ヤバイTシャツ屋さん ”どうぶつえんツアー”ツアー 2017 ~ワンマン~ 追加公演 @新木場STUDIO COAST 6/16
- 2017/06/17
- 00:56
昨年から様々なフェスなどで、その破天荒なライブパフォーマンスと、「あるある」やご当地ネタをふんだんに使った独特な歌詞で一気にブレイクを果たしたスリーピースバンド、ヤバイTシャツ屋さん。
昨年リリースのアルバム「We love Tank-top」がオリコンTOP10入りを果たし(自分も昨年の年間ベストディスクで1位に選出した)、今年リリースの最新シングル「どうぶつえんツアー」もヒットするという、追い風を受けまくりの状況で開催されるツアーは軒並みソールドアウト。早くも追加公演として、都内有数のデカ箱である新木場STUDIO COASTにまで歩を進めた。
この日はTHE ORAL CIGARETTESが初の武道館ワンマンを開催している日ということで、メンバーは会場の広さもあり、動員を心配していたが、当然のように超満員で、しかもライブ開始前には物販が全種類ソールドアウトするという異常な事態にまでなっている。
18:30という、平日にもかかわらずかなり早めな開演時間になると、ステージに登場したのは、うさぎ、ライオン、クマの可愛らしい着ぐるみ。場内がどよめく中、
「メンバーがどうぶつの姿に変えられてしまい、このままではライブができないので、元に戻るには約2800人のタンクトップパワーが必要」
ということで、約2800人キャパのSTUDIO COASTの観客が
「タンクトップ!タンクトップ!」
と叫ぶという異様な光景が繰り広げられると、ステージがスモークに包まれ、背面に巨大タンクトップ君が出現し、3体の着ぐるみもメンバーに入れ替わっている。結果的に「どうぶつえんツアー」らしさを感じられる演出は、全く曲とは関係ないこの寸劇だけだったが、そもそも「どうぶつえんツアー」のシングル自体、特典DVDの映像以外にどうぶつえんらしさを感じられる部分は全くない。
そのタンクトップパワーをぶつけるかのように、ライブは「Tank-top of the world」からスタートし、スリーピースのシンプルなメロコアサウンドでダイバーが次々と出現する中、
「Go to RIZAP!」
という、このバンドのライブ以外で人生において叫ぶ必要性が1ミリもないようなフレーズの大合唱が起きる。
「どうぶつえんツアー」のカップリング収録の「寝んでもいける」から、観客も演奏するメンバーも飛び跳ねまくる「メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲」では間奏で
「10-FEETの「goes on」の感じで!」
と言って観客をいったん座らせてから一斉にジャンプさせようとするも、あまりに人が多すぎて全然座れず、結局中腰の姿勢からジャンプするという妥協案を採用。
挨拶も兼ねた最初のMCでは、自己紹介をしようとするも、
「THE ORAL CIGARETTESです!」
とやはりライブが被ったオーラルをいじり、さらには
「ジャスティン・ビーバーです!」
「ピコ太郎です!」
「上戸彩です!」
とソフトバンクのCMに出演している人の名前を挙げまくった結果、
「ソフトバンクです!」
に着地。ちなみにこの日は一目でわかるくらいにカメラがたくさん入っており、DVD化されるとのことだが、のっけから映像化できないような単語ばかりが飛び交う。
さらには
「セミファイナルの恵比寿の方が盛り上がってた感じしたけど、盛り上がってた人たちはみんな武道館の方に行ったんですかね?」
「なんか今日、めっちゃ客席の治安悪いけど、治安良い人はみんな武道館の方に行ったんですかね?」
と、オーラルいじりはとどまることを知らず、こやまたくや(ボーカル&ギター)は映像化することなど全く気にしてないかのよう。
しばたありぼぼ(ベース&ボーカル)が作詞を手がけた「L・O・V・Eタオル」も他の曲と比べても一切違和感がないくらいにヤバTらしさを感じさせ、「DQN~」では客席の上方の照明に本当に「DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ」がぶら下がってるという芸の細かさを見せる。
せっかくのワンマンということで、アルバムにも収録されていない曲を、と「Don't stop SNS」の高速ツービートで踊らせまくると、「ZIKKA」ではかつて世間を騒がせた、
「引っ越し!引っ越し!さっさと引っ越し!」
というフレーズの大合唱。まさか現代になってこのフレーズをこんなにたくさんの人と一緒に叫ぶことになるとは。
ここで久しぶりに、バンドの曲によく使われる、大阪の地名などを説明するコーナーを展開すると、メンバーの学生時代の話に。もりもと(ドラム)が
「俺ら喋りすぎちゃう?(笑)」
と突っ込むも、こやまは
「レキシとかもっと喋ってるやん(笑)」
とかわし、
「どんなバンドも、ダレる時はダレる!」
という元も子もないことすらも観客と一緒になって叫んでしまう。
そして学生時代にしばたがデイリーヤマザキでむちゃくちゃ長時間、店内調理のパンを焼いたりして違法労働させられていた話をすると、その店でしばたが呼ばれていたというあだ名「ばたばたしばたさん」をそのままタイトルにした新曲を披露。「デイリーヤマザキ~」というCMの曲のフレーズをそのまま使っているという、デイリーヤマザキのタイアップがつかない限りは音源化することはまず不可能であろう曲だけに、こやまも
「音源化の予定はなし!」
とばっさり。ライブ限定曲となるのだろうか。
そこからは「ウェイウェイ大学生」、間奏部分でしばたが観客にマイクを向ける「天王寺に住んでる女の子」と、なかなか関東に住んでる身としてはリアリティがない大阪の地名などを使った歌詞も、事前の説明のおかげですんなり頭に入ってくる。
しかし、「天王寺に住んでる女の子」のサビなどでメインボーカルを務めるしばたは、かつての歌も演奏もお世辞にも上手いと言えなかったのが、安定感を増してきている。対照的にこやまはなかなか喉がキツそうに感じてしまうところも多かったが。
歌詞の韻の踏み方が絶妙なちょっと切ない「週10ですき家」を終えると、もりもとの
「僕がいて君たちがいる。それだけでいいじゃないか」
というコメントにこやまが
「薄っ!J-POPか!」
とツッコミ、J-POP大好きな(この日も道重さゆみのTシャツを着ていた)しばたにツッコミ返しされる。
そんなやり取りもありつつ、「喜志駅周辺なんもない」からはラストスパートへ。ガムのCMタイアップ曲になっている最新曲「とりあえず噛む」もライブ初披露されたのだが、ロッテのガムのCMなだけに、歌詞に「~しろって」など、「ロッテ」の部分を強調するようなコーラスが入っているあたりは本当に上手い。しかもタイアップという情報がなければ普通に聴ける曲でもある。この辺りはもはや天賦の才を感じると言っても過言ではない。
珍しくこやまの内面をぶちまけたような「反吐でる」から、「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」は、一見そういうバンドをネタにしてるように見えるが、この曲の本質はそこではなく、
「やる気に反するプライドが
いつも僕らの邪魔をするけど
出来る範囲で行けるところまで行こうぜ」
と、自分たちのことを歌っているサビの最後のフレーズである。ヤバTは明確に自分たちの音楽でシーンを変えたいとか、憧れの場所でライブをやりたいということを口にするようなタイプのバンドではない。でも確かにこのバンドには、自身の音楽でやりたいことがある。だからこのバンドはあえて決して流行っていないメロコアという自分たちのルーツであるサウンドでメジャーに進出して勝負をかけている。なかなかそこは見ていても伝わりにくいところではあるけれど。
しばたの「しんきば」でのあいうえお作文も披露されると、「スプラッピ スプラッパ」では元々は児童向けの曲にもかかわらず、激しい左回りのサークルが客席には発生し、こやまのセトリの紙がふやけて見えなくなるくらいの熱気を生み出していく。
実際にこの終盤の盛り上がりは凄まじいものがあり、「無線LAN~」ではオイ!オイ!ではなく
「Wi!」「Fi!」
の斬新過ぎるコール&レスポンスが起き、「ネコ飼いたい」からラストは「どうぶつえんツアー」のリード曲である「ヤバみ」。歌詞には英語が多く使われているが、
「「理解できないものばっかり流行っていく!!!」
いつまで置いていかれちゃってんの」
というフレーズは、「もう最近の若いバンドの音楽が全然わからない」と言ってこのバンドの音楽をスルーしてしまっている、完全に進化した現代の音楽から置いていかれている人たちにこそ聴いてもらいたい。英語と日本語の発語の気持ち良さも含めて、こやまはどれだけ頭がいいんだろうか。
アンコールではまずは集合写真撮影。オープニングで登場したどうぶつも揃っての撮影である。
そして9月に最新シングルと、この日のライブを収録したDVDがリリースされることを発表すると、同じ事務所である10-FEETのTAKUMAに借りたというアコギを使い(借りパクするつもりらしい)、「肩 have a good day」をしっとりと聴かせるが、最後にはこやまがギターを置き、ピンスポットのあたるステージ中央に出てきて、マイクを通さずにアイドルのように歌って合唱を促すという、普通に良い曲としては終わらないこのバンドのひねくれっぷりを存分に感じさせてくれる。
そしてやはり最後はこのバンドの存在を一躍世の中に知らしめた「あつまれ!パーティーピーポー」で銀テープが発射されながら踊らせまくり、もはや灼熱と言ってもいい状態になっていた場内をさらに熱く燃え上がらせ、演奏が終わった3人は真ん中で手を繋いでからステージを去っていった。
確かに楽しいライブだったのは間違いないが、「DQN」というフレーズを先に使った先輩であるキュウソネコカミと比べると、ライブ自体の出来はまだまだだと感じた。どれだけ面白いMCや演出をしても、結局中心にあるのは曲と、3人だけでのシンプルなバンドサウンドである。それはただ単に上手くなればいいというものではないが、とりあえず当面の課題はこやまのボーカルの安定感の向上だろう。そうしたバンドの基礎の部分がしっかりしていれば、先輩の岡崎体育とともに「数年後に消えてると思うアーティスト」に名前が上がりがちな状態を抜け出すことができるはず。
曲は抜群に良い。歌詞も個人的に「この人じゃないと絶対書けない」という点においてはamazarashiと双璧をなすバンド(スタイルは真逆だけど)であると思っているくらいに評価しているし、それを完全に歌詞の面では停滞しているメロコアというサウンドの上でやっているという点で、メロコアの最新進化系にして、新たな可能性を感じさせる存在だと思っているだけに、5年後、10年後までも「出来る範囲でいけるところまで」行って欲しい。まだまだ出てきたばかりなのだし、潜在能力は抜群なだけに、絶対もっとすごいバンドになれる。
1.Tank-top of the world
2.寝んでもいける
3.メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲
4.L・O・V・Eタオル
5.DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
6.Don't stop SNS
7.ZIKKA
8.ばたばたしばたさん
9.ウェイウェイ大学生
10.天王寺に住んでる女の子
11.週10ですき家
12.喜志駅周辺なんもない
13.とりあえず噛む
14.反吐でる
15.流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い
16.スプラッピ スプラッパ
17.無線LAN有線LANよりバリ便利
18.ネコ飼いたい
19.ヤバみ
encore
20.肩 have a good day
21.あつまれ!パーティーピーポー
ヤバみ
https://youtu.be/329F4L9ATcw
Next→ 6/17 SATANIC CARNIVAL @幕張メッセ
昨年リリースのアルバム「We love Tank-top」がオリコンTOP10入りを果たし(自分も昨年の年間ベストディスクで1位に選出した)、今年リリースの最新シングル「どうぶつえんツアー」もヒットするという、追い風を受けまくりの状況で開催されるツアーは軒並みソールドアウト。早くも追加公演として、都内有数のデカ箱である新木場STUDIO COASTにまで歩を進めた。
この日はTHE ORAL CIGARETTESが初の武道館ワンマンを開催している日ということで、メンバーは会場の広さもあり、動員を心配していたが、当然のように超満員で、しかもライブ開始前には物販が全種類ソールドアウトするという異常な事態にまでなっている。
18:30という、平日にもかかわらずかなり早めな開演時間になると、ステージに登場したのは、うさぎ、ライオン、クマの可愛らしい着ぐるみ。場内がどよめく中、
「メンバーがどうぶつの姿に変えられてしまい、このままではライブができないので、元に戻るには約2800人のタンクトップパワーが必要」
ということで、約2800人キャパのSTUDIO COASTの観客が
「タンクトップ!タンクトップ!」
と叫ぶという異様な光景が繰り広げられると、ステージがスモークに包まれ、背面に巨大タンクトップ君が出現し、3体の着ぐるみもメンバーに入れ替わっている。結果的に「どうぶつえんツアー」らしさを感じられる演出は、全く曲とは関係ないこの寸劇だけだったが、そもそも「どうぶつえんツアー」のシングル自体、特典DVDの映像以外にどうぶつえんらしさを感じられる部分は全くない。
そのタンクトップパワーをぶつけるかのように、ライブは「Tank-top of the world」からスタートし、スリーピースのシンプルなメロコアサウンドでダイバーが次々と出現する中、
「Go to RIZAP!」
という、このバンドのライブ以外で人生において叫ぶ必要性が1ミリもないようなフレーズの大合唱が起きる。
「どうぶつえんツアー」のカップリング収録の「寝んでもいける」から、観客も演奏するメンバーも飛び跳ねまくる「メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲」では間奏で
「10-FEETの「goes on」の感じで!」
と言って観客をいったん座らせてから一斉にジャンプさせようとするも、あまりに人が多すぎて全然座れず、結局中腰の姿勢からジャンプするという妥協案を採用。
挨拶も兼ねた最初のMCでは、自己紹介をしようとするも、
「THE ORAL CIGARETTESです!」
とやはりライブが被ったオーラルをいじり、さらには
「ジャスティン・ビーバーです!」
「ピコ太郎です!」
「上戸彩です!」
とソフトバンクのCMに出演している人の名前を挙げまくった結果、
「ソフトバンクです!」
に着地。ちなみにこの日は一目でわかるくらいにカメラがたくさん入っており、DVD化されるとのことだが、のっけから映像化できないような単語ばかりが飛び交う。
さらには
「セミファイナルの恵比寿の方が盛り上がってた感じしたけど、盛り上がってた人たちはみんな武道館の方に行ったんですかね?」
「なんか今日、めっちゃ客席の治安悪いけど、治安良い人はみんな武道館の方に行ったんですかね?」
と、オーラルいじりはとどまることを知らず、こやまたくや(ボーカル&ギター)は映像化することなど全く気にしてないかのよう。
しばたありぼぼ(ベース&ボーカル)が作詞を手がけた「L・O・V・Eタオル」も他の曲と比べても一切違和感がないくらいにヤバTらしさを感じさせ、「DQN~」では客席の上方の照明に本当に「DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ」がぶら下がってるという芸の細かさを見せる。
せっかくのワンマンということで、アルバムにも収録されていない曲を、と「Don't stop SNS」の高速ツービートで踊らせまくると、「ZIKKA」ではかつて世間を騒がせた、
「引っ越し!引っ越し!さっさと引っ越し!」
というフレーズの大合唱。まさか現代になってこのフレーズをこんなにたくさんの人と一緒に叫ぶことになるとは。
ここで久しぶりに、バンドの曲によく使われる、大阪の地名などを説明するコーナーを展開すると、メンバーの学生時代の話に。もりもと(ドラム)が
「俺ら喋りすぎちゃう?(笑)」
と突っ込むも、こやまは
「レキシとかもっと喋ってるやん(笑)」
とかわし、
「どんなバンドも、ダレる時はダレる!」
という元も子もないことすらも観客と一緒になって叫んでしまう。
そして学生時代にしばたがデイリーヤマザキでむちゃくちゃ長時間、店内調理のパンを焼いたりして違法労働させられていた話をすると、その店でしばたが呼ばれていたというあだ名「ばたばたしばたさん」をそのままタイトルにした新曲を披露。「デイリーヤマザキ~」というCMの曲のフレーズをそのまま使っているという、デイリーヤマザキのタイアップがつかない限りは音源化することはまず不可能であろう曲だけに、こやまも
「音源化の予定はなし!」
とばっさり。ライブ限定曲となるのだろうか。
そこからは「ウェイウェイ大学生」、間奏部分でしばたが観客にマイクを向ける「天王寺に住んでる女の子」と、なかなか関東に住んでる身としてはリアリティがない大阪の地名などを使った歌詞も、事前の説明のおかげですんなり頭に入ってくる。
しかし、「天王寺に住んでる女の子」のサビなどでメインボーカルを務めるしばたは、かつての歌も演奏もお世辞にも上手いと言えなかったのが、安定感を増してきている。対照的にこやまはなかなか喉がキツそうに感じてしまうところも多かったが。
歌詞の韻の踏み方が絶妙なちょっと切ない「週10ですき家」を終えると、もりもとの
「僕がいて君たちがいる。それだけでいいじゃないか」
というコメントにこやまが
「薄っ!J-POPか!」
とツッコミ、J-POP大好きな(この日も道重さゆみのTシャツを着ていた)しばたにツッコミ返しされる。
そんなやり取りもありつつ、「喜志駅周辺なんもない」からはラストスパートへ。ガムのCMタイアップ曲になっている最新曲「とりあえず噛む」もライブ初披露されたのだが、ロッテのガムのCMなだけに、歌詞に「~しろって」など、「ロッテ」の部分を強調するようなコーラスが入っているあたりは本当に上手い。しかもタイアップという情報がなければ普通に聴ける曲でもある。この辺りはもはや天賦の才を感じると言っても過言ではない。
珍しくこやまの内面をぶちまけたような「反吐でる」から、「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」は、一見そういうバンドをネタにしてるように見えるが、この曲の本質はそこではなく、
「やる気に反するプライドが
いつも僕らの邪魔をするけど
出来る範囲で行けるところまで行こうぜ」
と、自分たちのことを歌っているサビの最後のフレーズである。ヤバTは明確に自分たちの音楽でシーンを変えたいとか、憧れの場所でライブをやりたいということを口にするようなタイプのバンドではない。でも確かにこのバンドには、自身の音楽でやりたいことがある。だからこのバンドはあえて決して流行っていないメロコアという自分たちのルーツであるサウンドでメジャーに進出して勝負をかけている。なかなかそこは見ていても伝わりにくいところではあるけれど。
しばたの「しんきば」でのあいうえお作文も披露されると、「スプラッピ スプラッパ」では元々は児童向けの曲にもかかわらず、激しい左回りのサークルが客席には発生し、こやまのセトリの紙がふやけて見えなくなるくらいの熱気を生み出していく。
実際にこの終盤の盛り上がりは凄まじいものがあり、「無線LAN~」ではオイ!オイ!ではなく
「Wi!」「Fi!」
の斬新過ぎるコール&レスポンスが起き、「ネコ飼いたい」からラストは「どうぶつえんツアー」のリード曲である「ヤバみ」。歌詞には英語が多く使われているが、
「「理解できないものばっかり流行っていく!!!」
いつまで置いていかれちゃってんの」
というフレーズは、「もう最近の若いバンドの音楽が全然わからない」と言ってこのバンドの音楽をスルーしてしまっている、完全に進化した現代の音楽から置いていかれている人たちにこそ聴いてもらいたい。英語と日本語の発語の気持ち良さも含めて、こやまはどれだけ頭がいいんだろうか。
アンコールではまずは集合写真撮影。オープニングで登場したどうぶつも揃っての撮影である。
そして9月に最新シングルと、この日のライブを収録したDVDがリリースされることを発表すると、同じ事務所である10-FEETのTAKUMAに借りたというアコギを使い(借りパクするつもりらしい)、「肩 have a good day」をしっとりと聴かせるが、最後にはこやまがギターを置き、ピンスポットのあたるステージ中央に出てきて、マイクを通さずにアイドルのように歌って合唱を促すという、普通に良い曲としては終わらないこのバンドのひねくれっぷりを存分に感じさせてくれる。
そしてやはり最後はこのバンドの存在を一躍世の中に知らしめた「あつまれ!パーティーピーポー」で銀テープが発射されながら踊らせまくり、もはや灼熱と言ってもいい状態になっていた場内をさらに熱く燃え上がらせ、演奏が終わった3人は真ん中で手を繋いでからステージを去っていった。
確かに楽しいライブだったのは間違いないが、「DQN」というフレーズを先に使った先輩であるキュウソネコカミと比べると、ライブ自体の出来はまだまだだと感じた。どれだけ面白いMCや演出をしても、結局中心にあるのは曲と、3人だけでのシンプルなバンドサウンドである。それはただ単に上手くなればいいというものではないが、とりあえず当面の課題はこやまのボーカルの安定感の向上だろう。そうしたバンドの基礎の部分がしっかりしていれば、先輩の岡崎体育とともに「数年後に消えてると思うアーティスト」に名前が上がりがちな状態を抜け出すことができるはず。
曲は抜群に良い。歌詞も個人的に「この人じゃないと絶対書けない」という点においてはamazarashiと双璧をなすバンド(スタイルは真逆だけど)であると思っているくらいに評価しているし、それを完全に歌詞の面では停滞しているメロコアというサウンドの上でやっているという点で、メロコアの最新進化系にして、新たな可能性を感じさせる存在だと思っているだけに、5年後、10年後までも「出来る範囲でいけるところまで」行って欲しい。まだまだ出てきたばかりなのだし、潜在能力は抜群なだけに、絶対もっとすごいバンドになれる。
1.Tank-top of the world
2.寝んでもいける
3.メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲
4.L・O・V・Eタオル
5.DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
6.Don't stop SNS
7.ZIKKA
8.ばたばたしばたさん
9.ウェイウェイ大学生
10.天王寺に住んでる女の子
11.週10ですき家
12.喜志駅周辺なんもない
13.とりあえず噛む
14.反吐でる
15.流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い
16.スプラッピ スプラッパ
17.無線LAN有線LANよりバリ便利
18.ネコ飼いたい
19.ヤバみ
encore
20.肩 have a good day
21.あつまれ!パーティーピーポー
ヤバみ
https://youtu.be/329F4L9ATcw
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