見れることがどれだけ幸せなことか。それだけでこの今を生きた意味があるでしょう?
2007年だったか、JUN SKY WALKER(S)が期間限定で再結成した時に(今は普通に活動している)、最後のライブをCOUNTDOWN JAPANで行った。リアルタイムで全く見れなかったバンドが見れたことに自分は興奮したのだが、最前ブロックにいた、きっと青春をジュンスカとともに過ごしていたであろう年齢の女性たちは終わった後にみんな涙を拭いながら歩いていた。当時はまだその感覚ー青春時代に聴いていたバンドが再結成して大人になってまた見れるーが自分にはわからなかった。まだ青春時代のバンドたちが解散も再結成もしていなかったから。でも今ならわかる。そう思えるくらいに自分も歳を重ねている。ライブに来るのをやめなければ、きっとそういう瞬間はこれから何回も訪れるはず。
誰もやる人がいないだろうけど、こうしてジャパハリネットや175Rが復活したのを見ると、銀杏BOYZとMONGOL800、ガガガSPやSHAKALABBITS、STANCE PUNKSにTHE STAND UP…それに解散してしまった太陽族やB-DASHにも戻ってきてもらって、青春パンクバンドばかり出るようなフェスに行ってみたい。あまりあのシーンは今に比べると連帯感がなかったし、むしろそこから抜け出そうとしているバンドもいたけれど、こうしてみんながバンドをやれているうちに。
リハ.若葉咲く頃
リハ.蹴り上げた坂道
1.It's a human road
2.少年バット
3.烈の瞬
4.プライマルエイジ
5.people×people
6.哀愁交差点
7.贈りもの
8.物憂げ世情
物憂げ世情
https://youtu.be/zxVbJSYhTn0
13:00~ RIZE [SATAN STAGE]
直前のジャパハリネットのセンチメンタルな気分を吹き飛ばすかのように、冒頭の「ONE SHOT」から凄まじい音圧を叩きつけて来る、RIZE。
サポートギターのRioも含めて完全にこの4人だからこそのグルーヴとチームワーク。そこに乗るJESSEのラップの切れ味も、メンバーのコーラスワークも圧巻の一言。
近年の曲が中心(最新シングル「SILVER」はやっていないけど)だが、過去の曲も完全にこのメンバー、2017年の今だからこそのアレンジにブラッシュアップされ、JESSEのカリスマ性はデビュー時から全く変わっていないどころか、
「このフェスに出たくても出れないバンドが腐るほどいて、出たくてもいなくなって出れなくなっちまったやつもいる」
と、いなくなった同志(Pay money To my PainのKらのことだろう)の意志も引き継いだ今、さらに求心力を増している。
JESSEの高速ラップが圧巻の「日本刀」から、kenkenがベースを銃のようにして客席に向ける「Gun Shot」(前日に出たSiMも同タイトルの曲があるが、全くサウンドが違うのが面白い)とライブ定番曲を続けてダイバーが続出する中、ラストの「カミナリ」ではラップ部分の前にダイバーの男を1人ステージに上げてラップをさせ、完成度の高いラップを見せるとJESSEとハグをしてからステージを去り、客席はさらなる熱狂に包まれながら、kenkenはステージに倒れるぐらいの熱演を見せ、Pay money To my Painの帽子とドラムスティックを高く放り投げた金子ノブアキはドラムセットを蹴散らしながらステージ前に出てきて仁王立ちし、JESSEの
「ただのジャパニーズロックバンドでした!」
という言葉でステージを去って行ったが、身震いするくらいの凄まじいカッコよさ。間違いなく今が1番ヤバいバンド。これまでにやろうと思えばやれる状況にあった中でついに立つ日本武道館のステージではどんなライブを見せてくれるんだろうか。
1.ONE SHOT
2.TKC
3.後ろの少年
4.PARTY HOUSE
5.日本刀
6.Gun Shot
7.カミナリ
ONE SHOT
https://youtu.be/PSb8a90Tebk
15:00~ MONGOL800 [SATAN STAGE]
このフェスでもおなじみの存在と言ってもいい、MONGOL800。カチャーシーのSEでメンバーがステージに現れると、おなじみのキヨサクの
「サタニック、遊びましょー!」
の一言から「あなたに」でいきなり割れんばかりの大合唱が発生。
かと思えば
「こんにちは、WANIMAです!」「改めまして、BEGINです!」
と遊び心も忘れない。BEGINは遠目で見たら似ているらしいが、どうだろうか。
そもそもがパンクシーンから出てきたバンドなだけに、このフェスとの親和性が高い、ダイブが発生しまくる曲もたくさんあるが、そんな中で沖縄民謡を取り入れた「OKINAWA CALLING」はこのバンドだからこその曲。さらに新曲の「宝物」ではサウンドではなく、歌詞のメッセージで沖縄のバンドだからこその思いを感じさせてくれる。それは痛切な願いにも似た「神様」もそうだが、このバンドは社会的なことや政治的なことも言いたいことを言いたいタイミングで曲にしてきた。で、きっとそれは彼らが今でも沖縄で暮らしているからこそ出てくる言葉。そうしてバンドが曲にして歌うことによって、なかなか関東に住んでいる身としてはわからないことをイメージすることができたり、考えるきっかけを与えてくれる。彼らにとって大切な「宝物」が、ずっと守られていけたらいいのだけど。
そういう意味でも、もともとは社会や政治に対する不満から生まれたのがパンクロックであるだけに、このバンドは根っからのパンクバンドである。大ヒットしたことによって、図らずもメインストリームとパンクシーンの橋渡し的な役割を担うことにもなったけれど。
そんな少し考えさせられるような中盤から、最後はやはり「小さな恋のうた」で大合唱。ポップなアーティストが軸のフェスでも、こうしたパンクバンドばかり出るようなフェスでも全く変わることなく、老若男女みんなが大きな声で最初から最後まで歌うことができる。そしてそのみんなで歌う光景がどれだけ素晴らしいものなのかということを実感させてくれる。だからキヨサクは後半ではほとんど自分で歌わずに、観客に委ねる。この曲はもう、みんなの歌だ、と言わんばかりに。
そして「DON'T WORRY BE HAPPY」でさらなる合唱を生んで文字どおりにハッピーな空気で会場を満たしたラスト。「明日は日曜日」ではなくて月曜日だけれど、ジャパハリネットがいてモンパチがいて、どちらも15年くらい前に世に出た曲を演奏して大合唱が起きている。なんだか、あの頃に戻ったみたいだった。
1.あなたに
2.Marriage Blue
3.OKINAWA CALLING
4.LOVE SONG
5.宝物
6.神様
7.小さな恋のうた
8.DON'T WORRY BE HAPPY
小さな恋のうた
https://youtu.be/u8EkSB9zSpE
16:00~ locofrank [EVIL STAGE]
この日、昼からすでに雨が降っていたが、パンク界での雨バンドといえば、自他共に認めざるを得ないのがこのバンドである。
もはやベテランの域に差し掛かった3人がステージに揃うと、「Returning」から全くベテランらしさを感じさせないフレッシュなメロディックパンクを炸裂させる。木下のボーカルも森のコーラスも全く年齢を感じさせないが、いろんな現場でも叩いてきたTatsuyaのドラムは曲のテンポをさらに引き上げるスピード感を出しているが、勢いだけではない器用さも感じさせるようになっている。
しかしながらMCでは
「もうここから先のこのステージには35歳以上のバンドしか出ません!(笑)」
とベテランの先陣を切ることを自覚しつつ、
「もう、今までは他のバンドのせいにしてたんだけど、諦めた(笑)雨降ってるのは俺たちのせいです!(笑)」
と雨バンドであることも自白。しかしその表情はどこまでも楽しそうである。
バンド最大のアンセムである「START」を最初でも最後でもなく中盤にやるというフェスらしからぬ流れであったが、後半のキラーチューン連発ぶりからはそれも納得せざるを得ない。震災後はポップな曲も増えたが、こうしてパンクバンドたちが居並ぶフェスで初期の頃の曲をやると、やはり死ぬまでこの3人はパンクバンドであると思わせてくれる。
だからこそ、最後に
「俺たちはずっと音楽を続けるから、君たちも君たちでいてな!」
という当たり前のようなことを言った後に演奏された「reason」が、いろんなことを感じさせて本当に響いた。なかなか苦しいことや辛い状況に陥ったことも隠さずに歩んできたバンドであるだけに。それでも辞めなかったんだから、本当にずっとこのバンドは続いていくんだろうな。
1.Returning
2.Mountain range
3.A GLOSSY DEMOCRACY
4.START
5.PASSED AWAY
6.Grab Again
7.share
8.BE FULL
9.reason
START
https://youtu.be/28Y5fiMemto
16:55~ HAWAIIAN6 [EVIL STAGE]
ベテランバンドが続く2日目後半のEVIL STAGEに続いて登場するのは、HAWAIIAN6。このフェスには初回から出演している、パンクシーンの裏番長的な存在である。
このバンドが他のパンクバンドと全く空気が違うのは、光よりも闇や影を感じさせる、マイナー調の曲が多く、それはハードコアパンクの影響が色濃いからでもあるが、この日も「THE LIGHTNING」「My Name Is Loneliness」という出だしはそのイメージ通りである。
しかしながら早くも演奏されたアンセム「Magic」からはガラッと楽しいライブハウスのような雰囲気に変わると、バンドのスポークスマンでもあるドラムのHATANOが、
「ライブハウスに来たことないっていう人はいる?じゃあいつもライブハウスに来てる人は?
俺たちもそうだけど、このSATANIC CARNIVALに出てるバンドはみんな、ライブハウスがなかったら育ってないからな!」
とひたすらにライブハウスでライブをして生きてきたバンドだからこその誇りを語ると、
「いつもライブハウスで俺たちがやってるやつ!」
と言って「RAINBOW,RAINBOW」では観客が肩を組んでグルグルと回るという、ライブハウスが怖い場所ではなくて楽しくて愛に溢れた場所であるということを示し、
「お前たちの青春の曲だ!」
と言って「Eternal Wish,Twinkle Star」からはさらなるキラーチューンの連発で、年齢層が高めの方々がキッズたちに混ざってフロントエリアに突入していく様が、青春に立ち返っているみたいで、実に微笑ましい。
「よく言われるんだよ、ひたちなかでライブ見ました、とか。でも俺はやっぱりライブハウスに来て欲しいわけ。あそこにはいつだって愛があるから。だから俺たちみたいなバンドで良ければ、いつだってライブハウスでお待ちしておりますので。ECHOESっていうイベントを今年も新木場STUDIO COASTでやりますんで、ライブハウスでの遊び方がわからない人がいたら、そこに来ればだいたいのことはわかるから」
と宣伝も交えつつ、このフェスを普段のライブハウスのライブに繋げよう、その入り口にしようという、ライブハウスに生きてライブハウスで死んでいくという覚悟すら感じられる男の言葉は、普段からライブハウスに行っている(というかこのフェスに来てる人は間違いなく普段からライブハウスに行ってる人たちなはず)人の背中を押し、そうやって生きてきたことを誇らしく思わせてくれた。
1.THE LIGHTNING
2.My Name Is Loneliness
3.Magic
4.RAINBOW,RAINBOW
5.Eternal Wish,Twinkle Star
6.WORLD
7.I BELIEVE
8.Tiny Soul
9.A Love Song
Magic
https://youtu.be/pt4P8lw1cEU
17:45~ Fear,and Loathing in Las Vegas [SATAN STAGE]
アルバム、シングルともに毎作のようにオリコンTOP3圏内に送り込むというモンスタークラスのバンドになりつつある、Las Vegas。ラウドバンド最後の砦として、メインステージのトリ前に登場。
けたたましい電子音とともにメンバーがテンションMAXとばかりに走ってステージに登場すると、バズリズムなどでそのキャラの良さが全国にも発見されてきたTaiki(ギター)の緑色のレスラーユニフォームが目を惹く中、「Acceleration」でSoがオートチューンを駆使したハイトーンボイスを響かせると、Minamiはシンセを操るよりもステージを走り回りながらデスボイスを轟かせまくり、「Rave-up Tonight」では2人の息のピッタリとあったフォーメーションも展開される。
「面白いことも言えないし、滑舌も悪いのにMCを担当している」と自虐したSxunが雨が降ったのは自分たちのせいであることを大観衆の前で謝罪したが、この日は先輩に雨バンドがたくさん揃っていただけに、それはこのバンドだけのせいではないだろう。
しかしながら直前まで見ていたのが、シンプルな編成でのパンクバンドばかりだったため、狂騒的な電子音を軸にしたダンスサウンドと、巨大なミラーボールまで回る(このバンド以外に誰も使ってない)様を見ると、自分が今SATANIC CARNIVALに来ているという事実を忘れてしまいそうになるくらいに、このバンドの世界観に会場全体が引きずり込まれてしまっている。
観客の声がさらなる狂騒と一体感を生み出す最新シングル曲「SHINE」から、TaikiとSxunもボーカルを取り、フロントの2人は体操みたいな動きを見せるのが実に面白い「Party Boys」と続き、モッシュやダイブだけではない幅広い楽しみ方を示してくれるが、それはこのバンドの音楽性そのものが幅広いということでもある。
そしてその音楽性の幅広さを支えるのは、メンバーの演奏力の高さ。ギターの2人とベースのKeiはステージを激しく動きながら演奏するので目立つが、動くことがないTomonoriのドラムの音の強さはこれだけ大きなキャパでライブができるのにも納得せざるを得ないし、実際にライブで見るとこれだけ展開が多すぎる複雑な曲を生ドラムで叩いてる凄まじさには恐れ入る。
そうしたバンドの魅力や持ち味をフルに発揮しながら、今年はアルバムのリリースと47都道府県全てを廻るツアーを行い、さらなるバンドの進化を予感させて最後に演奏されたのはこのバンドが世に出るきっかけとなった、「Love at First Sight」。完全にダンスチューンであるが、この曲でこんなにもダイバーが続出しているというのはありとあらゆる意味で凄い。
1.Acceleration
2.Jump Around
3.Rave-up Tonight
4.Meaning of Existance
5.Thunderclap
6.SHINE
7.Party Boys
8.Crossover
9.Let Me Hear
10.Virture and Vice
11.Love at First Sight
SHINE
https://youtu.be/qB2P1BXY6hs
19:10~ WANIMA [SATAN STAGE]
そして2日間を締めくくるのは、主催のPIZZA OF DEATHから飛び出してさらに大きな存在になった、WANIMA。
「JUICE UP!のテーマ」で3人が勢いよくステージに登場し、Fujiは踊りまくり、Ko-shinはKENTAの立ち位置で観客を煽ったためにKENTAに邪魔扱いされるという、言葉を発していないのにメンバーのキャラがよくわかるオープニングから、
「PIZZA OF DEATHから、WANIMAです!SATANIC CARNIVAL、開催しまーす!」
の宣言でラウドかつ妖しい夜の雰囲気を感じさせる「オドルヨル」からスタート。さいたまスーパーアリーナ以降のメジャー進出後のライブでは聞けなくなっていた「PIZZA OF DEATHから」という単語が聞けたのはこのフェスだからだろう。
「オドルヨル」同様に猥雑な空気を含んだ「ララバイ」の間に大名曲「1106」が挟まれるという感情の移動が忙しい流れの中、KENTAは
「みんな2日間お疲れ様!PIZZA OF DEATHのことは、良いところもそうでないところも、俺たちが1番良く知ってるから!」
と、メジャーに進出して巨大な存在になってもPIZZA OF DEATHのバンドであるという誇りを感じさせながら、最新シングル「CHARM」を力強く背中を押すというよりはそっと近くに寄り添うような優しさでもって鳴らし、「いいから」も含めて「BIG UP」も演奏し、エロさを感じさせる曲が多かったのは何か意図があったりしたんだろうか。
そしてトリといえどあっという間のラストは「ともに」。ここまでも大合唱の嵐だったが、ひときわ大きな合唱に包まれたあたり、この曲の持つ力を感じさせるし、そうした曲を夏の時期に青春を感じさせるCMのタイアップとしてシングルリリースできるというこのバンドの「持ってる」感は本当に凄いと改めて思わされる。
アンコールでは「ありがとうを込めて」と「THANX」を演奏したのだが、大合唱とモッシュ&ダイブに塗れる中、ステージにはCOWCOW善しが登場し、そのままステージを降りて客席に合流するという一面も。
この時、客席には子供を肩車した家族で来ている人もよく見かけたのだが、その子供が「THANX」を大きな声で歌いながら腕を振り回していた。普段だったら「危なくない?大丈夫?」と思ってしまうような場面だが、3歳くらいの子供でもそんな状態になるくらいにWANIMAの音楽は老若男女に響いている。だからこそ、PIZZA OF DEATHはこれからのパンクシーンは任せたという意味も込めて、このバンドをトリにしたんだろう。そしてWANIMAはその期待に応えるような景色を自分たちの手で作り上げ、最後には
「PIZZA OF DEATHから最初に出したCDの1曲目に入っている曲!」
と言って「Hey Lady」で最後の大合唱を巻き起こし、ステージからは銀テープが放たれた。それはWANIMAを筆頭にした、パンク新時代の幕開けの号砲のようだった。きっと近いうちにこの会場で今度はワンマンが見れるんだろうな。
1.オドルヨル
2.1106
3.ララバイ
4.つづくもの
5.いいから
6.CHARM
7.リベンジ
8.BIG UP
9.ともに
encore
10.THANX
11.Hey Lady
CHARM
https://youtu.be/Ir3EFQg4H7I
なぜ自分はパンクやラウドなどの激しい音楽が好きなのか。それはそういうバンドがほとんど年間100本以上ライブをしているライブバンドで、ライブが良くないわけがないというのと、そういうバンドほど、音の向こうに人間らしさが見えるから。だから汗を流しながら涙が出そうになる。
そしてそういう音楽を年齢をどれだけ重ねても好きなままでいられる、というのを自分自身の目と耳で再確認するために、毎年このフェスに足を運ぶ。今年も本当に楽しかった。やっぱりこういう音楽を聴いてライブに行くのは、死ぬまでやめられそうにない。
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