SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り @幕張メッセ 12/3
- 2016/12/05
- 00:51
ドクロのデザインのTシャツを作ってきた傍でロックとプロレスとお笑いを融合したイベントを行ってきたブランド、SKULLSHITがブランド立ち上げ20周年を迎えて5年ぶりにフェス形式のイベントを開催。前回の2011年はさいたまスーパーアリーナでの開催だったが、今回は過去最大規模の幕張メッセを使っての開催。
COUNTDOWN JAPANと同じように幕張メッセの1~5ホールを使った会場で、ステージは
BLACK STAGE
RED STAGE
WHITE STAGE
の三つ。さらにDJブース兼プロレスステージも加えての4ステージ構成。メインステージのBLACK STAGEはかつてのCDJのEARTH STAGEくらいの大きさで、RED STAGEとWHITE STAGEは向かい合ったステージ。
開演時間の11時になると、BLACK STAGEの巨大モニターにSKULLSHITの代表である大滝氏のインタビュー映像が映し出される。このイベントの歩みを振り返りながら、音楽だけでなくプロレスやお笑いを同時に行うのは「ただ好きだから」という理由。しかも「野球もずっと好きだから」という理由で、インタビュー場所は会場のすぐ隣にある千葉マリンスタジアム。なぜかマウンドでピッチングまでしている映像も。
インタビューが終わると、なぜか友達だというゴールデンボンバーの鬼龍院翔とともに客席の間の通路の台に上がって開会宣言し、ステージ左右の巨大モニターにこの日の出演者が紹介され、いよいよイベントの幕が上がる。
11:15~ dustbox [BLACK STAGE]
トップバッターはあらゆるフェスにパンクバンドとして出演してきた、dustbox。おなじみのSEでメンバーが登場すると、「Riot」でスタートし、SUGA(ボーカル&ギター)のハイトーンなボーカルは午前中でも全く変わらず、客席は早くもモッシュ&ダイブの嵐に。
「壁をぶっ壊せ!」
と言っての「Breakthrough」、タイトル通りに激しさよりも甘酸っぱさが際立つサウンドの「Bitter Sweet」と近年の定番曲を続けると、JOJI(ベース)が
「今日は4時半に起きました!全然寝れませんでした!大滝さんは地元の先輩なんで、大滝さんを男にしたくて来ました!」
とトップバッターならではの早起きっぷりを伝えると、最新作からの「Rise Above」で大きな合唱を巻き起こし、次々と定番曲を連発していくが、さすがに年間100本以上のライブを毎年続けているバンドなだけあって、実にテンポが良い。しかもドラムが現在のYU-KIになってからはさらにラウドかつファストになっている印象すらある。
SKULLSHITが20年続いてきたことへのお祝いの言葉を語りながら、「こうしてみんなで楽しんでいる今、この瞬間が奇跡」というのを曲前のコーラスの練習から実感させてくれる「Here Comes A Miracle」と実にテンポよく曲を連発すると、SUGAがイントロのギターリフを弾き始めると、JOJIがステージから降りて客席の前まで歩いて行っての「Hurdle Race」では観客がまるでタイトルのようにぐるぐると左回りに走りまくる。
そして飛び跳ねさせまくる「Tomorrow」、SUGAの美声が映える「Jupiter」と代表曲の2連発で終了。最高の火付け役としての役割をしっかり果たして、このイベントの始まりの号砲を鳴らした。やっぱり1日のスタートはこういうバンドの方が、始まった!という気分にさせてくれる。
1.Riot
2.Try My Luck
3.Breakthrough
4.Bitter Sweet
5.Rise Above
6.Bird Of Passage
7.Dance Until Morning
8.Sun which never sets
9.Here Comes A Miracle
10.Right Now
11.Hurdle Race
12.Tomorrow
13.Jupiter
Rise Above
https://youtu.be/yKZqarnGKzg
12:10~ グッドモーニングアメリカ [BLACK STAGE]
武道館ワンマンを経て、今年は自身の主催フェスを地元の八王子で開催した、グッドモーニングアメリカ。メインステージへの出演である。
グドモのライブといえば毎回たなしんの登場シーンが楽しみの一つであるが、この日は特に何のパフォーマンスもなく、最初から海パン一丁といういつものスタイルで登場。他のメンバーも揃って登場し、言葉遊びと手拍子が楽しい「コピペ」からスタート。
すると「突破していこう」「空ばかり見ていた」という初期のパンクの影響が強い曲を連発し、最近のこのバンドのライブでは珍しいくらいにガンガンダイバーが続出していく。
メンバーのテンションも非常に高く、特に両サイドの渡邊幸一(ギター)とたなしんはMCで若干何を言っているのかわからないくらいに昂りまくっている。
前に出たdustboxのSUGAとは少しタイプは違うが、同じようにハイトーンな声の金廣のボーカルも実に伸びが良く、観客に合唱させた「言葉にならない」「拝啓、ツラツストラ」でも金廣のボーカルの方がやはり強く感じる。
その金廣がSKULLSHITへのお祝いコメントを口にすると、リリースが迫っている4枚目のニューアルバムへの自信を語り、そのアルバムのタイトル曲になっている「鉛空のスターゲイザー」を披露。ややダンスロック的なサウンドの曲だが、歌詞のメッセージがシリアスなぶん、ひたすら楽しく踊ろうぜ、という感じではない。しかしながらやはりタイトル曲なだけあり、これからライブで定番曲となっていきそうな、このバンドの本来持つメロディの良さは一聴しただけでわかる。
そしてラストは大合唱が巻き起こった「未来へのスパイラル」で堂々の締め。いつもよりパンク要素の強い曲が多かったのはこのイベントの色に合わせたからなのかもしれないが、だからこそこのバンドの元々の出自であるパンク・メロコアらしい衝動を改めて感じさせた。
アルバムのツアーの東京はO-EASTと、武道館からはかなり縮小してきてしまったが、やはりこういうデカいステージでライブを見るのが似合ってるバンドだと思うし、メンバーもまだまだそこを諦めてないはず。だからこそアルバムからまた一気に上昇気流に乗ってもらいたいところだ。
リハ.イチ、ニッ、サンでジャンプ
1.コピペ
2.突破していこう
3.空ばかり見ていた
4.アブラカタブラ
5.言葉にならない
6.拝啓、ツラツストラ
7.光となって
8.鉛空のスターゲイザー
9.未来へのスパイラル
拝啓、ツラツストラ
https://youtu.be/DzCtB9oif8o
12:50~ ヤバイTシャツ屋さん [RED STAGE]
開演前から超満員状態なのは、1stアルバムも大ヒット中のヤバイTシャツ屋さん。メンバーが登場すると、タンクトップをテーマにした「Tank-top of the world」でこやま(ボーカル&ギター)としばた(ベース&ボーカル)のツインボーカルが響き渡り、ただただ「ネコ飼いたい」と言っているだけの「ネコ飼いたい」と続くと、客席はまさかのダイブの嵐。確かに飛び道具的なバンドに見られがちだが、サウンド自体はシンプルなメロコアスタイルのバンドなだけに、このフェスの客層の楽しみ方とはハマっているのかもしれない。
こやま「SKULLSHIT2014へようこそ!」
もりもと「2014は2年前やし、開催されてへん!」
しばた「雑、雑ぅ~」
という最初のMCのやり取りだったが、このしばたの若干ロリ声気味の「雑、雑ぅ~」がハマったのか、この後も
「こんばんは、KEYTALKです!」「名古屋のみなさん元気ですかー!」
というこやまの適当極まりないボケに対してしばたと観客が「雑、雑ぅ~」とツッコむという流れが続く。
「ウェイウェイ」言いたくなるのと同時に、実に鋭い人間観察眼に感心してしまう「ウェイウェイ大学生」を聴くとまさに「ウェイウェイ大学生」になりたい、と思ってしまうし、
「帰りたい Wi-Fiあるし」
という「無線LANばり便利」の歌詞も「わかる!」と共感せざるを得ない。「Wi-Fi!」を「オイ!オイ!」のように使ってしまうのはもはや発明の領域に達している。
もりもとによる「もりもとコール&レスポンス」は実に微妙な空気になったが、「メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲」でダイブではなく飛び跳ねさせ、途中では一斉に観客をしゃがませてから一気にジャンプさせるという若干の緩急を織り交ぜてくる。ちなみに自分がこの曲を聴いて浮かんだのはGOOD4NOTHING「J.C.」である。
こやま「次で最後の曲です!「え~!」って、それどっちの「え~!」?
これ、岡崎体育のネタです(笑)先にやったった(笑)」
と最後までMCは悪ふざけ度が強かったが、最後は「あつまれ!パーティーピーポー」で踊らせまくった。
明らかにメロコアバンドに括るには異端すぎる存在ではあるが、ある意味では英語で似たようなことを歌っているバンドが多いメロコア界隈においては最新の進化系のバンドと言っても言い過ぎではないのかもしれない。この状況と盛り上がりぶりからすると、来年のこの時期にはもうとんでもないところまで行っている可能性も高い。とりあえずCDJは初日のトップから入場規制必至だろう。
1.Tank-top of the world
2.ネコ飼いたい
3.ウェイウェイ大学生
4.無線LANばり便利
5.喜志駅周辺なんもない
6.メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲
7.あつまれ!パーティーピーポー
あつまれ!パーティーピーポー
https://youtu.be/J5oytYDMWHA
その後、BLACK STAGEで2日ぶりのKEYTALKを「Love me」「MATSURI BAYASHI」「MONSTER DANCE」のラスト3曲だけ見る。巨匠のビール一気飲みBGMはいつものthe band apart「Eric.W」に戻っていたが、「MATSURI BAYASHI」の静止するシーンで1分くらい片足を上げたままで全く動かない巨匠のバランス感覚はどうなっているのだろうか。
14:00~ ストレイテナー [BLACK STAGE]
もはやこのラインアップの中ではベテランと呼ばれてもおかしくない立ち位置になってきたストレイテナー。
メンバーが登場すると、近年おなじみの4つ打ちではなくてツービートに近い、ひなっちのゴリゴリのベースが唸りまくる、現在のバンドでのアレンジの「Discography」でスタートすると、シンペイが早くもドラムセットの上に立ち上がり、
「骸骨祭りっていうタイトルなんで、1番骸骨にイメージが近い曲を。幕張メッセに集まった、バーサーカー達に捧げる!」
と序盤で「BERSERKER TUNE」を演奏するという飛ばしっぷり。
おなじみの「From Noon Till Dawn」ではホリエが曲中の歌詞を
「骸骨祭りまだ行けるだろー!」
と変えて叫んだが、「BERSERKER TUNE」でのシンペイのMCしかり、この後のホリエの
「SKULLSHIT20周年おめでとうございます。きっと大滝さんも始めた時は20年も続くなんて思ってなかったはずです。1日1日、また明日、また明日って積み重ねてきたのが20年になった。そういう曲を捧げます」
と言って演奏された「DAY TO DAY」しかり、セトリだけ見ると最近の定番曲ばかりのように見えるが、なぜその曲をやったのかという意味と意志がしっかりとある。
だからこそ、この後は最新作「COLD DISC」の収録曲を続けてバンドの最新系を見せたが、客席から「もっと古い曲やれー!」とヤジってた人の気持ちが全くわからないし、よくそんなこと言えるな、と思う。(ただ単に酔っ払ってたのかもしれないけど)
そんな声には耳を貸すわけもなくホリエは、
「ストレイテナーもあと2年で結成から20周年を迎えます。どうかこれからもよろしくお願いします!」
と過去を振り返ってばかりではなく、これからも新しい音楽を追求していくことを決意し、メンバー紹介も含めての「Melodic Storm」で大合唱を起こすと、ラストの「TRAIN」ではダイバーが続出するほどの盛り上がりを見せた。普段のワンマンではもうダイブが禁止になっているので(かつてのツアーで怪我人が出たから)、実に珍しく、懐かしい光景であった。
1.Discography
2.BERSERKER TUNE
3.From Noon Till Dawn
4.DAY TO DAY
5.冬の太陽
6.原色
7.シーグラス
8.Melodic Storm
9.TRAIN
シーグラス
https://youtu.be/PzZLe7P3lU4
14:50~ lovefilm [WHITE STAGE]
ワンマンも含めて2週間で3回もライブを見るという状態になった、lovefilm。
この日は骸骨祭りというタイトルに合わせてなのか、江夏詩織も石毛輝もノブも、サポートドラマーの福田洋子もみんな上下黒で統一した衣装。
先週のGetting Betterのライブが9割新曲という初見殺しな攻めまくりのセトリだっただけにどうなるのかと思ったら、この日も新曲の連打。
1曲目は夏フェスから演奏されている、ほのかな喪失感を感じさせる曲。この曲はもうすでに何度となくライブで聴いてきているので、まだタイトルすらも未定だが、曲も歌詞もだいぶ覚えてきてしまっている。
2曲目は江夏ボーカルのラブソング、3曲目は石毛ボーカルのロマンチックな曲、4曲目はツインボーカルの壮大な曲と、新曲だらけの中でも似ている曲が全くないという振れ幅を見せると(共通点をあげるならば全てポップな曲だということ)、
「まさか呼ばれるなんて思ってなかったんで、こうして20周年を祝えて嬉しいです!」
と石毛が語る。確かにSKULLSHITのイメージとはかなり距離があるし、音楽性的にもこのバンドのようなタイプのバンドはこの日のラインアップにはいない。だからこそ、主催者側がキチンとバンドの曲と中身でオファーしているのがよくわかるのだが。
江夏の儚いボーカルの「Kiss」で新曲の連発に終止符を打つと、ラストは石毛の轟音ギターがタイトルの通りに神聖な空気を作り出す「Holy Wonder」。
やはりアウェー感があったのは否めなかったが、このセトリの攻めっぷりからは、石毛が新曲に自信と手応えを感じていること、その新曲をライブで演奏してさらに磨きをかけていこうとしていることがわかる。ということは年末のフェスでもこういうセトリが基本線になるような感じもする。
1.新曲
2.新曲
3.新曲
4.新曲
5.Kiss
6.Holy Wonder
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
その後、お笑いライブを鑑賞。キングオブコント優勝者のライス、しずる、ニブンノゴ!の3組を見たのだが、どれもしっかり設定があるコントのイメージが強いだけに、短い時間でのショートコントだとあまり持ち味が出てなかったような気がする。ニブンノゴ!の大川はjealkbのライブ終わり感が凄かったけど。
逆にメインステージの転換中に登場した、サンシャイン池崎は代表ネタである終わらない自己紹介のネタと、テンションのみで乗り切る手品。住所やキャッシュカードの暗証番号までも明かしてしまうという身の削りぶりで、まさかの大爆笑を巻き起こした。ガキの使いのネタ見せバトル的な企画(山-1グランプリ)に出た時から比べると大出世。
16:50~ RIZE [BLACK STAGE]
本格的にシーン復帰を果たしたRIZE、パンク要素の強いこの日のラインアップの中ではラウド・ミクスチャーの看板を背負ってのステージと言っても過言ではない。
kenkenとノブアキの金子兄弟に加えてサポートギターの下畑亮介に続いて、赤いジャンパーのフードを目深に被り、黒いマスクという出で立ちのJESSEもステージに。スタッフたちと軽く拳を合わせると、「HAVOC」「日本刀」とゴリゴリのサウンドの上に乗せてJESSEの斬れ味鋭いラップが次々と放たれて行く。
バスケットボールチーム、大阪籠球会をステージに迎えながら、復帰後のリリース曲である「ONE SHOT」、「TKC」という東京シティーをレペゼンしたコーラスが印象的な新曲など、過去の代表曲だけではなく、現在進行系のRIZEの姿も見せつける。
JESSEはこの日、子供の小学校の音楽の発表会を朝に観に行き、そこで校長先生の言葉に感銘を受けた、というミュージシャンのMCではなかなか聞けないようなエピソードで和ませると、kenkenがウッドベースに持ち替え、
「このフェスに来たくてもこれなかったやつ、このステージに立ちたくても立てなかったやつにも届きますように」
と言って「Ghost」でラウドではないもう一つのRIZEの音楽の側面も短い時間の中でしっかり見せる。
終盤はkenkenがベースを銃のように見立てて客席にぶっ放しまくる「Gun Shot」、イントロから超人級のメンバーのサウンドがぶつかりまくり、ラップ部分では奈良から来たという全身RIZEグッズに身を包んだファンをステージに上げてラップさせ、JESSE自身は客席に突入してギターを弾きまくる「カミナリ」で心身ともに覚醒させられるようなラスト。
もはや休止前よりもはるかに進化しまくっているのが明白なだけに、現在の編成と状態での「カミナリ」を筆頭とした代表曲たちを再録したアルバムを出していただきたいレベル。本当に凄まじい。
1.HAVOC
2.日本刀
3.PARTY HOUSE
4.ONE SHOT
5.新曲
6.Ghost
7.神
8.Gun Shot
9.カミナリ
カミナリ
https://youtu.be/RROcHKYz47Q
17:45~ 175R [BLACK STAGE]
今回の目玉と言えるのが、175Rの6年ぶりの復活。COUNTDOWN JAPAN 10/11のGALAXY STAGEのトリを最後に活動休止に入っただけに、戻ってきて最初のライブも幕張メッセということになる。
壮大なSEに乗ってメンバーが登場すると、当時と変わらぬ金髪のSHOGOが台の上に立ってバンドのタオルを掲げ、
「ここから見える景色を僕は信じたい」
という、まさにこのステージから見ている景色をそのまま歌詞にしたような歌い出しのメジャーデビューシングル「ハッピーライフ」でスタート。常にライブを軸として活動してきたバンドだからこそ響く歌詞。KAZUYAの刻むスカのリズムギターとシンプルにキープするISAKICKとYOSHIAKIのリズム隊…紛れもなく175Rのサウンド、175Rのライブである。
サウンドも、SHOGOの少年性の強い声も当時と全く変わらないが、もともと太り気味だったYOSHIAKIはさらに太り、縦にも横にも小さい体をしていたSHOGOも横に大きくなった印象。SHOGOは腕と脚に多数のタトゥーも入っている。そんな中でKAZUYAとYOSHIAKIの兄弟はびっくりするくらいに全く見た目が変わっていない。
「この想いが、届きますように」
と言って始まった「僕の声」はもともとはこの日この後に出演するSHAKALABBITSとのスプリットシングルのカップリングに収録されていた曲。しかしながらライブでは定番と言ってもいい曲で、活動休止前の最後のライブでも演奏されていた。ラストのサビ前でのYOSHIAKIのドラムを叩きながらのボーカルも当時と全く変わっていない。
緩やかなイントロからラウドに爆発する、インディーズ時代の代表曲「Your Song」では大合唱を巻き起こし、SHOGOはこのステージに立てていること、また幕張メッセからスタートすることにどこか運命のようなものを感じることを語り、この日の夜から配信開始になる新曲「これから」を披露。サウンドこそ昔にリリースされていてもおかしくないようなものだが、
「まだまだこれから聴かせたい歌がある」
というストレートに再始動の決意を綴った歌詞は、活動休止を経た今のバンドだからこそ書ける、歌える曲。
さらにもう一つの新曲「夏の幻」は、来るべき来年の夏の野外フェスではまたこのバンドがステージに立っている姿が想像できるような曲。
正直、新曲をやるというのはかつての代表曲をたくさん聴けるんじゃないかという期待があっただけに、少し微妙な気持ちだった。ただ、この新曲が完全にこれまでの175Rの曲と並んでも遜色ないくらいの曲でありながら、今のバンドだからこそのメッセージがあり、素直に良い曲だと思えた。だからこそ、懐古的な気分だけでなく、これからのこのバンドにまた期待したくなった。
スカのリズムを取り入れた曲が多い175Rのスタンダードと言えるような「Party」で踊らせまくると、すでに曲がガンガンできていること、4月に日比谷野音と大阪城野音でワンマンを開催することも発表。そして
「春の野音の時には、きっとサクラが咲いてるはず」
と言って演奏されたのはもちろん「SAKURA」。SHOGOは声がちょっとキツそうではあったが、だからこそ観客による
「桜が咲く頃 僕らが行く頃
桜が咲く頃 僕らも行く頃」
というサビの大合唱がライブをさらに後押ししていく。
そして最後はやはりこのバンドをお茶の間レベルにまで押し上げた「空に唄えば」。多数のダイバーが出現しながら、最後まで起こる大合唱。今でも全部歌えるし、歌えるからこそ全く錆びついてない。それはこのバンドの曲が時代を超えても残るような普遍性を持っているからこそ。
我々のような、青春時代をこのバンドの音楽とともに過ごした世代からしたらこのバンドの復活は今年の一大ニュースだが、もしかしたら今の10代~20歳過ぎの人には全く届かないような音楽なのかもしれない。
実際、当時から青春パンクシーンの音楽的な稚拙さは様々な人たちから指摘されていた。でも、どんなに稚拙だったとしても、紛れもなく我々世代が10代の頃を回想した時に脳内に流れるのは、GOING STEADYや175Rのような青春パンクと呼ばれたである。ほとんどのバンドはブームが終焉してすぐにいなくなってしまったが、こうして175Rが帰ってきて、青春パンクの最終兵器と呼ばれたジャパハリネットなども自分たちのペースで活動を再開した。もうお互いにあの頃とは何もかもが違うし、バンドにも追い風は吹いていない状況かもしれないけど、こうしてまたライブを見て、当時聴きまくっていた曲をみんなで一緒に聴いたり歌ったりできるというのが何よりも嬉しい。
1.ハッピーライフ
2.僕の声
3.Your Song
4.これから(新曲)
5.夏の幻(新曲)
6.Party
7.SAKURA
8.空に唄えば
空に唄えば
https://youtu.be/I6FdHp3L-YU
その後、メインステージにはこの日お笑いライブ、プロレスと2回出演した、レイザーラモンRGが3回目の登場。10-FEETの「HEY!」「2%」に乗せて「黒いTシャツあるある」を披露するが、「2%」の方はあまりのスベり具合に、
「スベり過ぎて肋骨が折れた」
と言い残してステージを去ることに。
18:45~ Nothing's Carved In Stone [BLACK STAGE]
このイベントは5年前もELLEGARDENのメンバーが集結して話題になったが(ELLEGARDENとしては当然なんにもやっていない)、今回もそれぞれの活動形態でメンバーが集結。ギターの生形真一は当然、自身のバンド、Nothing's Carved In Stoneで出演。
メンバーが登場すると、その生形のギターを軸に、冒頭からメンバー4人の音が激しくぶつかり合いながら一つに調和していく「Out Of Control」からスタートし、村松拓がハンドマイクを持って歌う、EDMの要素を取り込んだ「In Future」、同期の音のイントロが流れて大歓声が起こった「November 15th」と、新旧のキラーチューンを畳み掛けていく。
村松がSKULLSHITへのお祝いの言葉を口にすると、中盤からは日本語の曲も増えていき、
「キレイな花を咲かせようぜー!」
と言って始まった「きらめきの花」では、今日2ステージ目となった、ひなっちのベースが唸りまくりながらも笑顔で手を左右に振るのを煽る。
そして村松の流暢すぎる英語の発音が堪能できる「Spirit Inspiration」から、ラストはダイバーが壁のように並ぶのが壮観の、このバンドの始まりの曲とも言える「Isolation」。
早くも次のリリースが決まっているが、その中からの新曲こそ披露されなかったが、毎回サウンド面で変化してきているだけに、果たして今度はどんな進化を見せてくれるのか。その答えが見れそうな来年以降のライブも実に楽しみ。
1.Out Of Control
2.In Future
3.November 15th
4.Milestone
5.Shimmer Song
6.きらめきの花
7.Spirit Inspiration
8.Isolation
In Future
https://youtu.be/4lMcu6Gfcag
19:30~ SHAKALABBITS [RED STAGE]
RED STAGEのトリはSHAKALABBITS。かつては175Rとともにスプリットシングルをリリースしているだけに、両者が同じ日に揃っているのは感慨深いし、そのスプリット曲「STAND BY YOU!!」の披露もあるんじゃないかと期待してしまう。
ライブを見るのは久しぶりだが、ボーカルUKIの出で立ちとその少女性の強い独特のボーカルはかつてと変わらずに若々しく、スカのリズムを取り入れた(このあたりは175Rとスプリットを組んだのがよくわかる)パンクサウンドと組み合わさっても未だに全く違和感がない。
ただ、かつては少年のようだったドラムのMAHは明らかにおじさんと言ってもいいような出で立ちになっている。
一転して目まぐるしく展開する「ダズリングスープ」を演奏すると、UKIが
「15年前にもSKULLSHITのイベントに出させてもらって。この前、主催の大滝さんと飲んだんだけど、またこうやって一緒にやれることになって。それは私たちが17年、SKULLSHITが20年、お互いにずっと続けてきたからだよねって」
とSKULLSHITとの思い出と付き合いについて語ったのだが、突如として
「だからこんなこと言うなんて一生ないって思ってたんだけど…SHAKALABBITSは来年いっぱいで活動休止します!」
と活動休止を宣言。理由として去年からバンドが揺れていたこと、アルバムを録音し終えているのにリリースができないこと、これからも音楽を続けたいから1度止まることを挙げたが、その発表をしたUKI本人が堪えることもなく涙を流していた。それまでの楽しいライブの空気はここで一変してしまった。
それでもUKIは涙を拭い、「Pivot」を演奏すると、観客もなんとか楽しもうとするが、やはりそれまでとは違う。好きであればあるほど、すぐに受け入れられることはできない。実際、モニターに映し出されていた最前列の女性のファンたちはみんな泣いていた。
再び話し始めると、やはりUKIは涙を流しながら、ネットではなくてライブに来てくれるみんなの前で発表したかったこと、まだ来年アルバムを出してツアーもやるし、アルバムが本当にいい作品になっていることを話し、今年のライブはこれで終わりだが、来年また必ず会う約束をしてから、最後はやはり「MONSTER TREE」で大合唱を巻き起こし、
「そしてひとつになれればいい」
のフレーズで、確かにここにいた人たちはひとつになった。そしていつものようにUKIはピースすると、客席もみんなピースをしていた。MAHがメンバー全員を前に集めて手を繋いで一礼したが、いつものSHAKALABBITSのライブの終わり方だった。
しかしながらこの状況でアンコールが起きないわけはなく、
「シャカーラビッツ!」
の大コールに呼ばれてメンバーが再びステージへ。UKIは他のメンバーよりも遅れてステージに登場すると、特に何も話さずに、このバンドを一躍シーンの最前線に押し上げた「ROLLIE」を感情を精一杯込めて歌って演奏した。
本編と違って今度は集まって手を繋いだりはしなかった。その姿は、次はまた来年に。
175Rが活動を再開した日にSHAKALABBITSが活動休止。SHAKALABBITSはメンバーチェンジこそあったが、同時期にシーンに出てきたバンドが次々に去っていく中で、ずっと走り続けてきた。だからこそ、ここまでこのバンドで生きてきたメンバー(途中から加入したベースのYOSUKEもギターのTAKE-Cの弟だし)は、もうこのバンドでしか生きていく手段がないとまで思っていた。そんなバンドでも活動休止という選択肢を取らなければならない状況になった。それは、他のずっと続いているバンドでもそうなる可能性はゼロではないということ。
そしてこのライブを見ていて自分がもらい泣きしてしまったのは、UKIが泣いていたからというよりも、最前列にいた人たちが泣いていたのがモニターに映ったのを見たから。
前述したようにメンバーチェンジもあったし、昔は周りにも「ボーカルが可愛い」という理由で聴いていた男もたくさんいた。しかし今はもう当時ほどの売り上げも集客力もなくなり、離れて行った人もたくさんいるはず。
そんな中でこの日最前列にいた人たちは、そんなに若い人という見た目ではなかったからこそ、ずっとこのバンドの音楽を聴いてライブに行って、浮き沈みがあっても変わらずにこのバンドを愛し続け、このバンドを見るためにこの日このイベントに来た人たちであるというのがすぐわかる。だからこそ、その泣いている姿を見るのは本当に堪えたし、自分がtelephonesのライブで活動休止の発表をしたのを聞いた時もこうだったんだな、と思ったら堪えることができなくなってしまった。
自分の青春時代に出てきて、聴いてきたバンドがいなくなっていくのはやっぱり本当に寂しい。
1.CAN'T ESCAPE THE CHOCOLATE SYRUP
2.THAT THING YOU DO!
3.ダズリングスープ
4.Pivot
5.Soda
6.MONSTER TREE
encore
7.ROLLIE
MONSTER TREE
https://youtu.be/h5NnLpkSoZ4
20:35~ MONOEYES [BLACK STAGE]
初日のトリは、SKULLSHITの象徴的存在と言える、細美武士率いるMONOEYES。
いつものようにスターウォーズのSEでメンバーが登場すると、スコット・マーフィーがメインボーカルである最新EPのカップリング曲「Moth To Flame」でスタートするという、夏フェスまでとは全く異なるオープニングで、すでにバンドが新しいモードに入っていることを実感する。スコットはベースを演奏しながらその場をぐるぐる回るというパフォーマンスをボーカル曲でも歌の合間に行う。
しかしやはり細美武士の歌の力強さと伸びである。パンクに振り切っているMONOEYESは巧さよりも衝動の方が大事とも言えるが、巧さも感じるし、その声には確かに衝動も宿っているというもはや無敵状態で、「My Instant Song」では観客を飛び跳ねさせながらコーラスで大きな合唱を誘う。
やはり広い会場でライブをやることに若干の戸惑いを感じさせながらも、スコットがメインボーカルのもう1曲である「Borders & Walls」も披露。実にALLiSTERをやっていたスコットらしい、ストレートなパンクソング。最初にCDで聴いた時は意外にも細美と声が似ていてちょっとビックリもしたが。
そのスコットがベースを銃のようにして客席や戸高に向けて打つ仕草を見せる「明日公園で」、夏フェスでこの曲を聴いた時の景色が脳内に蘇ってくる「Remember Me」と曲を続けると、
「SKULLSHITの大滝ってやつとはもうガキの頃から一緒にいて。よく渋谷とかで飲むんだけど、まぁ良くない飲み方をお互いする時も結構あって(笑)
でも最近俺はあいつと飲むと文句ばっかり言ってて。もっとカッコいい服作れ、って。
でもずっと一緒にいるから、もう兄弟みたいなもんだと思ってる。だから、最期までずっと隣にいてやるから、これからもよろしく。最近あいつトレーニングサボってやがるからなぁ(笑)」
とSKULLSHITの大滝氏へ、一対一じゃないからこそ言えるエールを送る。細美がここまで言うような人物が他にこの世に何人いるだろうか。そう考えると大滝氏がうらやましくなってくる。
そして「何度でも立ち上がれ」というメッセージを込めた最新EPのタイトル曲「Get Up」を披露。曲としてはアルバムの曲ほどパンクに振り切っていないし、むしろHIATUSに持っていってもそっちでアレンジできそうな曲でもある。だからこそ、スコットの作った曲がパンクである必要があったし、細美以外のメンバーが作った曲が世に出ることによって、MONOEYESは細美のHIATUSじゃない活動から、この4人のバンドになった。
今でもロッキンで演奏したシーンが忘れられない「グラニート」で大合唱を巻き起こすと、アンコールに応えて再び登場し、
「さっきからそこのサークル不発に終わってるけど大丈夫?(笑)
次の曲は左回りできるやつだから。でも2番にちょっと引っ掛けあるから気をつけて(笑)」
と、親切なようでもあり、曲を知らないことに対する皮肉のようでもある言葉を投げかけてから、masasucksと高田雄一が袖で見守る中、「End Of The Story」で言葉通りに左回りのサークルを発生させ、SKULLSHITのイベントの象徴として、初日のトリを完全燃焼でやり切って見せた。
やはり一部ではELLEGARDENの復活を期待していた人もいたようだが(高田雄一はそういう働きかけをしていたが)、当然そんなことは起こらなかった。でもこの日はそれで良かった。4人はそれぞれ今のバンドや形態でこのイベントに出演しているから。その中でエルレが出たら、それぞれの活動の意味がなくなってしまう。
その時はまた、本当に全員がやりたくなった時でいい。それがいつになるのかは誰にも、おそらく本人たちにもわからないんだろうけど。
リハ.What I Left Today
1.Moth To Flame
2.Like We've Never Lost
3.My Instant Song
4.When I Was King
5.Borders & Walls
6.明日公園で
7.Remember Me
8.Get Up
9.Run Run
10.グラニート
encore
11.End Of The Story
Get Up
https://youtu.be/riyjAo3szbQ
翌日も参加なので、色々とフェス全体に対する意見は翌日の最後に。これだけいろんなライブを見ると楽しいけど、やっぱりこの日は個人的には175RとSHAKALABBITSに尽きるかな。
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COUNTDOWN JAPANと同じように幕張メッセの1~5ホールを使った会場で、ステージは
BLACK STAGE
RED STAGE
WHITE STAGE
の三つ。さらにDJブース兼プロレスステージも加えての4ステージ構成。メインステージのBLACK STAGEはかつてのCDJのEARTH STAGEくらいの大きさで、RED STAGEとWHITE STAGEは向かい合ったステージ。
開演時間の11時になると、BLACK STAGEの巨大モニターにSKULLSHITの代表である大滝氏のインタビュー映像が映し出される。このイベントの歩みを振り返りながら、音楽だけでなくプロレスやお笑いを同時に行うのは「ただ好きだから」という理由。しかも「野球もずっと好きだから」という理由で、インタビュー場所は会場のすぐ隣にある千葉マリンスタジアム。なぜかマウンドでピッチングまでしている映像も。
インタビューが終わると、なぜか友達だというゴールデンボンバーの鬼龍院翔とともに客席の間の通路の台に上がって開会宣言し、ステージ左右の巨大モニターにこの日の出演者が紹介され、いよいよイベントの幕が上がる。
11:15~ dustbox [BLACK STAGE]
トップバッターはあらゆるフェスにパンクバンドとして出演してきた、dustbox。おなじみのSEでメンバーが登場すると、「Riot」でスタートし、SUGA(ボーカル&ギター)のハイトーンなボーカルは午前中でも全く変わらず、客席は早くもモッシュ&ダイブの嵐に。
「壁をぶっ壊せ!」
と言っての「Breakthrough」、タイトル通りに激しさよりも甘酸っぱさが際立つサウンドの「Bitter Sweet」と近年の定番曲を続けると、JOJI(ベース)が
「今日は4時半に起きました!全然寝れませんでした!大滝さんは地元の先輩なんで、大滝さんを男にしたくて来ました!」
とトップバッターならではの早起きっぷりを伝えると、最新作からの「Rise Above」で大きな合唱を巻き起こし、次々と定番曲を連発していくが、さすがに年間100本以上のライブを毎年続けているバンドなだけあって、実にテンポが良い。しかもドラムが現在のYU-KIになってからはさらにラウドかつファストになっている印象すらある。
SKULLSHITが20年続いてきたことへのお祝いの言葉を語りながら、「こうしてみんなで楽しんでいる今、この瞬間が奇跡」というのを曲前のコーラスの練習から実感させてくれる「Here Comes A Miracle」と実にテンポよく曲を連発すると、SUGAがイントロのギターリフを弾き始めると、JOJIがステージから降りて客席の前まで歩いて行っての「Hurdle Race」では観客がまるでタイトルのようにぐるぐると左回りに走りまくる。
そして飛び跳ねさせまくる「Tomorrow」、SUGAの美声が映える「Jupiter」と代表曲の2連発で終了。最高の火付け役としての役割をしっかり果たして、このイベントの始まりの号砲を鳴らした。やっぱり1日のスタートはこういうバンドの方が、始まった!という気分にさせてくれる。
1.Riot
2.Try My Luck
3.Breakthrough
4.Bitter Sweet
5.Rise Above
6.Bird Of Passage
7.Dance Until Morning
8.Sun which never sets
9.Here Comes A Miracle
10.Right Now
11.Hurdle Race
12.Tomorrow
13.Jupiter
Rise Above
https://youtu.be/yKZqarnGKzg
12:10~ グッドモーニングアメリカ [BLACK STAGE]
武道館ワンマンを経て、今年は自身の主催フェスを地元の八王子で開催した、グッドモーニングアメリカ。メインステージへの出演である。
グドモのライブといえば毎回たなしんの登場シーンが楽しみの一つであるが、この日は特に何のパフォーマンスもなく、最初から海パン一丁といういつものスタイルで登場。他のメンバーも揃って登場し、言葉遊びと手拍子が楽しい「コピペ」からスタート。
すると「突破していこう」「空ばかり見ていた」という初期のパンクの影響が強い曲を連発し、最近のこのバンドのライブでは珍しいくらいにガンガンダイバーが続出していく。
メンバーのテンションも非常に高く、特に両サイドの渡邊幸一(ギター)とたなしんはMCで若干何を言っているのかわからないくらいに昂りまくっている。
前に出たdustboxのSUGAとは少しタイプは違うが、同じようにハイトーンな声の金廣のボーカルも実に伸びが良く、観客に合唱させた「言葉にならない」「拝啓、ツラツストラ」でも金廣のボーカルの方がやはり強く感じる。
その金廣がSKULLSHITへのお祝いコメントを口にすると、リリースが迫っている4枚目のニューアルバムへの自信を語り、そのアルバムのタイトル曲になっている「鉛空のスターゲイザー」を披露。ややダンスロック的なサウンドの曲だが、歌詞のメッセージがシリアスなぶん、ひたすら楽しく踊ろうぜ、という感じではない。しかしながらやはりタイトル曲なだけあり、これからライブで定番曲となっていきそうな、このバンドの本来持つメロディの良さは一聴しただけでわかる。
そしてラストは大合唱が巻き起こった「未来へのスパイラル」で堂々の締め。いつもよりパンク要素の強い曲が多かったのはこのイベントの色に合わせたからなのかもしれないが、だからこそこのバンドの元々の出自であるパンク・メロコアらしい衝動を改めて感じさせた。
アルバムのツアーの東京はO-EASTと、武道館からはかなり縮小してきてしまったが、やはりこういうデカいステージでライブを見るのが似合ってるバンドだと思うし、メンバーもまだまだそこを諦めてないはず。だからこそアルバムからまた一気に上昇気流に乗ってもらいたいところだ。
リハ.イチ、ニッ、サンでジャンプ
1.コピペ
2.突破していこう
3.空ばかり見ていた
4.アブラカタブラ
5.言葉にならない
6.拝啓、ツラツストラ
7.光となって
8.鉛空のスターゲイザー
9.未来へのスパイラル
拝啓、ツラツストラ
https://youtu.be/DzCtB9oif8o
12:50~ ヤバイTシャツ屋さん [RED STAGE]
開演前から超満員状態なのは、1stアルバムも大ヒット中のヤバイTシャツ屋さん。メンバーが登場すると、タンクトップをテーマにした「Tank-top of the world」でこやま(ボーカル&ギター)としばた(ベース&ボーカル)のツインボーカルが響き渡り、ただただ「ネコ飼いたい」と言っているだけの「ネコ飼いたい」と続くと、客席はまさかのダイブの嵐。確かに飛び道具的なバンドに見られがちだが、サウンド自体はシンプルなメロコアスタイルのバンドなだけに、このフェスの客層の楽しみ方とはハマっているのかもしれない。
こやま「SKULLSHIT2014へようこそ!」
もりもと「2014は2年前やし、開催されてへん!」
しばた「雑、雑ぅ~」
という最初のMCのやり取りだったが、このしばたの若干ロリ声気味の「雑、雑ぅ~」がハマったのか、この後も
「こんばんは、KEYTALKです!」「名古屋のみなさん元気ですかー!」
というこやまの適当極まりないボケに対してしばたと観客が「雑、雑ぅ~」とツッコむという流れが続く。
「ウェイウェイ」言いたくなるのと同時に、実に鋭い人間観察眼に感心してしまう「ウェイウェイ大学生」を聴くとまさに「ウェイウェイ大学生」になりたい、と思ってしまうし、
「帰りたい Wi-Fiあるし」
という「無線LANばり便利」の歌詞も「わかる!」と共感せざるを得ない。「Wi-Fi!」を「オイ!オイ!」のように使ってしまうのはもはや発明の領域に達している。
もりもとによる「もりもとコール&レスポンス」は実に微妙な空気になったが、「メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲」でダイブではなく飛び跳ねさせ、途中では一斉に観客をしゃがませてから一気にジャンプさせるという若干の緩急を織り交ぜてくる。ちなみに自分がこの曲を聴いて浮かんだのはGOOD4NOTHING「J.C.」である。
こやま「次で最後の曲です!「え~!」って、それどっちの「え~!」?
これ、岡崎体育のネタです(笑)先にやったった(笑)」
と最後までMCは悪ふざけ度が強かったが、最後は「あつまれ!パーティーピーポー」で踊らせまくった。
明らかにメロコアバンドに括るには異端すぎる存在ではあるが、ある意味では英語で似たようなことを歌っているバンドが多いメロコア界隈においては最新の進化系のバンドと言っても言い過ぎではないのかもしれない。この状況と盛り上がりぶりからすると、来年のこの時期にはもうとんでもないところまで行っている可能性も高い。とりあえずCDJは初日のトップから入場規制必至だろう。
1.Tank-top of the world
2.ネコ飼いたい
3.ウェイウェイ大学生
4.無線LANばり便利
5.喜志駅周辺なんもない
6.メロコアバンドのアルバムの3曲目くらいによく収録されている感じの曲
7.あつまれ!パーティーピーポー
あつまれ!パーティーピーポー
https://youtu.be/J5oytYDMWHA
その後、BLACK STAGEで2日ぶりのKEYTALKを「Love me」「MATSURI BAYASHI」「MONSTER DANCE」のラスト3曲だけ見る。巨匠のビール一気飲みBGMはいつものthe band apart「Eric.W」に戻っていたが、「MATSURI BAYASHI」の静止するシーンで1分くらい片足を上げたままで全く動かない巨匠のバランス感覚はどうなっているのだろうか。
14:00~ ストレイテナー [BLACK STAGE]
もはやこのラインアップの中ではベテランと呼ばれてもおかしくない立ち位置になってきたストレイテナー。
メンバーが登場すると、近年おなじみの4つ打ちではなくてツービートに近い、ひなっちのゴリゴリのベースが唸りまくる、現在のバンドでのアレンジの「Discography」でスタートすると、シンペイが早くもドラムセットの上に立ち上がり、
「骸骨祭りっていうタイトルなんで、1番骸骨にイメージが近い曲を。幕張メッセに集まった、バーサーカー達に捧げる!」
と序盤で「BERSERKER TUNE」を演奏するという飛ばしっぷり。
おなじみの「From Noon Till Dawn」ではホリエが曲中の歌詞を
「骸骨祭りまだ行けるだろー!」
と変えて叫んだが、「BERSERKER TUNE」でのシンペイのMCしかり、この後のホリエの
「SKULLSHIT20周年おめでとうございます。きっと大滝さんも始めた時は20年も続くなんて思ってなかったはずです。1日1日、また明日、また明日って積み重ねてきたのが20年になった。そういう曲を捧げます」
と言って演奏された「DAY TO DAY」しかり、セトリだけ見ると最近の定番曲ばかりのように見えるが、なぜその曲をやったのかという意味と意志がしっかりとある。
だからこそ、この後は最新作「COLD DISC」の収録曲を続けてバンドの最新系を見せたが、客席から「もっと古い曲やれー!」とヤジってた人の気持ちが全くわからないし、よくそんなこと言えるな、と思う。(ただ単に酔っ払ってたのかもしれないけど)
そんな声には耳を貸すわけもなくホリエは、
「ストレイテナーもあと2年で結成から20周年を迎えます。どうかこれからもよろしくお願いします!」
と過去を振り返ってばかりではなく、これからも新しい音楽を追求していくことを決意し、メンバー紹介も含めての「Melodic Storm」で大合唱を起こすと、ラストの「TRAIN」ではダイバーが続出するほどの盛り上がりを見せた。普段のワンマンではもうダイブが禁止になっているので(かつてのツアーで怪我人が出たから)、実に珍しく、懐かしい光景であった。
1.Discography
2.BERSERKER TUNE
3.From Noon Till Dawn
4.DAY TO DAY
5.冬の太陽
6.原色
7.シーグラス
8.Melodic Storm
9.TRAIN
シーグラス
https://youtu.be/PzZLe7P3lU4
14:50~ lovefilm [WHITE STAGE]
ワンマンも含めて2週間で3回もライブを見るという状態になった、lovefilm。
この日は骸骨祭りというタイトルに合わせてなのか、江夏詩織も石毛輝もノブも、サポートドラマーの福田洋子もみんな上下黒で統一した衣装。
先週のGetting Betterのライブが9割新曲という初見殺しな攻めまくりのセトリだっただけにどうなるのかと思ったら、この日も新曲の連打。
1曲目は夏フェスから演奏されている、ほのかな喪失感を感じさせる曲。この曲はもうすでに何度となくライブで聴いてきているので、まだタイトルすらも未定だが、曲も歌詞もだいぶ覚えてきてしまっている。
2曲目は江夏ボーカルのラブソング、3曲目は石毛ボーカルのロマンチックな曲、4曲目はツインボーカルの壮大な曲と、新曲だらけの中でも似ている曲が全くないという振れ幅を見せると(共通点をあげるならば全てポップな曲だということ)、
「まさか呼ばれるなんて思ってなかったんで、こうして20周年を祝えて嬉しいです!」
と石毛が語る。確かにSKULLSHITのイメージとはかなり距離があるし、音楽性的にもこのバンドのようなタイプのバンドはこの日のラインアップにはいない。だからこそ、主催者側がキチンとバンドの曲と中身でオファーしているのがよくわかるのだが。
江夏の儚いボーカルの「Kiss」で新曲の連発に終止符を打つと、ラストは石毛の轟音ギターがタイトルの通りに神聖な空気を作り出す「Holy Wonder」。
やはりアウェー感があったのは否めなかったが、このセトリの攻めっぷりからは、石毛が新曲に自信と手応えを感じていること、その新曲をライブで演奏してさらに磨きをかけていこうとしていることがわかる。ということは年末のフェスでもこういうセトリが基本線になるような感じもする。
1.新曲
2.新曲
3.新曲
4.新曲
5.Kiss
6.Holy Wonder
Kiss
https://youtu.be/YsopBGIO2Bg
その後、お笑いライブを鑑賞。キングオブコント優勝者のライス、しずる、ニブンノゴ!の3組を見たのだが、どれもしっかり設定があるコントのイメージが強いだけに、短い時間でのショートコントだとあまり持ち味が出てなかったような気がする。ニブンノゴ!の大川はjealkbのライブ終わり感が凄かったけど。
逆にメインステージの転換中に登場した、サンシャイン池崎は代表ネタである終わらない自己紹介のネタと、テンションのみで乗り切る手品。住所やキャッシュカードの暗証番号までも明かしてしまうという身の削りぶりで、まさかの大爆笑を巻き起こした。ガキの使いのネタ見せバトル的な企画(山-1グランプリ)に出た時から比べると大出世。
16:50~ RIZE [BLACK STAGE]
本格的にシーン復帰を果たしたRIZE、パンク要素の強いこの日のラインアップの中ではラウド・ミクスチャーの看板を背負ってのステージと言っても過言ではない。
kenkenとノブアキの金子兄弟に加えてサポートギターの下畑亮介に続いて、赤いジャンパーのフードを目深に被り、黒いマスクという出で立ちのJESSEもステージに。スタッフたちと軽く拳を合わせると、「HAVOC」「日本刀」とゴリゴリのサウンドの上に乗せてJESSEの斬れ味鋭いラップが次々と放たれて行く。
バスケットボールチーム、大阪籠球会をステージに迎えながら、復帰後のリリース曲である「ONE SHOT」、「TKC」という東京シティーをレペゼンしたコーラスが印象的な新曲など、過去の代表曲だけではなく、現在進行系のRIZEの姿も見せつける。
JESSEはこの日、子供の小学校の音楽の発表会を朝に観に行き、そこで校長先生の言葉に感銘を受けた、というミュージシャンのMCではなかなか聞けないようなエピソードで和ませると、kenkenがウッドベースに持ち替え、
「このフェスに来たくてもこれなかったやつ、このステージに立ちたくても立てなかったやつにも届きますように」
と言って「Ghost」でラウドではないもう一つのRIZEの音楽の側面も短い時間の中でしっかり見せる。
終盤はkenkenがベースを銃のように見立てて客席にぶっ放しまくる「Gun Shot」、イントロから超人級のメンバーのサウンドがぶつかりまくり、ラップ部分では奈良から来たという全身RIZEグッズに身を包んだファンをステージに上げてラップさせ、JESSE自身は客席に突入してギターを弾きまくる「カミナリ」で心身ともに覚醒させられるようなラスト。
もはや休止前よりもはるかに進化しまくっているのが明白なだけに、現在の編成と状態での「カミナリ」を筆頭とした代表曲たちを再録したアルバムを出していただきたいレベル。本当に凄まじい。
1.HAVOC
2.日本刀
3.PARTY HOUSE
4.ONE SHOT
5.新曲
6.Ghost
7.神
8.Gun Shot
9.カミナリ
カミナリ
https://youtu.be/RROcHKYz47Q
17:45~ 175R [BLACK STAGE]
今回の目玉と言えるのが、175Rの6年ぶりの復活。COUNTDOWN JAPAN 10/11のGALAXY STAGEのトリを最後に活動休止に入っただけに、戻ってきて最初のライブも幕張メッセということになる。
壮大なSEに乗ってメンバーが登場すると、当時と変わらぬ金髪のSHOGOが台の上に立ってバンドのタオルを掲げ、
「ここから見える景色を僕は信じたい」
という、まさにこのステージから見ている景色をそのまま歌詞にしたような歌い出しのメジャーデビューシングル「ハッピーライフ」でスタート。常にライブを軸として活動してきたバンドだからこそ響く歌詞。KAZUYAの刻むスカのリズムギターとシンプルにキープするISAKICKとYOSHIAKIのリズム隊…紛れもなく175Rのサウンド、175Rのライブである。
サウンドも、SHOGOの少年性の強い声も当時と全く変わらないが、もともと太り気味だったYOSHIAKIはさらに太り、縦にも横にも小さい体をしていたSHOGOも横に大きくなった印象。SHOGOは腕と脚に多数のタトゥーも入っている。そんな中でKAZUYAとYOSHIAKIの兄弟はびっくりするくらいに全く見た目が変わっていない。
「この想いが、届きますように」
と言って始まった「僕の声」はもともとはこの日この後に出演するSHAKALABBITSとのスプリットシングルのカップリングに収録されていた曲。しかしながらライブでは定番と言ってもいい曲で、活動休止前の最後のライブでも演奏されていた。ラストのサビ前でのYOSHIAKIのドラムを叩きながらのボーカルも当時と全く変わっていない。
緩やかなイントロからラウドに爆発する、インディーズ時代の代表曲「Your Song」では大合唱を巻き起こし、SHOGOはこのステージに立てていること、また幕張メッセからスタートすることにどこか運命のようなものを感じることを語り、この日の夜から配信開始になる新曲「これから」を披露。サウンドこそ昔にリリースされていてもおかしくないようなものだが、
「まだまだこれから聴かせたい歌がある」
というストレートに再始動の決意を綴った歌詞は、活動休止を経た今のバンドだからこそ書ける、歌える曲。
さらにもう一つの新曲「夏の幻」は、来るべき来年の夏の野外フェスではまたこのバンドがステージに立っている姿が想像できるような曲。
正直、新曲をやるというのはかつての代表曲をたくさん聴けるんじゃないかという期待があっただけに、少し微妙な気持ちだった。ただ、この新曲が完全にこれまでの175Rの曲と並んでも遜色ないくらいの曲でありながら、今のバンドだからこそのメッセージがあり、素直に良い曲だと思えた。だからこそ、懐古的な気分だけでなく、これからのこのバンドにまた期待したくなった。
スカのリズムを取り入れた曲が多い175Rのスタンダードと言えるような「Party」で踊らせまくると、すでに曲がガンガンできていること、4月に日比谷野音と大阪城野音でワンマンを開催することも発表。そして
「春の野音の時には、きっとサクラが咲いてるはず」
と言って演奏されたのはもちろん「SAKURA」。SHOGOは声がちょっとキツそうではあったが、だからこそ観客による
「桜が咲く頃 僕らが行く頃
桜が咲く頃 僕らも行く頃」
というサビの大合唱がライブをさらに後押ししていく。
そして最後はやはりこのバンドをお茶の間レベルにまで押し上げた「空に唄えば」。多数のダイバーが出現しながら、最後まで起こる大合唱。今でも全部歌えるし、歌えるからこそ全く錆びついてない。それはこのバンドの曲が時代を超えても残るような普遍性を持っているからこそ。
我々のような、青春時代をこのバンドの音楽とともに過ごした世代からしたらこのバンドの復活は今年の一大ニュースだが、もしかしたら今の10代~20歳過ぎの人には全く届かないような音楽なのかもしれない。
実際、当時から青春パンクシーンの音楽的な稚拙さは様々な人たちから指摘されていた。でも、どんなに稚拙だったとしても、紛れもなく我々世代が10代の頃を回想した時に脳内に流れるのは、GOING STEADYや175Rのような青春パンクと呼ばれたである。ほとんどのバンドはブームが終焉してすぐにいなくなってしまったが、こうして175Rが帰ってきて、青春パンクの最終兵器と呼ばれたジャパハリネットなども自分たちのペースで活動を再開した。もうお互いにあの頃とは何もかもが違うし、バンドにも追い風は吹いていない状況かもしれないけど、こうしてまたライブを見て、当時聴きまくっていた曲をみんなで一緒に聴いたり歌ったりできるというのが何よりも嬉しい。
1.ハッピーライフ
2.僕の声
3.Your Song
4.これから(新曲)
5.夏の幻(新曲)
6.Party
7.SAKURA
8.空に唄えば
空に唄えば
https://youtu.be/I6FdHp3L-YU
その後、メインステージにはこの日お笑いライブ、プロレスと2回出演した、レイザーラモンRGが3回目の登場。10-FEETの「HEY!」「2%」に乗せて「黒いTシャツあるある」を披露するが、「2%」の方はあまりのスベり具合に、
「スベり過ぎて肋骨が折れた」
と言い残してステージを去ることに。
18:45~ Nothing's Carved In Stone [BLACK STAGE]
このイベントは5年前もELLEGARDENのメンバーが集結して話題になったが(ELLEGARDENとしては当然なんにもやっていない)、今回もそれぞれの活動形態でメンバーが集結。ギターの生形真一は当然、自身のバンド、Nothing's Carved In Stoneで出演。
メンバーが登場すると、その生形のギターを軸に、冒頭からメンバー4人の音が激しくぶつかり合いながら一つに調和していく「Out Of Control」からスタートし、村松拓がハンドマイクを持って歌う、EDMの要素を取り込んだ「In Future」、同期の音のイントロが流れて大歓声が起こった「November 15th」と、新旧のキラーチューンを畳み掛けていく。
村松がSKULLSHITへのお祝いの言葉を口にすると、中盤からは日本語の曲も増えていき、
「キレイな花を咲かせようぜー!」
と言って始まった「きらめきの花」では、今日2ステージ目となった、ひなっちのベースが唸りまくりながらも笑顔で手を左右に振るのを煽る。
そして村松の流暢すぎる英語の発音が堪能できる「Spirit Inspiration」から、ラストはダイバーが壁のように並ぶのが壮観の、このバンドの始まりの曲とも言える「Isolation」。
早くも次のリリースが決まっているが、その中からの新曲こそ披露されなかったが、毎回サウンド面で変化してきているだけに、果たして今度はどんな進化を見せてくれるのか。その答えが見れそうな来年以降のライブも実に楽しみ。
1.Out Of Control
2.In Future
3.November 15th
4.Milestone
5.Shimmer Song
6.きらめきの花
7.Spirit Inspiration
8.Isolation
In Future
https://youtu.be/4lMcu6Gfcag
19:30~ SHAKALABBITS [RED STAGE]
RED STAGEのトリはSHAKALABBITS。かつては175Rとともにスプリットシングルをリリースしているだけに、両者が同じ日に揃っているのは感慨深いし、そのスプリット曲「STAND BY YOU!!」の披露もあるんじゃないかと期待してしまう。
ライブを見るのは久しぶりだが、ボーカルUKIの出で立ちとその少女性の強い独特のボーカルはかつてと変わらずに若々しく、スカのリズムを取り入れた(このあたりは175Rとスプリットを組んだのがよくわかる)パンクサウンドと組み合わさっても未だに全く違和感がない。
ただ、かつては少年のようだったドラムのMAHは明らかにおじさんと言ってもいいような出で立ちになっている。
一転して目まぐるしく展開する「ダズリングスープ」を演奏すると、UKIが
「15年前にもSKULLSHITのイベントに出させてもらって。この前、主催の大滝さんと飲んだんだけど、またこうやって一緒にやれることになって。それは私たちが17年、SKULLSHITが20年、お互いにずっと続けてきたからだよねって」
とSKULLSHITとの思い出と付き合いについて語ったのだが、突如として
「だからこんなこと言うなんて一生ないって思ってたんだけど…SHAKALABBITSは来年いっぱいで活動休止します!」
と活動休止を宣言。理由として去年からバンドが揺れていたこと、アルバムを録音し終えているのにリリースができないこと、これからも音楽を続けたいから1度止まることを挙げたが、その発表をしたUKI本人が堪えることもなく涙を流していた。それまでの楽しいライブの空気はここで一変してしまった。
それでもUKIは涙を拭い、「Pivot」を演奏すると、観客もなんとか楽しもうとするが、やはりそれまでとは違う。好きであればあるほど、すぐに受け入れられることはできない。実際、モニターに映し出されていた最前列の女性のファンたちはみんな泣いていた。
再び話し始めると、やはりUKIは涙を流しながら、ネットではなくてライブに来てくれるみんなの前で発表したかったこと、まだ来年アルバムを出してツアーもやるし、アルバムが本当にいい作品になっていることを話し、今年のライブはこれで終わりだが、来年また必ず会う約束をしてから、最後はやはり「MONSTER TREE」で大合唱を巻き起こし、
「そしてひとつになれればいい」
のフレーズで、確かにここにいた人たちはひとつになった。そしていつものようにUKIはピースすると、客席もみんなピースをしていた。MAHがメンバー全員を前に集めて手を繋いで一礼したが、いつものSHAKALABBITSのライブの終わり方だった。
しかしながらこの状況でアンコールが起きないわけはなく、
「シャカーラビッツ!」
の大コールに呼ばれてメンバーが再びステージへ。UKIは他のメンバーよりも遅れてステージに登場すると、特に何も話さずに、このバンドを一躍シーンの最前線に押し上げた「ROLLIE」を感情を精一杯込めて歌って演奏した。
本編と違って今度は集まって手を繋いだりはしなかった。その姿は、次はまた来年に。
175Rが活動を再開した日にSHAKALABBITSが活動休止。SHAKALABBITSはメンバーチェンジこそあったが、同時期にシーンに出てきたバンドが次々に去っていく中で、ずっと走り続けてきた。だからこそ、ここまでこのバンドで生きてきたメンバー(途中から加入したベースのYOSUKEもギターのTAKE-Cの弟だし)は、もうこのバンドでしか生きていく手段がないとまで思っていた。そんなバンドでも活動休止という選択肢を取らなければならない状況になった。それは、他のずっと続いているバンドでもそうなる可能性はゼロではないということ。
そしてこのライブを見ていて自分がもらい泣きしてしまったのは、UKIが泣いていたからというよりも、最前列にいた人たちが泣いていたのがモニターに映ったのを見たから。
前述したようにメンバーチェンジもあったし、昔は周りにも「ボーカルが可愛い」という理由で聴いていた男もたくさんいた。しかし今はもう当時ほどの売り上げも集客力もなくなり、離れて行った人もたくさんいるはず。
そんな中でこの日最前列にいた人たちは、そんなに若い人という見た目ではなかったからこそ、ずっとこのバンドの音楽を聴いてライブに行って、浮き沈みがあっても変わらずにこのバンドを愛し続け、このバンドを見るためにこの日このイベントに来た人たちであるというのがすぐわかる。だからこそ、その泣いている姿を見るのは本当に堪えたし、自分がtelephonesのライブで活動休止の発表をしたのを聞いた時もこうだったんだな、と思ったら堪えることができなくなってしまった。
自分の青春時代に出てきて、聴いてきたバンドがいなくなっていくのはやっぱり本当に寂しい。
1.CAN'T ESCAPE THE CHOCOLATE SYRUP
2.THAT THING YOU DO!
3.ダズリングスープ
4.Pivot
5.Soda
6.MONSTER TREE
encore
7.ROLLIE
MONSTER TREE
https://youtu.be/h5NnLpkSoZ4
20:35~ MONOEYES [BLACK STAGE]
初日のトリは、SKULLSHITの象徴的存在と言える、細美武士率いるMONOEYES。
いつものようにスターウォーズのSEでメンバーが登場すると、スコット・マーフィーがメインボーカルである最新EPのカップリング曲「Moth To Flame」でスタートするという、夏フェスまでとは全く異なるオープニングで、すでにバンドが新しいモードに入っていることを実感する。スコットはベースを演奏しながらその場をぐるぐる回るというパフォーマンスをボーカル曲でも歌の合間に行う。
しかしやはり細美武士の歌の力強さと伸びである。パンクに振り切っているMONOEYESは巧さよりも衝動の方が大事とも言えるが、巧さも感じるし、その声には確かに衝動も宿っているというもはや無敵状態で、「My Instant Song」では観客を飛び跳ねさせながらコーラスで大きな合唱を誘う。
やはり広い会場でライブをやることに若干の戸惑いを感じさせながらも、スコットがメインボーカルのもう1曲である「Borders & Walls」も披露。実にALLiSTERをやっていたスコットらしい、ストレートなパンクソング。最初にCDで聴いた時は意外にも細美と声が似ていてちょっとビックリもしたが。
そのスコットがベースを銃のようにして客席や戸高に向けて打つ仕草を見せる「明日公園で」、夏フェスでこの曲を聴いた時の景色が脳内に蘇ってくる「Remember Me」と曲を続けると、
「SKULLSHITの大滝ってやつとはもうガキの頃から一緒にいて。よく渋谷とかで飲むんだけど、まぁ良くない飲み方をお互いする時も結構あって(笑)
でも最近俺はあいつと飲むと文句ばっかり言ってて。もっとカッコいい服作れ、って。
でもずっと一緒にいるから、もう兄弟みたいなもんだと思ってる。だから、最期までずっと隣にいてやるから、これからもよろしく。最近あいつトレーニングサボってやがるからなぁ(笑)」
とSKULLSHITの大滝氏へ、一対一じゃないからこそ言えるエールを送る。細美がここまで言うような人物が他にこの世に何人いるだろうか。そう考えると大滝氏がうらやましくなってくる。
そして「何度でも立ち上がれ」というメッセージを込めた最新EPのタイトル曲「Get Up」を披露。曲としてはアルバムの曲ほどパンクに振り切っていないし、むしろHIATUSに持っていってもそっちでアレンジできそうな曲でもある。だからこそ、スコットの作った曲がパンクである必要があったし、細美以外のメンバーが作った曲が世に出ることによって、MONOEYESは細美のHIATUSじゃない活動から、この4人のバンドになった。
今でもロッキンで演奏したシーンが忘れられない「グラニート」で大合唱を巻き起こすと、アンコールに応えて再び登場し、
「さっきからそこのサークル不発に終わってるけど大丈夫?(笑)
次の曲は左回りできるやつだから。でも2番にちょっと引っ掛けあるから気をつけて(笑)」
と、親切なようでもあり、曲を知らないことに対する皮肉のようでもある言葉を投げかけてから、masasucksと高田雄一が袖で見守る中、「End Of The Story」で言葉通りに左回りのサークルを発生させ、SKULLSHITのイベントの象徴として、初日のトリを完全燃焼でやり切って見せた。
やはり一部ではELLEGARDENの復活を期待していた人もいたようだが(高田雄一はそういう働きかけをしていたが)、当然そんなことは起こらなかった。でもこの日はそれで良かった。4人はそれぞれ今のバンドや形態でこのイベントに出演しているから。その中でエルレが出たら、それぞれの活動の意味がなくなってしまう。
その時はまた、本当に全員がやりたくなった時でいい。それがいつになるのかは誰にも、おそらく本人たちにもわからないんだろうけど。
リハ.What I Left Today
1.Moth To Flame
2.Like We've Never Lost
3.My Instant Song
4.When I Was King
5.Borders & Walls
6.明日公園で
7.Remember Me
8.Get Up
9.Run Run
10.グラニート
encore
11.End Of The Story
Get Up
https://youtu.be/riyjAo3szbQ
翌日も参加なので、色々とフェス全体に対する意見は翌日の最後に。これだけいろんなライブを見ると楽しいけど、やっぱりこの日は個人的には175RとSHAKALABBITSに尽きるかな。
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