COUNTDOWN JAPAN 16/17 day1 @幕張メッセ 12/28
- 2016/12/29
- 22:57
ついに今年も残すところあと4日。ということは例年通りにここからは幕張メッセでのCOUNTDOWN JAPANで年を越すことに。
普段はワンマンなどで使う9~11ホールが物販とクローク、イベントホールが一つのステージ、1~8ホールに4つのステージや飲食ブースを設置するという巨大なレイアウトは去年と変わらないが、今年は映画シン・ゴジラのコラボブースがあったりする。
開演前には飲食ブースでDragon Ashの桜井誠が自身プロデュースの桜井食堂で朝イチから調理しているという、バンドとしては出演しない人とは思えないほどの気合いを見せている。
12:00~ amazarashi [GALAXY STAGE]
そのライブスタイルゆえにフェスに出ることが稀なamazarashi。去年に引き続きの出演で、今年はGALAXY STAGEの始まりを告げる。
おなじみロッキンオンジャパン総編集長・山崎洋一郎の前説から、普段のワンマンと同様にステージの前に張られた紗幕の向こうにはすでにメンバーがスタンバイしており、バンドロゴが映し出されてから、紗幕に歌詞が次々に映し出されていくオープニング的な「後期衝動」から始まり、曲が終わると秋田ひろむが
「青森から来ました、amazarashiです。よろしくお願いします!」
と去年同様に勢いよく挨拶すると、去年はややグロいと言われるような実写映像を使っていた「季節は次々死んでいく」。今年は歌詞のみが映し出されていくというスタイルで、秋田の声も徐々に喉が開いてきているのがよくわかる。
すると何の前触れもなく(公式サイトなどでは出演直前に情報公開とともにこのライブで披露されることが告知されていた)新曲「命にふさわしい」を披露。まさにamazarashiという暗いサウンドに、「心さえ 心さえ」というリフレインが印象的だが人形がベルトコンベアを流れていく映像は、心を失くしてしまった人間の末路であるかのよう。個人的には「虚無病 アナザーストーリーブック」のサラの歌の秋田ひろむボーカルバージョンを聴いてみたいところだが。
普段のライブで使用している炎のエフェクトが使えないだけに、サビから「クリスマス」の映像が映し出されるまでは紗幕には何も映らなかった「カルマ」で秋田のいつにも増してエモーショナルな、叫びにも似たボーカルが響き渡ると、
「もう今年も終わりということで、最後は比較的明るい曲を」
という言葉から詩の朗読のような言葉が連なり、
「あんたらに捧げる!」
と言って、少年と少女の映像が秋田ひろむと豊川真奈美の2人の物語に重なるかのような「ジュブナイル」、そして今年最後に鳴らされたのは、amazarashiの曲の中で最も希望に満ち溢れた「スターライト」。
「生と死と心」が曲のテーマになっているだけにフェスのオープニングにしてはあまりに重くなりそうだったが、ラスト2曲の流れで見事にそれを覆してみせた。また、ステージ両サイドのモニターに客席の様子が全く映らず、ずっと紗幕を写しているのはamazarashiならでは。
しかし、フェスにほとんど出ないだけにフェス用のセトリというのもないし、全く盛り上がるような音楽でもない。ましてやワンマンだと言葉と映像で一つの物語を作り上げるだけに、amazarashiはフェス向きではないのかもしれない。それだけにこのままあと1時間くらい見たくなった。そう思うくらいにワンマン慣れしてしまったのかもしれないが。
1.後期衝動
2.季節は次々死んでいく
3.命にふさわしい (新曲)
4.僕が死のうと思ったのは
5.カルマ
6.ジュブナイル
7.スターライト
ジュブナイル
https://youtu.be/IzMZCCddyf0
13:00~ 魔法少女になり隊 [ASTRO ARENA]
時間前にすでにメンバーが出て来て、このバンドおなじみのアニソンカバーでリハをしていると、メンバーの後ろにはご丁寧に
「魔法少女になり隊 リハ中 13:00~」
という映像が。このように元から映像が使える設備があるこのASTRO ARENAはこのバンドにはうってつけである。
何故ならばライブはボーカルの火寺バジルが魔女のおにぎりを食べてしまって歌を歌う時以外は喋れなくなってしまうというドラクエライクな映像でメンバー全員が揃うと、トランス要素の強い「RE-BI-TE-TO」でバジルとgariが振り付けを踊るというスタート。
ロッキンに出演した時には新曲と言って演奏された「KI-RA-RI」ももはやキラーチューンとなっているが、ポップなサウンドをぶった切るかのようにいきなりラウドロックに展開するごった煮感はこのバンドならでは。
クールビューティーなギタリストの明治が笑っている姿もモニターに映し出される中、gariが来月早くもニューシングルがリリースされることを告知すると、そのシングルのタイトル曲「革命マスク」を披露。タイトルのモチーフはバジルが普段装着している赤い✖︎マークの入ったマスクだろうが、「KI-RA-RI」のようないきなりの転調はなく、ストレートなデジタルギターロックといった曲で、このバンドにおいては逆に新鮮と言える。
ウイ・ビトンがハードロックバンドかと思うくらいにギターを弾きまくる「BA・BA・BA・ばけ~しょん」から、ラウドにアレンジしまくったアニソン「おジャ魔女カーニバル」のカバーで大きな掛け声が響くと、ラストはドラクエのセーブデータが消えた音(もはやスーパーファミコンまでのユーザーしかわからないだろうけど)が流れてから始まり、ドラクエの冒険のような映像が流れるこのバンドの代名詞的な「冒険の書1」で
「魔法少女になりたい!」
の大合唱を巻き起こした。
夏のロッキンのRO JACK枠から出てきたバンドであるが、それ以降は夏も冬も毎回出演しているし、着実にフェスにおける存在感も増してきている。その理由は、今日のライブが終わった後に後ろにいた女性が
「なんか見てて泣きそうになってた」
と言っていたくらい、ドラムレス・ボーカルエフェクト・打ち込みの音など、デジタル要素を使いまくったバンドであるが、ライブには確かな人間らしさを感じることができるから。そういう意味ではどちらかというと今活躍しているラウドバンド達に近いものがあるし、少しずつではあるが確実に歩みを進めてきたこのバンドの冒険はさらに規模を広げながらこれからも続いていく。
リハ1.ハレ晴レユカイ
リハ2.ちちんぷい
1.RE-BI-TE-TO
2.KI-RA-RI
3.革命マスク
4.BA・BA・BA・ばけ~しょん
5.おジャ魔女カーニバル
6.冒険の書1
冒険の書1
https://youtu.be/kW-rMACYi2s
13:30~ SAKANAMON [MOON STAGE]
4年連続出演とすっかりおなじみになったSAKANAMON。
「ミュージックプランクトン」「マジックアワー」という定番のギターロック曲で始まるという流れだが、森野が合間にベースでノイズを作り出したりと、ライブを重ねてきたことにより楽曲を最新系に進化させている。
「幼気な少女」で観客の声も響かせると、「ビールが飲める小学生」とおなじみのメンバー紹介で言われた藤森が
「みなさん日常がつまらないでしょう!?日常が楽しいという人は音楽に救いを求めないから!(笑)」
と決めつけてかかり、そのつまらない日常のためのテーマソングと言える、ツアーとこの日の会場の物販で限定販売されていた「クダラナインサイド」を披露。続く「PLAYER PRAYER」も含め、この日はスリーピースならではのソリッドなギターロック曲だけで攻めていくというコンセプトか?と思っていたが、「UTAGE」でこのバンドの大きなルーツであるテクノの要素を強く含んだ打ち込みのサウンドを駆使して踊らせまくると、最後は今年も
「みんなでつまんねーよ!って叫んで今年のつまんなかったことを全部吹き飛ばしましょう!」
と言って、サビでメンバーに合わせて「つまんねーよ!つまんねーよ!」の大合唱が起きた「TSUMANNE」で終了し、今年のライブ納めとともに、ドラムの木村もこの日で「アゲ!」納めとなった。
4年連続出演とはいえ、これまでは全てCOSMOかMOONへの出演。しかしワンマンでもZeppの大会場を経験するなど、着実に規模を広げてきただけに、この日のMOONの客席は満員と言ってもいいくらいだった。ということはどういうことかというと、自他ともに認める地味なバンドであるこのバンドにもそろそろ次のステージが見えてきたということである。
1.ミュージックプランクトン
2.マジックアワー
3.幼気な少女
4.クダラナインサイド
5.PLAYER PRAYER
6.UTAGE
7.TSUMANNE
クダラナインサイド
https://youtu.be/wPWxI6qCabU
14:10~ 水曜日のカンパネラ [GALAXY STAGE]
今やダウンタウンの松本人志らとともに番組に出るようになったくらいにお茶の間まで進出した、水曜日のカンパネラ。このフェスでも早くもGALAXY STAGEへ進出。
ロッキンの時と同様に「雪男イエティ」のサウンドが流れ出すと(ロッキンよりは季節感としては合ってる)、チェック柄のジャケットを着たコムアイが雪男2人を引き連れて登場。コムアイは白目を剥いたりしながら歌うというモニターを見ながらじゃないとわからない細かい芸を入れてくるが、そんな中で雪男のうちの1人はスマホを持って客席の映像を撮影している。
続く「シャクシャイン」は北海道の曲なので、相変わらず選曲には脈絡がないが、MCでは観客に年齢層や誰と来ているかを聞き、
「カップルで来てる人ー!?周りのキツい視線を存分に浴びてくださいね~(笑)」
と言いたいことは言いまくる毒舌ぶりは変わらずで、
「基本的に宴会芸みたいなことばっかりやってるんですけど、このフェスでは普段使ってる客席入ったりっていう手が禁じられてるから、その分はステージで私が全て出し切るから!」
とあくまでフェスのルールを遵守した上で最高のパフォーマンスを見せることを宣言。
すると来年2月発売のアルバムから初披露の新曲を。まずは指で「1・9・3」の形を作る振り付けがシュールな「一休さん」。コムアイはその振り付けを観客全員にやらせようとしたが、これはコムアイのような若い女性がやるからこそ成立するところもある気がする。歌詞は本当に一休さんそのもので、ベースが唸りまくっているトラックがクールでカッコいい。
もう1曲の新曲はダンサーが登場して踊りながら、サカナクションのライブで山口一郎が振り回すのでおなじみのグラフィックポイが鮮やかかつこの日ならではの景色を作る「坂本龍馬」。ライブで聴いただけでは歌詞はほとんどわからないが、これはタイトル的に実に歌詞が気になるところ。
そして
「いつかやるだろうな、とは思ってたけど。このステージのキャパと同じくらいだからここにいる人たちが全員来ればそれだけで埋まる!」
と来年3月に行われる武道館ワンマンの告知をしつつ、
「これからどんどん週刊誌とかに私生活とかを暴かれていくと思いますけど、それなりに悪いこともやっていこうと思います!」
と、10年以上通っていていまだかつてこのフェスで聞いたことがない来年への抱負を語りながらも、
「始めたら終わっちゃうな~。このフェスは時間押したらめちゃくちゃキレられるからな~(笑)」
と何処か感極まっているような感じも。それでも「ディアブロ」では「いい湯だね!」のコール&レスポンスが初見の人が多いにも関わらずいきなり大きく響いたことに驚きながら、最後はいわゆる代表曲を連発。
「桃太郎」ではコムアイがステージ左右に歩いたりステージに座り込みながら歌い、ラストの「ラー」ではまたしても大量のダンサーが登場すると、コムアイとともにグラフィックポイで「COUNTDOWN JAPAN 16/17」などのグラフィックを映し出して大きな歓声を浴びていた。
かなり盛り込んだために時間押したか?とも思ったが、しっかり時間内に収めた。確かにワンマンや他のイベントに比べると客席内をパフォーマンスに使えないために物足りない感じもしてしまうが、その分曲そのもののクオリティの高さを改めて実感することができる。
武道館ではどんなとんでもないことをやらかすんだろうか。
1.雪男イエティ
2.シャクシャイン
3.一休さん
4.新曲
5.ディアブロ
6.桃太郎
7.ラー
桃太郎
https://youtu.be/AVPgxn3xohM
14:50~ WHITE ASH [ASTRO ARENA]
先日、突然のバンド解散発表。それに伴うメンバーのツイートにより、バンドがバンドとして機能しなくなってしまったことが明らかになった、WHITE ASH。解散ライブができるような状態ではないということだが、すでに決まっているイベントには出るということで、かつてRO JACK枠で優勝してオープニングアクトとして出演してデビューを勝ち取った、つまりこのバンドの始まりの場所とも言えるこのフェスに最後の出演。
おなじみthe pillows「WHITE ASH」のSEでメンバーが登場するも、いつもと違うのはのび太(ボーカル&リズム)が長々と深く客席に頭を下げてからギターを手にしたところ。
三拍子のロックンロール「Casablanca」から始まり、やたらめちゃくちゃな英語の歌詞から日本語を取り入れた「Kiddie」、のび太がハンドマイクでステージを不敵に歩き回りながら歌う「Paranoia」、ヒットシングル「Insight」、山さんとともに観客も飛び跳ねまくる「J.D.F.R」、お祭り騒ぎとばかりに「Yeah Yeah」と大合唱が響くメンバー全員が順番に歌う「Pretty Killer Tune」、そしてカッコいいのに違和感が襲ってくるPVも含めてこのバンドの存在をロックシーンに認知させた「Stranger」と、ライブでのキラーチューンを並べたライブなのだが、MCどころか曲間も一切なし、ましてやおなじみのメンバー紹介なんかあるわけもないどころか、メンバー同士が目を合わせて演奏することすらないという(山さんはあくまでこれまで通りにメンバーの方を向いてギターを弾こうとしていたが)、バンドがすでに崩壊してしまっていることをどんな言葉よりも強く意識させてしまう内容だった。
そんな解散という状況への感情の発露の時間が全くなかった30分だったが、演奏が終わるとのび太が登場時と同じように長い時間、深々と頭を下げ続けた。これは「今まで支えてくれてありがとう」という感謝というよりも、解散やその後のツイッターも含めてこんな事態になってしまったことやバンドをやり切れなかったという謝罪の意味合いが強いように感じた。人を喰ったようなデビュー時のアー写やPVなど、世に打って出て行くための戦術には長けていた方のバンドであったが、人と人として向き合うと本当に不器用なバンドだった。
ただ、のび太がツイートしたように、メンバーの誰かが裏切った、というのならそのメンバーを入れ替えれば済む話である。でもどんなにそれではやはりこのバンドではなくなってしまうというのを本人たちも痛いほどわかっていたのだろう。この4人でいるだけでなく、この4人が一つの同じ方向を真っ直ぐに向いていないとWHITE ASHではいれなかった。理由が理由だけに実に惜しい終わり方だが、そういう部分も含めて、愚直なまでにロックンロールバンドでしかなかった。
この状態で言うのもなんだけど、今までありがとう。やっぱり最後までライブはカッコいいバンドだったよ。
1.Casablanca
2.Kiddie
3.Paranoia
4.Insight
5.J.D.F.R
6.Pretty Killer Tune
7.Stranger
Staranger
https://youtu.be/quEk5q9slmg
15:30~ Hello Sleepwalkers [MOON STAGE]
もはやすっかり常連となりつつある、Hello Sleepwalkers。今年はMOON STAGEに登場。
近年のこのバンドのライブはさらに爆発力を増しているが、もう冒頭の「午夜の待ち合わせ」から完全にエンジン全開でシュンタロウのボーカルもどこか貫禄すら感じさせるが、一方で紅一点メンバーでありツインボーカルを務めるナルミは軽やかにステップを踏みながらギターを弾くという対称的なスタイル。
最近はボーカル2人がEDM系のフェスにゲストボーカルとして出演したりもしているが、その経験をバンドに持ち帰ったかのようなデジタルダンスチューン「jamming」ではメンバー各々のソロ回しも見せ、このライブでの爆発力が各メンバーの演奏力と激しさの重なり合いによって生まれているということがよくわかる。
来年早くもアルバムが出ることを告知すると(このバンドのこれまでのペースからしたら、もう出るのが信じられない)、そのアルバムの中から新曲「新世界」を披露。相変わらずどういう作り方をしたらこんなに複雑な展開の曲になるのか、というデビュー当時から変わらないこのバンドにとってはど真ん中というような曲だが、これまでの曲の中で最も男女ツインボーカルという特性が生かされた曲のように感じる。この曲は来るべきアルバムのリード曲になるであろう。
シュンタロウの早口ボーカルにより皮肉さなどを含んだ言葉が次々に放たれまくる「神話崩壊」から、ラストはこちらもアルバムからの新曲なのだが、「新世界」とは違って物語性の強い壮大なミディアムチューン「日食」。この曲はアルバムの最後に収録される曲というのが実によくわかるタイプの曲だが、最近はフェスでは盛り上がるような曲以外をやるのが怖いという若手バンドもいるという中で、もちろん盛り上がるような曲もたくさんあるこのバンドがそうした外野の評判や評価を気にするようなバンドだったらもっとわかりやすい曲がたくさんできているはず。だが決してそうはならないというのがこのバンドの軸が全くブレていない証拠。見ている側からすれば「攻めるな~」という内容であるが、バンド側からしたらそれが当たり前なのかもしれない。
夏のロッキンではBUMP OF CHICKENの真裏のWING TENTでかなり苦しい動員だったが、この日はしっかり客席最後方まで埋まっていたところを見ると、やはり夏は特殊な状況であったと思うとともに、来年もこのフェスでまた見れるだろうな、とちょっと安心する。
1.午夜の待ち合わせ
2.jamming
3.新世界
4.神話崩壊
5.日食
神話崩壊
https://youtu.be/Zxwe-nfZJyM
16:00~ 上白石萌音 [COSMO STAGE]
映画「君の名は。」でヒロイン三葉役を演じた、上白石萌音。今年はCDデビューも果たし、仕事納めとしてこのフェスに初出演。開演前から今年の主役を一目見ようとばかりにCOSMO STAGEの前には入場待ちの長蛇の列ができている。
ステージにはキーボードとアコギに加え、4人のストリングス(様々なライブでおなじみの弦一徹ストリングス)まで加えた、なかなかこのフェスでは他に見れない編成で、真っ白なドレスを着た上白石萌音が歌い始めたのは、いきなりの「君の名は。」の主題歌であるRADWIMPSのカバー「なんでもないや」。アコースティックにストリングスというRADWIMPSとは全く異なるサウンドであるがゆえに、野田洋次郎だからこそのその歌詞を噛み締めながら聴くことができる。また、上白石も歌が上手いというのは当然のことながら、その声は音だけでなく光も発しているんじゃないかというくらいに神秘的な魅力がある。
「お客さんが…入れ替わってるー!」
という「君の名は。」の象徴的なセリフをアレンジしたサービスはスベっていたが、本人は5~6人しか人が集まらなかったらどうしようかと不安になっていたらしく、超満員の客席を見て実に嬉しそう。
するとアコギのみ、キーボードのみとスタイルを変えながら、ミニアルバム「chou chou」に収録されていた「変わらないもの」「366日」のカバーを2曲続けて披露するが、こうして聴いていると、原曲を知っていてももうこれはこの人の曲なんじゃないかというくらいに聴き入ってしまう。
曲間では「君の名は。」や「ちはやふる」、さらには連ドラの撮影など、怒涛の一年だった2016年を振り返りながら、初のワンマンライブが決まったという告知をし、まだ音源化はされていないテイラー・スウィフトのカバー「YOU BELONG WITH ME」を披露。ここまでの3曲は歌いあげるバラードだっただけに、そういう曲しか歌わないのかな?と思っていたが、上白石も飛び跳ねながら歌い、観客も手拍子をするなど、ガラッと空気が変わる。また上白石はとんでもなく英語の発音が良く、どんな洋楽の曲でも軽々と乗りこなしてしまいそうな雰囲気ですらある。
そしてあっという間のラストは
「今年、今だからこそ歌えるこの曲!」
と言ってまさかのRADWIMPS「前前前世」のカバー。アコギとキーボードにストリングスという「なんでもないや」と全く同じ編成だがはるかにアッパーなアレンジになっているあたりはこの演奏陣の流石の手練れっぷり。歌っている上白石も実に楽しそうだった。
この30分だけでも彼女がシンガーとしても類い稀な才能を持った存在であるというのは充分にわかるだけに、次にCDを出すときはカバーではないオリジナル曲にも期待したくなる。自分が歌うために作られた曲を歌えば、この声はさらに輝きを増すような予感がするから。
1.なんでもないや
2.変わらないもの
3.366日
4.YOU BELONG WITH ME
5.前前前世
366日
https://youtu.be/E7RIpM6vCa0
16:30~ Bentham [MOON STAGE]
昨年と同じMOON STAGEで2年連続出演となる、Bentham。
「サテライト」から軽快かつキャッチーなダンスロックを鳴らして客席を踊らせまくると、タイトルのフレーズを連呼する「HEY!」、
「タイムマシンで飛んで行く」
というフレーズをメンバーと観客が合唱する「クレイジーガール」とどんどん楽しさは加速して行く。
するとここまで持ち前のハイトーンボイスで観客を踊らせまくっていた小関が飛び散る汗を拭いながら、
「ここでみなさんに重大発表があります。心して聞いてください。我々Bentham、春にメジャーデビューが決定しました!」
とついにメジャーデビューが発表されると、長くて大きな拍手が送られる。ただ単に知らないけどとりあえず見に来た、という人ばかりだったらこんなに温かい拍手にはならない。Benthamが好きでBenthamを見に来た人たちがたくさん集まったからこそ、この発表はこんなにも温かく受け入れられた。
小関はaikoと同じポニーキャニオンからデビューできることを喜びつつも、メジャーに行ってデカくなっても変わらない距離感で活動することを誓い、その決意表明とでも言うべき新曲「激しい雨」を披露。キメ連発のエモーショナルなギターロックサウンドはメジャーデビューに実に相応しい。
ライブはさらに熱さを増していき、「手の鳴る方へ」では須田による恒例のフェスタイトルを入れたコール&レスポンスをいつもよりも長めに行い、ラストはまた来年このフェスでの再会を約束してからの「パブリック」。CDではひたすらに踊りまくれる曲だったが、メンバーの経験値が上がり、徳にリズム隊がCDリリースよりはるかにレベルアップしているだけに、リズムが単純なものではなくなって踊れる感じは少し減退したが、その分力強さははるかに増した。
そして去年は「上手側はバドミントンができるくらいにスペースが空いていた」というくらいに空いていた(MOON STAGEは出入り口が下手にあるので下手が混雑しがち)が、今年は最後方まで人がいるという一年間の成長をしっかり見せつけた。
それだけにメジャーデビューしたことにより、このキャッチーなダンスロックはさらにたくさんの人のところに浸透していきそう。それこそ近い将来にGALAXYに立っていたとしても全く不思議ではない。
1.サテライト
2.HEY!
3.クレイジーガール
4.激しい雨 (新曲)
5.手の鳴る方へ
6.パブリック
パブリック
https://youtu.be/Z7XgIM-dSk8
17:25~ Mrs. GREEN APPLE [GALAXY STAGE]
2年連続出演にして、去年のCOSMO STAGEからジャンプアップを果たした、Mrs. GREEN APPLE。
ステージにはバンドの新しいロゴのオブジェが飾られている中、まずはドラムの山中彩華が先に登場し、観客に投げキスをするというパフォーマンスをしてからドラムセットに座ってリズムを叩き出すと、両サイドから男性メンバー4人も登場し、この若いバンドの元気印とでも言うべき存在の藤澤が煽りまくる「VIP」からスタートするという、今月のワンマンと同じ展開。間奏では最年長メンバー高野がベースソロを見せる。
最新シングル「In the Morning」でエレクトロポップ色を強めると、バンドの首謀者である大森が早くも楽しすぎてしょうがないというMCをしてから、「Speaking」では大きな合唱が起きる。
去年、COSMO STAGEですでに演奏していた、バキバキのデジタルダンスチューン「うブ」(ついに1月発売のアルバムで音源化)、先日のワンマンでも演奏された、大森がハンドマイクでラップしまくる「REVERSE」と、ポップなギターロックバンドというイメージで見に来た人たちをビックリさせるような、バンドの幅広い音楽性への挑戦を見せる。
そうしてさらなる進化の可能性を感じさせながらも、
「有名になりたい、たくさんの人の前で歌いたいっていう気持ちで始めたんですけど、初心を忘れてはいけないなと」
と大森が巨大化していく状況の中でこれからの抱負を語ると、メジャーデビュー曲「StaRt」で大合唱を起こし、ラストは
「大事な曲。インディー時代からある曲です」
と言って「我逢人」の瑞々しいサウンドで大躍進を果たした2016年を締めくくった。
1stにして大傑作アルバム「TWELVE」のリリースから始まり、大規模なツアーや今年の夏の一大キラーチューン「サママ・フェスティバル!」を引っさげての多くの夏フェス出演と、2016年を制したバンドの1つになったMrs. GREEN APPLE。大森と若井は今年10代から20代になったということで、これからさらに様々なことにチャレンジしていくと思うが、年明けリリースのアルバムから始まり、来年は一体どこまで行ってしまうのか。Perfumeの裏という時間帯にも関わらず結果的に満員になったこの日のライブを見ていると、すでに次のステージが見えている気がする。
1.VIP
2.In the Morning
3.Speaking
4.うブ
5.REVERSE (新曲)
6.StaRt
7.我逢人
In the Morning
https://youtu.be/hvYuK-wfvTY
18:30~ THE ORAL CIGARETTES [GALAXY STAGE]
昨年のこのステージで山中拓也が「来年はこのステージのトリを目指す」と宣言した、THE ORAL CIGARETTES。結果的にはトリ前での登場となった。
最近は山中の前口上がSE前の影アナになり、生演奏ではなくなっているが、この日もそのパターンで、前口上の後に「DIP-BAP」のイントロが流れてメンバーが登場し、すでに超満員の観客が手を上下に振る中、「DIP-BAP」「カンタンナコト」で踊らせ暴れさせ頭を振らせるという凄まじい盛り上がりっぷりに。
「GALAXY STAGEー!なんだかムラムラしてきたぜー!」
と言って始まったのはもちろん「mist…」なのだが、ラストサビの観客の合唱のあまりの大きさに、
「間違いなく今年1番でした!」
と山中が驚くと、
「去年、このGALAXY STAGEに出て、その時に来年はこのステージのトリをやります!って言ったんやけど、蓋を開けてみたらトリ前で。それが本当に悔しくて。約束守れんかったなぁって。
でも去年俺らがここのトリって言ったのは、まだEARTHでやる勇気が去年はなかったから。でも今なら言える。来年、必ずEARTH STAGEで会いましょう。約束します!」
と力強く宣言し、「CATCH ME」からは宣言するまでもないくらいのキラーチューン祭りに。もはやギターをほとんど弾かない山中は動きも、手術を経て安定感が戻ったボーカルも実に艶やか。
そして、
「俺らだけじゃ絶対ここまで来れなかったし、EARTHにも行けへん。支えてくれる人がいるからここまで来れた。努力している人は必ずたくさんの人が支えてくれる。努力してないやつは見透かされる。俺ら、もっと努力して来年は必ずEARTH STAGEで会いましょう!」
とただ大きいステージを目指すだけでなく、己をさらに磨いてから大きいステージへ立つと誓い、ラストは最新シングル「5150」で2016年を締めた。
自分が毎年行ってるロッキンやラブシャという夏フェスでもすでに重要な位置を担うバンドになっているが、まだ新人時代にMOON STAGEに初出演した時にいきなり満員にしてみせたように、このバンドは様々なフェスにおいて、自分たちだけの物語を作り上げてきた。だからこそこうして何度も出ているフェスでは見逃せないし、その物語の最高到達点になるであろう、EARTH STAGEでのライブを是非見てみたい。去年の約束は果たせなかったが、今年の約束はおそらく来年果たされることになる。それくらい、この日はこのバンドのTシャツやパーカーを着た、このバンドを見に来たであろう人が本当に多かった。
リハ.A-E-U-I
1.DIP-BAP
2.カンタンナコト
3.mist…
4.起死回生STORY
5.CATCH ME
6.狂乱Hey Kids!!
7.5150
5150
https://youtu.be/0O-5tC9YJeQ
19:35~ ACIDMAN [GALAXY STAGE]
このフェスが始まった時から出演しているACIDMAN。数年前まではずっとEARTH STAGEに出ていたが、ここ3年間はGALAXY STAGEのトリという位置での出演になっている。
おなじみのSEで手拍子に導かれてメンバー3人が登場すると、いきなりメジャーデビュー曲「造花が笑う」でスリーピースの極限ともいうべき鉄壁のアンサンブルを見せる。佐藤は早くもキャップを落とし、大木は序盤からギターのサウンドに違和感を感じていたようで、何度もローディーがアンプをチェックしていた。
ダンサブルな「FREE STAR」、ジャジーな演奏の「Real Distance」という幅広い選曲から、
「今をときめくback numberを見ないで来てくれてありがとうございます。最初に今年はback numberの裏って聞いた時は動揺し過ぎてスマホを落とした(笑)」
と自虐しつつ、インスト曲の「Dawn Chorus」、
「クリスマスはもう過ぎたけど、聖夜っていう意味の曲を」
と大木がアコギに持ち替えての「ノエル」と、今年20周年を迎えたバンドの持つ様々な要素を見せるような選曲。
そして実に大木らしい、宇宙や死後の世界についての真摯なMCの後に演奏されたのは最新シングル「最後の星」。バンドの楽曲人気投票ベストを作る際に1位になったのが「ALMA」になったことに象徴されているが、アッパーな曲もたくさんあるこのバンドの中でバラードがこれだけ支持されてきた、というのがこの曲を作るモチベーションになったはず。この曲もやはり名曲だし、大木のMCの後だからこそ、最後の
「その手を離さないでいて」
というフレーズはズシリと心に響く。
そして「みんなの2017年が少しでも良い年に」という来年への言葉の後に演奏されたのは、スリーピースギターロックのダイナミズムの結晶と言えるような「ある証明」。ライブの素晴らしさはもちろんだが、このセトリの選曲と流れの組み立て方が本当に素晴らしかった。
アンコールを求める声に応えると、
「本当はもう時間過ぎちゃってるんだけど、back number見ないできてくれたみんなのために」
と言って演奏されたのは初期からアンコールの定番曲であり続けてきた「Your Song」。拳が上がり、客席からの叫びが響く。サービス的な意味合いの強い選曲だが、それこそが
「こうして見にきてくれるみんながいるから20年も続けてこれた」
という言葉に説得力を持たせていた。
しかし、このフェスの初期から参加している身としては、ACIDMANはEARTH STAGEのイメージが強いし、ロッキンではメインのGRASS STAGEにしか未だに出たことがないという巨大な存在のバンドである。しかしこの日、GALAXY STAGEはガラガラだった。(サカナクションと被っていた去年はよりガラガラだったらしい)
この日、かつてEARTH STAGEに出ていたPOLYSICSがCOSMO STAGEに出ていたように、いつかはこのバンドもそうなるのかもしれない。ミセスやオーラルというこの前にGALAXYに出たバンドが満員だっただけに、より一層そう思えてしまった。
1.造花が笑う
2.FREE STAR
3.Real Distance
4.Dawn Chorus
5.ノエル
6.最後の星
7.ある証明
encore
8.Your Song
最後の星
https://youtu.be/zT6Ltmj_jUc
EARTH STAGEに一度も行かなかった初日、Hello SleepwalkersやBenthamという直近の出演で苦しい動員だったバンドがしっかりと成長を見せた一方、ベテラン勢の厳しい現実があらわになった日でもあった。月日の流れや客層もあるが、やっぱりちょっと寂しさもある。それだけに同年代のバンドにはまだまだ世代交代と言われて欲しくはないけど。
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普段はワンマンなどで使う9~11ホールが物販とクローク、イベントホールが一つのステージ、1~8ホールに4つのステージや飲食ブースを設置するという巨大なレイアウトは去年と変わらないが、今年は映画シン・ゴジラのコラボブースがあったりする。
開演前には飲食ブースでDragon Ashの桜井誠が自身プロデュースの桜井食堂で朝イチから調理しているという、バンドとしては出演しない人とは思えないほどの気合いを見せている。
12:00~ amazarashi [GALAXY STAGE]
そのライブスタイルゆえにフェスに出ることが稀なamazarashi。去年に引き続きの出演で、今年はGALAXY STAGEの始まりを告げる。
おなじみロッキンオンジャパン総編集長・山崎洋一郎の前説から、普段のワンマンと同様にステージの前に張られた紗幕の向こうにはすでにメンバーがスタンバイしており、バンドロゴが映し出されてから、紗幕に歌詞が次々に映し出されていくオープニング的な「後期衝動」から始まり、曲が終わると秋田ひろむが
「青森から来ました、amazarashiです。よろしくお願いします!」
と去年同様に勢いよく挨拶すると、去年はややグロいと言われるような実写映像を使っていた「季節は次々死んでいく」。今年は歌詞のみが映し出されていくというスタイルで、秋田の声も徐々に喉が開いてきているのがよくわかる。
すると何の前触れもなく(公式サイトなどでは出演直前に情報公開とともにこのライブで披露されることが告知されていた)新曲「命にふさわしい」を披露。まさにamazarashiという暗いサウンドに、「心さえ 心さえ」というリフレインが印象的だが人形がベルトコンベアを流れていく映像は、心を失くしてしまった人間の末路であるかのよう。個人的には「虚無病 アナザーストーリーブック」のサラの歌の秋田ひろむボーカルバージョンを聴いてみたいところだが。
普段のライブで使用している炎のエフェクトが使えないだけに、サビから「クリスマス」の映像が映し出されるまでは紗幕には何も映らなかった「カルマ」で秋田のいつにも増してエモーショナルな、叫びにも似たボーカルが響き渡ると、
「もう今年も終わりということで、最後は比較的明るい曲を」
という言葉から詩の朗読のような言葉が連なり、
「あんたらに捧げる!」
と言って、少年と少女の映像が秋田ひろむと豊川真奈美の2人の物語に重なるかのような「ジュブナイル」、そして今年最後に鳴らされたのは、amazarashiの曲の中で最も希望に満ち溢れた「スターライト」。
「生と死と心」が曲のテーマになっているだけにフェスのオープニングにしてはあまりに重くなりそうだったが、ラスト2曲の流れで見事にそれを覆してみせた。また、ステージ両サイドのモニターに客席の様子が全く映らず、ずっと紗幕を写しているのはamazarashiならでは。
しかし、フェスにほとんど出ないだけにフェス用のセトリというのもないし、全く盛り上がるような音楽でもない。ましてやワンマンだと言葉と映像で一つの物語を作り上げるだけに、amazarashiはフェス向きではないのかもしれない。それだけにこのままあと1時間くらい見たくなった。そう思うくらいにワンマン慣れしてしまったのかもしれないが。
1.後期衝動
2.季節は次々死んでいく
3.命にふさわしい (新曲)
4.僕が死のうと思ったのは
5.カルマ
6.ジュブナイル
7.スターライト
ジュブナイル
https://youtu.be/IzMZCCddyf0
13:00~ 魔法少女になり隊 [ASTRO ARENA]
時間前にすでにメンバーが出て来て、このバンドおなじみのアニソンカバーでリハをしていると、メンバーの後ろにはご丁寧に
「魔法少女になり隊 リハ中 13:00~」
という映像が。このように元から映像が使える設備があるこのASTRO ARENAはこのバンドにはうってつけである。
何故ならばライブはボーカルの火寺バジルが魔女のおにぎりを食べてしまって歌を歌う時以外は喋れなくなってしまうというドラクエライクな映像でメンバー全員が揃うと、トランス要素の強い「RE-BI-TE-TO」でバジルとgariが振り付けを踊るというスタート。
ロッキンに出演した時には新曲と言って演奏された「KI-RA-RI」ももはやキラーチューンとなっているが、ポップなサウンドをぶった切るかのようにいきなりラウドロックに展開するごった煮感はこのバンドならでは。
クールビューティーなギタリストの明治が笑っている姿もモニターに映し出される中、gariが来月早くもニューシングルがリリースされることを告知すると、そのシングルのタイトル曲「革命マスク」を披露。タイトルのモチーフはバジルが普段装着している赤い✖︎マークの入ったマスクだろうが、「KI-RA-RI」のようないきなりの転調はなく、ストレートなデジタルギターロックといった曲で、このバンドにおいては逆に新鮮と言える。
ウイ・ビトンがハードロックバンドかと思うくらいにギターを弾きまくる「BA・BA・BA・ばけ~しょん」から、ラウドにアレンジしまくったアニソン「おジャ魔女カーニバル」のカバーで大きな掛け声が響くと、ラストはドラクエのセーブデータが消えた音(もはやスーパーファミコンまでのユーザーしかわからないだろうけど)が流れてから始まり、ドラクエの冒険のような映像が流れるこのバンドの代名詞的な「冒険の書1」で
「魔法少女になりたい!」
の大合唱を巻き起こした。
夏のロッキンのRO JACK枠から出てきたバンドであるが、それ以降は夏も冬も毎回出演しているし、着実にフェスにおける存在感も増してきている。その理由は、今日のライブが終わった後に後ろにいた女性が
「なんか見てて泣きそうになってた」
と言っていたくらい、ドラムレス・ボーカルエフェクト・打ち込みの音など、デジタル要素を使いまくったバンドであるが、ライブには確かな人間らしさを感じることができるから。そういう意味ではどちらかというと今活躍しているラウドバンド達に近いものがあるし、少しずつではあるが確実に歩みを進めてきたこのバンドの冒険はさらに規模を広げながらこれからも続いていく。
リハ1.ハレ晴レユカイ
リハ2.ちちんぷい
1.RE-BI-TE-TO
2.KI-RA-RI
3.革命マスク
4.BA・BA・BA・ばけ~しょん
5.おジャ魔女カーニバル
6.冒険の書1
冒険の書1
https://youtu.be/kW-rMACYi2s
13:30~ SAKANAMON [MOON STAGE]
4年連続出演とすっかりおなじみになったSAKANAMON。
「ミュージックプランクトン」「マジックアワー」という定番のギターロック曲で始まるという流れだが、森野が合間にベースでノイズを作り出したりと、ライブを重ねてきたことにより楽曲を最新系に進化させている。
「幼気な少女」で観客の声も響かせると、「ビールが飲める小学生」とおなじみのメンバー紹介で言われた藤森が
「みなさん日常がつまらないでしょう!?日常が楽しいという人は音楽に救いを求めないから!(笑)」
と決めつけてかかり、そのつまらない日常のためのテーマソングと言える、ツアーとこの日の会場の物販で限定販売されていた「クダラナインサイド」を披露。続く「PLAYER PRAYER」も含め、この日はスリーピースならではのソリッドなギターロック曲だけで攻めていくというコンセプトか?と思っていたが、「UTAGE」でこのバンドの大きなルーツであるテクノの要素を強く含んだ打ち込みのサウンドを駆使して踊らせまくると、最後は今年も
「みんなでつまんねーよ!って叫んで今年のつまんなかったことを全部吹き飛ばしましょう!」
と言って、サビでメンバーに合わせて「つまんねーよ!つまんねーよ!」の大合唱が起きた「TSUMANNE」で終了し、今年のライブ納めとともに、ドラムの木村もこの日で「アゲ!」納めとなった。
4年連続出演とはいえ、これまでは全てCOSMOかMOONへの出演。しかしワンマンでもZeppの大会場を経験するなど、着実に規模を広げてきただけに、この日のMOONの客席は満員と言ってもいいくらいだった。ということはどういうことかというと、自他ともに認める地味なバンドであるこのバンドにもそろそろ次のステージが見えてきたということである。
1.ミュージックプランクトン
2.マジックアワー
3.幼気な少女
4.クダラナインサイド
5.PLAYER PRAYER
6.UTAGE
7.TSUMANNE
クダラナインサイド
https://youtu.be/wPWxI6qCabU
14:10~ 水曜日のカンパネラ [GALAXY STAGE]
今やダウンタウンの松本人志らとともに番組に出るようになったくらいにお茶の間まで進出した、水曜日のカンパネラ。このフェスでも早くもGALAXY STAGEへ進出。
ロッキンの時と同様に「雪男イエティ」のサウンドが流れ出すと(ロッキンよりは季節感としては合ってる)、チェック柄のジャケットを着たコムアイが雪男2人を引き連れて登場。コムアイは白目を剥いたりしながら歌うというモニターを見ながらじゃないとわからない細かい芸を入れてくるが、そんな中で雪男のうちの1人はスマホを持って客席の映像を撮影している。
続く「シャクシャイン」は北海道の曲なので、相変わらず選曲には脈絡がないが、MCでは観客に年齢層や誰と来ているかを聞き、
「カップルで来てる人ー!?周りのキツい視線を存分に浴びてくださいね~(笑)」
と言いたいことは言いまくる毒舌ぶりは変わらずで、
「基本的に宴会芸みたいなことばっかりやってるんですけど、このフェスでは普段使ってる客席入ったりっていう手が禁じられてるから、その分はステージで私が全て出し切るから!」
とあくまでフェスのルールを遵守した上で最高のパフォーマンスを見せることを宣言。
すると来年2月発売のアルバムから初披露の新曲を。まずは指で「1・9・3」の形を作る振り付けがシュールな「一休さん」。コムアイはその振り付けを観客全員にやらせようとしたが、これはコムアイのような若い女性がやるからこそ成立するところもある気がする。歌詞は本当に一休さんそのもので、ベースが唸りまくっているトラックがクールでカッコいい。
もう1曲の新曲はダンサーが登場して踊りながら、サカナクションのライブで山口一郎が振り回すのでおなじみのグラフィックポイが鮮やかかつこの日ならではの景色を作る「坂本龍馬」。ライブで聴いただけでは歌詞はほとんどわからないが、これはタイトル的に実に歌詞が気になるところ。
そして
「いつかやるだろうな、とは思ってたけど。このステージのキャパと同じくらいだからここにいる人たちが全員来ればそれだけで埋まる!」
と来年3月に行われる武道館ワンマンの告知をしつつ、
「これからどんどん週刊誌とかに私生活とかを暴かれていくと思いますけど、それなりに悪いこともやっていこうと思います!」
と、10年以上通っていていまだかつてこのフェスで聞いたことがない来年への抱負を語りながらも、
「始めたら終わっちゃうな~。このフェスは時間押したらめちゃくちゃキレられるからな~(笑)」
と何処か感極まっているような感じも。それでも「ディアブロ」では「いい湯だね!」のコール&レスポンスが初見の人が多いにも関わらずいきなり大きく響いたことに驚きながら、最後はいわゆる代表曲を連発。
「桃太郎」ではコムアイがステージ左右に歩いたりステージに座り込みながら歌い、ラストの「ラー」ではまたしても大量のダンサーが登場すると、コムアイとともにグラフィックポイで「COUNTDOWN JAPAN 16/17」などのグラフィックを映し出して大きな歓声を浴びていた。
かなり盛り込んだために時間押したか?とも思ったが、しっかり時間内に収めた。確かにワンマンや他のイベントに比べると客席内をパフォーマンスに使えないために物足りない感じもしてしまうが、その分曲そのもののクオリティの高さを改めて実感することができる。
武道館ではどんなとんでもないことをやらかすんだろうか。
1.雪男イエティ
2.シャクシャイン
3.一休さん
4.新曲
5.ディアブロ
6.桃太郎
7.ラー
桃太郎
https://youtu.be/AVPgxn3xohM
14:50~ WHITE ASH [ASTRO ARENA]
先日、突然のバンド解散発表。それに伴うメンバーのツイートにより、バンドがバンドとして機能しなくなってしまったことが明らかになった、WHITE ASH。解散ライブができるような状態ではないということだが、すでに決まっているイベントには出るということで、かつてRO JACK枠で優勝してオープニングアクトとして出演してデビューを勝ち取った、つまりこのバンドの始まりの場所とも言えるこのフェスに最後の出演。
おなじみthe pillows「WHITE ASH」のSEでメンバーが登場するも、いつもと違うのはのび太(ボーカル&リズム)が長々と深く客席に頭を下げてからギターを手にしたところ。
三拍子のロックンロール「Casablanca」から始まり、やたらめちゃくちゃな英語の歌詞から日本語を取り入れた「Kiddie」、のび太がハンドマイクでステージを不敵に歩き回りながら歌う「Paranoia」、ヒットシングル「Insight」、山さんとともに観客も飛び跳ねまくる「J.D.F.R」、お祭り騒ぎとばかりに「Yeah Yeah」と大合唱が響くメンバー全員が順番に歌う「Pretty Killer Tune」、そしてカッコいいのに違和感が襲ってくるPVも含めてこのバンドの存在をロックシーンに認知させた「Stranger」と、ライブでのキラーチューンを並べたライブなのだが、MCどころか曲間も一切なし、ましてやおなじみのメンバー紹介なんかあるわけもないどころか、メンバー同士が目を合わせて演奏することすらないという(山さんはあくまでこれまで通りにメンバーの方を向いてギターを弾こうとしていたが)、バンドがすでに崩壊してしまっていることをどんな言葉よりも強く意識させてしまう内容だった。
そんな解散という状況への感情の発露の時間が全くなかった30分だったが、演奏が終わるとのび太が登場時と同じように長い時間、深々と頭を下げ続けた。これは「今まで支えてくれてありがとう」という感謝というよりも、解散やその後のツイッターも含めてこんな事態になってしまったことやバンドをやり切れなかったという謝罪の意味合いが強いように感じた。人を喰ったようなデビュー時のアー写やPVなど、世に打って出て行くための戦術には長けていた方のバンドであったが、人と人として向き合うと本当に不器用なバンドだった。
ただ、のび太がツイートしたように、メンバーの誰かが裏切った、というのならそのメンバーを入れ替えれば済む話である。でもどんなにそれではやはりこのバンドではなくなってしまうというのを本人たちも痛いほどわかっていたのだろう。この4人でいるだけでなく、この4人が一つの同じ方向を真っ直ぐに向いていないとWHITE ASHではいれなかった。理由が理由だけに実に惜しい終わり方だが、そういう部分も含めて、愚直なまでにロックンロールバンドでしかなかった。
この状態で言うのもなんだけど、今までありがとう。やっぱり最後までライブはカッコいいバンドだったよ。
1.Casablanca
2.Kiddie
3.Paranoia
4.Insight
5.J.D.F.R
6.Pretty Killer Tune
7.Stranger
Staranger
https://youtu.be/quEk5q9slmg
15:30~ Hello Sleepwalkers [MOON STAGE]
もはやすっかり常連となりつつある、Hello Sleepwalkers。今年はMOON STAGEに登場。
近年のこのバンドのライブはさらに爆発力を増しているが、もう冒頭の「午夜の待ち合わせ」から完全にエンジン全開でシュンタロウのボーカルもどこか貫禄すら感じさせるが、一方で紅一点メンバーでありツインボーカルを務めるナルミは軽やかにステップを踏みながらギターを弾くという対称的なスタイル。
最近はボーカル2人がEDM系のフェスにゲストボーカルとして出演したりもしているが、その経験をバンドに持ち帰ったかのようなデジタルダンスチューン「jamming」ではメンバー各々のソロ回しも見せ、このライブでの爆発力が各メンバーの演奏力と激しさの重なり合いによって生まれているということがよくわかる。
来年早くもアルバムが出ることを告知すると(このバンドのこれまでのペースからしたら、もう出るのが信じられない)、そのアルバムの中から新曲「新世界」を披露。相変わらずどういう作り方をしたらこんなに複雑な展開の曲になるのか、というデビュー当時から変わらないこのバンドにとってはど真ん中というような曲だが、これまでの曲の中で最も男女ツインボーカルという特性が生かされた曲のように感じる。この曲は来るべきアルバムのリード曲になるであろう。
シュンタロウの早口ボーカルにより皮肉さなどを含んだ言葉が次々に放たれまくる「神話崩壊」から、ラストはこちらもアルバムからの新曲なのだが、「新世界」とは違って物語性の強い壮大なミディアムチューン「日食」。この曲はアルバムの最後に収録される曲というのが実によくわかるタイプの曲だが、最近はフェスでは盛り上がるような曲以外をやるのが怖いという若手バンドもいるという中で、もちろん盛り上がるような曲もたくさんあるこのバンドがそうした外野の評判や評価を気にするようなバンドだったらもっとわかりやすい曲がたくさんできているはず。だが決してそうはならないというのがこのバンドの軸が全くブレていない証拠。見ている側からすれば「攻めるな~」という内容であるが、バンド側からしたらそれが当たり前なのかもしれない。
夏のロッキンではBUMP OF CHICKENの真裏のWING TENTでかなり苦しい動員だったが、この日はしっかり客席最後方まで埋まっていたところを見ると、やはり夏は特殊な状況であったと思うとともに、来年もこのフェスでまた見れるだろうな、とちょっと安心する。
1.午夜の待ち合わせ
2.jamming
3.新世界
4.神話崩壊
5.日食
神話崩壊
https://youtu.be/Zxwe-nfZJyM
16:00~ 上白石萌音 [COSMO STAGE]
映画「君の名は。」でヒロイン三葉役を演じた、上白石萌音。今年はCDデビューも果たし、仕事納めとしてこのフェスに初出演。開演前から今年の主役を一目見ようとばかりにCOSMO STAGEの前には入場待ちの長蛇の列ができている。
ステージにはキーボードとアコギに加え、4人のストリングス(様々なライブでおなじみの弦一徹ストリングス)まで加えた、なかなかこのフェスでは他に見れない編成で、真っ白なドレスを着た上白石萌音が歌い始めたのは、いきなりの「君の名は。」の主題歌であるRADWIMPSのカバー「なんでもないや」。アコースティックにストリングスというRADWIMPSとは全く異なるサウンドであるがゆえに、野田洋次郎だからこそのその歌詞を噛み締めながら聴くことができる。また、上白石も歌が上手いというのは当然のことながら、その声は音だけでなく光も発しているんじゃないかというくらいに神秘的な魅力がある。
「お客さんが…入れ替わってるー!」
という「君の名は。」の象徴的なセリフをアレンジしたサービスはスベっていたが、本人は5~6人しか人が集まらなかったらどうしようかと不安になっていたらしく、超満員の客席を見て実に嬉しそう。
するとアコギのみ、キーボードのみとスタイルを変えながら、ミニアルバム「chou chou」に収録されていた「変わらないもの」「366日」のカバーを2曲続けて披露するが、こうして聴いていると、原曲を知っていてももうこれはこの人の曲なんじゃないかというくらいに聴き入ってしまう。
曲間では「君の名は。」や「ちはやふる」、さらには連ドラの撮影など、怒涛の一年だった2016年を振り返りながら、初のワンマンライブが決まったという告知をし、まだ音源化はされていないテイラー・スウィフトのカバー「YOU BELONG WITH ME」を披露。ここまでの3曲は歌いあげるバラードだっただけに、そういう曲しか歌わないのかな?と思っていたが、上白石も飛び跳ねながら歌い、観客も手拍子をするなど、ガラッと空気が変わる。また上白石はとんでもなく英語の発音が良く、どんな洋楽の曲でも軽々と乗りこなしてしまいそうな雰囲気ですらある。
そしてあっという間のラストは
「今年、今だからこそ歌えるこの曲!」
と言ってまさかのRADWIMPS「前前前世」のカバー。アコギとキーボードにストリングスという「なんでもないや」と全く同じ編成だがはるかにアッパーなアレンジになっているあたりはこの演奏陣の流石の手練れっぷり。歌っている上白石も実に楽しそうだった。
この30分だけでも彼女がシンガーとしても類い稀な才能を持った存在であるというのは充分にわかるだけに、次にCDを出すときはカバーではないオリジナル曲にも期待したくなる。自分が歌うために作られた曲を歌えば、この声はさらに輝きを増すような予感がするから。
1.なんでもないや
2.変わらないもの
3.366日
4.YOU BELONG WITH ME
5.前前前世
366日
https://youtu.be/E7RIpM6vCa0
16:30~ Bentham [MOON STAGE]
昨年と同じMOON STAGEで2年連続出演となる、Bentham。
「サテライト」から軽快かつキャッチーなダンスロックを鳴らして客席を踊らせまくると、タイトルのフレーズを連呼する「HEY!」、
「タイムマシンで飛んで行く」
というフレーズをメンバーと観客が合唱する「クレイジーガール」とどんどん楽しさは加速して行く。
するとここまで持ち前のハイトーンボイスで観客を踊らせまくっていた小関が飛び散る汗を拭いながら、
「ここでみなさんに重大発表があります。心して聞いてください。我々Bentham、春にメジャーデビューが決定しました!」
とついにメジャーデビューが発表されると、長くて大きな拍手が送られる。ただ単に知らないけどとりあえず見に来た、という人ばかりだったらこんなに温かい拍手にはならない。Benthamが好きでBenthamを見に来た人たちがたくさん集まったからこそ、この発表はこんなにも温かく受け入れられた。
小関はaikoと同じポニーキャニオンからデビューできることを喜びつつも、メジャーに行ってデカくなっても変わらない距離感で活動することを誓い、その決意表明とでも言うべき新曲「激しい雨」を披露。キメ連発のエモーショナルなギターロックサウンドはメジャーデビューに実に相応しい。
ライブはさらに熱さを増していき、「手の鳴る方へ」では須田による恒例のフェスタイトルを入れたコール&レスポンスをいつもよりも長めに行い、ラストはまた来年このフェスでの再会を約束してからの「パブリック」。CDではひたすらに踊りまくれる曲だったが、メンバーの経験値が上がり、徳にリズム隊がCDリリースよりはるかにレベルアップしているだけに、リズムが単純なものではなくなって踊れる感じは少し減退したが、その分力強さははるかに増した。
そして去年は「上手側はバドミントンができるくらいにスペースが空いていた」というくらいに空いていた(MOON STAGEは出入り口が下手にあるので下手が混雑しがち)が、今年は最後方まで人がいるという一年間の成長をしっかり見せつけた。
それだけにメジャーデビューしたことにより、このキャッチーなダンスロックはさらにたくさんの人のところに浸透していきそう。それこそ近い将来にGALAXYに立っていたとしても全く不思議ではない。
1.サテライト
2.HEY!
3.クレイジーガール
4.激しい雨 (新曲)
5.手の鳴る方へ
6.パブリック
パブリック
https://youtu.be/Z7XgIM-dSk8
17:25~ Mrs. GREEN APPLE [GALAXY STAGE]
2年連続出演にして、去年のCOSMO STAGEからジャンプアップを果たした、Mrs. GREEN APPLE。
ステージにはバンドの新しいロゴのオブジェが飾られている中、まずはドラムの山中彩華が先に登場し、観客に投げキスをするというパフォーマンスをしてからドラムセットに座ってリズムを叩き出すと、両サイドから男性メンバー4人も登場し、この若いバンドの元気印とでも言うべき存在の藤澤が煽りまくる「VIP」からスタートするという、今月のワンマンと同じ展開。間奏では最年長メンバー高野がベースソロを見せる。
最新シングル「In the Morning」でエレクトロポップ色を強めると、バンドの首謀者である大森が早くも楽しすぎてしょうがないというMCをしてから、「Speaking」では大きな合唱が起きる。
去年、COSMO STAGEですでに演奏していた、バキバキのデジタルダンスチューン「うブ」(ついに1月発売のアルバムで音源化)、先日のワンマンでも演奏された、大森がハンドマイクでラップしまくる「REVERSE」と、ポップなギターロックバンドというイメージで見に来た人たちをビックリさせるような、バンドの幅広い音楽性への挑戦を見せる。
そうしてさらなる進化の可能性を感じさせながらも、
「有名になりたい、たくさんの人の前で歌いたいっていう気持ちで始めたんですけど、初心を忘れてはいけないなと」
と大森が巨大化していく状況の中でこれからの抱負を語ると、メジャーデビュー曲「StaRt」で大合唱を起こし、ラストは
「大事な曲。インディー時代からある曲です」
と言って「我逢人」の瑞々しいサウンドで大躍進を果たした2016年を締めくくった。
1stにして大傑作アルバム「TWELVE」のリリースから始まり、大規模なツアーや今年の夏の一大キラーチューン「サママ・フェスティバル!」を引っさげての多くの夏フェス出演と、2016年を制したバンドの1つになったMrs. GREEN APPLE。大森と若井は今年10代から20代になったということで、これからさらに様々なことにチャレンジしていくと思うが、年明けリリースのアルバムから始まり、来年は一体どこまで行ってしまうのか。Perfumeの裏という時間帯にも関わらず結果的に満員になったこの日のライブを見ていると、すでに次のステージが見えている気がする。
1.VIP
2.In the Morning
3.Speaking
4.うブ
5.REVERSE (新曲)
6.StaRt
7.我逢人
In the Morning
https://youtu.be/hvYuK-wfvTY
18:30~ THE ORAL CIGARETTES [GALAXY STAGE]
昨年のこのステージで山中拓也が「来年はこのステージのトリを目指す」と宣言した、THE ORAL CIGARETTES。結果的にはトリ前での登場となった。
最近は山中の前口上がSE前の影アナになり、生演奏ではなくなっているが、この日もそのパターンで、前口上の後に「DIP-BAP」のイントロが流れてメンバーが登場し、すでに超満員の観客が手を上下に振る中、「DIP-BAP」「カンタンナコト」で踊らせ暴れさせ頭を振らせるという凄まじい盛り上がりっぷりに。
「GALAXY STAGEー!なんだかムラムラしてきたぜー!」
と言って始まったのはもちろん「mist…」なのだが、ラストサビの観客の合唱のあまりの大きさに、
「間違いなく今年1番でした!」
と山中が驚くと、
「去年、このGALAXY STAGEに出て、その時に来年はこのステージのトリをやります!って言ったんやけど、蓋を開けてみたらトリ前で。それが本当に悔しくて。約束守れんかったなぁって。
でも去年俺らがここのトリって言ったのは、まだEARTHでやる勇気が去年はなかったから。でも今なら言える。来年、必ずEARTH STAGEで会いましょう。約束します!」
と力強く宣言し、「CATCH ME」からは宣言するまでもないくらいのキラーチューン祭りに。もはやギターをほとんど弾かない山中は動きも、手術を経て安定感が戻ったボーカルも実に艶やか。
そして、
「俺らだけじゃ絶対ここまで来れなかったし、EARTHにも行けへん。支えてくれる人がいるからここまで来れた。努力している人は必ずたくさんの人が支えてくれる。努力してないやつは見透かされる。俺ら、もっと努力して来年は必ずEARTH STAGEで会いましょう!」
とただ大きいステージを目指すだけでなく、己をさらに磨いてから大きいステージへ立つと誓い、ラストは最新シングル「5150」で2016年を締めた。
自分が毎年行ってるロッキンやラブシャという夏フェスでもすでに重要な位置を担うバンドになっているが、まだ新人時代にMOON STAGEに初出演した時にいきなり満員にしてみせたように、このバンドは様々なフェスにおいて、自分たちだけの物語を作り上げてきた。だからこそこうして何度も出ているフェスでは見逃せないし、その物語の最高到達点になるであろう、EARTH STAGEでのライブを是非見てみたい。去年の約束は果たせなかったが、今年の約束はおそらく来年果たされることになる。それくらい、この日はこのバンドのTシャツやパーカーを着た、このバンドを見に来たであろう人が本当に多かった。
リハ.A-E-U-I
1.DIP-BAP
2.カンタンナコト
3.mist…
4.起死回生STORY
5.CATCH ME
6.狂乱Hey Kids!!
7.5150
5150
https://youtu.be/0O-5tC9YJeQ
19:35~ ACIDMAN [GALAXY STAGE]
このフェスが始まった時から出演しているACIDMAN。数年前まではずっとEARTH STAGEに出ていたが、ここ3年間はGALAXY STAGEのトリという位置での出演になっている。
おなじみのSEで手拍子に導かれてメンバー3人が登場すると、いきなりメジャーデビュー曲「造花が笑う」でスリーピースの極限ともいうべき鉄壁のアンサンブルを見せる。佐藤は早くもキャップを落とし、大木は序盤からギターのサウンドに違和感を感じていたようで、何度もローディーがアンプをチェックしていた。
ダンサブルな「FREE STAR」、ジャジーな演奏の「Real Distance」という幅広い選曲から、
「今をときめくback numberを見ないで来てくれてありがとうございます。最初に今年はback numberの裏って聞いた時は動揺し過ぎてスマホを落とした(笑)」
と自虐しつつ、インスト曲の「Dawn Chorus」、
「クリスマスはもう過ぎたけど、聖夜っていう意味の曲を」
と大木がアコギに持ち替えての「ノエル」と、今年20周年を迎えたバンドの持つ様々な要素を見せるような選曲。
そして実に大木らしい、宇宙や死後の世界についての真摯なMCの後に演奏されたのは最新シングル「最後の星」。バンドの楽曲人気投票ベストを作る際に1位になったのが「ALMA」になったことに象徴されているが、アッパーな曲もたくさんあるこのバンドの中でバラードがこれだけ支持されてきた、というのがこの曲を作るモチベーションになったはず。この曲もやはり名曲だし、大木のMCの後だからこそ、最後の
「その手を離さないでいて」
というフレーズはズシリと心に響く。
そして「みんなの2017年が少しでも良い年に」という来年への言葉の後に演奏されたのは、スリーピースギターロックのダイナミズムの結晶と言えるような「ある証明」。ライブの素晴らしさはもちろんだが、このセトリの選曲と流れの組み立て方が本当に素晴らしかった。
アンコールを求める声に応えると、
「本当はもう時間過ぎちゃってるんだけど、back number見ないできてくれたみんなのために」
と言って演奏されたのは初期からアンコールの定番曲であり続けてきた「Your Song」。拳が上がり、客席からの叫びが響く。サービス的な意味合いの強い選曲だが、それこそが
「こうして見にきてくれるみんながいるから20年も続けてこれた」
という言葉に説得力を持たせていた。
しかし、このフェスの初期から参加している身としては、ACIDMANはEARTH STAGEのイメージが強いし、ロッキンではメインのGRASS STAGEにしか未だに出たことがないという巨大な存在のバンドである。しかしこの日、GALAXY STAGEはガラガラだった。(サカナクションと被っていた去年はよりガラガラだったらしい)
この日、かつてEARTH STAGEに出ていたPOLYSICSがCOSMO STAGEに出ていたように、いつかはこのバンドもそうなるのかもしれない。ミセスやオーラルというこの前にGALAXYに出たバンドが満員だっただけに、より一層そう思えてしまった。
1.造花が笑う
2.FREE STAR
3.Real Distance
4.Dawn Chorus
5.ノエル
6.最後の星
7.ある証明
encore
8.Your Song
最後の星
https://youtu.be/zT6Ltmj_jUc
EARTH STAGEに一度も行かなかった初日、Hello SleepwalkersやBenthamという直近の出演で苦しい動員だったバンドがしっかりと成長を見せた一方、ベテラン勢の厳しい現実があらわになった日でもあった。月日の流れや客層もあるが、やっぱりちょっと寂しさもある。それだけに同年代のバンドにはまだまだ世代交代と言われて欲しくはないけど。
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