the HIATUS Hands Of Gravity Tour 2016 @Zepp DiverCity 7/15
- 2016/07/15
- 22:56
近年はMONOEYESやLOW-ATUS、さらには弾き語りなど、様々な形態で自らの音楽を追求している細美武士のthe HIATUSが今月、待望の5thアルバム「Hands Of Gravity」をリリース。まだリリースから一週間しか経っていないにもかかわらず、そのアルバムのリリースツアーがスタート。この日のZepp DiverCityワンマンはその長いツアーの道程の初日である。
19時過ぎになると、突如としてBGMが止まって暗転し、荘厳なSEに乗ってメンバーが登場すると、燃え盛るような真っ赤な照明がメンバーを照らす中、「Hands Of Gravity」のオープニング曲である「Geranium」で照明同様に早くもバンドのグルーヴは燃えている。
続く「Drifting Story」はHIATUSにしては久々のアッパーな曲。これにはMONOEYESを始めたことにより、メンバーから「MONOEYESみたいな曲をHIATUSでもやりたい」という声があったからだそうだが、当然のようにダイバーが続出し、細美はそのダイバーの姿を嬉しそうに指差して笑顔を見せる。
細美と観客が揃っての「1,2,3,4!」のというカウントから雪崩れ込んだサビではやはりダイバー続出となった「Storm Racers」、メンバー同士の音のぶつかり合いが曲として調和することによって、大きなスケールを生み出す「The Flare」と過去曲も演奏しながら、
「ツアーの初日をデカいところでやるのは初めてです。先行EPとかも出してないんで、「Hands Of Gravity」の曲をライブでやるのは初めてです」
と、確かにそうだな、と思わせる(ここ最近のライブはやる曲が一切変わっていなかっただけによりそう思う)細美の挨拶から、細美がアコギに持ち替え、ややイントロを長くしたように感じるアレンジの「Deerhounds」、「Bittersweet / Hatching Mayflies」と「A World Of Pandemonium」の中でも代表曲と言える曲が続く。細美のファルセットの伸びもツアー初日とは思えないくらいのレベルで、シンガーとしてのさらなる進化を感じさせる。
深く内面に潜って行くような歌詞とサウンドの「Let Me Fall」から、メンバーがスーツ姿で演奏するPVが話題を呼んだリード曲「Bonfire」へ。伊澤一葉の鍵盤のフレーズが力強くも実に複雑で、柏倉隆史のドラムも実に手数が多く難解なリズム。しかしながらポップソングとして聴こえるのは、ハンドマイクで歌う細美の歌唱があってこそだろう。
メンバー紹介で
柏倉=雷様
ウエノコウジ、masasucks=パンク
伊澤=変態
とそれぞれのメンバーを一言で表すと、変態と言われた伊澤はウエノコウジが心配するくらいに石集めにハマってしまい、自身の鍵盤の上に「音が良くなる」と言って石を置いているという、もはや宗教性すら感じさせるくらいのハマりっぷりを暴露される。
細美がシンセを操りながらハンドマイク状態を継続したまま、「Thirst」「Unhurt」という前作「Keeper Of The Flame」ではメンバーの後ろにスクリーンが登場し、曲のサウンドをそのまま視覚化したような映像が流れる。こうした演出は細美のバンドにおいては実に珍しいが、曲のスケールが大きいがゆえに、こうした演出は実によく似合う。
細美の歌と伊澤のピアノを軸にした美しいメロディの「Radio」、観客の合唱が起きる「Silver Birch」と最新アルバムの曲とデビューアルバムの曲が違和感なく並ぶ中、再び登場した映像を背に細美が歌い出した…かと思いきや、まさかの歌詞間違いでいったん仕切り直し。
「今日、新しいPVが完成しました!」
と言って演奏された「Clone」ではタイトル、歌詞そのもののようなアニメーションのPVが流れる。こうして生の音を聴きながら、出来上がったばかりのPVを見れるというのはなんと贅沢なことだろうか。
荒々しさと洗練さが同居する「Lone Train Running」では再び大合唱とダイバーが続出し、masasucksがMCで下ネタを投下し、観客からも「変態!」などの伊澤いじりが発生する中、
「変態と2人プレイで(笑)」
と言って最初は細美と伊澤のピアノのみから、徐々に各メンバーが演奏に加わっていく「Tree Rings」は、派手な曲ではない、むしろバラードと言えるタイプの曲だが、その演奏の仕方も含めて、新作の中で最もライブで真価を発揮する曲と言えるのかもしれない。
幻想的な照明がメンバーのみならず客席を照らす「Catch You Later」、対照的に光の柱がメンバーに突き刺さるような「Secret」と、演出がいつにも増して派手でありながらも的確に曲のイメージを増幅させる中、
「今日はありがとう。また夏のどこかで会いましょう。ツアー行ってきます!」
と細美が告げると、細美の絶唱が響き渡る「Insomnia」、結果的にこの日唯一の日本語曲となり、たくさんのダイバーが爆発的にステージに雪崩れ込んでいく「紺碧の夜に」、そしてラストはアルバムを締める曲「Sunburn」がどこか夏の到来と、これから始まる各地の夏フェスでこのバンドのライブをまた見れる、見たいという気持ちを抱かせながら響き、
「お前らとライブできて本当に楽しかった!」
と細美が言うと、メンバーは爽やかな表情でステージを去って行った。
アンコールで割とすぐメンバーが再登場すると、すでに結成から7年、アルバム5枚という長い期間に渡って活動してきた歴史に感慨を感じながら、
「俺たちもこの曲でthe HIATUSと出会いました!」
と言って演奏されたのは、1stアルバムの1曲目に収録されていた「Ghost In The Rain」。ライブで聴くのは実に久しぶりだが、ただ単にELLEGARDENのボーカルが始めたバンドで、鍵盤の音が入ってるというだけではなく、それ以上に激しさと美しさを感じさせるこの曲の衝撃は7年経っても全く薄れていない。
終演SEが鳴ってもまだアンコールを求める拍手は止まず、やはりメンバーが登場すると、
「もうそんなんされたら出てくるしかねーじゃん(笑)でもこれで最後だから。これでもう帰るから」
と告げ、ジャケットを脱いでタンクトップ姿になったウエノコウジが50歳とは思えぬ肉体を見せながら最後に演奏された「Horse Riding」は、masasucksがサイケデリックなギターノイズを発するというアレンジに変わりながらも、そうして変わっていくこの国の情勢の中にあって、今なお革命のサウンドトラックとして響いていた。
CDを聴いた時は、もうどう乗ればいいのかわからないような複雑なリズムだな、とすら思った、「Hands Of Gravity」ツアーの初日。しかしライブで演奏されると体というより心の奥底から乗れてしまうこのバンドのグルーヴはやはり凄まじい。初日でこの完成度ってこれからどうなるんだろうか。是非ともこの状態の完成形を見てみたいものだが。
しかしELLEGARDEN時代はそうは思わなかったが、HIATUSになってからの細美武士の歌の上手さと、慈悲深さというか懐の深さを感じさせる歌唱っぷりはなんなんだろうか。それはアッパーな曲よりも、近年のシンセを主体にした曲や、歌いあげるような曲でこそよりそう感じる。
パンク要素の強いバンド(から始まった)のボーカルでここまで思う存在って他にいない。人を惹きつけるカリスマ性、人間性の部分もそうだが、それらを全て度外視した音楽家としてでさえ、細美武士という男は本当に今まで日本にいなかったし、これからもきっと並ぶような人は出てこないであろう、とんでもない存在である。
1.Geranium
2.Drifting Story
3.Storm Racers
4.The Flare
5.Deerhounds
6.Bittersweet / Hatching Mayflies
7.Let Me Fall
8.Bonfire
9.Thirst
10.Unhurt
11.Radio
12.Silver Birch
13.Clone
14.Lone Train Running
15.Tree Rings
16.Catch You Later
17.Secret
18.Insomnia
19.紺碧の夜に
20.Sunburn
encore1
21.Ghost In The Rain
encore2
22.Horse Riding
Clone
https://youtu.be/h9aLBoHFeOQ
Next→ 7/20 新木場サンセット @新木場STUDIO COAST
19時過ぎになると、突如としてBGMが止まって暗転し、荘厳なSEに乗ってメンバーが登場すると、燃え盛るような真っ赤な照明がメンバーを照らす中、「Hands Of Gravity」のオープニング曲である「Geranium」で照明同様に早くもバンドのグルーヴは燃えている。
続く「Drifting Story」はHIATUSにしては久々のアッパーな曲。これにはMONOEYESを始めたことにより、メンバーから「MONOEYESみたいな曲をHIATUSでもやりたい」という声があったからだそうだが、当然のようにダイバーが続出し、細美はそのダイバーの姿を嬉しそうに指差して笑顔を見せる。
細美と観客が揃っての「1,2,3,4!」のというカウントから雪崩れ込んだサビではやはりダイバー続出となった「Storm Racers」、メンバー同士の音のぶつかり合いが曲として調和することによって、大きなスケールを生み出す「The Flare」と過去曲も演奏しながら、
「ツアーの初日をデカいところでやるのは初めてです。先行EPとかも出してないんで、「Hands Of Gravity」の曲をライブでやるのは初めてです」
と、確かにそうだな、と思わせる(ここ最近のライブはやる曲が一切変わっていなかっただけによりそう思う)細美の挨拶から、細美がアコギに持ち替え、ややイントロを長くしたように感じるアレンジの「Deerhounds」、「Bittersweet / Hatching Mayflies」と「A World Of Pandemonium」の中でも代表曲と言える曲が続く。細美のファルセットの伸びもツアー初日とは思えないくらいのレベルで、シンガーとしてのさらなる進化を感じさせる。
深く内面に潜って行くような歌詞とサウンドの「Let Me Fall」から、メンバーがスーツ姿で演奏するPVが話題を呼んだリード曲「Bonfire」へ。伊澤一葉の鍵盤のフレーズが力強くも実に複雑で、柏倉隆史のドラムも実に手数が多く難解なリズム。しかしながらポップソングとして聴こえるのは、ハンドマイクで歌う細美の歌唱があってこそだろう。
メンバー紹介で
柏倉=雷様
ウエノコウジ、masasucks=パンク
伊澤=変態
とそれぞれのメンバーを一言で表すと、変態と言われた伊澤はウエノコウジが心配するくらいに石集めにハマってしまい、自身の鍵盤の上に「音が良くなる」と言って石を置いているという、もはや宗教性すら感じさせるくらいのハマりっぷりを暴露される。
細美がシンセを操りながらハンドマイク状態を継続したまま、「Thirst」「Unhurt」という前作「Keeper Of The Flame」ではメンバーの後ろにスクリーンが登場し、曲のサウンドをそのまま視覚化したような映像が流れる。こうした演出は細美のバンドにおいては実に珍しいが、曲のスケールが大きいがゆえに、こうした演出は実によく似合う。
細美の歌と伊澤のピアノを軸にした美しいメロディの「Radio」、観客の合唱が起きる「Silver Birch」と最新アルバムの曲とデビューアルバムの曲が違和感なく並ぶ中、再び登場した映像を背に細美が歌い出した…かと思いきや、まさかの歌詞間違いでいったん仕切り直し。
「今日、新しいPVが完成しました!」
と言って演奏された「Clone」ではタイトル、歌詞そのもののようなアニメーションのPVが流れる。こうして生の音を聴きながら、出来上がったばかりのPVを見れるというのはなんと贅沢なことだろうか。
荒々しさと洗練さが同居する「Lone Train Running」では再び大合唱とダイバーが続出し、masasucksがMCで下ネタを投下し、観客からも「変態!」などの伊澤いじりが発生する中、
「変態と2人プレイで(笑)」
と言って最初は細美と伊澤のピアノのみから、徐々に各メンバーが演奏に加わっていく「Tree Rings」は、派手な曲ではない、むしろバラードと言えるタイプの曲だが、その演奏の仕方も含めて、新作の中で最もライブで真価を発揮する曲と言えるのかもしれない。
幻想的な照明がメンバーのみならず客席を照らす「Catch You Later」、対照的に光の柱がメンバーに突き刺さるような「Secret」と、演出がいつにも増して派手でありながらも的確に曲のイメージを増幅させる中、
「今日はありがとう。また夏のどこかで会いましょう。ツアー行ってきます!」
と細美が告げると、細美の絶唱が響き渡る「Insomnia」、結果的にこの日唯一の日本語曲となり、たくさんのダイバーが爆発的にステージに雪崩れ込んでいく「紺碧の夜に」、そしてラストはアルバムを締める曲「Sunburn」がどこか夏の到来と、これから始まる各地の夏フェスでこのバンドのライブをまた見れる、見たいという気持ちを抱かせながら響き、
「お前らとライブできて本当に楽しかった!」
と細美が言うと、メンバーは爽やかな表情でステージを去って行った。
アンコールで割とすぐメンバーが再登場すると、すでに結成から7年、アルバム5枚という長い期間に渡って活動してきた歴史に感慨を感じながら、
「俺たちもこの曲でthe HIATUSと出会いました!」
と言って演奏されたのは、1stアルバムの1曲目に収録されていた「Ghost In The Rain」。ライブで聴くのは実に久しぶりだが、ただ単にELLEGARDENのボーカルが始めたバンドで、鍵盤の音が入ってるというだけではなく、それ以上に激しさと美しさを感じさせるこの曲の衝撃は7年経っても全く薄れていない。
終演SEが鳴ってもまだアンコールを求める拍手は止まず、やはりメンバーが登場すると、
「もうそんなんされたら出てくるしかねーじゃん(笑)でもこれで最後だから。これでもう帰るから」
と告げ、ジャケットを脱いでタンクトップ姿になったウエノコウジが50歳とは思えぬ肉体を見せながら最後に演奏された「Horse Riding」は、masasucksがサイケデリックなギターノイズを発するというアレンジに変わりながらも、そうして変わっていくこの国の情勢の中にあって、今なお革命のサウンドトラックとして響いていた。
CDを聴いた時は、もうどう乗ればいいのかわからないような複雑なリズムだな、とすら思った、「Hands Of Gravity」ツアーの初日。しかしライブで演奏されると体というより心の奥底から乗れてしまうこのバンドのグルーヴはやはり凄まじい。初日でこの完成度ってこれからどうなるんだろうか。是非ともこの状態の完成形を見てみたいものだが。
しかしELLEGARDEN時代はそうは思わなかったが、HIATUSになってからの細美武士の歌の上手さと、慈悲深さというか懐の深さを感じさせる歌唱っぷりはなんなんだろうか。それはアッパーな曲よりも、近年のシンセを主体にした曲や、歌いあげるような曲でこそよりそう感じる。
パンク要素の強いバンド(から始まった)のボーカルでここまで思う存在って他にいない。人を惹きつけるカリスマ性、人間性の部分もそうだが、それらを全て度外視した音楽家としてでさえ、細美武士という男は本当に今まで日本にいなかったし、これからもきっと並ぶような人は出てこないであろう、とんでもない存在である。
1.Geranium
2.Drifting Story
3.Storm Racers
4.The Flare
5.Deerhounds
6.Bittersweet / Hatching Mayflies
7.Let Me Fall
8.Bonfire
9.Thirst
10.Unhurt
11.Radio
12.Silver Birch
13.Clone
14.Lone Train Running
15.Tree Rings
16.Catch You Later
17.Secret
18.Insomnia
19.紺碧の夜に
20.Sunburn
encore1
21.Ghost In The Rain
encore2
22.Horse Riding
Clone
https://youtu.be/h9aLBoHFeOQ
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