JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM ASIAN KUNG-FU GENERATION / KEYTALK @豊洲PIT 12/1
- 2016/12/02
- 20:19
ロックを中心とした音楽プログラムを持つことでロックファンにはおなじみのラジオ局、J-WAVEと各地方のラジオ局計5局が合同で「LIVE FOR THE NEXT」という次世代のためのツアーライブを立ち上げた。その主役に選ばれたのは幅広いファン層を持つASIAN KUNG-FU GENERATION。そのアジカンと、アジカンから大きな影響を受けている若手バンドによる対バン形式で、
名古屋:SHISHAMO
札幌:KANA-BOON
福岡:BLUE ENCOUNT
大阪:THE ORAL CIGARETTES
と廻ってきた、ツアーファイナルは豊洲PITでKEYTALKを迎える。雑誌ではギターの小野武正が04 Limited SazabysのGENとアジカン対談をするくらいにアジカンから大きな影響を受けているバンドである。
・INNOSENT in FORMAL (Opening Act)
会場に入ると、開演の19時を待たずしてオープニングアクトのライブが始まったところ。このツアーでは各地のラジオ局がプッシュする若手バンドがオープニングアクトに選ばれており、福岡には今話題のポルカドットスティングレイが出演したが、この日の東京はこのバンド。
ハットを被り、両サイドから長い髪が出ていて丸い黒のサングラスをかけている、という風貌が実に[Alexandros]のドラムのサトヤスに実によく似ているボーカル・ぽおるすみす(どんな名前だ)が目を引くが、サポートベースのファンキーなリズム、兄弟であるギターとドラムの演奏力の高さを生かした、ファンクとヒップホップの要素が強いミクスチャーロックは実にカッコいい。なぜよりによってアジカンとKEYTALKという組み合わせにこの手のサウンドのバンドなのかという感じもするが。
サウンドからも察せられるように、ボーカルも非常に言葉数が多く、歌というよりはラップ的な要素が強いが、バンドの演奏によりあくまでロックバンドとして成立させている。もはや仕方がないとしか言えないくらいに完全アウェーだが、それを意に介せずぽおるすみすが観客を煽りまくると徐々に手を挙げたりする観客も増えてくる。
アジカンやKEYTALKの名前を入れてのコール&レスポンスで会場を温めると、タイトルが全てを物語っている「SEX DRUG&ROCK'n'ROLL」で実に気持ち良さそうにメンバーが演奏しながらコーラスを叫びまくると、早くも終了。時間が短いのは仕方ない。まだまだ知名度が実力に追いついてきていない感じだが、インパクトはかなり残したはず。
1.One for You
2.FOOT LOOSE
3.SEX DRUG&ROCK'n'ROLL
FOOT LOOSE
https://youtu.be/yVNZFqUlBdI
・KEYTALK
J-WAVEと言えばこの人、であるラジオパーソナリティーの藤田琢己が前説として会場を温めると、おなじみのSE「物販2」が流れてメンバーが登場…かと思いきや、SEが一度止まって再度流れ出して場内が若干ざわつく。
無事にメンバーが登場すると(特にSEについては突っ込まなかった)、「sympathy」からという実に意外なスタート。アジカンが対バン相手だからという要素もあるのだろうか。首藤義勝はアウトロの最後の部分だけピックを投げて指弾きに。
おなじみの「パラレル」、季節感は全くない「YURAMEKI SUMMER」と定番曲を続けて踊らせると、武正がいきなりアジカン「羅針盤」のイントロを弾き始め、カバーするのか!?と思いきや、
武正「僕とドラムの八木君はアジカンのコピーやってましたからね。2人で金出し合ってスコア買ったのに、所有権はずっと八木君にありました(笑)」
とアジカンが大きなルーツであることを語るが、若手バンドの中でも随一の「音を聴けばこの人が弾いているのがわかる」くらいに記名性と主張の強いテクニカルなギタープレイを見せる男がアジカンのカバーをしていたというのは今となると少し意外。(ギターが同じタイプのthe band apartとかはすごくわかるが)
リリースされたばかりの胸キュンラブソング「Love me」を披露して、ダンスロック的なイメージが強いバンドのもう一つの持ち味を見せると、「FLAVOR FLAVOR」と同タイプのシングル曲も演奏。巨匠こと寺中の伸びのある爽やかなボーカルはこうしたタイプの曲に非常によく似合う。
その巨匠の恒例のビール一気飲みタイム(この日は緊張し過ぎてアルコールを飲むとヤバいという理由からノンアルコールビールに)ではいつものthe band apart「Eric.W」ではなく、アジカン「ループ&ループ」というここでも溢れ出るアジカン愛。弾き始めたのは武正だが、義勝と八木もすぐさま合わせられるあたりはさすがの技術と対応力。
八木の「アス!」の挨拶からの義勝のアルファベットギャグはスベリまくっていたが、客席がこの持ち時間でこの曲が来るとは!というリアクションに満ち溢れていた「マスターゴッド」では4人の激しい演奏がぶつかり合いながら一つの音となり、さらに「プルオーバー」とアルバム曲が続くが、「Love me」などと同じような系統であるこの曲が演奏されるのはかなり意外で、決してアゲアゲな踊れる曲ばかりだけではないということをアジカンファンにも示していた。
しかしながらやはり最後は
義勝「KEYTALKといえばやっぱり祭りとダンス!」
ということで、義勝の重いスラップベースがカッコよさをさらに引き立てる「MATSURI BAYASHI」では間奏でメンバーがピタッと静止(ドラムセットの上に立った八木は不安定なので全く静止できてなかったけど)。1分近く止まったあとに巨匠がマイクを引き寄せて歌に入る。
そしてラストは客席にダンスを完璧にマスターしている人が大量にいた「MONSTER DANCE」という、これぞKEYTALKという締め方。もはやこの曲はバンドの代名詞的な曲になっているしライブでやらない日はないくらいの曲だが、アジカンも「リライト」や「君という花」がリリース直後からそういう位置の曲になっている。今のアジカンくらいのキャリアにこのバンドがなった時でもこの曲でこうしてダンスしている光景を見れているようになるだろうか。
演奏を終えたメンバーがステージを去る中、最後に残った八木がマイクスタンドを手にするも、結局マイクを通さずに
「ありがとうございました!」
と絶叫。アジカンへのリスペクトと愛に溢れたライブ。それはほぼ同世代であり、同じようにずっとアジカンを聴いてきた身としては本当によくわかる。
しかしもはや動員力という面ではアジカンをも凌ぐレベルまで来たのかもしれない、と「MONSTER DANCE」での観客の振り付けの完コピ具合で思わされた。年末にはCDJで初のメインステージが待っている。
1.sympathy
2.パラレル
3.YURAMEKI SUMMER
4.Love me
5.HELLO WONDERLAND
6.FLAVOR FLAVOR
7.マスターゴッド
8.プルオーバー
9.MATSURI BAYASHI
10.MONSTER DANCE
Love me
https://youtu.be/e_byVlqFAis
・ASIAN KUNG-FU GENERATION
そしてこの対バンツアーを廻ってきたアジカンがいよいよファイナルのライブを行う。
SEもなしにメンバー4人とサポートメンバーのシモリョーがステージに現われると、骨太な演奏の「Easter」、このライブツアーの「次の世代へ繋げる」というテーマに即したような歌詞に聞こえてくる「Little Lennon」とまずは「Wonder Future」の曲が続くが、最も観客が気になっているのはゴッチの髪型。これについては
「(パーマを)当て過ぎて久保田利伸みたいになってしまった(笑)」
ということもあってか、この日のゴッチの歌声及び、序盤から笑顔でギターを弾く喜多を始めとしたバンドの演奏は実にソウルフルかつエモかった。
それはシモリョーを除いた4人だけで演奏された「未来の破片」、最新の曲と言って演奏された「ブラッドサーキュレーター」と新旧の曲においても変わることはない。
この日は新録版「ソルファ」がリリースされた直後というタイミングであったが、その中からは「Re:Re:」をまず演奏。すでにライブではおなじみになっているセッション的なイントロから始まるが、もはやこのアレンジがもとからのスタンダードであったかのようにもう馴染んでいる。
イントロで歓声が起きた「リライト」では、元々はライブでおなじみとなっており、アルバムでも再現された間奏のダブ的なアレンジ部分で、
「Say Ho!」
と突如としてヒップホップ的なコール&レスポンスを展開し、
「Say 山田!」「ベースの山田!」「や・ま・だ~!」
とベース山田をフィーチャーしまくりのコール&レスポンスに突入。
「本当はKEYTALKみたいにメンバー紹介的なコール&レスポンスをしたかったんだけど、「山田」がハマが良過ぎ過ぎちゃって(笑)」
という理由で山田をフィーチャーしたらしいが、突然の無茶振りにもポーカーフェイスから微笑になったくらいの表情で深々と観客に頭を下げる山田は本当にナイスガイである。
「みんな本当は盛り土を見にきたついでにここに来たんでしょ?(笑)」
とゴッチが豊洲ならではの時事ネタでMCを始めると、
「豊洲は本当に思い入れのある場所で。昔、1999年に第2回のフジロックが豊洲で開催された時にメンバーみんなで来たんだよね。駅からすげえ歩かされてさ。本当に港湾みたいな場所で。このままタンカーに乗せられて輸出されんじゃねぇかと思ったの(笑)」
と豊洲での青春の思い出を語ってから、
「青春っぽい曲」
と言って演奏されたのは、ファンの人気投票1位に輝いた曲である「ソラニン」。この曲の青春性はタイアップの映画と原作者が綴った歌詞によって宿ったものでもあるが。
新録版「ソルファ」では曲順が変わった「ループ&ループ」、ゴッチの歌のメロディに多少の変化とアレンジが見られる「君の街まで」と、収録アルバム曲こそ演奏されなかった(「Re:Re:」もシングルカットされたし)が、「ソルファ」収録のシングル曲を続けると、今、この場所で生きているという事実をメンバーとファン一体となったコーラスで実感させてくれる「今を生きて」、そしてラストはこれまでもバンドのライブを何度も締めくくってきた「転がる岩、君に朝が降る」を多くのネクストジェネレーションたちに捧げるように演奏した。
アンコールではなんとKEYTALK小野武正がメンバーとともにステージに上がり、ゴッチのギターを手にすると、ゴッチがハンドマイクで歌う状態になっての「君という花」でのコラボ。アジカンのコピーをしていたので原曲のアレンジに忠実なギターを弾くのかと思いきや、完全に自分の色を出しまくった、武正でしかない弾きまくりのギターサウンドを奏でて名曲に新たな命を宿らせた。憧れの人たちと同じステージに立って同じ曲を演奏する。この瞬間は武正の人生において最も忘れられないシーンになっただろう。本人も
「好き勝手にやらしてもらいました!」
とアジカンの中に入ってもしっかり意図的に自分の色を出していたことを語っていた。
「俺ももう明日で40歳になるんだけど、KEYTALK見てたら俺にも若い頃あったな~って思って。20から30になる時は別にへ~んって余裕だったの。でもなんか30から40はやっぱり思うところあるね。もう人生折り返しだからね。でももう20年だから人生の半分をこのバンドでこのメンバーと一緒に過ごしてきてさ。そりゃ20年も一緒にいたら喋らなかったり、普段は会わなくなるよ。俺も厳しいこと言ったりするしさ。でもそれは良いものを作りたいからなんだよね。でもやっぱり先輩としては出てくる杭は打っておきたいよね(笑)このツアーでは俺たちは杭を打とうとしてるのに空ぶって地面を踏み固めてるだけだったけど(笑)
(急に一瞬だけ照明が消えて)え?なに?早く曲やれってこと?(笑) でもこういう嫌がらせとかを受けながら20年間やってきたんだぜ(笑)
じゃあ最後はみんなが「ソルファ」よりも好きじゃない「Wonder Future」っていうアルバムの曲を(笑)
(「好きだよ!」という声に対して)ありがとう。嘘だとしてもいい30代最後のライブになったよ(笑)」
と最後の最後に実にゴッチらしい軽い嫌味も適度に含んだMCで笑わせまくってから演奏されたのは、「Opera Glasses」。
「みんなは好きじゃないだろうけど(笑)、この曲はラジオとか、音楽に対する愛を歌った曲」
とこの曲を最後に演奏した理由を語ったが、
「不安で押しつぶされそうになったら思い出してよ
埃まみれのオーディオ」
という歌詞と力強いサウンドがゴッチの言葉を実証していた。
この日のアジカンはMCでも触れていたようにゴッチ30代最後の日というのもあっただろうが、何よりKEYTALKという自分たちをずっと聴いてきてステージに立つようになったバンドにまだまだ負けない、世代交代とは行かないぞ、という気概に満ちていた。だからこそこの日のアジカンはここ最近の中ではトップクラスにエモかった。(少なくともロッキンやラブシャの時よりは)
きっとこのツアーはどこもそうしたライブを重ねてきたんだろうと思うが、そういうライブを見せてくれたからこそ、今月中旬から始まるワンマンツアーがさらに楽しみになる。それは自分の人生の中で聴いた回数はTOP10には入るだろうと思われる「ソルファ」の新録版のリリースしてからのツアーだというのもあるけれど。
1.Easter
2.Little Lennon
3.未来の破片
4.ブラッドサーキュレーター
5.Re:Re:
6.Standard
7.リライト
8.ソラニン
9.ループ&ループ
10.君の街まで
11.今を生きて
12.転がる岩、君に朝が降る
encore
13.君という花 feat.小野武正(KEYTALK)
14.Opera Glasses
リライト(2016ver.)
https://youtu.be/bOZixNTn_ck
ライブが終わるとナビゲーターの藤田琢己が再び登場し、終演の挨拶をしてから、KANA-BOONの谷口鮪とBLUE ENCOUNTの田邊駿一が歌う「ループ&ループ」がこのツアーを締めくくるように会場に流れた。
こうしてアジカンの次の世代が歌うことによって、アジカンの曲はさらにその次の世代にも継承されていく。
Next→ 12/3 SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り @幕張メッセ
名古屋:SHISHAMO
札幌:KANA-BOON
福岡:BLUE ENCOUNT
大阪:THE ORAL CIGARETTES
と廻ってきた、ツアーファイナルは豊洲PITでKEYTALKを迎える。雑誌ではギターの小野武正が04 Limited SazabysのGENとアジカン対談をするくらいにアジカンから大きな影響を受けているバンドである。
・INNOSENT in FORMAL (Opening Act)
会場に入ると、開演の19時を待たずしてオープニングアクトのライブが始まったところ。このツアーでは各地のラジオ局がプッシュする若手バンドがオープニングアクトに選ばれており、福岡には今話題のポルカドットスティングレイが出演したが、この日の東京はこのバンド。
ハットを被り、両サイドから長い髪が出ていて丸い黒のサングラスをかけている、という風貌が実に[Alexandros]のドラムのサトヤスに実によく似ているボーカル・ぽおるすみす(どんな名前だ)が目を引くが、サポートベースのファンキーなリズム、兄弟であるギターとドラムの演奏力の高さを生かした、ファンクとヒップホップの要素が強いミクスチャーロックは実にカッコいい。なぜよりによってアジカンとKEYTALKという組み合わせにこの手のサウンドのバンドなのかという感じもするが。
サウンドからも察せられるように、ボーカルも非常に言葉数が多く、歌というよりはラップ的な要素が強いが、バンドの演奏によりあくまでロックバンドとして成立させている。もはや仕方がないとしか言えないくらいに完全アウェーだが、それを意に介せずぽおるすみすが観客を煽りまくると徐々に手を挙げたりする観客も増えてくる。
アジカンやKEYTALKの名前を入れてのコール&レスポンスで会場を温めると、タイトルが全てを物語っている「SEX DRUG&ROCK'n'ROLL」で実に気持ち良さそうにメンバーが演奏しながらコーラスを叫びまくると、早くも終了。時間が短いのは仕方ない。まだまだ知名度が実力に追いついてきていない感じだが、インパクトはかなり残したはず。
1.One for You
2.FOOT LOOSE
3.SEX DRUG&ROCK'n'ROLL
FOOT LOOSE
https://youtu.be/yVNZFqUlBdI
・KEYTALK
J-WAVEと言えばこの人、であるラジオパーソナリティーの藤田琢己が前説として会場を温めると、おなじみのSE「物販2」が流れてメンバーが登場…かと思いきや、SEが一度止まって再度流れ出して場内が若干ざわつく。
無事にメンバーが登場すると(特にSEについては突っ込まなかった)、「sympathy」からという実に意外なスタート。アジカンが対バン相手だからという要素もあるのだろうか。首藤義勝はアウトロの最後の部分だけピックを投げて指弾きに。
おなじみの「パラレル」、季節感は全くない「YURAMEKI SUMMER」と定番曲を続けて踊らせると、武正がいきなりアジカン「羅針盤」のイントロを弾き始め、カバーするのか!?と思いきや、
武正「僕とドラムの八木君はアジカンのコピーやってましたからね。2人で金出し合ってスコア買ったのに、所有権はずっと八木君にありました(笑)」
とアジカンが大きなルーツであることを語るが、若手バンドの中でも随一の「音を聴けばこの人が弾いているのがわかる」くらいに記名性と主張の強いテクニカルなギタープレイを見せる男がアジカンのカバーをしていたというのは今となると少し意外。(ギターが同じタイプのthe band apartとかはすごくわかるが)
リリースされたばかりの胸キュンラブソング「Love me」を披露して、ダンスロック的なイメージが強いバンドのもう一つの持ち味を見せると、「FLAVOR FLAVOR」と同タイプのシングル曲も演奏。巨匠こと寺中の伸びのある爽やかなボーカルはこうしたタイプの曲に非常によく似合う。
その巨匠の恒例のビール一気飲みタイム(この日は緊張し過ぎてアルコールを飲むとヤバいという理由からノンアルコールビールに)ではいつものthe band apart「Eric.W」ではなく、アジカン「ループ&ループ」というここでも溢れ出るアジカン愛。弾き始めたのは武正だが、義勝と八木もすぐさま合わせられるあたりはさすがの技術と対応力。
八木の「アス!」の挨拶からの義勝のアルファベットギャグはスベリまくっていたが、客席がこの持ち時間でこの曲が来るとは!というリアクションに満ち溢れていた「マスターゴッド」では4人の激しい演奏がぶつかり合いながら一つの音となり、さらに「プルオーバー」とアルバム曲が続くが、「Love me」などと同じような系統であるこの曲が演奏されるのはかなり意外で、決してアゲアゲな踊れる曲ばかりだけではないということをアジカンファンにも示していた。
しかしながらやはり最後は
義勝「KEYTALKといえばやっぱり祭りとダンス!」
ということで、義勝の重いスラップベースがカッコよさをさらに引き立てる「MATSURI BAYASHI」では間奏でメンバーがピタッと静止(ドラムセットの上に立った八木は不安定なので全く静止できてなかったけど)。1分近く止まったあとに巨匠がマイクを引き寄せて歌に入る。
そしてラストは客席にダンスを完璧にマスターしている人が大量にいた「MONSTER DANCE」という、これぞKEYTALKという締め方。もはやこの曲はバンドの代名詞的な曲になっているしライブでやらない日はないくらいの曲だが、アジカンも「リライト」や「君という花」がリリース直後からそういう位置の曲になっている。今のアジカンくらいのキャリアにこのバンドがなった時でもこの曲でこうしてダンスしている光景を見れているようになるだろうか。
演奏を終えたメンバーがステージを去る中、最後に残った八木がマイクスタンドを手にするも、結局マイクを通さずに
「ありがとうございました!」
と絶叫。アジカンへのリスペクトと愛に溢れたライブ。それはほぼ同世代であり、同じようにずっとアジカンを聴いてきた身としては本当によくわかる。
しかしもはや動員力という面ではアジカンをも凌ぐレベルまで来たのかもしれない、と「MONSTER DANCE」での観客の振り付けの完コピ具合で思わされた。年末にはCDJで初のメインステージが待っている。
1.sympathy
2.パラレル
3.YURAMEKI SUMMER
4.Love me
5.HELLO WONDERLAND
6.FLAVOR FLAVOR
7.マスターゴッド
8.プルオーバー
9.MATSURI BAYASHI
10.MONSTER DANCE
Love me
https://youtu.be/e_byVlqFAis
・ASIAN KUNG-FU GENERATION
そしてこの対バンツアーを廻ってきたアジカンがいよいよファイナルのライブを行う。
SEもなしにメンバー4人とサポートメンバーのシモリョーがステージに現われると、骨太な演奏の「Easter」、このライブツアーの「次の世代へ繋げる」というテーマに即したような歌詞に聞こえてくる「Little Lennon」とまずは「Wonder Future」の曲が続くが、最も観客が気になっているのはゴッチの髪型。これについては
「(パーマを)当て過ぎて久保田利伸みたいになってしまった(笑)」
ということもあってか、この日のゴッチの歌声及び、序盤から笑顔でギターを弾く喜多を始めとしたバンドの演奏は実にソウルフルかつエモかった。
それはシモリョーを除いた4人だけで演奏された「未来の破片」、最新の曲と言って演奏された「ブラッドサーキュレーター」と新旧の曲においても変わることはない。
この日は新録版「ソルファ」がリリースされた直後というタイミングであったが、その中からは「Re:Re:」をまず演奏。すでにライブではおなじみになっているセッション的なイントロから始まるが、もはやこのアレンジがもとからのスタンダードであったかのようにもう馴染んでいる。
イントロで歓声が起きた「リライト」では、元々はライブでおなじみとなっており、アルバムでも再現された間奏のダブ的なアレンジ部分で、
「Say Ho!」
と突如としてヒップホップ的なコール&レスポンスを展開し、
「Say 山田!」「ベースの山田!」「や・ま・だ~!」
とベース山田をフィーチャーしまくりのコール&レスポンスに突入。
「本当はKEYTALKみたいにメンバー紹介的なコール&レスポンスをしたかったんだけど、「山田」がハマが良過ぎ過ぎちゃって(笑)」
という理由で山田をフィーチャーしたらしいが、突然の無茶振りにもポーカーフェイスから微笑になったくらいの表情で深々と観客に頭を下げる山田は本当にナイスガイである。
「みんな本当は盛り土を見にきたついでにここに来たんでしょ?(笑)」
とゴッチが豊洲ならではの時事ネタでMCを始めると、
「豊洲は本当に思い入れのある場所で。昔、1999年に第2回のフジロックが豊洲で開催された時にメンバーみんなで来たんだよね。駅からすげえ歩かされてさ。本当に港湾みたいな場所で。このままタンカーに乗せられて輸出されんじゃねぇかと思ったの(笑)」
と豊洲での青春の思い出を語ってから、
「青春っぽい曲」
と言って演奏されたのは、ファンの人気投票1位に輝いた曲である「ソラニン」。この曲の青春性はタイアップの映画と原作者が綴った歌詞によって宿ったものでもあるが。
新録版「ソルファ」では曲順が変わった「ループ&ループ」、ゴッチの歌のメロディに多少の変化とアレンジが見られる「君の街まで」と、収録アルバム曲こそ演奏されなかった(「Re:Re:」もシングルカットされたし)が、「ソルファ」収録のシングル曲を続けると、今、この場所で生きているという事実をメンバーとファン一体となったコーラスで実感させてくれる「今を生きて」、そしてラストはこれまでもバンドのライブを何度も締めくくってきた「転がる岩、君に朝が降る」を多くのネクストジェネレーションたちに捧げるように演奏した。
アンコールではなんとKEYTALK小野武正がメンバーとともにステージに上がり、ゴッチのギターを手にすると、ゴッチがハンドマイクで歌う状態になっての「君という花」でのコラボ。アジカンのコピーをしていたので原曲のアレンジに忠実なギターを弾くのかと思いきや、完全に自分の色を出しまくった、武正でしかない弾きまくりのギターサウンドを奏でて名曲に新たな命を宿らせた。憧れの人たちと同じステージに立って同じ曲を演奏する。この瞬間は武正の人生において最も忘れられないシーンになっただろう。本人も
「好き勝手にやらしてもらいました!」
とアジカンの中に入ってもしっかり意図的に自分の色を出していたことを語っていた。
「俺ももう明日で40歳になるんだけど、KEYTALK見てたら俺にも若い頃あったな~って思って。20から30になる時は別にへ~んって余裕だったの。でもなんか30から40はやっぱり思うところあるね。もう人生折り返しだからね。でももう20年だから人生の半分をこのバンドでこのメンバーと一緒に過ごしてきてさ。そりゃ20年も一緒にいたら喋らなかったり、普段は会わなくなるよ。俺も厳しいこと言ったりするしさ。でもそれは良いものを作りたいからなんだよね。でもやっぱり先輩としては出てくる杭は打っておきたいよね(笑)このツアーでは俺たちは杭を打とうとしてるのに空ぶって地面を踏み固めてるだけだったけど(笑)
(急に一瞬だけ照明が消えて)え?なに?早く曲やれってこと?(笑) でもこういう嫌がらせとかを受けながら20年間やってきたんだぜ(笑)
じゃあ最後はみんなが「ソルファ」よりも好きじゃない「Wonder Future」っていうアルバムの曲を(笑)
(「好きだよ!」という声に対して)ありがとう。嘘だとしてもいい30代最後のライブになったよ(笑)」
と最後の最後に実にゴッチらしい軽い嫌味も適度に含んだMCで笑わせまくってから演奏されたのは、「Opera Glasses」。
「みんなは好きじゃないだろうけど(笑)、この曲はラジオとか、音楽に対する愛を歌った曲」
とこの曲を最後に演奏した理由を語ったが、
「不安で押しつぶされそうになったら思い出してよ
埃まみれのオーディオ」
という歌詞と力強いサウンドがゴッチの言葉を実証していた。
この日のアジカンはMCでも触れていたようにゴッチ30代最後の日というのもあっただろうが、何よりKEYTALKという自分たちをずっと聴いてきてステージに立つようになったバンドにまだまだ負けない、世代交代とは行かないぞ、という気概に満ちていた。だからこそこの日のアジカンはここ最近の中ではトップクラスにエモかった。(少なくともロッキンやラブシャの時よりは)
きっとこのツアーはどこもそうしたライブを重ねてきたんだろうと思うが、そういうライブを見せてくれたからこそ、今月中旬から始まるワンマンツアーがさらに楽しみになる。それは自分の人生の中で聴いた回数はTOP10には入るだろうと思われる「ソルファ」の新録版のリリースしてからのツアーだというのもあるけれど。
1.Easter
2.Little Lennon
3.未来の破片
4.ブラッドサーキュレーター
5.Re:Re:
6.Standard
7.リライト
8.ソラニン
9.ループ&ループ
10.君の街まで
11.今を生きて
12.転がる岩、君に朝が降る
encore
13.君という花 feat.小野武正(KEYTALK)
14.Opera Glasses
リライト(2016ver.)
https://youtu.be/bOZixNTn_ck
ライブが終わるとナビゲーターの藤田琢己が再び登場し、終演の挨拶をしてから、KANA-BOONの谷口鮪とBLUE ENCOUNTの田邊駿一が歌う「ループ&ループ」がこのツアーを締めくくるように会場に流れた。
こうしてアジカンの次の世代が歌うことによって、アジカンの曲はさらにその次の世代にも継承されていく。
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Getting Better ~20th Anniversary Party ”ROCK THE BEST TOUR FINAL” [Getting Festival]~ @新木場STUDIO COAST 11/27