amazarashi Live Tour 2017 「メッセージボトル」 @豊洲PIT 6/3
- 2017/06/03
- 23:19
今年3月に初のベストアルバム「メッセージボトル」をリリースした、amazarashi。もうベストアルバムを出せるキャリアになったのか、ということに驚いてしまうが、収録曲の並び的には確かにベストであると実感せざるを得ない。
amazarashiはライブを始めてから(デビュー当初はリリース→ツアーという流れはまだ確立されていなかった)すぐに渋谷公会堂までたどり着いただけにもはやホール、昨年の幕張メッセのようにアリーナクラスでもライブをやることの方が多いが(それはamazarashiのライブの演出が広いステージだからこそ映えるという要素もあったはず)、今回のツアーは4月の初日のZepp Tokyoを始め、ライブハウス中心。この日の豊洲PITはかつて3Dライブを行った場所でもあり、タイミング的には追加公演の中野サンプラザに加えて北海道がメンバーの体調不良により振替になったため、ツアーの終盤戦。
18時を少し過ぎた頃、場内が暗転するとステージに張られた紗幕に映し出されたのは、苺が次々に刻まれたり潰されたりしていく映像。その映像の奥にかすかに見えるメンバーのシルエットと、詩を次々に口にしていく秋田ひろむ。そのまま「メッセージボトル」に収録された新曲「ヒーロー」で、もはやラウドと言ってもおかしくないくらいのバンドサウンドを響かせる。紗幕には歴代のMVのコラージュや登場人物たちのプロット的な画像が次々に映し出され、ベストというこれまでの総括的な作品に収録されたという事実が浮かび上がってくる。
「青森から来た、amazarashiです。よろしくお願いします!」
という秋田の挨拶の後に演奏されたのは、ステージ背後の照明がメンバーの姿をくっきりと映し出す「ヨクト」。なかなかこの流れで演奏されるのは意外に感じる曲だったが、雑音のようなイントロから夜の首都高を疾走する映像が映し出された、
「不良になる為には、まず良い人間にならなければ
家出する為には、まず家に住まなければ」
というフレーズがまさに芯を得たりと思わせる「タクシードライバー」、まるでステージそのものが燃えているのかと思うような演出の「ワンルーム叙事詩」とライブではおなじみの曲が続くのだが、「ワンルーム叙事詩」のアウトロ部分でサビをもう一回繰り返すように自らの燃えてしまって欲しいものを羅列した秋田が
「奇跡を願う浅ましさも」
と言って次の瞬間には「奇跡」が始まって歌詞の数々が紗幕に投射されていくという演出は実に鮮やかで、MCもなしに曲を連発していくamazarashiならではのスタイルとも言える。
また秋田はところどころ歌詞が飛ぶところもあるが、やはり歌声は非常に伸びがあり、ツアーを経てきたバンドのサウンドも実に力強い。言葉や映像に説得力を持たせるのはこうした音楽としての基礎の部分がしっかりしているからである。
不穏なサウンドスケープと歌詞が不穏な映像を呼び起こしながら、
「-これは全部想像だ、今日、電車に飛び込んだ男についての」
と帰着する「メーデーメーデー」は言葉数が多いamazarashiの曲の中でも情報量はトップクラスで、もはや高速ラップと比較しても遜色ないレベル。
そんな不穏な空気から一転して、紗幕に絵を飾る額縁が描かれた中で演奏されたのは、若い絵描きの物語である「無題」。絵描きを歌うたいに変換すれば、それはそのままamazarashiの物語になるのではないかとも思うが、いつかこの曲を題材にした短編映画を見てみたい、と思うのは自分だけではないはず。それくらいにこの曲は聴いていると頭の中で映像が浮かんでくるし、何よりも
「信じてたこと 正しかった」
とamazarashiの音楽に対して思わせてくれる。
秋田がライブならではのポエトリーリーディングをしてから演奏されたのは、「メッセージボトル」に新録バージョンが収録された「つじつま合わせに生まれた僕等」。映像も従来のものから、秋田が本に囲まれた部屋(「スターライト」の元ネタである「銀河鉄道の夜」から「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」まで、秋田の人生を形作ったと思われるタイトルが並ぶ)の中で雨に濡れながら歌うものに変わっているのだが、歌詞のメッセージ性からして、この曲がamazarashiの軸であるという思いがあるからこそ、数ある曲の中でもこの曲を新録してベストアルバムに収録したのだろう。
「無題」同様に頭の中で歌詞が映像化されていく、残酷とも言える青春を描いた「少年少女」(初期はこうした1曲で物語を描いた曲が多い)から、曲終わりに紗幕にバンドロゴが映し出されて、ここから再びライブが始まるのかと思わされる(実際、フェスではこの曲から始まるパターンが多い)「後期衝動」から連なるように、歌詞の単語がレイヤーと絡まりあっていく映像(女性が生肉を口にしていくバージョンもあるが、ワンマンではあまり使われていないイメージ)の「季節は次々死んでいく」では、曲の最後に
「季節は次々生き返る」
と映し出されたフレーズを
「明日は次々生き返る」
と歌った。この日、確かに秋田は歌詞が飛ぶところも多々あったが、これはあえてそう歌ったのだと思う。それはかつての自分自身のように明日に希望を見出せなかった人たちの明日を照らすかのように。
バンドのマスコットキャラがリリースからかなりの時間を経ても強烈なインパクトを残すMVの「夏を待っていました」からは一転して、なんの映像も演出もなく、ただただ演奏しているメンバーの姿のみ(とは言ってもやはり顔はよく見えないが)というむき出しの形で披露されたのは、秋田が亡くなった友人に向けて作った「ひろ」。タイトルはその友人のものだし、「スターライト」の物語の中でもその友人の死は核心的な部分を担っていただけに、この曲にだけは他のイメージをつけることなく、ただただ曲のみを聴いて欲しいという意味でのこうした演奏形態なのだろうか。
秋田のボーカルと豊川真奈美のピアノのみで構成された、秋田の怠惰と怒りが並んだかのようなポエトリーリーディング曲「しらふ」から、ライブではおなじみの「美しき思い出」。
「忘れたいこと 忘れたくないこと」
アウトロでの強烈なギターノイズを浴びながら、自分の人生は果たしてどちらの方が多かっただろうか?と考えさせられる。結局いつも答えは出ないのだが。
「ベストアルバムを出して、こうしてツアーを廻ってきましたが、なかなか波乱万丈のツアーになりまして。でもこれを乗り越えたら、バンドとしてさらに強くなれると思っています。今日、ここに辿り着けて本当に良かったです」
と秋田が出羽良彰(プロデューサーにしてライブでのギタリスト)の体調不良でのライブ延期すらもポジティブに捉えているかのようなこの日唯一のMCを放つと、「あと2曲」と言った直後に演奏された1曲は未発表の新曲「たられば」。
「もし僕が天才だったら1作だけ名作を作ってお金を儲けて 死ぬまで遊んで暮らす」
「もし僕が王様だったら気にくわない奴を全て消し去る」
という歌詞の主題自体はこれまでにRADWIMPSの「マニフェスト」やThe Mirraz「神になれたら」など、ロックシーンでも数々歌われてきたテーマではあるが、
「もし僕がミュージシャンになれたら言葉にならない言葉を紡いでメロディに乗せる なんて思ってたっけな」
というフレーズは、実際にそれを自らの曲にしてきた秋田が歌うからこそ説得力があるし、
「もし生まれ変われたら もう一度僕をやってみる 後悔や失敗のないように
でもそれは本当に僕なのか?」
というフレーズはこれまでに重ねてきた数々の失敗や後悔も今の自分を形成している要素である、という光も闇も含めて徹底的に人間そのものを描いてきたamazarashiだから歌える曲。amazarashiの曲はこうして秋田ひろむでなければ、amazarashiでなければ歌えない曲しかない。だからこうした一般的には「暗い」と言われるようなロックの中でもamazarashiは飛び抜けた規模の人たちに響いてきた。この曲はきっと今までamazarashiを聴いてきた人たちには一聴しただけで刺さる。実際、自分はこの日初めてこの曲を聴いて、こうして歌詞の断片を覚えてしまうくらいに刺さった。
そして秋田の力強いポエトリーリーディングから最後に演奏されたのは、最新シングル「命にふさわしい」。映像は人形が次々に潰されたり壊されたりしていくというMVが使われていたが、シングルに同梱されていた小説はその人形を製造している工場が重要な役割を果たす、ロボットが主人公の物語(ロボットが主人公とはいえ、心を持った存在であるという意味ではこれまで通りに人間を描いたものであるともいえる)であり、それも実に素晴らしいものであったため、いつかはその物語を主軸にしたライブも見てみたい。
ホールよりもはるかに大きな拍手、それは人が密集したライブハウス特有のものであるが、それが鳴り響く中でメンバーがステージから姿を消すと、紗幕にはロゴが映し出された中、「メッセージボトル」に同梱された自主制作CD収録の「未来づくり」が終演SEとして流れた。
今ほど上手くはないが、だからこそ蒼さを感じさせる秋田の歌とアコギ、豊川のピアノのみというもともとのamazarashiのスタイルといえるバージョン。きっと、2人にはいつでもこの形に戻れるという覚悟があるからこそ、今回この原点といえるバージョンをベストアルバムに収めたのだと思う。「千年幸福論」のバンドアレンジも素晴らしかったが、いつかはこの形でもライブで聴いてみたいとさえ思える。
そして今のタイミングで他に聴きたいのは、アジカントリビュートでカバーした「夏の日、残像」と、「命にふさわしい」のカップリングに秋田ひろむボーカルバージョンが収録されたが、もともとは「虚無病」のアナザーストーリーで女性ボーカルバージョンが収録されていた「数え歌」。果たして、追加公演の中野サンプラザでは聴けるだろうか。
「楽しい」という感情や一体感が一切ないamazarashiのライブになぜ毎回足を運ぶのか。それはどんな人でも結局はひとりであるということを突きつけられ、それは同時に生きているという実感そのものだからである。これだけライブに行きまくっていても未だにはっきりとした顔は見たことないが、そう思わせてくれる秋田ひろむは紛れもなく「ヒーロー」である。
1.ポエジー
2.ヒーロー
3.ヨクト
4.タクシードライバー
5.ワンルーム叙事詩
6.奇跡
7.メーデーメーデー
8.無題
9.つじつま合わせに生まれた僕等
10.少年少女
11.後期衝動
12.季節は次々死んでいく
13.夏を待っていました
14.ひろ
15.しらふ
16.美しき思い出
17.たられば
18.命にふさわしい
ヒーロー
https://youtu.be/bgal_zCI1VQ
Next→ 6/11 9mm Parabellum Bullet @神奈川県民ホール
amazarashiはライブを始めてから(デビュー当初はリリース→ツアーという流れはまだ確立されていなかった)すぐに渋谷公会堂までたどり着いただけにもはやホール、昨年の幕張メッセのようにアリーナクラスでもライブをやることの方が多いが(それはamazarashiのライブの演出が広いステージだからこそ映えるという要素もあったはず)、今回のツアーは4月の初日のZepp Tokyoを始め、ライブハウス中心。この日の豊洲PITはかつて3Dライブを行った場所でもあり、タイミング的には追加公演の中野サンプラザに加えて北海道がメンバーの体調不良により振替になったため、ツアーの終盤戦。
18時を少し過ぎた頃、場内が暗転するとステージに張られた紗幕に映し出されたのは、苺が次々に刻まれたり潰されたりしていく映像。その映像の奥にかすかに見えるメンバーのシルエットと、詩を次々に口にしていく秋田ひろむ。そのまま「メッセージボトル」に収録された新曲「ヒーロー」で、もはやラウドと言ってもおかしくないくらいのバンドサウンドを響かせる。紗幕には歴代のMVのコラージュや登場人物たちのプロット的な画像が次々に映し出され、ベストというこれまでの総括的な作品に収録されたという事実が浮かび上がってくる。
「青森から来た、amazarashiです。よろしくお願いします!」
という秋田の挨拶の後に演奏されたのは、ステージ背後の照明がメンバーの姿をくっきりと映し出す「ヨクト」。なかなかこの流れで演奏されるのは意外に感じる曲だったが、雑音のようなイントロから夜の首都高を疾走する映像が映し出された、
「不良になる為には、まず良い人間にならなければ
家出する為には、まず家に住まなければ」
というフレーズがまさに芯を得たりと思わせる「タクシードライバー」、まるでステージそのものが燃えているのかと思うような演出の「ワンルーム叙事詩」とライブではおなじみの曲が続くのだが、「ワンルーム叙事詩」のアウトロ部分でサビをもう一回繰り返すように自らの燃えてしまって欲しいものを羅列した秋田が
「奇跡を願う浅ましさも」
と言って次の瞬間には「奇跡」が始まって歌詞の数々が紗幕に投射されていくという演出は実に鮮やかで、MCもなしに曲を連発していくamazarashiならではのスタイルとも言える。
また秋田はところどころ歌詞が飛ぶところもあるが、やはり歌声は非常に伸びがあり、ツアーを経てきたバンドのサウンドも実に力強い。言葉や映像に説得力を持たせるのはこうした音楽としての基礎の部分がしっかりしているからである。
不穏なサウンドスケープと歌詞が不穏な映像を呼び起こしながら、
「-これは全部想像だ、今日、電車に飛び込んだ男についての」
と帰着する「メーデーメーデー」は言葉数が多いamazarashiの曲の中でも情報量はトップクラスで、もはや高速ラップと比較しても遜色ないレベル。
そんな不穏な空気から一転して、紗幕に絵を飾る額縁が描かれた中で演奏されたのは、若い絵描きの物語である「無題」。絵描きを歌うたいに変換すれば、それはそのままamazarashiの物語になるのではないかとも思うが、いつかこの曲を題材にした短編映画を見てみたい、と思うのは自分だけではないはず。それくらいにこの曲は聴いていると頭の中で映像が浮かんでくるし、何よりも
「信じてたこと 正しかった」
とamazarashiの音楽に対して思わせてくれる。
秋田がライブならではのポエトリーリーディングをしてから演奏されたのは、「メッセージボトル」に新録バージョンが収録された「つじつま合わせに生まれた僕等」。映像も従来のものから、秋田が本に囲まれた部屋(「スターライト」の元ネタである「銀河鉄道の夜」から「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」まで、秋田の人生を形作ったと思われるタイトルが並ぶ)の中で雨に濡れながら歌うものに変わっているのだが、歌詞のメッセージ性からして、この曲がamazarashiの軸であるという思いがあるからこそ、数ある曲の中でもこの曲を新録してベストアルバムに収録したのだろう。
「無題」同様に頭の中で歌詞が映像化されていく、残酷とも言える青春を描いた「少年少女」(初期はこうした1曲で物語を描いた曲が多い)から、曲終わりに紗幕にバンドロゴが映し出されて、ここから再びライブが始まるのかと思わされる(実際、フェスではこの曲から始まるパターンが多い)「後期衝動」から連なるように、歌詞の単語がレイヤーと絡まりあっていく映像(女性が生肉を口にしていくバージョンもあるが、ワンマンではあまり使われていないイメージ)の「季節は次々死んでいく」では、曲の最後に
「季節は次々生き返る」
と映し出されたフレーズを
「明日は次々生き返る」
と歌った。この日、確かに秋田は歌詞が飛ぶところも多々あったが、これはあえてそう歌ったのだと思う。それはかつての自分自身のように明日に希望を見出せなかった人たちの明日を照らすかのように。
バンドのマスコットキャラがリリースからかなりの時間を経ても強烈なインパクトを残すMVの「夏を待っていました」からは一転して、なんの映像も演出もなく、ただただ演奏しているメンバーの姿のみ(とは言ってもやはり顔はよく見えないが)というむき出しの形で披露されたのは、秋田が亡くなった友人に向けて作った「ひろ」。タイトルはその友人のものだし、「スターライト」の物語の中でもその友人の死は核心的な部分を担っていただけに、この曲にだけは他のイメージをつけることなく、ただただ曲のみを聴いて欲しいという意味でのこうした演奏形態なのだろうか。
秋田のボーカルと豊川真奈美のピアノのみで構成された、秋田の怠惰と怒りが並んだかのようなポエトリーリーディング曲「しらふ」から、ライブではおなじみの「美しき思い出」。
「忘れたいこと 忘れたくないこと」
アウトロでの強烈なギターノイズを浴びながら、自分の人生は果たしてどちらの方が多かっただろうか?と考えさせられる。結局いつも答えは出ないのだが。
「ベストアルバムを出して、こうしてツアーを廻ってきましたが、なかなか波乱万丈のツアーになりまして。でもこれを乗り越えたら、バンドとしてさらに強くなれると思っています。今日、ここに辿り着けて本当に良かったです」
と秋田が出羽良彰(プロデューサーにしてライブでのギタリスト)の体調不良でのライブ延期すらもポジティブに捉えているかのようなこの日唯一のMCを放つと、「あと2曲」と言った直後に演奏された1曲は未発表の新曲「たられば」。
「もし僕が天才だったら1作だけ名作を作ってお金を儲けて 死ぬまで遊んで暮らす」
「もし僕が王様だったら気にくわない奴を全て消し去る」
という歌詞の主題自体はこれまでにRADWIMPSの「マニフェスト」やThe Mirraz「神になれたら」など、ロックシーンでも数々歌われてきたテーマではあるが、
「もし僕がミュージシャンになれたら言葉にならない言葉を紡いでメロディに乗せる なんて思ってたっけな」
というフレーズは、実際にそれを自らの曲にしてきた秋田が歌うからこそ説得力があるし、
「もし生まれ変われたら もう一度僕をやってみる 後悔や失敗のないように
でもそれは本当に僕なのか?」
というフレーズはこれまでに重ねてきた数々の失敗や後悔も今の自分を形成している要素である、という光も闇も含めて徹底的に人間そのものを描いてきたamazarashiだから歌える曲。amazarashiの曲はこうして秋田ひろむでなければ、amazarashiでなければ歌えない曲しかない。だからこうした一般的には「暗い」と言われるようなロックの中でもamazarashiは飛び抜けた規模の人たちに響いてきた。この曲はきっと今までamazarashiを聴いてきた人たちには一聴しただけで刺さる。実際、自分はこの日初めてこの曲を聴いて、こうして歌詞の断片を覚えてしまうくらいに刺さった。
そして秋田の力強いポエトリーリーディングから最後に演奏されたのは、最新シングル「命にふさわしい」。映像は人形が次々に潰されたり壊されたりしていくというMVが使われていたが、シングルに同梱されていた小説はその人形を製造している工場が重要な役割を果たす、ロボットが主人公の物語(ロボットが主人公とはいえ、心を持った存在であるという意味ではこれまで通りに人間を描いたものであるともいえる)であり、それも実に素晴らしいものであったため、いつかはその物語を主軸にしたライブも見てみたい。
ホールよりもはるかに大きな拍手、それは人が密集したライブハウス特有のものであるが、それが鳴り響く中でメンバーがステージから姿を消すと、紗幕にはロゴが映し出された中、「メッセージボトル」に同梱された自主制作CD収録の「未来づくり」が終演SEとして流れた。
今ほど上手くはないが、だからこそ蒼さを感じさせる秋田の歌とアコギ、豊川のピアノのみというもともとのamazarashiのスタイルといえるバージョン。きっと、2人にはいつでもこの形に戻れるという覚悟があるからこそ、今回この原点といえるバージョンをベストアルバムに収めたのだと思う。「千年幸福論」のバンドアレンジも素晴らしかったが、いつかはこの形でもライブで聴いてみたいとさえ思える。
そして今のタイミングで他に聴きたいのは、アジカントリビュートでカバーした「夏の日、残像」と、「命にふさわしい」のカップリングに秋田ひろむボーカルバージョンが収録されたが、もともとは「虚無病」のアナザーストーリーで女性ボーカルバージョンが収録されていた「数え歌」。果たして、追加公演の中野サンプラザでは聴けるだろうか。
「楽しい」という感情や一体感が一切ないamazarashiのライブになぜ毎回足を運ぶのか。それはどんな人でも結局はひとりであるということを突きつけられ、それは同時に生きているという実感そのものだからである。これだけライブに行きまくっていても未だにはっきりとした顔は見たことないが、そう思わせてくれる秋田ひろむは紛れもなく「ヒーロー」である。
1.ポエジー
2.ヒーロー
3.ヨクト
4.タクシードライバー
5.ワンルーム叙事詩
6.奇跡
7.メーデーメーデー
8.無題
9.つじつま合わせに生まれた僕等
10.少年少女
11.後期衝動
12.季節は次々死んでいく
13.夏を待っていました
14.ひろ
15.しらふ
16.美しき思い出
17.たられば
18.命にふさわしい
ヒーロー
https://youtu.be/bgal_zCI1VQ
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