ROCK IN JAPAN FES.2016 DAY1 @国営ひたち海浜公園 8/6
- 2016/08/08
- 18:52
日本最大級の夏の音楽の祭典、ROCK IN JAPAN FES.。今年で17回目の開催となり、今年も過去最大の観客数(1日65000人ほど)を動員。自分が初めてこのフェスに来た2004年から比べると、倍以上の人数を動員するようになった。
今年は去年までの
GRASS STAGE
LAKE STAGE
SOUND OF FOREST
PARK STAGE
WING TENT
BUZZ STAGE
に加え、新たなステージとしてHILLSIDE STAGEが登場。小高い丘に作られたステージで、このステージができたことにより、LAKE STAGEの裏からGRASS STAGEの下手側につながる新たな導線(まつかぜルート)が作られた。
会場中に様々な飾りなどが作られているのもこのフェスらしくて見ていて楽しいし、SOUND OF FORESTとPARK STAGEにもついに大型モニターが設置され、どの位置からでも見えるようになった。
10:30~ 10-FEET [GRASS STAGE]
メインステージであるGRASS STAGEのトップバッターは、去年は大トリとしてこのステージを締めくくった、10-FEET。否が応でも「あの日の続き」感を感じてしまう。
いつものSEが鳴って客席ではタオルを掲げてメンバーを待ち構えるファンの姿は変わらないが、1ついつもと違うのは、TAKUMAの出で立ちが明らかにりゅうちぇるを真似したとしか思えない派手な原色系の服とピンクのバンダナであるということ。
するといきなりTAKUMAが歌い出す「hammer ska」からスタートし、このフェスの開幕を待ちわびていたファンとバンドによってのっけから凄まじい盛り上がりを見せる中、この野外のシチュエーションにぴったりな「風」も演奏される。
KOUICHIが選挙演説のようなエコーがかかりまくった声で暑さへの注意を呼びかけると、NAOKIはここでようやくTAKUMAの出で立ちにツッコミを入れる。TAKUMAいわく
「WANIMAが今すごい人気あるから、WANIMAみたいな原色系の服着たら人気出て、ミュージックステーションとか出れるかなーって思って」
とのことだが、やはり一瞬にして「りゅうちぇるやん!」と突っ込まれる。
客席前から後ろへのウェーブ、逆に後ろから前へのウェーブという「めざましテレビで絶対使われる」とTAKUMAも太鼓判を押すパフォーマンスをさせると、「goes on」からさらに加速。ちょっとTAKUMAはギターの調子が悪くて演奏中にギターを交換したりと、少々サウンド面で苦しんでいた様子だったが。
そんな空気を一瞬で変えてしまうのが、TAKUMAの歌から始まるレゲエ要素の強い、待望の最新シングル「アンテナラスト」。決して盛り上がる曲ではないが、これまでにも今日演奏した「風」や「蜃気楼」「シガードッグ」など、この手のタイプの名曲を作ってきた10-FEETの最高傑作だと思う。そして何よりセトリの変化という面でもこの曲の存在は大きい。
そしてTAKUMAは
「優しさっていうのは想像力だと思うねん。何をしたら自分がされたら嫌だなって思うか。そうしたらそんなことはやらへんし、ライブで嫌なことをされても、もしかしたらその人は初めてライブに来た人かもしれん。そしたらネットじゃなくて、リアルでちゃんと教えてあげようや」
と、TAKUMAだからこそなMCを語り「RIVER」へ突入したのだが、「助けてのその一言は~」の合唱パートになると、これまでにも「靴だけダイブ」「全員座ってライブ」などの無茶苦茶かつルールギリギリでこのフェスで戦ってきたこのバンドならではのパフォーマンスの時間に。今年は去年に続き、客席で人間ピラミッドを作るということに。
「危ないから3段か4段まで!」
とTAKUMAが呼びかけると、客席の真ん中から後ろのやや余裕のあるスペースで、小さな人間ピラミッドがたくさんできる。案の定モニターにはその客席の様子は全く映らなかったが。
人間ピラミッドを終え、ややバンドの演奏がずれた合唱パートを終えると、
「2分くらい時間が余ってる!」
ということで、短いパンクチューン「DO YOU LIKE…?」をあっという間に演奏すると、さらに
「まだ40秒くらいある!」
と言って、「RIVER」を一瞬だけ無理矢理演奏して終了。
セトリ自体はほとんど変わらなくても毎年このフェスで記憶に残るライブをしてきたのは、TAKUMAの言葉と、ダイブ禁止のフェスでなんとか違う楽しみ方をしようというギリギリのとこで戦うためのアイデアがあってこそ。
もはやすっかりロックシーンの中でも巨大かつ重要な存在のバンドになったが、そうなった理由はやはりライブにこそある。
1.hammer ska
2.super stomper
3.風
4.VIBES BY VIBES
5.goes on
6.その向こうへ
7.1sec.
8.アンテナラスト
9.RIVER
10.DO YOU LIKE…?
アンテナラスト
https://youtu.be/Ah24qaazA7I
11:40~ Base Ball Bear [LAKE STAGE]
2006年にWING TENTに初出演して以降、今年で11年連続出演となる、Base Ball Bear。2年前まではGRASS STAGEに出ていたが、去年に続いて、慣れ親しんだLAKE STAGEへの出演。
しかし去年までと違うのは、ステージに湯浅将平の姿はなく、ギタリストとして田渕ひさ子がステージに立っていること。すでに何度も湯浅脱退後のライブを見ているが、過去10回の出演全てを見てきたこのフェスのステージにいないのは改めて喪失感を感じてしまう。
しかしながらそんな空気を振り払うかのように「BREEEEZE GIRL」からスタート。夏。夏である。とびっきり暑いけど、だからこそこの雲ひとつない青空のような爽やかな夏。そのシチュエーションに最も似合う曲。
小出のカッティングギターの技術と「C2」でのブラックミュージック要素を強めたリズムを堪能させてくれる「曖してる」と続くと、
「11年連続11回目の出演となる我々ですが、今までで1,2を争うくらいに今日は暑い!ヤバい!」
と毎年出てるからこそ説得力のある小出のMCからはキラーチューンシングルを連発。去年は「C2」先行シングル3連発など、新たなモードを見せたライブだったが、そこを消化してやりきったことにより、今まででの野外のフェスで聴きたいベボベを最大限に引き受けている。それはギターが田渕ひさ子だったからそこまでいろんな曲をできないというのもあったかもしれないが、田渕は時にテクニカルに時に轟音でこのバンドのサウンドを支えている。
「僕の晴れ男パワーが強すぎてこんなに雲ひとつない感じになってしまってどうも申し訳ありません(笑)」
と数々の野外フェスを快晴に導いてきた晴れ男っぷりとともに、小出はこの日はボーカルも絶好調で、近年多い歌詞が飛ぶこともなければ、ファルセット部分も実によく伸びている。ボーカルコンディション的には過去トップクラスかもしれない。
結果的に「曖してる」以外はすべてこれまでの代表曲、最後もフェスで恒例の「祭りのあと」で終わるという内容だったが、終わった後に、10年ずっとこのフェスのステージで見てきた、ダンス湯浅将平がなくなったことに気付いて(ダンス湯浅将平をやる曲もやらなくなった)、再び喪失感を感じてしまった。
かつて、湯浅は出演日の前の日から会場に来て客席でライブを見たりしていたし、出演して時はいつだって本当に楽しそうな顔をしていた。それだけ湯浅本人もこのフェスのことを愛していたと思っているが、このフェスの景色をもう見れなくなってでもバンドから離れたかったんだろうか。
しかしそんな喪失をも超えるくらいに、爽やかな気分だった。やっぱり自分の世代の最大の夏バンドはBase Ball Bearであり、それを再確認させてくれるようなライブをバンドがやってくれたから。やっぱりいつまで経ってもこのバンドのことをたまらないくらいに「曖してるのさ」じゃなくて「愛してる」。
リハ.GIRLFRIEND
1.BREEEEZE GIRL
2.曖してる
3.short hair
4.changes
5.PERFECT BLUE
6.LOVE MATHEMATICS
7.祭りのあと
BREEEEZE GIRL
https://youtu.be/bLnRythb-pw
12:15~ OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND [SOUND OF FOREST]
このフェス常連バンドとして主にこのステージに出演してきた、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。BRAHMANの4人にボーカル&ヴァイオリンのMARTINとパーカッションのKAKUEIを加えた6人組である。
森の中に爽やかなアコースティックサウンドが流れるというのは実にこのステージに似合っており、このバンドが森の番人と化しているのも納得なのだが、MARTINの第一声は、
「コンニチハ。BABYMETALデス(笑)」
というもの。MARTINはBABYMETALが見たかったらしいが、ちょうどこの時間にBABYMETALがメインステージでやっていて見れず。そのことについてTOSHI-LOWは
「BABYMETALに行かないマニアックなみなさん、空いてる場所をよくご存知で(笑)
でもこんなおっさんのアコースティックバンドがなんで毎回このフェスに出てるのかって言ったら、俺が渋谷陽一と茨城の闇組織を繋いでるから(笑)」
と自虐といじりだらけで返す。
「退場しない程度に暴れてください」
と言ってから演奏された「Making Time」ではアコースティックとは思えない盛り上がりを生み出し、ステージのメンバーの演奏もどんどん熱くなっていく。すると、
「今日、8月6日は71年前に広島に原爆が落とされた日。「TOSHI-LOWまたその話?」って?俺は持ち込むよ?(笑)なぜならこれは政治の話じゃなくて生活の話だから。自分の頭の上に原爆を落とされたくないから。俺からしたら、8/6にこの話をしないミュージシャンのほうがどうかしてる」
と、ツイッターで流れた「音楽に政治を持ち込むな」というバカげたハッシュタグに対抗するかのように話し始め、
「前にこのバンドのプロモーションで広島に行った時、MARTINと一緒に原爆ドームに行った。MARTINは涙を流しながら、「俺の国はなんて恥ずかしいことをしたんだろう」って言いながら出てきて、初めての広島でウキウキ気分だったのがプロモーションのラジオで一言も話せなくなってた(笑)順番間違えたなって(笑)
そして今、原爆を落とした国の人と、原爆を落とされた国の人間がこうして8月6日に同じバンドのメンバーとして、同じステージに立って音楽を鳴らしている。俺たちがこういうことを言うのは、広島と長崎が原爆が落とされた最後の場所になってほしいから。8月6日に日本人とアメリカ人が同じステージで笑顔で音楽をできる世の中でありますように」
と、この日だからこそ、そしてBRAHMANではなくてMARTINがいるこのバンドだからこそのMCを語る。
自分は音楽性でいうと圧倒的にBRAHMANのほうが好きだが、こうしたTOSHI-LOWの言葉のひとつひとつに毎回胸を打たれるから、こうしてOAUのライブも毎回見ている。
そして最後に演奏されたのは、「ミスチル桜井も気に入った曲。なぜならこれは希望の曲だから」と紹介された「朝焼けの歌」。
BRAHMANじゃなくても、やっぱりTOSHI-LOWにはずっとこのフェスのステージに立っていて欲しいって毎年思わされる。
朝焼けの歌
https://youtu.be/yyRdiwrZy-Y
12:50~ ストレイテナー [LAKE STAGE]
いきなりの「KILLER TUNE」からスタートした、ストレイテナー。かなり従来とはアレンジを変えた演奏にしているあたりはさすがである。ホリエは涼しげな帽子をかぶっている。
定番曲に加えて「原色」という最新アルバム「COLD DISC」収録曲も演奏されたが、VIVA LA ROCKでは全曲「COLD DISC」収録曲という攻めっぷりだったのに対し、かなりバランスを取ったフェスらしいセトリに。
同じく「COLD DISC」収録の先行シングルである「シーグラス」はシングルリリース時から評判が良かったが、ついに夏の野外で聴けたことが実に嬉しいし、やはりこのステージに実によく似合う。まだ「今年最後の海」にはしたくないが。
シンペイがあまりの暑さに観客を気遣うMCをすると、ここまではどちらかというと親しみやすい感じで口を開いていたホリエが
「去年は8/9、今年は8/6にこの曲を歌えるのをありがたく思ってます」
と、アコギに持ち替えながら真面目なモードに変わって演奏されたのは「NO ~命の跡に咲いた花~」。しかしながらホリエは途中で歌詞が飛んでしまい、かなりの部分のボーカル部分を飛ばしてしまった。最初は歌っていて感極まっているのかと思ったが、ただ歌詞が飛んだだけだったようだ。
そして
「音楽の嵐を起こしましょう!」
と言って「Melodic Storm」で大合唱を巻き起こすと、最後は「Discography」。近年ライブでもやっている、なりふり構わず踊るのではなく、体を揺らすというようなアレンジでバンドの演奏力とアレンジ力を見せつけると、その演奏力とアレンジ力を生み出しているメンバー4人がステージ前に並んで一礼してからステージを去って行った。
近年の作品とライブの充実ぶりを実感させてくれるライブだったが、長崎出身だからこそのホリエの言葉が聞け、しかもそれが直前に見たTOSHI-LOWのMCと繋がっていたのでより強く心に響いた。テナーがこんなバンドになるとは全く想像していなかったが。
1.KILLER TUNE
2.From Noon Till Dawn
3.TRAIN
4.原色
5.シーグラス
6.NO ~命の跡に咲いた花~
7.Melodic Storm
8.Discography
シーグラス
https://youtu.be/PzZLe7P3lU4
13:30~ め組 [WING TENT]
去年までは、さよなら、また今度ねで出演していた菅原達也の新バンド、め組。もちろん初出演である。
バンド名にちなんでラッツ&スター「め組のひと」のSEでメンバーが登場すると、「マイパルプフィクション」からスタート。
基本的にシュールな歌詞と世界観にポップなメロディというスタイルはさよなら、また今度ねと変わらないが、5人編成になって演奏が上手いメンバーばかりになったため、音が整理されて菅原がやりたかったことがしっかり形になっているという印象。(さよなら、また今度ねはメンバーのあまり上手くない演奏も味になっていたが、それが解散の引き金にもなってしまった)
シュールさの極みのような「ジュゴンの背中に乗って」、赤い照明が悪魔らしさを醸し出し、「チュルリララ!」のフレーズで合唱が起きる「悪魔の証明」、デビュー曲にしてストレートな「500マイルメートル」とどれも非常にポップ。時にはギターを弾きながら、キーボードのメンバーがいることによって時にはハンドマイクで精力的に動き回りながら歌う菅原は
「初出演で緊張してるけど、今日はベストアクトをかっさらいに来ました!」
と、さよ今時代はMCすらもシュール過ぎて意味不明なところがあったが、それすらもすっきりと整理されて、ひたすらに曲の良さを伝えることに特化されている。
最後の「HEARTFUL」もさよ今時代にもあった、どこかほっこりするような曲。さよ今に少しあったパンクな要素はほとんどなくなったが(あれはギターの菊池にあった要素なのかもしれない)、アルバムの完成度の高さとこの高い演奏力と菅原のバイタリティを活かしたライブでの見ている人を巻き込んでいく力…。
このまま続いていけば、さよ今よりも間違いなく広い支持を受けるようなバンドになる気がする。菅原も最後の言葉は
「またワンマンと来年ここで…。いや、もっとデカいステージで会いましょう!」
と野望と自信を感じさせるものだった。
1.マイパルプフィクション
2.余所見
3.ジュゴンの背中に乗って
4.悪魔の証明
5.500マイルメートル
6.HEARTFUL
悪魔の証明
https://youtu.be/m0Zmnnm9AOw
14:30~ the HIATUS [GRASS STAGE]
細美武士率いるthe HIATUSがこの非常に陽射しのキツい時間に登場。
「Geranium」から複雑なリズムと演奏が絡み合い、その上に細美の年々スケールを増している歌が乗っていく。
集まったキッズの期待に応えるような「Storm Racers」「The Flare」という激しい過去曲を演奏すると、ベースのウエノコウジがメンバーで唯一ポケモンGOにハマっていることを明かし、複雑なリズムと演奏の極みのような「Bonfire」からは最新作「Hands Of Gravity」の曲が続く。ワンマンの時にも思ったが、これだけ難解と言ってもいい曲が多い中、「Radio」のストレートな名曲っぷりは出色。細美の歌の表現力も曲の持ち味を100%以上に引き出している。
細美がシンセを操作し、エレクトロなサウンドの上で細美が飛び跳ねまくる「Unhurt」では観客も踊りまくり、「Lone Train Running」ではさらに加速。
そして「Insomnia」ではサビの「Save me」の歌唱がこれまでの悲痛さというよりも、むしろ開放感を持って響いてきた。これは野外ということもあるかもしれないし、何よりもMONOEYESを始めたことにより、細美の精神が非常に安定しているということだと思う。
細美がメンバー紹介をすると、
「何回もこのステージに立ってるけど、こんなにもっと長くやりたいと思うのは初めてかもしれない」
とこの日唯一と言っていいくらいのMC。これまでにこのステージで何度も物議を醸すような発言をしてきたが、今年はひたすらに曲をたくさん演奏するという方向に特化したライブだった。
「紺碧の夜に」では細美が客席を見ながらとびきりの笑顔を浮かべ、最後には「Hands Of Gravity」のエンディング曲である「Sunburn」を演奏し、この夏もこうしてライブが一本終わることによって過ぎ去って行ってしまうということを感じさせながら、それでもやはりステージも客席も最高の笑顔でのライブになった。
しかし、去年は同じ時間にLAKE STAGEでback numberがライブをしていたこともあり、集客は芳しくなかったが、今年も去年ほどではないにしろ、客席にはスペースがかなり目立っていた。the HIATUSでの曲のスケール、細美の歌唱は小さいステージよりもこうした何万人もの人が入るくらいの大きなステージの方が絶対似合うと思っているので、なんとかずっとこの規模で見ていたいと思う。ツアーでは基本的に1番デカくてZeppなだけに、フェスくらいでは。
リハ.Silver Birch
1.Geranium
2.Storm Racers
3.The Flare
4.Bonfire
5.Radio
6.Clone
7.Unhurt
8.Lone Train Running
9.Insomnia
10.紺碧の夜に
11.Sunburn
Bonfire
https://youtu.be/6Ltxi-8twLk
15:25~ 髭 [BUZZ STAGE]
かつてはLAKE STAGEにも出演していた髭。久しぶりのひたちなか帰還である。この間にかつてこのフェスで悪ノリみたいに歌っていたツインドラムの片割れのフィリポと、途中加入してすぐ脱退したプロデュース的な役割も担っていたアイゴンの2人が去り、踊ってばかりの国のドラム佐藤が加わっているという体制になってからの出演となる。
サングラスをかけた須藤が
「オーイェー!ひたちなかー!」
と叫ぶと、「MR.アメリカ」「ロックンロールと五人の囚人」とかつてこのフェスでも何度も演奏された曲から始まる。「ロックンロール~」では須藤のボーカルにアレンジが加わっている箇所もあったが、むしろ近年の曲が多くなると予想していただけに、この選曲はちょっと意外。
コテイスイが拡声器パフォーマンスを行う、新曲として披露した「CLASH! LAOCHU!」はややサイケな要素も強いロックナンバーだが、かつての出演時と今が全く違うのは続く「DEVIL'S ODD EYE」。ループを軸にした、歌ものというよりも明らかにリズムに特化したサウンドは現在の髭のバンドとしての姿。トラブルがあっていったんやり直すという1幕もあったが、
「内部でも何が起きてるのかわからないんだから、外部の人がわかるわけないよ!」
と須藤らしいアクシデントへの対処。
かと思えば「黒にそめろ」で一気にロックンロールにギアを入れ替えると、
「次にみんなに会う時には俺がみんなにテキーラをおごるよ。ここにいる全員でいくらくらいだ?」
と須藤節からの「テキーラ!テキーラ!」で締め。須藤は時にステージに倒れこみながら「ひたちなかー!」と煽りまくって歌った。
過去の代表曲を中心としたセトリはまるで10年くらい前にこのフェスなどでよくこのバンドを見ていた頃を思い出させるが、当時だったらこの規模のステージでは観客は収まり切らなかった。しかし今では余裕で収まりきっている。それはメンバーの入れ替わりとともにバンドの音楽性の変化(やたらポップな曲が増えたり、サイケに振り切れたり)も多々あったからだとも思うが、こうしてライブを見ると、やっぱりロックンロールな髭は本当にカッコいいバンドだな、と今でも思わせてくれる。もう結構いい歳だが、メンバーの見た目も全然変わらない。
リハ1.ブラッディ・マリー、気をつけろ!
リハ2.テーマ・フロム・ダリア
1.MR.アメリカ
2.ロックンロールと五人の囚人
3.CLASH! LAOCHU!
4.DEVIL'S ODD EYE
5.黒にそめろ
6.テキーラ!テキーラ!
テキーラ!テキーラ!
https://youtu.be/ElJY5Zw9Btg
15:50~ Dragon Ash [GRASS STAGE]
第1回から皆勤賞。このフェスの象徴にして守り神的存在のDragon Ashが初日のこの時間に登場。
春フェスでは「Revive」などの「Harvest」収録曲を定番曲の合間に挟んだりしていたが、この日は初っ端から完全に代表曲の連発。kenkenをフィーチャーした「The Live」でも「Life goes on」でkjも「ひたちなか」「ロッキン」などこの日この場所だからこその単語を多く入れてきている。
「ちょっとくらい怪我してかすり傷できても、死なねぇから。
どんだけ雨が降って地面がぐちゃぐちゃになっても、死なねぇから」
と、メンバーの死を乗り越えて活動しているバンドだからこそ説得力のある言葉の後には
「愛してるだとか会いたいだとか、明日の仕事に行きたくないとか、そんな曲じゃなく、ただただ頭を振りまくれるだけの曲を作りました!」
と言って新曲「Headbang」を披露。Dragon Ashが今一度ラウドロックに真正面から向き合ったらどうなるかというのをそのまま曲にした感じで、タイトル通りに曲中ではkjも観客も揃って頭を振るようなパートもある。
「La Bamba」のラテンサウンドで踊らせまくると、ドラムの桜井が客席の様子をスマホで撮影したりする中、
「ロックフェスにバカみたいなやつがいなくなったらつまんねぇだろ!100人でも1000人でも、俺らや10-FEETやMONOEYESみたいな計算とか全然できない奴らがいたっていいだろ!」
と吠えると、何度となくこのステージで鳴らされてきた「百合の咲く場所で」で、
「飛んだっていいよ!セキュリティに捕まる前に降りればいいんだよ!」
とこのフェスでは禁じ手と言えるような発言(これまでで最も直接的な)をし、
「俺はずっと出てるからこのフェスを心から愛してるけど、めちゃくちゃやりたくてロックバンドになったのに、ステージ立ったらめちゃくちゃやるなっていうのは違うなって思って。もし来年からもうこのフェスに出れなくなってもお前らの気持ちを裏切りたくない」
とライブハウスと同じように暴れたいキッズの気持ちを全て受け止めながら自身のスタンスを改めて示すと、「Fantasista」ではやはりこの言葉に呼応してダイバーが続出。
「これがロックフェスの景色なんじゃねぇのか!?」「責任なら俺が取るから!」
とさらにkjがガンガン煽るともはや止まらず、「Lily」でも合唱パートでリフトが大量に発生して次々にステージの方へ人がなだれ込んでいった。なんだか、初めてこのフェスに来た時にDragon Ashのライブを見た時のようだった。(まだダイブが禁止になる前は当たり前のようにkjが「ダイブの準備はいいですかー!?」と言っていた)
しかしこの代表曲連発なセトリ、17年ずっと立ってるこのステージの景色を撮影する桜井…。終わってみると、「これが最後になってもいい」と思っていたかのような要素が多々ある。
実際にkjはソロアルバム発売時のロッキンオンでのインタビューでも、
「やっぱり俺は自分の曲でダイブをさせたい。どうしようもなく感情が高揚してしまうような曲とライブをやりたい」
と、ソロアルバムが予想以上にエモーショナルになった理由をこのフェスでは禁止されている「ダイブ」というキーワードを出して語っていた。
しかし、今まではギリギリのところで出禁にはなっていなかったが、ここまで直接的に言ってしまった今回はどうだろうか。このフェスを心から愛し、フェスからも愛され、メンバーが亡くなって活動そのものが危ぶまれた時も、その直後にこのフェスにギリギリのタイミングで名を連ねて、ずっとこのステージに立ち続けてきたという歴史を作り、その過程をずっと見てきただけに、このバンドだけは何があってもこのフェスに出続けて欲しいと思ってしまうのは、他の出禁になってしまったバンドたちに失礼なんだろうか。
しかしダイブが禁止になって7年ほど、今年になっていきなりこんなことになるとは…。
1.For diver's erea
2.Run to the Sun
3.The Live
4.Headbang
5.Life goes on
6.Velvet Touch
7.La Bamba
8.百合の咲く場所で
9.Fantasista
10.Lily
Fantasista
https://youtu.be/IXWUhnDvYt8
17:30~ キュウソネコカミ [LAKE STAGE]
リハでthe telephones石毛のモノマネで
「Are you DISCO~!?」
と叫んでいたのは、キュウソネコカミのセイヤ。本気のリハでガンガン曲を演奏しながら、
「シンノスケのボーカル下げてください!」
「シンノスケのシンセ上げてください!」
とメンバーいじりも忘れないが、そうこうしているうちにリハの時点で入場規制がかかりそうなレベルの超満員に。
KinKi Kids「ジェットコースターロマンス」という世代がわかるSEでメンバーが登場すると、「ウィーアーインディーズバンド!!」では「他のバンドのこと」のフレーズを「UVERworld!」とこの時間にGRASS STAGEでライブをやっているバンドを名指し。
大舞台でのワンマンも経験し、さらにたくましくなった演奏を中心にし、飛び道具的なパフォーマンスは控えるというロッキンならではの戦い方を見せる中、最新シングル「サギグラファー」、さらにそのカップリング曲「夏っぽいことしたい」も披露。夏フェスという夏っぽいことの極みのようなことをしている最中にこの曲を聴くというのはなんともシュールな感じ。
よって「DQN~」でもステージから降りることもなければウォールオブデスを巻き起こすこともせず。その分セイヤは変顔やおかしな動きをして、その様子がモニターに映るたびに客席は爆笑に包まれる。喉はちょっとキツそうな感じも受けたが。
ヨコタが
「星野源見に行こうとしてないですよね!?まだまだいけるでしょ!」
と観客を移動させずに止めさせると、去年まで最後に演奏していた「ハッピーポンコツ」で締めるのかと思いきや、最後に演奏されたのは「何もない休日」。聴いているとどこか切なくなってしまうような曲だが、何もないどころかこうして最高に楽しい休日を過ごしているじゃないか、と突っ込まずにはいられないが。
セイヤは
「ついにトリ前まで来れました。俺らはいつも朝イチとかに賑やかし担当みたいな感じでフェスに出てるんだけど、いつかはトリやったりしてみたいな~。来年また朝に戻ってたら笑いにきてくれ(笑)」
と言っていたが、この超満員ぶりからすると、もはや来年はこのステージのトリというよりも、GRASS STAGE進出が見えている。そこに立つためにはワンマンでもさらに広いところをしっかり埋めたりと、課題も残っているが、シーンや社会に対してカウンターを打ちまくってきたバンドがこのフェスで1番デカいステージに立てたらものすごいひっくり返してやった感を感じると思う。もしGRASSならまた朝になるだろうけど(笑)
しかしこのちゃんとフェスのルールやマナーを守ってライブをするという点は、直前に見たDragon Ashの姿勢とは真逆と言っていい。それは世代によるものもやっぱりあるんだろうか。そもそもキュウソは非常に頭のいいバンドだから後悔するようなことはしないだろうけど。
リハ1.良いDJ
リハ2.MEGA SHAKE IT!
リハ3.辛あわせ
1.ウィーアーインディーズバンド!!
2.ビビった
3.ファントムバイブレーション
4.サギグラファー
5.夏っぽいことしたい
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.何もない休日
サギグラファー
https://youtu.be/UWgfwooNqxk
18:40~ MONOEYES [LAKE STAGE]
初日のLAKE STAGEのトリはMONOEYES。細美武士はthe HIATUSとのダブルヘッダーである。細美は黒のタンクトップ姿で、鍛えられた筋肉があらわになっている。
おなじみのスターウオーズのSEで登場すると、いきなりの「My Instant Song」で飛び跳ねさせまくり、the HIATUS以上にテンポよく次々と曲が演奏されていくのは、このバンドならではの曲そのもののテンポの速さもあるだろう。
「星野源見ないでここに来てくれてありがとう!星野源めちゃ見たかったけど(笑)」
と細美の幅広い音楽性をうかがわせる挨拶で笑わせると、
「今日、Dragon Ashがすげぇ良いライブやってて。建志の言ってることもすごい良くわかるし。パンクとかハードコアのバンドの中にはこのフェスのルールが厳しすぎるって言って、出ないバンドもいる。
でも来なくなるのは簡単。だけどやっぱり簡単に諦めたくない。セキュリティの人たちだって本当は捕まえたくないと思うんだ」
と、kj同様に自身のスタンスを明確にすると、「When I Was King」ではその言葉に呼応したかのように次々とダイバーが続出。
「スコットが決めるぜ!」
と言うとスコット・マーフィーがメインボーカルとしてこのバンドのライブでもすっかりお馴染みになった「Somewhere On Fullerton」、戸高とスコットがギターとベースを銃のようにして撃ち合う「明日公園で」と見た目にも楽しい曲が続く。
「去年はアルバム出した直後ですごい緊張してた。でもツアー回って一年経ってまたこの場所に戻ってこれて本当に嬉しい」
とスコットが心境を素直に述べると、
「こうしてまたこのLAKE STAGEでトリをやらせてもらって本当に感謝の気持ちしかない。…来年はいないかもしれないけど(笑)」
と、2005年のサザンオールスターズの真裏でのELLEGARDEN、2009年の初出演時でのthe HIATUSに続いて、3回目(全て違うバンドで3回はおそらく初)となるLAKE STAGEのトリを飾らせてもらったことに感謝を告げながらも、ダイバーが続出したことによって出禁になる可能性を漂わせながら、もはやリズム走りまくりで全く合っていないけどそれがさらに疾走感を感じさせる「End Of The Story」から、どこかこのライブそのものとこの日1日が終わってゆく寂しさを感じさせる「Remember Me」で本編は終了した。
アンコールにすぐさまメンバーが登場すると、
「スタッフも出演者もお前らもみんなこの1日を最高の日にしようと思ってるけど、考えの違う人たちがたくさんいるからそうもいかねぇ。でもライブをやってる時だけは全ての人の心が重なり合うような、最高な瞬間に手が届きそうな時がある。そういう世界があるなら行ってみたい。そんな曲」
と言って演奏されたのは、まさに
「そういう世界があるなら行ってみたいと思った」
と歌われる「グラニート」。細美が「全然知らなくてもいいんだよ!」と煽ると、客席全体で全てのパートを大合唱。輪になって歌っている人たちも、肩を組んで歌っている人たちもいる。
この瞬間、間違いなくこのステージは細美が言った、全ての人の心が重なり合った「最高の瞬間」以外の何物でもなかった。自身がELLEGARDENでトリを務めてから、数々の伝説のライブが生まれてきたこの夜のLAKE STAGE。その新たな伝説のライブを、またしても細美武士のバンドが作った。
「明日も楽しめよ!」
と言ってメンバー4人が肩を組んで晴れやかな表情でステージから去って行ったが、やっぱりずっとこのステージで見ていたいから、出禁にだけはなって欲しくない。毎回ロッキンとCDJでthe HIATUSもMONOEYESも見てるから、譲れないところがあるのもわかってはいるけど。
リハ1.Just A Little More Time
リハ2.HOMELY GIRL
1.My Instant Song
2.Like We've Never Lost
3.Cold Reaction
4.Run Run
5.What I Left Today
6.When I Was A King
7.Somewhere On Fullerton
8.明日公園で
9.End Of The Story
10.Remember Me
encore
11.グラニート
When I Was A King
https://youtu.be/Tnz--TIKDu0
この日強烈なインパクトを残したのはやはり、Dragon AshとMONOEYES。今になってなんでダイブに言及?という気もしなくはないが。
でもこのフェスのルールが変わることはないだろう。それはかつてこのフェスでダイブで後遺症が出るくらいの怪我人が出てしまったという過去があるから。いくら自己責任と言っても、そのくらい大きな事故が起きてしまえば、フェス側にも責任が発生してしまう。それが多発するとフェスそのものが開催できなくなってしまう可能性すらある。
TOSHI-LOWは2011年にBRAHMANで出演した際に
「運営側も禁止したくて禁止してるんじゃねぇ。前にここで怪我人が出て、仕方なくそうしたんだ。だからそいつを守れなかったお前らにも責任がある。
酒飲んで暴れたやつがいたら酒売るの禁止、髪の毛が口に入ったから髪の毛は全員上で結ぶ、そんなことになったらどんどんつまらないフェスになっちまうぞ。自分たちの遊び場は自分たちで守れ」
と、フェスのルールに理解を示しながら、TOSHI-LOWらしい言葉でダイブについて言及していた。このMCを生で聞いているから、自分はそこのルールについては仕方ないし、もう変えなくてもいいと思っている。
でも今年、来週にかつてダイブを煽って出禁になったKen Yokoyamaが出演する。ダイブさせたら何でもかんでも出禁にする、っていう流れもちょっと変わってきつつあるのかな、とも思う。そんなことを思いながら、宿に向かっていた。
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今年は去年までの
GRASS STAGE
LAKE STAGE
SOUND OF FOREST
PARK STAGE
WING TENT
BUZZ STAGE
に加え、新たなステージとしてHILLSIDE STAGEが登場。小高い丘に作られたステージで、このステージができたことにより、LAKE STAGEの裏からGRASS STAGEの下手側につながる新たな導線(まつかぜルート)が作られた。
会場中に様々な飾りなどが作られているのもこのフェスらしくて見ていて楽しいし、SOUND OF FORESTとPARK STAGEにもついに大型モニターが設置され、どの位置からでも見えるようになった。
10:30~ 10-FEET [GRASS STAGE]
メインステージであるGRASS STAGEのトップバッターは、去年は大トリとしてこのステージを締めくくった、10-FEET。否が応でも「あの日の続き」感を感じてしまう。
いつものSEが鳴って客席ではタオルを掲げてメンバーを待ち構えるファンの姿は変わらないが、1ついつもと違うのは、TAKUMAの出で立ちが明らかにりゅうちぇるを真似したとしか思えない派手な原色系の服とピンクのバンダナであるということ。
するといきなりTAKUMAが歌い出す「hammer ska」からスタートし、このフェスの開幕を待ちわびていたファンとバンドによってのっけから凄まじい盛り上がりを見せる中、この野外のシチュエーションにぴったりな「風」も演奏される。
KOUICHIが選挙演説のようなエコーがかかりまくった声で暑さへの注意を呼びかけると、NAOKIはここでようやくTAKUMAの出で立ちにツッコミを入れる。TAKUMAいわく
「WANIMAが今すごい人気あるから、WANIMAみたいな原色系の服着たら人気出て、ミュージックステーションとか出れるかなーって思って」
とのことだが、やはり一瞬にして「りゅうちぇるやん!」と突っ込まれる。
客席前から後ろへのウェーブ、逆に後ろから前へのウェーブという「めざましテレビで絶対使われる」とTAKUMAも太鼓判を押すパフォーマンスをさせると、「goes on」からさらに加速。ちょっとTAKUMAはギターの調子が悪くて演奏中にギターを交換したりと、少々サウンド面で苦しんでいた様子だったが。
そんな空気を一瞬で変えてしまうのが、TAKUMAの歌から始まるレゲエ要素の強い、待望の最新シングル「アンテナラスト」。決して盛り上がる曲ではないが、これまでにも今日演奏した「風」や「蜃気楼」「シガードッグ」など、この手のタイプの名曲を作ってきた10-FEETの最高傑作だと思う。そして何よりセトリの変化という面でもこの曲の存在は大きい。
そしてTAKUMAは
「優しさっていうのは想像力だと思うねん。何をしたら自分がされたら嫌だなって思うか。そうしたらそんなことはやらへんし、ライブで嫌なことをされても、もしかしたらその人は初めてライブに来た人かもしれん。そしたらネットじゃなくて、リアルでちゃんと教えてあげようや」
と、TAKUMAだからこそなMCを語り「RIVER」へ突入したのだが、「助けてのその一言は~」の合唱パートになると、これまでにも「靴だけダイブ」「全員座ってライブ」などの無茶苦茶かつルールギリギリでこのフェスで戦ってきたこのバンドならではのパフォーマンスの時間に。今年は去年に続き、客席で人間ピラミッドを作るということに。
「危ないから3段か4段まで!」
とTAKUMAが呼びかけると、客席の真ん中から後ろのやや余裕のあるスペースで、小さな人間ピラミッドがたくさんできる。案の定モニターにはその客席の様子は全く映らなかったが。
人間ピラミッドを終え、ややバンドの演奏がずれた合唱パートを終えると、
「2分くらい時間が余ってる!」
ということで、短いパンクチューン「DO YOU LIKE…?」をあっという間に演奏すると、さらに
「まだ40秒くらいある!」
と言って、「RIVER」を一瞬だけ無理矢理演奏して終了。
セトリ自体はほとんど変わらなくても毎年このフェスで記憶に残るライブをしてきたのは、TAKUMAの言葉と、ダイブ禁止のフェスでなんとか違う楽しみ方をしようというギリギリのとこで戦うためのアイデアがあってこそ。
もはやすっかりロックシーンの中でも巨大かつ重要な存在のバンドになったが、そうなった理由はやはりライブにこそある。
1.hammer ska
2.super stomper
3.風
4.VIBES BY VIBES
5.goes on
6.その向こうへ
7.1sec.
8.アンテナラスト
9.RIVER
10.DO YOU LIKE…?
アンテナラスト
https://youtu.be/Ah24qaazA7I
11:40~ Base Ball Bear [LAKE STAGE]
2006年にWING TENTに初出演して以降、今年で11年連続出演となる、Base Ball Bear。2年前まではGRASS STAGEに出ていたが、去年に続いて、慣れ親しんだLAKE STAGEへの出演。
しかし去年までと違うのは、ステージに湯浅将平の姿はなく、ギタリストとして田渕ひさ子がステージに立っていること。すでに何度も湯浅脱退後のライブを見ているが、過去10回の出演全てを見てきたこのフェスのステージにいないのは改めて喪失感を感じてしまう。
しかしながらそんな空気を振り払うかのように「BREEEEZE GIRL」からスタート。夏。夏である。とびっきり暑いけど、だからこそこの雲ひとつない青空のような爽やかな夏。そのシチュエーションに最も似合う曲。
小出のカッティングギターの技術と「C2」でのブラックミュージック要素を強めたリズムを堪能させてくれる「曖してる」と続くと、
「11年連続11回目の出演となる我々ですが、今までで1,2を争うくらいに今日は暑い!ヤバい!」
と毎年出てるからこそ説得力のある小出のMCからはキラーチューンシングルを連発。去年は「C2」先行シングル3連発など、新たなモードを見せたライブだったが、そこを消化してやりきったことにより、今まででの野外のフェスで聴きたいベボベを最大限に引き受けている。それはギターが田渕ひさ子だったからそこまでいろんな曲をできないというのもあったかもしれないが、田渕は時にテクニカルに時に轟音でこのバンドのサウンドを支えている。
「僕の晴れ男パワーが強すぎてこんなに雲ひとつない感じになってしまってどうも申し訳ありません(笑)」
と数々の野外フェスを快晴に導いてきた晴れ男っぷりとともに、小出はこの日はボーカルも絶好調で、近年多い歌詞が飛ぶこともなければ、ファルセット部分も実によく伸びている。ボーカルコンディション的には過去トップクラスかもしれない。
結果的に「曖してる」以外はすべてこれまでの代表曲、最後もフェスで恒例の「祭りのあと」で終わるという内容だったが、終わった後に、10年ずっとこのフェスのステージで見てきた、ダンス湯浅将平がなくなったことに気付いて(ダンス湯浅将平をやる曲もやらなくなった)、再び喪失感を感じてしまった。
かつて、湯浅は出演日の前の日から会場に来て客席でライブを見たりしていたし、出演して時はいつだって本当に楽しそうな顔をしていた。それだけ湯浅本人もこのフェスのことを愛していたと思っているが、このフェスの景色をもう見れなくなってでもバンドから離れたかったんだろうか。
しかしそんな喪失をも超えるくらいに、爽やかな気分だった。やっぱり自分の世代の最大の夏バンドはBase Ball Bearであり、それを再確認させてくれるようなライブをバンドがやってくれたから。やっぱりいつまで経ってもこのバンドのことをたまらないくらいに「曖してるのさ」じゃなくて「愛してる」。
リハ.GIRLFRIEND
1.BREEEEZE GIRL
2.曖してる
3.short hair
4.changes
5.PERFECT BLUE
6.LOVE MATHEMATICS
7.祭りのあと
BREEEEZE GIRL
https://youtu.be/bLnRythb-pw
12:15~ OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND [SOUND OF FOREST]
このフェス常連バンドとして主にこのステージに出演してきた、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。BRAHMANの4人にボーカル&ヴァイオリンのMARTINとパーカッションのKAKUEIを加えた6人組である。
森の中に爽やかなアコースティックサウンドが流れるというのは実にこのステージに似合っており、このバンドが森の番人と化しているのも納得なのだが、MARTINの第一声は、
「コンニチハ。BABYMETALデス(笑)」
というもの。MARTINはBABYMETALが見たかったらしいが、ちょうどこの時間にBABYMETALがメインステージでやっていて見れず。そのことについてTOSHI-LOWは
「BABYMETALに行かないマニアックなみなさん、空いてる場所をよくご存知で(笑)
でもこんなおっさんのアコースティックバンドがなんで毎回このフェスに出てるのかって言ったら、俺が渋谷陽一と茨城の闇組織を繋いでるから(笑)」
と自虐といじりだらけで返す。
「退場しない程度に暴れてください」
と言ってから演奏された「Making Time」ではアコースティックとは思えない盛り上がりを生み出し、ステージのメンバーの演奏もどんどん熱くなっていく。すると、
「今日、8月6日は71年前に広島に原爆が落とされた日。「TOSHI-LOWまたその話?」って?俺は持ち込むよ?(笑)なぜならこれは政治の話じゃなくて生活の話だから。自分の頭の上に原爆を落とされたくないから。俺からしたら、8/6にこの話をしないミュージシャンのほうがどうかしてる」
と、ツイッターで流れた「音楽に政治を持ち込むな」というバカげたハッシュタグに対抗するかのように話し始め、
「前にこのバンドのプロモーションで広島に行った時、MARTINと一緒に原爆ドームに行った。MARTINは涙を流しながら、「俺の国はなんて恥ずかしいことをしたんだろう」って言いながら出てきて、初めての広島でウキウキ気分だったのがプロモーションのラジオで一言も話せなくなってた(笑)順番間違えたなって(笑)
そして今、原爆を落とした国の人と、原爆を落とされた国の人間がこうして8月6日に同じバンドのメンバーとして、同じステージに立って音楽を鳴らしている。俺たちがこういうことを言うのは、広島と長崎が原爆が落とされた最後の場所になってほしいから。8月6日に日本人とアメリカ人が同じステージで笑顔で音楽をできる世の中でありますように」
と、この日だからこそ、そしてBRAHMANではなくてMARTINがいるこのバンドだからこそのMCを語る。
自分は音楽性でいうと圧倒的にBRAHMANのほうが好きだが、こうしたTOSHI-LOWの言葉のひとつひとつに毎回胸を打たれるから、こうしてOAUのライブも毎回見ている。
そして最後に演奏されたのは、「ミスチル桜井も気に入った曲。なぜならこれは希望の曲だから」と紹介された「朝焼けの歌」。
BRAHMANじゃなくても、やっぱりTOSHI-LOWにはずっとこのフェスのステージに立っていて欲しいって毎年思わされる。
朝焼けの歌
https://youtu.be/yyRdiwrZy-Y
12:50~ ストレイテナー [LAKE STAGE]
いきなりの「KILLER TUNE」からスタートした、ストレイテナー。かなり従来とはアレンジを変えた演奏にしているあたりはさすがである。ホリエは涼しげな帽子をかぶっている。
定番曲に加えて「原色」という最新アルバム「COLD DISC」収録曲も演奏されたが、VIVA LA ROCKでは全曲「COLD DISC」収録曲という攻めっぷりだったのに対し、かなりバランスを取ったフェスらしいセトリに。
同じく「COLD DISC」収録の先行シングルである「シーグラス」はシングルリリース時から評判が良かったが、ついに夏の野外で聴けたことが実に嬉しいし、やはりこのステージに実によく似合う。まだ「今年最後の海」にはしたくないが。
シンペイがあまりの暑さに観客を気遣うMCをすると、ここまではどちらかというと親しみやすい感じで口を開いていたホリエが
「去年は8/9、今年は8/6にこの曲を歌えるのをありがたく思ってます」
と、アコギに持ち替えながら真面目なモードに変わって演奏されたのは「NO ~命の跡に咲いた花~」。しかしながらホリエは途中で歌詞が飛んでしまい、かなりの部分のボーカル部分を飛ばしてしまった。最初は歌っていて感極まっているのかと思ったが、ただ歌詞が飛んだだけだったようだ。
そして
「音楽の嵐を起こしましょう!」
と言って「Melodic Storm」で大合唱を巻き起こすと、最後は「Discography」。近年ライブでもやっている、なりふり構わず踊るのではなく、体を揺らすというようなアレンジでバンドの演奏力とアレンジ力を見せつけると、その演奏力とアレンジ力を生み出しているメンバー4人がステージ前に並んで一礼してからステージを去って行った。
近年の作品とライブの充実ぶりを実感させてくれるライブだったが、長崎出身だからこそのホリエの言葉が聞け、しかもそれが直前に見たTOSHI-LOWのMCと繋がっていたのでより強く心に響いた。テナーがこんなバンドになるとは全く想像していなかったが。
1.KILLER TUNE
2.From Noon Till Dawn
3.TRAIN
4.原色
5.シーグラス
6.NO ~命の跡に咲いた花~
7.Melodic Storm
8.Discography
シーグラス
https://youtu.be/PzZLe7P3lU4
13:30~ め組 [WING TENT]
去年までは、さよなら、また今度ねで出演していた菅原達也の新バンド、め組。もちろん初出演である。
バンド名にちなんでラッツ&スター「め組のひと」のSEでメンバーが登場すると、「マイパルプフィクション」からスタート。
基本的にシュールな歌詞と世界観にポップなメロディというスタイルはさよなら、また今度ねと変わらないが、5人編成になって演奏が上手いメンバーばかりになったため、音が整理されて菅原がやりたかったことがしっかり形になっているという印象。(さよなら、また今度ねはメンバーのあまり上手くない演奏も味になっていたが、それが解散の引き金にもなってしまった)
シュールさの極みのような「ジュゴンの背中に乗って」、赤い照明が悪魔らしさを醸し出し、「チュルリララ!」のフレーズで合唱が起きる「悪魔の証明」、デビュー曲にしてストレートな「500マイルメートル」とどれも非常にポップ。時にはギターを弾きながら、キーボードのメンバーがいることによって時にはハンドマイクで精力的に動き回りながら歌う菅原は
「初出演で緊張してるけど、今日はベストアクトをかっさらいに来ました!」
と、さよ今時代はMCすらもシュール過ぎて意味不明なところがあったが、それすらもすっきりと整理されて、ひたすらに曲の良さを伝えることに特化されている。
最後の「HEARTFUL」もさよ今時代にもあった、どこかほっこりするような曲。さよ今に少しあったパンクな要素はほとんどなくなったが(あれはギターの菊池にあった要素なのかもしれない)、アルバムの完成度の高さとこの高い演奏力と菅原のバイタリティを活かしたライブでの見ている人を巻き込んでいく力…。
このまま続いていけば、さよ今よりも間違いなく広い支持を受けるようなバンドになる気がする。菅原も最後の言葉は
「またワンマンと来年ここで…。いや、もっとデカいステージで会いましょう!」
と野望と自信を感じさせるものだった。
1.マイパルプフィクション
2.余所見
3.ジュゴンの背中に乗って
4.悪魔の証明
5.500マイルメートル
6.HEARTFUL
悪魔の証明
https://youtu.be/m0Zmnnm9AOw
14:30~ the HIATUS [GRASS STAGE]
細美武士率いるthe HIATUSがこの非常に陽射しのキツい時間に登場。
「Geranium」から複雑なリズムと演奏が絡み合い、その上に細美の年々スケールを増している歌が乗っていく。
集まったキッズの期待に応えるような「Storm Racers」「The Flare」という激しい過去曲を演奏すると、ベースのウエノコウジがメンバーで唯一ポケモンGOにハマっていることを明かし、複雑なリズムと演奏の極みのような「Bonfire」からは最新作「Hands Of Gravity」の曲が続く。ワンマンの時にも思ったが、これだけ難解と言ってもいい曲が多い中、「Radio」のストレートな名曲っぷりは出色。細美の歌の表現力も曲の持ち味を100%以上に引き出している。
細美がシンセを操作し、エレクトロなサウンドの上で細美が飛び跳ねまくる「Unhurt」では観客も踊りまくり、「Lone Train Running」ではさらに加速。
そして「Insomnia」ではサビの「Save me」の歌唱がこれまでの悲痛さというよりも、むしろ開放感を持って響いてきた。これは野外ということもあるかもしれないし、何よりもMONOEYESを始めたことにより、細美の精神が非常に安定しているということだと思う。
細美がメンバー紹介をすると、
「何回もこのステージに立ってるけど、こんなにもっと長くやりたいと思うのは初めてかもしれない」
とこの日唯一と言っていいくらいのMC。これまでにこのステージで何度も物議を醸すような発言をしてきたが、今年はひたすらに曲をたくさん演奏するという方向に特化したライブだった。
「紺碧の夜に」では細美が客席を見ながらとびきりの笑顔を浮かべ、最後には「Hands Of Gravity」のエンディング曲である「Sunburn」を演奏し、この夏もこうしてライブが一本終わることによって過ぎ去って行ってしまうということを感じさせながら、それでもやはりステージも客席も最高の笑顔でのライブになった。
しかし、去年は同じ時間にLAKE STAGEでback numberがライブをしていたこともあり、集客は芳しくなかったが、今年も去年ほどではないにしろ、客席にはスペースがかなり目立っていた。the HIATUSでの曲のスケール、細美の歌唱は小さいステージよりもこうした何万人もの人が入るくらいの大きなステージの方が絶対似合うと思っているので、なんとかずっとこの規模で見ていたいと思う。ツアーでは基本的に1番デカくてZeppなだけに、フェスくらいでは。
リハ.Silver Birch
1.Geranium
2.Storm Racers
3.The Flare
4.Bonfire
5.Radio
6.Clone
7.Unhurt
8.Lone Train Running
9.Insomnia
10.紺碧の夜に
11.Sunburn
Bonfire
https://youtu.be/6Ltxi-8twLk
15:25~ 髭 [BUZZ STAGE]
かつてはLAKE STAGEにも出演していた髭。久しぶりのひたちなか帰還である。この間にかつてこのフェスで悪ノリみたいに歌っていたツインドラムの片割れのフィリポと、途中加入してすぐ脱退したプロデュース的な役割も担っていたアイゴンの2人が去り、踊ってばかりの国のドラム佐藤が加わっているという体制になってからの出演となる。
サングラスをかけた須藤が
「オーイェー!ひたちなかー!」
と叫ぶと、「MR.アメリカ」「ロックンロールと五人の囚人」とかつてこのフェスでも何度も演奏された曲から始まる。「ロックンロール~」では須藤のボーカルにアレンジが加わっている箇所もあったが、むしろ近年の曲が多くなると予想していただけに、この選曲はちょっと意外。
コテイスイが拡声器パフォーマンスを行う、新曲として披露した「CLASH! LAOCHU!」はややサイケな要素も強いロックナンバーだが、かつての出演時と今が全く違うのは続く「DEVIL'S ODD EYE」。ループを軸にした、歌ものというよりも明らかにリズムに特化したサウンドは現在の髭のバンドとしての姿。トラブルがあっていったんやり直すという1幕もあったが、
「内部でも何が起きてるのかわからないんだから、外部の人がわかるわけないよ!」
と須藤らしいアクシデントへの対処。
かと思えば「黒にそめろ」で一気にロックンロールにギアを入れ替えると、
「次にみんなに会う時には俺がみんなにテキーラをおごるよ。ここにいる全員でいくらくらいだ?」
と須藤節からの「テキーラ!テキーラ!」で締め。須藤は時にステージに倒れこみながら「ひたちなかー!」と煽りまくって歌った。
過去の代表曲を中心としたセトリはまるで10年くらい前にこのフェスなどでよくこのバンドを見ていた頃を思い出させるが、当時だったらこの規模のステージでは観客は収まり切らなかった。しかし今では余裕で収まりきっている。それはメンバーの入れ替わりとともにバンドの音楽性の変化(やたらポップな曲が増えたり、サイケに振り切れたり)も多々あったからだとも思うが、こうしてライブを見ると、やっぱりロックンロールな髭は本当にカッコいいバンドだな、と今でも思わせてくれる。もう結構いい歳だが、メンバーの見た目も全然変わらない。
リハ1.ブラッディ・マリー、気をつけろ!
リハ2.テーマ・フロム・ダリア
1.MR.アメリカ
2.ロックンロールと五人の囚人
3.CLASH! LAOCHU!
4.DEVIL'S ODD EYE
5.黒にそめろ
6.テキーラ!テキーラ!
テキーラ!テキーラ!
https://youtu.be/ElJY5Zw9Btg
15:50~ Dragon Ash [GRASS STAGE]
第1回から皆勤賞。このフェスの象徴にして守り神的存在のDragon Ashが初日のこの時間に登場。
春フェスでは「Revive」などの「Harvest」収録曲を定番曲の合間に挟んだりしていたが、この日は初っ端から完全に代表曲の連発。kenkenをフィーチャーした「The Live」でも「Life goes on」でkjも「ひたちなか」「ロッキン」などこの日この場所だからこその単語を多く入れてきている。
「ちょっとくらい怪我してかすり傷できても、死なねぇから。
どんだけ雨が降って地面がぐちゃぐちゃになっても、死なねぇから」
と、メンバーの死を乗り越えて活動しているバンドだからこそ説得力のある言葉の後には
「愛してるだとか会いたいだとか、明日の仕事に行きたくないとか、そんな曲じゃなく、ただただ頭を振りまくれるだけの曲を作りました!」
と言って新曲「Headbang」を披露。Dragon Ashが今一度ラウドロックに真正面から向き合ったらどうなるかというのをそのまま曲にした感じで、タイトル通りに曲中ではkjも観客も揃って頭を振るようなパートもある。
「La Bamba」のラテンサウンドで踊らせまくると、ドラムの桜井が客席の様子をスマホで撮影したりする中、
「ロックフェスにバカみたいなやつがいなくなったらつまんねぇだろ!100人でも1000人でも、俺らや10-FEETやMONOEYESみたいな計算とか全然できない奴らがいたっていいだろ!」
と吠えると、何度となくこのステージで鳴らされてきた「百合の咲く場所で」で、
「飛んだっていいよ!セキュリティに捕まる前に降りればいいんだよ!」
とこのフェスでは禁じ手と言えるような発言(これまでで最も直接的な)をし、
「俺はずっと出てるからこのフェスを心から愛してるけど、めちゃくちゃやりたくてロックバンドになったのに、ステージ立ったらめちゃくちゃやるなっていうのは違うなって思って。もし来年からもうこのフェスに出れなくなってもお前らの気持ちを裏切りたくない」
とライブハウスと同じように暴れたいキッズの気持ちを全て受け止めながら自身のスタンスを改めて示すと、「Fantasista」ではやはりこの言葉に呼応してダイバーが続出。
「これがロックフェスの景色なんじゃねぇのか!?」「責任なら俺が取るから!」
とさらにkjがガンガン煽るともはや止まらず、「Lily」でも合唱パートでリフトが大量に発生して次々にステージの方へ人がなだれ込んでいった。なんだか、初めてこのフェスに来た時にDragon Ashのライブを見た時のようだった。(まだダイブが禁止になる前は当たり前のようにkjが「ダイブの準備はいいですかー!?」と言っていた)
しかしこの代表曲連発なセトリ、17年ずっと立ってるこのステージの景色を撮影する桜井…。終わってみると、「これが最後になってもいい」と思っていたかのような要素が多々ある。
実際にkjはソロアルバム発売時のロッキンオンでのインタビューでも、
「やっぱり俺は自分の曲でダイブをさせたい。どうしようもなく感情が高揚してしまうような曲とライブをやりたい」
と、ソロアルバムが予想以上にエモーショナルになった理由をこのフェスでは禁止されている「ダイブ」というキーワードを出して語っていた。
しかし、今まではギリギリのところで出禁にはなっていなかったが、ここまで直接的に言ってしまった今回はどうだろうか。このフェスを心から愛し、フェスからも愛され、メンバーが亡くなって活動そのものが危ぶまれた時も、その直後にこのフェスにギリギリのタイミングで名を連ねて、ずっとこのステージに立ち続けてきたという歴史を作り、その過程をずっと見てきただけに、このバンドだけは何があってもこのフェスに出続けて欲しいと思ってしまうのは、他の出禁になってしまったバンドたちに失礼なんだろうか。
しかしダイブが禁止になって7年ほど、今年になっていきなりこんなことになるとは…。
1.For diver's erea
2.Run to the Sun
3.The Live
4.Headbang
5.Life goes on
6.Velvet Touch
7.La Bamba
8.百合の咲く場所で
9.Fantasista
10.Lily
Fantasista
https://youtu.be/IXWUhnDvYt8
17:30~ キュウソネコカミ [LAKE STAGE]
リハでthe telephones石毛のモノマネで
「Are you DISCO~!?」
と叫んでいたのは、キュウソネコカミのセイヤ。本気のリハでガンガン曲を演奏しながら、
「シンノスケのボーカル下げてください!」
「シンノスケのシンセ上げてください!」
とメンバーいじりも忘れないが、そうこうしているうちにリハの時点で入場規制がかかりそうなレベルの超満員に。
KinKi Kids「ジェットコースターロマンス」という世代がわかるSEでメンバーが登場すると、「ウィーアーインディーズバンド!!」では「他のバンドのこと」のフレーズを「UVERworld!」とこの時間にGRASS STAGEでライブをやっているバンドを名指し。
大舞台でのワンマンも経験し、さらにたくましくなった演奏を中心にし、飛び道具的なパフォーマンスは控えるというロッキンならではの戦い方を見せる中、最新シングル「サギグラファー」、さらにそのカップリング曲「夏っぽいことしたい」も披露。夏フェスという夏っぽいことの極みのようなことをしている最中にこの曲を聴くというのはなんともシュールな感じ。
よって「DQN~」でもステージから降りることもなければウォールオブデスを巻き起こすこともせず。その分セイヤは変顔やおかしな動きをして、その様子がモニターに映るたびに客席は爆笑に包まれる。喉はちょっとキツそうな感じも受けたが。
ヨコタが
「星野源見に行こうとしてないですよね!?まだまだいけるでしょ!」
と観客を移動させずに止めさせると、去年まで最後に演奏していた「ハッピーポンコツ」で締めるのかと思いきや、最後に演奏されたのは「何もない休日」。聴いているとどこか切なくなってしまうような曲だが、何もないどころかこうして最高に楽しい休日を過ごしているじゃないか、と突っ込まずにはいられないが。
セイヤは
「ついにトリ前まで来れました。俺らはいつも朝イチとかに賑やかし担当みたいな感じでフェスに出てるんだけど、いつかはトリやったりしてみたいな~。来年また朝に戻ってたら笑いにきてくれ(笑)」
と言っていたが、この超満員ぶりからすると、もはや来年はこのステージのトリというよりも、GRASS STAGE進出が見えている。そこに立つためにはワンマンでもさらに広いところをしっかり埋めたりと、課題も残っているが、シーンや社会に対してカウンターを打ちまくってきたバンドがこのフェスで1番デカいステージに立てたらものすごいひっくり返してやった感を感じると思う。もしGRASSならまた朝になるだろうけど(笑)
しかしこのちゃんとフェスのルールやマナーを守ってライブをするという点は、直前に見たDragon Ashの姿勢とは真逆と言っていい。それは世代によるものもやっぱりあるんだろうか。そもそもキュウソは非常に頭のいいバンドだから後悔するようなことはしないだろうけど。
リハ1.良いDJ
リハ2.MEGA SHAKE IT!
リハ3.辛あわせ
1.ウィーアーインディーズバンド!!
2.ビビった
3.ファントムバイブレーション
4.サギグラファー
5.夏っぽいことしたい
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.何もない休日
サギグラファー
https://youtu.be/UWgfwooNqxk
18:40~ MONOEYES [LAKE STAGE]
初日のLAKE STAGEのトリはMONOEYES。細美武士はthe HIATUSとのダブルヘッダーである。細美は黒のタンクトップ姿で、鍛えられた筋肉があらわになっている。
おなじみのスターウオーズのSEで登場すると、いきなりの「My Instant Song」で飛び跳ねさせまくり、the HIATUS以上にテンポよく次々と曲が演奏されていくのは、このバンドならではの曲そのもののテンポの速さもあるだろう。
「星野源見ないでここに来てくれてありがとう!星野源めちゃ見たかったけど(笑)」
と細美の幅広い音楽性をうかがわせる挨拶で笑わせると、
「今日、Dragon Ashがすげぇ良いライブやってて。建志の言ってることもすごい良くわかるし。パンクとかハードコアのバンドの中にはこのフェスのルールが厳しすぎるって言って、出ないバンドもいる。
でも来なくなるのは簡単。だけどやっぱり簡単に諦めたくない。セキュリティの人たちだって本当は捕まえたくないと思うんだ」
と、kj同様に自身のスタンスを明確にすると、「When I Was King」ではその言葉に呼応したかのように次々とダイバーが続出。
「スコットが決めるぜ!」
と言うとスコット・マーフィーがメインボーカルとしてこのバンドのライブでもすっかりお馴染みになった「Somewhere On Fullerton」、戸高とスコットがギターとベースを銃のようにして撃ち合う「明日公園で」と見た目にも楽しい曲が続く。
「去年はアルバム出した直後ですごい緊張してた。でもツアー回って一年経ってまたこの場所に戻ってこれて本当に嬉しい」
とスコットが心境を素直に述べると、
「こうしてまたこのLAKE STAGEでトリをやらせてもらって本当に感謝の気持ちしかない。…来年はいないかもしれないけど(笑)」
と、2005年のサザンオールスターズの真裏でのELLEGARDEN、2009年の初出演時でのthe HIATUSに続いて、3回目(全て違うバンドで3回はおそらく初)となるLAKE STAGEのトリを飾らせてもらったことに感謝を告げながらも、ダイバーが続出したことによって出禁になる可能性を漂わせながら、もはやリズム走りまくりで全く合っていないけどそれがさらに疾走感を感じさせる「End Of The Story」から、どこかこのライブそのものとこの日1日が終わってゆく寂しさを感じさせる「Remember Me」で本編は終了した。
アンコールにすぐさまメンバーが登場すると、
「スタッフも出演者もお前らもみんなこの1日を最高の日にしようと思ってるけど、考えの違う人たちがたくさんいるからそうもいかねぇ。でもライブをやってる時だけは全ての人の心が重なり合うような、最高な瞬間に手が届きそうな時がある。そういう世界があるなら行ってみたい。そんな曲」
と言って演奏されたのは、まさに
「そういう世界があるなら行ってみたいと思った」
と歌われる「グラニート」。細美が「全然知らなくてもいいんだよ!」と煽ると、客席全体で全てのパートを大合唱。輪になって歌っている人たちも、肩を組んで歌っている人たちもいる。
この瞬間、間違いなくこのステージは細美が言った、全ての人の心が重なり合った「最高の瞬間」以外の何物でもなかった。自身がELLEGARDENでトリを務めてから、数々の伝説のライブが生まれてきたこの夜のLAKE STAGE。その新たな伝説のライブを、またしても細美武士のバンドが作った。
「明日も楽しめよ!」
と言ってメンバー4人が肩を組んで晴れやかな表情でステージから去って行ったが、やっぱりずっとこのステージで見ていたいから、出禁にだけはなって欲しくない。毎回ロッキンとCDJでthe HIATUSもMONOEYESも見てるから、譲れないところがあるのもわかってはいるけど。
リハ1.Just A Little More Time
リハ2.HOMELY GIRL
1.My Instant Song
2.Like We've Never Lost
3.Cold Reaction
4.Run Run
5.What I Left Today
6.When I Was A King
7.Somewhere On Fullerton
8.明日公園で
9.End Of The Story
10.Remember Me
encore
11.グラニート
When I Was A King
https://youtu.be/Tnz--TIKDu0
この日強烈なインパクトを残したのはやはり、Dragon AshとMONOEYES。今になってなんでダイブに言及?という気もしなくはないが。
でもこのフェスのルールが変わることはないだろう。それはかつてこのフェスでダイブで後遺症が出るくらいの怪我人が出てしまったという過去があるから。いくら自己責任と言っても、そのくらい大きな事故が起きてしまえば、フェス側にも責任が発生してしまう。それが多発するとフェスそのものが開催できなくなってしまう可能性すらある。
TOSHI-LOWは2011年にBRAHMANで出演した際に
「運営側も禁止したくて禁止してるんじゃねぇ。前にここで怪我人が出て、仕方なくそうしたんだ。だからそいつを守れなかったお前らにも責任がある。
酒飲んで暴れたやつがいたら酒売るの禁止、髪の毛が口に入ったから髪の毛は全員上で結ぶ、そんなことになったらどんどんつまらないフェスになっちまうぞ。自分たちの遊び場は自分たちで守れ」
と、フェスのルールに理解を示しながら、TOSHI-LOWらしい言葉でダイブについて言及していた。このMCを生で聞いているから、自分はそこのルールについては仕方ないし、もう変えなくてもいいと思っている。
でも今年、来週にかつてダイブを煽って出禁になったKen Yokoyamaが出演する。ダイブさせたら何でもかんでも出禁にする、っていう流れもちょっと変わってきつつあるのかな、とも思う。そんなことを思いながら、宿に向かっていた。
Next→ 8/7 ROCK IN JAPAN FES.2016 day2 @国営ひたち海浜公園


