Suck a Stew Dry 東名阪対バンツアー 「遺失物取扱所」 GUEST:GOOD ON THE REEL @下北沢GARDEN 12/6
- 2016/12/06
- 22:48
夏フェスシーズンたけなわの8月、突如としてSuck a Stew Dryからギター・フセタツアキの年内での脱退が発表された。もともと自身のバンドと並行して活動していたが、SuckのMCを主に担当し、ライブの雰囲気作りを担っていただけに、このタイミングでの脱退は意外であった。
そのフセが参加する最後のツアーとなるのが今回の東名阪での対バンツアー。翌日にはワンマンも控えているが、行けるのがこの日しかないだけに、現体制のSuckを見れるのはこの日が最後になる。
・GOOD ON THE REEL
そんな、現体制での最後の対バンに選ばれたのは、GOOD ON THE REEL。Suckとは盟友と言っていいバンドであり、どこか音楽性にも近いものを感じる。
客席は超満員状態の中、19時過ぎにメンバーがステージに登場。千野隆尋(ボーカル)が、
「Suckと2マンやるのは2回目かな?今日が素晴らしい1日になりますように」
と挨拶すると、その言葉をそのまま曲にしたかのような「素晴らしき今日の始まり」でスタートし、アッパーなサウンドで感情の赦しを歌う「雨天決行」と続けるが、すでに日比谷野音でワンマンをやっているバンドであるだけに、ゲストサイドでの出演であっても全くアウェー感はない。
決してポジティブではない歌詞とシンプルなギターロックサウンドはSuckと共通している部分だが、千野の儚さの結晶のような声はこのバンドの音楽に最大級の説得力を持たせている。
MC担当であるベースの宇佐美が
「Suckのフセ君と、夜の本気ダンスの鈴鹿はMCのライバルだと思っていて。今までずっと三つ巴でやってきたと思ってたんだけど、これからは鈴鹿との一騎打ちになっちゃうな」
と独特のフセへの想いを語ると、Suckとここに来た観客自身に拍手を送らせ、なぜかフセに対しては敬礼するというちょっと意味のわからないくらいのリスペクトっぷりを見せる。
すると「ホワイトライン」ではそれまでのじっと演奏に聴き入るような雰囲気から一気にダンサブルなサウンドになり、手拍子も起きれば腕も上がるという、明るくはないが楽しさを感じさせてくれる雰囲気に。
そして千野の最後の言葉をそのまま曲にしたようでもあり、Suckに対するメッセージのようでもあった「ハッピーエンド」では伊丸岡と岡崎のギタリスト2人による、意外なほどの轟音サウンドに包まれて終了した。
時間は思ったよりもはるかに短かったが、
「Suckと一緒にいると、これからライブなのかな?っていうくらいに和んでしまう」
と宇佐美が言っていたように、Suckからしたら精神的に通じ合っているこのバンドにどうしても出て欲しかったということだろう。
アッパーで踊れるサウンドのバンドがシーンの主流になってだいぶ経つが、これだけ聴き入らせる曲がメインのこのバンドが野音まで行けたのは本当にすごいことだと思う。
1.素晴らしき今日の始まり
2.雨天決行
3.さよならポラリス
4.彼女の部屋で二人
5.ホワイトライン
6.ハッピーエンド
雨天決行
https://youtu.be/0hazuIKucbo
・Suck a Stew Dry
そしていよいよSuck a Stew Dryが登場。ライブを見るのが久々だったので、フセ、ハジオキクチ(ギター)、スダユウキ(ベース)の立ち位置が入れ替わっているのに少し驚いた。去年くらいからこの立ち位置になったらしいが。
篠山コウセイはアコギを持ち、初期の「Thursday's youth」からスタートするという重めの立ち上がり。近年はポップで楽しい曲も増えているが、序盤は「エヴリ」「カラフル」と、腕が上がることすらないような、じっと聴き入るしかない曲が続く。
なので篠山が
「ライブっていうのは自己紹介みたいなものだと思っていて。でもこの5人で自己紹介するのももうこれで最後か、って」
と現体制ではもうこの日と明日しかライブがないことを告げてやや空気は重めに。
中盤にはハジオがキーボードを弾くというマルチプレイヤーぶりを見せ(この日はコーラスはすれど、ボーカルはなし)、篠山の暗い内面を吐露した曲たちに少し彩りを与える。
すると篠山が、大学の軽音楽部に後輩としてハジオとスダが入ってきた時の思い出話を始める。いわく、
「ハジオさんは後輩なのに明らかに歳上感が出てたから接しにくい、フセ君は青森出身とは思えないくらいにオシャレだったから接しにくい(笑)
チカさん(ドラムのイタバシヒロチカ)も同級生なんですけど、ベルト2本付けたりしててオシャレで接しにくかった(笑)」
と結成時からのメンバーが全員接しにくかったと評し、
「お前はオシャレに対してなんかあるな!オシャレって普通は褒め言葉だぞ!」
と後輩のはずのフセにお前呼ばわりで突っ込まれる。ちなみに後から加入したスダは接しやすいが、笑顔には裏があるらしい(笑)
ある意味ではこのバンドのテーマソングとも言える「SaSD [eve]」から「人間遊び」「Normalism」と、やはり初期の曲が続く。基本的に初期の曲はキャッチーな要素はほとんどなく、本当に篠山コウセイという人間の内面の暗い部分、捻くれた部分を歌詞にした曲ばかりなのでそれに合わせるようにサウンドも重くダーク。だからこそこの小さいキャパでの、演出らしい演出がないライブハウスだと照明すらも青を中心とした暗いものになる。
しかしながら「人間遊び」では篠山は本当に歌詞をしっかりと伝えるように、感情を思いっきり込めて歌っているように見えた。だからその歌詞のメッセージが聴いていてグサグサと刺さってくる。
そしてこれは篠山がいつも言う、
「できたらでいいんですけど、音楽でもなんでも、生きていたらいつかまた会える時がくる」
という「絶対また会おうな!」とは決して言わないし言えない彼らしいメッセージを投げかけてから、最後に演奏されたのはツアーのタイトルにもなっている「遺失物取扱所」。この曲がツアータイトルだから同時期の曲が多いんだろうか、とも思うが、この日初めて明るい光に包まれながら篠山が歌う
「君に会いたくなって痛くて
痛くなくなって失くして
遺失物取扱所へ 未だに想いはありますか?」
というフレーズは観客とバンドとの再会を約束するテーマのように響いた。
しかしながらこれで終わるわけはなく、アンコールで再びメンバーが登場。
「バンドをやって生きていると、普通に生きている人よりもやりたくないことをやらなくていい人生を歩んでいるんですけど、たまにはやりたくないようなこともやらなくちゃいけないことがあって。
そうやって出来た曲に対して「あんまり好きじゃない曲だからライブでやりたくない」ってツイートしたりすると、「私もあの曲好きじゃないんです!」って同調のリプライが来たりして…(笑)
そう言われるとやりたくなる、そんな曲です」
と言って演奏されたのは「ウェイクミーアップ」。ミニアルバムのタイトル曲であり、これまでの流れで聴くと違うバンドの曲であるかのように明るくポップな、応援歌と言ってもいいような歌詞の曲だが、やはり篠山は本来はそういう曲は作りたくて作っているんじゃないだろうか、とも勘ぐってしまう。
そしてラストに演奏されたのは、ポップと言ってもいいサウンドの上を
「君は世界とは関係ない」
と、社会や大多数の人とは切り離されて生きている篠山の内面を歌った「トロイメライ」だった。
演奏が終わってもさらなるアンコールを求める声は止まず、篠山が再びステージに現れ、
「今日はダブルアンコールはないんです。さっきも言いましたけど、生きていればいつかまた会えるんで、生きていてください」
とダブルアンコールこそなかったが、本編に続いて言ったその言葉は、観客のみならず、袂を分かつ生き方を選んだフセにも向けられたように感じた。
自分のように、この日が現体制のSuckを見るのは最後という人もいたと思うが、フセは挨拶をしたりすることはなかった。それは本当の最後である、翌日の自分たちだけを見に来てくれた人の前で話すのだろう。
しかしこの日もそうだったが、篠山に鋭いツッコミを入れ、他のメンバーが全くしない観客を煽ったり盛り上げたりと、このバンドのライブの楽しい部分を一手に担っていたフセの代わりになるような人間はいない。
だがこれからもこのバンドでライブをしていく上では、ハジオ以外のギターのメンバーの存在は不可欠。翌日のワンマン以降の予定が全く決まってないだけに、すでに後任メンバー(サポートかもしれないけど)と水面下でスタジオに入ったりしているのかもしれないし、これから探すのかもしれないが、4人だけでできるような曲とライブをやっているバンドではないことは確か。
来年以降、またライブをやる時までにお互いが生きていたら、その時に。
1.Thursday's youth
2.エヴリ
3.カラフル
4.ないものねだり
5.二時二分
6.レフストアンブルフィ
7.SaSD [eve]
8.人間遊び
9.Normalism
10.遺失物取扱所
encore
11.ウェイクミーアップ
12.トロイメライ
遺失物取扱所
https://youtu.be/pTcgHJIELxo
Next→ 12/7 Mrs. GREEN APPLE @TOKYO DOME CITY HALL
そのフセが参加する最後のツアーとなるのが今回の東名阪での対バンツアー。翌日にはワンマンも控えているが、行けるのがこの日しかないだけに、現体制のSuckを見れるのはこの日が最後になる。
・GOOD ON THE REEL
そんな、現体制での最後の対バンに選ばれたのは、GOOD ON THE REEL。Suckとは盟友と言っていいバンドであり、どこか音楽性にも近いものを感じる。
客席は超満員状態の中、19時過ぎにメンバーがステージに登場。千野隆尋(ボーカル)が、
「Suckと2マンやるのは2回目かな?今日が素晴らしい1日になりますように」
と挨拶すると、その言葉をそのまま曲にしたかのような「素晴らしき今日の始まり」でスタートし、アッパーなサウンドで感情の赦しを歌う「雨天決行」と続けるが、すでに日比谷野音でワンマンをやっているバンドであるだけに、ゲストサイドでの出演であっても全くアウェー感はない。
決してポジティブではない歌詞とシンプルなギターロックサウンドはSuckと共通している部分だが、千野の儚さの結晶のような声はこのバンドの音楽に最大級の説得力を持たせている。
MC担当であるベースの宇佐美が
「Suckのフセ君と、夜の本気ダンスの鈴鹿はMCのライバルだと思っていて。今までずっと三つ巴でやってきたと思ってたんだけど、これからは鈴鹿との一騎打ちになっちゃうな」
と独特のフセへの想いを語ると、Suckとここに来た観客自身に拍手を送らせ、なぜかフセに対しては敬礼するというちょっと意味のわからないくらいのリスペクトっぷりを見せる。
すると「ホワイトライン」ではそれまでのじっと演奏に聴き入るような雰囲気から一気にダンサブルなサウンドになり、手拍子も起きれば腕も上がるという、明るくはないが楽しさを感じさせてくれる雰囲気に。
そして千野の最後の言葉をそのまま曲にしたようでもあり、Suckに対するメッセージのようでもあった「ハッピーエンド」では伊丸岡と岡崎のギタリスト2人による、意外なほどの轟音サウンドに包まれて終了した。
時間は思ったよりもはるかに短かったが、
「Suckと一緒にいると、これからライブなのかな?っていうくらいに和んでしまう」
と宇佐美が言っていたように、Suckからしたら精神的に通じ合っているこのバンドにどうしても出て欲しかったということだろう。
アッパーで踊れるサウンドのバンドがシーンの主流になってだいぶ経つが、これだけ聴き入らせる曲がメインのこのバンドが野音まで行けたのは本当にすごいことだと思う。
1.素晴らしき今日の始まり
2.雨天決行
3.さよならポラリス
4.彼女の部屋で二人
5.ホワイトライン
6.ハッピーエンド
雨天決行
https://youtu.be/0hazuIKucbo
・Suck a Stew Dry
そしていよいよSuck a Stew Dryが登場。ライブを見るのが久々だったので、フセ、ハジオキクチ(ギター)、スダユウキ(ベース)の立ち位置が入れ替わっているのに少し驚いた。去年くらいからこの立ち位置になったらしいが。
篠山コウセイはアコギを持ち、初期の「Thursday's youth」からスタートするという重めの立ち上がり。近年はポップで楽しい曲も増えているが、序盤は「エヴリ」「カラフル」と、腕が上がることすらないような、じっと聴き入るしかない曲が続く。
なので篠山が
「ライブっていうのは自己紹介みたいなものだと思っていて。でもこの5人で自己紹介するのももうこれで最後か、って」
と現体制ではもうこの日と明日しかライブがないことを告げてやや空気は重めに。
中盤にはハジオがキーボードを弾くというマルチプレイヤーぶりを見せ(この日はコーラスはすれど、ボーカルはなし)、篠山の暗い内面を吐露した曲たちに少し彩りを与える。
すると篠山が、大学の軽音楽部に後輩としてハジオとスダが入ってきた時の思い出話を始める。いわく、
「ハジオさんは後輩なのに明らかに歳上感が出てたから接しにくい、フセ君は青森出身とは思えないくらいにオシャレだったから接しにくい(笑)
チカさん(ドラムのイタバシヒロチカ)も同級生なんですけど、ベルト2本付けたりしててオシャレで接しにくかった(笑)」
と結成時からのメンバーが全員接しにくかったと評し、
「お前はオシャレに対してなんかあるな!オシャレって普通は褒め言葉だぞ!」
と後輩のはずのフセにお前呼ばわりで突っ込まれる。ちなみに後から加入したスダは接しやすいが、笑顔には裏があるらしい(笑)
ある意味ではこのバンドのテーマソングとも言える「SaSD [eve]」から「人間遊び」「Normalism」と、やはり初期の曲が続く。基本的に初期の曲はキャッチーな要素はほとんどなく、本当に篠山コウセイという人間の内面の暗い部分、捻くれた部分を歌詞にした曲ばかりなのでそれに合わせるようにサウンドも重くダーク。だからこそこの小さいキャパでの、演出らしい演出がないライブハウスだと照明すらも青を中心とした暗いものになる。
しかしながら「人間遊び」では篠山は本当に歌詞をしっかりと伝えるように、感情を思いっきり込めて歌っているように見えた。だからその歌詞のメッセージが聴いていてグサグサと刺さってくる。
そしてこれは篠山がいつも言う、
「できたらでいいんですけど、音楽でもなんでも、生きていたらいつかまた会える時がくる」
という「絶対また会おうな!」とは決して言わないし言えない彼らしいメッセージを投げかけてから、最後に演奏されたのはツアーのタイトルにもなっている「遺失物取扱所」。この曲がツアータイトルだから同時期の曲が多いんだろうか、とも思うが、この日初めて明るい光に包まれながら篠山が歌う
「君に会いたくなって痛くて
痛くなくなって失くして
遺失物取扱所へ 未だに想いはありますか?」
というフレーズは観客とバンドとの再会を約束するテーマのように響いた。
しかしながらこれで終わるわけはなく、アンコールで再びメンバーが登場。
「バンドをやって生きていると、普通に生きている人よりもやりたくないことをやらなくていい人生を歩んでいるんですけど、たまにはやりたくないようなこともやらなくちゃいけないことがあって。
そうやって出来た曲に対して「あんまり好きじゃない曲だからライブでやりたくない」ってツイートしたりすると、「私もあの曲好きじゃないんです!」って同調のリプライが来たりして…(笑)
そう言われるとやりたくなる、そんな曲です」
と言って演奏されたのは「ウェイクミーアップ」。ミニアルバムのタイトル曲であり、これまでの流れで聴くと違うバンドの曲であるかのように明るくポップな、応援歌と言ってもいいような歌詞の曲だが、やはり篠山は本来はそういう曲は作りたくて作っているんじゃないだろうか、とも勘ぐってしまう。
そしてラストに演奏されたのは、ポップと言ってもいいサウンドの上を
「君は世界とは関係ない」
と、社会や大多数の人とは切り離されて生きている篠山の内面を歌った「トロイメライ」だった。
演奏が終わってもさらなるアンコールを求める声は止まず、篠山が再びステージに現れ、
「今日はダブルアンコールはないんです。さっきも言いましたけど、生きていればいつかまた会えるんで、生きていてください」
とダブルアンコールこそなかったが、本編に続いて言ったその言葉は、観客のみならず、袂を分かつ生き方を選んだフセにも向けられたように感じた。
自分のように、この日が現体制のSuckを見るのは最後という人もいたと思うが、フセは挨拶をしたりすることはなかった。それは本当の最後である、翌日の自分たちだけを見に来てくれた人の前で話すのだろう。
しかしこの日もそうだったが、篠山に鋭いツッコミを入れ、他のメンバーが全くしない観客を煽ったり盛り上げたりと、このバンドのライブの楽しい部分を一手に担っていたフセの代わりになるような人間はいない。
だがこれからもこのバンドでライブをしていく上では、ハジオ以外のギターのメンバーの存在は不可欠。翌日のワンマン以降の予定が全く決まってないだけに、すでに後任メンバー(サポートかもしれないけど)と水面下でスタジオに入ったりしているのかもしれないし、これから探すのかもしれないが、4人だけでできるような曲とライブをやっているバンドではないことは確か。
来年以降、またライブをやる時までにお互いが生きていたら、その時に。
1.Thursday's youth
2.エヴリ
3.カラフル
4.ないものねだり
5.二時二分
6.レフストアンブルフィ
7.SaSD [eve]
8.人間遊び
9.Normalism
10.遺失物取扱所
encore
11.ウェイクミーアップ
12.トロイメライ
遺失物取扱所
https://youtu.be/pTcgHJIELxo
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