Mrs. GREEN APPLE In the Morning Tour @TOKYO DOME CITY HALL 12/7
- 2016/12/07
- 23:53
メンバーが全員が20歳を超えてから初のシングル「In the Morning」をリリースした、Mrs. GREEN APPLE。
夏フェスでもアンセム「サママ・フェスティバル!」を引っ提げて去年よりはるかに進化したところを見せつけたが、今回のツアーファイナルはワンマンとしては過去最大キャパのTOKYO DOME CITY HALLでしかも2days。ちなみにツアーは全箇所ソールドアウトしている。
広いステージにはバルーンやバンドロゴのオブジェが飾られているが、目を引くのはひときわ高いドラムセットの位置と、その後ろにある両サイドに階段のあるステージ。はるか昔にこの後楽園で見た、戦隊ヒーローショーを思い出す。
メンバーの年齢が若いからファンに学生が多いためか、開演時間は18:30。その時間をちょっと過ぎた頃、ステージ背面のスクリーンにノイズ混じりの映像が映し出され、ステージにもあるバンドの新しいロゴの形に。すると最初に紅一点メンバーであるドラムの山中綾華が後ろのステージから登場してそのままドラムセットに座ってドラムを叩き始めるのだが、「この人のドラムってこんなに力強かったっけ!?」とビックリするくらいに力強いビートを叩き出す。
すると他のメンバーも走ってステージに。若井(ギター)と高野(ベース)はすでに楽器を持って、というか演奏しながらの登場で、すぐさまそのままイントロに突入していく。ボーカルの大森元貴も登場すると、「VIP」からスタートするというオープニング。
「踊れ 踊れ 醜く笑え」
というフレーズに合わせるかのように、バルコニー席の最上段までしっかり埋め尽くされた客席は、ステージを動きまくりながら煽るピンク色の髪の藤澤(キーボード)によって最初から踊りまくり。大森もハンドマイクでステージ真ん中からせり出した花道のような場所まで行って、観客の目の前で歌う。
おもちゃ箱の中からメンバーが音を鳴らしているようなカラフルなポップサウンドの「キコリ時計」、イントロの藤澤のキーボードを大森が弾きながら藤澤にちょっかいを出す「アンゼンパイ」と序盤はポップなサイドの曲が続き、大森の挨拶的なMCと、「今日は思いっきり声を出していい日です!」という煽りによってコーラス部分で大合唱が起きた「Speaking」によってすでにライブはクライマックスかのよう。
すると高野がベースを置いてシンセを弾くのは、「In the Morning」のカップリングに収録された「Oz」。スクリーンにはまるでRPGの画面のような美しい緑に囲まれた城の映像が。サウンドももはやエレクトロ・ポップと言っていいようなもので、映像と合わさって実にファンタジック。
ここで大森がギターを肩にかけると、このバンドが初期から(つまり大森がまだ16歳くらいの時から)持っている死生観が強く現れた「L.P」でハードなサウンドのギターロックへ。
続く「ツキマシテハ」もサウンド的には同タイプの曲だが、歌詞のテーマは間違いなく大森の大人への疑問や不信感である。こうした曲を普通に大人ばかりのいるメジャーレーベルから出しているというのは痛快でもあるし、「よく通ったなぁ」とも思う。
そのハードな音を出していたメンバーたちがいったんステージから去ると、大森だけが残り、ステージからせり出した場所までマイクスタンドを持っていき、観客の写真撮影に応える。そう、この日は写真撮影が全編にわたって許可されていたので、こうした場面では観客がスマホを取り出す場面が多く見えたのだが、大森はそのスマホのライトを点けさせて、照明を消させるという、Dragon Ashがライブでよくやる演出をやると、場内をキレイな光が包み込む。
その状態で弾き語りで演奏されたのは、結成時からある曲であり、ここ3~4年は演奏していなかったという「光の唄」。まさにこの光景で歌われるためのような曲であり、歌詞も光の中から聴き手に手を差し伸べるような内容。バンドでアレンジしたらどうなるのかも気になるが、このバンドはこうした曲をかなり寝かせてからリリースさせる傾向があるだけに、音源として聴けるのはかなり先になりそう。実際、年明けにリリースされるアルバムのトラックリストには入っていない。(その一方で昔からライブでやっていたが、ボツになったのかな?と思っていた「鯨の唄」はようやく収録される)
メンバーがステージに戻ると、メンバー紹介などを経て、その年明けリリースのアルバムの告知をしてから、そのアルバムに収録される新曲を披露。まずは完全にスタジアムアンセム的な(ある意味ではQueenというかもはやONE DIRECTIONみたいな)絞った音数の「Just a Friend」。まさかこのバンドからこういう曲が出てくるとは、というくらいにこれまでの曲に似た曲、同じ系統の曲が一切ない。
次は…と思っていると、リズム隊がファンキーなリズムを刻む一方で若井の姿がない。スタッフが大森になにやら耳打ちすると、
「やべー奴が来ている」
と言い、覆面を着けた謎のラッパー、MC WKがステージに登場。カンペ見まくりだしビッグマウスの割にはラップは全く上手くないし、気づいたら「ここは東京」ばかり連呼して、観客にヒップホップ特有の、膝を使いながら手を上下させるノリ方を伝授して嵐のように去っていく。
すると入れ替わりで「トイレに行っていた」という若井がステージに戻ってくる。MC WKとは友達らしいが、ここは茶番感が凄かったので、「なんでこんなことを?」と思っていたが、次に演奏された新曲はまさかのヒップホップであった。若井はサンプラーも操りながらではあるが、生演奏のファンキーなサウンドに大森の滑らかなラップが乗る。このリズム感はMC WKとは段違いで、大森のボーカリスト、表現者としての素質に改めて驚かされる。というか普通にソロのラッパーとしても活動できそうなレベルだし、ヒップホップというサウンドの形態を取ることで、大森の言葉の鋭さも最大限に発揮されている。
さらに新曲は続くが、今度はすでに去年からライブでは毎回演奏されている、EDM要素の強いダンスナンバー「うブ」。ようやくアルバムに収録されることになるが、スタジアムアンセム、ヒップホップ、EDMとこの日披露された新曲は本当に同じバンドの同じアルバムに入るのかと思ってしまうくらいに凄まじい振れ幅である。
曲終わりに藤澤が前に出てくると、後半戦に突入することを宣言し、最新シングルにしてツアータイトルでもある「In the Morning」へ。ここまでの振れ幅の大きな新曲たちを聴いた後だと非常にストレートにすら感じるが、エレクトロ要素も感じるサウンドに聴き手を鼓舞する歌詞を乗せた曲で、大森が合唱を煽るところもあったが、まだ発売されたばかりだからという状況だからか、観客も歌詞をキチンと把握できてない感もあった。
「リスキーゲーム」では藤澤に合わせて、アリーナ席から最上列までの観客が一斉にタオルをぐるぐる回すという壮観な景色に。メジャーデビュー曲である「StaRt」では合唱するフレーズがスクリーンに映し出されたため、大合唱が起きる。
そして今年の夏の一大アンセムとなった「サママ・フェスティバル!」でこの会場の中だけは一気に夏に。この曲を初めて聴いたのは春の「TWELVE」ツアーのファイナルの時だったが、その時はまだ夏すらも来ておらず、この曲が似合う季節はまだまだだな、と思っていた。しかし至るところでこの曲を聴いた夏フェスもついこの前だと思っていたが、もう今は12月。こうして冬にこの曲を聴くと、
「今年もあっという間に終わっちゃう!」
という歌詞がこの上なくリアルに響いてくる。
そうした思いに耽ることができるくらいに、各地の夏フェスでこの曲を聴けたのは本当に幸せだった。
そして大森がこの日この会場に来てくれた観客に対して、
「ここは3200人入るらしいんですよ。でも僕は3200人っていう一つの単語では捉えたくなくて。あくまで1人1人の集合したのが3200になったって思いたい。だからここに来てくれた1人1人の、愛情に感謝!」
と感謝の気持ちを告げてから演奏したのはもちろん「愛情と矛先」。メンバーの演奏中の揃ったアクションも実に楽しく、これまでは最初に演奏されることが多かったこの曲が、こうして最後を締めることができる曲であることが証明されたし、振れ幅の大きかったこの日のセトリの中でもやはりこの曲がバンドのど真ん中であるということが改めてわかった。
演奏が終わるとメンバーがステージ中央に集まって一礼し、大きな拍手に包まれながらステージから去って行った。
アンコールで再びメンバーが登場すると、
「この曲は本当に自分たちの中でも大事な曲で。だから演奏する時も本当に特別な気持ちになる」
と言って、サビ前からサビを弾き語りのようにして歌って観客と合唱した「我逢人」を演奏。自分がこのバンドを知ったのは「Introduction」がリリースされる前にこの曲がスペシャで流れたのを見た時だった。その瞬間に曲の瑞々しさとバンドの演奏の完成度の高さに撃ち抜かれた。つまり自分とこのバンドの出会いの曲であり、最も大切な曲であるとも言える。その瑞々しさはこうしてリリースから時間が経っても全く変わることはない。
1曲だけやってアンコールはあっさりと終了するも、まだアンコールを求める声は止まず、このタイミングでツアーグッズに着替えたメンバーが登場。大森と若井が着ているのを見ると、パーカーがすごくオシャレに見えてくる。
「アットホームな感じで見ていただけたら!」
と言うまでもなく、藤澤がフルートを持っていた時点で予想はついていたが、最後に演奏されたのは「庶幾の唄」。その藤澤のフルートの音色がこの曲のアットホームな空気を作り出す中、山中のドラムセットからスティックを一本取った大森を軸に男子メンバーが集まってポーズを取ったりというパフォーマンスもあったが、ライブの最後にこの曲を聴くと、いつになってもこのバンドは
「まだ始まったばっかりだ!」
と思わせてくれる。
演奏終了後にはメンバーがステージ前で肩を組みながら写真撮影対応のようなポーズを取り、ピックを投げたりしながらあらゆる方向の観客に手を振ってステージから去って行った。
ミセスはインディー期からすでに完成度の高いライブをしていたバンドだが、ここにきて大森のボーカリストとしての歌唱力、表現力、カリスマ性がさらに進化している。そして各メンバーもその大森の姿に置いて行かれないようにさらに腕を磨いている。
「あまり普段は他の音楽を聴かない」
という大森からなぜこんなに幅広い音楽性の曲が出てくるのかというのが不思議でならないが、「Mrs. GREEN APPLE」というバンドの名前を冠したアルバムは、このバンドをもはやギターロックバンドとして括れなくなるような内容になりそうだ。
そしてこの日も客席にたくさんいた、10代であろう観客の人たちを見て、もし自分が今10代でこのバンドに出会っていたら「このバンドは自分のためのバンドだ」と思っていただろう。自分が10代の時はそう思える同世代のバンドはいなかったし(音楽に目覚めるきっかけになったバンドは年上ばかりだった)実際、今このバンドはそういう人たちが音楽に目覚めるきっかけの存在になりつつある。
だからこそ、精神年齢が10代のまま止まっている自分も、このバンドのライブを見ている時だけは実年齢も10代に戻りたいと思う。
1.VIP
2.キコリ時計
3.アンゼンパイ
4.Speaking
5.Oz
6.L.P
7.ツキマシテハ
8.光の唄
9.Just a Friend (新曲)
10.新曲
11.うブ
12.In the Morning
13.リスキーゲーム
14.StaRt
15.サママ・フェスティバル!
16.愛情と矛先
encore1
17.我逢人
encore2
18.庶幾の唄
Next→ 12/8 米津玄師 @Zepp Tokyo
夏フェスでもアンセム「サママ・フェスティバル!」を引っ提げて去年よりはるかに進化したところを見せつけたが、今回のツアーファイナルはワンマンとしては過去最大キャパのTOKYO DOME CITY HALLでしかも2days。ちなみにツアーは全箇所ソールドアウトしている。
広いステージにはバルーンやバンドロゴのオブジェが飾られているが、目を引くのはひときわ高いドラムセットの位置と、その後ろにある両サイドに階段のあるステージ。はるか昔にこの後楽園で見た、戦隊ヒーローショーを思い出す。
メンバーの年齢が若いからファンに学生が多いためか、開演時間は18:30。その時間をちょっと過ぎた頃、ステージ背面のスクリーンにノイズ混じりの映像が映し出され、ステージにもあるバンドの新しいロゴの形に。すると最初に紅一点メンバーであるドラムの山中綾華が後ろのステージから登場してそのままドラムセットに座ってドラムを叩き始めるのだが、「この人のドラムってこんなに力強かったっけ!?」とビックリするくらいに力強いビートを叩き出す。
すると他のメンバーも走ってステージに。若井(ギター)と高野(ベース)はすでに楽器を持って、というか演奏しながらの登場で、すぐさまそのままイントロに突入していく。ボーカルの大森元貴も登場すると、「VIP」からスタートするというオープニング。
「踊れ 踊れ 醜く笑え」
というフレーズに合わせるかのように、バルコニー席の最上段までしっかり埋め尽くされた客席は、ステージを動きまくりながら煽るピンク色の髪の藤澤(キーボード)によって最初から踊りまくり。大森もハンドマイクでステージ真ん中からせり出した花道のような場所まで行って、観客の目の前で歌う。
おもちゃ箱の中からメンバーが音を鳴らしているようなカラフルなポップサウンドの「キコリ時計」、イントロの藤澤のキーボードを大森が弾きながら藤澤にちょっかいを出す「アンゼンパイ」と序盤はポップなサイドの曲が続き、大森の挨拶的なMCと、「今日は思いっきり声を出していい日です!」という煽りによってコーラス部分で大合唱が起きた「Speaking」によってすでにライブはクライマックスかのよう。
すると高野がベースを置いてシンセを弾くのは、「In the Morning」のカップリングに収録された「Oz」。スクリーンにはまるでRPGの画面のような美しい緑に囲まれた城の映像が。サウンドももはやエレクトロ・ポップと言っていいようなもので、映像と合わさって実にファンタジック。
ここで大森がギターを肩にかけると、このバンドが初期から(つまり大森がまだ16歳くらいの時から)持っている死生観が強く現れた「L.P」でハードなサウンドのギターロックへ。
続く「ツキマシテハ」もサウンド的には同タイプの曲だが、歌詞のテーマは間違いなく大森の大人への疑問や不信感である。こうした曲を普通に大人ばかりのいるメジャーレーベルから出しているというのは痛快でもあるし、「よく通ったなぁ」とも思う。
そのハードな音を出していたメンバーたちがいったんステージから去ると、大森だけが残り、ステージからせり出した場所までマイクスタンドを持っていき、観客の写真撮影に応える。そう、この日は写真撮影が全編にわたって許可されていたので、こうした場面では観客がスマホを取り出す場面が多く見えたのだが、大森はそのスマホのライトを点けさせて、照明を消させるという、Dragon Ashがライブでよくやる演出をやると、場内をキレイな光が包み込む。
その状態で弾き語りで演奏されたのは、結成時からある曲であり、ここ3~4年は演奏していなかったという「光の唄」。まさにこの光景で歌われるためのような曲であり、歌詞も光の中から聴き手に手を差し伸べるような内容。バンドでアレンジしたらどうなるのかも気になるが、このバンドはこうした曲をかなり寝かせてからリリースさせる傾向があるだけに、音源として聴けるのはかなり先になりそう。実際、年明けにリリースされるアルバムのトラックリストには入っていない。(その一方で昔からライブでやっていたが、ボツになったのかな?と思っていた「鯨の唄」はようやく収録される)
メンバーがステージに戻ると、メンバー紹介などを経て、その年明けリリースのアルバムの告知をしてから、そのアルバムに収録される新曲を披露。まずは完全にスタジアムアンセム的な(ある意味ではQueenというかもはやONE DIRECTIONみたいな)絞った音数の「Just a Friend」。まさかこのバンドからこういう曲が出てくるとは、というくらいにこれまでの曲に似た曲、同じ系統の曲が一切ない。
次は…と思っていると、リズム隊がファンキーなリズムを刻む一方で若井の姿がない。スタッフが大森になにやら耳打ちすると、
「やべー奴が来ている」
と言い、覆面を着けた謎のラッパー、MC WKがステージに登場。カンペ見まくりだしビッグマウスの割にはラップは全く上手くないし、気づいたら「ここは東京」ばかり連呼して、観客にヒップホップ特有の、膝を使いながら手を上下させるノリ方を伝授して嵐のように去っていく。
すると入れ替わりで「トイレに行っていた」という若井がステージに戻ってくる。MC WKとは友達らしいが、ここは茶番感が凄かったので、「なんでこんなことを?」と思っていたが、次に演奏された新曲はまさかのヒップホップであった。若井はサンプラーも操りながらではあるが、生演奏のファンキーなサウンドに大森の滑らかなラップが乗る。このリズム感はMC WKとは段違いで、大森のボーカリスト、表現者としての素質に改めて驚かされる。というか普通にソロのラッパーとしても活動できそうなレベルだし、ヒップホップというサウンドの形態を取ることで、大森の言葉の鋭さも最大限に発揮されている。
さらに新曲は続くが、今度はすでに去年からライブでは毎回演奏されている、EDM要素の強いダンスナンバー「うブ」。ようやくアルバムに収録されることになるが、スタジアムアンセム、ヒップホップ、EDMとこの日披露された新曲は本当に同じバンドの同じアルバムに入るのかと思ってしまうくらいに凄まじい振れ幅である。
曲終わりに藤澤が前に出てくると、後半戦に突入することを宣言し、最新シングルにしてツアータイトルでもある「In the Morning」へ。ここまでの振れ幅の大きな新曲たちを聴いた後だと非常にストレートにすら感じるが、エレクトロ要素も感じるサウンドに聴き手を鼓舞する歌詞を乗せた曲で、大森が合唱を煽るところもあったが、まだ発売されたばかりだからという状況だからか、観客も歌詞をキチンと把握できてない感もあった。
「リスキーゲーム」では藤澤に合わせて、アリーナ席から最上列までの観客が一斉にタオルをぐるぐる回すという壮観な景色に。メジャーデビュー曲である「StaRt」では合唱するフレーズがスクリーンに映し出されたため、大合唱が起きる。
そして今年の夏の一大アンセムとなった「サママ・フェスティバル!」でこの会場の中だけは一気に夏に。この曲を初めて聴いたのは春の「TWELVE」ツアーのファイナルの時だったが、その時はまだ夏すらも来ておらず、この曲が似合う季節はまだまだだな、と思っていた。しかし至るところでこの曲を聴いた夏フェスもついこの前だと思っていたが、もう今は12月。こうして冬にこの曲を聴くと、
「今年もあっという間に終わっちゃう!」
という歌詞がこの上なくリアルに響いてくる。
そうした思いに耽ることができるくらいに、各地の夏フェスでこの曲を聴けたのは本当に幸せだった。
そして大森がこの日この会場に来てくれた観客に対して、
「ここは3200人入るらしいんですよ。でも僕は3200人っていう一つの単語では捉えたくなくて。あくまで1人1人の集合したのが3200になったって思いたい。だからここに来てくれた1人1人の、愛情に感謝!」
と感謝の気持ちを告げてから演奏したのはもちろん「愛情と矛先」。メンバーの演奏中の揃ったアクションも実に楽しく、これまでは最初に演奏されることが多かったこの曲が、こうして最後を締めることができる曲であることが証明されたし、振れ幅の大きかったこの日のセトリの中でもやはりこの曲がバンドのど真ん中であるということが改めてわかった。
演奏が終わるとメンバーがステージ中央に集まって一礼し、大きな拍手に包まれながらステージから去って行った。
アンコールで再びメンバーが登場すると、
「この曲は本当に自分たちの中でも大事な曲で。だから演奏する時も本当に特別な気持ちになる」
と言って、サビ前からサビを弾き語りのようにして歌って観客と合唱した「我逢人」を演奏。自分がこのバンドを知ったのは「Introduction」がリリースされる前にこの曲がスペシャで流れたのを見た時だった。その瞬間に曲の瑞々しさとバンドの演奏の完成度の高さに撃ち抜かれた。つまり自分とこのバンドの出会いの曲であり、最も大切な曲であるとも言える。その瑞々しさはこうしてリリースから時間が経っても全く変わることはない。
1曲だけやってアンコールはあっさりと終了するも、まだアンコールを求める声は止まず、このタイミングでツアーグッズに着替えたメンバーが登場。大森と若井が着ているのを見ると、パーカーがすごくオシャレに見えてくる。
「アットホームな感じで見ていただけたら!」
と言うまでもなく、藤澤がフルートを持っていた時点で予想はついていたが、最後に演奏されたのは「庶幾の唄」。その藤澤のフルートの音色がこの曲のアットホームな空気を作り出す中、山中のドラムセットからスティックを一本取った大森を軸に男子メンバーが集まってポーズを取ったりというパフォーマンスもあったが、ライブの最後にこの曲を聴くと、いつになってもこのバンドは
「まだ始まったばっかりだ!」
と思わせてくれる。
演奏終了後にはメンバーがステージ前で肩を組みながら写真撮影対応のようなポーズを取り、ピックを投げたりしながらあらゆる方向の観客に手を振ってステージから去って行った。
ミセスはインディー期からすでに完成度の高いライブをしていたバンドだが、ここにきて大森のボーカリストとしての歌唱力、表現力、カリスマ性がさらに進化している。そして各メンバーもその大森の姿に置いて行かれないようにさらに腕を磨いている。
「あまり普段は他の音楽を聴かない」
という大森からなぜこんなに幅広い音楽性の曲が出てくるのかというのが不思議でならないが、「Mrs. GREEN APPLE」というバンドの名前を冠したアルバムは、このバンドをもはやギターロックバンドとして括れなくなるような内容になりそうだ。
そしてこの日も客席にたくさんいた、10代であろう観客の人たちを見て、もし自分が今10代でこのバンドに出会っていたら「このバンドは自分のためのバンドだ」と思っていただろう。自分が10代の時はそう思える同世代のバンドはいなかったし(音楽に目覚めるきっかけになったバンドは年上ばかりだった)実際、今このバンドはそういう人たちが音楽に目覚めるきっかけの存在になりつつある。
だからこそ、精神年齢が10代のまま止まっている自分も、このバンドのライブを見ている時だけは実年齢も10代に戻りたいと思う。
1.VIP
2.キコリ時計
3.アンゼンパイ
4.Speaking
5.Oz
6.L.P
7.ツキマシテハ
8.光の唄
9.Just a Friend (新曲)
10.新曲
11.うブ
12.In the Morning
13.リスキーゲーム
14.StaRt
15.サママ・フェスティバル!
16.愛情と矛先
encore1
17.我逢人
encore2
18.庶幾の唄
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