METROCK 2017 @若洲公園 5/20
- 2017/05/22
- 00:54
2010年に鹿野淳を中心に立ち上げた(現在はVIVA LA ROCKに移行)フェス、ROCKS TOKYOのインフラを引き継ぐ形で、毎年この時期に東京都内(ギリギリの都内だが)で行われる大型野外フェス、METROCK。今年も快晴、すでに真夏日と言っていいくらいの気候となり、春フェスの締めであり夏フェスの前哨戦感が強い。
今年もステージは
WINDMILL FIELD
SEASIDE PARK
NEW BEAT SQUARE
の3つで、メインステージであるWINDMILL FIELDは被りなしで、SEASIDE PARKとNEW BEAT SQUAREは時間が被っているというタイムテーブルも毎年変わらない。
11時20分くらいに、このフェスではおなじみのテレ朝の女子アナの前説のあと、いよいよ開演。
11:30~ THE ORAL CIGARETTES [WINDMILL FIELD]
初出演時は1番小さいNEW BEAT SQUARE。それからついにこのメインステージにたどり着いた、THE ORAL CIGARETTES。
壮大なSEでメンバーが登場すると、最近フェスではSE扱いになりつつある、山中拓也の前口上に合わせて満員の観客が手を叩き、
「THE ORAL CIGARETTES、METROCKベストアクトはいただきますの会を始めます!」
と宣言し、大ヒットを記録した最新アルバム「UNOFFICIAL」からの「リコリス」「Shala La」の連発でスタートし、あきらかにあきらは軽快なステップを踏みながらベースを弾き、ステージもかなり暑いだろう中、鈴木重伸は今日も長い髪を振り乱しながら裸足でギターを弾きまくる。
「Hey!」のフレーズを観客が叫ぶ「起死回生STORY」から、満員の観客がタオルを振り回しまくる「STARGET」というライブではおなじみのキラーチューンを連発すると、山中が
「ずっとこの風車の下でやりたかったー!
僕ら今、25~26くらいの年齢で…。ごめん、サバ読んだ(笑)26~27くらいの年齢で。ドラムの人は無視してください(笑)
若手だから色々言われるんですけど、若手がシーンを変えていかないでどうするんですか!だから俺らは変なことばっかりやります。普通のことはしません」
と言って、VIVA LA ROCKの時と同様に、ファンを信頼しているから6月発売の新曲をCD発売前にダウンロードできることを語るのだが、若手バンドからの変革とするにはやはりこれだけではインパクトが弱い。先輩のバンドたちがインパクトありすぎることをやりまくってきているというのもあるし、すでに他のバンドたちも先にやっていることだからというのもある。だからこそ変革というのなら、もっと「あきらかにこれは今まで誰もやってない!」と思うことをやって欲しい。それができればこのバンドはさらに大きなステージへ踏み出せるはず。
その新曲こと「ONE'S AGAIN」はいきなり大合唱が起きる、この規模で鳴り響くべきアンセムで、このバンドが狙っている場所がどこなのかが一聴するだけでわかる。
山中がギターを下ろしてハンドマイクになると、ステージを動き回りながら歌う「カンタンナコト」、「狂乱Hey Kids!!」と続け、
「ようやくたどり着いたこのステージ。せっかくなので、このステージでトリができるまでバンド続けたいと思ってます!」
と力強く宣言してから、ラストは性急なギターがバンドの勢いと観客の熱狂を加速させる「5150」。
今の動員的には、このステージのトリをやってもなんの不思議もない。しかし、去年このメインステージでKANA-BOONやKEYTALKを見た時に、いつかトリで見たいと思ったが、その日のトリのサカナクションとトリ前のゲスの極み乙女。を見て、この辺りを押し退けてトリまで行くのは本当に厳しいと思った。この日はトリが[Alexandros]で、トリ前がレキシ。翌日はトリがサカナクション。トリをやるには、まずはドロスやサカナクションのアルバムを超えるくらいのクオリティのアルバムを作らなくてはならない。個人的に現状ではその2組のアルバムを超えてるアルバムはまだこのバンドにはないだけに、これからこのフェスに来る全ての人がこのバンドがトリでも納得できるアルバムができるかどうか。
1.リコリス
2.Shala La
3.起死回生STORY
4.STARGET
5.ONE'S AGAIN
6.カンタンナコト
7.狂乱Hey Kids!!
8.5150
ONE'S AGAIN
https://youtu.be/T6z8MiYSqjk
12:10~ リーガルリリー [NEW BEAT SQUARE]
1番ライブハウスに近い規模のNEW BEAT SQUARE(だからこそ入場規制が頻発する)のトップバッターは、アジカンのトリビュートアルバムにも「ムスタング」で参加し、現在注目度急上昇中のスリーピースガールズバンド、リーガルリリー。
下手にドラムのゆきやま、中央にベースの白石はるか、そして上手にギター&ボーカルの高橋ほのかというスリーピースのガールズバンドとしてはやや特殊な配置のステージに着くと、高橋のギターが轟音を奏でながら、全国流通版「the Post」からの「ジョニー」でスタート。
「ブランコ」では最初のメロをリズム隊が演奏せずに高橋のギターとボーカルのみという削ぎ落とされた形なのだが、橋本絵莉子(チャットモンチー)や宮崎朝子(SHISHAMO)のような少女特有の可愛さを持った声というよりも、高くてはるかに透き通っていて儚さを感じさせる。その声がラブソングではなくストーリー性のある歌詞に実によくマッチしている。
7月に新作ミニアルバムをリリースすることをかなりたどたどしく発表し(このあたりは演奏している時はほとんど感じない初々しさや緊張を感じさせる)、そのミニアルバムに収録される、タイトルが何度も出て来る歌詞がキャッチーな「トランジスタラジオ」を演奏すると、
「今日、CDを持ってきてまして、サイン会もやりますんで、お金を落としたつもりで買っていただきたいです(笑)」
と、緊張というよりも天然さすら感じさせながら演奏されたのは、テレビ番組でプロデューサーの蔦谷好位置が紹介したことにより、動画の再生回数が凄まじいことになった「リッケンバッカー」。まさにそのリッケンバッカーから鳴る轟音サウンドからは、知識や経験を重ねることによって失ってしまう、ロックバンドにとって大事なものをこのバンドが持っていることを伝えてくれる。また、この手のガールズバンドは演奏がまだそこまでのレベルじゃないのにデビューするというパターンが多いが、このバンドは決して上手いわけではないが、CDの通りに演奏するんではなく、ライブではライブならではのアレンジを施しているため、より一層ライブを見たくなるという状態をすでに作り上げているという点も素晴らしい。さすがに高校時代から活動しているだけはある。
そしてラストは新作に収録される、タイトル通りに疾走感溢れるギターロック、「はしるこども」。見た目はこのフェスの会場内を歩いていても絶対気づかないくらいにどこにでもいそうな女の子たちだが、このバンドの「僕だけのロックンロール」がたくさんの人のためのロックンロールになる日はそう遠くない。
そして彼女たちが揃いの華やかな衣装でもハンドマイクを持って歌うのでもなく、楽器を手にしてロックバンドをやることを選んだというのが本当に嬉しい。ステージ袖でバンドを見守っていた、P青木(BAYCAMPの主催者にして、キュウソネコカミや水曜日のカンパネラのライブの総合プロデューサー)もそんな目をしていた。そういう人たちのためにも、リッケンバッカーで奏でられるこの音楽よ、人を生かせ。
1.ジョニー
2.ブランコ
3.トランジスタラジオ
4.リッケンバッカー
5.はしるこども
リッケンバッカー
https://youtu.be/V-lYzz5BNo0
13:00~ SPYAIR [WINDMILL FIELD]
すでにアリーナクラスの規模でワンマンをやっているものの、なかなかロックフェスでは名前を見ないバンドである。
メンバー全員が出てきてのリハで演奏されたのは、まさかのELLEGARDEN「Missing」。最近ライブでよくやっているという話だが、座っていたような初見の人をこの先制パンチで完全に掴んでみせた。
本番で白い衣装で統一されたメンバーが再びステージに登場すると、モニターに目を一直線に黒いラインで塗っているMOMIKEN(ベース)の姿が映るたびに驚きと歓声が上がる。やはりアウェー感が強いのは致し方ないな、と思っていたが、登場するなりすぐさま始まった、新たな旅立ちに向けたような「OVERLOAD」から一気にアクセル全開。
かつてはいきなりのツイッターでの脱退宣言で騒がせたりもしたIKEのボーカルはCDで聴いたイメージ通りに男らしい太さがあるが、逆にCDで聴いた時にボーカルが大きすぎて、小さくて物足りなく感じた楽器のサウンド(アニメのタイアップなどが多いからそういうバランスにしているのかもしれないが)が、サポートギターがいるとはいえ、ライブだと想像以上に力強い。そのサウンドに触発されて「現状ディストラクション」「ファイアスターター」という代表曲的な曲ではモッシュやサークルがいたるところで発生するという、アウェー感を一切感じることのない盛り上がりっぷりを見せる。
それまではハンドマイクで歌っていたIKEが装飾のついたマイクスタンドを手にすると、
「ちょっとバラードを1曲やってもいいですかね?ちょっとあんまりそういう曲は…っていう人はトイレに行ったりしていてください」
と言って「Be with」を歌い上げたのだが、この発言からは、あまり出演してはいないのに、フェスでバラードがあまりウケないという状況をキチンと把握しているように感じる。そしてそれをわかった上であえて歌う。そこには己のバラード曲への絶対的な自信があるはず。こう発言するということは、「バラードをフェスでやるのが怖い」と発言しているバンドがいるのも知っているはず。
ミクスチャーの要素を感じる「ROCKIN' OUT」、ラウドロックバンドとタメを張ってもおかしくない「RAGE OF DUST」と、ロックバンドとしての強度、ライブバンドとしての強さを見せつけるような曲が続くと、ラストの「サムライハート (Some Like It Hot!!!)」ではコーラスで大合唱を起こし、IKEはステージから降りて客席の柵に登って熱唱というパフォーマンスを見せ、初見の人にも大きなインパクトを残した。
この短い時間でも、フェスでしっかり勝てるバンドであるというのはハッキリとわかった。あとはそれをいかにCDに封じ込められるか。正直、ライブを見たことないロックを好きな人がCDを聴いても、ナメられてしまうところは多分にあると思うし、そこがなかなかこうしたフェスに来るロックファンに支持されていなかった理由でもあるだろう。
そして今回このフェスに出たというのは、UVERWORLDのようにこれからいろんなロックフェスに出て行くぞ、という意思表示なのだろうか。
1.OVERLOAD
2.現状ディストラクション
3.ファイアスターター
4.Be with
5.ROCKIN' OUT
6.RAGE OF DUST
7.イマジネーション
8.サムライハート (Some Like It Hot!!!)
RAGE OF DUST
https://youtu.be/iRcbfSZKxSs
13:40~ ぼくのりりっくのぼうよみ [NEW BEAT SQUARE]
現代っ子的なアプローチで様々な角度からの活動を見せている、ぼくのりりっくのぼうよみ。このフェス初出演にして、いきなり超満員。
キーボードとマニピュレーターという初ライブからサウンドを担っているメンバーに加え、ドラムとパーカッションという生音のリズム隊もステージに加わっており(弦楽器がいないあたりは「ギターの音がうるさく感じる」というこの人ならでは)、そこにぼくのりりっくのぼうよみ本人が登場。
「CITI」「sub/objective」というこれまでのライブでもおなじみの楽曲を、初ライブの時点で観客を驚かせた、ぼくりりの天才的と言っていい歌唱力でスムースにラップしていくのだが、やはりドラムとパーカッションが入ったことにより、去年見た時よりもライブ感が増しているし、歌を引き立てるようでもあるんだけど、歌のみに意識が集中しない、楽曲全体をしっかり見せれるようになっている。
「新しい曲を作りました~。もう聴いたことある人もいるかもしれません」
と言って演奏されたのは、すでに今年のアネッサのCMソングとして大量オンエアされている「SKY's the limit」。前にやった2曲も、
「全部くだらない これは歌詞に意味がある歌じゃない」
というフレーズが否応なしに耳を惹く「liar」やタイトル通りにノアの箱舟をテーマにした「Noah's Ark」も、この快晴の空の下で聴くにはあまりに重い曲たちなだけに、この「SKY's the limit」はこうした状況で唯一開放感を感じさせる曲になっている。きっとこれからいろんな夏フェスで響くことになるだろうだけに、去年のラブシャのようにこの人のライブ中に豪雨にはならないで欲しいところだが。
そしてラストはそれまでのそんな重さや開放感も全部ひっくるめて光を照らす「Sunrise」で満員の観客全員が手を左右に振るという景色を生み出した。
ただひたすらに歌が上手いという印象だった初ライブからちょうど一年ほど。編成が変わったりするのも、多くはないながらもライブを重ねて自身の音楽に最適な形を探していることの証明。頭が良すぎる人なだけに、見てる側がもっと驚くような編成でライブをするようになっても不思議ではない。
1.CITI
2.sub/objective
3.SKY's the limit
4.liar
5.Noah's Ark
6.Sunrise
SKY's the limit
https://youtu.be/OfCeHiQcM4E
14:30~ KEYTALK [WINDMILL FIELD]
今年も春からあらゆるフェスに出まくっているお祭り番長、KEYTALK。2年連続のメインステージへの出演である。
メンバー全員が出てきてのリハでは「桜花爛漫」(本編で毎回やってるイメージ)、「S.H.S.S.」を演奏すると、
「天気が良いから我慢できない!」
と、メンバーが演奏するthe band apart「Eric.W」に乗せて、巨匠が缶ビールを一気飲み。しかしながら本編で、この日巨匠はバイクで来ていたため、ノンアルコールビールであったことが種明かしされた。
本編では「桜花爛漫」とともに春らしさを感じさせる「FLAVOR FLAVOR」からスタート。巨匠と義勝のツインボーカルのハーモニーはいつにも増して両者とも高音の伸びが抜群だが、義勝はこの日は歌詞が飛ぶところが多く(声はよく出ていたので歌詞が飛んだだけだと思われる)、これは伸びてきた金髪がやたらと横ハネしていたのと関係があるのだろうか。
対照的に黒髪になった八木(ハゲ対策?)が軽快なリズムを刻むのは、かつてはバンドの代表曲的な存在だった「トラベリング」。自分がこのバンドを知ったのはこの曲が世に出たタイミングだっただけに、今ではあまりフェスではやらなくなってきたこの曲が聴けるのは嬉しいところ。
もう気分は完全に夏フェスにならざるを得ない「YURAMEKI SUMMER」で武正がギターを弾かない部分で踊っていると、続く「アワーワールド」ではさらに激しく踊りまくる。というかなぜ今この曲をフェスで?という気がしてならないが、こうしたいわゆるレア曲を1曲やるだけで毎回ライブを見ている人は飽きないし、何よりそういう曲をいつでもできる状態であるというのが本当にすごい。もしかしかたら練習しまくってるのかもしれないが、毎回毎回レア曲を練習するような時間はないはずなので、自然にできると考えるのが妥当だろう。
イントロでの義勝の力強いスラップベースが否が応でも踊らせる「MATSURI BAYASHI」では最近はギミックなしで演奏に徹し、武正のやたらと観客がどこから来たのかにこだわった「ぺーい」のコール&レスポンスから、いきなりEDM風に急展開する「Summer Venus」で夏モードをぶっ続ける。「PARADISE」のアルバム曲からはこの曲しかやらないというのも意外だったが。
とびきりポップかつセンチメンタルなラブソング「Love Me」の後はお待ちかねの「MONSTER DANCE」でMVのダンスをコピーする人が続出し、今年も踊らせまくりのメインステージとなった。
触れた通り、代表曲は抑えながらも毎回セトリを変えてくるバンドなだけに、見ていて飽きないし、毎度曲の幅の広さには感心してしまうが、この日は八木と武正の作った曲はやっていないだけに、それらの曲もフェスのセトリに入ってきたらさらに幅が広くなりそうだが、そうなってもとっ散らかった感じには全くならなそうなのは、メンバーそれぞれのキャラが曲にしっかり反映されているからだろう。実際に誰が作った曲なのかはかなりわかりやすい。
1.FLAVOR FLAVOR
2.トラベリング
3.YURAMEKI SUMMER
4.アワーワールド
5.MATSURI BAYASHI
6.Summer Venus
7.Love Me
8.MONSTER DANCE
Summer Venus
https://youtu.be/SkGhyHGH3-g
15:20~ BLUE ENCOUNT [SEASIDE PARK]
今年は幕張メッセでワンマンを行うなど、さらなる飛躍を見せているBLUE ENCOUNTが今年もSEASIDE PARKに登場。
「LAST HERO」から辻村(ベース)が煽りまくりのハイテンションな演奏を繰り広げ、田邊もそのハイテンションな演奏に負けないくらいに冒頭から声が本当によく出ている。
観客がタオルを振り回すことでおなじみの、日常をライブに変えてやるソング「LIVER」ではそのタオルを振り回す前に田邊が、
「フェスって有害だと思ってる人もいるじゃん?痴漢とか怪我とかもあるし。でもせっかく今日はAbema TVで生中継してるんだからさ、フェスって世界一平和な場所なんだってことを生中継見てる人たちに俺らが教えてやろうぜ!」
とフェスで育ってきた、勝ってきたバンドだからこそのフェスに対する思いを語ってタオルを掲げさせるも、
「THE ORAL CIGARETTESのタオルは今すぐ捨てて!(笑)」
と物販人気の高い仲間のバンドへのいじりも忘れない。
テンションが高いながらもテクニカルなプレーを繰り広げていた江口が学校のチャイムの音をギターで再現するのは、「THE END」収録の「スクールクラップ」。ひたすらに大合唱しながら暴れまくるはっちゃけソングだが、はっちゃけぶりが足りなかったのか田邊が
「首都・東京(そう言いたいだけ)、そんなもんか!?先週、俺たち大阪にも出たけど、大阪の方が凄かったぞ?もう1回この曲やるから、もっと声聞かせてくれ!」
と言うと、本当に「スクールクラップ」をもう1回やってしまう。フェスという短い持ち時間で同じ曲を2回もやるというのはもったいない部分もあるが、田邊の煽りの効果もあってか、1回目よりもさらなる盛り上がりを見せていた。
「去年はこのステージの半分くらいしか埋まらなかったけど、今年はこんなにたくさん来てくれて本当にありがとう!」
と感謝を述べ(動員力ならもはやメインステージに出てもおかしくないレベル)、感謝の気持ちを込めた「Never Ending Story」から、ラストは
「言葉なんかいらないんだよ!音楽で全て言いたいことは言うから!」
と、少し前まではその田邊のMCでの「言葉」が最大の武器であったバンドがあえてそこを出さず、自分たちの曲、音楽でこれからは勝負していくという姿勢を見せた「もっと光を」で大合唱を起こした。
毎回毎回熱すぎることを言ったり号泣したりしていたら、そのイメージが強くなりすぎて、1番大事な音楽が見えづらくなってしまう。そういう意味では非常に真っ当な方向性を選んだと言えるし、ますますこれから出す曲が重要になってくる。
1.LAST HERO
2.LIVER
3.DAY × DAY
4.スクールクラップ
5.スクールクラップ
6.Never Ending Story
7.もっと光を
LAST HERO
https://youtu.be/DubhkMshe0Y
16:00~ 9mm Parabellum Bullet [WINDMILL STAGE]
このフェスにおいては完全にレギュラーと言っていいくらいにおなじみの存在になっている9mm。この日もサポートに武田将幸(HERE)を加えた4人編成。
「Answer And Answer」から始まって「Discommunication」、武田が滝のコーラスパートも担う「The Revolutionary」という流れは代表曲というか鉄板曲の連発ではあるが、正直「JAPAN JAMのセトリからその日限りのセッションだった「どうにもとまらない」の代わりに「Discommunication」入れてくる感じかな」と思っていたら本当にその通りだった。滝がライブにいないだけにやれる曲が限られているとも思うが、前日のJとの2マンでは14曲もやっていたというし、かつての9mmはライブごとに明確なコンセプトを決め、そのコンセプトに沿った選曲でセトリを決めるバンドだった。その姿をずっと見てきたからこそ、最近のフェスでのこのセトリの変わらなさは少々厳しいものがある。特別な演出とかを使ったりすることのない、ひたすらにバンドの曲と演奏だけで勝負していくバンドなだけに。
それでもサポートの枠を飛び越えているレベルの武田の貢献っぷりと、ますます色気を増す卓郎の歌には感心してしまうが、このフェスではおなじみの存在とは思えないくらいに集客も厳しいものだった。(この日メインステージで明らかに最も人は少なかった)
このフェスは若手バンドが中心とはいえ、その若手バンドたちもほとんどがこれまでに9mmと何度も対バンしている(オーラルやブルエンに関してはメンバー同士で対談したりもしている)だけに、「知らないから見ない」ということでもないし、ファン層が違うということでもないだろうから、休憩時間になってしまっているのか。
そう考えると、すでにCDJではメインステージではなくなって2年が経っているし、9mmはもはや「世代交代される側」のバンドになっている。(それはチャットモンチーやBase Ball Bearら、これまで共にしのぎを削ってきた同世代バンドもそうだが)
ずっと見てきた身としてはなんとかそれに抗って欲しいし、卓郎が
「新しいアルバム「BABEL」を出しました。これまで9mmに衝撃を受けた人なら絶対に響くものがあるはず」
と言っていた通りに、アルバムが本当にこれまでの9mmのスタンダードをさらにアップデートするような内容だっただけに、まだまだここからいける、という感触を得ている。そのアルバムのツアーを経たら、フェスでのセトリも多少は毎回変わってくるのだろうか…。
1.Answer And Answer
2.Discommunication
3.The Revolutionary
4.反逆のマーチ
5.ガラスの街のアリス
6.ハートに火をつけて
7.Black Market Blues
8.新しい光
ガラスの街のアリス
https://youtu.be/uY-QrSbVRW8
16:40~ sumika [NEW BEAT SQUARE]
9mm終了後にすぐさま駆けつけたら完全なる入場規制により全く入れず、外でひたすらに音漏れを聴いているだけという状況になってしまった、sumika。
最初の「Lovers」からステージの外で音だけを聴いていたのだが、
「ずっと ずっと 離れぬように」
のフレーズを外で入場待ちしている人たちがみんなで口ずさんでいた。片岡はこの後に
「Abema TVで生中継もしてるけど、パソコンやスマホの画面では物足りなくてここまで来たんでしょう!?」
と言っていたが、まさに画面を見ているだけでは味わえない一体感を、ステージが見えないにもかかわらず感じることができた。
先日、バンドは「購入者が自由に価格を決めていい」(極論、1円でも買える)という、かつてミイラズがやった方法論で新作を発売したが(話題になるにつれてミイラズがどれだけ先を行っていたのかがよくわかる)、その告知をかねて、
「昔、友達に「いくら出したら親を売る?」って聞かれたことがあって。斬新だなぁって思って聞いてたんだけど、「俺はいくらでもいいから親を売りたいよ」ってそいつが言ってて…」
と過去の体験が今回の販売方式につながっていることを語ると、その新作に収録されている、この時期にぴったりな「春風」を披露。実にsumikaらしいポップな歌ものの曲である。(このあたりからようやく客席に入れた)
そして
「こうして目の前にいるあなたたちに言いたいのはただ一つ。「伝えたい」っていうこと!」
と言って最後に演奏されたのは「「伝言歌」」。演奏が終わってメンバーがステージを去る中、片岡は最後に
「一つ伝え忘れたことがありました…。愛してます!」
と叫んだ。これだけたくさんの人が自分たちの音楽を求めてくれたことが本当に嬉しかったんだろうし、踊ったり暴れたりというフィジカルに盛り上がる音楽が勝ちやすい大型フェスにおいて、ひたすらに歌を軸にした音楽でこれだけの支持を得ているのは、その歌を生かすメロディの良さにつきると思う。もちろん自分はフィジカルに楽しむような激しいバンドが好きなのは間違いないが、メレンゲやOverTheDogsなどの歌モノも好きなだけに、こういうバンドが人気を得ているのは素晴らしいことだと思う。
1.Lovers
2.MAGIC
3.ふっかつのじゅもん
4.春風
5.「伝言歌」
Lovers
https://youtu.be/FFITBgsyVr4
17:50~ レキシ [WINDMILL FIELD]
今や地上波のテレビ番組で特集が組まれるというくらいの現象になっているレキシ、すっかり日が落ちてきて涼しくなったメインステージに登場。
おなじみのレキシの幟がステージにひしめく中、法螺貝の音に導かれてメンバーと十二単姿の池ちゃんが登場すると、CDでは阿波の踊り子ことチャットモンチーをフィーチャーした「SHIKIBU」で早くも合唱を起こし、
「あ!飛行機が飛んでる!」
などちょいちょい池ちゃんが脱線しながら、「大奥ラビリンス」では
「違う曲やりたい!」
と言ってEarth & Wind,Fire「September」に曲が変わり、
「俺の曲より盛り上がってるやないか!」
という盛り上がりぶりに。
池ちゃんが俵を持ち出しての「年貢 for you」では
「年貢!年貢!年貢!」「一揆!一揆!一揆!」
の大合唱を起こし、「KMTR645」では蘇我入鹿に合わせてイルカのビニール人形が次々に客席に投入され、
「向こうの海までイルカを連れてって!」
と言ってどんどん客席後ろまでイルカが連れて行かれるも、曲が終わった瞬間にスタッフに回収されてしまい、海までは辿り着けず。
最新曲「KATOKU」で池ちゃんがキーボードを弾きまくると、
「ついにその持ってる稲穂を使う時間が来ましたよ!ただ稲穂をつなげて長くするな!それはもう稲穂じゃなくてススキだ!(笑)
あと[Alexandros]の時は稲穂振るなよ!アレキシサンドロスになっちゃうし、「ワタリドリ」も「イナホドリ」になっちゃうから!」
と笑わせまくりながらおなじみの「狩りから稲作へ」に入っていくのだが、曲中にもコール&レスポンスを挟みまくり、健介さん格さん(ギター)にミュージックステーションのテーマをギターで弾かせ、さらにはその繋がりでB'z「Ultra Soul」の稲穂バージョン「イナトラソウル」までもやってしまう。「ハイ!」の掛け声のところを観客がすぐに出来たのが面白かったのか、「イナトラソウル」はこの日10回くらい繰り返され、
「今日イチの一体感が出とるやないか!」
というくらいの盛り上がりっぷり。池ちゃんは勝手にB'zの曲を演奏したことにより、自身が消されることに怯えていたが(笑)
そして最後に演奏されたのはやはり、なぜか最近になって車のCMに使われた「きらきら武士」。気付けばフェスでレキシが7曲もやるという快挙。(普段この持ち時間だと4曲くらいで終わる)
なのでいつもよりは脱線しまくらなかったが、それでも本当に面白かったし、テレビで特集されるようになった今だからこそ、レキシの音楽の部分をしっかりと見せなくてはならない、という気持ちもあったのかもしれない。っていうのは考えすぎだろうか?
1.SHIKIBU
2.大奥ラビリンス
3.年貢 for you
4.KMTR645
5.KATOKU
6.狩りから稲作へ
7.きらきら武士
KATOKU
https://youtu.be/AlNmX5Y27vY
18:50~ 04 Limited Sazabys [SEASIDE PARK]
去年はYON FESを主催した後のタイミングにもかかわらず、1番小さいNEW BEAT SQUAREに出演した、フォーリミ。今年はこのSEASIDE PARKの初日のトリを務める。
おなじみのSEで完全に夜になったステージに4人が登場すると、いきなり普段は最後にやることも多い「swim」でのスタートとなり、「Warp」、GENのハイトーンボイスが綺麗に響く中、夜だからこそ照明が生きる「fiction」とライブでおなじみの曲を連発し、赤い髪色でおなじみのHIROKAZも煽りまくり、序盤から客席はモッシュ、ダイブ、サークルの嵐。
岡崎体育と被っている(NEW BEAT SQUAREのトリ)ことをやたらとネタにしながらも、この夜の時間にライブができることに感謝しながら、フェスでやるのは実に珍しい「eureka」からの歌謡的なエッセンスを含んだツービート「mahoroba」、夜の野外だからこそ映える「Night on」と、夜を意識したであろう曲が続くが、こうしてその時のシチュエーションに合わせてセトリを変えることができるのは本当に見事だし、その日がより一層特別な日に思える。
ダイバー続出の「monolith」から、
「名古屋から流星群を持ってきました!」
と言って大合唱を巻き起こした「midnight cruising」、
「大切なみんなにお手紙をしたためてきました!」
と言って暴れるだけでなく、歌詞にあるように温もりを感じさせる「Letter」と幅広くもあるが本当にテンポよく曲を連発していく。
「これは来年、WINDMILLあるんじゃないですか?」
と最初は含みを持たせるだけだったが、「Feel」を終えると、
「来年は風車の下で会いましょう!再会を祈って!」
と力強く宣言して最後に鳴らされたのは「Terminal」。GENのその宣言は間違いなく来年実現するし、このフェスは本当に一歩一歩階段を登らせるからこのステージだったが、なんなら今年もうWINDMILLでも良かったくらい。それくらいにフォーリミはすでにロックシーンを背負っている。それはもちろんYON FESを主催している立場だからというのもあるが、それも含めて今この若手世代を最も引っ張っているのはこのバンドだし、その状況はこれからさらに顕著になっていくはず。来年にはきっと、このフェスだけじゃなく、あらゆるフェスでメインステージに立ってる姿が観れるはずだ。
1.swim
2.Warp
3.fiction
4.mahoroba
5.Night on
6.monolith
7.midnight cruising
8.Letter
9.Feel
10.Terminal
swim
https://youtu.be/447cO8LTq9A
19:40~ [Alexandros] [WINDMILL FIELD]
去年は大トリだった[Alexandros]、今年は初日のトリとして再び夜のWINDMILL FIELDに登場。
しかし、サポートキーボードのROSEを含めたメンバーがステージに現れると、1人見慣れぬ髪型と髪色の男がいる。はてあれは?と思っていたら、マッシュから分ける髪型に変え、髪の半分ほどを緑色に染めた川上洋平であり、いきなりどよめきが起こる。
しかしながらいったんライブが始まってしまえば、「ワタリドリ」で伸びやかなボーカルを響かせるといういつもとなんら変わることのない[Alexandros]のライブである。
だがこの日は長いツアー明けで最初のライブであり、バンドにとって今年初のフェス参加ということでセトリが読めない状態だったが、「Kaiju」で川上のラップを連射したかと思えば「Claw」で早口ボーカルが飛び出すなど、ワンマンでインパクトの強かった映像などの演出こそないが、ツアーの流れのままに「EXIST!」の曲を多く含んだ内容となった。
そんな中に挟み込まれた「Kick & Spin」では川上がステージ下からメンバーを撮るカメラに向かって歌う姿がモニターに映し出されるとやはり大歓声が上がる。嫌味なくこういうことをやれるあたりが本当にこの男はロックスターだ。
この新木場の、しかも自然に囲まれた中で聴く機会が来るとは全く想像していなかった「Aoyama」もフェスで演奏するという、「EXIST!」で獲得したさらなる幅広さを見せつけると、「Run Away」では川上と白井がエフェクターを操作しまくり、ツアーでやっていたダンサブルなアレンジとなって披露される。
さらにそのままアウトロで徐々に「Starrrrrrr」へと変化し、そのアウトロがまた「ムーンソング」のイントロに変化するという、ツアー以上というようなアレンジを見せる。ツアーでやったのをそのままやるのではなくて、さらに進化させた形を見せてくれるのだから、ツアーに行ってもこうしてフェスでも見るしかない。
川上がかなり前からお世話になっているという主催者へ感謝の言葉を送ると、ラストは壮大な「NEW WALL」で大合唱を巻き起こして終了した。
アンコールでは川上が大胆に薄着になって登場して再び観客(主に女子)をどよめかせると、「Adventure」のコーラス部分を歌い始めたので、てっきり「Adventure」をやるのかと思いきや、演奏されたのはバンドのテンションの突き抜けっぷりを見せてくれた「Dracula La」、そして
「もう1曲やっていいですか!?」
と言ってトドメにこの会場に捧げるように「city」までも演奏され、最新の形もしっかり見せながらあまりライブを見たことがない人も完璧に満足させるというトリに相応しい素晴らしいライブをやってみせて初日を締めてみせた。
この日、THE ORAL CIGARETTESの山中が言っていたように、このフェスに出ている若手バンドの多くはこのステージのトリをいつかやりたいと思っているはず。しかし、そこに立つにはこのバンドを押し退けなくてはいけないが、バンドのグルーヴ、見せ方、楽曲のクオリティ、ボーカルの力やメンバーのスキルなど様々な面を考えてもそれは本当に難しい。それくらいにこのバンドは強い。その強さは年々向上しているだけに、付け入る隙がない。本当に恐ろしいバンドである。
1.ワタリドリ
2.Kaiju
3.Claw
4.Girl A
5.Kick & Spin
6.Aoyama
7.Run Away
8.Starrrrrrr
9.ムーンソング
10.NEW WALL
encore
11.Dracula La
12.city
ワタリドリ
https://youtu.be/O_DLtVuiqhI
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今年もステージは
WINDMILL FIELD
SEASIDE PARK
NEW BEAT SQUARE
の3つで、メインステージであるWINDMILL FIELDは被りなしで、SEASIDE PARKとNEW BEAT SQUAREは時間が被っているというタイムテーブルも毎年変わらない。
11時20分くらいに、このフェスではおなじみのテレ朝の女子アナの前説のあと、いよいよ開演。
11:30~ THE ORAL CIGARETTES [WINDMILL FIELD]
初出演時は1番小さいNEW BEAT SQUARE。それからついにこのメインステージにたどり着いた、THE ORAL CIGARETTES。
壮大なSEでメンバーが登場すると、最近フェスではSE扱いになりつつある、山中拓也の前口上に合わせて満員の観客が手を叩き、
「THE ORAL CIGARETTES、METROCKベストアクトはいただきますの会を始めます!」
と宣言し、大ヒットを記録した最新アルバム「UNOFFICIAL」からの「リコリス」「Shala La」の連発でスタートし、あきらかにあきらは軽快なステップを踏みながらベースを弾き、ステージもかなり暑いだろう中、鈴木重伸は今日も長い髪を振り乱しながら裸足でギターを弾きまくる。
「Hey!」のフレーズを観客が叫ぶ「起死回生STORY」から、満員の観客がタオルを振り回しまくる「STARGET」というライブではおなじみのキラーチューンを連発すると、山中が
「ずっとこの風車の下でやりたかったー!
僕ら今、25~26くらいの年齢で…。ごめん、サバ読んだ(笑)26~27くらいの年齢で。ドラムの人は無視してください(笑)
若手だから色々言われるんですけど、若手がシーンを変えていかないでどうするんですか!だから俺らは変なことばっかりやります。普通のことはしません」
と言って、VIVA LA ROCKの時と同様に、ファンを信頼しているから6月発売の新曲をCD発売前にダウンロードできることを語るのだが、若手バンドからの変革とするにはやはりこれだけではインパクトが弱い。先輩のバンドたちがインパクトありすぎることをやりまくってきているというのもあるし、すでに他のバンドたちも先にやっていることだからというのもある。だからこそ変革というのなら、もっと「あきらかにこれは今まで誰もやってない!」と思うことをやって欲しい。それができればこのバンドはさらに大きなステージへ踏み出せるはず。
その新曲こと「ONE'S AGAIN」はいきなり大合唱が起きる、この規模で鳴り響くべきアンセムで、このバンドが狙っている場所がどこなのかが一聴するだけでわかる。
山中がギターを下ろしてハンドマイクになると、ステージを動き回りながら歌う「カンタンナコト」、「狂乱Hey Kids!!」と続け、
「ようやくたどり着いたこのステージ。せっかくなので、このステージでトリができるまでバンド続けたいと思ってます!」
と力強く宣言してから、ラストは性急なギターがバンドの勢いと観客の熱狂を加速させる「5150」。
今の動員的には、このステージのトリをやってもなんの不思議もない。しかし、去年このメインステージでKANA-BOONやKEYTALKを見た時に、いつかトリで見たいと思ったが、その日のトリのサカナクションとトリ前のゲスの極み乙女。を見て、この辺りを押し退けてトリまで行くのは本当に厳しいと思った。この日はトリが[Alexandros]で、トリ前がレキシ。翌日はトリがサカナクション。トリをやるには、まずはドロスやサカナクションのアルバムを超えるくらいのクオリティのアルバムを作らなくてはならない。個人的に現状ではその2組のアルバムを超えてるアルバムはまだこのバンドにはないだけに、これからこのフェスに来る全ての人がこのバンドがトリでも納得できるアルバムができるかどうか。
1.リコリス
2.Shala La
3.起死回生STORY
4.STARGET
5.ONE'S AGAIN
6.カンタンナコト
7.狂乱Hey Kids!!
8.5150
ONE'S AGAIN
https://youtu.be/T6z8MiYSqjk
12:10~ リーガルリリー [NEW BEAT SQUARE]
1番ライブハウスに近い規模のNEW BEAT SQUARE(だからこそ入場規制が頻発する)のトップバッターは、アジカンのトリビュートアルバムにも「ムスタング」で参加し、現在注目度急上昇中のスリーピースガールズバンド、リーガルリリー。
下手にドラムのゆきやま、中央にベースの白石はるか、そして上手にギター&ボーカルの高橋ほのかというスリーピースのガールズバンドとしてはやや特殊な配置のステージに着くと、高橋のギターが轟音を奏でながら、全国流通版「the Post」からの「ジョニー」でスタート。
「ブランコ」では最初のメロをリズム隊が演奏せずに高橋のギターとボーカルのみという削ぎ落とされた形なのだが、橋本絵莉子(チャットモンチー)や宮崎朝子(SHISHAMO)のような少女特有の可愛さを持った声というよりも、高くてはるかに透き通っていて儚さを感じさせる。その声がラブソングではなくストーリー性のある歌詞に実によくマッチしている。
7月に新作ミニアルバムをリリースすることをかなりたどたどしく発表し(このあたりは演奏している時はほとんど感じない初々しさや緊張を感じさせる)、そのミニアルバムに収録される、タイトルが何度も出て来る歌詞がキャッチーな「トランジスタラジオ」を演奏すると、
「今日、CDを持ってきてまして、サイン会もやりますんで、お金を落としたつもりで買っていただきたいです(笑)」
と、緊張というよりも天然さすら感じさせながら演奏されたのは、テレビ番組でプロデューサーの蔦谷好位置が紹介したことにより、動画の再生回数が凄まじいことになった「リッケンバッカー」。まさにそのリッケンバッカーから鳴る轟音サウンドからは、知識や経験を重ねることによって失ってしまう、ロックバンドにとって大事なものをこのバンドが持っていることを伝えてくれる。また、この手のガールズバンドは演奏がまだそこまでのレベルじゃないのにデビューするというパターンが多いが、このバンドは決して上手いわけではないが、CDの通りに演奏するんではなく、ライブではライブならではのアレンジを施しているため、より一層ライブを見たくなるという状態をすでに作り上げているという点も素晴らしい。さすがに高校時代から活動しているだけはある。
そしてラストは新作に収録される、タイトル通りに疾走感溢れるギターロック、「はしるこども」。見た目はこのフェスの会場内を歩いていても絶対気づかないくらいにどこにでもいそうな女の子たちだが、このバンドの「僕だけのロックンロール」がたくさんの人のためのロックンロールになる日はそう遠くない。
そして彼女たちが揃いの華やかな衣装でもハンドマイクを持って歌うのでもなく、楽器を手にしてロックバンドをやることを選んだというのが本当に嬉しい。ステージ袖でバンドを見守っていた、P青木(BAYCAMPの主催者にして、キュウソネコカミや水曜日のカンパネラのライブの総合プロデューサー)もそんな目をしていた。そういう人たちのためにも、リッケンバッカーで奏でられるこの音楽よ、人を生かせ。
1.ジョニー
2.ブランコ
3.トランジスタラジオ
4.リッケンバッカー
5.はしるこども
リッケンバッカー
https://youtu.be/V-lYzz5BNo0
13:00~ SPYAIR [WINDMILL FIELD]
すでにアリーナクラスの規模でワンマンをやっているものの、なかなかロックフェスでは名前を見ないバンドである。
メンバー全員が出てきてのリハで演奏されたのは、まさかのELLEGARDEN「Missing」。最近ライブでよくやっているという話だが、座っていたような初見の人をこの先制パンチで完全に掴んでみせた。
本番で白い衣装で統一されたメンバーが再びステージに登場すると、モニターに目を一直線に黒いラインで塗っているMOMIKEN(ベース)の姿が映るたびに驚きと歓声が上がる。やはりアウェー感が強いのは致し方ないな、と思っていたが、登場するなりすぐさま始まった、新たな旅立ちに向けたような「OVERLOAD」から一気にアクセル全開。
かつてはいきなりのツイッターでの脱退宣言で騒がせたりもしたIKEのボーカルはCDで聴いたイメージ通りに男らしい太さがあるが、逆にCDで聴いた時にボーカルが大きすぎて、小さくて物足りなく感じた楽器のサウンド(アニメのタイアップなどが多いからそういうバランスにしているのかもしれないが)が、サポートギターがいるとはいえ、ライブだと想像以上に力強い。そのサウンドに触発されて「現状ディストラクション」「ファイアスターター」という代表曲的な曲ではモッシュやサークルがいたるところで発生するという、アウェー感を一切感じることのない盛り上がりっぷりを見せる。
それまではハンドマイクで歌っていたIKEが装飾のついたマイクスタンドを手にすると、
「ちょっとバラードを1曲やってもいいですかね?ちょっとあんまりそういう曲は…っていう人はトイレに行ったりしていてください」
と言って「Be with」を歌い上げたのだが、この発言からは、あまり出演してはいないのに、フェスでバラードがあまりウケないという状況をキチンと把握しているように感じる。そしてそれをわかった上であえて歌う。そこには己のバラード曲への絶対的な自信があるはず。こう発言するということは、「バラードをフェスでやるのが怖い」と発言しているバンドがいるのも知っているはず。
ミクスチャーの要素を感じる「ROCKIN' OUT」、ラウドロックバンドとタメを張ってもおかしくない「RAGE OF DUST」と、ロックバンドとしての強度、ライブバンドとしての強さを見せつけるような曲が続くと、ラストの「サムライハート (Some Like It Hot!!!)」ではコーラスで大合唱を起こし、IKEはステージから降りて客席の柵に登って熱唱というパフォーマンスを見せ、初見の人にも大きなインパクトを残した。
この短い時間でも、フェスでしっかり勝てるバンドであるというのはハッキリとわかった。あとはそれをいかにCDに封じ込められるか。正直、ライブを見たことないロックを好きな人がCDを聴いても、ナメられてしまうところは多分にあると思うし、そこがなかなかこうしたフェスに来るロックファンに支持されていなかった理由でもあるだろう。
そして今回このフェスに出たというのは、UVERWORLDのようにこれからいろんなロックフェスに出て行くぞ、という意思表示なのだろうか。
1.OVERLOAD
2.現状ディストラクション
3.ファイアスターター
4.Be with
5.ROCKIN' OUT
6.RAGE OF DUST
7.イマジネーション
8.サムライハート (Some Like It Hot!!!)
RAGE OF DUST
https://youtu.be/iRcbfSZKxSs
13:40~ ぼくのりりっくのぼうよみ [NEW BEAT SQUARE]
現代っ子的なアプローチで様々な角度からの活動を見せている、ぼくのりりっくのぼうよみ。このフェス初出演にして、いきなり超満員。
キーボードとマニピュレーターという初ライブからサウンドを担っているメンバーに加え、ドラムとパーカッションという生音のリズム隊もステージに加わっており(弦楽器がいないあたりは「ギターの音がうるさく感じる」というこの人ならでは)、そこにぼくのりりっくのぼうよみ本人が登場。
「CITI」「sub/objective」というこれまでのライブでもおなじみの楽曲を、初ライブの時点で観客を驚かせた、ぼくりりの天才的と言っていい歌唱力でスムースにラップしていくのだが、やはりドラムとパーカッションが入ったことにより、去年見た時よりもライブ感が増しているし、歌を引き立てるようでもあるんだけど、歌のみに意識が集中しない、楽曲全体をしっかり見せれるようになっている。
「新しい曲を作りました~。もう聴いたことある人もいるかもしれません」
と言って演奏されたのは、すでに今年のアネッサのCMソングとして大量オンエアされている「SKY's the limit」。前にやった2曲も、
「全部くだらない これは歌詞に意味がある歌じゃない」
というフレーズが否応なしに耳を惹く「liar」やタイトル通りにノアの箱舟をテーマにした「Noah's Ark」も、この快晴の空の下で聴くにはあまりに重い曲たちなだけに、この「SKY's the limit」はこうした状況で唯一開放感を感じさせる曲になっている。きっとこれからいろんな夏フェスで響くことになるだろうだけに、去年のラブシャのようにこの人のライブ中に豪雨にはならないで欲しいところだが。
そしてラストはそれまでのそんな重さや開放感も全部ひっくるめて光を照らす「Sunrise」で満員の観客全員が手を左右に振るという景色を生み出した。
ただひたすらに歌が上手いという印象だった初ライブからちょうど一年ほど。編成が変わったりするのも、多くはないながらもライブを重ねて自身の音楽に最適な形を探していることの証明。頭が良すぎる人なだけに、見てる側がもっと驚くような編成でライブをするようになっても不思議ではない。
1.CITI
2.sub/objective
3.SKY's the limit
4.liar
5.Noah's Ark
6.Sunrise
SKY's the limit
https://youtu.be/OfCeHiQcM4E
14:30~ KEYTALK [WINDMILL FIELD]
今年も春からあらゆるフェスに出まくっているお祭り番長、KEYTALK。2年連続のメインステージへの出演である。
メンバー全員が出てきてのリハでは「桜花爛漫」(本編で毎回やってるイメージ)、「S.H.S.S.」を演奏すると、
「天気が良いから我慢できない!」
と、メンバーが演奏するthe band apart「Eric.W」に乗せて、巨匠が缶ビールを一気飲み。しかしながら本編で、この日巨匠はバイクで来ていたため、ノンアルコールビールであったことが種明かしされた。
本編では「桜花爛漫」とともに春らしさを感じさせる「FLAVOR FLAVOR」からスタート。巨匠と義勝のツインボーカルのハーモニーはいつにも増して両者とも高音の伸びが抜群だが、義勝はこの日は歌詞が飛ぶところが多く(声はよく出ていたので歌詞が飛んだだけだと思われる)、これは伸びてきた金髪がやたらと横ハネしていたのと関係があるのだろうか。
対照的に黒髪になった八木(ハゲ対策?)が軽快なリズムを刻むのは、かつてはバンドの代表曲的な存在だった「トラベリング」。自分がこのバンドを知ったのはこの曲が世に出たタイミングだっただけに、今ではあまりフェスではやらなくなってきたこの曲が聴けるのは嬉しいところ。
もう気分は完全に夏フェスにならざるを得ない「YURAMEKI SUMMER」で武正がギターを弾かない部分で踊っていると、続く「アワーワールド」ではさらに激しく踊りまくる。というかなぜ今この曲をフェスで?という気がしてならないが、こうしたいわゆるレア曲を1曲やるだけで毎回ライブを見ている人は飽きないし、何よりそういう曲をいつでもできる状態であるというのが本当にすごい。もしかしかたら練習しまくってるのかもしれないが、毎回毎回レア曲を練習するような時間はないはずなので、自然にできると考えるのが妥当だろう。
イントロでの義勝の力強いスラップベースが否が応でも踊らせる「MATSURI BAYASHI」では最近はギミックなしで演奏に徹し、武正のやたらと観客がどこから来たのかにこだわった「ぺーい」のコール&レスポンスから、いきなりEDM風に急展開する「Summer Venus」で夏モードをぶっ続ける。「PARADISE」のアルバム曲からはこの曲しかやらないというのも意外だったが。
とびきりポップかつセンチメンタルなラブソング「Love Me」の後はお待ちかねの「MONSTER DANCE」でMVのダンスをコピーする人が続出し、今年も踊らせまくりのメインステージとなった。
触れた通り、代表曲は抑えながらも毎回セトリを変えてくるバンドなだけに、見ていて飽きないし、毎度曲の幅の広さには感心してしまうが、この日は八木と武正の作った曲はやっていないだけに、それらの曲もフェスのセトリに入ってきたらさらに幅が広くなりそうだが、そうなってもとっ散らかった感じには全くならなそうなのは、メンバーそれぞれのキャラが曲にしっかり反映されているからだろう。実際に誰が作った曲なのかはかなりわかりやすい。
1.FLAVOR FLAVOR
2.トラベリング
3.YURAMEKI SUMMER
4.アワーワールド
5.MATSURI BAYASHI
6.Summer Venus
7.Love Me
8.MONSTER DANCE
Summer Venus
https://youtu.be/SkGhyHGH3-g
15:20~ BLUE ENCOUNT [SEASIDE PARK]
今年は幕張メッセでワンマンを行うなど、さらなる飛躍を見せているBLUE ENCOUNTが今年もSEASIDE PARKに登場。
「LAST HERO」から辻村(ベース)が煽りまくりのハイテンションな演奏を繰り広げ、田邊もそのハイテンションな演奏に負けないくらいに冒頭から声が本当によく出ている。
観客がタオルを振り回すことでおなじみの、日常をライブに変えてやるソング「LIVER」ではそのタオルを振り回す前に田邊が、
「フェスって有害だと思ってる人もいるじゃん?痴漢とか怪我とかもあるし。でもせっかく今日はAbema TVで生中継してるんだからさ、フェスって世界一平和な場所なんだってことを生中継見てる人たちに俺らが教えてやろうぜ!」
とフェスで育ってきた、勝ってきたバンドだからこそのフェスに対する思いを語ってタオルを掲げさせるも、
「THE ORAL CIGARETTESのタオルは今すぐ捨てて!(笑)」
と物販人気の高い仲間のバンドへのいじりも忘れない。
テンションが高いながらもテクニカルなプレーを繰り広げていた江口が学校のチャイムの音をギターで再現するのは、「THE END」収録の「スクールクラップ」。ひたすらに大合唱しながら暴れまくるはっちゃけソングだが、はっちゃけぶりが足りなかったのか田邊が
「首都・東京(そう言いたいだけ)、そんなもんか!?先週、俺たち大阪にも出たけど、大阪の方が凄かったぞ?もう1回この曲やるから、もっと声聞かせてくれ!」
と言うと、本当に「スクールクラップ」をもう1回やってしまう。フェスという短い持ち時間で同じ曲を2回もやるというのはもったいない部分もあるが、田邊の煽りの効果もあってか、1回目よりもさらなる盛り上がりを見せていた。
「去年はこのステージの半分くらいしか埋まらなかったけど、今年はこんなにたくさん来てくれて本当にありがとう!」
と感謝を述べ(動員力ならもはやメインステージに出てもおかしくないレベル)、感謝の気持ちを込めた「Never Ending Story」から、ラストは
「言葉なんかいらないんだよ!音楽で全て言いたいことは言うから!」
と、少し前まではその田邊のMCでの「言葉」が最大の武器であったバンドがあえてそこを出さず、自分たちの曲、音楽でこれからは勝負していくという姿勢を見せた「もっと光を」で大合唱を起こした。
毎回毎回熱すぎることを言ったり号泣したりしていたら、そのイメージが強くなりすぎて、1番大事な音楽が見えづらくなってしまう。そういう意味では非常に真っ当な方向性を選んだと言えるし、ますますこれから出す曲が重要になってくる。
1.LAST HERO
2.LIVER
3.DAY × DAY
4.スクールクラップ
5.スクールクラップ
6.Never Ending Story
7.もっと光を
LAST HERO
https://youtu.be/DubhkMshe0Y
16:00~ 9mm Parabellum Bullet [WINDMILL STAGE]
このフェスにおいては完全にレギュラーと言っていいくらいにおなじみの存在になっている9mm。この日もサポートに武田将幸(HERE)を加えた4人編成。
「Answer And Answer」から始まって「Discommunication」、武田が滝のコーラスパートも担う「The Revolutionary」という流れは代表曲というか鉄板曲の連発ではあるが、正直「JAPAN JAMのセトリからその日限りのセッションだった「どうにもとまらない」の代わりに「Discommunication」入れてくる感じかな」と思っていたら本当にその通りだった。滝がライブにいないだけにやれる曲が限られているとも思うが、前日のJとの2マンでは14曲もやっていたというし、かつての9mmはライブごとに明確なコンセプトを決め、そのコンセプトに沿った選曲でセトリを決めるバンドだった。その姿をずっと見てきたからこそ、最近のフェスでのこのセトリの変わらなさは少々厳しいものがある。特別な演出とかを使ったりすることのない、ひたすらにバンドの曲と演奏だけで勝負していくバンドなだけに。
それでもサポートの枠を飛び越えているレベルの武田の貢献っぷりと、ますます色気を増す卓郎の歌には感心してしまうが、このフェスではおなじみの存在とは思えないくらいに集客も厳しいものだった。(この日メインステージで明らかに最も人は少なかった)
このフェスは若手バンドが中心とはいえ、その若手バンドたちもほとんどがこれまでに9mmと何度も対バンしている(オーラルやブルエンに関してはメンバー同士で対談したりもしている)だけに、「知らないから見ない」ということでもないし、ファン層が違うということでもないだろうから、休憩時間になってしまっているのか。
そう考えると、すでにCDJではメインステージではなくなって2年が経っているし、9mmはもはや「世代交代される側」のバンドになっている。(それはチャットモンチーやBase Ball Bearら、これまで共にしのぎを削ってきた同世代バンドもそうだが)
ずっと見てきた身としてはなんとかそれに抗って欲しいし、卓郎が
「新しいアルバム「BABEL」を出しました。これまで9mmに衝撃を受けた人なら絶対に響くものがあるはず」
と言っていた通りに、アルバムが本当にこれまでの9mmのスタンダードをさらにアップデートするような内容だっただけに、まだまだここからいける、という感触を得ている。そのアルバムのツアーを経たら、フェスでのセトリも多少は毎回変わってくるのだろうか…。
1.Answer And Answer
2.Discommunication
3.The Revolutionary
4.反逆のマーチ
5.ガラスの街のアリス
6.ハートに火をつけて
7.Black Market Blues
8.新しい光
ガラスの街のアリス
https://youtu.be/uY-QrSbVRW8
16:40~ sumika [NEW BEAT SQUARE]
9mm終了後にすぐさま駆けつけたら完全なる入場規制により全く入れず、外でひたすらに音漏れを聴いているだけという状況になってしまった、sumika。
最初の「Lovers」からステージの外で音だけを聴いていたのだが、
「ずっと ずっと 離れぬように」
のフレーズを外で入場待ちしている人たちがみんなで口ずさんでいた。片岡はこの後に
「Abema TVで生中継もしてるけど、パソコンやスマホの画面では物足りなくてここまで来たんでしょう!?」
と言っていたが、まさに画面を見ているだけでは味わえない一体感を、ステージが見えないにもかかわらず感じることができた。
先日、バンドは「購入者が自由に価格を決めていい」(極論、1円でも買える)という、かつてミイラズがやった方法論で新作を発売したが(話題になるにつれてミイラズがどれだけ先を行っていたのかがよくわかる)、その告知をかねて、
「昔、友達に「いくら出したら親を売る?」って聞かれたことがあって。斬新だなぁって思って聞いてたんだけど、「俺はいくらでもいいから親を売りたいよ」ってそいつが言ってて…」
と過去の体験が今回の販売方式につながっていることを語ると、その新作に収録されている、この時期にぴったりな「春風」を披露。実にsumikaらしいポップな歌ものの曲である。(このあたりからようやく客席に入れた)
そして
「こうして目の前にいるあなたたちに言いたいのはただ一つ。「伝えたい」っていうこと!」
と言って最後に演奏されたのは「「伝言歌」」。演奏が終わってメンバーがステージを去る中、片岡は最後に
「一つ伝え忘れたことがありました…。愛してます!」
と叫んだ。これだけたくさんの人が自分たちの音楽を求めてくれたことが本当に嬉しかったんだろうし、踊ったり暴れたりというフィジカルに盛り上がる音楽が勝ちやすい大型フェスにおいて、ひたすらに歌を軸にした音楽でこれだけの支持を得ているのは、その歌を生かすメロディの良さにつきると思う。もちろん自分はフィジカルに楽しむような激しいバンドが好きなのは間違いないが、メレンゲやOverTheDogsなどの歌モノも好きなだけに、こういうバンドが人気を得ているのは素晴らしいことだと思う。
1.Lovers
2.MAGIC
3.ふっかつのじゅもん
4.春風
5.「伝言歌」
Lovers
https://youtu.be/FFITBgsyVr4
17:50~ レキシ [WINDMILL FIELD]
今や地上波のテレビ番組で特集が組まれるというくらいの現象になっているレキシ、すっかり日が落ちてきて涼しくなったメインステージに登場。
おなじみのレキシの幟がステージにひしめく中、法螺貝の音に導かれてメンバーと十二単姿の池ちゃんが登場すると、CDでは阿波の踊り子ことチャットモンチーをフィーチャーした「SHIKIBU」で早くも合唱を起こし、
「あ!飛行機が飛んでる!」
などちょいちょい池ちゃんが脱線しながら、「大奥ラビリンス」では
「違う曲やりたい!」
と言ってEarth & Wind,Fire「September」に曲が変わり、
「俺の曲より盛り上がってるやないか!」
という盛り上がりぶりに。
池ちゃんが俵を持ち出しての「年貢 for you」では
「年貢!年貢!年貢!」「一揆!一揆!一揆!」
の大合唱を起こし、「KMTR645」では蘇我入鹿に合わせてイルカのビニール人形が次々に客席に投入され、
「向こうの海までイルカを連れてって!」
と言ってどんどん客席後ろまでイルカが連れて行かれるも、曲が終わった瞬間にスタッフに回収されてしまい、海までは辿り着けず。
最新曲「KATOKU」で池ちゃんがキーボードを弾きまくると、
「ついにその持ってる稲穂を使う時間が来ましたよ!ただ稲穂をつなげて長くするな!それはもう稲穂じゃなくてススキだ!(笑)
あと[Alexandros]の時は稲穂振るなよ!アレキシサンドロスになっちゃうし、「ワタリドリ」も「イナホドリ」になっちゃうから!」
と笑わせまくりながらおなじみの「狩りから稲作へ」に入っていくのだが、曲中にもコール&レスポンスを挟みまくり、健介さん格さん(ギター)にミュージックステーションのテーマをギターで弾かせ、さらにはその繋がりでB'z「Ultra Soul」の稲穂バージョン「イナトラソウル」までもやってしまう。「ハイ!」の掛け声のところを観客がすぐに出来たのが面白かったのか、「イナトラソウル」はこの日10回くらい繰り返され、
「今日イチの一体感が出とるやないか!」
というくらいの盛り上がりっぷり。池ちゃんは勝手にB'zの曲を演奏したことにより、自身が消されることに怯えていたが(笑)
そして最後に演奏されたのはやはり、なぜか最近になって車のCMに使われた「きらきら武士」。気付けばフェスでレキシが7曲もやるという快挙。(普段この持ち時間だと4曲くらいで終わる)
なのでいつもよりは脱線しまくらなかったが、それでも本当に面白かったし、テレビで特集されるようになった今だからこそ、レキシの音楽の部分をしっかりと見せなくてはならない、という気持ちもあったのかもしれない。っていうのは考えすぎだろうか?
1.SHIKIBU
2.大奥ラビリンス
3.年貢 for you
4.KMTR645
5.KATOKU
6.狩りから稲作へ
7.きらきら武士
KATOKU
https://youtu.be/AlNmX5Y27vY
18:50~ 04 Limited Sazabys [SEASIDE PARK]
去年はYON FESを主催した後のタイミングにもかかわらず、1番小さいNEW BEAT SQUAREに出演した、フォーリミ。今年はこのSEASIDE PARKの初日のトリを務める。
おなじみのSEで完全に夜になったステージに4人が登場すると、いきなり普段は最後にやることも多い「swim」でのスタートとなり、「Warp」、GENのハイトーンボイスが綺麗に響く中、夜だからこそ照明が生きる「fiction」とライブでおなじみの曲を連発し、赤い髪色でおなじみのHIROKAZも煽りまくり、序盤から客席はモッシュ、ダイブ、サークルの嵐。
岡崎体育と被っている(NEW BEAT SQUAREのトリ)ことをやたらとネタにしながらも、この夜の時間にライブができることに感謝しながら、フェスでやるのは実に珍しい「eureka」からの歌謡的なエッセンスを含んだツービート「mahoroba」、夜の野外だからこそ映える「Night on」と、夜を意識したであろう曲が続くが、こうしてその時のシチュエーションに合わせてセトリを変えることができるのは本当に見事だし、その日がより一層特別な日に思える。
ダイバー続出の「monolith」から、
「名古屋から流星群を持ってきました!」
と言って大合唱を巻き起こした「midnight cruising」、
「大切なみんなにお手紙をしたためてきました!」
と言って暴れるだけでなく、歌詞にあるように温もりを感じさせる「Letter」と幅広くもあるが本当にテンポよく曲を連発していく。
「これは来年、WINDMILLあるんじゃないですか?」
と最初は含みを持たせるだけだったが、「Feel」を終えると、
「来年は風車の下で会いましょう!再会を祈って!」
と力強く宣言して最後に鳴らされたのは「Terminal」。GENのその宣言は間違いなく来年実現するし、このフェスは本当に一歩一歩階段を登らせるからこのステージだったが、なんなら今年もうWINDMILLでも良かったくらい。それくらいにフォーリミはすでにロックシーンを背負っている。それはもちろんYON FESを主催している立場だからというのもあるが、それも含めて今この若手世代を最も引っ張っているのはこのバンドだし、その状況はこれからさらに顕著になっていくはず。来年にはきっと、このフェスだけじゃなく、あらゆるフェスでメインステージに立ってる姿が観れるはずだ。
1.swim
2.Warp
3.fiction
4.mahoroba
5.Night on
6.monolith
7.midnight cruising
8.Letter
9.Feel
10.Terminal
swim
https://youtu.be/447cO8LTq9A
19:40~ [Alexandros] [WINDMILL FIELD]
去年は大トリだった[Alexandros]、今年は初日のトリとして再び夜のWINDMILL FIELDに登場。
しかし、サポートキーボードのROSEを含めたメンバーがステージに現れると、1人見慣れぬ髪型と髪色の男がいる。はてあれは?と思っていたら、マッシュから分ける髪型に変え、髪の半分ほどを緑色に染めた川上洋平であり、いきなりどよめきが起こる。
しかしながらいったんライブが始まってしまえば、「ワタリドリ」で伸びやかなボーカルを響かせるといういつもとなんら変わることのない[Alexandros]のライブである。
だがこの日は長いツアー明けで最初のライブであり、バンドにとって今年初のフェス参加ということでセトリが読めない状態だったが、「Kaiju」で川上のラップを連射したかと思えば「Claw」で早口ボーカルが飛び出すなど、ワンマンでインパクトの強かった映像などの演出こそないが、ツアーの流れのままに「EXIST!」の曲を多く含んだ内容となった。
そんな中に挟み込まれた「Kick & Spin」では川上がステージ下からメンバーを撮るカメラに向かって歌う姿がモニターに映し出されるとやはり大歓声が上がる。嫌味なくこういうことをやれるあたりが本当にこの男はロックスターだ。
この新木場の、しかも自然に囲まれた中で聴く機会が来るとは全く想像していなかった「Aoyama」もフェスで演奏するという、「EXIST!」で獲得したさらなる幅広さを見せつけると、「Run Away」では川上と白井がエフェクターを操作しまくり、ツアーでやっていたダンサブルなアレンジとなって披露される。
さらにそのままアウトロで徐々に「Starrrrrrr」へと変化し、そのアウトロがまた「ムーンソング」のイントロに変化するという、ツアー以上というようなアレンジを見せる。ツアーでやったのをそのままやるのではなくて、さらに進化させた形を見せてくれるのだから、ツアーに行ってもこうしてフェスでも見るしかない。
川上がかなり前からお世話になっているという主催者へ感謝の言葉を送ると、ラストは壮大な「NEW WALL」で大合唱を巻き起こして終了した。
アンコールでは川上が大胆に薄着になって登場して再び観客(主に女子)をどよめかせると、「Adventure」のコーラス部分を歌い始めたので、てっきり「Adventure」をやるのかと思いきや、演奏されたのはバンドのテンションの突き抜けっぷりを見せてくれた「Dracula La」、そして
「もう1曲やっていいですか!?」
と言ってトドメにこの会場に捧げるように「city」までも演奏され、最新の形もしっかり見せながらあまりライブを見たことがない人も完璧に満足させるというトリに相応しい素晴らしいライブをやってみせて初日を締めてみせた。
この日、THE ORAL CIGARETTESの山中が言っていたように、このフェスに出ている若手バンドの多くはこのステージのトリをいつかやりたいと思っているはず。しかし、そこに立つにはこのバンドを押し退けなくてはいけないが、バンドのグルーヴ、見せ方、楽曲のクオリティ、ボーカルの力やメンバーのスキルなど様々な面を考えてもそれは本当に難しい。それくらいにこのバンドは強い。その強さは年々向上しているだけに、付け入る隙がない。本当に恐ろしいバンドである。
1.ワタリドリ
2.Kaiju
3.Claw
4.Girl A
5.Kick & Spin
6.Aoyama
7.Run Away
8.Starrrrrrr
9.ムーンソング
10.NEW WALL
encore
11.Dracula La
12.city
ワタリドリ
https://youtu.be/O_DLtVuiqhI
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