Hemenway ワンマンライブ 「The Music」 @渋谷WWW 4/5
- 2014/04/05
- 23:35
本来ならここで「これから自分がオススメする若手バンド」という紹介の仕方をするところなのだが、そうはならないのは、このバンド、Hemenwayが先日突如として「音楽の方向性の違い」を理由にバンドの解散を表明してしまったからである。
二年前にシングル「Listen」でソニーのKi/oonからメジャーデビューした、Isaac、Charm、Ogaching、Toshiによる4人組。IsaacとCharmは韓国系アメリカ人であり、4人は音楽の名門バークリー大学
の出身。なので非常に高いスキルを持ちながら、あえて「J-ROCKのど真ん中で勝負する」ことを活動方針にしたバンドである。
デビュー時にロッキンオンジャパンで編集長の山崎洋一郎がインタビューしていて曲を聴き、そのあとのSWEET LOVE SHOWERのオープニングアクトとして出演したライブを見て、高い技術を誇りながらもまさにJ-ROCKど真ん中というバンドサウンドに魅了された。それから配信シングルや、アニメのタイアップシングルなどのリリースを重ね、昨年12月に待望の初フルアルバム「The Music」をリリース。直後のCOUNTDOWN JAPANにはMOON STAGEの大トリとして出演。同じ時間の他のステージにDOES、今をときめくゲスの極み乙女。というバンドが出演したため、動員は非常に厳しいものだったが、メンバーはライブ後に「最高の1年のスタートが切れました!」と言っていただけに、先日の解散発表はまさに晴天の霹靂であった。よって、本来はアルバムのリリースツアーであった今回のライブが解散ライブとなってしまった。
ラストライブにもかかわらず、場内はスペースに余裕がある状態。最前ブロックにいる観客が「バイマイサイド」を合唱しながらメンバーの登場を待つというのは最後のライブならではの現象だったのだろうか。
開演予定時刻の18時をかなりまわったころ、場内が暗転してメンバーが登場。タイトル通りに燃え盛るような演奏と赤い照明の「炎」からスタート。「半分人間」「花降る夜に」と「The Music」収録曲を続けたのだが、メンバーの演奏が本当に上手い。音楽の名門大学卒業、と言うと技術ひけらかし系の自己満足的な音楽になってしまうこともあるが、このバンドは全くそんな要素はなく、高い技術を持ちながらも、その技術が曲を限りなくポップにするように活かされている。特にギターのCharmは合間にアクションを挟みながらタッピング奏法を軽々と披露したり、それをギターで弾くのか!?というところまで再現してみせる。
それがよくわかる「スタート革命」「幻想とダンス」というアッパーな曲を終えると、Isaacによる挨拶的なMCから、アコギに持ち替え、「Tonight」「Dreamboat」と聞かせる曲を続ける。
解散ライブには何度か行っているが、いつもと違うある種の異様な空気を感じてしまうのは、演奏されていった曲はもう二度とこうして演奏されることはないということ。(最近は再結成してまた聞けるようになるバンドもいるけど)こういう聞かせるような曲を演奏されると、そういうことを考えずにはいられなくなってしまう。
しかしここからはアルバムのタイトル曲であり、カラフルかつハイパーなダンスナンバー「The Music」から再びアッパーな展開に。IsaacとCharmが向かい合ってギターを弾いたり、CharmとOgachingが並んで演奏したりと、解散ライブとは思えないメンバーの仲睦まじさを見ると、ただただ楽しいという空気に包まれて行く。
開演前に観客が合唱していた「バイマイサイド」では当然のように大合唱が起こり、まさにこの時を予期していたかのようになってしまった「Goodbye」では演奏中からすすり泣くような声が聞こえるものの、一方でこの日多数いた外人の観客(IsaacかCharmの知り合いなんだろうか)は演奏後、逆に談笑していた。これは日本人からしたらちょっとカルチャーショックというか、空気的になかなかこの状態で喋ろうとすることすらできないのだが。
そしてIsaacによるMC。解散が決まった時にこのライブをやるかどうかも話し合ったが、やはり今まで応援してくれた人達に直接会って説明したかった、ということで、改めて4人がやりたい音楽が少しずつズレてきてしまったこと、それでも今まで作ってきた曲に4人は心から真剣に向き合ってきたこと、メンバーはこれからもそれぞれで音楽を続けて行くつもりであるので、今は前向きな気分であることが語られる。しかし、最後に来てくれた人や、聴いてくれていた人、スタッフへ感謝の気持ちを告げると、Isaacの目から堪えていた涙が溢れ出して来る。
「前向きだって言ったばかりだから絶対泣きたくなかったんだけど…」
という姿には思わずもらい泣きをしてしまった。
そしてあっという間の本編ラストは、これまでもずっと大事にしてきた曲だというアルバムのラストナンバー「迷い道の上で」。
「だから今 未来が見えなくても迷わないよ 迷わない」
という最後のフレーズは、メンバーそれぞれの今の心境そのもののように響いた。
再び観客が「バイマイサイド」を歌いながら待っていると、メンバーがアンコールに登場。ここで最前の観客から、4人分の花束と、ファンからの寄せ書きが手渡されるというサプライズが。
嬉しそうに受け取ると、メンバー一人一人の最後のMCに。ドラムのToshiが観客やスタッフに感謝を告げると、
「こんな俺に背中を預けてくれてありがとう」
と、他のメンバー3人に対して感謝を告げる。
Charmは日本に来た時にIsaacと一緒に暮らしていたことを話し、Isaacはアメリカから来た自分を応援して、受け入れてくれた日本に本当に感謝していると語ったのだが、途中でOgachingを飛ばしてしまったことに気付くとOgachingに譲る。Ogachingは5年前にCharmが日本に来るIsaacを迎えにハチ公にいたところに偶然出くわしてそれが結成のきっかけになったこと、Charmは最初は全然日本語が話せなかったことなど、結成以前から今に至るまでのバンド秘話を公開する。
そしてIsaacの最後の感謝の言葉と、
「これからも僕は日本で音楽を続けていこうと思ってます。だからまたどこかで必ず会いましょう!」
という宣言とともに、久しぶりだという「Will you be there」から、
「最後に僕たちのデビュー曲を聴いて下さい、Listen!」
と言って「Listen」で終了。でも、これで終わりではないのはわかっていた。何故なら、そのあとに
「あと1曲だけやっていい!?最後に元気よく終わりたいよね!?」
と言って演奏された「フューチャー考察」をやっていなかったから。最初にSLSで見た時、豪雨のあとで人がまばらだったMt.FUJI STAGEでこの曲を聴いて、このバンドはいずれこのステージを人で埋めるような存在になると思っていた。しかし残念ながらそうはならず、ここが最後の場所になってしまったのは本当に悔しい。
これまでにもSyrup16gや毛皮のマリーズなどの解散ライブを見てきたが、それらのバンドは結果も残したし、独自の確固たる存在のバンドの最後の大舞台として武道館で解散したが、このバンドが真っ当に評価されたとは思えない。だからこそ、メンバーにはこれからの活動がHemenwayの再評価につながって欲しいと思う。
「フューチャー考察」の、
「はるかな未来が少しずつ近づく今の僕に
さらば古い僕よ
笑いながら会いに行くよ
会いに行くよ」
という最後のフレーズがこれからの宣誓のように響くと、メンバーが全員前に出てきて観客とハイタッチしたり、ピックやスティックをばら撒いたりして、最後の時間を惜しんでいるかのよう。そして観客とともに写真撮影をしてステージから去った。こうして、Hemenwayの結成から3年、デビューから2年という短い物語に幕が下ろされた。
1.炎
2.半分人間
3.花降る夜に
4.スタート革命
5.幻想とダンス
6.Tonight
7.Dreamboat
8.The Music
9.GET UP
10.Escape
11.あのさ
12.バイマイサイド
13.Goodbye
14.迷い道の上で
encore
15.Will you be there
16.Listen
17.フューチャー考察
The Music
http://youtu.be/gqZDh-FAF2E
フューチャー考察
http://youtu.be/2eh8OQIU3FE
結果だけを見たら、Hemenwayは完全に負けた。音楽は勝ち負けではないが、確固たる結果を残せなかったのは紛れもない事実であるし、もしもっと結果を出していたらこういう形で終わることもなかったかもしれない。
しかし、これからも日本で活動する宣言をしたIsaacの、韓国系アメリカ人という難しいアイデンティティを持ちながら日本に来ようと思ったのは本当に大きな決断だったと思うし、ほとんど喋れなかったという日本語で歌い、喋れるようになったのは凄まじい努力をしてきたからだと思う。これからの活動がHemenwayの再評価につながりますように。
最後に、短い間だったけど、本当に今までありがとう、Hemenway!


二年前にシングル「Listen」でソニーのKi/oonからメジャーデビューした、Isaac、Charm、Ogaching、Toshiによる4人組。IsaacとCharmは韓国系アメリカ人であり、4人は音楽の名門バークリー大学
の出身。なので非常に高いスキルを持ちながら、あえて「J-ROCKのど真ん中で勝負する」ことを活動方針にしたバンドである。
デビュー時にロッキンオンジャパンで編集長の山崎洋一郎がインタビューしていて曲を聴き、そのあとのSWEET LOVE SHOWERのオープニングアクトとして出演したライブを見て、高い技術を誇りながらもまさにJ-ROCKど真ん中というバンドサウンドに魅了された。それから配信シングルや、アニメのタイアップシングルなどのリリースを重ね、昨年12月に待望の初フルアルバム「The Music」をリリース。直後のCOUNTDOWN JAPANにはMOON STAGEの大トリとして出演。同じ時間の他のステージにDOES、今をときめくゲスの極み乙女。というバンドが出演したため、動員は非常に厳しいものだったが、メンバーはライブ後に「最高の1年のスタートが切れました!」と言っていただけに、先日の解散発表はまさに晴天の霹靂であった。よって、本来はアルバムのリリースツアーであった今回のライブが解散ライブとなってしまった。
ラストライブにもかかわらず、場内はスペースに余裕がある状態。最前ブロックにいる観客が「バイマイサイド」を合唱しながらメンバーの登場を待つというのは最後のライブならではの現象だったのだろうか。
開演予定時刻の18時をかなりまわったころ、場内が暗転してメンバーが登場。タイトル通りに燃え盛るような演奏と赤い照明の「炎」からスタート。「半分人間」「花降る夜に」と「The Music」収録曲を続けたのだが、メンバーの演奏が本当に上手い。音楽の名門大学卒業、と言うと技術ひけらかし系の自己満足的な音楽になってしまうこともあるが、このバンドは全くそんな要素はなく、高い技術を持ちながらも、その技術が曲を限りなくポップにするように活かされている。特にギターのCharmは合間にアクションを挟みながらタッピング奏法を軽々と披露したり、それをギターで弾くのか!?というところまで再現してみせる。
それがよくわかる「スタート革命」「幻想とダンス」というアッパーな曲を終えると、Isaacによる挨拶的なMCから、アコギに持ち替え、「Tonight」「Dreamboat」と聞かせる曲を続ける。
解散ライブには何度か行っているが、いつもと違うある種の異様な空気を感じてしまうのは、演奏されていった曲はもう二度とこうして演奏されることはないということ。(最近は再結成してまた聞けるようになるバンドもいるけど)こういう聞かせるような曲を演奏されると、そういうことを考えずにはいられなくなってしまう。
しかしここからはアルバムのタイトル曲であり、カラフルかつハイパーなダンスナンバー「The Music」から再びアッパーな展開に。IsaacとCharmが向かい合ってギターを弾いたり、CharmとOgachingが並んで演奏したりと、解散ライブとは思えないメンバーの仲睦まじさを見ると、ただただ楽しいという空気に包まれて行く。
開演前に観客が合唱していた「バイマイサイド」では当然のように大合唱が起こり、まさにこの時を予期していたかのようになってしまった「Goodbye」では演奏中からすすり泣くような声が聞こえるものの、一方でこの日多数いた外人の観客(IsaacかCharmの知り合いなんだろうか)は演奏後、逆に談笑していた。これは日本人からしたらちょっとカルチャーショックというか、空気的になかなかこの状態で喋ろうとすることすらできないのだが。
そしてIsaacによるMC。解散が決まった時にこのライブをやるかどうかも話し合ったが、やはり今まで応援してくれた人達に直接会って説明したかった、ということで、改めて4人がやりたい音楽が少しずつズレてきてしまったこと、それでも今まで作ってきた曲に4人は心から真剣に向き合ってきたこと、メンバーはこれからもそれぞれで音楽を続けて行くつもりであるので、今は前向きな気分であることが語られる。しかし、最後に来てくれた人や、聴いてくれていた人、スタッフへ感謝の気持ちを告げると、Isaacの目から堪えていた涙が溢れ出して来る。
「前向きだって言ったばかりだから絶対泣きたくなかったんだけど…」
という姿には思わずもらい泣きをしてしまった。
そしてあっという間の本編ラストは、これまでもずっと大事にしてきた曲だというアルバムのラストナンバー「迷い道の上で」。
「だから今 未来が見えなくても迷わないよ 迷わない」
という最後のフレーズは、メンバーそれぞれの今の心境そのもののように響いた。
再び観客が「バイマイサイド」を歌いながら待っていると、メンバーがアンコールに登場。ここで最前の観客から、4人分の花束と、ファンからの寄せ書きが手渡されるというサプライズが。
嬉しそうに受け取ると、メンバー一人一人の最後のMCに。ドラムのToshiが観客やスタッフに感謝を告げると、
「こんな俺に背中を預けてくれてありがとう」
と、他のメンバー3人に対して感謝を告げる。
Charmは日本に来た時にIsaacと一緒に暮らしていたことを話し、Isaacはアメリカから来た自分を応援して、受け入れてくれた日本に本当に感謝していると語ったのだが、途中でOgachingを飛ばしてしまったことに気付くとOgachingに譲る。Ogachingは5年前にCharmが日本に来るIsaacを迎えにハチ公にいたところに偶然出くわしてそれが結成のきっかけになったこと、Charmは最初は全然日本語が話せなかったことなど、結成以前から今に至るまでのバンド秘話を公開する。
そしてIsaacの最後の感謝の言葉と、
「これからも僕は日本で音楽を続けていこうと思ってます。だからまたどこかで必ず会いましょう!」
という宣言とともに、久しぶりだという「Will you be there」から、
「最後に僕たちのデビュー曲を聴いて下さい、Listen!」
と言って「Listen」で終了。でも、これで終わりではないのはわかっていた。何故なら、そのあとに
「あと1曲だけやっていい!?最後に元気よく終わりたいよね!?」
と言って演奏された「フューチャー考察」をやっていなかったから。最初にSLSで見た時、豪雨のあとで人がまばらだったMt.FUJI STAGEでこの曲を聴いて、このバンドはいずれこのステージを人で埋めるような存在になると思っていた。しかし残念ながらそうはならず、ここが最後の場所になってしまったのは本当に悔しい。
これまでにもSyrup16gや毛皮のマリーズなどの解散ライブを見てきたが、それらのバンドは結果も残したし、独自の確固たる存在のバンドの最後の大舞台として武道館で解散したが、このバンドが真っ当に評価されたとは思えない。だからこそ、メンバーにはこれからの活動がHemenwayの再評価につながって欲しいと思う。
「フューチャー考察」の、
「はるかな未来が少しずつ近づく今の僕に
さらば古い僕よ
笑いながら会いに行くよ
会いに行くよ」
という最後のフレーズがこれからの宣誓のように響くと、メンバーが全員前に出てきて観客とハイタッチしたり、ピックやスティックをばら撒いたりして、最後の時間を惜しんでいるかのよう。そして観客とともに写真撮影をしてステージから去った。こうして、Hemenwayの結成から3年、デビューから2年という短い物語に幕が下ろされた。
1.炎
2.半分人間
3.花降る夜に
4.スタート革命
5.幻想とダンス
6.Tonight
7.Dreamboat
8.The Music
9.GET UP
10.Escape
11.あのさ
12.バイマイサイド
13.Goodbye
14.迷い道の上で
encore
15.Will you be there
16.Listen
17.フューチャー考察
The Music
http://youtu.be/gqZDh-FAF2E
フューチャー考察
http://youtu.be/2eh8OQIU3FE
結果だけを見たら、Hemenwayは完全に負けた。音楽は勝ち負けではないが、確固たる結果を残せなかったのは紛れもない事実であるし、もしもっと結果を出していたらこういう形で終わることもなかったかもしれない。
しかし、これからも日本で活動する宣言をしたIsaacの、韓国系アメリカ人という難しいアイデンティティを持ちながら日本に来ようと思ったのは本当に大きな決断だったと思うし、ほとんど喋れなかったという日本語で歌い、喋れるようになったのは凄まじい努力をしてきたからだと思う。これからの活動がHemenwayの再評価につながりますように。
最後に、短い間だったけど、本当に今までありがとう、Hemenway!


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