Czecho No Republic presents 「ドリームシャワー2016」 @新木場STUDIO COAST 7/3
- 2016/07/04
- 23:49
去年は日比谷野音での記念碑的ワンマンとして行われた、Czecho No Republicの企画ライブ「ドリームシャワー」。今年は6バンドを招いてのフェス形式となり、会場も新木場STUDIO COASTに移動。
会場には飲食ブースや、チェコのライブらしく花冠のアレンジブースなども出ており、メインの「MAGIC STAGE」には南国風のヤシの木、サブの「MIRAGO STAGE」には旗が飾り付けられており、このあたりは実にこのバンドらしい装飾。
開演時間の14時前になると、ステージにはこの日のMCである芦沢ムネトが登場し、前説を行うと最初のバンドが登場。
・sumika [MAGIC STAGE]
メインステージのトップバッターはsumika。今年は各地のフェスに出演しているが、チェコの事務所の後輩ということで、このメインステージに登場するのも納得。
片岡健太の爽やかな声を活かしたボーカルを中心としながらも、サポートベーシストを含めた力強い演奏は抜群のグルーヴを誇り、ポップなラブソングのイメージもあるこのバンドがライブを重ねてきているロックバンドであることを実感させる。
メンバー紹介でギターの黒田が1番カッコいいポーズを取ったりする中、かつてとんねるずの番組に出演して「モノマネ王子」と評されたキーボードの小川は
「チェコは事務所の先輩なんで、たまに機材車を借りたりするんですけど、前に機材車を借りたら、チェコのメンバーのETCカードが挿さっていて、思わず使ってしまいました!」
と暴露。
しかしこの小川の存在が、近年の曲のアレンジの幅をこれまで以上に広げているし(「Lovers」のアウトロのワルツの部分に顕著)、キーボードのサウンドはもはやこのバンドにはなくてはならないものになっている。
青春性を強く感じさせる最新作の「Sara」から、ラストは片岡が
「好きなものと嫌いなものが世の中にはあるけれど、1番多いのは好きでも嫌いでもないもの。今日、初めて見るバンドも出てると思うけど、その好きでも嫌いでもないが好きに変わる瞬間が少しでも多く訪れますように」
と真摯な言葉を投げかけて、合唱も起こして歌詞の通りに100%以上を観客に伝えようとする「「伝言歌」」で終了。
前日にツアーから帰還したばかりという強行スケジュールだったが、そんな状況でも出演すると決めたのは、チェコがただ単に事務所の先輩であるからというだけではなく、お互いのバンドが共通する音楽性を持った同志であるからで間違いないだろう。すでに赤坂BLITZを埋めるほどの人気になっているバンドだが、こうして様々な場所に出て行っていろんな人を巻き込むことによって、さらにデカい場所、例えばこの新木場STUDIO COASTとかでワンマンをするような存在になると思う。
1.ソーダ
2.ふっかつのじゅもん
3.Lovers
4.Sara
5.「伝言歌」
Lovers
https://youtu.be/FFITBgsyVr4
・lovefilm [MIRAGO STAGE]
かつてチェコの渋谷AXでのワンマンにDJとして出演した、石毛とノブによる新バンド、lovefilm。この日が4回目のライブとなる。
アンプに電飾が飾り付けられているのが目を引く中、石毛とノブが向かい合ってギターとベースを弾き、江夏詩織ボーカルのポップな曲でスタートし、the telephonesとは異なる、青春性を強く感じさせるギターロックを演奏していく。
石毛がステージの飾り付けなどがチェコらしくて素晴らしいと褒め称えながらも、自身が新人であることを何度となくアピールすると、ノブも口調を新人らしく丁寧なものに直しながら江夏に盛り上げ役を委ねる。
すでにアルバムのリリースが8月に決定しているが、中盤には過去3回のライブでは演奏されなかった曲も演奏される。やはり実にポップな曲で、石毛と江夏のツインボーカルもよく映えるが、こうしてライブで演奏できる曲が増えていくのは、それだけでバンドの歩みが進んでいることを実感できる。
最後にはノイジーなギターサウンドの曲も演奏されたが、時間が短いこともあり、過去3回のライブでは演奏されていた、2ビートの疾走感溢れる「Alien」は演奏されず。
しかしながらこうして曲が増えてくるとやはりアルバムが本当に楽しみになってくるし、アルバムが出てからがこのバンドの本領が発揮されるような気もする。
・go! go! vanillas [MAGIC STAGE]
芦沢ムネトが前説でTHE BAWDIESのROYのMCのモノマネをするとそのあまりの完成度の高さに爆笑が起こったが、そのTHE BAWDIESの弟分というようなgo! go! vanillasが登場。
メンバーが登場するなり牧が、
「このステージは僕らに非常に所縁のある名前です。ロックンロールの魔法にかけてやる!」
と言ってステージと同名タイトルである「マジック」からスタート。さらに「エマ」ではイントロにライブならではのアレンジが追加されており、ライブを重ねてきたからこその進化が伺える。
もともとはベースのプリティが手がけたカップリング曲で、アルバムに全員のマイクリレーバージョンが収録された「デッドマンズチェイス」では牧、プリティ、柳沢の3人がステージ上を動き回りながら歌い、さらには観客の合唱も煽り、まさに全員歌唱状態。柳沢と牧は一本のマイクを分け合って歌うのだが、こうして聞くと柳沢が実に歌がうまいことがよくわかる。さすがにもともとはギターボーカルとして歌っていただけはある。
今月リリースされるTHE BAWDIESとのスプリットシングル収録の、ツービートの高速パーティーチューン「ヒンキーディンキーパーティークルー」も披露。こうしたタイプのパーティーチューンはチェコのファンとも非常に相性が良い。
ステージ名の由来をバラしたりしながら、盛り上がりぶりはさらに増していき、「カウンターアクション」まで突っ走ると、最後に演奏を終えたドラムのジェットセイヤが前方宙返りを何度も繰り返すというライブ後とは思えない身体能力と体力を見せつけ、プリティは今月20日のTHE BAWDIESとのスプリットシングル発売と、当日の代々木でのフリーライブの告知をしてからステージを去った。
もともとライブでのし上がってきたバンドだが、ここにきて今のメンバーでのグルーヴがバンド史上最高レベルに進化している。もはやこのキャパでワンマンやってるのも当たり前というような貫禄すら感じる頼もしさを纏うようになった。つまり、ここからまだまだ大きいところに行きそう。
リハ.ニューゲーム
1.マジック
2.エマ
3.デッドマンズチェイス
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.スーパーワーカー
6.カウンターアクション
ヒンキーディンキーパーティークルー
https://youtu.be/EDmD4MN8f8s
・Helsinki Lambda Club [MIRAGO STAGE]
UKFCのオーディションからシーンに登場しただけに、この新木場STUDIO COASTのサブステージでライブをするのもすっかり見慣れている、Helsinki Lambda Club。
オルタナ色の強い「しゃれこうべ しゃれこうべ」でスタートすると、「ユアンと踊れ」「All My Loving」というポップな曲へ。金髪になった橋本薫(ボーカル&ギター)以上に目を引くのは、芦沢ムネトに「人生を一回解脱しているような」と評された出で立ちのベース稲葉。ベーシストとは思えない独特のステップを踏みながら演奏したり、ずっと白目を剥きながら演奏したりしている。ちなみにこの男が履いているのは、小学生や中学生が履くような懐かしの上履きである。
その稲葉のリフが印象的な「Lost in the Supermarket」から新曲「マニーハニー」へ。ポップとオルタナの狭間を行ったり来たりする中、稲葉が突然「イェーイ」と発すると、
橋本「普段200人くらいのライブハウスでライブしてて、10人くらいが稲葉君のことをキモいって思ったとするじゃん?今日2000人いたら単純に100人の人にキモいって思われてると思ったら可哀想になってきた(笑)」
と、突っ込みどころがありすぎる稲葉に対して冷静に全体的な突っ込みを入れる。
そうして初見の人がほとんどであろう中、メンバーのキャラを徐々に浸透させると、染み入るような「シンセミア」を聴かせて「盛り上がる以外の方法を」提示し、ラストは稲葉が曲前にタイトルを一文字で表現して失笑を誘った「TVHBD」。ノイジーかつサイケデリックなギターサウンドと橋本の歌い方はOGRE YOU ASSHOLEの影響も感じさせるが、最後のサビ前に稲葉がZAZEN BOYSの向井秀徳のように何度も「ハッ!」と発してからバンドがキメを打つと、
稲葉「今から最後のサビに入るんですけど、せーの!って言ってもらっていいですか?
俺がせーの!って言うんで、そしたらみんながせーの!って言うっていうせーの!せーの!で(笑)」
橋本「それめちゃくちゃ効率悪くない?(笑)」
というやり取りで爆笑させ、序盤はアウェー感が強かったこの場をキャラも含めて完全にかっさらって行った。
バンドはこの後、すぐに渋谷に行ってまたライブをするというスケジュールらしい。普通ならそんな強行スケジュールになるんなら断ってもいいと思うのだが、彼らは
「大好きなチェコに誘ってもらったから絶対出たかった。会いたい人たちにも会えたし」
と言ってこのステージに立った。その言葉に嘘がないのは、このバンドの歌詞に、メンバーが影響を受けた様々なバンドの名前が入っているくらいに音楽が大好きなことからもわかるし、実際に間違いなくバンドはこの強行スケジュールならではのチャンスを見事にモノにしてみせた。そういう面でも実に愛すべきバンド。
1.しゃれこうべ しゃれこうべ
2.ユアンと踊れ
3.All My Loving
4.メサイアのビーチ
5.Lost in the Supermarket
6.マニーハニー
7.シンセミア
8.TVHBD
しゃれこうべ しゃれこうべ
https://youtu.be/cTzSIGbsExk
・パスピエ [MAGIC STAGE]
先日この会場で自主企画ライブを行ったパスピエ。世代的にはチェコとそこまで変わらないが、あまり仲が良いというイメージはないだけに少々意外な出演である。
幻想的なSEで赤と緑の衣装を纏った大胡田なつきをはじめとするメンバー5人が登場すると、そのSEに繋がるような形でイントロを演奏し始めた「とおりゃんせ」からスタート。大胡田はいつものようにゆらゆらと踊りながらその独特な声を響かせる。
バンドの新章突入を告げる最新シングル「ヨアケマエ」では間奏で大胡田がシンセを弾き、続いてはまさかの「はいからさん」。今やワンマンですら全く演奏されていないこの曲がなぜ今このタイミングで演奏されたのかはわからないが(例えばマネージャーの名前がはいからさんであるキュウソネコカミとの対バンとかならわかる)、後半に向けて徐々に盛り上がっていくようなライブならではのアレンジに生まれ変わったというのもあるかもしれない。
そして自主企画でも演奏されていた新曲「永すぎた春」は、現在のパスピエのイメージでもある和なバンドサウンドをさらに突き詰めたような曲で、この後に成田ハネダが言っていたように、この南国風のステージが実に似合わない(笑)
大胡田は成田がMCをしている間にヤシの木を触りに行くという自由さを見せる。
そのMCでは成田が
「チェコは昔からずっと知ってたんだけど、おしゃれなイメージだしメンバーも爽やかだしで、いけすかねぇなって思ってて(笑)
でも僕はラジオを聴くのが趣味なんだけど、たまたまチェコのラジオを聴いたら、まぁ武井君の闇の深いこと深いこと(笑)
あんなに下ネタ言うのかっていうくらい(笑)
だから今回のライブのタイトルも下ネタにしか思えない(笑)」
とチェコとの馴れ初めを語り、終盤はシングル曲を含めてキラーチューンを連発。「MATATABISTEP」では大胡田が独特のダンスを踊り、最後はきらめくようなポップサウンドの「トキノワ」で
「続きはまた今度」
と告げてステージを去った。
高い演奏力を活かしたアレンジなども含め、やはりこのバンドのライブは盛り上がりながらもため息が出るくらいに素晴らしい。これからの夏フェスを経て、冬のホールツアーが終わる頃にはどこまで進化しているのだろうか。
1.とおりゃんせ
2.ヨアケマエ
3.はいからさん
4.永すぎた春
5.裏の裏
6.MATATABISTEP
7.トキノワ
永すぎた春
https://youtu.be/ftV3TOYIFNI
・Yogee New Waves [MIRAGO STAGE]
サブステージのMIRAGO STAGEのトリを務めるのはYogee New Waves。
ボーカルの角館が新しいギターを掲げてアピールすると、「シティポップ」と括られることも多いCDのイメージよりははるかにエモーショナルなライブを展開。特にリズムが実に力強く、ロックバンドのグルーヴが渦巻いている。
時間がないのでMCは控えめにと言いながらも、曲間にギターのノイズが発生すると、
「今のノイズ超かっけー(笑)
僕らノイズ大好きなんで、今の録っておきたい(笑)」
と言って笑わせるが、曲にはノイズがほとんどなく、日本語を大事にしたムーディーなポップソングを奏でていく。
おしゃれなイメージもあるし、実際に昨年のSWEET LOVE SHOWERのアコースティック編成でのライブを見た時もそういうイメージだったが、今のこのバンドは力強いロックバンドだった。それは雰囲気だけが先行しがちなインディーポップの中で、ライブがいいというバンドとして最も大事な部分を持っているからこそだが、これぞ!という曲があればさらに化けるような気がする。
1.Like Sixteen Candles
2.Good Bye
3.Climax Night
4.Fantasic Show
5.Dreamin' Boy
Like Sixteen Candles
https://youtu.be/J8bW8kqgjm8
・Czecho No Republic [MAGIC STAGE]
そしていよいよこのイベントを締めくくるべく、主催者であるCzecho No Republicが登場。
ディズニーランドのエレクトリカルパレードのSEでメンバーが現れると、「Amazing Parade」から「No Way」という傑作アルバム「MANTLE」の流れ。
この日のイベントの雰囲気にピッタリな「Festival」「MUSIC」というキラーチューンが続くが、実にテンポが良い。曲間がほとんどないのもそうだが、曲自体のテンポも明らかに速くなっている。
その速さを象徴するかのように八木ボーカルの「24 FACTORY」ではもはやパンクバンドかというほどの速さ。もともと八木の曲はパンク色が強い曲が多いが、それがより映えるような流れになっている。
すると今月にリリースされるニューアルバムの告知を行い、その中からタカハシマイがボーカルのリード曲「Electric Girl」を披露。EDM色をさらに強めた、八木と武井がシンセを操り、タカハシはピンボーカルに専念する、夏らしい曲。タカハシのボーカルの神聖さがこのEDMサウンドによってこれまでよりさらに際立っている。
芦沢ムネトがMCでいじりまくっていた、最前エリアにいる田中という観客を武井がいじると、ドラゴンボールのタイアップ曲になった最新シングル「Forever Dreaming」では合唱を起こし、
「夏らしい、花火の曲」
と言って「Firework」を演奏し、新曲からEDM色の強い曲が続いたことで、武井はもうほとんどベースを弾かず、ハンドマイクで歌う場面も多くなっているのだが、本番前に芦沢ムネトが「緊張しすぎて吐きそうになってる」とは思えないくらいに武井は楽しそうに歌い、これまでよりも多くの箇所で手拍子を煽るようになった。
そして本編ラストは「Forever Dreaming」の前にドラゴンボールの主題歌だった「Oh Yeah!!!!!!!」。インディーズ時代の曲はセトリから姿を消したが、それも納得なこの近年の楽曲のキラーチューンっぷり。この曲を去年野音で演奏した時に武井は曲中で思わずベースを置いてステージ前まで出てきてハンドマイクで歌っていたが、あの瞬間が今に至るまでのキーポイントだったような気がする。
砂川が決めセリフの「エンジョーイ!」を叫んでステージを後にすると、アンコールで再登場して武井が
「ただの対バンっていうよりもフェスみたいな感じになったでしょ?ずっと自分たちのフェスをやりたかった」
とこのイベントへの思いを語り、さらにはツアーでまだ会場が発表されていなかった、序盤の都内某所での2daysが渋谷eggmanであることが発表される。その内容は初日が女子限定、2日目が男子限定というものだが、男子限定のライブのタイトルが完全に下ネタであり、このイベントのタイトルがやはり下ネタであったことがここで明らかになる。(去年の野音に参加した人は知っているけど)
そしてさらにアルバムから、ラテン音楽の要素も取り入れた新曲「Dream Beach Sunset」を披露。ここまでの武井がハンドマイクで歌う曲はベースの音がシンセか打ち込みだったが、この曲ではなんと砂川がベースを弾く。それによってEDMが主体でありながらあくまでサウンドは肉体的でロックバンドのもの。
この曲と「Electric Girl」を聴いた限り、夏のリリースということもあって、新作アルバムは内省的な内容だった前作とは対照的にかなり夏に照準を合わせたものになりそう。
そして最後は武井が「みんな出てきていいんじゃない!?」と言って「ダイナソー」が始まると、残っていたこの日の出演者(Helsinki Lambda Clubとパスピエ以外)がステージに集結し、メンバーを囲むようにそれぞれが楽しみながら歌う中、ノブが八木のギターを、プリティが砂川のメガネを奪い、やりたい放題の多幸感溢れる瞬間。かつて、the telephonesがイベントなどの最後に「Love&DISCO」でよくこうして出演者全員集合させていたが、今のチェコはその当時のthe telephonesのような存在になりつつある。
それは、ただ単に仲の良いバンドを集めた、というわけではなく、普通に活動していたら交わることのないそのバンド同士を引きあわせるような存在になっているということ。(例えばgo! go! vanillasとYogee New Wavesは普通に2マンをやるような関係でも音楽性でもない)
それをこの日できたのは、チェコの曲はもちろん、人間性によるところも非常に大きい。最後に武井は来年の開催を宣言し、
「来年も来てくれるかな?」「いいとも!」
のコール&レスポンスをしていたが、こんな瞬間を見せられたら、来年も絶対来るしかない。
チェコの活動とともに、これからこのイベントがどう成長していくのかが本当に楽しみだ。
1.Amazing Parade
2.No Way
3.Festival
4.MUSIC
5.24 Factory
6.Electric Girl
7.Forever Dreaming
8.Firework
9.Oh Yeah!!!!!!!
encore
10.Dream Beach Sunset
11.ダイナソー
Forever Dreaming
https://youtu.be/9qw5ghJZgTs
Next→ 7/8 銀杏BOYZ @名古屋ダイヤモンドホール
会場には飲食ブースや、チェコのライブらしく花冠のアレンジブースなども出ており、メインの「MAGIC STAGE」には南国風のヤシの木、サブの「MIRAGO STAGE」には旗が飾り付けられており、このあたりは実にこのバンドらしい装飾。
開演時間の14時前になると、ステージにはこの日のMCである芦沢ムネトが登場し、前説を行うと最初のバンドが登場。
・sumika [MAGIC STAGE]
メインステージのトップバッターはsumika。今年は各地のフェスに出演しているが、チェコの事務所の後輩ということで、このメインステージに登場するのも納得。
片岡健太の爽やかな声を活かしたボーカルを中心としながらも、サポートベーシストを含めた力強い演奏は抜群のグルーヴを誇り、ポップなラブソングのイメージもあるこのバンドがライブを重ねてきているロックバンドであることを実感させる。
メンバー紹介でギターの黒田が1番カッコいいポーズを取ったりする中、かつてとんねるずの番組に出演して「モノマネ王子」と評されたキーボードの小川は
「チェコは事務所の先輩なんで、たまに機材車を借りたりするんですけど、前に機材車を借りたら、チェコのメンバーのETCカードが挿さっていて、思わず使ってしまいました!」
と暴露。
しかしこの小川の存在が、近年の曲のアレンジの幅をこれまで以上に広げているし(「Lovers」のアウトロのワルツの部分に顕著)、キーボードのサウンドはもはやこのバンドにはなくてはならないものになっている。
青春性を強く感じさせる最新作の「Sara」から、ラストは片岡が
「好きなものと嫌いなものが世の中にはあるけれど、1番多いのは好きでも嫌いでもないもの。今日、初めて見るバンドも出てると思うけど、その好きでも嫌いでもないが好きに変わる瞬間が少しでも多く訪れますように」
と真摯な言葉を投げかけて、合唱も起こして歌詞の通りに100%以上を観客に伝えようとする「「伝言歌」」で終了。
前日にツアーから帰還したばかりという強行スケジュールだったが、そんな状況でも出演すると決めたのは、チェコがただ単に事務所の先輩であるからというだけではなく、お互いのバンドが共通する音楽性を持った同志であるからで間違いないだろう。すでに赤坂BLITZを埋めるほどの人気になっているバンドだが、こうして様々な場所に出て行っていろんな人を巻き込むことによって、さらにデカい場所、例えばこの新木場STUDIO COASTとかでワンマンをするような存在になると思う。
1.ソーダ
2.ふっかつのじゅもん
3.Lovers
4.Sara
5.「伝言歌」
Lovers
https://youtu.be/FFITBgsyVr4
・lovefilm [MIRAGO STAGE]
かつてチェコの渋谷AXでのワンマンにDJとして出演した、石毛とノブによる新バンド、lovefilm。この日が4回目のライブとなる。
アンプに電飾が飾り付けられているのが目を引く中、石毛とノブが向かい合ってギターとベースを弾き、江夏詩織ボーカルのポップな曲でスタートし、the telephonesとは異なる、青春性を強く感じさせるギターロックを演奏していく。
石毛がステージの飾り付けなどがチェコらしくて素晴らしいと褒め称えながらも、自身が新人であることを何度となくアピールすると、ノブも口調を新人らしく丁寧なものに直しながら江夏に盛り上げ役を委ねる。
すでにアルバムのリリースが8月に決定しているが、中盤には過去3回のライブでは演奏されなかった曲も演奏される。やはり実にポップな曲で、石毛と江夏のツインボーカルもよく映えるが、こうしてライブで演奏できる曲が増えていくのは、それだけでバンドの歩みが進んでいることを実感できる。
最後にはノイジーなギターサウンドの曲も演奏されたが、時間が短いこともあり、過去3回のライブでは演奏されていた、2ビートの疾走感溢れる「Alien」は演奏されず。
しかしながらこうして曲が増えてくるとやはりアルバムが本当に楽しみになってくるし、アルバムが出てからがこのバンドの本領が発揮されるような気もする。
・go! go! vanillas [MAGIC STAGE]
芦沢ムネトが前説でTHE BAWDIESのROYのMCのモノマネをするとそのあまりの完成度の高さに爆笑が起こったが、そのTHE BAWDIESの弟分というようなgo! go! vanillasが登場。
メンバーが登場するなり牧が、
「このステージは僕らに非常に所縁のある名前です。ロックンロールの魔法にかけてやる!」
と言ってステージと同名タイトルである「マジック」からスタート。さらに「エマ」ではイントロにライブならではのアレンジが追加されており、ライブを重ねてきたからこその進化が伺える。
もともとはベースのプリティが手がけたカップリング曲で、アルバムに全員のマイクリレーバージョンが収録された「デッドマンズチェイス」では牧、プリティ、柳沢の3人がステージ上を動き回りながら歌い、さらには観客の合唱も煽り、まさに全員歌唱状態。柳沢と牧は一本のマイクを分け合って歌うのだが、こうして聞くと柳沢が実に歌がうまいことがよくわかる。さすがにもともとはギターボーカルとして歌っていただけはある。
今月リリースされるTHE BAWDIESとのスプリットシングル収録の、ツービートの高速パーティーチューン「ヒンキーディンキーパーティークルー」も披露。こうしたタイプのパーティーチューンはチェコのファンとも非常に相性が良い。
ステージ名の由来をバラしたりしながら、盛り上がりぶりはさらに増していき、「カウンターアクション」まで突っ走ると、最後に演奏を終えたドラムのジェットセイヤが前方宙返りを何度も繰り返すというライブ後とは思えない身体能力と体力を見せつけ、プリティは今月20日のTHE BAWDIESとのスプリットシングル発売と、当日の代々木でのフリーライブの告知をしてからステージを去った。
もともとライブでのし上がってきたバンドだが、ここにきて今のメンバーでのグルーヴがバンド史上最高レベルに進化している。もはやこのキャパでワンマンやってるのも当たり前というような貫禄すら感じる頼もしさを纏うようになった。つまり、ここからまだまだ大きいところに行きそう。
リハ.ニューゲーム
1.マジック
2.エマ
3.デッドマンズチェイス
4.ヒンキーディンキーパーティークルー
5.スーパーワーカー
6.カウンターアクション
ヒンキーディンキーパーティークルー
https://youtu.be/EDmD4MN8f8s
・Helsinki Lambda Club [MIRAGO STAGE]
UKFCのオーディションからシーンに登場しただけに、この新木場STUDIO COASTのサブステージでライブをするのもすっかり見慣れている、Helsinki Lambda Club。
オルタナ色の強い「しゃれこうべ しゃれこうべ」でスタートすると、「ユアンと踊れ」「All My Loving」というポップな曲へ。金髪になった橋本薫(ボーカル&ギター)以上に目を引くのは、芦沢ムネトに「人生を一回解脱しているような」と評された出で立ちのベース稲葉。ベーシストとは思えない独特のステップを踏みながら演奏したり、ずっと白目を剥きながら演奏したりしている。ちなみにこの男が履いているのは、小学生や中学生が履くような懐かしの上履きである。
その稲葉のリフが印象的な「Lost in the Supermarket」から新曲「マニーハニー」へ。ポップとオルタナの狭間を行ったり来たりする中、稲葉が突然「イェーイ」と発すると、
橋本「普段200人くらいのライブハウスでライブしてて、10人くらいが稲葉君のことをキモいって思ったとするじゃん?今日2000人いたら単純に100人の人にキモいって思われてると思ったら可哀想になってきた(笑)」
と、突っ込みどころがありすぎる稲葉に対して冷静に全体的な突っ込みを入れる。
そうして初見の人がほとんどであろう中、メンバーのキャラを徐々に浸透させると、染み入るような「シンセミア」を聴かせて「盛り上がる以外の方法を」提示し、ラストは稲葉が曲前にタイトルを一文字で表現して失笑を誘った「TVHBD」。ノイジーかつサイケデリックなギターサウンドと橋本の歌い方はOGRE YOU ASSHOLEの影響も感じさせるが、最後のサビ前に稲葉がZAZEN BOYSの向井秀徳のように何度も「ハッ!」と発してからバンドがキメを打つと、
稲葉「今から最後のサビに入るんですけど、せーの!って言ってもらっていいですか?
俺がせーの!って言うんで、そしたらみんながせーの!って言うっていうせーの!せーの!で(笑)」
橋本「それめちゃくちゃ効率悪くない?(笑)」
というやり取りで爆笑させ、序盤はアウェー感が強かったこの場をキャラも含めて完全にかっさらって行った。
バンドはこの後、すぐに渋谷に行ってまたライブをするというスケジュールらしい。普通ならそんな強行スケジュールになるんなら断ってもいいと思うのだが、彼らは
「大好きなチェコに誘ってもらったから絶対出たかった。会いたい人たちにも会えたし」
と言ってこのステージに立った。その言葉に嘘がないのは、このバンドの歌詞に、メンバーが影響を受けた様々なバンドの名前が入っているくらいに音楽が大好きなことからもわかるし、実際に間違いなくバンドはこの強行スケジュールならではのチャンスを見事にモノにしてみせた。そういう面でも実に愛すべきバンド。
1.しゃれこうべ しゃれこうべ
2.ユアンと踊れ
3.All My Loving
4.メサイアのビーチ
5.Lost in the Supermarket
6.マニーハニー
7.シンセミア
8.TVHBD
しゃれこうべ しゃれこうべ
https://youtu.be/cTzSIGbsExk
・パスピエ [MAGIC STAGE]
先日この会場で自主企画ライブを行ったパスピエ。世代的にはチェコとそこまで変わらないが、あまり仲が良いというイメージはないだけに少々意外な出演である。
幻想的なSEで赤と緑の衣装を纏った大胡田なつきをはじめとするメンバー5人が登場すると、そのSEに繋がるような形でイントロを演奏し始めた「とおりゃんせ」からスタート。大胡田はいつものようにゆらゆらと踊りながらその独特な声を響かせる。
バンドの新章突入を告げる最新シングル「ヨアケマエ」では間奏で大胡田がシンセを弾き、続いてはまさかの「はいからさん」。今やワンマンですら全く演奏されていないこの曲がなぜ今このタイミングで演奏されたのかはわからないが(例えばマネージャーの名前がはいからさんであるキュウソネコカミとの対バンとかならわかる)、後半に向けて徐々に盛り上がっていくようなライブならではのアレンジに生まれ変わったというのもあるかもしれない。
そして自主企画でも演奏されていた新曲「永すぎた春」は、現在のパスピエのイメージでもある和なバンドサウンドをさらに突き詰めたような曲で、この後に成田ハネダが言っていたように、この南国風のステージが実に似合わない(笑)
大胡田は成田がMCをしている間にヤシの木を触りに行くという自由さを見せる。
そのMCでは成田が
「チェコは昔からずっと知ってたんだけど、おしゃれなイメージだしメンバーも爽やかだしで、いけすかねぇなって思ってて(笑)
でも僕はラジオを聴くのが趣味なんだけど、たまたまチェコのラジオを聴いたら、まぁ武井君の闇の深いこと深いこと(笑)
あんなに下ネタ言うのかっていうくらい(笑)
だから今回のライブのタイトルも下ネタにしか思えない(笑)」
とチェコとの馴れ初めを語り、終盤はシングル曲を含めてキラーチューンを連発。「MATATABISTEP」では大胡田が独特のダンスを踊り、最後はきらめくようなポップサウンドの「トキノワ」で
「続きはまた今度」
と告げてステージを去った。
高い演奏力を活かしたアレンジなども含め、やはりこのバンドのライブは盛り上がりながらもため息が出るくらいに素晴らしい。これからの夏フェスを経て、冬のホールツアーが終わる頃にはどこまで進化しているのだろうか。
1.とおりゃんせ
2.ヨアケマエ
3.はいからさん
4.永すぎた春
5.裏の裏
6.MATATABISTEP
7.トキノワ
永すぎた春
https://youtu.be/ftV3TOYIFNI
・Yogee New Waves [MIRAGO STAGE]
サブステージのMIRAGO STAGEのトリを務めるのはYogee New Waves。
ボーカルの角館が新しいギターを掲げてアピールすると、「シティポップ」と括られることも多いCDのイメージよりははるかにエモーショナルなライブを展開。特にリズムが実に力強く、ロックバンドのグルーヴが渦巻いている。
時間がないのでMCは控えめにと言いながらも、曲間にギターのノイズが発生すると、
「今のノイズ超かっけー(笑)
僕らノイズ大好きなんで、今の録っておきたい(笑)」
と言って笑わせるが、曲にはノイズがほとんどなく、日本語を大事にしたムーディーなポップソングを奏でていく。
おしゃれなイメージもあるし、実際に昨年のSWEET LOVE SHOWERのアコースティック編成でのライブを見た時もそういうイメージだったが、今のこのバンドは力強いロックバンドだった。それは雰囲気だけが先行しがちなインディーポップの中で、ライブがいいというバンドとして最も大事な部分を持っているからこそだが、これぞ!という曲があればさらに化けるような気がする。
1.Like Sixteen Candles
2.Good Bye
3.Climax Night
4.Fantasic Show
5.Dreamin' Boy
Like Sixteen Candles
https://youtu.be/J8bW8kqgjm8
・Czecho No Republic [MAGIC STAGE]
そしていよいよこのイベントを締めくくるべく、主催者であるCzecho No Republicが登場。
ディズニーランドのエレクトリカルパレードのSEでメンバーが現れると、「Amazing Parade」から「No Way」という傑作アルバム「MANTLE」の流れ。
この日のイベントの雰囲気にピッタリな「Festival」「MUSIC」というキラーチューンが続くが、実にテンポが良い。曲間がほとんどないのもそうだが、曲自体のテンポも明らかに速くなっている。
その速さを象徴するかのように八木ボーカルの「24 FACTORY」ではもはやパンクバンドかというほどの速さ。もともと八木の曲はパンク色が強い曲が多いが、それがより映えるような流れになっている。
すると今月にリリースされるニューアルバムの告知を行い、その中からタカハシマイがボーカルのリード曲「Electric Girl」を披露。EDM色をさらに強めた、八木と武井がシンセを操り、タカハシはピンボーカルに専念する、夏らしい曲。タカハシのボーカルの神聖さがこのEDMサウンドによってこれまでよりさらに際立っている。
芦沢ムネトがMCでいじりまくっていた、最前エリアにいる田中という観客を武井がいじると、ドラゴンボールのタイアップ曲になった最新シングル「Forever Dreaming」では合唱を起こし、
「夏らしい、花火の曲」
と言って「Firework」を演奏し、新曲からEDM色の強い曲が続いたことで、武井はもうほとんどベースを弾かず、ハンドマイクで歌う場面も多くなっているのだが、本番前に芦沢ムネトが「緊張しすぎて吐きそうになってる」とは思えないくらいに武井は楽しそうに歌い、これまでよりも多くの箇所で手拍子を煽るようになった。
そして本編ラストは「Forever Dreaming」の前にドラゴンボールの主題歌だった「Oh Yeah!!!!!!!」。インディーズ時代の曲はセトリから姿を消したが、それも納得なこの近年の楽曲のキラーチューンっぷり。この曲を去年野音で演奏した時に武井は曲中で思わずベースを置いてステージ前まで出てきてハンドマイクで歌っていたが、あの瞬間が今に至るまでのキーポイントだったような気がする。
砂川が決めセリフの「エンジョーイ!」を叫んでステージを後にすると、アンコールで再登場して武井が
「ただの対バンっていうよりもフェスみたいな感じになったでしょ?ずっと自分たちのフェスをやりたかった」
とこのイベントへの思いを語り、さらにはツアーでまだ会場が発表されていなかった、序盤の都内某所での2daysが渋谷eggmanであることが発表される。その内容は初日が女子限定、2日目が男子限定というものだが、男子限定のライブのタイトルが完全に下ネタであり、このイベントのタイトルがやはり下ネタであったことがここで明らかになる。(去年の野音に参加した人は知っているけど)
そしてさらにアルバムから、ラテン音楽の要素も取り入れた新曲「Dream Beach Sunset」を披露。ここまでの武井がハンドマイクで歌う曲はベースの音がシンセか打ち込みだったが、この曲ではなんと砂川がベースを弾く。それによってEDMが主体でありながらあくまでサウンドは肉体的でロックバンドのもの。
この曲と「Electric Girl」を聴いた限り、夏のリリースということもあって、新作アルバムは内省的な内容だった前作とは対照的にかなり夏に照準を合わせたものになりそう。
そして最後は武井が「みんな出てきていいんじゃない!?」と言って「ダイナソー」が始まると、残っていたこの日の出演者(Helsinki Lambda Clubとパスピエ以外)がステージに集結し、メンバーを囲むようにそれぞれが楽しみながら歌う中、ノブが八木のギターを、プリティが砂川のメガネを奪い、やりたい放題の多幸感溢れる瞬間。かつて、the telephonesがイベントなどの最後に「Love&DISCO」でよくこうして出演者全員集合させていたが、今のチェコはその当時のthe telephonesのような存在になりつつある。
それは、ただ単に仲の良いバンドを集めた、というわけではなく、普通に活動していたら交わることのないそのバンド同士を引きあわせるような存在になっているということ。(例えばgo! go! vanillasとYogee New Wavesは普通に2マンをやるような関係でも音楽性でもない)
それをこの日できたのは、チェコの曲はもちろん、人間性によるところも非常に大きい。最後に武井は来年の開催を宣言し、
「来年も来てくれるかな?」「いいとも!」
のコール&レスポンスをしていたが、こんな瞬間を見せられたら、来年も絶対来るしかない。
チェコの活動とともに、これからこのイベントがどう成長していくのかが本当に楽しみだ。
1.Amazing Parade
2.No Way
3.Festival
4.MUSIC
5.24 Factory
6.Electric Girl
7.Forever Dreaming
8.Firework
9.Oh Yeah!!!!!!!
encore
10.Dream Beach Sunset
11.ダイナソー
Forever Dreaming
https://youtu.be/9qw5ghJZgTs
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