SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り @幕張メッセ 12/4
- 2016/12/05
- 18:50
2日目。会場に着くと、明らかに前日よりも集まった人たちの平均年齢が低い。同じイベントとはいえ、このあたりは出演者によってダイレクトに変わる部分である。
11:00~ My Hair is Bad [RED STAGE]
RED STAGEのトップバッターはMy Hair is Bad。今年はあらゆるイベントやフェスに出演し、現在はアルバムのツアーも始まっているという凄まじいライブスケジュールである。
メンバーが集まって気合いを入れると「アフターアワー」からスタート。
「ドキドキしようぜ!」
という椎木はこの日も100%以上の力を持って歌うのだが、夏フェスでのライブから声がガラガラな時が多々あったし、先日ポリープの治療に入ることが発表されたので、やはりちょっと声を張るようなところはキツそうに感じる。
言葉が次々に押し寄せる最新アルバムのリード曲「告白」、一瞬で終わる「クリサンセマム」、明らかに曲のテンポが上がりまくっている4つ打ちの「元彼氏として」と曲を畳み掛けると、
「ELLEGARDENがここでワンマンした映像をずっと見てきた。ついにその幕張メッセでライブできる日が来た」
と話し始めると、いつものように言葉を次々に放ち、
「骸骨になってまで生きていたいとは思わない!骸骨になっても魂がなければ意味がない!」
と骸骨祭りならではのフレーズもふんだんに盛り込み、この日、この場所でしかないライブになっていき、そのまま「from now on」へ。
そしてラストは「真赤」から、
「俺はロックスターになりたいんじゃない!カッコいい男になりたいんだ!」
と宣言して最新アルバムからの「音楽家になりたくて」。
ポリープのことについてはこの日は何も言うことはなかった。それについてはきっとツアーで聞けるはず。心配でもあるが、オーラル山中やユニゾン斎藤など、過去にポリープの手術をしたボーカルたちもすぐに帰ってきた。だからきっと大丈夫。
1.アフターアワー
2.告白
3.クリサンセマム
4.元彼氏として
5.from now on
6.真赤
7.音楽家になりたくて
告白
https://youtu.be/yR0KgP7OrSw
12:40~ THE BACK HORN [BLACK STAGE]
このラインアップではもうベテランの域に達している、THE BACK HORN。最近はドラムの松田がCMに出るなど、ライブの場以外でも活躍を目にする機会が増えている。
壮大なSEで登場すると、山田が
「立ち上がれ!死んでも譲れないものがある」
と力強く歌い始める、このバンドならではの和の要素が強いロックチューン「刃」でスタート。
「魂のアリバイ」「罠」と激しい曲が続くと松田がそこまで付き合いが長くはないというSKULLSHITとの馴れ初めを語ると、イントロの光舟のベースのフレーズが始まった段階で歓声が起きた「美しい名前」、最新シングル「With You」とバラードが続く。
THE BACK HORNのイメージ的にはやはり激しい曲が多いというものだが、この日のハイライトは紛れもなくこのバラードの2曲だった。同じバラードでも歌詞の内容など、ベクトルは正反対な2曲だが、どちらもメンバーとバンドの根の優しさがわかる曲。「With You」の、かつては日本3大鬱バンドと呼ばれていたこのバンドらしからぬリア充感は、栄純に何があったのかと余計な勘ぐりをしてしまうが。
後半はまさかここで演奏されるとはという「上海狂騒曲」(「ヘッドフォンチルドレン」収録)から再び激しい曲が続く。
「コバルトブルー」ではダイバーが続出し、ラストは激しさと壮大さが同居した、大団円に相応しい「シンフォニア」で締め。
定番曲、最新曲に含めてレア曲までをこの短い時間にできるのは、その全てのタイプの曲をやるライブ(フェス、リリースツアー、マニアックヘブン)を常にこのバンドが行なってきているから。だからフェスで見るのが毎回楽しみ。
松田はSirent Sirenのメンバーと一緒に写真を撮ったりと、このイベントを楽しみまくっていた模様。
1.刃
2.魂のアリバイ
3.罠
4.美しい名前
5.With You
6.上海狂騒曲
7.コバルトブルー
8.シンフォニア
With You
https://youtu.be/ZqrG7d07EDo
13:30~ 04 Limited Sazabys [BLACK STAGE]
リハの段階から曲を連発していた、04 Limited Sazabys。
おなじみのSEで登場すると、「monolith」でスタートして初っ端からダイバーが続出し、次々に曲を畳み掛けていく、このバンドの持ち味のテンポの良さを発揮していく。
RYU-TAがコール&レスポンスをして煽りまくっての「Chicken race」で踊らせまくると、ここまで独特のハイトーンボイスを伸び良く響かせてきたGENが、
「ファッションブランドがこの規模でこれだけのメンツを集めてフェスができるってことは本当にすごい。僕らも名古屋で今年からフェスを開催してるんで、カッコいいところをいっぱい持って帰りたいと思います」
とこのフェスへのリスペクトとYON FESへの意気込みを語り、最新アルバムからのポップかつアッパーではあるが、パンク・メロコアの枠には収まらない「Warp」、
「名古屋から流星群を持ってきました!」
と言っての「midnight cruising」、
「音楽を続けていたら様々な出会いや奇跡があって。Hi-STANDARDと2マンができることになりました!絶対叶わないと思ってた夢が、音楽を続けてたら叶いました!」
と、キッズの気持ちそのままのように喜びを爆発させながら、フェスの持ち時間ではやらないことも多いラブソング「Letter」、またここからライブが始まるんじゃないかという気分にすらしてくれる、最新作では少ない2ビートの「Horizon」と続け、ラストは
「SKULLSHITの未来に光が差しますように!ここにいるみなさんの未来に光が差しますように!」
と言ってもはやラストの定番となった「swim」で終了。
ここまでの流れから見ると、びっくりするくらい客席に人が多かったし、みんなが曲を知っていて、曲を楽しんでいた。
すでに来年開催される武道館ワンマンですらチケットが取れないくらいのレベル。春に控える2年目のYON FESを経て、来年中にはワンマンでこの会場でライブをしていても不思議ではない。そう思わせてくれるだけの理由がこのバンドの曲とライブにはある。
リハ1.me?
リハ2.Remember
リハ3.Night on
1.monolith
2.fiction
3.escape
4.Chicken race
5.Warp
6.midnight cruising
7.Letter
8.Horizon
9.swim
Horizon
https://youtu.be/KKf2M6vc74Y
14:20~ BLUE ENCOUNT [BLACK STAGE]
04 Limited SazabysとONAKAMAというイベントを行なっているBLUE ENCOUNTがそのフォーリミの次に登場。本気のリハーサルで時間ギリギリまで曲を演奏すると、本番ではまさに戦いにこれから挑んでいくような気分にさせる「Savivor」でスタート。
定番曲「ロストジンクス」で踊らせると、田邊は高校生の時に地元の熊本のライブハウスにELLEGARDENが来た時にライブを観に行き、そこでSKULLSHITとELLEGARDENのコラボTシャツをなけなしの小遣いで買ったという、SKULLSHITのイベントならではのエピソードを語るが、My Hair is Badなどもそうだが、ELLEGARDENの影響力の強さと、ELLEGARDENの存在によってSKULLSHITのことを知るという、我々くらいの世代にとってはSKULLSHITが音楽とファッションという2つのカルチャーを繋いでいた存在であったということが改めてよくわかる。
ドラマの主題歌になっている最新曲「LAST HERO」も披露されたが、これまでこのバンドがラウド、パンクのフェスに並んでいても対等以上に戦えてきたのはリズム隊の強さによるところが大きいと思っていたが、ここにきて江口のタッピング奏法によるギターがさらにテクニカルかつ強靭になってきている。武道館ワンマンも経て、さらに大きな会場に行くにあたって、これは非常に大きい進化である。
おなじみの日常生活すらもライブに変えてしまう「LIVER」では間奏で田邊がギターを置くと、
「誰がRADIO FISH(オリエンタルラジオ)の藤森さんだよ!」
と自らネタフリをして、
「君、キャワイイね~!」
の藤森のチャラ男ギャグをカメラ目線でやるというサービスっぷり。
そしてタオル回しパートでは、ONAKAMAのもう1組であるTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也をステージに招き、山中の艶やかな声で
「I'M A PERFECT HUMAN」
のフレーズを言わせたりとなかなか長くやり取りしていたが、だからこそか、リフトしている人をいったん降ろさせた。ダイブなどを否定するようなことはしないバンドだが、やり取りが長くなっていただけに、下でずっと支えていた人を気遣っての配慮なのだろう。
そんな長々としたやり取りからようやくタオル回しに入ろうとするも、今度は田邊のギターの音が出なくなり、さらに長くなってしまった。正直これはテンポという意味ではちょっと悪くなってしまった感じは拭えない。
しかしながら「もっと光を」の圧倒的な名曲ぶりでそのテンポの悪さを消し去り、自身も来年にこの幕張メッセでワンマンを行うという、バンドを続けてきたからこそ終わらない物語を描き続けられることを語り、最後に演奏されたのは「Never Ending Story」。
田邊が泣いたりするという本人いわく「ボーナストラック」のようなものがなくてもしっかり成り立つだけに、個人的には「LIVER」のところはもうちょっとすんなりいければ、あと1曲くらいできたんじゃないか、と思うくらいに6曲というのは他のバンドの曲数に比べると物足りなく感じてしまう。
リハ1.HEEEY!
リハ2.THANKS
1.Survivor
2.ロストジンクス
3.LAST HERO
4.LIVER
5.もっと光を
6.Never Ending Story
Survivor
https://youtu.be/-MnlFslr3Go
15:15~ coldrain [BLACK STAGE]
パンク・メロコアのイメージが強いこのイベントだが、この日は各ステージにラウドバンドも居並ぶ。メインステージに登場するのは、今や海外でも当たり前のようにライブを行なっているcoldrainである。
メンバーの立つ後ろに自分たち用の照明を組んでいるのがこのバンドのステージだが、「VENA」「WRONG」という冒頭2曲から、音がひたすらに重くて強い。特にR×Y×O(ベース)とKatsuma(ドラム)によるリズム隊の音の強さは、これが海外でもライブができるバンドの力なんだな、と改めて思い知らされるし、体が勝手にリズムに合わせて動いてしまう。
序盤からデスボイスを轟かせまくっていたMasatoも「NO ESCAPE」などのサビ部分では実に美しいメロディを歌いあげる。どうやったらこんなに器用に声を使い分けられるんだろうかというほどに。
「俺たちもラウドバンドとして10年以上やってきて、SKULLSHITが20年もやってきたのを見ると、20年までいけば俺たちもこんぐらい大きな規模のフェスができるんじゃないかって夢を見れる。
昔、ラウドバンドがまだ全然いなかった頃は、なんでそんなに叫んでるの?とか、なんでジーパンそんな穴空いてるの?金ないの?って言われてきた」
と、ラウドバンドとして続いてきた誇りを言葉にし、ここまでもモッシュやダイブやサークル、ヘドバン、合唱など、客席から発生させられるあらゆる行為を行なってきたが、「24-7」では
「さっき、04 Limited Sazabysが名古屋を代表して、って言ってたけど、誰が本当の名古屋代表なのかを見せつけてやるよ!」
とウォールオブデスまでも行い、ラウドバンドならではの武器を総動員する。
キラーチューン「THE REVERATION」でMasatoのボーカルはさらに凄みを増すと、「FINAL DESTINATION」ではMasatoがステージを降りて客席に突入し、観客に支えられつつ、時にはダイバーにまみれながら熱唱するという渾身のパフォーマンスを見せ、歌い終わると柵前にいた観客たちと次々にハイタッチしてからステージを去って行った。
例えばともにイベントを行なっているSiMやHEY-SMITH、または後続のラウドバンドたちと比べると、このバンドは他のジャンルのサウンドの要素をほとんど感じない、純正ラウドロックと言っていいサウンドのバンドである。
そんなひたすらに重い音を鳴らすバンドのライブを見た後になぜ感動すら覚えるのか。それはその重い音と激しいライブの中に、これ以上ないくらいの人間らしさを感じるから。だからこそラウドロックはここまで大きなシーンを形成することができたし、このバンドはその中でも頭何個も抜け出して、海外でも当たり前にライブができるようになった。ラウドロックを信じてずっとバンドを続けてきた男たちの底力のようなものが見えたライブだった。
1.VENA
2.WRONG
3.NO ESCAPE
4.BEHIND THE CARTAIN
5.TO BE ALIVE
6.GONE
7.24-7
8.DIE TOMORROW
9.THE REVERATION
10.FINAL DESTINATION
THE REVERATION
https://youtu.be/xz-p4iFjX1o
16:10~ The BONEZ [RED STAGE]
前日はRIZEで出演したJESSE率いるThe BONEZが2日目のこのステージに登場。
袖で円陣を組んで気合いを入れてる声が客席に響いてからメンバーが登場すると、「Revolution」からひたすらにラウドな音が会場を支配し、JESSEがギターを弾かない曲では頭を振りまくるのに呼応するかのように客席ではモッシュとダイブの嵐。その中には前日にRIZEの「カミナリ」の時にステージに上がって歌った奈良から来たファンの男性の姿も見える。
ボーカルがRIZEと同じでもはや編成もRIZEと同じ、しかもジャンルとしてもラウド・ミクスチャーロックという括りに入る両バンドが全く同じだったり似ているかというと、全くそんなことはない。The BONEZは激しい中にも観客の合唱を求める曲が多く、それがライブの雰囲気をRIZEとは全く違うものにしている。
それはリズム隊がPay money To my Painという、本隊としては活動したくてもできないバンドのメンバーだからというのもあるのかもしれないし、JESSEはこのメンバーでライブができることに何度も感謝の意を示すとともに、ライブスタッフと集まった観客にもJESSEなりの言い方(「FUCK YOU」など)で何度も感謝を告げていた。
そのJESSEは何度も客席に突入しては、自身の方目がけてとんでくるダイバーにもみくちゃにされながら歌い、客席で親に肩車されている、BONEZタオルを掲げた子供に、
「そこの少年、デカくなったらバンド始めてこのステージに立つんだぞ!諦めるんじゃねぇぞ!」
とメッセージを投げかけ(子供を客席で肩車するという行為に対しては是非があるが)、人間力というかカリスマ性を本当に強く感じさせる。
そしてラストにも観客の大きな合唱を轟かせると、
「何万もいる日本のバンドの一つでした!」
いやいや、他のバンドとは一緒に括れないくらい、The BONEZはThe BONEZでしかない。かっこよすぎる。
1.Revolution
2.Louder
3.Adam & Eve
4.Friends
5.Place of Fire
6.Thread & Needle
Thread & Needle
https://youtu.be/x86Tf5it_bI
16:55~ THE ORAL CIGARETTES [BLACK STAGE]
「さっき、MUCCが「大嫌い」っていう曲をやってたんで」
と言って「嫌い」をリハで演奏していた、THE ORAL CIGARETTES。
これまではメンバーが登場してから生演奏で行なっていた、「1本打って!」の前口上は影アナスタイルでのSEになり、メンバーは「DIP-BAP」のイントロのアレンジに乗って登場すると、そのまま「DIP-BAP」でコーラスを観客が合唱し、手を頭上で上下させる。
疾走感の強いギターロックチューン「CATCH ME」、山中が軽快なステップを踏みながら歌う「カンタンナコト」と、ここまでは山中がギターを弾かずに歌う曲ばかりだか、だからこそ山中は自由にステージを動き回れるし、その艶やかな声を存分に発揮することができている。
デビュー直後にSKULLSHITと出会ったことにより、いろんな出会いが生まれ、前に出たMUCCと次に出るSiMと仲良くなれたのはSKULLSHITが繋いでくれたからであり、この順番には意志と意味を感じる、という自分たちがなぜこの順番になったのかをしっかりと説明すると、
「さっきBLUE ENCOUNTのライブにお邪魔したんやけど、俺らとブルエンとフォーリミでONAKAMAっていうイベントやってるんやけど、フォーリミも…」
と言って観客にGENが出てくるのか!?という期待を抱かせるも、結局は山中がGENのモノマネをするというものだった。客席はこのモノマネに非常に盛り上がっていたが、あきらかにあきらの採点は3点という実に厳しい結果だった。
その後は最新シングル「5150」も含めた、言うまでもないキラーチューン祭り。かつてはフェスやイベントでも終盤に宣言してからキラーチューン祭りに突入していたが、デビュー以降シングル曲級のクオリティの曲を次々に世に放ってきただけに、もはやこのくらいの時間のライブになると、最初から最後まで全てキラーチューンになっている。それでいて全て曲のタイプが違うんだから大したもの。来年には武道館ワンマンも決定しているが、もはやその規模でも収まらないような存在になりそうな予感がしている。
1.DIP-BAP
2.CATCH ME
3.カンタンナコト
4.気づけよBaby
5.起死回生STORY
6.5150
7.狂乱Hey Kids!!
5150
https://youtu.be/0O-5tC9YJeQ
17:45~ SiM [BLACK STAGE]
すごい人の数である。もはや2日間で最多クラスの動員力を見せつけたのは、自身のフェス、DEAD POP FESTiVALを2年続けて開催し、ラウドロックシーンの先導者的な立ち位置になっているSiM。
メンバーが登場すると久々ににライブを見るだけに、MAHの髪が伸びているのに少しビックリ。フェスでたまにいる、MAHのコスプレをしている人みたいである。
そのMAHがいきなり時計の針の動きをすると、「Faster Than The Clock」でぐるぐると走り回る左回りのサークルが発生。そこからも全くインターバルを置くことなくキラーチューンを連発し、
「宇宙人やUFOを信じますか!?」
と問いかけての「Boring People,Fucking Grays」ではSHOW-HATEとSINが演奏しながらUFOを探したりする素振りを見せるのが面白い。
そのまま両腕を交互に振らせる、不穏な電子音がラウドサウンドと融合する「GUNSHOTS」では2万人以上の人が一斉にモンキーダンスを踊るというとんでもない光景を生み出す。
「俺たち、今日の中で優勝狙いに来たんで!」
とMAHが高らかに宣言すると、このイベントの応援団長である俳優のやべきょうすけ(普通にライブを見ているところがスクリーンに映し出される)がPVに出演しているだけに、このイベントにうってつけの「Crows」、
「新曲やらせてもらっていいですか!?って言うバンドをよく見るけど…いや、これはやめておこう(笑)」
と何か言いたげな感じを見せながら、
「SiMの中で1番有名な曲をやります!」
と言っての「KiLLiNG ME」では間奏で観客を全員しゃがませてから一斉にジャンプさせるというおなじみではあるがさらなる盛り上がりを呼ぶパフォーマンスを行い、これで終了かと思いきや、ラストはcoldrainに負けじと客席最後方まで一本の長い通路が生まれてからウォールオブデスを起こした「f.a.i.t.h」でトドメ。
もはや武道館や横浜アリーナをラウドロックバンドとしての強度を保ったまま、というかさらに強度を上げ続けながら掌握してきただけに、このままならこの幕張メッセでも同じようにワンマンをやってもおかしくない。
ロッキン系のフェスには出ないだけに、なかなか首都圏の日本のフェスの動員力が測りづらいところもあるが、もし出るんならメインステージでトリができるくらいの存在にまでなってきている。
1.Faster Than The Clock
2.Get Up,Get Up
3.Blah,Blah,Blah
4.Boring People,Fucking Grays
5.GUNSHOTS
6.MAKE ME DEAD!
7.Crows
8.KiLLiNG ME
9.f.a.i.t.h
KiLLiNG ME
https://youtu.be/vyUMYYc8lxU
18:35~ 氣志團 [BLACK STAGE]
ある意味ではSKULLSHITのイベントではおなじみの存在である、氣志團。
これまで数々のフェスでその時にしか見れないパフォーマンスを見せてきてくれたが、この日はいたって普通にメンバーが登場し、演奏を開始。綾小路翔と早乙女光が音に合わせて息ぴったりの振り付けを見せる「房総スカイラインファントム」というオープニング。
すると「ゴッド・スピード・ユー!」「さよならDecember」と、いつの時代の氣志團のライブを見ているのだろうか、と勘違いしてしまうような曲を次々に畳み掛けていく。しかもMCも全くなし、ただただ歌と演奏を聴かせるという、ギミック一切なしの至極まっとうなライブ。星グランマニエのギターソロなど、メンバーそれぞれの見せ場もしっかり作る。
そんな流れなので「One Night Carnival」も当然なんの前フリもなく始まるが、大サビ前には観客によるサビの合唱が発生して綾小路翔が思わず震えるというお約束のパターンになったあと、
「俺たちはずっとSKULLSHITとお前たちに!」
と挟んでから「恋しているのさ」と大サビに突入していく。
するとここでようやく綾小路翔が口を開き、
「SKULLSHITの大滝さんとはもう我々が結成してすぐからの付き合いで。出会いは俺が好きだった女の子と大滝さんが好きだった女の子が親友同士で、それで紹介されたの(笑)2人とも今では良いお母さんになりましたけど(笑)
でも俺たちはデビューしてから本当にお金なくて。そんな俺たちに大滝さんは、これ持っていけよ、とか着ていけよって言ってTシャツとかジーパンをくれて。だから俺たちの活動初期の私服で写真に写ってる時はほぼ100%衣装提供SKULLSHITです(笑)
あと、一緒に合コンに行ったりもしたね(笑)格闘技大好きな女の子達との合コンだったから、全く話がわからない俺は全然会話に参加できなくて、一緒に行ったグレート草津ばっかりモテてた(笑)」
とSKULLSHIT大滝氏とのエピソードを開陳して爆笑を誘い、最後にはSKULLSHITに捧げるようにして「愛 羅 武 勇」を演奏し、終わるとメンバー全員が横一列に並んでお辞儀をするという、本当にただただ音楽を鳴らすことに徹した、逆にレアな氣志團のライブだった。もしかしたらセトリもSKULLSHITと出会った頃の曲や思い出のある曲で固めたのかもしれないが。
そうしたまっとうなライブをやったことにより、氣志團の音楽性を改めて提示するとともに、普段は全く伝わることのないメンバーの演奏技術の高さを知らしめる内容となった。
これまでの様々なギミックを使ってエンターテイメントに振り切ったライブからは見えないが、綾小路翔はとんでもなく様々な音楽を聴いているし、それを自身の曲にしっかりと生かしている。もはやイロモノバンドというイメージが定着してしまっているが(メジャーデビュー直後のプロデューサーのユニコーンABEDONはそう見られて消費されるのを懸念していた)、実は他のバンドと同じように本当に音楽が好きでバンドをやっている男なのである。
1.房総スカイラインファントム
2.ゴッド・スピード・ユー!
3.さよならDecember
4.Baby Baby Baby
5.DEAR MY GIRL
6.One Night Carnival
7.愛 羅 武 勇
One Night Carnival
https://youtu.be/ZiE85n-P1bc
19:30~ 10-FEET [BLACK STAGE]
ライブ前には10-FEETが大好きだというお笑い芸人、クールポコがシークレットで登場し、おなじみの
「な~に~!?やっちまったな!」
のギャグを観客全員と一緒にやり、さらに
「そろそろクールポコのネタに飽きてきたお客さんがいたんですよ~」
「男は黙って!10-FEET!」
とオチを10-FEETにするという見事なバトン渡しを見せると、おなじみのSEが流れて3人がステージに登場。
いきなりの「goes on」で飛び跳ねさせまくると、「VIBES BY VIBES」でダイブが大量に発生し、「SHOES」ではスカダンが一面に巻き起こる。
フェスではそこまでやる頻度が高くない「back to the sunset」を演奏して客を喜ばせると、京都大作戦という大型フェスを開催している身として、
「客席の柵はこういうのを使ってるのか、とか、セキュリティの配置はこういう感じなんやな、とか、あの飲食ブースの店の人は友達なんかな、とか、アパレルブースに出店してる人との関係とか、会場を隅々まで見て回るといろんなものが見えてくる。だからみんなも最後の冠さんまで楽しむのはもちろんやけど、そういう会場の隅から隅まで見たら、もっとこのフェスのことがわかるで」
と、ライブ以外の部分に込められたフェスの意志を感じて欲しいというメッセージを投げかける。それは実際に自分たちが京都大作戦でそこまで考えてフェスを作っているからこそだろう。
フェスの応援団長である、やべきょうすけもステージに登場したりすると、TAKUMAの想いが宿ったボーカルが響く「アンテナラスト」、TAKUMAがマイクを通さずに叫びまくったことによって、かなり声がキツそうな感じになってしまった「その向こうへ」「RIVER」と代表曲にして、あらゆるフェスのクライマックスを彩ってきたキラーチューンが並ぶ。ちなみに「RIVER」のご当地歌詞、普段の幕張メッセでは「花見川」なのだが、この日はなぜか「利根川」。
そしてラストは「CHERRY BLOSSOM」で客席にタオルが舞い、まるでトリのアンコールのような空気に包まれて終了した。
TAKUMAはやはり短い時間の中で全ての力を使い切るくらいのライブをやってのけた。このバンドもフェスなどではいろいろなエンターテイメント的なパフォーマンスをすることが多いが、ある意味では氣志團と同じように至極真っ当に曲と音と意志を伝えるようなライブを見せた。
すでに発売が決定している新曲はやらなかったが、「アンテナラスト」から一年も空いていないだけに、ようやく曲作りのトンネルからは抜け出せたのだろうか?
1.goes on
2.VIBES BY VIBES
3.SHOES
4.back to the sunset
5.1sec.
6.アンテナラスト
7.その向こうへ
8.RIVER
9.CHERRY BLOSSOM
アンテナラスト
https://youtu.be/jc6xSjaml5o
20:20~ THE冠 [BLACK STAGE]
この二日間を締めくくる大トリは、おそらくメインステージの出演者の中では最も無名と言っていい存在のTHE冠。
ライブ前にはスクリーンに大げさな紹介VTRが流れ(転換中も大トリに抜擢されたことを喜ぶ、ボーカル冠徹弥の母のコメントが流れたりしていた)、SKULLSHITに最も愛され、SKULLSHITを最も愛している男という大トリに相応しい称号を授かり、メンバーがステージに登場。冠徹弥はいつものように鎧と兜を装着した状態でステージに現れると、初っ端から爆音のヘビーメタルサウンドが会場に吹き荒れる。
しかしながら当然、10-FEETが終わって帰ってしまった人たちもたくさんいるわけで、満員どころか普通にフロントエリアでもスペースにかなり余裕がある状態。(翌日が月曜日なだけに仕方がないところだが)
その状態を見た冠は、
「誰も残ってないと思ってたけど、そこそこいる!頼むから今いるみんなだけは最後まで帰らんといてくれ~!」
とおっさんの悲哀が滲みまくった懇願をし、次々に曲を演奏していき、炎が吹き上がるなどの、このバンドのためだけに金を使いまくった特効も次々に炸裂。観客ももはや曲はほとんどの人が全く知らない状態だが、冠に乗せられてヤケクソ状態でモッシュ、サークルを繰り返す。
しかし、ピンスポットでライトに当てられた時にキメ顔をしたり、「糞野郎」がテレビなどでは使えないような小学生の笑い話のネタになりそうな歌詞だったりと、悪ふざけギリギリのコミカルなパフォーマンスと歌詞(この辺りはヘビメタサウンドも含めて、どこか筋肉少女帯に通じるところがある)のバンドだが、卓越した演奏技術がないと成立しない(だからこそマニアックなものになりがちなのだが)ヘビメタをやっているだけあって、メンバーの演奏は信じられないくらいに上手い。そして冠の歌も見た目からは想像できないくらいに上手く、ハイトーンのシャウトもお手の物である。
「これは夢じゃないのか!?」
と大トリという状況と盛り上がりぶりに自問自答しながら、
「夢じゃないあれもこれも」
とB'zの「Ultra Soul」までも軽々と歌いこなしてしまう。
しかしながら2日連続でプロレスステージで試合をこなした後のライブということもあり、体は完全にボロボロらしいが、
「なぜかなぁ?ステージに立って歌っていると全く体の痛みを感じない!」
ともはやこの時の冠は完全にヒーロー状態になっており、観客も大歓声で応える。
その観客のヤケクソの盛り上がりと、冠の死力を振り絞ったパフォーマンスは、演奏終了後に大滝氏が挨拶に出てきてもアンコールを求める声が鳴り止まないという奇跡のような状況を生み出し、鎧を脱いだ後の自身のTシャツに歌詞が書かれた「最後のヘビーメタル」を本当の最後の最後に鳴らし、
「また明日からは小さいライブハウスを廻る毎日が始まる。でも10年後にまた大トリに相応しい存在になって帰ってきたいって言ったけど、もう相応しい存在になってるんちゃうかー!」
という言葉を自らのパフォーマンスを持って実証してみせた。SKULLSHITに最も愛された男の称号は伊達じゃない。文句なしのこの日のMVP。
1.帰ってきたヘビーメタル
2.哀罠メタル
3.糞野郎
4.エビバディ炎
5.初志冠徹
6.担がれた冠
encore
7.最後のヘビーメタル
帰ってきたヘビーメタル
https://youtu.be/mqFgwjC0akY
そしてアンコールによっていったんは途中で挨拶をやめた大滝氏が終演の挨拶。THE冠と同じように、明日からはまた渋谷のショップで服を売る毎日が始まること、次の開催は全くの白紙であることを告げて、SKULLSHITの20周年を祝う、2日間の骸骨祭りは幕を閉じた。
確かに楽しかったし、ライブは素晴らしいものばかりだったが、CDJと同じ1~5ホールを使っているだけに、メッセを使いきれてない感じというか、物販のやり方や、「通路に出れる場所やステージの出入り口をここにも作ればいいのに…」って思うところもたくさんあった。もし5年後にまたメッセでやるんなら、そこもちょっとは改善して欲しい。そうすればもっとストレスのないフェスになるはず。また来たいからこそ、こういうことも言う。
そして出演者がロックバンドばかりだからというのもあるが、2日間で見たのは全てロックバンド。やっぱり、可愛いものやオシャレなものよりも、カッコいいものが好き。それで自分にとって1番カッコいいのはロックバンド。どんだけ効率悪くても、時代遅れになったとしてもそこは変わらない。
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11:00~ My Hair is Bad [RED STAGE]
RED STAGEのトップバッターはMy Hair is Bad。今年はあらゆるイベントやフェスに出演し、現在はアルバムのツアーも始まっているという凄まじいライブスケジュールである。
メンバーが集まって気合いを入れると「アフターアワー」からスタート。
「ドキドキしようぜ!」
という椎木はこの日も100%以上の力を持って歌うのだが、夏フェスでのライブから声がガラガラな時が多々あったし、先日ポリープの治療に入ることが発表されたので、やはりちょっと声を張るようなところはキツそうに感じる。
言葉が次々に押し寄せる最新アルバムのリード曲「告白」、一瞬で終わる「クリサンセマム」、明らかに曲のテンポが上がりまくっている4つ打ちの「元彼氏として」と曲を畳み掛けると、
「ELLEGARDENがここでワンマンした映像をずっと見てきた。ついにその幕張メッセでライブできる日が来た」
と話し始めると、いつものように言葉を次々に放ち、
「骸骨になってまで生きていたいとは思わない!骸骨になっても魂がなければ意味がない!」
と骸骨祭りならではのフレーズもふんだんに盛り込み、この日、この場所でしかないライブになっていき、そのまま「from now on」へ。
そしてラストは「真赤」から、
「俺はロックスターになりたいんじゃない!カッコいい男になりたいんだ!」
と宣言して最新アルバムからの「音楽家になりたくて」。
ポリープのことについてはこの日は何も言うことはなかった。それについてはきっとツアーで聞けるはず。心配でもあるが、オーラル山中やユニゾン斎藤など、過去にポリープの手術をしたボーカルたちもすぐに帰ってきた。だからきっと大丈夫。
1.アフターアワー
2.告白
3.クリサンセマム
4.元彼氏として
5.from now on
6.真赤
7.音楽家になりたくて
告白
https://youtu.be/yR0KgP7OrSw
12:40~ THE BACK HORN [BLACK STAGE]
このラインアップではもうベテランの域に達している、THE BACK HORN。最近はドラムの松田がCMに出るなど、ライブの場以外でも活躍を目にする機会が増えている。
壮大なSEで登場すると、山田が
「立ち上がれ!死んでも譲れないものがある」
と力強く歌い始める、このバンドならではの和の要素が強いロックチューン「刃」でスタート。
「魂のアリバイ」「罠」と激しい曲が続くと松田がそこまで付き合いが長くはないというSKULLSHITとの馴れ初めを語ると、イントロの光舟のベースのフレーズが始まった段階で歓声が起きた「美しい名前」、最新シングル「With You」とバラードが続く。
THE BACK HORNのイメージ的にはやはり激しい曲が多いというものだが、この日のハイライトは紛れもなくこのバラードの2曲だった。同じバラードでも歌詞の内容など、ベクトルは正反対な2曲だが、どちらもメンバーとバンドの根の優しさがわかる曲。「With You」の、かつては日本3大鬱バンドと呼ばれていたこのバンドらしからぬリア充感は、栄純に何があったのかと余計な勘ぐりをしてしまうが。
後半はまさかここで演奏されるとはという「上海狂騒曲」(「ヘッドフォンチルドレン」収録)から再び激しい曲が続く。
「コバルトブルー」ではダイバーが続出し、ラストは激しさと壮大さが同居した、大団円に相応しい「シンフォニア」で締め。
定番曲、最新曲に含めてレア曲までをこの短い時間にできるのは、その全てのタイプの曲をやるライブ(フェス、リリースツアー、マニアックヘブン)を常にこのバンドが行なってきているから。だからフェスで見るのが毎回楽しみ。
松田はSirent Sirenのメンバーと一緒に写真を撮ったりと、このイベントを楽しみまくっていた模様。
1.刃
2.魂のアリバイ
3.罠
4.美しい名前
5.With You
6.上海狂騒曲
7.コバルトブルー
8.シンフォニア
With You
https://youtu.be/ZqrG7d07EDo
13:30~ 04 Limited Sazabys [BLACK STAGE]
リハの段階から曲を連発していた、04 Limited Sazabys。
おなじみのSEで登場すると、「monolith」でスタートして初っ端からダイバーが続出し、次々に曲を畳み掛けていく、このバンドの持ち味のテンポの良さを発揮していく。
RYU-TAがコール&レスポンスをして煽りまくっての「Chicken race」で踊らせまくると、ここまで独特のハイトーンボイスを伸び良く響かせてきたGENが、
「ファッションブランドがこの規模でこれだけのメンツを集めてフェスができるってことは本当にすごい。僕らも名古屋で今年からフェスを開催してるんで、カッコいいところをいっぱい持って帰りたいと思います」
とこのフェスへのリスペクトとYON FESへの意気込みを語り、最新アルバムからのポップかつアッパーではあるが、パンク・メロコアの枠には収まらない「Warp」、
「名古屋から流星群を持ってきました!」
と言っての「midnight cruising」、
「音楽を続けていたら様々な出会いや奇跡があって。Hi-STANDARDと2マンができることになりました!絶対叶わないと思ってた夢が、音楽を続けてたら叶いました!」
と、キッズの気持ちそのままのように喜びを爆発させながら、フェスの持ち時間ではやらないことも多いラブソング「Letter」、またここからライブが始まるんじゃないかという気分にすらしてくれる、最新作では少ない2ビートの「Horizon」と続け、ラストは
「SKULLSHITの未来に光が差しますように!ここにいるみなさんの未来に光が差しますように!」
と言ってもはやラストの定番となった「swim」で終了。
ここまでの流れから見ると、びっくりするくらい客席に人が多かったし、みんなが曲を知っていて、曲を楽しんでいた。
すでに来年開催される武道館ワンマンですらチケットが取れないくらいのレベル。春に控える2年目のYON FESを経て、来年中にはワンマンでこの会場でライブをしていても不思議ではない。そう思わせてくれるだけの理由がこのバンドの曲とライブにはある。
リハ1.me?
リハ2.Remember
リハ3.Night on
1.monolith
2.fiction
3.escape
4.Chicken race
5.Warp
6.midnight cruising
7.Letter
8.Horizon
9.swim
Horizon
https://youtu.be/KKf2M6vc74Y
14:20~ BLUE ENCOUNT [BLACK STAGE]
04 Limited SazabysとONAKAMAというイベントを行なっているBLUE ENCOUNTがそのフォーリミの次に登場。本気のリハーサルで時間ギリギリまで曲を演奏すると、本番ではまさに戦いにこれから挑んでいくような気分にさせる「Savivor」でスタート。
定番曲「ロストジンクス」で踊らせると、田邊は高校生の時に地元の熊本のライブハウスにELLEGARDENが来た時にライブを観に行き、そこでSKULLSHITとELLEGARDENのコラボTシャツをなけなしの小遣いで買ったという、SKULLSHITのイベントならではのエピソードを語るが、My Hair is Badなどもそうだが、ELLEGARDENの影響力の強さと、ELLEGARDENの存在によってSKULLSHITのことを知るという、我々くらいの世代にとってはSKULLSHITが音楽とファッションという2つのカルチャーを繋いでいた存在であったということが改めてよくわかる。
ドラマの主題歌になっている最新曲「LAST HERO」も披露されたが、これまでこのバンドがラウド、パンクのフェスに並んでいても対等以上に戦えてきたのはリズム隊の強さによるところが大きいと思っていたが、ここにきて江口のタッピング奏法によるギターがさらにテクニカルかつ強靭になってきている。武道館ワンマンも経て、さらに大きな会場に行くにあたって、これは非常に大きい進化である。
おなじみの日常生活すらもライブに変えてしまう「LIVER」では間奏で田邊がギターを置くと、
「誰がRADIO FISH(オリエンタルラジオ)の藤森さんだよ!」
と自らネタフリをして、
「君、キャワイイね~!」
の藤森のチャラ男ギャグをカメラ目線でやるというサービスっぷり。
そしてタオル回しパートでは、ONAKAMAのもう1組であるTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也をステージに招き、山中の艶やかな声で
「I'M A PERFECT HUMAN」
のフレーズを言わせたりとなかなか長くやり取りしていたが、だからこそか、リフトしている人をいったん降ろさせた。ダイブなどを否定するようなことはしないバンドだが、やり取りが長くなっていただけに、下でずっと支えていた人を気遣っての配慮なのだろう。
そんな長々としたやり取りからようやくタオル回しに入ろうとするも、今度は田邊のギターの音が出なくなり、さらに長くなってしまった。正直これはテンポという意味ではちょっと悪くなってしまった感じは拭えない。
しかしながら「もっと光を」の圧倒的な名曲ぶりでそのテンポの悪さを消し去り、自身も来年にこの幕張メッセでワンマンを行うという、バンドを続けてきたからこそ終わらない物語を描き続けられることを語り、最後に演奏されたのは「Never Ending Story」。
田邊が泣いたりするという本人いわく「ボーナストラック」のようなものがなくてもしっかり成り立つだけに、個人的には「LIVER」のところはもうちょっとすんなりいければ、あと1曲くらいできたんじゃないか、と思うくらいに6曲というのは他のバンドの曲数に比べると物足りなく感じてしまう。
リハ1.HEEEY!
リハ2.THANKS
1.Survivor
2.ロストジンクス
3.LAST HERO
4.LIVER
5.もっと光を
6.Never Ending Story
Survivor
https://youtu.be/-MnlFslr3Go
15:15~ coldrain [BLACK STAGE]
パンク・メロコアのイメージが強いこのイベントだが、この日は各ステージにラウドバンドも居並ぶ。メインステージに登場するのは、今や海外でも当たり前のようにライブを行なっているcoldrainである。
メンバーの立つ後ろに自分たち用の照明を組んでいるのがこのバンドのステージだが、「VENA」「WRONG」という冒頭2曲から、音がひたすらに重くて強い。特にR×Y×O(ベース)とKatsuma(ドラム)によるリズム隊の音の強さは、これが海外でもライブができるバンドの力なんだな、と改めて思い知らされるし、体が勝手にリズムに合わせて動いてしまう。
序盤からデスボイスを轟かせまくっていたMasatoも「NO ESCAPE」などのサビ部分では実に美しいメロディを歌いあげる。どうやったらこんなに器用に声を使い分けられるんだろうかというほどに。
「俺たちもラウドバンドとして10年以上やってきて、SKULLSHITが20年もやってきたのを見ると、20年までいけば俺たちもこんぐらい大きな規模のフェスができるんじゃないかって夢を見れる。
昔、ラウドバンドがまだ全然いなかった頃は、なんでそんなに叫んでるの?とか、なんでジーパンそんな穴空いてるの?金ないの?って言われてきた」
と、ラウドバンドとして続いてきた誇りを言葉にし、ここまでもモッシュやダイブやサークル、ヘドバン、合唱など、客席から発生させられるあらゆる行為を行なってきたが、「24-7」では
「さっき、04 Limited Sazabysが名古屋を代表して、って言ってたけど、誰が本当の名古屋代表なのかを見せつけてやるよ!」
とウォールオブデスまでも行い、ラウドバンドならではの武器を総動員する。
キラーチューン「THE REVERATION」でMasatoのボーカルはさらに凄みを増すと、「FINAL DESTINATION」ではMasatoがステージを降りて客席に突入し、観客に支えられつつ、時にはダイバーにまみれながら熱唱するという渾身のパフォーマンスを見せ、歌い終わると柵前にいた観客たちと次々にハイタッチしてからステージを去って行った。
例えばともにイベントを行なっているSiMやHEY-SMITH、または後続のラウドバンドたちと比べると、このバンドは他のジャンルのサウンドの要素をほとんど感じない、純正ラウドロックと言っていいサウンドのバンドである。
そんなひたすらに重い音を鳴らすバンドのライブを見た後になぜ感動すら覚えるのか。それはその重い音と激しいライブの中に、これ以上ないくらいの人間らしさを感じるから。だからこそラウドロックはここまで大きなシーンを形成することができたし、このバンドはその中でも頭何個も抜け出して、海外でも当たり前にライブができるようになった。ラウドロックを信じてずっとバンドを続けてきた男たちの底力のようなものが見えたライブだった。
1.VENA
2.WRONG
3.NO ESCAPE
4.BEHIND THE CARTAIN
5.TO BE ALIVE
6.GONE
7.24-7
8.DIE TOMORROW
9.THE REVERATION
10.FINAL DESTINATION
THE REVERATION
https://youtu.be/xz-p4iFjX1o
16:10~ The BONEZ [RED STAGE]
前日はRIZEで出演したJESSE率いるThe BONEZが2日目のこのステージに登場。
袖で円陣を組んで気合いを入れてる声が客席に響いてからメンバーが登場すると、「Revolution」からひたすらにラウドな音が会場を支配し、JESSEがギターを弾かない曲では頭を振りまくるのに呼応するかのように客席ではモッシュとダイブの嵐。その中には前日にRIZEの「カミナリ」の時にステージに上がって歌った奈良から来たファンの男性の姿も見える。
ボーカルがRIZEと同じでもはや編成もRIZEと同じ、しかもジャンルとしてもラウド・ミクスチャーロックという括りに入る両バンドが全く同じだったり似ているかというと、全くそんなことはない。The BONEZは激しい中にも観客の合唱を求める曲が多く、それがライブの雰囲気をRIZEとは全く違うものにしている。
それはリズム隊がPay money To my Painという、本隊としては活動したくてもできないバンドのメンバーだからというのもあるのかもしれないし、JESSEはこのメンバーでライブができることに何度も感謝の意を示すとともに、ライブスタッフと集まった観客にもJESSEなりの言い方(「FUCK YOU」など)で何度も感謝を告げていた。
そのJESSEは何度も客席に突入しては、自身の方目がけてとんでくるダイバーにもみくちゃにされながら歌い、客席で親に肩車されている、BONEZタオルを掲げた子供に、
「そこの少年、デカくなったらバンド始めてこのステージに立つんだぞ!諦めるんじゃねぇぞ!」
とメッセージを投げかけ(子供を客席で肩車するという行為に対しては是非があるが)、人間力というかカリスマ性を本当に強く感じさせる。
そしてラストにも観客の大きな合唱を轟かせると、
「何万もいる日本のバンドの一つでした!」
いやいや、他のバンドとは一緒に括れないくらい、The BONEZはThe BONEZでしかない。かっこよすぎる。
1.Revolution
2.Louder
3.Adam & Eve
4.Friends
5.Place of Fire
6.Thread & Needle
Thread & Needle
https://youtu.be/x86Tf5it_bI
16:55~ THE ORAL CIGARETTES [BLACK STAGE]
「さっき、MUCCが「大嫌い」っていう曲をやってたんで」
と言って「嫌い」をリハで演奏していた、THE ORAL CIGARETTES。
これまではメンバーが登場してから生演奏で行なっていた、「1本打って!」の前口上は影アナスタイルでのSEになり、メンバーは「DIP-BAP」のイントロのアレンジに乗って登場すると、そのまま「DIP-BAP」でコーラスを観客が合唱し、手を頭上で上下させる。
疾走感の強いギターロックチューン「CATCH ME」、山中が軽快なステップを踏みながら歌う「カンタンナコト」と、ここまでは山中がギターを弾かずに歌う曲ばかりだか、だからこそ山中は自由にステージを動き回れるし、その艶やかな声を存分に発揮することができている。
デビュー直後にSKULLSHITと出会ったことにより、いろんな出会いが生まれ、前に出たMUCCと次に出るSiMと仲良くなれたのはSKULLSHITが繋いでくれたからであり、この順番には意志と意味を感じる、という自分たちがなぜこの順番になったのかをしっかりと説明すると、
「さっきBLUE ENCOUNTのライブにお邪魔したんやけど、俺らとブルエンとフォーリミでONAKAMAっていうイベントやってるんやけど、フォーリミも…」
と言って観客にGENが出てくるのか!?という期待を抱かせるも、結局は山中がGENのモノマネをするというものだった。客席はこのモノマネに非常に盛り上がっていたが、あきらかにあきらの採点は3点という実に厳しい結果だった。
その後は最新シングル「5150」も含めた、言うまでもないキラーチューン祭り。かつてはフェスやイベントでも終盤に宣言してからキラーチューン祭りに突入していたが、デビュー以降シングル曲級のクオリティの曲を次々に世に放ってきただけに、もはやこのくらいの時間のライブになると、最初から最後まで全てキラーチューンになっている。それでいて全て曲のタイプが違うんだから大したもの。来年には武道館ワンマンも決定しているが、もはやその規模でも収まらないような存在になりそうな予感がしている。
1.DIP-BAP
2.CATCH ME
3.カンタンナコト
4.気づけよBaby
5.起死回生STORY
6.5150
7.狂乱Hey Kids!!
5150
https://youtu.be/0O-5tC9YJeQ
17:45~ SiM [BLACK STAGE]
すごい人の数である。もはや2日間で最多クラスの動員力を見せつけたのは、自身のフェス、DEAD POP FESTiVALを2年続けて開催し、ラウドロックシーンの先導者的な立ち位置になっているSiM。
メンバーが登場すると久々ににライブを見るだけに、MAHの髪が伸びているのに少しビックリ。フェスでたまにいる、MAHのコスプレをしている人みたいである。
そのMAHがいきなり時計の針の動きをすると、「Faster Than The Clock」でぐるぐると走り回る左回りのサークルが発生。そこからも全くインターバルを置くことなくキラーチューンを連発し、
「宇宙人やUFOを信じますか!?」
と問いかけての「Boring People,Fucking Grays」ではSHOW-HATEとSINが演奏しながらUFOを探したりする素振りを見せるのが面白い。
そのまま両腕を交互に振らせる、不穏な電子音がラウドサウンドと融合する「GUNSHOTS」では2万人以上の人が一斉にモンキーダンスを踊るというとんでもない光景を生み出す。
「俺たち、今日の中で優勝狙いに来たんで!」
とMAHが高らかに宣言すると、このイベントの応援団長である俳優のやべきょうすけ(普通にライブを見ているところがスクリーンに映し出される)がPVに出演しているだけに、このイベントにうってつけの「Crows」、
「新曲やらせてもらっていいですか!?って言うバンドをよく見るけど…いや、これはやめておこう(笑)」
と何か言いたげな感じを見せながら、
「SiMの中で1番有名な曲をやります!」
と言っての「KiLLiNG ME」では間奏で観客を全員しゃがませてから一斉にジャンプさせるというおなじみではあるがさらなる盛り上がりを呼ぶパフォーマンスを行い、これで終了かと思いきや、ラストはcoldrainに負けじと客席最後方まで一本の長い通路が生まれてからウォールオブデスを起こした「f.a.i.t.h」でトドメ。
もはや武道館や横浜アリーナをラウドロックバンドとしての強度を保ったまま、というかさらに強度を上げ続けながら掌握してきただけに、このままならこの幕張メッセでも同じようにワンマンをやってもおかしくない。
ロッキン系のフェスには出ないだけに、なかなか首都圏の日本のフェスの動員力が測りづらいところもあるが、もし出るんならメインステージでトリができるくらいの存在にまでなってきている。
1.Faster Than The Clock
2.Get Up,Get Up
3.Blah,Blah,Blah
4.Boring People,Fucking Grays
5.GUNSHOTS
6.MAKE ME DEAD!
7.Crows
8.KiLLiNG ME
9.f.a.i.t.h
KiLLiNG ME
https://youtu.be/vyUMYYc8lxU
18:35~ 氣志團 [BLACK STAGE]
ある意味ではSKULLSHITのイベントではおなじみの存在である、氣志團。
これまで数々のフェスでその時にしか見れないパフォーマンスを見せてきてくれたが、この日はいたって普通にメンバーが登場し、演奏を開始。綾小路翔と早乙女光が音に合わせて息ぴったりの振り付けを見せる「房総スカイラインファントム」というオープニング。
すると「ゴッド・スピード・ユー!」「さよならDecember」と、いつの時代の氣志團のライブを見ているのだろうか、と勘違いしてしまうような曲を次々に畳み掛けていく。しかもMCも全くなし、ただただ歌と演奏を聴かせるという、ギミック一切なしの至極まっとうなライブ。星グランマニエのギターソロなど、メンバーそれぞれの見せ場もしっかり作る。
そんな流れなので「One Night Carnival」も当然なんの前フリもなく始まるが、大サビ前には観客によるサビの合唱が発生して綾小路翔が思わず震えるというお約束のパターンになったあと、
「俺たちはずっとSKULLSHITとお前たちに!」
と挟んでから「恋しているのさ」と大サビに突入していく。
するとここでようやく綾小路翔が口を開き、
「SKULLSHITの大滝さんとはもう我々が結成してすぐからの付き合いで。出会いは俺が好きだった女の子と大滝さんが好きだった女の子が親友同士で、それで紹介されたの(笑)2人とも今では良いお母さんになりましたけど(笑)
でも俺たちはデビューしてから本当にお金なくて。そんな俺たちに大滝さんは、これ持っていけよ、とか着ていけよって言ってTシャツとかジーパンをくれて。だから俺たちの活動初期の私服で写真に写ってる時はほぼ100%衣装提供SKULLSHITです(笑)
あと、一緒に合コンに行ったりもしたね(笑)格闘技大好きな女の子達との合コンだったから、全く話がわからない俺は全然会話に参加できなくて、一緒に行ったグレート草津ばっかりモテてた(笑)」
とSKULLSHIT大滝氏とのエピソードを開陳して爆笑を誘い、最後にはSKULLSHITに捧げるようにして「愛 羅 武 勇」を演奏し、終わるとメンバー全員が横一列に並んでお辞儀をするという、本当にただただ音楽を鳴らすことに徹した、逆にレアな氣志團のライブだった。もしかしたらセトリもSKULLSHITと出会った頃の曲や思い出のある曲で固めたのかもしれないが。
そうしたまっとうなライブをやったことにより、氣志團の音楽性を改めて提示するとともに、普段は全く伝わることのないメンバーの演奏技術の高さを知らしめる内容となった。
これまでの様々なギミックを使ってエンターテイメントに振り切ったライブからは見えないが、綾小路翔はとんでもなく様々な音楽を聴いているし、それを自身の曲にしっかりと生かしている。もはやイロモノバンドというイメージが定着してしまっているが(メジャーデビュー直後のプロデューサーのユニコーンABEDONはそう見られて消費されるのを懸念していた)、実は他のバンドと同じように本当に音楽が好きでバンドをやっている男なのである。
1.房総スカイラインファントム
2.ゴッド・スピード・ユー!
3.さよならDecember
4.Baby Baby Baby
5.DEAR MY GIRL
6.One Night Carnival
7.愛 羅 武 勇
One Night Carnival
https://youtu.be/ZiE85n-P1bc
19:30~ 10-FEET [BLACK STAGE]
ライブ前には10-FEETが大好きだというお笑い芸人、クールポコがシークレットで登場し、おなじみの
「な~に~!?やっちまったな!」
のギャグを観客全員と一緒にやり、さらに
「そろそろクールポコのネタに飽きてきたお客さんがいたんですよ~」
「男は黙って!10-FEET!」
とオチを10-FEETにするという見事なバトン渡しを見せると、おなじみのSEが流れて3人がステージに登場。
いきなりの「goes on」で飛び跳ねさせまくると、「VIBES BY VIBES」でダイブが大量に発生し、「SHOES」ではスカダンが一面に巻き起こる。
フェスではそこまでやる頻度が高くない「back to the sunset」を演奏して客を喜ばせると、京都大作戦という大型フェスを開催している身として、
「客席の柵はこういうのを使ってるのか、とか、セキュリティの配置はこういう感じなんやな、とか、あの飲食ブースの店の人は友達なんかな、とか、アパレルブースに出店してる人との関係とか、会場を隅々まで見て回るといろんなものが見えてくる。だからみんなも最後の冠さんまで楽しむのはもちろんやけど、そういう会場の隅から隅まで見たら、もっとこのフェスのことがわかるで」
と、ライブ以外の部分に込められたフェスの意志を感じて欲しいというメッセージを投げかける。それは実際に自分たちが京都大作戦でそこまで考えてフェスを作っているからこそだろう。
フェスの応援団長である、やべきょうすけもステージに登場したりすると、TAKUMAの想いが宿ったボーカルが響く「アンテナラスト」、TAKUMAがマイクを通さずに叫びまくったことによって、かなり声がキツそうな感じになってしまった「その向こうへ」「RIVER」と代表曲にして、あらゆるフェスのクライマックスを彩ってきたキラーチューンが並ぶ。ちなみに「RIVER」のご当地歌詞、普段の幕張メッセでは「花見川」なのだが、この日はなぜか「利根川」。
そしてラストは「CHERRY BLOSSOM」で客席にタオルが舞い、まるでトリのアンコールのような空気に包まれて終了した。
TAKUMAはやはり短い時間の中で全ての力を使い切るくらいのライブをやってのけた。このバンドもフェスなどではいろいろなエンターテイメント的なパフォーマンスをすることが多いが、ある意味では氣志團と同じように至極真っ当に曲と音と意志を伝えるようなライブを見せた。
すでに発売が決定している新曲はやらなかったが、「アンテナラスト」から一年も空いていないだけに、ようやく曲作りのトンネルからは抜け出せたのだろうか?
1.goes on
2.VIBES BY VIBES
3.SHOES
4.back to the sunset
5.1sec.
6.アンテナラスト
7.その向こうへ
8.RIVER
9.CHERRY BLOSSOM
アンテナラスト
https://youtu.be/jc6xSjaml5o
20:20~ THE冠 [BLACK STAGE]
この二日間を締めくくる大トリは、おそらくメインステージの出演者の中では最も無名と言っていい存在のTHE冠。
ライブ前にはスクリーンに大げさな紹介VTRが流れ(転換中も大トリに抜擢されたことを喜ぶ、ボーカル冠徹弥の母のコメントが流れたりしていた)、SKULLSHITに最も愛され、SKULLSHITを最も愛している男という大トリに相応しい称号を授かり、メンバーがステージに登場。冠徹弥はいつものように鎧と兜を装着した状態でステージに現れると、初っ端から爆音のヘビーメタルサウンドが会場に吹き荒れる。
しかしながら当然、10-FEETが終わって帰ってしまった人たちもたくさんいるわけで、満員どころか普通にフロントエリアでもスペースにかなり余裕がある状態。(翌日が月曜日なだけに仕方がないところだが)
その状態を見た冠は、
「誰も残ってないと思ってたけど、そこそこいる!頼むから今いるみんなだけは最後まで帰らんといてくれ~!」
とおっさんの悲哀が滲みまくった懇願をし、次々に曲を演奏していき、炎が吹き上がるなどの、このバンドのためだけに金を使いまくった特効も次々に炸裂。観客ももはや曲はほとんどの人が全く知らない状態だが、冠に乗せられてヤケクソ状態でモッシュ、サークルを繰り返す。
しかし、ピンスポットでライトに当てられた時にキメ顔をしたり、「糞野郎」がテレビなどでは使えないような小学生の笑い話のネタになりそうな歌詞だったりと、悪ふざけギリギリのコミカルなパフォーマンスと歌詞(この辺りはヘビメタサウンドも含めて、どこか筋肉少女帯に通じるところがある)のバンドだが、卓越した演奏技術がないと成立しない(だからこそマニアックなものになりがちなのだが)ヘビメタをやっているだけあって、メンバーの演奏は信じられないくらいに上手い。そして冠の歌も見た目からは想像できないくらいに上手く、ハイトーンのシャウトもお手の物である。
「これは夢じゃないのか!?」
と大トリという状況と盛り上がりぶりに自問自答しながら、
「夢じゃないあれもこれも」
とB'zの「Ultra Soul」までも軽々と歌いこなしてしまう。
しかしながら2日連続でプロレスステージで試合をこなした後のライブということもあり、体は完全にボロボロらしいが、
「なぜかなぁ?ステージに立って歌っていると全く体の痛みを感じない!」
ともはやこの時の冠は完全にヒーロー状態になっており、観客も大歓声で応える。
その観客のヤケクソの盛り上がりと、冠の死力を振り絞ったパフォーマンスは、演奏終了後に大滝氏が挨拶に出てきてもアンコールを求める声が鳴り止まないという奇跡のような状況を生み出し、鎧を脱いだ後の自身のTシャツに歌詞が書かれた「最後のヘビーメタル」を本当の最後の最後に鳴らし、
「また明日からは小さいライブハウスを廻る毎日が始まる。でも10年後にまた大トリに相応しい存在になって帰ってきたいって言ったけど、もう相応しい存在になってるんちゃうかー!」
という言葉を自らのパフォーマンスを持って実証してみせた。SKULLSHITに最も愛された男の称号は伊達じゃない。文句なしのこの日のMVP。
1.帰ってきたヘビーメタル
2.哀罠メタル
3.糞野郎
4.エビバディ炎
5.初志冠徹
6.担がれた冠
encore
7.最後のヘビーメタル
帰ってきたヘビーメタル
https://youtu.be/mqFgwjC0akY
そしてアンコールによっていったんは途中で挨拶をやめた大滝氏が終演の挨拶。THE冠と同じように、明日からはまた渋谷のショップで服を売る毎日が始まること、次の開催は全くの白紙であることを告げて、SKULLSHITの20周年を祝う、2日間の骸骨祭りは幕を閉じた。
確かに楽しかったし、ライブは素晴らしいものばかりだったが、CDJと同じ1~5ホールを使っているだけに、メッセを使いきれてない感じというか、物販のやり方や、「通路に出れる場所やステージの出入り口をここにも作ればいいのに…」って思うところもたくさんあった。もし5年後にまたメッセでやるんなら、そこもちょっとは改善して欲しい。そうすればもっとストレスのないフェスになるはず。また来たいからこそ、こういうことも言う。
そして出演者がロックバンドばかりだからというのもあるが、2日間で見たのは全てロックバンド。やっぱり、可愛いものやオシャレなものよりも、カッコいいものが好き。それで自分にとって1番カッコいいのはロックバンド。どんだけ効率悪くても、時代遅れになったとしてもそこは変わらない。
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