「埼玉県で初めての音楽フェスを」というコンセプトで、かつてROCKS TOKYOを立ち上げた鹿野淳が中心になって初開催されるフェス、VIVA LA ROCK。さいたまスーパーアリーナが会場ではあるものの、すぐ横のけやき広場にたくさんの飲食ブースなども出店し、野外フェスのような雰囲気も味わえる。
ステージは大きい順に
STAR STAGE
VIVA STAGE
CAVE STAGE
の3ステージ。けやき広場でも数組のライブが行われる。
11:00~ BIGMAMA [STAR STAGE]
記念すべき第一回のフェスのトップバッターを務めるのはBIGMAMA。主催者鹿野淳の前説のあとに5人が登場すると、いきなり金井が、
「みなさん、タオルを掲げてもらっていいですか?」
と「until the blouse is buttoned up」からスタート。BIGMAMAや他の出演アーティスト、さらに他のフェスのタオルまでもが色とりどりに掲げられる。
新作ミニアルバム「Roclassick2」がリリースされたばかりだが、その中からは「白鳥の湖」が元ネタの「Swan Song」、ライブ初披露となるベートーベンの「第九」が元ネタの「No.9」を演奏。「Swan Song」は四つ打ちじゃなくても踊れる曲で、「No.9」の合唱はアンセム性が高い。
「このフェスのために寝ないで準備してくれたことを知ってんだ」
と、今や東京マラソンを一緒に走るようになった盟友、鹿野淳を讃えるMCからの後半はシングル曲を連発。しかしながらこのバンドの近年の曲はこういう広いところで演奏されるのが本当によく似合う。確実にアリーナ、スタジアムバンドへの道を歩み始めている。今までは2番目のステージなら満員だけど、メインまでは…という感じだったが、これからはこの規模で見る機会が増えてきそうな予感がする。
最後にはこの日が誕生日だった金井のために埼玉県のゆるキャラ達がケーキを運んで登場。金井がそのケーキに顔を突っ込んで真っ白になり、見事にフェスのトップバッターという重要な役割を完遂した。
1.until the blouse is buttoned up
2.Swan Song
3.alongside
4.No.9
5.Mr.&Mrs.Balloon
6.荒狂曲 "シンセカイ"
7.#DIV/0!
8.秘密
9.Sweet Dreams
12:20~ SiM [STAR STAGE]
ラウドロックシーンの旗手、SiMがメインステージの2番手に登場。いきなりの必殺曲「Blah Blah Blah」からスタート。MAHが手で時計の針の動きを見せる「Faster Than The Clock」「WHO'S NEXT」と続けるが、ライブハウスよりもこの広いステージの方がこのバンドはよく映える。ステージが広いので、SHOW-HATEとSINもいつもよりもさらに激しく動き回る。
「このフェス初めてのフェスだけど、みんなの遊び場はみんなで守ってずっと続いていけば、ロックインジャパ…いや、某夏フェスよりももっと楽しいフェスになると思います!(笑)
僕ら、夏も年末も暇してるんで、よろしくお願いします(笑)」
というMAHのギリギリなMCを経て、キラーチューン、聴かせる「Same Sky」も披露し、ラストは「KiLLiNG ME」。
「時間ないんでウォールオブデスはこのあとのキュウソネコカミに任せます!」
とMAHが言い残して終了。このバンドは近いうちにこの規模でワンマンをやることになると思う。あとはその時に椅子がある場所とどう折り合いをつけるかによるが。
1.Blah Blah Blah
2.Faster Than The Clock
3.WHO'S NEXT
4.I Hate You
5.JACK.B
6.Amy
7.Same Sky
8.KiLLiNG ME
13:10~ dustbox [VIVA!STAGE]
埼玉県出身のパンクバンド、dustboxがVIVA!STAGEに登場。「Right Now」「Riot」の冒頭からダイバーが出現しまくるのだが、次の曲に入る前になにやらアクシデントが。どうやらSUGAが曲順を間違えてしまったらしく、JOJIが止めて再確認し、改めて「Not Over」、そしてSUGAが先にやろうとした「Try My Luck」へ。
「昔東京の小さいライブハウスでライブやってた頃、from東京って書かれるのが本当に悔しくて。俺とSUGAは草加!こっち(REIJI)は吉川市!
いつか絶対向こう(STAR STAGE)でやってやる。だって埼玉を愛してるからね!」
とJOJIによる埼玉愛炸裂のMCからは後半へ。「Hurdle Race」ではものすごい規模の左回りのサークルが至るところに出現するというカオス。
「俺らのライブ初めての人も多いと思うけど、楽しそうだと思ったら混ざっちゃえよ!」
と言う通り、みんな本当に楽しそうだった。そしてラストは「Tomorrow」。このフェスが続くならこのバンドはずっと出続けてほしいと思った。
1.Right Now
2.Riot
3.Not Over
4.Try My Luck
5.Still Believing
6.wall of ice
7.jupiter
8.Sun Which
9.Break Through
10.Hurdle Race
11.Tomorrow
13:50~ 東京スカパラダイスオーケストラ [STAR STAGE]
フェス番長スカパラ、パーカッションの大森がのっけから煽りまくり、初っ端から踊らせまくる。
谷中の
「今日は何かスペシャルなことが起きるかもしれないよ。戦うように楽しんでくれよ!」
というおなじみの名言MCも飛び出すと、ディープパープル「BURN」をキーボードの沖がメインボーカルを務める形でカバー。ホーン隊が主旋律を担うアレンジはこのバンドならではで、実に華やか。
そして谷中の言う「スペシャル」がここで披露される。最近はバンドとコラボしてることを告げると、ステージに呼び込まれたのは、コラボ相手の10-FEET。しかもスカパラの青いスーツでバッチリ見た目も揃えている。
TAKUMAと谷中が漫才のようなやり取りをし、TAKUMAが長渕剛の「乾杯」を歌い出すというボケも挟んでから、コラボ曲「閃光」を演奏。ドラムセットが2台前後に連なっているのはなかなか見れない姿だろう。
しかし、曲が終わっても10-FEETのメンバーは去らず、なんと10-FEETの「hammer ska」までもコラボ。スカパラが加わることにより、非常に洗練されたアレンジに生まれ変わっていた。これは是非音源でも聴きたいが、アルバムに収録されたりするんだろうか。
終盤も鉄板曲で10-FEETがいなくなってもさらに盛り上げまくり、世界を踊らせまくってきた男たちの真髄を見せつけたステージだった。
1.Mission Impossible Theme
2.太陽にお願い
3.BURN
4.閃光 (w/10-FEET)
5.hammer ska (w/10-FEET)
6.SKA ME CRAZY
7.ルパン三世'78
8.DOWN BEAT STOMP
15:10~ くるり [STAR STAGE]
ネームバリューの割にはかなり寂しい客入りのくるり。最近のおなじみである山本幹宗(ギター)、福田洋子(ドラム)をサポートに加えての5人編成。
フェスでは定番化している「ワンダーフォーゲル」でスタートすると、「ブレーメン」「Morning Paper」とまるでタイプの違う曲が続いて行く。
「VIVA LA ROCKのVIVA LAってなんやろな?わからんけど、ロックフェスだから、ロックな曲やります」
と岸田が言うと「ロックンロール」も演奏され、「loveless」「ばらの花」と新旧の聴かせる名曲を染み渡らせる。
岸田「VIVA LAの意味わかった?This isみたいな感じなんやろかね?」
佐藤「でもそれだとVIVA LA REVOLUTIONの意味わかんなくないですか(笑)」
岸田「ホンマやな。文脈おかしい。でもここ埼玉は東京やないけど、首都圏ということで、首都圏から見た東京を思い浮かべながら聴いてください」
とラストは「東京」。今日の出演者の中では最も幅広い年代に聴かれているであろう、くるりもこれだけ踊れる、暴れられるバンドに囲まれると異色に感じる。でもこれまでもずっと己の道を進んで来たから信用できるんだよなぁ。「ロックンロール」「ばらの花」「東京」をライブで聴くと涙が出そうになるのは何故なんだろうか。
1.ワンダーフォーゲル
2.ブレーメン
3.Morning Paper
4.ロックンロール
5.loveless
6.ばらの花
7.東京
15:50~ キュウソネコカミ [VIVA!STAGE]
始まる前から入場規制かかりそうなレベルの大盛況となったキュウソネコカミ。ひたすら踊れて、かつ痛快な歌詞の曲を連発していくと、
「俺らは鹿野さんにテロバンドって呼ばれてるけど、そう呼ばれる所以の曲やるわ!」
と「DQNなりたい、40代で死にたい」では
「ヤンキーこーわいー」
のコール&レスポンスとともにセイヤが客席に突入。客の上に立ったりひっくり返ったり、機材を気にしたりというテロっぷりを見せつけ、「KMDT25」では、平和なサークル、盆踊りまでも展開し、「お願いシェンロン」では再びセイヤが金斗雲に乗って客席に突入し、SiMに託されたウォールオブデスも炸裂させた。
メジャーデビューも決まり、さらに大きなステージへと歩を進めていくだろうが、もう情報出てもおかしくないメジャーでの最初のリリースはどうなるんだろうか。
1.ネコ踊る
2.良いDJ
3.サブカル女子
4.ファントムバイブレーション
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.KMDT25
7.お願いシェンロン
8.ウィーアーインディーズバンド!!
9.ビビった
16:30~ Dragon Ash [STAR STAGE]
CAVE STAGEのグッドモーニングアメリカが並び過ぎて見れないので、急遽予定変更し、Dragon Ashへ。
傑作最新アルバム「THE FACES」の曲を中心に演奏していくが、終盤には「百合の咲く場所で」「Fantasista」とこれまでバンドを支えてきたアンセム曲も演奏される。しかしながらこのフェスのタイトルの元ネタになったと思われる「VIVA LA REVOLUTION」はやらず。それはまた来年以降にトリをやる時までのお楽しみなんだろうか。
ちなみに桜井誠は10-FEETのTシャツを着ており、kjの最後の一言は何故か「チャオ」。
1.The Show Must Go On
2.Trigger
3.Run to the Sun
4.For divers erea
5.The Live
6.Blow Your Mind
7.Still Goin' On feat.YALLA FAMILY
8.百合の咲く場所で
9.Fantasista
10.Lily
17:20~ the band apart [VIVA!STAGE]
前日に前夜祭でアコースティックライブを行ったthe band apart。いきなりの「higher」からスタートすると、代表曲連発という嬉しい選曲。今月発売される新曲はもちろん近年の曲同様に日本語であり、ライブで定番になりそうなライブ映えする曲だった。
「ただのBBQ好きなオヤジだと思ってた鹿野淳をアキネーターで当てたら、音楽評論家って出て来て。今日もこんな人をたくさん集めて金の匂いがするからこれからは鹿野さんて呼ぼうかと。あと世の中に大事な物が2つある。それは金と女だ!」
という何故かダーティーなキャラを演じる原のMCから「coral reef」「夜の向こうへ」と新旧の爽やかな曲を披露し、またもや
「こんなに見に来てくれて光栄っていう考え方もあるけど、渋谷駅に行けばこんくらいいるから有難くもなんともねぇっていう(笑)あと昨日アコースティックをやらされたんだけど、鹿野がすごい丁寧な呼び込みをしてステージに送り出してくれたから、途中で鹿野を呼んだんだけど返事しなくて。多分2曲くらい聴いて帰ったんじゃねーかなって。本当にクソ野郎だ!」
という原のMC。そしてラストは「when you wish upon a star」で終了。やっぱり曲はカッコいいし、MCも面白い。このバンドのライブを見続けて行きたいなーって思う。
1.higher
2.Photograph
3.I Love You Wasted Junks & Greens
4.新曲
5.coral reef
6.夜の向こうへ
7.when you wish upon a star
18:00~ 10-FEET [STAR STAGE]
今日出演したラウド勢の元締め的な立場として自らのフェス、京都大作戦を主催している10-FEET。やはりここでも超満員で、このバンドの支持率の高さを感じさせる。
いきなり「goes on」から始まるという意表を突くセトリで、そこからも代表曲を連発。TAKUMAの震災後について語るMCの後は「シガードッグ」を心の奥まで響かせる。
「みんな、フェスは好きか?フェスは楽しいよなぁ。もう毎週フェスやったらええねん。そしたらみんな行くやろ?週七でやったらええねん(笑)
でも最近、フェスやライブで痴漢の話を聞いたりするけど、痴漢した奴はぶっ飛ばすからな!10-FEETのライブ中のおっぱいは全部10-FEETのもんや。チンコは全部KOUICHIのもんや!(笑)」
というTAKUMAの真摯かつ笑わせるMCを経ると、終盤へ。ラストの「RIVER」では
「流れ行く荒川~」
と、埼玉仕様に歌詞を変えて歌い終了。もはやこのバンドは日本を代表するバンドと言っても過言ではない存在だ。
1.goes on
2.STONE COLD BREAK
3.2%
4.super stomper
5.蜃気楼
6.シガードッグ
7.その向こうへ
8.1sec.
9.RIVER
18:50~ KANA-BOON [VIVA!STAGE]
現在の若手ロックバンドの中で最も勢いのある存在の一組であるKANA-BOONが初日のこのステージのトリで登場。
冒頭の「A.oh!!」「ウォーリーヒーロー」と軽快な四つ打ちで踊らせると、観客から、
「おめでとー!」
とBIGMAMA金井同様にこの日が誕生日であるボーカル谷口鮪への歓声が飛ぶ。しかし、
「俺に祝わせてくれや!」
とベースの飯田が制し、谷口に誕生日プレゼントとして、本が好きな谷口に「キムチ100選」という本をプレゼントする。しかし、これは世田谷の図書館で借りてきたものらしく、2週間後に返さなければいけないというオチつき。
そんなやり取りもありつつ、最新シングル「結晶星」は外の空が見えるこのステージのこの時間にピッタリなスケールを描き出し、このバンドが夜の野外でも似合いそうな可能性を感じさせる。
「久しぶりにやる曲」
と言って「ワールド」を演奏すると、ラストは
「誕生日を祝ってくれたお返し」
と言って、リリースを控える新曲「フルドライブ」を披露。「結晶星」は今までのバンドのイメージとは違った新境地的な曲だったが、この曲はみんなが求めるこれぞKANA-BOONな曲で、最後に思いっきり踊らせて終了。しかしすぐさまアンコールで再びメンバーが登場すると、トドメとばかりに「1.2.step to you」でさらに踊らせまくった。
演奏が終わるとBIGMAMAの時と同様に「Happy Birthday」が流れ、ゆるキャラ達と鹿野淳が登場し、谷口にケーキを渡す。朝に用意したケーキなので、メルトダウンしていて食べれないということだが、本人も言っていたように、毎年このフェスに出演して毎年こうしてみんなで祝えたらバンドもファンも最高なんじゃないかと思う。
1.A.oh!!
2.ウォーリーヒーロー
3.結晶星
4.ミミック
5.ワールド
6.ないものねだり
7.盛者必衰の理、お断り
8.フルドライブ
encore
9.1.2.step to you
19:45~ ACIDMAN [STAR STAGE]
初日のメインステージのトリは埼玉出身であり、ベストアルバムのリリースツアーでこのスーパーアリーナでワンマンを行ったACIDMAN。
新しいフェスに相応しい「新世界」からスタートし、イントロで歓声が上がった「赤燈」、鹿野淳が大好きな曲「FREE STAR」という人気曲も演奏し、「アルケミスト」を壮大に響かせる。
大木による、この機会を与えてもらった感謝と、特有の「光」に関するMCのあとは最新シングル「EVERLIGHT」。そしてラストは大アンセム「ある証明」から、アウトロとイントロをつなげるようにした「飛光」でダイバーも続出して終了。
アンコールでは、
「他のバンドならアッパーな感じで終わると思うんだけど、俺たちはこういうバンドなんで、最後に「ALMA」っていう曲をやって終わりにしたいと思います」
と、これまでにも様々な場所で最後の曲となった「ALMA」で終了。
ACIDMANは、この初開催のフェスの初日のトリを飾るということがどういうことなのかを本当によく理解していたと思う。地元であるという点を差し置いても、ACIDMANがトリで本当によかった。10-FEETなどと比べたら観客が少なかったのは少し残念だったけど。
1.新世界
2.アイソトープ
3.ストロマトライト
4.赤燈
5.FREE STAR
6.アルケミスト
7.EVERLIGHT
8.ある証明
9.飛光
encore
10.ALMA
初日が終わって、計画通りにいかなかったのは、1番小さいCAVE STAGEが入場規制で入れないのが多かったこと。グッドモーニングアメリカは薄々予想はしていたが、Northern19まで規制で見れなかったのは完全に予想外。これにより、翌日以降の計画を立て直すことに。