JAPAN JAM 2017 @蘇我スポーツ公園 5/6
- 2017/05/07
- 17:22
これまで2010年の富士スピードウェイに始まり、幕張メッセ、新木場STUDIO COAST、幕張海浜公園と場所を移しながら開催されてきた春フェス、JAPAN JAM。今年は場所を千葉県は蘇我にあるスポーツ公園に移して開催。
会場の蘇我スポーツ公園は野球場にサッカー場、さらにはプロのサッカーチームが使うアリーナスタジアムまでもあるという、駅から徒歩7分という立地を考えると驚異的な広さ。アリーナを取り囲むように飲食ブースが並んでおり、アリーナの中は休憩所として利用されている。
SKY STAGE
SUNSET STAGE
LOTUS STAGE
の3ステージ構成で、会場の真ん中に位置するSKY STAGEは被りなしでSUNSET STAGEとLOTUS STAGEが被っているというのは去年までのBEACHと変わらずだが、SUNSETとLOTUSは地面が人工芝(よって水と無糖のお茶しかステージ内に持ち込めない)であり、客席後方では気持ちよさそうに寝転がったりしているが、地面が土であるSKYはこの日風が強かったこともあり、砂埃が大量に舞い上がるのがかなりキツい。
11:30~ THE STARBEMS [SUNSET STAGE]
ロッキンオン社長の渋谷陽一が「このフェスをずっと手伝ってくれている盟友」と紹介した、ヒダカトオル率いる、THE STARBEMS。去年は出演するはずだった日が強風の影響で中止になったため、久しぶりの出演になる。また、千葉出身であるヒダカは凱旋ライブでもある。
「Masterpiece」からヒダカトオルがハンドマイクで歌うファストなラウドロックを次々と演奏していくのだが、
「SIRENT SILENが見たかったー!」
と同じ時間に被ってしまったSIRENT SILENのライブが見たかったことを打ち明けるヒダカ。「Born To Lose」ではミクスチャーを取り入れたりとラウドでありながらもさすがの音楽的知識と引き出しの多さに裏打ちされた幅広さを見せると、この日のスペシャルゲストである新人シンガーソングライターのカノエラナをステージに呼び込む。
「ラナちゃんのお母さんが俺と同い年(笑)インスタでたまに愛人のようなコメントを送りあってる(笑)」
という関係性をうかがわせると、アヴリル・ラヴィーンの「Sk8er Boi」のカバーでカノエラナがパワフルなボーカルを見せ、このバンドではほとんどギターを弾くことがないヒダカもギターを弾き、もともとツインギターの音がさらに分厚くなる。
そしてこの日のコラボが実現した最大の理由であろう、7月にリリースされるカノエラナの新作ミニアルバムに収録される、ヒダカがプロデュースした新曲を披露するのだが、
「巨乳に下剋上する貧乳女子の歌」
というこの曲は、
「A B C D E F G あなたが好きなの何カップ?」
という衝撃的な歌詞の曲で、1度聴いたら忘れられないインパクトを残してカノエラナはステージを去っていった。
ボーイッシュでパンキッシュなシンガーソングライターというのはこれまでにも現れてはいつの間にかいなくなっているという人が多かっただけに、果たしてこれからシーンをサバイブしていけるだろうか。今回の新曲は本当にインパクトは最大級だが。
その後は再びTHE STARBEMSのみになり、タイトル通りにニューウェーブ色の強い「NEW WAVE」からラストの「Holdin' On」では観客に合唱を巻き起こさせ、
「どうせお前らSTARBEMS全然人いなかった、とか書くんだろ!(笑) SNSを信じるな!(笑)」
と自虐して笑わせながら、
「ありがとう蘇我!また必ず帰ってくる!」
と言って、幡ヶ谷再生大学のタオルを掲げながら笑顔でステージを去って行った。
ひたすらにキャッチーだったBEAT CRUSADERS時代に比べるとラウドロックに転じたことにより、少し伝わりにくくなったようなイメージも受けるが、やはりヒダカトオルの作るポップなメロディというのはサウンドがどんなにラウドになっても残っている。今の主流のラウドバンドとは少しタイプは違うが、だからこそヒダカトオルがやる意味がある。
1.Masterpiece
2.The Crackin'
3.Nonfiction
4.Born To Lose
5.Sk8er Boi feat.カノエラナ
6.たのしいバストの数え歌 feat.カノエラナ
7.NEW WAVE
8.In The Wall
9.Holdin' On
Holdin' On
https://youtu.be/5IYxeVtwGAw
13:00~ Base Ball Bear [SUNSET STAGE]
メンバーが出てきてのサウンドチェックで晴れた野外にピッタリな「BREEEEZE GIRL」を演奏するも、あまりに強く正面から吹き付ける風に悩まされ、
「俺今日ずっとこっち側(上手)向いて歌っていい?(笑)」
と言ってしまう小出。マイクスタンドが倒れるくらいの風なだけにかなり厳しいシチュエーションではある。
本番ではいつものようにXTCのSEで登場するも、いつもの堀之内の周りで行われる会議が風が強すぎて堀之内が何を言っているのか小出と関根が全く聞こえないという小芝居をしてから、この日は「changes」でスタート。風が強いと言えども演奏と歌はいつもとなんら変わらずの安定感で、「逆バタフライエフェクト」「すべては君のせいで」という最新作「光源」の、かつてのこのバンドのイメージであった爽やかなギターロックと「C2」で会得した黒いグルーヴを融合させた新モードを見せる。
しかしながら、
「僕はコンタクトレンズをしているんで、風が強すぎて目が開けられないんで、今日は目を閉じて歌おうと思います(笑)
あー、SKY STAGEがはるか遠くの砂漠の中にあるようだ(笑)お客さんがいっぱいいるのかも全然わからない(笑)」
とこの日はひたすら風が強いネタで押し切り、サポートギターの弓木の紹介も特になし。しかし風が強すぎるせいでこの日は小出の髪型が明らかにいつもと変わってしまい、髪の分け目ができるたびに若干30代を超えた加齢を感じてしまう。
「short hair」はその前の「すべては君のせいで」とともに本田翼がMVに出演しているから繋げて演奏したんだろうか、とも思いつつ、「十字架 You and I」では間奏で弓木がその上手すぎるテクニックを存分に見せつけるギターソロを披露し、「The Cut」では小出がハンドマイクで強風に向かいながら1人3役のラップとボーカルをすべてこなし、やはりフェスというお祭りの最後はやはり「祭りのあと」でまさにお祭り騒ぎとなった。
ベボベは3日前にもビバラで見ている。かつてはタームごとに全くセトリが変わらないバンドだったので、もちろん見るんだけど「セトリどうせ変わらないんだよなぁ」と思うことも多々あったが、そのセトリ同じライブですら、今はどれだけ見たくてももう2度と見ることはできない。だからこそ、今は1本1本のライブが本当に愛おしく感じる。
SC.BREEEEZE GIRL
1.changes
2.逆バタフライエフェクト
3.すべては君のせいで
4.short hair
5.十字架 You and I
6.The Cut
7.祭りのあと
short hair
https://youtu.be/kDc2VebfUdk
13:45~ 9mm Parabellum Bullet [SKY STAGE]
前日はボーカルの卓郎がSPECIAL OTHERSのゲストで出演した、9mm Parabellum Bullet。現在、滝が腕の不調でライブには不参加のため、おなじみAtari Teenage RiotのSEが鳴るとサポートギターの武田将幸(HERE)を加えた4人がステージに登場。
「9mm Parabellum Bulletです」
と卓郎が挨拶すると、「Answer and Answer」から爆音の9mmサウンドがこの広い会場を支配。「Black Market Blues」では
「218秒かけて」
のフレーズの後をその場の会場に変えるというおなじみのアレンジこそなかったが、この後にはあらゆる曲で「JAPAN JAM」に加えて「砂埃」というこの日ならではのワードを入れまくっていた。
「俺はこのフェスの第1回の富士スピードウェイの時に吉井和哉さんのゲストボーカルに出たことがあるんだけど、俺たちはこれまでゴールデンウィークには滝が実家の田植えを手伝っていたために、ゴールデンウィークには活動しないバンドとしてやってきて。でも滝がいないからライブできるんじゃないか?っていうところに目をつけた山崎洋一郎(ロッキンオンジャパン総編集長)さんが「9mm出れるよね?」って言って、バンドとして初めて出ることになりました」
と、これまで春フェスには全く出ていなかったバンドが出演することになった契機を語るが、常にこのバンドのインタビューをしてきた山崎洋一郎が本当に9mmが大好きであり、自分たちのフェスに出て欲しいと願っていることがよくわかる。
そしてこの日の目玉であるコラボは、
「俺たちは歌謡曲の要素が強いって昔から言われ続けてきて。それならそういう曲を作ろうと思って作ったら、「どうにもとまらない」そのままになってしまったから、カバーにした(笑)」
とこの曲をカバーすることになった経緯を語り、原曲のボーカルである山本リンダを招くと、足などを出した露出度の高い真っ赤なドレスを着て登場。もう首から下を見たら何歳なのかわからない妖艶っぷり。全盛期をあまり知らないが、ボーカルも声量があって実にパワフル。その声で卓郎とデュエットしながら、時にはメンバーと絡み合うという、あまりのインパクトの強さに、単体ですら非常にインパクトの強い9mmを完全に喰ってしまっていた。
コラボ後はリリース間近のアルバム「BABEL」からリード曲の「ガラスの街のアリス」を披露。前作アルバムはメンバーそれぞれが作詞と作曲をした曲が並んだバラエティに富んだ内容だったが、この曲は滝が作曲しているので、9mmらしさしか感じないような曲。アルバムも全曲滝が作曲しているだけに、9mmのど真ん中的なものになるかもしれない。
そして「反逆のマーチ」からラストは激しい左回りのサークルが発生した「新しい光」で終了。この日は山本リンダがゲストというトピックがあったが、かつて9mmはフェスやイベントでも毎回演奏する曲が変わるようなバンドだった。しかしやはり滝を欠く現在の状態ではできる曲は限られている。(武田はサウンド面では全く申し分ないギタリストだが、自身のバンドもあるため9mmだけに時間や労力を100%費やすことはできない)
この状態がこれからも続くのか、アルバムが出たらその曲たちがセトリに入ってくるのか。とりあえずはリリース後に開催されるツアーがどうなるのか。やはりそこには期待もあるぶん、不安もあるのだが。
1.Answer and Answer
2.Black Market Blues
3.The Revolutionary
4.どうにもとまらない ×山本リンダ
5.ハートに火をつけて
6.ガラスの街のアリス
7.反逆のマーチ
8.新しい光
ガラスの街のアリス
https://youtu.be/uY-QrSbVRW8
14:30~ サンボマスター [LOTUS STAGE]
これまでにもこのフェスではゴダイゴや佐野元春というレジェンド達を招いてコラボを行なってきたサンボマスター。メンバーが登場して観客のテンションも最高潮に高まると、
「俺たち去年、10-FEETのTAKUMA君とか、銀杏BOYZの峯田君とか、ビートたけしさんとか、和田アキ子さんとかとコラボして。それが来週出るアルバムのDVDに入ってるんだけど、俺は今日のこのフェスをコラボの最後にしたいと思っていろいろ誰とコラボするか考えて。渋谷陽一とコラボしようかとも思ったんだけど渋谷陽一は楽器できないし、と思って、でもコラボしてきた人たちに負けないようなすごい人って言ったらもうこれしかないと思って。今日は俺たちとあなたたちでのコラボ!君コラボです!」
と宣言し、この日のテーマは「君コラボ」になり、この後何度も山口はそのテーマを叫ぶことになる。
いきなりの「できっこないをやらなくちゃ」でスタートすると、「光のロック」と続けて後ろの方まで詰めかけた観客も凄まじい盛り上がりに。
最初に言ったように来週ニューアルバム「YES」がリリースされるのだが、その中から先行シングル「オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで」を披露すると、
「俺はあんたらが何度汚い手を使ってNOって言われようと、あんたらに何回だってYESって言ってやるんだ」
と熱く語りかけ、先日の日比谷野音でも演奏された、アルバムのタイトル曲「YES」を披露。山口の言葉通りにまっすぐに聴き手の背中を押すという近年のサンボマスターのスタイルを踏襲した最新系。
観客との熱いコラボはまだ続き、「ミラクルをキミとおこしたいんです」から、
「また生きて会おうな。こんな顔でも良ければまた見にきてくれよな(笑)笑った!またこうして笑って会いましょう!」
と、ラストは「愛と平和!」の大合唱が鳴り響いた「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」で終了。
結果的には普通にライブをやっただけのようだが、やはりサンボマスターのライブは観客の熱さとの相乗効果によって凄まじいライブを作り出している。そういう意味では「君コラボ」というのは確かにどんなゲストが来ても作れない最強のコラボだったのである。それを記念してか、メンバーは観客をバックに写真撮影。
1.できっこないをやらなくちゃ
2.光のロック
3.オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで
4.YES
5.ミラクルをキミとおこしたいんです
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで
https://youtu.be/coSWSPf3S20
15:15~ KANA-BOON [SKY STAGE]
先日の鮪の誕生日であったVIVA LA ROCKではトリとして感動的なライブをやり切った、KANA-BOON。
この日もSEもなしにメンバーが登場すると、「Wake Up」「机上、綴る、思想」と先日とは打って変わって近年のフェスの定番曲というような序盤。古賀は早くもガンガン前に出てきてギターを弾きまくる。
「フルドライブ」を終えると
「俺らよりも砂埃がフルドライブしてる(笑)」
とこのステージの状況で笑わせ、シリアスな最新シングル「Fighter」、
「そろそろお腹空きましたか?チャーハン食べますか?」
と言って大合唱を巻き起こした「ないものねだり」と、初期曲連発だったビバラに比べると実にフェスらしい流れ。
この時期ならではの選曲である「さくらのうた」をエモーショナルに演奏すると、
「いろいろお騒がせしましたけど、こうしてステージに立てる、ライブができるっていうのは当たり前のことじゃないっていうのを実感しました。また1から頑張っていきますっていう決意を込めた新曲」
と言ってアニメのタイアップ曲である「バトンロード」から、最後はやはり「シルエット」で締め。
確かにあまり良くない形でバンドの名前が広がってしまったのは間違いないが、ビバラとこの日のライブ、鮪の言葉を聞いていると、今回のニュースは逆にKANA-BOONをさらに強く逞しいバンドにしていくための試練だったような気さえしてくる。この2回のライブの満員の人入りを見ても、これで低迷していくような感じは全く感じられない。むしろまだまだここからだとすら思えてくる。
1.Wake Up
2.机上、綴る、思想
3.フルドライブ
4.Fighter
5.ないものねだり
6.さくらのうた
7.バトンロード
8.シルエット
シルエット
https://youtu.be/ZFoJYI7Q4iA
16:00~ Gotch & The Good New Times [SUNSET STAGE]
コラボが目を惹くこのフェスにおいて、春フェスに出ることがなかなかレアという目の引き方をするアジカン・ゴッチのソロ、Gotch & The Good New Timesが登場。
揃いの衣装を着たゴッチとバンドメンバーが登場すると(コーラスはYeYeからアチコに変わったのか?)、シューゲイザー、サイケデリックの要素の強いノイジーなギターサウンドの「Paper Moon」からスタート。
井上陽介(Turntable Films)がペダルスチールやマリンバなど様々な弦楽器を操りながらゴッチもハンドマイクでゆらゆらと踊りながら歌うポップな「Good New Times」、だいぶアレンジが変わった「Tokyo Bay」と、
「今日の出演者の中で1番緩いバンド」
という自己紹介そのもののようなライブを見せ、様々な音声がサンプリングされた「ディズニーランドの歌」こと「Wonderland」、ゴッチが歌詞の間に何やら言葉を挟みまくる「The Sun Is Not Down」と続き、現在ライブ会場でLPが販売されている新曲「Taxi Driver」も披露。実にこのバンドだからこそのインディーポップ感溢れる曲だが、
「なぜかツイッターで俺の物販がガラガラだっていう写真を送ってくる人たちがいるんだけど(笑)
この前もフェスに出た時(ビバラ)、この会場限定LPが持ってきた枚数、全部売れたんだ」
と自虐しながらも手応えを語り、メンバー紹介をしてから、最後はそのメンバーのコーラスが重なっていくのがこのバンドのマジックを感じさてくれる「A Girl In Love」で終了。
揃いの衣装にサウンド、英詞の歌詞、さらにはゴッチの濃いヒゲなど、もはやアジカンのボーカルと同じ人がやっているとは思えないが、そこまで違うからこそこうしてこのメンバーでのバンドになったのだろう。
アジカンでのサポート時でも常に笑顔のシモリョーがやけに無表情ですぐステージから帰ってしまったのはちょっと気になったところだが。
1.Paper Moon
2.Good New Times
3.Tokyo Bay
4.Wonderland
5.The Sun Is Not Down
6.Taxi Driver
7.A Girl In Love
Taxi Driver
https://youtu.be/QH2xYbpk5ps
16:45~ ACIDMAN [SKY STAGE]
転換中に放水を何度も行っていることもあって、9mmの時よりもかなり砂埃が落ち着いてきているSKY STAGE。徐々に涼しくなってきた時間に登場したのは、今年でバンド20周年を迎えた、ACIDMAN。
おなじみのSE「最後の国」で手拍子に迎えられて登場すると、いきなり大木が
「今日は、あまりにも風が強いから、急遽この曲をやることにしました!」
と言って「風、冴ゆる」から始まる。風が強いというのはライブをやる方も見る方も良いコンディションとは言えないが、こうしてその状況だからこその特別なものにしてくれるというのはさすがである。
風が強いので当然佐藤のキャップも序盤であっさりと吹っ飛びながら、ダンサブルでキャッチーな「FREE STAR 」、このバンドの真髄とも言える壮大なバラード「最後の星」を懸命に歌い、演奏する3人。
「今年、我々は20周年イヤーで。ロッキンオンジャパンのフェスやイベントには毎回出してもらっていて。ロッキンオンジャパンがなかったら今の我々はいなかったと言っても過言ではありません。本当に感謝しています」
と感謝を告げてから、11月23日にバンドの地元であるさいたまスーパーアリーナで主催フェスを開催することを告知し、リリース後からバンドのライブのクライマックスを何度も担ってきた「ある証明」でスリーピースバンドの極限ともいえるダイナミズムを見せて、風のせいではなくバンドの迫力に体が震える。
そして大木が
「これまで我々は宇宙の終わりとか、生命の終わりとか、そうした壮大なテーマを曲にしてきて。そこにしか歌いたいことがなかったし、そこに対する興味がつきなかったからそういうことを歌ってきたんだけど、前におばあちゃんが亡くなって。ずっと一緒にいれたわけではないけど、亡くなってしまった人にまた会えたら、最後に何か話せたら、なんて言うだろうか、って思って。そこで聞きたいことっていうのは、幸せだったかい?っていうことで。だからそういうことを歌ってみようと思って作った曲」
と言って演奏されたのは、大木が言うようにバラードですら「世界が終わる夜に」や「ALMA」「最後の星」など壮大過ぎる曲を作ってきたACIDMANが初めてパーソナルな、個に向き合った最新シングル「愛を両手に」。
ACIDMANはずっとそうしたテーマに向き合った曲を作って鳴らしてきたバンドだったが、今になってこうしてこれまで歌ってこなかったようなテーマの曲を実にACIDMANらしく歌うようになった。20年を過ぎて、これからさらに今まではなかったようなタイプの曲が生まれるかもしれない。とりあえずは11月のフェスは全力で祝いに行きたい。
1.風、冴ゆる
2.アイソトープ
3.FREE STAR
4.最後の星
5.ある証明
6.愛を両手に
愛を両手に
https://youtu.be/70K0_1w7gZo
17:30~ BIGMAMA [LOTUS STAGE]
去年はフォーリミ・GENやHYのメンバーなど、多くのゲストを招いて万全の状態にしていたにもかかわらず、中止になってしまって実現しなかったBIGMAMA 。ある意味ではリベンジ的なライブである。
「No.9」の神々しいSEでメンバーが登場すると、そのまま「No.9」かと思いきや、EDMのエッセンスを取り入れた「MUTOPIA」でスタート。東出のヴァイオリンの旋律が響く初期の「Paper-Craft」、観客のコーラスも含めて曲を作り上げる「Make Up Your Mind」と新旧入り混じった曲でのライブを展開すると、去年用意していたコラボができなかったことを悔やみつつ、今回のスペシャルコラボの相手であり、かつて観客としてBIGMAMAのライブに来ていたことでも知られる、THE ORAL CIGARETTESの山中拓也がステージに登場し、「秘密」で金井のハイトーンボイスと山中の艶やかなボーカルが絡み合うツインボーカルバージョンに。最後のサビ前の口に指を当てての2人での
「シークレット シークレット」
というのはちょっとあざとさすらも感じてしまうが。
山中が去ると、
「まだまだもうひと暴れしましょう!」
と「荒狂曲 -シンセカイ-」では途中で去年コラボ予定だった、アルカラの稲村がステージに登場し、エアギターやエアヴァイオリンなどで煽りまくり、最後のサビ前の
「シンセカイへ!」
という部分だけマイクで叫ぶという賑やかし要員としての役割を果たして帰っていく。
そして今年リリースされた最新アルバムからの、メデューサをテーマにした、金井の作家性に改めて唸らされる「BLINKSTONEの真実を」から、最後はキラキラしたサウンドと大合唱による「Sweet Dreams」で終了し、10月に開催されるバンド初の日本武道館ワンマンの告知をしてからステージを去っていった。
確かにスペシャルコラボではあったが、内容的には他のコラボに比べるとちょっとあっさりしていた印象も残る。それだけに去年の中止は痛い。
1.MUTOPIA
2.#DIV/0!
3.Paper-Craft
4.Make Up Your Mind
5.秘密 × 山中拓也 (THE ORAL CIGARETTES)
6.荒狂曲 -シンセカイ- × 稲村太佑 (アルカラ)
7.BLINKSTONEの真実を
8.Sweet Dreams
BLINKSTONEの真実を
https://youtu.be/BhKIfc6KxcY
18:15~ キュウソネコカミ [SKY STAGE]
メンバーが出てきての本気のサウンドチェックで、現在CMで流れている「家」を演奏して観客に覚えさせていた、キュウソネコカミ。もう空はすっかり暗くなってきている。
本番ではArctic Monkeys「Brianstorm」のSEでメンバーが登場し、5人が揃って観客に背を向けて右腕を挙げると、腕には「×」印が書かれているという、ONE PIECEでルフィたちがビビに別れを告げる時の名シーンを再現し、
「アラバスタステージへようこそ、Arctic Monkeysです」
というONE PIECEとArctic Monkeysがごっちゃになったオープニングから「ビビった」へ。いきなりこの曲をやったのは、ビビに別れを告げたシーンを再現したからなのだろうか。
照明がフラッシュのように瞬きまくる「サギグラファー」、イントロの前にセッション的なアレンジが施された「ファントムバイブレーション」から最新曲「邪邪邪 VS ジャスティス」と定番曲と最新曲を交えると、リハで練習しまくった「家」をなんと3回連続で演奏するという暴挙に出る。もうここまでやられたら嫌でも曲を覚えてしまう。歌詞は「家」と「Yeah」しか言ってない40秒くらいの曲だが。
「3回やりましたけどね、ちゃんと時間わかってますからね。次はサカナクションっていうバンドが出ますからね。僕らと違ってちゃんと踊らせてくれますからね」
とこれも計算のうちであることを語り、「KMDT25」では恒例の盆踊りサークルを発生させるのだが、「JAPAN JAMはさすがに聞き分けがいい!」ということで、指示通りに何重にも重なった巨大なサークルが出現。なかなかこんなにキレイにこの形のサークルができることもそうそうない。
周りにいる人たちへの愛を歌った「ハッピーポンコツ」でエモさを増してくると、
「メジャーデビューからずっと一緒にやってきた担当の人が、今日で一緒にやるのが最後になりました。やまちゃん、今までありがとう!」
とこの日を最後に別れることになるスタッフに向けて演奏された「わかってんだよ」はセイヤとオカザワがギターをかき鳴らしまくり、髪が短くなったタクロウとキーボードに向かうヨコタの表情も真剣そのもので、セイヤはもう熱唱というよりも絶唱というくらいのレベルで、ただでさえエモいこの曲がかつてないくらいのエモさを放っていた。
我々からしたら、スタッフがどんな人なのかまでは知る由もない。しかしながらこのキュウソのライブが、いかにその担当の人がメンバーから信頼され、愛されていたのかを物語っていた。
そして「家」こそ3回もやったが、気づいたら「DQN~」もやらないという正攻法的なライブに。もはやそれでも成立するくらいにこのバンドは強くなったし、これからは面白さは当然維持しながらも、さらに強度の強い曲を携えてエモーショナルになっていくのかもしれない。
1.ビビった
2.サギグラファー
3.ファントムバイブレーション
4.邪邪邪 VS ジャスティス
5.家
6.家
7.家
8.KMDT25
9.ハッピーポンコツ
10.わかってんだよ
邪邪邪 VS ジャスティス
https://youtu.be/2BUYKjHNtCE
19:00~ ストレイテナー [LOTUS STAGE]
今年のLOTUS STAGEの大トリを務めるのは、このフェスでもおなじみの存在であり、すっかりベテランの枠に入ってきているストレイテナー。
メンバー4人が登場すると、淡々としたメロディではあるがひなっちのベースがゆったりと観客を踊らせる、去年リリースの最新アルバム「COLD DISC」収録の「Alternative Dancer」からスタートしたので、去年の春フェスのように「COLD DISC」中心のセトリになるのかと思いきや、すぐさま「From Noon Till Dawn」「TRAIN」と寒くなってきたのを温めるかのようなアッパーな曲が続き、
「JAPAN JAM、LOTUS STAGEのトリをやらせてもらいます、俺たちストレイテナーって言います!この最高の舞台、最高の夜にしよう!」
とホリエが挨拶し、初期のストレートなギターロック曲「REMINDER」から、
「月、見える?前の方にいる人は見えないだろうけど(笑)」
と言って演奏された最新曲「月に読む手紙」はこうして月が見えるようなシチュエーションで聴けるのがたまらないくらいロマンチックな曲。
「18歳でバンドを始めてから、JAPANのフェスにも数えきれないくらい出てきたけど、20年やってきてまだまだこんな最高な景色を見れるっていうことが本当に嬉しい!また1日1日、日々を懸命に生きて、こういう最高な日が過ごせるように!」
とシンペイが感慨深げに語ると、ゴリゴリのイントロからサビで一気に拓けていく、まさに1日1日という言葉そのものな「DAY TO DAY」、大合唱を巻き起こした「Melodic Storm」、
「今年最後の海へ向かう」
というフレーズが季節ハズレのようでもありながら、夏の野外でまたこの曲を聴くのが待ち遠しくなる「シーグラス」で終了。
トリの割にはちょっと終わるの早くないか、と思っていたら、アンコールにメンバーとともにステージに現れたのは、この日Nothing's Carved In Stoneとして出演した、生形真一。その生形がギターを弾くことでホリエがハンドマイクで歌う形になるという、告知なしのコラボで「KILLER TUNE」が始まると、途中で同じくNCISからボーカルの村松拓も登場し、ホリエとツインボーカルに。
と思っていたら、ひなっちが途中でベースをNCISのものに変えると、NCISの「Out Of Control」に曲が変化。よってメインボーカルも村松になり、ホリエがファルセットコーラスになるという、ともにひなっちがベースを務めるバンドだからこその合体バンドに。告知なしに他のどのコラボよりもスペシャルなコラボをやってしまうというのがさすがだが、「Out Of Control」も完璧に叩いていたシンペイが影のMVPだろう。普段はなかなかツアーのスケジュール調整などで同じライブに出るということはできないが、その2組が揃ったこの日だからこそできた、一夜限りの奇跡。
スペシャルコラボを終えると、6人がステージ前に出て手を繋いで一礼。近年、フェスでは動員的には厳しい時もよくあるが、こうしてトリを任された時に特別なステージを見せてくれるという底力。袖でライブを見ていたACIDMANも含め、まだまだ日本のロックを引っ張っていってもらいたい世代。個人的にこの日1番盛り上がったのはこのアンコールの瞬間だったかもしれない。
1.Alternative Dancer
2.From Noon Till Dawn
3.TRAIN
4.REMINDER
5.月に読む手紙
6.DAY TO DAY
7.Melodic Storm
8.シーグラス
encore
9.KILLER TUNE ~ Out Of Control feat.村松拓&生形真一 (Nothing's Carved In Stone)
シーグラス
https://youtu.be/7Gg1PvKYF4c
19:55~ サカナクション [SKY STAGE]
今年のこのフェスを締めくくるのは、サカナクション。もはや野外フェスの夜といえば完全にこのバンドというイメージである。
メンバーが登場すると、広い会場に響き渡るきらびやかなシンセのサウンドと緑色のレーザー光線。去年までは最後に演奏されることの多かった「新宝島」からのスタートである。「アルクアラウンド」から最近はフェスでセトリに復活してきた最初期の「三日月サンセット」と続くと、ステージにラップトップが並び、これまでのレイヴ感が強かった「SAKANATRIBE」に変わってホールツアーから演奏されている、ボーカルも入ったダンスチューン「SORATO」で山口一郎も踊りまくり、観客をも自由に踊らせる。
そのままのスタイルで「ミュージック」のクラブサウンドになると、最後のサビ前でメンバーがバンド編成に戻ることにより、バンドサウンドの強さをより感じさせてくれる。
「まだまだ踊れる?」
と言いながら山口が飛び跳ねる「夜の踊り子」、続けざまに演奏された「アイデンティティ」と、フェスはみんなが聴きたいヒットシングルをやるという、これまでの様々な経験の中で山口が出した答えのような内容で、最新シングル曲「多分、風」は風が強いこの日のテーマソングのように会場に響き渡った。
会場が変わったこのフェスの新たな門出と、こうして最後まで残ってくれていたたくさんの観客(快適過ぎて気づかなかったが、こんなにたくさんの人がいたのか、というくらいにいた)に感謝を告げ、最後に演奏されたのは、かつてはライブの締めによく演奏されていたが、近年は曲の長さもあってなかなか聴くことができなかった「目が明く藍色」。まるでロックオペラとでもいうような目まぐるしい展開と、その度に変化する照明とレーザー光線。久しぶりに野外で聴いて、かつてこの曲をよく演奏していた頃のことを思い出していたし、こうして夜の野外でこの曲が聴けるのは本当に格別。
やはり、今やロックフェスの夜の時間はサカナクションのものだし、それは今の所全く揺らぐことはない。
1.新宝島
2.アルクアラウンド
3.三日月サンセット
4.SORATO
5.ミュージック
6.夜の踊り子
7.アイデンティティ
8.多分、風
9.目が明く藍色
多分、風
https://youtu.be/8lx0vLTH_yg
アンコールでやるのは「Aoi」あたりだろうか、と思っていたら、すぐさま花火が上がってアンコールがないこと、もうこうして野外で花火が見れるということは夏がすぐそこまで来ている、と悟った。ビジョンにはそれを示すように「次は夏、ひたちなかで会いましょう」の文字が。あの場所まで、あともう3ヶ月。
風の強さと砂埃というのはもう野外でやっている以上は仕方がないと言える。しかしながら渋谷陽一はそんな仕方がないとしか思えないようなことさえも、「来年絶対なんとかする」と約束した。導線もなんの文句もなしにひたすらライブを見まくれるし、どこも渋滞や長蛇の列がないという快適さ。それを夏も冬も作ってきたロッキンオンなら、本当になんとかしてくれそうな予感がしている。それを来年この目でこの場所に確かめに来なくては。
あと、やっぱり自分はフェスは室内より野外の方が好きだというのもある。朝から徐々に日が落ちて夜になっていく。同じステージでも時間によって見える景色も全然違う。今日、キュウソがかつてないくらいにエモかったのは、ちょうど夜になろうとしてる時間だったのもあったはずだし、やはり夜の野外のサカナクションは格別だった。
Next→ 5/20 METROCK @新木場若洲公園

会場の蘇我スポーツ公園は野球場にサッカー場、さらにはプロのサッカーチームが使うアリーナスタジアムまでもあるという、駅から徒歩7分という立地を考えると驚異的な広さ。アリーナを取り囲むように飲食ブースが並んでおり、アリーナの中は休憩所として利用されている。
SKY STAGE
SUNSET STAGE
LOTUS STAGE
の3ステージ構成で、会場の真ん中に位置するSKY STAGEは被りなしでSUNSET STAGEとLOTUS STAGEが被っているというのは去年までのBEACHと変わらずだが、SUNSETとLOTUSは地面が人工芝(よって水と無糖のお茶しかステージ内に持ち込めない)であり、客席後方では気持ちよさそうに寝転がったりしているが、地面が土であるSKYはこの日風が強かったこともあり、砂埃が大量に舞い上がるのがかなりキツい。
11:30~ THE STARBEMS [SUNSET STAGE]
ロッキンオン社長の渋谷陽一が「このフェスをずっと手伝ってくれている盟友」と紹介した、ヒダカトオル率いる、THE STARBEMS。去年は出演するはずだった日が強風の影響で中止になったため、久しぶりの出演になる。また、千葉出身であるヒダカは凱旋ライブでもある。
「Masterpiece」からヒダカトオルがハンドマイクで歌うファストなラウドロックを次々と演奏していくのだが、
「SIRENT SILENが見たかったー!」
と同じ時間に被ってしまったSIRENT SILENのライブが見たかったことを打ち明けるヒダカ。「Born To Lose」ではミクスチャーを取り入れたりとラウドでありながらもさすがの音楽的知識と引き出しの多さに裏打ちされた幅広さを見せると、この日のスペシャルゲストである新人シンガーソングライターのカノエラナをステージに呼び込む。
「ラナちゃんのお母さんが俺と同い年(笑)インスタでたまに愛人のようなコメントを送りあってる(笑)」
という関係性をうかがわせると、アヴリル・ラヴィーンの「Sk8er Boi」のカバーでカノエラナがパワフルなボーカルを見せ、このバンドではほとんどギターを弾くことがないヒダカもギターを弾き、もともとツインギターの音がさらに分厚くなる。
そしてこの日のコラボが実現した最大の理由であろう、7月にリリースされるカノエラナの新作ミニアルバムに収録される、ヒダカがプロデュースした新曲を披露するのだが、
「巨乳に下剋上する貧乳女子の歌」
というこの曲は、
「A B C D E F G あなたが好きなの何カップ?」
という衝撃的な歌詞の曲で、1度聴いたら忘れられないインパクトを残してカノエラナはステージを去っていった。
ボーイッシュでパンキッシュなシンガーソングライターというのはこれまでにも現れてはいつの間にかいなくなっているという人が多かっただけに、果たしてこれからシーンをサバイブしていけるだろうか。今回の新曲は本当にインパクトは最大級だが。
その後は再びTHE STARBEMSのみになり、タイトル通りにニューウェーブ色の強い「NEW WAVE」からラストの「Holdin' On」では観客に合唱を巻き起こさせ、
「どうせお前らSTARBEMS全然人いなかった、とか書くんだろ!(笑) SNSを信じるな!(笑)」
と自虐して笑わせながら、
「ありがとう蘇我!また必ず帰ってくる!」
と言って、幡ヶ谷再生大学のタオルを掲げながら笑顔でステージを去って行った。
ひたすらにキャッチーだったBEAT CRUSADERS時代に比べるとラウドロックに転じたことにより、少し伝わりにくくなったようなイメージも受けるが、やはりヒダカトオルの作るポップなメロディというのはサウンドがどんなにラウドになっても残っている。今の主流のラウドバンドとは少しタイプは違うが、だからこそヒダカトオルがやる意味がある。
1.Masterpiece
2.The Crackin'
3.Nonfiction
4.Born To Lose
5.Sk8er Boi feat.カノエラナ
6.たのしいバストの数え歌 feat.カノエラナ
7.NEW WAVE
8.In The Wall
9.Holdin' On
Holdin' On
https://youtu.be/5IYxeVtwGAw
13:00~ Base Ball Bear [SUNSET STAGE]
メンバーが出てきてのサウンドチェックで晴れた野外にピッタリな「BREEEEZE GIRL」を演奏するも、あまりに強く正面から吹き付ける風に悩まされ、
「俺今日ずっとこっち側(上手)向いて歌っていい?(笑)」
と言ってしまう小出。マイクスタンドが倒れるくらいの風なだけにかなり厳しいシチュエーションではある。
本番ではいつものようにXTCのSEで登場するも、いつもの堀之内の周りで行われる会議が風が強すぎて堀之内が何を言っているのか小出と関根が全く聞こえないという小芝居をしてから、この日は「changes」でスタート。風が強いと言えども演奏と歌はいつもとなんら変わらずの安定感で、「逆バタフライエフェクト」「すべては君のせいで」という最新作「光源」の、かつてのこのバンドのイメージであった爽やかなギターロックと「C2」で会得した黒いグルーヴを融合させた新モードを見せる。
しかしながら、
「僕はコンタクトレンズをしているんで、風が強すぎて目が開けられないんで、今日は目を閉じて歌おうと思います(笑)
あー、SKY STAGEがはるか遠くの砂漠の中にあるようだ(笑)お客さんがいっぱいいるのかも全然わからない(笑)」
とこの日はひたすら風が強いネタで押し切り、サポートギターの弓木の紹介も特になし。しかし風が強すぎるせいでこの日は小出の髪型が明らかにいつもと変わってしまい、髪の分け目ができるたびに若干30代を超えた加齢を感じてしまう。
「short hair」はその前の「すべては君のせいで」とともに本田翼がMVに出演しているから繋げて演奏したんだろうか、とも思いつつ、「十字架 You and I」では間奏で弓木がその上手すぎるテクニックを存分に見せつけるギターソロを披露し、「The Cut」では小出がハンドマイクで強風に向かいながら1人3役のラップとボーカルをすべてこなし、やはりフェスというお祭りの最後はやはり「祭りのあと」でまさにお祭り騒ぎとなった。
ベボベは3日前にもビバラで見ている。かつてはタームごとに全くセトリが変わらないバンドだったので、もちろん見るんだけど「セトリどうせ変わらないんだよなぁ」と思うことも多々あったが、そのセトリ同じライブですら、今はどれだけ見たくてももう2度と見ることはできない。だからこそ、今は1本1本のライブが本当に愛おしく感じる。
SC.BREEEEZE GIRL
1.changes
2.逆バタフライエフェクト
3.すべては君のせいで
4.short hair
5.十字架 You and I
6.The Cut
7.祭りのあと
short hair
https://youtu.be/kDc2VebfUdk
13:45~ 9mm Parabellum Bullet [SKY STAGE]
前日はボーカルの卓郎がSPECIAL OTHERSのゲストで出演した、9mm Parabellum Bullet。現在、滝が腕の不調でライブには不参加のため、おなじみAtari Teenage RiotのSEが鳴るとサポートギターの武田将幸(HERE)を加えた4人がステージに登場。
「9mm Parabellum Bulletです」
と卓郎が挨拶すると、「Answer and Answer」から爆音の9mmサウンドがこの広い会場を支配。「Black Market Blues」では
「218秒かけて」
のフレーズの後をその場の会場に変えるというおなじみのアレンジこそなかったが、この後にはあらゆる曲で「JAPAN JAM」に加えて「砂埃」というこの日ならではのワードを入れまくっていた。
「俺はこのフェスの第1回の富士スピードウェイの時に吉井和哉さんのゲストボーカルに出たことがあるんだけど、俺たちはこれまでゴールデンウィークには滝が実家の田植えを手伝っていたために、ゴールデンウィークには活動しないバンドとしてやってきて。でも滝がいないからライブできるんじゃないか?っていうところに目をつけた山崎洋一郎(ロッキンオンジャパン総編集長)さんが「9mm出れるよね?」って言って、バンドとして初めて出ることになりました」
と、これまで春フェスには全く出ていなかったバンドが出演することになった契機を語るが、常にこのバンドのインタビューをしてきた山崎洋一郎が本当に9mmが大好きであり、自分たちのフェスに出て欲しいと願っていることがよくわかる。
そしてこの日の目玉であるコラボは、
「俺たちは歌謡曲の要素が強いって昔から言われ続けてきて。それならそういう曲を作ろうと思って作ったら、「どうにもとまらない」そのままになってしまったから、カバーにした(笑)」
とこの曲をカバーすることになった経緯を語り、原曲のボーカルである山本リンダを招くと、足などを出した露出度の高い真っ赤なドレスを着て登場。もう首から下を見たら何歳なのかわからない妖艶っぷり。全盛期をあまり知らないが、ボーカルも声量があって実にパワフル。その声で卓郎とデュエットしながら、時にはメンバーと絡み合うという、あまりのインパクトの強さに、単体ですら非常にインパクトの強い9mmを完全に喰ってしまっていた。
コラボ後はリリース間近のアルバム「BABEL」からリード曲の「ガラスの街のアリス」を披露。前作アルバムはメンバーそれぞれが作詞と作曲をした曲が並んだバラエティに富んだ内容だったが、この曲は滝が作曲しているので、9mmらしさしか感じないような曲。アルバムも全曲滝が作曲しているだけに、9mmのど真ん中的なものになるかもしれない。
そして「反逆のマーチ」からラストは激しい左回りのサークルが発生した「新しい光」で終了。この日は山本リンダがゲストというトピックがあったが、かつて9mmはフェスやイベントでも毎回演奏する曲が変わるようなバンドだった。しかしやはり滝を欠く現在の状態ではできる曲は限られている。(武田はサウンド面では全く申し分ないギタリストだが、自身のバンドもあるため9mmだけに時間や労力を100%費やすことはできない)
この状態がこれからも続くのか、アルバムが出たらその曲たちがセトリに入ってくるのか。とりあえずはリリース後に開催されるツアーがどうなるのか。やはりそこには期待もあるぶん、不安もあるのだが。
1.Answer and Answer
2.Black Market Blues
3.The Revolutionary
4.どうにもとまらない ×山本リンダ
5.ハートに火をつけて
6.ガラスの街のアリス
7.反逆のマーチ
8.新しい光
ガラスの街のアリス
https://youtu.be/uY-QrSbVRW8
14:30~ サンボマスター [LOTUS STAGE]
これまでにもこのフェスではゴダイゴや佐野元春というレジェンド達を招いてコラボを行なってきたサンボマスター。メンバーが登場して観客のテンションも最高潮に高まると、
「俺たち去年、10-FEETのTAKUMA君とか、銀杏BOYZの峯田君とか、ビートたけしさんとか、和田アキ子さんとかとコラボして。それが来週出るアルバムのDVDに入ってるんだけど、俺は今日のこのフェスをコラボの最後にしたいと思っていろいろ誰とコラボするか考えて。渋谷陽一とコラボしようかとも思ったんだけど渋谷陽一は楽器できないし、と思って、でもコラボしてきた人たちに負けないようなすごい人って言ったらもうこれしかないと思って。今日は俺たちとあなたたちでのコラボ!君コラボです!」
と宣言し、この日のテーマは「君コラボ」になり、この後何度も山口はそのテーマを叫ぶことになる。
いきなりの「できっこないをやらなくちゃ」でスタートすると、「光のロック」と続けて後ろの方まで詰めかけた観客も凄まじい盛り上がりに。
最初に言ったように来週ニューアルバム「YES」がリリースされるのだが、その中から先行シングル「オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで」を披露すると、
「俺はあんたらが何度汚い手を使ってNOって言われようと、あんたらに何回だってYESって言ってやるんだ」
と熱く語りかけ、先日の日比谷野音でも演奏された、アルバムのタイトル曲「YES」を披露。山口の言葉通りにまっすぐに聴き手の背中を押すという近年のサンボマスターのスタイルを踏襲した最新系。
観客との熱いコラボはまだ続き、「ミラクルをキミとおこしたいんです」から、
「また生きて会おうな。こんな顔でも良ければまた見にきてくれよな(笑)笑った!またこうして笑って会いましょう!」
と、ラストは「愛と平和!」の大合唱が鳴り響いた「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」で終了。
結果的には普通にライブをやっただけのようだが、やはりサンボマスターのライブは観客の熱さとの相乗効果によって凄まじいライブを作り出している。そういう意味では「君コラボ」というのは確かにどんなゲストが来ても作れない最強のコラボだったのである。それを記念してか、メンバーは観客をバックに写真撮影。
1.できっこないをやらなくちゃ
2.光のロック
3.オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで
4.YES
5.ミラクルをキミとおこしたいんです
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで
https://youtu.be/coSWSPf3S20
15:15~ KANA-BOON [SKY STAGE]
先日の鮪の誕生日であったVIVA LA ROCKではトリとして感動的なライブをやり切った、KANA-BOON。
この日もSEもなしにメンバーが登場すると、「Wake Up」「机上、綴る、思想」と先日とは打って変わって近年のフェスの定番曲というような序盤。古賀は早くもガンガン前に出てきてギターを弾きまくる。
「フルドライブ」を終えると
「俺らよりも砂埃がフルドライブしてる(笑)」
とこのステージの状況で笑わせ、シリアスな最新シングル「Fighter」、
「そろそろお腹空きましたか?チャーハン食べますか?」
と言って大合唱を巻き起こした「ないものねだり」と、初期曲連発だったビバラに比べると実にフェスらしい流れ。
この時期ならではの選曲である「さくらのうた」をエモーショナルに演奏すると、
「いろいろお騒がせしましたけど、こうしてステージに立てる、ライブができるっていうのは当たり前のことじゃないっていうのを実感しました。また1から頑張っていきますっていう決意を込めた新曲」
と言ってアニメのタイアップ曲である「バトンロード」から、最後はやはり「シルエット」で締め。
確かにあまり良くない形でバンドの名前が広がってしまったのは間違いないが、ビバラとこの日のライブ、鮪の言葉を聞いていると、今回のニュースは逆にKANA-BOONをさらに強く逞しいバンドにしていくための試練だったような気さえしてくる。この2回のライブの満員の人入りを見ても、これで低迷していくような感じは全く感じられない。むしろまだまだここからだとすら思えてくる。
1.Wake Up
2.机上、綴る、思想
3.フルドライブ
4.Fighter
5.ないものねだり
6.さくらのうた
7.バトンロード
8.シルエット
シルエット
https://youtu.be/ZFoJYI7Q4iA
16:00~ Gotch & The Good New Times [SUNSET STAGE]
コラボが目を惹くこのフェスにおいて、春フェスに出ることがなかなかレアという目の引き方をするアジカン・ゴッチのソロ、Gotch & The Good New Timesが登場。
揃いの衣装を着たゴッチとバンドメンバーが登場すると(コーラスはYeYeからアチコに変わったのか?)、シューゲイザー、サイケデリックの要素の強いノイジーなギターサウンドの「Paper Moon」からスタート。
井上陽介(Turntable Films)がペダルスチールやマリンバなど様々な弦楽器を操りながらゴッチもハンドマイクでゆらゆらと踊りながら歌うポップな「Good New Times」、だいぶアレンジが変わった「Tokyo Bay」と、
「今日の出演者の中で1番緩いバンド」
という自己紹介そのもののようなライブを見せ、様々な音声がサンプリングされた「ディズニーランドの歌」こと「Wonderland」、ゴッチが歌詞の間に何やら言葉を挟みまくる「The Sun Is Not Down」と続き、現在ライブ会場でLPが販売されている新曲「Taxi Driver」も披露。実にこのバンドだからこそのインディーポップ感溢れる曲だが、
「なぜかツイッターで俺の物販がガラガラだっていう写真を送ってくる人たちがいるんだけど(笑)
この前もフェスに出た時(ビバラ)、この会場限定LPが持ってきた枚数、全部売れたんだ」
と自虐しながらも手応えを語り、メンバー紹介をしてから、最後はそのメンバーのコーラスが重なっていくのがこのバンドのマジックを感じさてくれる「A Girl In Love」で終了。
揃いの衣装にサウンド、英詞の歌詞、さらにはゴッチの濃いヒゲなど、もはやアジカンのボーカルと同じ人がやっているとは思えないが、そこまで違うからこそこうしてこのメンバーでのバンドになったのだろう。
アジカンでのサポート時でも常に笑顔のシモリョーがやけに無表情ですぐステージから帰ってしまったのはちょっと気になったところだが。
1.Paper Moon
2.Good New Times
3.Tokyo Bay
4.Wonderland
5.The Sun Is Not Down
6.Taxi Driver
7.A Girl In Love
Taxi Driver
https://youtu.be/QH2xYbpk5ps
16:45~ ACIDMAN [SKY STAGE]
転換中に放水を何度も行っていることもあって、9mmの時よりもかなり砂埃が落ち着いてきているSKY STAGE。徐々に涼しくなってきた時間に登場したのは、今年でバンド20周年を迎えた、ACIDMAN。
おなじみのSE「最後の国」で手拍子に迎えられて登場すると、いきなり大木が
「今日は、あまりにも風が強いから、急遽この曲をやることにしました!」
と言って「風、冴ゆる」から始まる。風が強いというのはライブをやる方も見る方も良いコンディションとは言えないが、こうしてその状況だからこその特別なものにしてくれるというのはさすがである。
風が強いので当然佐藤のキャップも序盤であっさりと吹っ飛びながら、ダンサブルでキャッチーな「FREE STAR 」、このバンドの真髄とも言える壮大なバラード「最後の星」を懸命に歌い、演奏する3人。
「今年、我々は20周年イヤーで。ロッキンオンジャパンのフェスやイベントには毎回出してもらっていて。ロッキンオンジャパンがなかったら今の我々はいなかったと言っても過言ではありません。本当に感謝しています」
と感謝を告げてから、11月23日にバンドの地元であるさいたまスーパーアリーナで主催フェスを開催することを告知し、リリース後からバンドのライブのクライマックスを何度も担ってきた「ある証明」でスリーピースバンドの極限ともいえるダイナミズムを見せて、風のせいではなくバンドの迫力に体が震える。
そして大木が
「これまで我々は宇宙の終わりとか、生命の終わりとか、そうした壮大なテーマを曲にしてきて。そこにしか歌いたいことがなかったし、そこに対する興味がつきなかったからそういうことを歌ってきたんだけど、前におばあちゃんが亡くなって。ずっと一緒にいれたわけではないけど、亡くなってしまった人にまた会えたら、最後に何か話せたら、なんて言うだろうか、って思って。そこで聞きたいことっていうのは、幸せだったかい?っていうことで。だからそういうことを歌ってみようと思って作った曲」
と言って演奏されたのは、大木が言うようにバラードですら「世界が終わる夜に」や「ALMA」「最後の星」など壮大過ぎる曲を作ってきたACIDMANが初めてパーソナルな、個に向き合った最新シングル「愛を両手に」。
ACIDMANはずっとそうしたテーマに向き合った曲を作って鳴らしてきたバンドだったが、今になってこうしてこれまで歌ってこなかったようなテーマの曲を実にACIDMANらしく歌うようになった。20年を過ぎて、これからさらに今まではなかったようなタイプの曲が生まれるかもしれない。とりあえずは11月のフェスは全力で祝いに行きたい。
1.風、冴ゆる
2.アイソトープ
3.FREE STAR
4.最後の星
5.ある証明
6.愛を両手に
愛を両手に
https://youtu.be/70K0_1w7gZo
17:30~ BIGMAMA [LOTUS STAGE]
去年はフォーリミ・GENやHYのメンバーなど、多くのゲストを招いて万全の状態にしていたにもかかわらず、中止になってしまって実現しなかったBIGMAMA 。ある意味ではリベンジ的なライブである。
「No.9」の神々しいSEでメンバーが登場すると、そのまま「No.9」かと思いきや、EDMのエッセンスを取り入れた「MUTOPIA」でスタート。東出のヴァイオリンの旋律が響く初期の「Paper-Craft」、観客のコーラスも含めて曲を作り上げる「Make Up Your Mind」と新旧入り混じった曲でのライブを展開すると、去年用意していたコラボができなかったことを悔やみつつ、今回のスペシャルコラボの相手であり、かつて観客としてBIGMAMAのライブに来ていたことでも知られる、THE ORAL CIGARETTESの山中拓也がステージに登場し、「秘密」で金井のハイトーンボイスと山中の艶やかなボーカルが絡み合うツインボーカルバージョンに。最後のサビ前の口に指を当てての2人での
「シークレット シークレット」
というのはちょっとあざとさすらも感じてしまうが。
山中が去ると、
「まだまだもうひと暴れしましょう!」
と「荒狂曲 -シンセカイ-」では途中で去年コラボ予定だった、アルカラの稲村がステージに登場し、エアギターやエアヴァイオリンなどで煽りまくり、最後のサビ前の
「シンセカイへ!」
という部分だけマイクで叫ぶという賑やかし要員としての役割を果たして帰っていく。
そして今年リリースされた最新アルバムからの、メデューサをテーマにした、金井の作家性に改めて唸らされる「BLINKSTONEの真実を」から、最後はキラキラしたサウンドと大合唱による「Sweet Dreams」で終了し、10月に開催されるバンド初の日本武道館ワンマンの告知をしてからステージを去っていった。
確かにスペシャルコラボではあったが、内容的には他のコラボに比べるとちょっとあっさりしていた印象も残る。それだけに去年の中止は痛い。
1.MUTOPIA
2.#DIV/0!
3.Paper-Craft
4.Make Up Your Mind
5.秘密 × 山中拓也 (THE ORAL CIGARETTES)
6.荒狂曲 -シンセカイ- × 稲村太佑 (アルカラ)
7.BLINKSTONEの真実を
8.Sweet Dreams
BLINKSTONEの真実を
https://youtu.be/BhKIfc6KxcY
18:15~ キュウソネコカミ [SKY STAGE]
メンバーが出てきての本気のサウンドチェックで、現在CMで流れている「家」を演奏して観客に覚えさせていた、キュウソネコカミ。もう空はすっかり暗くなってきている。
本番ではArctic Monkeys「Brianstorm」のSEでメンバーが登場し、5人が揃って観客に背を向けて右腕を挙げると、腕には「×」印が書かれているという、ONE PIECEでルフィたちがビビに別れを告げる時の名シーンを再現し、
「アラバスタステージへようこそ、Arctic Monkeysです」
というONE PIECEとArctic Monkeysがごっちゃになったオープニングから「ビビった」へ。いきなりこの曲をやったのは、ビビに別れを告げたシーンを再現したからなのだろうか。
照明がフラッシュのように瞬きまくる「サギグラファー」、イントロの前にセッション的なアレンジが施された「ファントムバイブレーション」から最新曲「邪邪邪 VS ジャスティス」と定番曲と最新曲を交えると、リハで練習しまくった「家」をなんと3回連続で演奏するという暴挙に出る。もうここまでやられたら嫌でも曲を覚えてしまう。歌詞は「家」と「Yeah」しか言ってない40秒くらいの曲だが。
「3回やりましたけどね、ちゃんと時間わかってますからね。次はサカナクションっていうバンドが出ますからね。僕らと違ってちゃんと踊らせてくれますからね」
とこれも計算のうちであることを語り、「KMDT25」では恒例の盆踊りサークルを発生させるのだが、「JAPAN JAMはさすがに聞き分けがいい!」ということで、指示通りに何重にも重なった巨大なサークルが出現。なかなかこんなにキレイにこの形のサークルができることもそうそうない。
周りにいる人たちへの愛を歌った「ハッピーポンコツ」でエモさを増してくると、
「メジャーデビューからずっと一緒にやってきた担当の人が、今日で一緒にやるのが最後になりました。やまちゃん、今までありがとう!」
とこの日を最後に別れることになるスタッフに向けて演奏された「わかってんだよ」はセイヤとオカザワがギターをかき鳴らしまくり、髪が短くなったタクロウとキーボードに向かうヨコタの表情も真剣そのもので、セイヤはもう熱唱というよりも絶唱というくらいのレベルで、ただでさえエモいこの曲がかつてないくらいのエモさを放っていた。
我々からしたら、スタッフがどんな人なのかまでは知る由もない。しかしながらこのキュウソのライブが、いかにその担当の人がメンバーから信頼され、愛されていたのかを物語っていた。
そして「家」こそ3回もやったが、気づいたら「DQN~」もやらないという正攻法的なライブに。もはやそれでも成立するくらいにこのバンドは強くなったし、これからは面白さは当然維持しながらも、さらに強度の強い曲を携えてエモーショナルになっていくのかもしれない。
1.ビビった
2.サギグラファー
3.ファントムバイブレーション
4.邪邪邪 VS ジャスティス
5.家
6.家
7.家
8.KMDT25
9.ハッピーポンコツ
10.わかってんだよ
邪邪邪 VS ジャスティス
https://youtu.be/2BUYKjHNtCE
19:00~ ストレイテナー [LOTUS STAGE]
今年のLOTUS STAGEの大トリを務めるのは、このフェスでもおなじみの存在であり、すっかりベテランの枠に入ってきているストレイテナー。
メンバー4人が登場すると、淡々としたメロディではあるがひなっちのベースがゆったりと観客を踊らせる、去年リリースの最新アルバム「COLD DISC」収録の「Alternative Dancer」からスタートしたので、去年の春フェスのように「COLD DISC」中心のセトリになるのかと思いきや、すぐさま「From Noon Till Dawn」「TRAIN」と寒くなってきたのを温めるかのようなアッパーな曲が続き、
「JAPAN JAM、LOTUS STAGEのトリをやらせてもらいます、俺たちストレイテナーって言います!この最高の舞台、最高の夜にしよう!」
とホリエが挨拶し、初期のストレートなギターロック曲「REMINDER」から、
「月、見える?前の方にいる人は見えないだろうけど(笑)」
と言って演奏された最新曲「月に読む手紙」はこうして月が見えるようなシチュエーションで聴けるのがたまらないくらいロマンチックな曲。
「18歳でバンドを始めてから、JAPANのフェスにも数えきれないくらい出てきたけど、20年やってきてまだまだこんな最高な景色を見れるっていうことが本当に嬉しい!また1日1日、日々を懸命に生きて、こういう最高な日が過ごせるように!」
とシンペイが感慨深げに語ると、ゴリゴリのイントロからサビで一気に拓けていく、まさに1日1日という言葉そのものな「DAY TO DAY」、大合唱を巻き起こした「Melodic Storm」、
「今年最後の海へ向かう」
というフレーズが季節ハズレのようでもありながら、夏の野外でまたこの曲を聴くのが待ち遠しくなる「シーグラス」で終了。
トリの割にはちょっと終わるの早くないか、と思っていたら、アンコールにメンバーとともにステージに現れたのは、この日Nothing's Carved In Stoneとして出演した、生形真一。その生形がギターを弾くことでホリエがハンドマイクで歌う形になるという、告知なしのコラボで「KILLER TUNE」が始まると、途中で同じくNCISからボーカルの村松拓も登場し、ホリエとツインボーカルに。
と思っていたら、ひなっちが途中でベースをNCISのものに変えると、NCISの「Out Of Control」に曲が変化。よってメインボーカルも村松になり、ホリエがファルセットコーラスになるという、ともにひなっちがベースを務めるバンドだからこその合体バンドに。告知なしに他のどのコラボよりもスペシャルなコラボをやってしまうというのがさすがだが、「Out Of Control」も完璧に叩いていたシンペイが影のMVPだろう。普段はなかなかツアーのスケジュール調整などで同じライブに出るということはできないが、その2組が揃ったこの日だからこそできた、一夜限りの奇跡。
スペシャルコラボを終えると、6人がステージ前に出て手を繋いで一礼。近年、フェスでは動員的には厳しい時もよくあるが、こうしてトリを任された時に特別なステージを見せてくれるという底力。袖でライブを見ていたACIDMANも含め、まだまだ日本のロックを引っ張っていってもらいたい世代。個人的にこの日1番盛り上がったのはこのアンコールの瞬間だったかもしれない。
1.Alternative Dancer
2.From Noon Till Dawn
3.TRAIN
4.REMINDER
5.月に読む手紙
6.DAY TO DAY
7.Melodic Storm
8.シーグラス
encore
9.KILLER TUNE ~ Out Of Control feat.村松拓&生形真一 (Nothing's Carved In Stone)
シーグラス
https://youtu.be/7Gg1PvKYF4c
19:55~ サカナクション [SKY STAGE]
今年のこのフェスを締めくくるのは、サカナクション。もはや野外フェスの夜といえば完全にこのバンドというイメージである。
メンバーが登場すると、広い会場に響き渡るきらびやかなシンセのサウンドと緑色のレーザー光線。去年までは最後に演奏されることの多かった「新宝島」からのスタートである。「アルクアラウンド」から最近はフェスでセトリに復活してきた最初期の「三日月サンセット」と続くと、ステージにラップトップが並び、これまでのレイヴ感が強かった「SAKANATRIBE」に変わってホールツアーから演奏されている、ボーカルも入ったダンスチューン「SORATO」で山口一郎も踊りまくり、観客をも自由に踊らせる。
そのままのスタイルで「ミュージック」のクラブサウンドになると、最後のサビ前でメンバーがバンド編成に戻ることにより、バンドサウンドの強さをより感じさせてくれる。
「まだまだ踊れる?」
と言いながら山口が飛び跳ねる「夜の踊り子」、続けざまに演奏された「アイデンティティ」と、フェスはみんなが聴きたいヒットシングルをやるという、これまでの様々な経験の中で山口が出した答えのような内容で、最新シングル曲「多分、風」は風が強いこの日のテーマソングのように会場に響き渡った。
会場が変わったこのフェスの新たな門出と、こうして最後まで残ってくれていたたくさんの観客(快適過ぎて気づかなかったが、こんなにたくさんの人がいたのか、というくらいにいた)に感謝を告げ、最後に演奏されたのは、かつてはライブの締めによく演奏されていたが、近年は曲の長さもあってなかなか聴くことができなかった「目が明く藍色」。まるでロックオペラとでもいうような目まぐるしい展開と、その度に変化する照明とレーザー光線。久しぶりに野外で聴いて、かつてこの曲をよく演奏していた頃のことを思い出していたし、こうして夜の野外でこの曲が聴けるのは本当に格別。
やはり、今やロックフェスの夜の時間はサカナクションのものだし、それは今の所全く揺らぐことはない。
1.新宝島
2.アルクアラウンド
3.三日月サンセット
4.SORATO
5.ミュージック
6.夜の踊り子
7.アイデンティティ
8.多分、風
9.目が明く藍色
多分、風
https://youtu.be/8lx0vLTH_yg
アンコールでやるのは「Aoi」あたりだろうか、と思っていたら、すぐさま花火が上がってアンコールがないこと、もうこうして野外で花火が見れるということは夏がすぐそこまで来ている、と悟った。ビジョンにはそれを示すように「次は夏、ひたちなかで会いましょう」の文字が。あの場所まで、あともう3ヶ月。
風の強さと砂埃というのはもう野外でやっている以上は仕方がないと言える。しかしながら渋谷陽一はそんな仕方がないとしか思えないようなことさえも、「来年絶対なんとかする」と約束した。導線もなんの文句もなしにひたすらライブを見まくれるし、どこも渋滞や長蛇の列がないという快適さ。それを夏も冬も作ってきたロッキンオンなら、本当になんとかしてくれそうな予感がしている。それを来年この目でこの場所に確かめに来なくては。
あと、やっぱり自分はフェスは室内より野外の方が好きだというのもある。朝から徐々に日が落ちて夜になっていく。同じステージでも時間によって見える景色も全然違う。今日、キュウソがかつてないくらいにエモかったのは、ちょうど夜になろうとしてる時間だったのもあったはずだし、やはり夜の野外のサカナクションは格別だった。
Next→ 5/20 METROCK @新木場若洲公園

