METROCK 2017 day2 @若洲公園 5/21
- 2017/05/22
- 19:20
2日目。前日も暑かったが、この日は真夏日を記録したということで完全に夏フェスの様相。朝は前日と同じ時間だったのにシャトルバスの並びが空いていたのは、フェスだと物販が一瞬で売り切れるというWANIMAが出るからか、それとも話題性的には間違いなく今年No.1の関ジャニ∞が出るからか。どちらにせよ全体的に始動が早いイメージ。
11:30~ キュウソネコカミ [WINDMILL FIELD]
3年前にNEW BEAT SQUAREに初出演した時から、このフェスでも伝説的なライブを毎回行ってきた、キュウソネコカミ。2年連続でのWINDMILL FIELDへの出演。
いつものようにかなり早い時間からメンバー全員が出てきての本気のリハを開始するのだが、巨大風車があるこのフェスではおなじみの、セイヤが風車のコスプレで登場するも、頭につけた風車部分が取れてしまい、ただの白タイツ姿の変態みたいな姿になってしまう。その状態で「良いDJ」をリハするも、風車を新たな手法で表現するため、同じく白タイツ姿のはいからさん(マネージャー)にセイヤがジャイアントスイングされるという確実に誰もやったことがないパフォーマンスを見せる。しかし、やはりこれは体力の消耗が激しすぎるということで、いつもより早々とリハは終了。
この日も、METROCKが1番好きだというテレ朝の女子アナの前説の後にメンバーが登場するのだが、SEはこのフェスではおなじみの「ミュージックステーションのテーマ」で、
「絶対もう1回Mステ出てやるからな!」
とセイヤが宣言して、そのMステ出演時に披露して、メンバーの曲中の早着替えも話題になった「MEGA SHAKE IT!」からスタート。さすがにハウスミュージックのくだりの振り付けも観客みんなバッチリで、これだけたくさんの人がこの振り付けをしているというのは壮観である。
テレ朝の女子アナが前説で
「スマホはもはや俺の臓器!」
というこの曲のフレーズを引用した「ファントムバイブレーション」から、
「この前、テレ朝の関ジャムでレキシ特集やってたんやけど、俺らのことを全くいじらなかった!いじれや池田ー!」
とコラボしたにもかかわらずスルーされてしまった怒りをぶつけるかのように、前日はレキシが演奏した「KMTR645」を演奏。
「よく見りゃペディグリー」
のフレーズでしっかりペディグリーの袋を用意しているという芸の細かさも見せ、間奏ではオカザワがはいからさんに肩車された状態でギターソロを弾くという風車プレイも。
現在CMで絶賛オンエアされまくっている「家」を演奏すると、
「Abema TVをご覧の皆さん、アンチコメント書き込んでますかー!」
などと煽りながら、観客にコール&レスポンスで「イェー!」と言わせてもう1回「家」をやるというムチャクチャっぷりから、
「1番アンチコメントきそう」
という新曲「NO MORE 劣化実写化」を披露。タイトルの通りに原作漫画を映画などで実写化するのを皮肉った、キュウソらしい毒ソングだが、間奏部分にセイヤとヨコタの語りが入り、それがことごとく
「それは大人の事情だよ」
で片付けられてしまうという、テレビでオンエアできるのかというような内容。しかし最終的には
「けどなんやかんやで面白かったりする」
という、ディスだけではない方向に落ち着く。
そして「DQNなりたい~」ではなく、この日は「お願いシェンロン」で筋斗雲を持ち出してセイヤが客席に突入していく。なかなか一歩目からセイヤを支えきれていない客席に対して、
「どうしたー!関ジャニファンはそんなもんかー!」
と鼓舞しながら、客席が安定するのをだいぶ待つことに。
そんな時間ギリギリでもしっかり曲はやり切るとばかりに、「ハッピーポンコツ」だけでは終わらず、「ウィーワーインディーズバンド!!」までやってみせた。
JAPAN JAMでのひたすらにエモかったライブとは対極と言っていい、キュウソのエンターテイナーサイドに振り切ったようなライブ。ほとんど持ち時間が同じにもかかわらず、こうして全然違うライブができるのは、キュウソの観察眼と対応力、メンバーの演奏力と表現力があるからこそ。もう毎週ライブ見ても絶対飽きることはないと思う。
1.MEGA SHAKE IT!
2.ファントムバイブレーション
3.KMTR645
4.家
5.家
6.NO MORE 劣化実写化
7.お願いシェンロン
8.ハッピーポンコツ
9.ビビった
10.ウィーワーインディーズバンド!!
MEGA SHAKE IT!
https://youtu.be/yCex2gTH_cQ
12:10~ 忘れらんねえよ [NEW BEAT SQUARE]
このフェスには初出演であるが、かつてROCKS TOKYO時代にこのステージに立っている、忘れらんねえよ。(ステージの向きは逆だが)
会場に[Alexandros]の「ワタリドリ」が流れ始めると、
「客席の後ろから失礼します!」
という声が聞こえ、PAブースに柴田の姿が。
「俺をワタリドリのようにステージに連れて行ってくれー!」
と観客に運ばれながらステージへ。ベースの梅津、サポートメンバーのマシータ(ドラム)とタナカヒロキ(ギター、LEGO BIG MORL)の4人で「SEXY」ジャンプを決め、
「THANK YOU!」「SEX!」
のコール&レスポンスから、「ばかもののすべて」でスタート。
「こんにちは、星野源です!」
と自己紹介で嘯くも、タナカが入ったことでバンドの音に厚みが増し、しばしばギターを弾かないでパフォーマンスに徹することもある柴田の代わりにギターの音を途切れさせることはない。
「ばかばっか」の間奏ではおなじみの柴田が観客に運ばれながらPAブースの前まで行ってビールを受け取り、観客に支えられながらビールを一気飲み。
そんなパフォーマンスにばかり目が行きがちだが、最新曲「スマートなんかなりたくない」、観客全員と一緒にバンドがやりたいと語る「バンドやろうぜ」と、忘れらんねえよの芯の部分であるエモさを発揮。
柴田がアコギに持ち替えながら、観客に
「お前ら男はみんな童貞だろ!(笑)」「処女のやつはいるのか!(笑)」
と問いかけ、
「よく手を挙げられるな(笑)」
と笑わせながら、最後に演奏されたのはこの日が初披露となる新曲「いい人どまり」。タイトルを言った瞬間には失笑も起こっていたが、「犬にしてくれ」などと同様の、切なさを感じさせる、忘れらんねえよならではのラブソング。柴田がアコギを弾いていられるのはタナカがエレキを弾いているのも大きいのだろう。
気付けば最終的には客席は大入り。メンバーがステージから去っても拍手が響いているという、面白いパフォーマンスとエモさを兼ね備えたライブに対する賞賛が見てとれた。
ROCKS TOKYOに出た5年前からステージが変わらないという状況はもどかしさも感じるが、Zeppに続いて野音でもワンマンを行い、この日発表されたツレ伝ツアーも開催されるなど、少しずつではあるが確実に前進している。でも、仲間のバンドたちにはメインステージに出てるバンドも多いだけに、早くもっと大きいステージに行きたいだろうなぁ。
1.ばかもののすべて
2.犬にしてくれ
3.ばかばっか
4.スマートなんかなりたくない
5.バンドやろうぜ
6.いい人どまり
スマートなんかなりたくない
https://youtu.be/zKMw_AvNpCA
13:00~ KANA-BOON [WINDMILL FIELD]
一時は活動そのものが危ぶまれたが、今年は春フェスにひたすら参加しては元気な姿を見せている、KANA-BOON。今となっては想像もできないが、初出演時はデビュー直後にNEW BEAT SQUAREへの出演であった。
SEなしでメンバーが出てきて
「こんにちは、KANA-BOONです」
と谷口鮪が挨拶するのはいつも通りだが、この日は普段終盤、あるいは最後に演奏する「シルエット」からスタートするという意表の突き方。しかも1曲目からこんなに難しい曲を歌っているのに、鮪のハイトーンボイスは実に安定している。やはりこの男は本当に歌が上手い。
日焼け必至なこの日の暑さにぴったりな、アネッサのCMソングであったポップな「なんでもねだり」から一転してシリアスな「Fighter」へというジェットコースターみたいな流れだが、前日に出演したSPYAIRとこのKANA-BOONがほとんど同じ時間に同じアニメのオープニングテーマを歌っているというのも偶然ではないものを感じる。
「1.2. step to you」「フルドライブ」と疾走感溢れる4つ打ちロックで踊らせまくると、
「そろそろお腹空いたんじゃないですか?聴いてください、チャーハン」
ともはや曲タイトルすら言わなくなるくらいにチャーハンのイメージが定着した「ないものねだり」、今月ライブで聴くのは3回目だが、時期的に来年までもうライブでは聴けないだろうなという感傷を爆発させるかのようにエモーショナルな「さくらのうた」とキラーチューンを連発させると、
「めしだが元気そうで良かった(笑)」
と例のニュースに触れながら、また一から音楽をやっていくという決意を語り、その決意をそのまま曲にしたかのような新曲「バトンロード」へ。誠実に観客に向き合うバンドに対して野次ったり茶化したりするような人は全くおらず、めしだに対しても暖かい拍手が送られていた。春フェスすべてでこうして例のニュースについて自分たちの口で語り、そこから決して逃げたり目を背けたりしない姿勢は、見た目以上に本当に男らしい。これからこの経験を経て、このバンドはもっと大きくなるはず。
そして春フェスで3回ライブを見たが、3回すべてセトリを変えていた。かつてスペシャの特番でファンとミーティングをした際に、ファンから
「なんでKANA-BOONはセトリを全然変えないのか」
と言われたりもしていたが(もちろんこれはライブに行きまくってる人からの愛ある意見)、もうそうしたことを言われることもないだろうし、そうメンバーに問いかけた人も、これだけ毎回セトリを変えたライブをしてくれたら、これまで以上にライブを見に行きたいという気持ちになるはず。
1.シルエット
2.なんでもねだり
3.Fighter
4.1.2. step to you
5.フルドライブ
6.ないものねだり
7.さくらのうた
8.バトンロード
Fighter
https://youtu.be/X9-ouDEL_-U
13:50~ 夜の本気ダンス [SEASIDE PARK]
去年はNEW BEAT SQUAREのトリとしてバンド名通りに夜に踊らせまくった、夜の本気ダンス。今年はSEASIDE PARKに進出し、昼の時間に登場。
すでに超満員の観客の前に、登場時からやたらとテンションの高い鈴鹿(ドラム)が、
「踊れる準備は出来てますかー!」
と米田のキメ台詞を先に叫び、「WHERE?」からキレ味鋭いダンスロックでガンガン踊らせていく。前日も激しいバンドが出たりしていたが、ひたすらに高速BPMのダンスロックを繰り出しまくるというスタンスを考えると、二日間で最も体力を消耗するアクトはこのバンドなんじゃないかと思ってしまう。
そんな中、最新曲「SHINY」は夜だけではなく、こうした快晴の昼の野外で聴くのがこれまでの持ち曲の中で1番似合うと思う曲。そしてこれまではどちらかというと海外のロックバンド的なサウンドだったのが、どことなく日本のバンドだからこその歌謡性を感じさせるようにもなっているのも変化を感じさせる。
「先週の大阪は「大阪レイニーブルース」っていうくらいに雨降ってたのに東京は快晴やん!
去年、あの風車は俺たちと君たちの熱さで回ってるって言ったけど、昨日も回ってたのは去年の俺たちの余韻で回ってたんやー!サカナクションのファンの人たちは「多分、風。」で回ってると思ってるだろうけど!(笑)」
と、この日の出演者の曲名を上手く取り入れた、芸人みたいな鈴鹿のMCから、「fuckin' so tired」では米田がハンドマイクでネクタイを外して色気をさらに増幅させて、自らも踊りまくりながら歌い、ラストの「戦争」では観客をいったん全員しゃがませてから一斉にジャンプさせて、最大級の盛り上がりを生み出してみせた。この曲はライブでは完全におなじみな曲だが、持ち曲が増えてもセトリから外れることがないのは、こうしたパフォーマンスもあるが、再び北朝鮮からミサイルが発射されたりという社会情勢に対する
「マジで マジで 来ないで戦争」
というバンド側の意思の表明でもあるのか、というのは考えすぎなのだろうか。
1.WHERE?
2.Crazy Dancer
3.SHINY
4.By My Side
5.fuckin' so tired
6.戦争
SHINY
https://youtu.be/6idlVhWIWAE
14:30~ SHISHAMO [WINDMILL FIELD]
4年目の出演にして、初めてメインのWINDMILL FIELDにたどり着いた、SHISHAMO。メンバーが登場するなり、フェスTを着た宮崎朝子(個人的にロック界1フェスTが似合う女子)がテンション高く「METROCK!」と何度も叫び、最新アルバム収録の「好き好き!」からスタート。
セトリ自体は同じく初のメインステージ出演だったVIVA LA ROCKと変わらないが、「量産型彼氏」や「僕に彼女ができたんだ」での作り込まれた映像がモニターに映し出されるというのはバンドの魅力を余すところなく伝えることができるので、この大きなステージに出ることによってようやく楽曲の真価をフルに発揮できている。
宮崎の妄想ストーリーの極致と言える「きっとあの漫画のせい」ではアジカンを彷彿とさせるギターサウンドが鳴り響き、MCでは
「男子!」「女子!」「中学生!」「高校生!」「大学生!」「大人!」「家族連れ!」
とこの会場の客層をリサーチしてくれるのだが、
「カップルで来た人?」
の部分だけやたらとテンションが低く、自分で聞いておいて手を挙げた人たちに対して舌打ちするというドSっぷりも面白い。
そんなやり取りを経たからこそ、真夏日というのもあってシチュエーション的にこの曲が似合い過ぎる「君と夏フェス」は他のどの曲よりも響いたし、可愛いアニメーションの映像が流れる「タオル」では文字どおりにグルグルとタオルが回りまくり、最後は華やかなホーンの音が入った最新アルバムのリード曲「明日も」で、見ていた人をみな、明日からまた日常を頑張ろうという気分にさせてくれた。
もはや余裕で武道館クラスでワンマンをやっているだけあって、この大きなステージが本当によく似合うバンドになった。デビュー時に演奏の弱さを指摘されていたのも、もう遠い昔のことのよう。
1.好き好き!
2.量産型彼氏
3.僕に彼女ができたんだ
4.きっとあの漫画のせい
5.君と夏フェス
6.タオル
7.明日も
明日も
https://youtu.be/zhCtzmDWsN0
15:20~ Suchmos [SEASIDE PARK]
最新アルバム「THE KIDS」が大ヒットを記録し、新たなシーンの担い手として現在大ブレイク中のSuchmos。去年のNEW BEAT SQUAREから今年はSEASIDE PARKに進出。
波の音が聞こえてくるようなSEで、すでに超満員の観客を前にメンバーが登場すると、
「俺たちが地元湘南から持ってきたのは、この風と波の音!」
とYONCEが言い、まさにその湘南の空気感を音にしたような雄大な「Pacific」で音に浸らせる。
「隣にいる人を、自分のように、自分のことのように思おう!」
というYONCEなりのフェス観には大きな拍手が上がり、「YMM」で横ノリのビートに乗らせると、抜群の歌唱力を見せつけているYONCEが
「せっかく集まったんだから、もっと汗をかこうぜ!」
というクールなイメージからは想像しがたい熱い言葉を投げかけると、車のCMソングとして大ヒットした、
「ブランド着てる奴 もうGood night」
「広くて浅い奴 もうGood night」
というキラーフレーズが連発される、お待ちかねの「STAY TUNE」で踊らせまくり、
「みんなのこれからの無事を祈って」
と言って演奏された「MINT」で、あっという間に終了。
2日間通しても確かにこうしたサウンドのスタイルのバンドは異彩を放っているし、それでこれだけ超満員にしているのは本当にすごい。
しかし、たった4曲、時間にすると27~8分という巻き過ぎな内容だったのは少し疑問符がつく。SPECIAL OTHERSみたいに全部が全部8~10分の曲ばかりというわけでもないし、持ち時間を考えたらもう2曲、最低でももう1曲はやれたはず。ただでさえ「STAY TUNE」が聴きたくて集まった人も多かったはず(実際、「STAY TUNE」が終わって抜けていく人もかなりいた)なだけに、4曲だけではなかなか「STAY TUNE」以外のインパクトは残らない。自分は初めてこのバンドのライブをちゃんと見たが、そう思えてしまった。調べたらビバラの時もそんな感じだったらしいので、今回に限った話ではなさそうだが、なにか理由があるのだろうか。
1.Pacific
2.YMM
3.STAY TUNE
4.MINT
STAY TUNE
https://youtu.be/PLgYflfgq0M
16:00~ Cocco [WINDMILL FIELD]
今年、デビュー20周年を迎えて新たなベスト盤をリリースし、7月には記念碑的な日本武道館2daysも控えた歌姫、Cocco。このフェスには初出演である。
先にバンドメンバーが登場して音を奏で始めると、花束を抱えてCoccoが登場し、歌い始めたのは故郷である沖縄のことを歌った「ジュゴンの見える丘」。歌が上手いというのはもちろんだが、やはりこの人が歌い始めると一気に空気が変わるというか、もうその歌っている姿から一瞬足りとも目が離せなくなってしまう。デビュー時から周りの歌姫的なポジションの人に比べると神格化された存在だったが、その魔力みたいなものは今なお全く変わっていない。
イントロが演奏されただけで歓声が上がったのは代表曲的な存在である「強く儚い者たち」。この曲はライブでも毎回聴けるが、本当に今でも名曲だと思うし、熟練のバンドメンバーたちの押し引きを心得た演奏も素晴らしい。
「沖縄ではサンゴの産卵が見られた、っていうニュースを見て。まだまだこれから60年、沖縄のサンゴがどうなるか見守っていかなけりゃいけないな、と思うんだけど、今日は歌う日なので、歌います(笑)」
という相変わらず独特の語り口の後に演奏されたのは、沖縄弁で歌われる「絹ずれ ~島言葉~」。
そしてアコギの柔らかなフレーズに続いてCoccoが歌い始めたのは、まさかの名曲「Raining」。上を見れば雲ひとつない快晴。その下で歌われる、
「それはとても晴れた日で 未来なんていらないと思ってた」
というフレーズ。さらに
「太陽眩しかった」
のフレーズの直後にモニターに太陽が映されるという、曲を完全に熟知しているフェスのスタッフサイドの素晴らしいカメラワーク。聴いていて、思わず涙が出てきてしまうほどに素晴らしくて、2日間の他のどの瞬間よりも、晴れたことに感謝した。
さらに活動休止前に出演したミュージックステーションでこの曲を歌った後にスタジオから走り去って行った瞬間を、司会のタモリが「番組の歴史の中でも最も衝撃的だった」と評した「焼け野が原」でCoccoの歌声と感情に呼応するかのようにバンドの演奏も凄みを増すと、その最高潮を最後に刻むべく鳴らされたのは、メジャーデビュー曲の「カウントダウン」。
「血迷った過ちに 気付いて泣き叫ぶがいい」
というサビで世の中に登場したというのは今思うととんでもないことだったと思わされるが、その衝撃は20年経った今、この曲をこうして聴いても変わることは全くない。
歌が上手い人は探せばいくらでもいるし、この2日間出演しているボーカリストたちもやはり総じて歌が上手い人ばかりである。しかし、感情が揺さぶられるほどの歌を歌う人は限りなく少ない。初めてライブを見て、凄まじすぎてただただ立ち尽くすしかなかった2006年のロッキンの2日目のGRASS STAGEのトリ以降、何度もライブを見てはCoccoは間違いなくそうした、歌に選ばれた人であるというのはわかっていたが、その当時はライブでほとんどやっていなかった名曲たちをこうして聴けたことにより、一層感情が揺さぶられた。個人的にこの2日間のベストアクトは間違いなくこのCocco。おそらく集客という意味ではメインステージでは最も少なかったが、そんなことは全く問題ではなかった。ただただ神がかっていた。そこには、小学生の頃からリアルタイムでこの人の曲を聴いてきたという世代的なものもあるのかもしれないけど。
1.ジュゴンの見える丘
2.強く儚い者たち
3.やわらかな傷跡
4.絹ずれ ~島言葉~
5.Raining
6.焼け野が原
7.カウントダウン
Raining
https://youtu.be/KRMuyVG-oyQ
16:40~ Mrs. GREEN APPLE [NEW BEAT SQUARE]
Coccoを最後まで見ていたら案の定、入場規制で入れずというくらいの状況。そりゃあ今のこのバンドがこのステージに出るというのが発表された段階でこうなるのはわかっていたことではあるが。
ということで初出演のMrs. GREEN APPLE、始まる前から完全に入場規制状態である。ようやく中に入れたのは「Speaking」が終わるくらいのタイミングで、次に演奏されたのは新曲なのだが、この新曲がアメリカの男性シンガーの曲かというくらいにEDMの要素などを突っ込みまくり、バンドという編成の幅に全く収まりきっていない。それはベースの高野がシンセを操るデジタルダンスロック「うブ」でもそうだが、そうしてバンドのイメージを刷新していくようなスタイルの曲でも熱狂的な盛り上がりっぷりを生み出している要因は、大森元貴の書くポップなメロディと、どんなサウンドの曲であっても軽々と乗りこなしてみせる、その抜群の歌唱力である。
「みんなに向けた曲です!」
という「In the Morning」で観客(とりわけ若い人たちはこの曲に背中を押されているはず)にエールを送ると、メジャーデビュー曲「StaRt」でコーラスや合いの手も完璧に揃ったフィニッシュ。
曲数が増えてきているだけにあまりにも持ち時間が短く感じてしまうし、今やこのバンドは国際フォーラムクラスでワンマンをやっているだけに、大きなところの方が真価を発揮するバンドになってきている。それだけに初出演であってもせめてSEASIDE PARKにした方が、入場規制対策としても良かった気がしてならない。
しかしながら今月シングルをリリースしたばかりというタイミングにもかかわらず、そのシングルの曲をやらず、さらなる新曲をライブでやってしまうという凄まじいほどの制作ペースはいったいどうやっているのだろうか。(しかもライブも結構な本数を行なっている)
アルバムが出たばかりという状況ではあるが、もしかしたら次のアルバムすらもかなり早い段階で聴けるようになる気がしている。それでいて初期の曲もライブでしっかり演奏しているというバランスの取り方。もう大森は20歳を超えたが、恐ろしかったのは年齢による若さではなく、大森に備わっている能力と直感だった。
1.VIP
2.Speaking
3.新曲
4.うブ
5.In the Morning
6.StaRt
In the Morning
https://youtu.be/hvYuK-wfvTY
17:50~ 関ジャニ∞ [WINDMILL FIELD]
今回のこのフェスは、開催2週間前までこのスロットの出演者が発表されていなかった。様々なバンドの名前が予想として上がる中、チケットソールドアウト後に発表されたのは誰も予想だにしていなかった、ジャニーズからの刺客、関ジャニ∞だった。
当然発表から当日に至るまでに様々な意見や軋轢なども飛び交っていたが、果たしてどんなもんなんだろうか、という期待と興味を持った人たちで客席は埋め尽くされている。
メンバーが登場すると、今までロックフェスでは聞いたことのないような観客の悲鳴にも似た絶叫が響く中、メンバーたちはそれぞれ楽器を手にし、錦戸亮が
「関ジャニです。楽しんでいってください!」
と、アウェーな状況なだけに緊張があったのか、かなり硬い感じで挨拶し、インストの曲を演奏し始める。しかも演奏が普通に上手い。特にリズム隊はなかなかのものだが、そんな中でも横山裕はパーカッションやトランペットなど、なかなか普通のバンドではお目にかかれないような楽器をも演奏するという器用さを見せ、興味本位で集まった人たちも「あれ?普通に凄くないか?」という空気に変わっていく。
するとピエール中野がDJで毎回流すことから、ロックファンの間でもおなじみである、THEイナズマ戦隊が手がけた「ズッコケ男道」からは他のバンドと変わらぬ盛り上がりぶりをみせる。
テレビでのイメージから、もっとエンターテイメント的なステージになるのかと思っていたが、特に面白いトークをするわけでもなく、ひたすらに曲をバンドで演奏していくというストイックなライブのスタイルで、村上信五も
「普段はテレビでふざけたりしてますけど、今日は純粋に僕らの音楽で楽しんでいって欲しい」
とこのステージへの意気込みを語った。
やはり、我々ロックファンからしたら、ジャニーズである、アイドルであるというだけで少し穿った見方をしてしまう。いかにテレビで深い音楽番組をやっていても、画面越しではそれが「本当にやりたくてやっていること」なのか、「そういう番組だからそうやっていること」なのかもわからない。しかし、いろんなアーティストが言うように、ライブやステージには逃げ場がない。ちょっとでもこなすような感じでライブをしたり、ヤル気が感じられないライブは、直接自分の目で見ている人にはすぐにバレてしまう。(だからこそたまにサマソニとかでは海外のアーティストに辛辣な感想が並んだりする)
しかし、目の前のステージで音を鳴らしているこの7人は真摯に自分たちの音楽を精一杯に鳴らしていた。「音楽と人」などのメディアで絶賛されている渋谷すばるの歌は本調子とは言えないものだったかもしれないが、なんとか目の前にいる人たちに届けようと必死の形相で歌っていた。
ロックバンドにはロックバンドなりの、ガラガラなステージで誰にも見つけてもらえなかった存在だったからこそのコンプレックスがある。(その経験があるからこそ、みんなフェスで大きなステージを目指す)
そのロックバンドとは発しているオーラはやはり別の種類のものではあったが、彼らには彼らにしかない、「真っ当に音楽をやっていても正当な評価を受けることができない」というコンプレックスがあって、彼らはこの日、それと戦っているような感じがした。だからこそ、あえて自分たちを普段見に来てくれる人がいないこのステージに立つことを選んだのではないかと。
そうした彼らが抱える葛藤はもしかしたら完全になくなるような日はこないのかもしれない。しかしこうして音楽が好きでしょうがない人たちの前に出ていくことによって、彼らもまた音楽が好きでしょうがない人たちであるということが少しずつわかる人は増えていく。(音楽が好きじゃなかったらここまで楽器を演奏できるようにはなれない)
今回の発表の仕方のように、ロックバンドと同じように毎回フェスに出演するというわけにはいかないだろうが、今回の出演はあらゆる意味で大きな意味を持つものになったと思う。できることなら、彼らのファンにもこうしたロックフェスの最前線で戦っている姿をしっかり見る機会があって欲しいと、1人のロックファンからすると思う次第。
ステージの外に出ると、ステージの入り口の外にはリストバンドをしていない、見たくても客席に入ることができない、音漏れを聴きにきた人たちがたくさんいた。どんなに好きなバンドが出ていても、自分はチケットがないのにこんな新木場の外れまで来て、音だけを聴くっていうことはできないし、しようとも思えない。だからこそその姿勢は素直に凄いと思うし、金を積めるだけ積めば、転売でチケットを買うこともできたかもしれないのに、それを選ばずにここに来たっていうのも凄いと思った。
やはり何かとロックファンとアイドルファンは衝突してしまいがちだが、全てではないにしても、お互いから学べることもあるんじゃないだろうか。
18:50~ WANIMA [SEASIDE PARK]
去年はまさかのNEW BEAT SQUAREという、「入り切れるわけないだろう!」というステージだったWANIMA。さいたまスーパーアリーナでワンマンをやった後という状況にもかかわらず、メインステージではないというこのフェスの「1段飛ばしはさせません」という姿勢の徹底っぷりはある意味で凄い。
なので、当然始まる前から超満員状態。このステージはおそらく規制がかかることはない(客席エリア外からでもステージは見えるため)が、ここまでの状況というのはなかなか見たことがない。
そんな中、「JUICE UPのテーマ」で超ハイテンションにメンバーが登場すると、
「熊本県出身、東京都在住WANIMA、開催しまーす!」
の「開催しまーす!」部分からすでに大合唱となり(「PIZZA OF DEATH」という単語がついになくなったのは寂しくもあるけど)、「ここから」でまさにここからなスタートとなるのだが、もうのっけから大合唱で、「THANX」では大合唱とともにモッシュ&ダイブの嵐。
2日前にミュージックステーションに出演した際に披露された最新シングル収録の「CHARM」をここにいる人全員の背中を押すように鳴らすと、
「METROCK 2017のテーマソング!」
と言って「リベンジ」、さらにまさにこの夜だからこそな「オドルヨル」で踊らせまくると、今回のFujiの長渕剛モノマネは、
「みんなで一緒に歌おう、そしてみんなで一緒に怒られよう!(笑)」
と言っての関ジャニ∞「ズッコケ男道」。健太の「もう一回!もう一回!」コールで結局2回歌うことになったが。
エロすらも爆発力にしてみせる「いいから」から、去年の夏を席巻した「ともに」で2日間の疲れを忘れさせるかのように飛び跳ねさせまくると、まるでアンコールかのように「Hey Lady」を演奏するのだが、光真との呼吸が合わずに
「ライブっぽくなってきた!」
とアクシデントすらもテンションを上げる要素にしながら、最後の最後まで笑顔と合唱の絶えないステージをやり切ってみせた。
WANIMAを見ている時、自分の前には40~50代くらいのおじさんが1人でいて。曲に合わせて本当に楽しそうに歌ったり踊ったりしていた。自分がそのくらいの歳だったとしてもWANIMAの音楽は響くだろうしその歳になってもWANIMAのライブは自分を迎え入れてくれる気がする。
そして前日の[Alexandros]の部分で書いた、トリが強すぎるから今のところ、[Alexandros]とサカナクションというトリが2年連続になっているというところに最も割っていけそうなのは、メインステージに出ているバンドよりも、このバンドだと思っている。[Alexandros]の時に書いた要素を、このバンドはすでに満たしつつある。だからこそ、自分にはWANIMAが夜のメインステージに立ってみんなで大合唱している姿が想像できる。きっとそれはそう遠くない将来に現実になるはず。
1.ここから
2.THANX
3.CHARM
4.リベンジ
5.オドルヨル
6.いいから
7.ともに
8.Hey Lady
CHARM
https://youtu.be/Ir3EFQg4H7I
19:40~ サカナクション [WINDMILL FIELD]
去年は初日にトリを務めたサカナクション、今年は大トリとしてこのフェスを締めくくる大役を担う。
真っ暗なステージに5人が登場すると、いきなり鳴り響くシンセのイントロは「新宝島」なのだが、このフェスが他のどのフェスとも違うのは、「新宝島」というタイトルがレーザー光線で風車の柱部分に描かれるという、このフェスの象徴的な存在すらも自分たちのライブの演出の一部にしてしまうということ。これができるバンドは他にいないだけに、この時点でこのバンドの勝ちは決まったようなもの。
JAPAN JAMの時はやらなかった「Aoi」を序盤に持ってきて持ち時間の長さを感じさせてくれると(メンバーのコーラスも強くなったイメージがある)、キラーチューンの連発から、山口一郎が
「みんな、自由に踊ろう!」
と言ってバンドセットから途中でラップトップ横並びの編成に変わる「SORATO」へ。自由に踊ろうと言った山口が1番自由かつ楽しそうに飛び跳ねながら踊りまくっているのだが、この「SORATO」を始め、サカナクションの曲は誰よりもまずは山口本人が踊れるための曲であるという気もしてくるくらいに楽しそうである。また、この曲の時はレーザーが派手に飛び交いまくるのだが、粒子状のレーザーが風車の柱に映る様は本当にキレイの一言。
そのままラップトップ編成で始まり、最後のサビ前にバンド編成に戻る「ミュージック」から、
「みんなまだまだ踊れる?」
と言って「夜の踊り子」、そして「アイデンティティ」と大ヒットシングル曲を連発し、山口が長いコートを羽織ると、この日夜の本気ダンスのMCでいじられた「多分、風。」とひたすらに踊らせまくり、
「今年はいろんな夏フェスにも出るから、またフェスで会える人もいるかもしれないけど、フェスで見るのもいいけど、ワンマンにも来てください」
と言い、秋の幕張メッセでの6.1chサラウンドでのワンマンの告知をすると、
「あと7分だけやらせてください、ありがとうございました」
と言って最後に演奏されたのはこの春フェスでは毎回最後に演奏されるようになった、壮大なロックオペラ「目が明く藍色」。思えば2011年にこの会場で行われたROCKS TOKYOで、初めてサカナクションはメインステージのトリを務めた。その時は大雨という、このバンドを雨バンドたらしめるようなコンディションだったのだが、その時に最後に演奏されていたのもこの曲だった。あれから6年も経ったが、今でもこの会場の夜の時間はこのバンドのもの。それは今のところ、揺らぐ気配は全くない。こんなにこの会場そのものを自分たちのライブの演出に使えるバンドは他にいないのだから。
1.新宝島
2.Aoi
3.アルクアラウンド
4.三日月サンセット
5.SORATO
6.ミュージック
7.夜の踊り子
8.アイデンティティ
9.多分、風。
10.目が明く藍色
多分、風。
https://youtu.be/8lx0vLTH_yg
前述したように、この日の、というか2日目での個人的ベストアクトはCocco。これだけ毎週のようにライブを観に来ていて、もう慣れていることもたくさんあるけど、それでも自分はまだまだ音楽で感動することができる。そう思わせるくらいの力があの歌声にはあった。
そしてこの会場に来るのはこれで8年連続。初めて来た時は[Champagne]だった[Alexandros]が1番小さいステージで、世界の終わりだったSEKAI NO OWARIの「虹色の戦争」でダイブが起きてた。トリがアジカンとRADWIMPSという2000年代後半のロックシーンの覇者2組だった。(最初に見たバンドは、トップバッターとして出演したミイラズ)
豪雨過ぎて心が折れそうになったりしたこともあったけど、そんなことも含めて楽しかった思い出がいっぱいある場所だし、今年もまた忘れられない思い出がたくさんできた。自分は1番好きなフェスはロッキンとラブシャだが、このフェスにはこのフェスの、この会場だからこそ見れるものがたくさんある。だからこそ、ここでフェスが続く限り、こうして来続けたいと思う。なので、若洲公園、また来年!(9月にまたここでフェスやるらしいけど)
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11:30~ キュウソネコカミ [WINDMILL FIELD]
3年前にNEW BEAT SQUAREに初出演した時から、このフェスでも伝説的なライブを毎回行ってきた、キュウソネコカミ。2年連続でのWINDMILL FIELDへの出演。
いつものようにかなり早い時間からメンバー全員が出てきての本気のリハを開始するのだが、巨大風車があるこのフェスではおなじみの、セイヤが風車のコスプレで登場するも、頭につけた風車部分が取れてしまい、ただの白タイツ姿の変態みたいな姿になってしまう。その状態で「良いDJ」をリハするも、風車を新たな手法で表現するため、同じく白タイツ姿のはいからさん(マネージャー)にセイヤがジャイアントスイングされるという確実に誰もやったことがないパフォーマンスを見せる。しかし、やはりこれは体力の消耗が激しすぎるということで、いつもより早々とリハは終了。
この日も、METROCKが1番好きだというテレ朝の女子アナの前説の後にメンバーが登場するのだが、SEはこのフェスではおなじみの「ミュージックステーションのテーマ」で、
「絶対もう1回Mステ出てやるからな!」
とセイヤが宣言して、そのMステ出演時に披露して、メンバーの曲中の早着替えも話題になった「MEGA SHAKE IT!」からスタート。さすがにハウスミュージックのくだりの振り付けも観客みんなバッチリで、これだけたくさんの人がこの振り付けをしているというのは壮観である。
テレ朝の女子アナが前説で
「スマホはもはや俺の臓器!」
というこの曲のフレーズを引用した「ファントムバイブレーション」から、
「この前、テレ朝の関ジャムでレキシ特集やってたんやけど、俺らのことを全くいじらなかった!いじれや池田ー!」
とコラボしたにもかかわらずスルーされてしまった怒りをぶつけるかのように、前日はレキシが演奏した「KMTR645」を演奏。
「よく見りゃペディグリー」
のフレーズでしっかりペディグリーの袋を用意しているという芸の細かさも見せ、間奏ではオカザワがはいからさんに肩車された状態でギターソロを弾くという風車プレイも。
現在CMで絶賛オンエアされまくっている「家」を演奏すると、
「Abema TVをご覧の皆さん、アンチコメント書き込んでますかー!」
などと煽りながら、観客にコール&レスポンスで「イェー!」と言わせてもう1回「家」をやるというムチャクチャっぷりから、
「1番アンチコメントきそう」
という新曲「NO MORE 劣化実写化」を披露。タイトルの通りに原作漫画を映画などで実写化するのを皮肉った、キュウソらしい毒ソングだが、間奏部分にセイヤとヨコタの語りが入り、それがことごとく
「それは大人の事情だよ」
で片付けられてしまうという、テレビでオンエアできるのかというような内容。しかし最終的には
「けどなんやかんやで面白かったりする」
という、ディスだけではない方向に落ち着く。
そして「DQNなりたい~」ではなく、この日は「お願いシェンロン」で筋斗雲を持ち出してセイヤが客席に突入していく。なかなか一歩目からセイヤを支えきれていない客席に対して、
「どうしたー!関ジャニファンはそんなもんかー!」
と鼓舞しながら、客席が安定するのをだいぶ待つことに。
そんな時間ギリギリでもしっかり曲はやり切るとばかりに、「ハッピーポンコツ」だけでは終わらず、「ウィーワーインディーズバンド!!」までやってみせた。
JAPAN JAMでのひたすらにエモかったライブとは対極と言っていい、キュウソのエンターテイナーサイドに振り切ったようなライブ。ほとんど持ち時間が同じにもかかわらず、こうして全然違うライブができるのは、キュウソの観察眼と対応力、メンバーの演奏力と表現力があるからこそ。もう毎週ライブ見ても絶対飽きることはないと思う。
1.MEGA SHAKE IT!
2.ファントムバイブレーション
3.KMTR645
4.家
5.家
6.NO MORE 劣化実写化
7.お願いシェンロン
8.ハッピーポンコツ
9.ビビった
10.ウィーワーインディーズバンド!!
MEGA SHAKE IT!
https://youtu.be/yCex2gTH_cQ
12:10~ 忘れらんねえよ [NEW BEAT SQUARE]
このフェスには初出演であるが、かつてROCKS TOKYO時代にこのステージに立っている、忘れらんねえよ。(ステージの向きは逆だが)
会場に[Alexandros]の「ワタリドリ」が流れ始めると、
「客席の後ろから失礼します!」
という声が聞こえ、PAブースに柴田の姿が。
「俺をワタリドリのようにステージに連れて行ってくれー!」
と観客に運ばれながらステージへ。ベースの梅津、サポートメンバーのマシータ(ドラム)とタナカヒロキ(ギター、LEGO BIG MORL)の4人で「SEXY」ジャンプを決め、
「THANK YOU!」「SEX!」
のコール&レスポンスから、「ばかもののすべて」でスタート。
「こんにちは、星野源です!」
と自己紹介で嘯くも、タナカが入ったことでバンドの音に厚みが増し、しばしばギターを弾かないでパフォーマンスに徹することもある柴田の代わりにギターの音を途切れさせることはない。
「ばかばっか」の間奏ではおなじみの柴田が観客に運ばれながらPAブースの前まで行ってビールを受け取り、観客に支えられながらビールを一気飲み。
そんなパフォーマンスにばかり目が行きがちだが、最新曲「スマートなんかなりたくない」、観客全員と一緒にバンドがやりたいと語る「バンドやろうぜ」と、忘れらんねえよの芯の部分であるエモさを発揮。
柴田がアコギに持ち替えながら、観客に
「お前ら男はみんな童貞だろ!(笑)」「処女のやつはいるのか!(笑)」
と問いかけ、
「よく手を挙げられるな(笑)」
と笑わせながら、最後に演奏されたのはこの日が初披露となる新曲「いい人どまり」。タイトルを言った瞬間には失笑も起こっていたが、「犬にしてくれ」などと同様の、切なさを感じさせる、忘れらんねえよならではのラブソング。柴田がアコギを弾いていられるのはタナカがエレキを弾いているのも大きいのだろう。
気付けば最終的には客席は大入り。メンバーがステージから去っても拍手が響いているという、面白いパフォーマンスとエモさを兼ね備えたライブに対する賞賛が見てとれた。
ROCKS TOKYOに出た5年前からステージが変わらないという状況はもどかしさも感じるが、Zeppに続いて野音でもワンマンを行い、この日発表されたツレ伝ツアーも開催されるなど、少しずつではあるが確実に前進している。でも、仲間のバンドたちにはメインステージに出てるバンドも多いだけに、早くもっと大きいステージに行きたいだろうなぁ。
1.ばかもののすべて
2.犬にしてくれ
3.ばかばっか
4.スマートなんかなりたくない
5.バンドやろうぜ
6.いい人どまり
スマートなんかなりたくない
https://youtu.be/zKMw_AvNpCA
13:00~ KANA-BOON [WINDMILL FIELD]
一時は活動そのものが危ぶまれたが、今年は春フェスにひたすら参加しては元気な姿を見せている、KANA-BOON。今となっては想像もできないが、初出演時はデビュー直後にNEW BEAT SQUAREへの出演であった。
SEなしでメンバーが出てきて
「こんにちは、KANA-BOONです」
と谷口鮪が挨拶するのはいつも通りだが、この日は普段終盤、あるいは最後に演奏する「シルエット」からスタートするという意表の突き方。しかも1曲目からこんなに難しい曲を歌っているのに、鮪のハイトーンボイスは実に安定している。やはりこの男は本当に歌が上手い。
日焼け必至なこの日の暑さにぴったりな、アネッサのCMソングであったポップな「なんでもねだり」から一転してシリアスな「Fighter」へというジェットコースターみたいな流れだが、前日に出演したSPYAIRとこのKANA-BOONがほとんど同じ時間に同じアニメのオープニングテーマを歌っているというのも偶然ではないものを感じる。
「1.2. step to you」「フルドライブ」と疾走感溢れる4つ打ちロックで踊らせまくると、
「そろそろお腹空いたんじゃないですか?聴いてください、チャーハン」
ともはや曲タイトルすら言わなくなるくらいにチャーハンのイメージが定着した「ないものねだり」、今月ライブで聴くのは3回目だが、時期的に来年までもうライブでは聴けないだろうなという感傷を爆発させるかのようにエモーショナルな「さくらのうた」とキラーチューンを連発させると、
「めしだが元気そうで良かった(笑)」
と例のニュースに触れながら、また一から音楽をやっていくという決意を語り、その決意をそのまま曲にしたかのような新曲「バトンロード」へ。誠実に観客に向き合うバンドに対して野次ったり茶化したりするような人は全くおらず、めしだに対しても暖かい拍手が送られていた。春フェスすべてでこうして例のニュースについて自分たちの口で語り、そこから決して逃げたり目を背けたりしない姿勢は、見た目以上に本当に男らしい。これからこの経験を経て、このバンドはもっと大きくなるはず。
そして春フェスで3回ライブを見たが、3回すべてセトリを変えていた。かつてスペシャの特番でファンとミーティングをした際に、ファンから
「なんでKANA-BOONはセトリを全然変えないのか」
と言われたりもしていたが(もちろんこれはライブに行きまくってる人からの愛ある意見)、もうそうしたことを言われることもないだろうし、そうメンバーに問いかけた人も、これだけ毎回セトリを変えたライブをしてくれたら、これまで以上にライブを見に行きたいという気持ちになるはず。
1.シルエット
2.なんでもねだり
3.Fighter
4.1.2. step to you
5.フルドライブ
6.ないものねだり
7.さくらのうた
8.バトンロード
Fighter
https://youtu.be/X9-ouDEL_-U
13:50~ 夜の本気ダンス [SEASIDE PARK]
去年はNEW BEAT SQUAREのトリとしてバンド名通りに夜に踊らせまくった、夜の本気ダンス。今年はSEASIDE PARKに進出し、昼の時間に登場。
すでに超満員の観客の前に、登場時からやたらとテンションの高い鈴鹿(ドラム)が、
「踊れる準備は出来てますかー!」
と米田のキメ台詞を先に叫び、「WHERE?」からキレ味鋭いダンスロックでガンガン踊らせていく。前日も激しいバンドが出たりしていたが、ひたすらに高速BPMのダンスロックを繰り出しまくるというスタンスを考えると、二日間で最も体力を消耗するアクトはこのバンドなんじゃないかと思ってしまう。
そんな中、最新曲「SHINY」は夜だけではなく、こうした快晴の昼の野外で聴くのがこれまでの持ち曲の中で1番似合うと思う曲。そしてこれまではどちらかというと海外のロックバンド的なサウンドだったのが、どことなく日本のバンドだからこその歌謡性を感じさせるようにもなっているのも変化を感じさせる。
「先週の大阪は「大阪レイニーブルース」っていうくらいに雨降ってたのに東京は快晴やん!
去年、あの風車は俺たちと君たちの熱さで回ってるって言ったけど、昨日も回ってたのは去年の俺たちの余韻で回ってたんやー!サカナクションのファンの人たちは「多分、風。」で回ってると思ってるだろうけど!(笑)」
と、この日の出演者の曲名を上手く取り入れた、芸人みたいな鈴鹿のMCから、「fuckin' so tired」では米田がハンドマイクでネクタイを外して色気をさらに増幅させて、自らも踊りまくりながら歌い、ラストの「戦争」では観客をいったん全員しゃがませてから一斉にジャンプさせて、最大級の盛り上がりを生み出してみせた。この曲はライブでは完全におなじみな曲だが、持ち曲が増えてもセトリから外れることがないのは、こうしたパフォーマンスもあるが、再び北朝鮮からミサイルが発射されたりという社会情勢に対する
「マジで マジで 来ないで戦争」
というバンド側の意思の表明でもあるのか、というのは考えすぎなのだろうか。
1.WHERE?
2.Crazy Dancer
3.SHINY
4.By My Side
5.fuckin' so tired
6.戦争
SHINY
https://youtu.be/6idlVhWIWAE
14:30~ SHISHAMO [WINDMILL FIELD]
4年目の出演にして、初めてメインのWINDMILL FIELDにたどり着いた、SHISHAMO。メンバーが登場するなり、フェスTを着た宮崎朝子(個人的にロック界1フェスTが似合う女子)がテンション高く「METROCK!」と何度も叫び、最新アルバム収録の「好き好き!」からスタート。
セトリ自体は同じく初のメインステージ出演だったVIVA LA ROCKと変わらないが、「量産型彼氏」や「僕に彼女ができたんだ」での作り込まれた映像がモニターに映し出されるというのはバンドの魅力を余すところなく伝えることができるので、この大きなステージに出ることによってようやく楽曲の真価をフルに発揮できている。
宮崎の妄想ストーリーの極致と言える「きっとあの漫画のせい」ではアジカンを彷彿とさせるギターサウンドが鳴り響き、MCでは
「男子!」「女子!」「中学生!」「高校生!」「大学生!」「大人!」「家族連れ!」
とこの会場の客層をリサーチしてくれるのだが、
「カップルで来た人?」
の部分だけやたらとテンションが低く、自分で聞いておいて手を挙げた人たちに対して舌打ちするというドSっぷりも面白い。
そんなやり取りを経たからこそ、真夏日というのもあってシチュエーション的にこの曲が似合い過ぎる「君と夏フェス」は他のどの曲よりも響いたし、可愛いアニメーションの映像が流れる「タオル」では文字どおりにグルグルとタオルが回りまくり、最後は華やかなホーンの音が入った最新アルバムのリード曲「明日も」で、見ていた人をみな、明日からまた日常を頑張ろうという気分にさせてくれた。
もはや余裕で武道館クラスでワンマンをやっているだけあって、この大きなステージが本当によく似合うバンドになった。デビュー時に演奏の弱さを指摘されていたのも、もう遠い昔のことのよう。
1.好き好き!
2.量産型彼氏
3.僕に彼女ができたんだ
4.きっとあの漫画のせい
5.君と夏フェス
6.タオル
7.明日も
明日も
https://youtu.be/zhCtzmDWsN0
15:20~ Suchmos [SEASIDE PARK]
最新アルバム「THE KIDS」が大ヒットを記録し、新たなシーンの担い手として現在大ブレイク中のSuchmos。去年のNEW BEAT SQUAREから今年はSEASIDE PARKに進出。
波の音が聞こえてくるようなSEで、すでに超満員の観客を前にメンバーが登場すると、
「俺たちが地元湘南から持ってきたのは、この風と波の音!」
とYONCEが言い、まさにその湘南の空気感を音にしたような雄大な「Pacific」で音に浸らせる。
「隣にいる人を、自分のように、自分のことのように思おう!」
というYONCEなりのフェス観には大きな拍手が上がり、「YMM」で横ノリのビートに乗らせると、抜群の歌唱力を見せつけているYONCEが
「せっかく集まったんだから、もっと汗をかこうぜ!」
というクールなイメージからは想像しがたい熱い言葉を投げかけると、車のCMソングとして大ヒットした、
「ブランド着てる奴 もうGood night」
「広くて浅い奴 もうGood night」
というキラーフレーズが連発される、お待ちかねの「STAY TUNE」で踊らせまくり、
「みんなのこれからの無事を祈って」
と言って演奏された「MINT」で、あっという間に終了。
2日間通しても確かにこうしたサウンドのスタイルのバンドは異彩を放っているし、それでこれだけ超満員にしているのは本当にすごい。
しかし、たった4曲、時間にすると27~8分という巻き過ぎな内容だったのは少し疑問符がつく。SPECIAL OTHERSみたいに全部が全部8~10分の曲ばかりというわけでもないし、持ち時間を考えたらもう2曲、最低でももう1曲はやれたはず。ただでさえ「STAY TUNE」が聴きたくて集まった人も多かったはず(実際、「STAY TUNE」が終わって抜けていく人もかなりいた)なだけに、4曲だけではなかなか「STAY TUNE」以外のインパクトは残らない。自分は初めてこのバンドのライブをちゃんと見たが、そう思えてしまった。調べたらビバラの時もそんな感じだったらしいので、今回に限った話ではなさそうだが、なにか理由があるのだろうか。
1.Pacific
2.YMM
3.STAY TUNE
4.MINT
STAY TUNE
https://youtu.be/PLgYflfgq0M
16:00~ Cocco [WINDMILL FIELD]
今年、デビュー20周年を迎えて新たなベスト盤をリリースし、7月には記念碑的な日本武道館2daysも控えた歌姫、Cocco。このフェスには初出演である。
先にバンドメンバーが登場して音を奏で始めると、花束を抱えてCoccoが登場し、歌い始めたのは故郷である沖縄のことを歌った「ジュゴンの見える丘」。歌が上手いというのはもちろんだが、やはりこの人が歌い始めると一気に空気が変わるというか、もうその歌っている姿から一瞬足りとも目が離せなくなってしまう。デビュー時から周りの歌姫的なポジションの人に比べると神格化された存在だったが、その魔力みたいなものは今なお全く変わっていない。
イントロが演奏されただけで歓声が上がったのは代表曲的な存在である「強く儚い者たち」。この曲はライブでも毎回聴けるが、本当に今でも名曲だと思うし、熟練のバンドメンバーたちの押し引きを心得た演奏も素晴らしい。
「沖縄ではサンゴの産卵が見られた、っていうニュースを見て。まだまだこれから60年、沖縄のサンゴがどうなるか見守っていかなけりゃいけないな、と思うんだけど、今日は歌う日なので、歌います(笑)」
という相変わらず独特の語り口の後に演奏されたのは、沖縄弁で歌われる「絹ずれ ~島言葉~」。
そしてアコギの柔らかなフレーズに続いてCoccoが歌い始めたのは、まさかの名曲「Raining」。上を見れば雲ひとつない快晴。その下で歌われる、
「それはとても晴れた日で 未来なんていらないと思ってた」
というフレーズ。さらに
「太陽眩しかった」
のフレーズの直後にモニターに太陽が映されるという、曲を完全に熟知しているフェスのスタッフサイドの素晴らしいカメラワーク。聴いていて、思わず涙が出てきてしまうほどに素晴らしくて、2日間の他のどの瞬間よりも、晴れたことに感謝した。
さらに活動休止前に出演したミュージックステーションでこの曲を歌った後にスタジオから走り去って行った瞬間を、司会のタモリが「番組の歴史の中でも最も衝撃的だった」と評した「焼け野が原」でCoccoの歌声と感情に呼応するかのようにバンドの演奏も凄みを増すと、その最高潮を最後に刻むべく鳴らされたのは、メジャーデビュー曲の「カウントダウン」。
「血迷った過ちに 気付いて泣き叫ぶがいい」
というサビで世の中に登場したというのは今思うととんでもないことだったと思わされるが、その衝撃は20年経った今、この曲をこうして聴いても変わることは全くない。
歌が上手い人は探せばいくらでもいるし、この2日間出演しているボーカリストたちもやはり総じて歌が上手い人ばかりである。しかし、感情が揺さぶられるほどの歌を歌う人は限りなく少ない。初めてライブを見て、凄まじすぎてただただ立ち尽くすしかなかった2006年のロッキンの2日目のGRASS STAGEのトリ以降、何度もライブを見てはCoccoは間違いなくそうした、歌に選ばれた人であるというのはわかっていたが、その当時はライブでほとんどやっていなかった名曲たちをこうして聴けたことにより、一層感情が揺さぶられた。個人的にこの2日間のベストアクトは間違いなくこのCocco。おそらく集客という意味ではメインステージでは最も少なかったが、そんなことは全く問題ではなかった。ただただ神がかっていた。そこには、小学生の頃からリアルタイムでこの人の曲を聴いてきたという世代的なものもあるのかもしれないけど。
1.ジュゴンの見える丘
2.強く儚い者たち
3.やわらかな傷跡
4.絹ずれ ~島言葉~
5.Raining
6.焼け野が原
7.カウントダウン
Raining
https://youtu.be/KRMuyVG-oyQ
16:40~ Mrs. GREEN APPLE [NEW BEAT SQUARE]
Coccoを最後まで見ていたら案の定、入場規制で入れずというくらいの状況。そりゃあ今のこのバンドがこのステージに出るというのが発表された段階でこうなるのはわかっていたことではあるが。
ということで初出演のMrs. GREEN APPLE、始まる前から完全に入場規制状態である。ようやく中に入れたのは「Speaking」が終わるくらいのタイミングで、次に演奏されたのは新曲なのだが、この新曲がアメリカの男性シンガーの曲かというくらいにEDMの要素などを突っ込みまくり、バンドという編成の幅に全く収まりきっていない。それはベースの高野がシンセを操るデジタルダンスロック「うブ」でもそうだが、そうしてバンドのイメージを刷新していくようなスタイルの曲でも熱狂的な盛り上がりっぷりを生み出している要因は、大森元貴の書くポップなメロディと、どんなサウンドの曲であっても軽々と乗りこなしてみせる、その抜群の歌唱力である。
「みんなに向けた曲です!」
という「In the Morning」で観客(とりわけ若い人たちはこの曲に背中を押されているはず)にエールを送ると、メジャーデビュー曲「StaRt」でコーラスや合いの手も完璧に揃ったフィニッシュ。
曲数が増えてきているだけにあまりにも持ち時間が短く感じてしまうし、今やこのバンドは国際フォーラムクラスでワンマンをやっているだけに、大きなところの方が真価を発揮するバンドになってきている。それだけに初出演であってもせめてSEASIDE PARKにした方が、入場規制対策としても良かった気がしてならない。
しかしながら今月シングルをリリースしたばかりというタイミングにもかかわらず、そのシングルの曲をやらず、さらなる新曲をライブでやってしまうという凄まじいほどの制作ペースはいったいどうやっているのだろうか。(しかもライブも結構な本数を行なっている)
アルバムが出たばかりという状況ではあるが、もしかしたら次のアルバムすらもかなり早い段階で聴けるようになる気がしている。それでいて初期の曲もライブでしっかり演奏しているというバランスの取り方。もう大森は20歳を超えたが、恐ろしかったのは年齢による若さではなく、大森に備わっている能力と直感だった。
1.VIP
2.Speaking
3.新曲
4.うブ
5.In the Morning
6.StaRt
In the Morning
https://youtu.be/hvYuK-wfvTY
17:50~ 関ジャニ∞ [WINDMILL FIELD]
今回のこのフェスは、開催2週間前までこのスロットの出演者が発表されていなかった。様々なバンドの名前が予想として上がる中、チケットソールドアウト後に発表されたのは誰も予想だにしていなかった、ジャニーズからの刺客、関ジャニ∞だった。
当然発表から当日に至るまでに様々な意見や軋轢なども飛び交っていたが、果たしてどんなもんなんだろうか、という期待と興味を持った人たちで客席は埋め尽くされている。
メンバーが登場すると、今までロックフェスでは聞いたことのないような観客の悲鳴にも似た絶叫が響く中、メンバーたちはそれぞれ楽器を手にし、錦戸亮が
「関ジャニです。楽しんでいってください!」
と、アウェーな状況なだけに緊張があったのか、かなり硬い感じで挨拶し、インストの曲を演奏し始める。しかも演奏が普通に上手い。特にリズム隊はなかなかのものだが、そんな中でも横山裕はパーカッションやトランペットなど、なかなか普通のバンドではお目にかかれないような楽器をも演奏するという器用さを見せ、興味本位で集まった人たちも「あれ?普通に凄くないか?」という空気に変わっていく。
するとピエール中野がDJで毎回流すことから、ロックファンの間でもおなじみである、THEイナズマ戦隊が手がけた「ズッコケ男道」からは他のバンドと変わらぬ盛り上がりぶりをみせる。
テレビでのイメージから、もっとエンターテイメント的なステージになるのかと思っていたが、特に面白いトークをするわけでもなく、ひたすらに曲をバンドで演奏していくというストイックなライブのスタイルで、村上信五も
「普段はテレビでふざけたりしてますけど、今日は純粋に僕らの音楽で楽しんでいって欲しい」
とこのステージへの意気込みを語った。
やはり、我々ロックファンからしたら、ジャニーズである、アイドルであるというだけで少し穿った見方をしてしまう。いかにテレビで深い音楽番組をやっていても、画面越しではそれが「本当にやりたくてやっていること」なのか、「そういう番組だからそうやっていること」なのかもわからない。しかし、いろんなアーティストが言うように、ライブやステージには逃げ場がない。ちょっとでもこなすような感じでライブをしたり、ヤル気が感じられないライブは、直接自分の目で見ている人にはすぐにバレてしまう。(だからこそたまにサマソニとかでは海外のアーティストに辛辣な感想が並んだりする)
しかし、目の前のステージで音を鳴らしているこの7人は真摯に自分たちの音楽を精一杯に鳴らしていた。「音楽と人」などのメディアで絶賛されている渋谷すばるの歌は本調子とは言えないものだったかもしれないが、なんとか目の前にいる人たちに届けようと必死の形相で歌っていた。
ロックバンドにはロックバンドなりの、ガラガラなステージで誰にも見つけてもらえなかった存在だったからこそのコンプレックスがある。(その経験があるからこそ、みんなフェスで大きなステージを目指す)
そのロックバンドとは発しているオーラはやはり別の種類のものではあったが、彼らには彼らにしかない、「真っ当に音楽をやっていても正当な評価を受けることができない」というコンプレックスがあって、彼らはこの日、それと戦っているような感じがした。だからこそ、あえて自分たちを普段見に来てくれる人がいないこのステージに立つことを選んだのではないかと。
そうした彼らが抱える葛藤はもしかしたら完全になくなるような日はこないのかもしれない。しかしこうして音楽が好きでしょうがない人たちの前に出ていくことによって、彼らもまた音楽が好きでしょうがない人たちであるということが少しずつわかる人は増えていく。(音楽が好きじゃなかったらここまで楽器を演奏できるようにはなれない)
今回の発表の仕方のように、ロックバンドと同じように毎回フェスに出演するというわけにはいかないだろうが、今回の出演はあらゆる意味で大きな意味を持つものになったと思う。できることなら、彼らのファンにもこうしたロックフェスの最前線で戦っている姿をしっかり見る機会があって欲しいと、1人のロックファンからすると思う次第。
ステージの外に出ると、ステージの入り口の外にはリストバンドをしていない、見たくても客席に入ることができない、音漏れを聴きにきた人たちがたくさんいた。どんなに好きなバンドが出ていても、自分はチケットがないのにこんな新木場の外れまで来て、音だけを聴くっていうことはできないし、しようとも思えない。だからこそその姿勢は素直に凄いと思うし、金を積めるだけ積めば、転売でチケットを買うこともできたかもしれないのに、それを選ばずにここに来たっていうのも凄いと思った。
やはり何かとロックファンとアイドルファンは衝突してしまいがちだが、全てではないにしても、お互いから学べることもあるんじゃないだろうか。
18:50~ WANIMA [SEASIDE PARK]
去年はまさかのNEW BEAT SQUAREという、「入り切れるわけないだろう!」というステージだったWANIMA。さいたまスーパーアリーナでワンマンをやった後という状況にもかかわらず、メインステージではないというこのフェスの「1段飛ばしはさせません」という姿勢の徹底っぷりはある意味で凄い。
なので、当然始まる前から超満員状態。このステージはおそらく規制がかかることはない(客席エリア外からでもステージは見えるため)が、ここまでの状況というのはなかなか見たことがない。
そんな中、「JUICE UPのテーマ」で超ハイテンションにメンバーが登場すると、
「熊本県出身、東京都在住WANIMA、開催しまーす!」
の「開催しまーす!」部分からすでに大合唱となり(「PIZZA OF DEATH」という単語がついになくなったのは寂しくもあるけど)、「ここから」でまさにここからなスタートとなるのだが、もうのっけから大合唱で、「THANX」では大合唱とともにモッシュ&ダイブの嵐。
2日前にミュージックステーションに出演した際に披露された最新シングル収録の「CHARM」をここにいる人全員の背中を押すように鳴らすと、
「METROCK 2017のテーマソング!」
と言って「リベンジ」、さらにまさにこの夜だからこそな「オドルヨル」で踊らせまくると、今回のFujiの長渕剛モノマネは、
「みんなで一緒に歌おう、そしてみんなで一緒に怒られよう!(笑)」
と言っての関ジャニ∞「ズッコケ男道」。健太の「もう一回!もう一回!」コールで結局2回歌うことになったが。
エロすらも爆発力にしてみせる「いいから」から、去年の夏を席巻した「ともに」で2日間の疲れを忘れさせるかのように飛び跳ねさせまくると、まるでアンコールかのように「Hey Lady」を演奏するのだが、光真との呼吸が合わずに
「ライブっぽくなってきた!」
とアクシデントすらもテンションを上げる要素にしながら、最後の最後まで笑顔と合唱の絶えないステージをやり切ってみせた。
WANIMAを見ている時、自分の前には40~50代くらいのおじさんが1人でいて。曲に合わせて本当に楽しそうに歌ったり踊ったりしていた。自分がそのくらいの歳だったとしてもWANIMAの音楽は響くだろうしその歳になってもWANIMAのライブは自分を迎え入れてくれる気がする。
そして前日の[Alexandros]の部分で書いた、トリが強すぎるから今のところ、[Alexandros]とサカナクションというトリが2年連続になっているというところに最も割っていけそうなのは、メインステージに出ているバンドよりも、このバンドだと思っている。[Alexandros]の時に書いた要素を、このバンドはすでに満たしつつある。だからこそ、自分にはWANIMAが夜のメインステージに立ってみんなで大合唱している姿が想像できる。きっとそれはそう遠くない将来に現実になるはず。
1.ここから
2.THANX
3.CHARM
4.リベンジ
5.オドルヨル
6.いいから
7.ともに
8.Hey Lady
CHARM
https://youtu.be/Ir3EFQg4H7I
19:40~ サカナクション [WINDMILL FIELD]
去年は初日にトリを務めたサカナクション、今年は大トリとしてこのフェスを締めくくる大役を担う。
真っ暗なステージに5人が登場すると、いきなり鳴り響くシンセのイントロは「新宝島」なのだが、このフェスが他のどのフェスとも違うのは、「新宝島」というタイトルがレーザー光線で風車の柱部分に描かれるという、このフェスの象徴的な存在すらも自分たちのライブの演出の一部にしてしまうということ。これができるバンドは他にいないだけに、この時点でこのバンドの勝ちは決まったようなもの。
JAPAN JAMの時はやらなかった「Aoi」を序盤に持ってきて持ち時間の長さを感じさせてくれると(メンバーのコーラスも強くなったイメージがある)、キラーチューンの連発から、山口一郎が
「みんな、自由に踊ろう!」
と言ってバンドセットから途中でラップトップ横並びの編成に変わる「SORATO」へ。自由に踊ろうと言った山口が1番自由かつ楽しそうに飛び跳ねながら踊りまくっているのだが、この「SORATO」を始め、サカナクションの曲は誰よりもまずは山口本人が踊れるための曲であるという気もしてくるくらいに楽しそうである。また、この曲の時はレーザーが派手に飛び交いまくるのだが、粒子状のレーザーが風車の柱に映る様は本当にキレイの一言。
そのままラップトップ編成で始まり、最後のサビ前にバンド編成に戻る「ミュージック」から、
「みんなまだまだ踊れる?」
と言って「夜の踊り子」、そして「アイデンティティ」と大ヒットシングル曲を連発し、山口が長いコートを羽織ると、この日夜の本気ダンスのMCでいじられた「多分、風。」とひたすらに踊らせまくり、
「今年はいろんな夏フェスにも出るから、またフェスで会える人もいるかもしれないけど、フェスで見るのもいいけど、ワンマンにも来てください」
と言い、秋の幕張メッセでの6.1chサラウンドでのワンマンの告知をすると、
「あと7分だけやらせてください、ありがとうございました」
と言って最後に演奏されたのはこの春フェスでは毎回最後に演奏されるようになった、壮大なロックオペラ「目が明く藍色」。思えば2011年にこの会場で行われたROCKS TOKYOで、初めてサカナクションはメインステージのトリを務めた。その時は大雨という、このバンドを雨バンドたらしめるようなコンディションだったのだが、その時に最後に演奏されていたのもこの曲だった。あれから6年も経ったが、今でもこの会場の夜の時間はこのバンドのもの。それは今のところ、揺らぐ気配は全くない。こんなにこの会場そのものを自分たちのライブの演出に使えるバンドは他にいないのだから。
1.新宝島
2.Aoi
3.アルクアラウンド
4.三日月サンセット
5.SORATO
6.ミュージック
7.夜の踊り子
8.アイデンティティ
9.多分、風。
10.目が明く藍色
多分、風。
https://youtu.be/8lx0vLTH_yg
前述したように、この日の、というか2日目での個人的ベストアクトはCocco。これだけ毎週のようにライブを観に来ていて、もう慣れていることもたくさんあるけど、それでも自分はまだまだ音楽で感動することができる。そう思わせるくらいの力があの歌声にはあった。
そしてこの会場に来るのはこれで8年連続。初めて来た時は[Champagne]だった[Alexandros]が1番小さいステージで、世界の終わりだったSEKAI NO OWARIの「虹色の戦争」でダイブが起きてた。トリがアジカンとRADWIMPSという2000年代後半のロックシーンの覇者2組だった。(最初に見たバンドは、トップバッターとして出演したミイラズ)
豪雨過ぎて心が折れそうになったりしたこともあったけど、そんなことも含めて楽しかった思い出がいっぱいある場所だし、今年もまた忘れられない思い出がたくさんできた。自分は1番好きなフェスはロッキンとラブシャだが、このフェスにはこのフェスの、この会場だからこそ見れるものがたくさんある。だからこそ、ここでフェスが続く限り、こうして来続けたいと思う。なので、若洲公園、また来年!(9月にまたここでフェスやるらしいけど)
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