米津玄師 2016 TOUR / はうる @Zepp Tokyo 12/8
- 2016/12/09
- 01:08
本人が暗黒舞踏にも似たダンスを踊るPVが話題になった「Loser」と、ルーブル美術館へのテーマソングである「No.9」の両A面シングルをリリースした、米津玄師。オリコン1位を獲得した昨年の一大傑作「Bremen」を経てさらに次のステップへ進んだ感すらあるそのシングルのリリースツアーも11/23の豊洲PITから始まり、この日のZepp Tokyoがファイナル。もはやキャパ的には完全にライブハウスでは収まりきっていないだけに、今回も行きたくても行けない人がたくさんいる状況。
前回の「Bremen」のリリースツアーではステージに紗幕がかけられていて、ステージセットはわからなかったが、今回はすでにステージが見えており、目に見える装置は照明だけで、特別な演出はなさそうに見える。
そんな中、19時ちょうどくらいになると、The xx「Angels」のSEでまずはサポートメンバーが登場し、最後に青い柄シャツを着た米津玄師がステージに現れると大きな歓声が起こり、米津玄師がクネクネと体を揺らしながら歌い始める最新シングルからの「ナンバーナイン」でスタート。ベースの須藤は初っ端からシンセを演奏しているだけに、もはや既存の楽器での編成のライブにならないのはこの時点で明白。堀正輝もほとんど真横を向く形でデジドラを叩いている。しかしながら米津玄師はちょっと高音や張り上げる部分がキツそう、というか明らかに不安定である。この辺りは全く声が出なくなって歌えなくなり、観客の合唱によって最後までやり遂げた夏のラブシャの時と同じ不安が頭を少しよぎる。
続く「アンビリーバーズ」も両サイドの中島と須藤はシンセを操作するという編成の中、ハンドマイクの米津玄師はステージを左右に歩き回りながら歌い、最前列の観客に手を差し伸べる。これには曲中にもかかわらず、絶叫と言ってもいいような声がその辺りから会場に響く。前回のツアー同様に米津玄師はサビ前でフロアタムを叩き、アウトロでも連打することで、ただでさえ強力な堀のドラムに加えてビートを強調させる。
前作「Bremen」の「ミラージュソング」でも米津玄師はハンドマイクで歌うのだが、コーラスはメンバーではなくほとんど同期になっている。しかしながらやはり声はかなり不安定で、このままで大丈夫なのだろうかと思ってしまうと同時に、この曲はもうちょっと声の調子が整ってきてから聴きたいとも思ってしまう。
すると米津玄師がギターを手にし、ここで初めて従来の編成になり、「YANKEE」収録の「メランコリーキッチン」へ。あまりボーカルに抑揚がない曲だからか、この曲では声はほとんど気にならない。
「駄菓子屋商売」では米津玄師が再びハンドマイクでフラフラと動きながら、
「チュー チュー チューインガム」
のフレーズで手を動かしながら歌う。コーラス部分では片手を開いて頭上にかざして上下させ、観客もそれに合わせてまるでヒップホップのようなノリ方に。
各々が演奏する楽器が曲ごとに変わるために機材の入れ替えこそ多いが、序盤は非常にテンポ良く曲を連発すると、ダークなシンセサウンドが会場を包む「Undercover」から空気は一変し、CDではボーカルを重ねて録っているような「KARMA CITY」ではどこかおどろおどろしい曲の雰囲気に合わせて照明も妖しげな紫の光になってメンバーを照らす。
最新シングルのカップリングであり、米津玄師本人が「今までで1番暗い曲」と評した「amen」ではその言葉通りにここまでで最もダークなサウンドと歌詞に会場が包まれ、ただただじっと聴いているしかないというような雰囲気に。米津玄師は立膝状態で歌ったりしたが、リリース時に少し話題になったセリフ的なパートはライブではなし。
しかしながらここまでのダークな曲たちの流れはこの曲に引き寄せられたんじゃないかというくらいにこの曲の存在感はあまりにも強い。それ故に間違いなくワンマンでしかできないだろうし、その中でもこうして中盤でしかできない曲だろう。
そのままの流れではあるがバンドサウンドに回帰した「Black Sheep」では最後のサビ前にタイトルさながらに照明が全て消えてステージが真っ暗になって客席からはほとんど見えなくなる。しかしそれでもステージ上のメンバーは演奏を止めないという演出。この演出自体はGRAPEVINEがワンマンで「光について」を演奏する時にもやっているものなのでそこまでの驚きはないが、今回のツアーが本当にバンドの演奏と照明だけで成り立っているというシンプルであるがゆえに演奏自体に意識を集中させることができる内容になっているのがよくわかる。
「かいじゅうずかんっていう本が出たんですけど、それにCDが付いてるんですね。その曲をやります」
と言って、この日物販で先行販売されていた、ロッキンオンジャパンでの連載をまとめた「かいじゅうずかん」の告知をすると(発売日はこの日の2日後)、その「かいじゅうずかん」のために書き下ろされた新曲「Love」を披露。ギリギリまで削ぎ落とされたシンプルなサウンドに、どこか終わってしまうことがわかっているからこそのラブソングとでもいうような儚い歌詞が乗るというのはこれまでになかったスタイル。うっすらとした照明の中でアンプなどのセットに取り付けられた電球が光るのがどこか温かさをも感じさせる。
突如として歌い始める「アイネクライネ」ではいつものように米津玄師が歌詞を間違えて歌っていたが、ここまで来ると敢えてそう歌ってるんじゃないだろうか?とも思ってしまう。コーラスをする中島は合わせるのに大変だと思うけれど。
ここまではMCらしいMCは全くなかったが、ここで重大発表が。早くも新曲「orion」が2/15にリリースされることが発表され、しかも羽海野チカ原作のアニメ「3月のライオン」のタイアップに決定し、1月からオンエアされるという。ちなみに米津玄師は原作を見ている時に月島が舞台の話があり、その当時に月島に住んでいただけにどこか通じる部分があったというエピソードを語っていた。
そんな話を聞かされたら当然ここで初披露していただくしかない、と思ったのだが、この日は演奏しないという焦らしプレイ。得てしてアニメの主題歌となるとタイアップ側の都合によってオンエア前にはライブでできないということがあるが。
「ここから速い曲やっていい?ついてこれますか!?」
とモードを一気に変えると、まずは「Loser」を披露。発売前にライブで見た時はそのクネクネした踊りに目を疑ったが、PVが公開された後となると、そこまで踊りまくりというわけでもないように感じる。むしろ「amen」とかの方が踊っていたような感覚すらある。
「愛されたいならそう言おうぜ 思ってるだけじゃ伝わんないね」
というフレーズは全ての「Loser」たちの背中を力強く押しているはず。
前回のツアーでも大事なポジションを担った「Neon Sign」からは「ゴーゴー幽霊船」からライブではおなじみのクライマックスへ。ボカロ時代のセルフカバー「パンダヒーロー」の金属的な力強い演奏で昔からのファンを喜ばせると、最後に演奏されたのは「ドーナツホール」で、中島とリズム隊の2人が笑顔で顔を見合わせながら細かいフレーズを入れたりしながらも一気に走り抜けていくようなラストには光が溢れるような照明が点いていた。
アンコールで再びメンバーが登場すると、堀のドラムが引っ張るセッション的な演奏からイントロに繋がった、米津玄師の楽曲の中でも最高クラスにストレートなギターロック要素の強い「花に嵐」を演奏。本編終盤では調子を取り戻していた米津玄師のボーカルだが、ファルセットを多く使う難しいこの曲ではもう力技で乗り切るといった印象。
もうツアーも終わってしまうということで、ツアーの思い出を語ったりしたのだが、米津玄師は新幹線の移動中に出たばかりのポケモンをやっていたというツアーらしいネタではない話をする。しかし大阪に行った時に、昔大阪に住んでいた時のボロアパートを見に行ったら洗濯物が干してあって非常に切なくなった、という共感しかないエピソードも話す。
そして最後に演奏されたのは壮大なサウンドスケープによる「ホープランド」へ。
「ソングフォーユー 聴こえている?
いつでもここにおいでよね
そんな歌 届いたら
あとは君次第」
というサビの歌詞はこの上なくこの会場にいた人たちにとっての赦しのように響き、米津玄師はアウトロでライブならではの悲痛なようでいて神聖に響く叫び声を上げた。
演奏が終わると米津玄師はピックを客席に投げたりしてからステージを去り、一ヶ月にも満たなかったが、結果的に今年2本目となった、ツアーに始まりツアーに終わるというツアーと今年の活動は幕を閉じたのであった。
印象的にはやはり「amen」に連なるダークサイドオブ米津玄師な曲たちによって、米津玄師の曲の根底にある孤独感が浮き彫りになったライブだった。それを従来のバンドサウンドから大きく逸脱した形で鳴らしていただけに、これからもっと様々なタイプの曲をいろんな形で鳴らしていく曲ができてきそう。とはいえ「orion」はタイトルからしていかにもなシングル曲になりそうだが。
しかしながらライブ全体の質に関してはまだまだ行ける。そのためにはやはり米津玄師のボーカルとしての力量のさらなるレベルアップが不可欠。そう思った時に浮かんだのが、デビュー当時のねごと。彼女たちも最初から曲が良くて演奏もカッコいいバンドだったが、ボーカルの蒼山がそこをさらに引き上げることができていなかった。しかし尊敬する先輩のチャットモンチーと対バンして叩きのめされ、メンバー全員で何度も悔し涙を流しながら努力した結果、今では蒼山の歌がバンドサウンドを引っ張っているくらいにまで成長と進化を遂げた。
米津玄師は曲に関しては他の追随を許さないくらいに、誰よりもいい曲を書いているだけに、そこを乗り越えれば本当にとんでもない存在になれる。少なくとも前日に見たMrs. GREEN APPLEの大森元貴や、今週同じ会場で見た[Alexandros]の川上洋平はライブでボーカルが不安定に感じることが全くなく、それだけにライブが終わったあとはボーカリストとしての歌唱力と表現力とカリスマ性を強く感じる。もちろんまだ米津玄師はライブの経験がそこまでは達していないが、早くその境地にまで達して欲しいと思う。
だが、ここ5年くらいの間、様々なアーティストが新しく出て来たが、米津玄師はその中でも圧倒的に衝撃だった。自分が今まで聴いてきた音楽の影響を確かに感じさせながらも、圧倒的に新しかった。それは本人のもともとの活動によるものなのかもしれないが、今でも新曲を聴くたびにその感覚にさせてくれる。それだけは確かだし、これからもきっと変わらないはず。
1.ナンバーナイン
2.アンビリーバーズ
3.ミラージュソング
4.メランコリーキッチン
5.駄菓子屋商売
6.Undercover
7.KARMA CITY
8.amen
9.Black Sheep
10.Love
11.アイネクライネ
12.Loser
13.Neon Sign
14.ゴーゴー幽霊船
15.パンダヒーロー
16.ドーナツホール
encore
17.花に嵐
18.ホープランド
Loser
https://youtu.be/Dx_fKPBPYUI
Next→ 12/10 さユり @タワーレコード新宿店
前回の「Bremen」のリリースツアーではステージに紗幕がかけられていて、ステージセットはわからなかったが、今回はすでにステージが見えており、目に見える装置は照明だけで、特別な演出はなさそうに見える。
そんな中、19時ちょうどくらいになると、The xx「Angels」のSEでまずはサポートメンバーが登場し、最後に青い柄シャツを着た米津玄師がステージに現れると大きな歓声が起こり、米津玄師がクネクネと体を揺らしながら歌い始める最新シングルからの「ナンバーナイン」でスタート。ベースの須藤は初っ端からシンセを演奏しているだけに、もはや既存の楽器での編成のライブにならないのはこの時点で明白。堀正輝もほとんど真横を向く形でデジドラを叩いている。しかしながら米津玄師はちょっと高音や張り上げる部分がキツそう、というか明らかに不安定である。この辺りは全く声が出なくなって歌えなくなり、観客の合唱によって最後までやり遂げた夏のラブシャの時と同じ不安が頭を少しよぎる。
続く「アンビリーバーズ」も両サイドの中島と須藤はシンセを操作するという編成の中、ハンドマイクの米津玄師はステージを左右に歩き回りながら歌い、最前列の観客に手を差し伸べる。これには曲中にもかかわらず、絶叫と言ってもいいような声がその辺りから会場に響く。前回のツアー同様に米津玄師はサビ前でフロアタムを叩き、アウトロでも連打することで、ただでさえ強力な堀のドラムに加えてビートを強調させる。
前作「Bremen」の「ミラージュソング」でも米津玄師はハンドマイクで歌うのだが、コーラスはメンバーではなくほとんど同期になっている。しかしながらやはり声はかなり不安定で、このままで大丈夫なのだろうかと思ってしまうと同時に、この曲はもうちょっと声の調子が整ってきてから聴きたいとも思ってしまう。
すると米津玄師がギターを手にし、ここで初めて従来の編成になり、「YANKEE」収録の「メランコリーキッチン」へ。あまりボーカルに抑揚がない曲だからか、この曲では声はほとんど気にならない。
「駄菓子屋商売」では米津玄師が再びハンドマイクでフラフラと動きながら、
「チュー チュー チューインガム」
のフレーズで手を動かしながら歌う。コーラス部分では片手を開いて頭上にかざして上下させ、観客もそれに合わせてまるでヒップホップのようなノリ方に。
各々が演奏する楽器が曲ごとに変わるために機材の入れ替えこそ多いが、序盤は非常にテンポ良く曲を連発すると、ダークなシンセサウンドが会場を包む「Undercover」から空気は一変し、CDではボーカルを重ねて録っているような「KARMA CITY」ではどこかおどろおどろしい曲の雰囲気に合わせて照明も妖しげな紫の光になってメンバーを照らす。
最新シングルのカップリングであり、米津玄師本人が「今までで1番暗い曲」と評した「amen」ではその言葉通りにここまでで最もダークなサウンドと歌詞に会場が包まれ、ただただじっと聴いているしかないというような雰囲気に。米津玄師は立膝状態で歌ったりしたが、リリース時に少し話題になったセリフ的なパートはライブではなし。
しかしながらここまでのダークな曲たちの流れはこの曲に引き寄せられたんじゃないかというくらいにこの曲の存在感はあまりにも強い。それ故に間違いなくワンマンでしかできないだろうし、その中でもこうして中盤でしかできない曲だろう。
そのままの流れではあるがバンドサウンドに回帰した「Black Sheep」では最後のサビ前にタイトルさながらに照明が全て消えてステージが真っ暗になって客席からはほとんど見えなくなる。しかしそれでもステージ上のメンバーは演奏を止めないという演出。この演出自体はGRAPEVINEがワンマンで「光について」を演奏する時にもやっているものなのでそこまでの驚きはないが、今回のツアーが本当にバンドの演奏と照明だけで成り立っているというシンプルであるがゆえに演奏自体に意識を集中させることができる内容になっているのがよくわかる。
「かいじゅうずかんっていう本が出たんですけど、それにCDが付いてるんですね。その曲をやります」
と言って、この日物販で先行販売されていた、ロッキンオンジャパンでの連載をまとめた「かいじゅうずかん」の告知をすると(発売日はこの日の2日後)、その「かいじゅうずかん」のために書き下ろされた新曲「Love」を披露。ギリギリまで削ぎ落とされたシンプルなサウンドに、どこか終わってしまうことがわかっているからこそのラブソングとでもいうような儚い歌詞が乗るというのはこれまでになかったスタイル。うっすらとした照明の中でアンプなどのセットに取り付けられた電球が光るのがどこか温かさをも感じさせる。
突如として歌い始める「アイネクライネ」ではいつものように米津玄師が歌詞を間違えて歌っていたが、ここまで来ると敢えてそう歌ってるんじゃないだろうか?とも思ってしまう。コーラスをする中島は合わせるのに大変だと思うけれど。
ここまではMCらしいMCは全くなかったが、ここで重大発表が。早くも新曲「orion」が2/15にリリースされることが発表され、しかも羽海野チカ原作のアニメ「3月のライオン」のタイアップに決定し、1月からオンエアされるという。ちなみに米津玄師は原作を見ている時に月島が舞台の話があり、その当時に月島に住んでいただけにどこか通じる部分があったというエピソードを語っていた。
そんな話を聞かされたら当然ここで初披露していただくしかない、と思ったのだが、この日は演奏しないという焦らしプレイ。得てしてアニメの主題歌となるとタイアップ側の都合によってオンエア前にはライブでできないということがあるが。
「ここから速い曲やっていい?ついてこれますか!?」
とモードを一気に変えると、まずは「Loser」を披露。発売前にライブで見た時はそのクネクネした踊りに目を疑ったが、PVが公開された後となると、そこまで踊りまくりというわけでもないように感じる。むしろ「amen」とかの方が踊っていたような感覚すらある。
「愛されたいならそう言おうぜ 思ってるだけじゃ伝わんないね」
というフレーズは全ての「Loser」たちの背中を力強く押しているはず。
前回のツアーでも大事なポジションを担った「Neon Sign」からは「ゴーゴー幽霊船」からライブではおなじみのクライマックスへ。ボカロ時代のセルフカバー「パンダヒーロー」の金属的な力強い演奏で昔からのファンを喜ばせると、最後に演奏されたのは「ドーナツホール」で、中島とリズム隊の2人が笑顔で顔を見合わせながら細かいフレーズを入れたりしながらも一気に走り抜けていくようなラストには光が溢れるような照明が点いていた。
アンコールで再びメンバーが登場すると、堀のドラムが引っ張るセッション的な演奏からイントロに繋がった、米津玄師の楽曲の中でも最高クラスにストレートなギターロック要素の強い「花に嵐」を演奏。本編終盤では調子を取り戻していた米津玄師のボーカルだが、ファルセットを多く使う難しいこの曲ではもう力技で乗り切るといった印象。
もうツアーも終わってしまうということで、ツアーの思い出を語ったりしたのだが、米津玄師は新幹線の移動中に出たばかりのポケモンをやっていたというツアーらしいネタではない話をする。しかし大阪に行った時に、昔大阪に住んでいた時のボロアパートを見に行ったら洗濯物が干してあって非常に切なくなった、という共感しかないエピソードも話す。
そして最後に演奏されたのは壮大なサウンドスケープによる「ホープランド」へ。
「ソングフォーユー 聴こえている?
いつでもここにおいでよね
そんな歌 届いたら
あとは君次第」
というサビの歌詞はこの上なくこの会場にいた人たちにとっての赦しのように響き、米津玄師はアウトロでライブならではの悲痛なようでいて神聖に響く叫び声を上げた。
演奏が終わると米津玄師はピックを客席に投げたりしてからステージを去り、一ヶ月にも満たなかったが、結果的に今年2本目となった、ツアーに始まりツアーに終わるというツアーと今年の活動は幕を閉じたのであった。
印象的にはやはり「amen」に連なるダークサイドオブ米津玄師な曲たちによって、米津玄師の曲の根底にある孤独感が浮き彫りになったライブだった。それを従来のバンドサウンドから大きく逸脱した形で鳴らしていただけに、これからもっと様々なタイプの曲をいろんな形で鳴らしていく曲ができてきそう。とはいえ「orion」はタイトルからしていかにもなシングル曲になりそうだが。
しかしながらライブ全体の質に関してはまだまだ行ける。そのためにはやはり米津玄師のボーカルとしての力量のさらなるレベルアップが不可欠。そう思った時に浮かんだのが、デビュー当時のねごと。彼女たちも最初から曲が良くて演奏もカッコいいバンドだったが、ボーカルの蒼山がそこをさらに引き上げることができていなかった。しかし尊敬する先輩のチャットモンチーと対バンして叩きのめされ、メンバー全員で何度も悔し涙を流しながら努力した結果、今では蒼山の歌がバンドサウンドを引っ張っているくらいにまで成長と進化を遂げた。
米津玄師は曲に関しては他の追随を許さないくらいに、誰よりもいい曲を書いているだけに、そこを乗り越えれば本当にとんでもない存在になれる。少なくとも前日に見たMrs. GREEN APPLEの大森元貴や、今週同じ会場で見た[Alexandros]の川上洋平はライブでボーカルが不安定に感じることが全くなく、それだけにライブが終わったあとはボーカリストとしての歌唱力と表現力とカリスマ性を強く感じる。もちろんまだ米津玄師はライブの経験がそこまでは達していないが、早くその境地にまで達して欲しいと思う。
だが、ここ5年くらいの間、様々なアーティストが新しく出て来たが、米津玄師はその中でも圧倒的に衝撃だった。自分が今まで聴いてきた音楽の影響を確かに感じさせながらも、圧倒的に新しかった。それは本人のもともとの活動によるものなのかもしれないが、今でも新曲を聴くたびにその感覚にさせてくれる。それだけは確かだし、これからもきっと変わらないはず。
1.ナンバーナイン
2.アンビリーバーズ
3.ミラージュソング
4.メランコリーキッチン
5.駄菓子屋商売
6.Undercover
7.KARMA CITY
8.amen
9.Black Sheep
10.Love
11.アイネクライネ
12.Loser
13.Neon Sign
14.ゴーゴー幽霊船
15.パンダヒーロー
16.ドーナツホール
encore
17.花に嵐
18.ホープランド
Loser
https://youtu.be/Dx_fKPBPYUI
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