VIVA LA ROCK 2016 @さいたまスーパーアリーナ 5/29
- 2016/05/31
- 01:24
VIVA LA ROCK2日目。この日はタイムテーブルを見てもわかるとおり、ラウド・パンクバンドが非常に多く名を連ねており、開演時間前のVIVA LA GARDENにもわかりやすいくらいに激しいバンドを好む人が多く来場しているのが一目でわかる。
10:00~ HEY-SMITH [STAR STAGE]
そんなこの日のメインステージのトップバッターは、タイムテーブルを見ると抜擢感が強く感じるHEY-SMITH。このフェスには初出演にしてメインステージに登場である。
鹿野淳の熱い前説のあとにメンバーが登場すると、ラウドなスカパンクを朝イチから炸裂させ、客席も朝からダイブ・モッシュの嵐。ライブではおなじみの曲ばかりで掴んでいくと、最初はそこまで埋まっていなかったアリーナがみるみるうちに満員になっていく。
新作アルバム「STOP THE WAR」がリリースされたばかりなので、もう少しそのアルバムの比率が増えるかと思いきや、中盤に演奏された「2nd Youth」「Dandadan」以外はこれまでのおなじみの曲ということで、フェスならではの選曲と言える。
しかし人数・音数が多いというのもあるが、実に広いステージがよく似合うバンドである。それはすでに幕張メッセのイベントなどにも出演し、この日もこのステージで納得と言えるくらいの人を動員していたからというのもあってのことだが。
猪狩が去年からオファーされていたが、去年はメンバー脱退による活動休止中だったので出ることができなかったという、待ち焦がれたこのフェスの舞台であったエピソードを語ると、このバンドならではのラブソングである「The First Love Song」から後半はさらにエンジン全開といった感じで、みんなで歌って騒げるスカパンクの精神を継承したようなライブを見せた。
最初にタイムテーブルを見たときは、このステージじゃなくてVIVA! STAGEのほうがいいんじゃないか?と思ったが、もはやこのバンドはこの規模でライブやるのが当たり前みたいな貫禄すらある存在になった。もしかしたらこれから他のフェスでもメインステージに立つような存在になるのかもしれない。
1.Living In My Skin
2.Endless Sorrow
3.Download Me If You Can
4.2nd Youth
5.Jump!!
6.Dandadan
7.The First Love Song
8.Lonely With Everything
9.We sing our song
10.DRUG FREE JAPAN
11.Goodbye to say hello
12.Come back my dog
10:40~ 04 Limited Sazabys [VIVA! STAGE]
自身の主催フェス「YON FES」以降も全国の様々なフェスに出まくっている名古屋のフォーリミ。去年は2日間、2ステージに出るという活躍ぶりだった。(運営が規模を見誤り、CAVE STAGEだったのが急遽前日のVIVA! STAGEも出演することになった)
おなじみのSEでメンバーが登場すると、
「今日この日を覚えていられますように!」
と言って「Remember」からスタート。すでに超満員状態だが、早くもモッシュ・ダイブが発生し、「monolith」「fiction」と続くとさらにそれは加速していく。
おなじみのRYU-TAの煽りからのダンスチューン「Chicken race」から、シングルのリード曲にもかかわらず滅多にフェスでは演奏されない「Letter」を披露するという嬉しい驚きもあり、
「去年初めて出させてもらいましたけど、主催者の意思、スタッフの意思が本当に伝わってくる素晴らしいフェスです。去年ケータリングで何を食べたか、何のバンドを見たかも全部覚えてます」
というGENの言葉からは、少なからずYON FESにこのフェスの良い部分が影響を与えていたであろうことがうかがい知れる。
「起きてんのー!?」
と問いかける「nem…」、
「朝ですが、名古屋から流星群を持って来ました!」
と言って室内にも流星群を降らせる「midnight cruising」と続け、途中でRYU-TAのギターがトラブルを起こすも、演奏中にスタッフが出てきて解決するというあたりとメンバーの落ち着きぶりからはもはや慣れというか経験の豊富さを感じる。
そして、
「もっともっと先に進みたい!STAR STAGEにも出たいし、いつかはここでワンマンもやりたい!」
とバンドのさらなる野望を口にしてから演奏されたのは、YON FESの2日目の最後に演奏された新曲「climb」。すでにリリースが翌週に迫っているが、あまりフェスでは演奏されていなかっただけに、ライブで聴くのは久しぶり。
このバンドのルーツであるメロコアらしいツービートに乗せて
「もっともっと行ってみる」
と歌われるこの曲は、さらなる高みを目指すこのバンドの現在の心境そのもの。
「明日からの平日に、みなさんの生活に光が溢れていますように!音楽が溢れていますように!」
と、もはや世代というか、ロックシーンそのものを引っ張る存在になりつつあるオーラを感じさせてから最後に演奏されたのは「swim」。
来年、きっとこのバンドはSTAR STAGEに立っているだろう。そう思わせてくれるような雰囲気が今のこのバンドにはある。パンクとかメロコアを超えたところで、ロックシーンのど真ん中で鳴り響くようになる存在。
1.Remember
2.monolith
3.fiction
4.Chicken race
5.Letter
6.medley
7.nem…
8.midnight cruising
9.climb
10.swim
11:20~ BIGMAMA [STAR STAGE]
2年前にこのフェスの初日のトップバッターとして出演して、フェスの始まりを告げたBIGMAMA。今年もこのメインステージに登場である。
ベートーヴェンの「第九」のSEでメンバーが登場すると、この会場にいる全員が特別、バンドとファンの関係性そのものを歌った「SPECIALS」でスタートすると、金井が
「本当に会いたかったよ!VIVA LA ROCK!」
と言ってダイバーが続出した「秘密」、色とりどりのタオルを観客が掲げて大合唱が発生した「until the blouse is buttoned up」、柿沼のボーカルが映える「Royalize」、コーラスを合唱するラブソング「Lovers in a Suitcase」と、バンドのロマンチックな側面の曲も多く演奏し、フェス向けというよりは幅広いバンドの音楽性を提示するといった感じ。
金井が初出演時にトップバッターで出演してからこのフェスが特別な存在であることを語り、終盤はアンセム感の強い曲を連発し、「~”シンセカイ”」ではたくさんのダイバーを発生させるというこのフェスならではの光景を見せた。
主催者の鹿野と金井は一緒に東京マラソンに参加するくらいの仲だが、この日のセトリはその鹿野のフェスだからこそのセトリだったのか、それともこれからのフェスもこのセトリを軸にしていくのか。
正直、このバンドがこれからもフェスでこの規模のステージに立ち続けるには、そこである程度の柔軟性を見せる必要がある。ましてや母の日ライブでいろんな曲をちゃんとライブで演奏できると証明したわけだし、去年までの「どのフェスで見てもセトリが変わらない」という状態だと、タイムテーブルが他のステージと被るフェスだと、1回見たら他のフェスでは違うステージに行くという状態になってしまっても仕方がない。
事実、客層という部分もあるが、HEY-SMITHに比べるとアリーナは空いていた。名曲を多く持つバンドだからこそ、これからの夏フェスでもう少しフェスで攻めていく姿勢を見てみたい。
1.SPECIALS
2.秘密
3.until the blouse is buttoned up
4.Royalize
5.Lovers in a Suitcase
6.Sweet Dreams
7.MUTOPIA
8.荒狂曲”シンセカイ”
12:40~ キュウソネコカミ [STAR STAGE]
2年連続でSTAR STAGEへの出演となった、キュウソネコカミ。今回も時間前からメンバーが登場し、本気のリハを展開。
「ビーフorチキン」でセイヤがリハにもかかわらず客席に突入し、
「来年はステージ落ちるかもしれんからー!」
と叫ぶ。しかしその心配は全く無用なんじゃないかと思うくらいに満員だが、本人的にはインテックス大阪と幕張メッセが売り切れなかったというのがまだ片隅にあるのかもしれない。
「MEGA SHAKE IT!!」のハウスミュージックのパートの振り付けを練習し、METROCKでは本番で演奏した「GALAXY」を今回はリハでやると、メンバーが捌けることなく、そのまま本番に突入。つまり今回はSEや登場で意表を付くようなことはない。
練習したばかりの「MEGA SHAKE IT!!」の振り付けを早くも本番でやるスタートから、「ファントムバイブレーション」、続く「記憶にございません」ではセイヤが「ハイハイハイハイ」とステージを左右に走り回りながら叫び回り、「ビバビバビバビバビバロック!」「ビバビバビバビバレボリューション!」と、フェスとこの後に出演する先輩のDragon Ashにリスペクトを込めたコール&レスポンスを展開し、「DQN~」ではやはりセイヤが客席に突入すると、観客に最大限の配慮を見せながら人の上に立つ。観客が倒れそうになると停止しながら、フェスが3年目ということで、3歩人の上を歩こうとするも、3歩目でさらにもう1歩進み、ヨコタに
「今4歩行ったで!3歩って言ったのに4歩行ったで!」
と突っ込まれる。
さらには新曲も披露。ワンマンでやっていた「地球」がテーマのとも、METROCKのリハでやっていた「ダルい夏」がテーマのとも違う、割とストレートに聴く人の背中を押す曲。もしこの3曲の新曲の中でシングルのタイトル曲をどれかにするならばこの曲になるだろうか。
そしてラストは「ハッピーポンコツ」「ビビった」のフェスではおなじみの流れ。
これまでと比べるとセトリはフェスにおいては固まりつつあるが、おそらく新曲がしっかりと形になってくるであろう夏フェスではまた違ってくるような気もする。
そしてフェスごとに戦い方を変える(客席に突入するかどうかをフェスの方針ごとに変える)あたりは本当にクレバーなバンドだと思う。
リハ1.ビーフorチキン
リハ2.MEGA SHAKE IT!!
リハ3.GALAXY
1.MEGA SHAKE IT!!
2.ファントムバイブレーション
3.記憶にございません
4.良いDJ
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.新曲
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
13:20~ TOTALFAT [VIVA! STAGE]
未だにパンク・メロコアシーンの特攻隊長感が強いTOTALFAT。完全に夏フェスを意識したかのような新しいバンドのアンセム「宴の合図」でスタートすると、「Summer Frequence」と続いたことにより、完全に季節は夏。コーラスフレーズではメンバーが瞬間的に音を止めるアレンジにしたことにより、コーラスの合唱が本当によく聴こえるようになっている。
すると、今たくさん作っているという新曲の中から、常に前向きなバンドの姿勢を英語詞にした、ここ最近の曲の中ではかなりTOTALFATのイメージである西海岸のパンクに近い「WANNA BE」を披露。
そしてJoseが「次にやる曲はなんでしょう!?」とクイズを出すと、ヒントとして演奏された瞬間に観客が一斉に「PARTY! PARTY!」と合唱が起きた「PARTY PARTY」から、客席で無数の左回りのサークルが発生した、疾走感溢れる「Room45」と続く。本当にメンバーも観客も思い思いに心から楽しんでいる。
するとShunが
「フェスは好きかー!?ライブは好きかー!?」
と問いかけ、
「フェスがないってもう信じられないよね。でも昔はフェスがない時代が確かにあったの。世界で初めてフェスを始めた人がいて、日本で初めてフェスを始めた人がいて。それでそれぞれの街にフェスを作った人がいて。だからこうして俺たちの遊び場を作ってくれた人たちに感謝しようぜ!」
と、今、そして先人たちへの思いをも語るのは、自身がフェスに育てられ、フェスに愛されてフェスを愛してきたこのバンドだからこそ。
勇壮なコーラスが轟く、バンドの合唱曲「ONE FOR THE DREAMS」から、最後はJoseが「今1番歌いたい曲」と言って演奏された「Place To Try」ではサビで飛び跳ねながらたくさんの人が肩を組んでぐるぐると回っている。
このバンドでしか見れないこの光景には思わず目頭が熱くなる。今も少年の心を忘れないままでパンクの夢を追いかけ続けているバンド。サウンドや歌詞のスタイルにおいては様々な挑戦をしているが、その根幹の部分はずっと変わっていないまま。
1.宴の合図
2.Summer Frequence
3.WANNA BE (新曲)
4.Party Party
5.Room45
6.ONE FOR THE DREAMS
7.Place To Try
14:00~ SiM [STAR STAGE]
ラウドシーンの中心的存在として自身でもフェスを主催しているSiM。自分たちで出るべきフェスをしっかり選んでいるバンドだが、このフェスには毎年名前を連ねている。
登場していきなり「Blah Blah Blah」でスタートし、この日最大レベルの超満員の観客が大合唱。今日もSINのステップとSHOW-HATEの振り下ろすかのようなギターの動きは絶好調。
MAHが時計の針の動きをしてから始まった「Faster Than The Clock」ではサビで激しい左回りのサークルモッシュが発生し、最新アルバム「THE BEAUTiFUL PEOPLE」収録曲の中でも特にキャッチーでバンドのスケールを広げる「MAKE ME DEAD!」「THE KiNG」という曲も演奏されると、
「今年もゴールデンウィークの予定開けてますよ。え?今年はゴールデンウィークじゃない?5月末?それはJAPAN JAMが被せてきたから?(笑)
あ、それは関係ない?スーパーアリーナの改修工事があるからですか。え?ちょっとは関係ある?」
と、MAHがこのフェスのオファーを受けた時の一人芝居を展開し、去年までは日程が被っていたJAPAN JAMを皮肉って笑いを起こす。(ダイブ禁止云々以外の理由もあって、このバンドはJAPANのフェスには出ない)
「スタンド席で座って見てる人もこの曲の時だけでいいから手を貸してくれー!」
と言って観客全員が腕を交互に振ってモンキーダンスを起こす「GUNSHOTS」の後は
「レゲエパンクバンド、SiMの真髄を見せたいと思います」
と言って、レゲエ色の強い、ゆったりと揺れながらMAHのボーカルが堪能できる「I DUB YOU」、「Life is Beautiful」と聴かせる曲が続くと、
「そろそろステージ移動する時間ですか?MONOEYESですか?感覚ピエロですか?今からKiLLiNG MEやるんで、まだ移動しないほうがいいですよ(笑)
その後にはアレもやりますからね(笑)」
と予告してから「KiLLiNG ME」を投下。しかし、最初のサビを終えたところでまさかのSHOW-HATEのギターが出なくなるというアクシデントが発生してしまい中断、どうするかメンバーが話し合った結果、1サビ終わりからやり直し、最後には「f.a.i.t.h」で「アレ」ことウォールオブデスを発生させて終了。
アクシデントこそあったが、もはやこの規模が当たり前というか、この規模ですら小さく感じるほどの曲と演奏のスケールを感じさせる存在になってきている。
すでに横浜アリーナのワンマンも決定しているが、MAHが
「いつかここでワンマンやらせて下さい!」
と言っていたのは、やろうとさえ思えばすぐできるようになると思う。
1.Blah Blah Blah
2.Faster Than The Clock
3.MAKE ME DEAD!
4.THE KiNG
5.GUNSHOTS
6.Amy
7.I DUB YOU
8.Life is Beautiful
9.CROWS
10.KiLLiNG ME
11.f.a.i.t.h
14:50~ MONOEYES [VIVA! STAGE]
まさかの出演である。これまで鹿野淳のフェスには一切出演していない、それどころかMUSICAの誌面にもインタビューが載ったことがない細美武士がこのフェスに初出演。かつて一緒にバンドをやっていた、生形真一のNothing's Carved In Stoneも同じように誌面への登場が一切ない状態で、このフェスの初年度に出演していたが。
スコットがぐるぐるとその場で回りながらベースを弾く「When I Was A King」でスタートすると、演奏しているメンバーも観客も一斉に飛び跳ねる「My Instant Song」と、まだ曲が少ないというのもあり、スコットがボーカルをやっていたALLiSTERの「Somewhere On Fullerton」も含め、セトリ自体はこれまでと変化はない。
しかし、楽屋に置いてあったさいたまスーパーアリーナのゆるキャラのぬいぐるみを客席に放り投げたり、
「俺は鹿野さんに嫌われてると思ってたし、JAPANとMUSICAは仲が悪いって勝手に思ってた(笑)」
と、我々の疑問を自ら口にしてくれる男、細美武士。
「明日公園で」でスコットがベースを銃のようにして戸高に向けて撃ったりする中、
「俺は千葉だけど、このステージが気に入ったから、埼玉と千葉で協力して神奈川を倒そうぜ」
と細美が謎の共闘宣言をするも、ドラマー一瀬が
「俺は神奈川なんだけど!(笑)」
と非を唱える。
そしてラストは「グラニート」から「Remember Me」というおなじみの締め。だが慣れていないステージなためか、最後の細美、戸高、スコットが揃ってジャンプするところはズレてしまい、細美も苦笑いするという珍しい結末になった。
「もし今後、このフェスにまた出れるなら、俺たちがどんなに人気者になってたとしても、このステージにしてください!」
と、「通路でやっとけみたいな」と語っていたこのステージを細美は非常に気に入っていたらしいが、やはりMONOEYESではアリーナのメイン規模のステージには出ないのであろう。そうなると、今後の夏フェスも2番目のステージがこのバンドの主戦場になっていくだろう。
そして鹿野のフェスには絶対出ないと思っていた細美武士のバンドがこうして出演するのなら、同じように誌面には全く出ないし、フェスにも出たことがない9mmあたりもこのフェスにいつか出る日が来るっていうこともあるんだろうか。
1.When I Was A King
2.My Instant Song
3.Like We've Never Lost
4.Somewhere On Fullerton
5.What I Left Today
6.明日公園で
7.Run Run
8.グラニート
9.Remember Me
15:30~ Dragon Ash [STAR STAGE]
鹿野淳とはもう長い付き合いであるDragon Ash。今でもMUSICAでは表紙を務めたりしているバンドである。
大所帯のメンバーが登場すると、1曲目は「HARVEST」収録の「House of Velocity」という実に意外な始まり。コアなファンには人気があるが、世間的にはキャッチーさがないとされているアルバムなだけに、客席のリアクションはちょっと薄め。
しかし「Ambitious」でサンバのリズムを取り入れた流れになって観客を踊らせると、
「ダイブさせるために作った曲だから!」
と言って「For diver's erea」では無数のダイバーを出現させる。
さらに「Revive」とまたしても「HERVEST」収録曲を披露。このあたりをフェスでやってくるというのはどういう意図なんだろうか。なかなか聴けない曲なだけに嬉しいところではあるが。
「百合の咲く場所で」では
「スタンドで見てる人たち、次は下で見てくれ!これがサークルモッシュだ!」
と言って、アリーナでサークルモッシュを行った観客に対してステージ上から拍手を送って讃えると、
「今、全国的にフェスとかでダイブが禁止になってきてて。でも俺たちはモッシュとかダイブでぐちゃぐちゃになるライブハウスで育ってきたし、そういう文化がなくなったら、上の世代のかっこいい人たちに申し訳ない。
このフェスはモッシュもダイブも禁止してないけど、だからこそ絶対にけが人を出さないように本当に気をつけて見るから、って鹿野さんが言ってくれて。こういうフェスがあるってことは本当に幸せなことだ」
と、フェス創世記から日本全国の様々なフェスに出てきたこのバンドだからこそ響くMCのあとに演奏された新曲は、Dragon Ashが今再びラウドロックに真正面から向き合う、といった獰猛なナンバー。ほとんどの人が初めて聴くにもかかわらず、ダイバーが発生するというのはバンドの演奏力と先ほどのkjのカリスマ性溢れるMCがあってこそ。
そしてスーパーベーシストことkenkenのベースとボーカルをフィーチャーし、kenkenの凄さを1曲で見せつける「The Live」から、ラストはkjが
「ミクスチャーロックは好きですかー!?」
と叫ぶと、大合唱の末に
「俺もミクスチャーロックが大好きだー!!!」
とkjが思いっきり叫んだ「Fantasista」で終了。
前半のセトリの渋さにはどうなることかと思ったが、やはりフェスキングと称されるこのバンドは本当に強い。サウンドは変わりながらもずっと第一線、常にフェスのメインステージに立ち続けてこられた理由が、ライブを見れば良くわかる。
そしてドラム桜井誠の飲食店、桜井食堂の新メニューの汁なし担々麺はやはり美味そのもので、もはやフェスには欠かせない店になりつつある。ライブ後には桜井をはじめとしたメンバーも店に姿を見せ、ファンと写真撮影に応じたりしていた。
1.House of Velocity
2.Ambitious
3.For diver's erea
4.Velvet Touch
5.Revive
6.百合の咲く場所で
7.新曲
8.The Live
9.Fantasista
16:20~ ストレイテナー [VIVA! STAGE]
実はこのフェスには初出演となるストレイテナー。
ホリエアツシの
「VIVA LA ROCK初出演、俺たちストレイテナーって言います。よろしくお願いします!」
という挨拶とともに、ひなっちのゴリゴリのベースが唸りを上げる「DAY TO DAY」からスタートするが、いきなり途中でドラムの音がなくなって演奏がストップしたかと思ったら、シンペイのドラムが壊れたということでやり直すことに。(スネアかタムが破れたのだろうか)
「VIVA LA ROCK初出演、俺たちストレイテナーって言います。よろしくお願いします!」
と、またそこからやるんかい、と突っ込みたくなるくらいに1回目はなかったことにするべく最初からやり直すと、これまでなんども観客を踊らせてきた「DISCOGRAPHY」は大幅にアレンジを変えた最新バージョンに。
リリースされたばかりの最新アルバム「COLD DISC」がMUSICAのDISC of MONTHに選ばれたことを実に嬉しそうにホリエが語ると、その「COLD DISC」の収録曲のお披露目ライブかというくらいにライブ初披露の収録曲を連発。
英語詞の疾走感のあるストレートなギターロック「Dark City」、タイトル通りにサビで一気にダンサブルに展開する「Alternative Dancer」、ホリエ特有の詞世界に浸れる「原色」、シングルリリース時から評判の良い、新たなバンドの代表曲になる可能性を持った「シーグラス」と、攻めすぎなんじゃないかと思うくらいに新作曲の連打。これは本当にアルバムに自信を持っていないとなかなかできない。ましてやライブの度にガラッとセトリを変えるこのバンドならなおさらである。
そして最後はホリエがキーボードを弾きながら歌う「覚星」。これまでにも「シンクロ」「Toneless Twilight」「SIX DAY WONDER」など、ホリエがキーボードを弾くタイプの曲は毎回1曲はライブで披露されてきたが、しばらくはこの曲になりそうな予感がしている。
「COLD DISC」の曲を連発したことによって浮かび上がるのは、ホリエアツシのメロディメーカーとしての素晴らしさ。革新性に走っているような時期もあったが、今のこのバンドの真ん中にあるのは紛れもなくホリエのメロディと歌である。
客層的な要素もあるが、2番目のステージでありながらも集客がちょっと寂しい結果だったのは少し残念なところだが。
1.DAY TO DAY
2.DISCOGRAPHY
3.The Place Has No Name
4.Dark City
5.Alternative Dancer
6.原色
7.シーグラス
8.覚星
17:00~ UNISON SQUARE GARDEN [STAR STAGE]
もはや名実ともにメインステージで文句なしの存在になった、UNISON SQUARE GARDEN。
おなじみイズミカワソラ「絵の具」のSEで登場すると、「カラクリカルカレ」でスタート。ポップでありながらも、スリーピースのロックバンドのダイナミズムを1曲目から見せつける。
早くも2曲目でこのバンドをこのメインステージに立っているのが当然という状況まで持っていった、去年の大ヒットシングル「シュガーソングとビターステップ」で踊らせると、シングル曲とアルバム曲を織り交ぜた、ユニゾンだからこそできるようなセットリストを展開。
さらにはハードな新曲「パンデミック・サドンデス」からの「天国と地獄」はこのバンドの演奏の凄さ、分厚さを実感させ、田淵はこの広いステージをベースを置いて走り回ったり、片手で弾きながら片手で派手なアクションを繰り返したりというさすがの暴れっぷり。この日先に出たSiMのSINと運動量ではどちらが多いのだろうか。
イントロで大歓声があがった「オリオンをなぞる」は「シュガーソングとビターステップ」の大ヒットがあっても、未だにこの曲がバンドの代表曲の一つであることを示し、ラストの「ガリレオのショーケース」では田淵が斎藤に近寄って行ってギターを触ったり、目の前に立ってベースを弾いたりと、いつも以上にちょっかいを出していた。このあたりを考えてやっているのかはわからないが、すごいライブをやりながらもこうして笑える要素を入れてくることで、さらに楽しさが増していく。
MCもなければ、「歌え!」「踊れ!」など煽ることも全くしない。この規模でこのスタイルを貫けるバンドは他に全く思い浮かばない。
そしてたくさんのバンドがこのステージにたどり着きたいと思っている中、ユニゾンは大きなステージへの欲が全くない中でここまでたどり着いてしまった。でも、田淵の暴れっぷりという面でも、このバンドは広いステージが本当によく似合うバンドだと思っている。
果たして夏に出演する大型フェスではどのステージに立っているんだろうか。
1.カラクリカルカレ
2.シュガーソングとビターステップ
3.桜のあと (all quartet lead to the?)
4.メカトル時空探検隊
5.ライドオンタイム
6.ワールドワイド・スーパーガール
7.パンデミック・サドンデス
8.天国と地獄
9.オリオンをなぞる
10.ガリレオのショーケース
19:10~ 銀杏BOYZ [VIVA! STAGE]
VIVA! STAGEの大トリは、去年のこのフェスで久しぶりに大型フェスに出演した銀杏BOYZ。去年は屋外のフリーエリアのステージに出たが、今年は室内。メインステージではないが、峯田和伸がさいたまスーパーアリーナの中でライブをするのは、GOING STEADY時代にGREEN DAYの来日公演のオープニングアクトで出た時以来だろうか。
しかしながら、去年は入場規制がかかるくらいの人を動員したというのに、今回は始まるまで客席はガラガラ。客層的な要素もあるだろうが、これには今の銀杏BOYZの状況を実感させられてしまった。
時間になると、黒いコートを着て峯田和伸が1人で登場。ステージに向かって唾を吐きながら、
「この曲であんたらの今までの過去と、俺の過去を全て肯定したい。
人を殺して刑務所から出てきてここにいようが、妊娠した子供を堕ろしてようが、手首を切ってようが、そんなあんたら全員の今までをこの曲で肯定したいんだ」
と語り、去年の出演時には新曲として弾き語りをした「生きたい」でスタート。途中から山本幹宗(ギター)、藤原寛(ベース&コーラス)、後藤大樹(ドラム)というおなじみのバンドメンバーが加わりバンド編成の轟音に。 「人間」「光」とおなじ構成なのは、この曲がその2曲に連なる三部作と言える曲だから。
そのままバンド編成、峯田もエレキを手にし、「DON'T TRUST OVER THIRTY」の現在のアレンジ版「大人全滅」。パンクというよりもノイジーなサウンドは2枚のアルバムの延長線上で、多数のエフェクターを操作する山本幹宗の貢献度が高い。曲を終えると、今この曲を歌うことにした経緯を語る。
峯田がアコギに変えると、
「今日はこの曲をみんなと歌いに来た」
と言い、「君の胸にキスをしたら…」と弾き語りのように歌い出してからバンド編成になったのは、まさかの「夢で逢えたら」。ライブで聴くの、2005年のロッキン全裸事件の直後の野音以来だろうか。歓声に混じり、泣いてる声も聞こえるが、あの頃と違うのは、後藤のドラムがあまりにも上手すぎるということ。村井守とは比べものにならない手数の多さは「今の銀杏BOYZ」を実感させるには充分過ぎるし、本当は峯田本人もこういうアレンジにしたかったんじゃないかとすら思える。
演奏を終えると、
「あなたはこの時代に死にたいでしょうか?僕は死にたくない。死にたくない、あいどんわなだい!」
と言って、「~FOREVER」バージョンではなく、限りなくオリジナルのパンクバージョンな「あいどんわなだい」。しかし歌詞は「~FOREVER」のもので、「イエス!イエス!イエス!イエス!」の大合唱とともにダイバーが続出。ハンドマイクの峯田もステージ上でのたうちまわるように暴れまくる。
久々に原曲バージョンで聴いた「あいどんわなだい」を終えると、
「俺がおじいちゃんになっても、俺が結婚して子供ができて、子供が結婚して孫ができても…100年経ってもこの曲が聴かれてますように」
と言って、誰もが待ち焦がれていた曲、「BABY BABY」を演奏。去年の弾き語りとは違い、バンドバージョン。しかし弾き語り同様に終盤には合唱パートも追加され、観客全員によるサビの大合唱。何回居合わせても、これには涙をこらえることができない。銀杏BOYZをずっと聴いてきた人たちと、銀杏BOYZのLIVEで一緒に歌う。それがどれだけ幸せなことで、この瞬間をどれだけ待ち望んでいたことか。
「BABY BABY」の大合唱を終えると、
「俺の曲にはある特定の人を歌ったものがあって。でもそれを歌うと、その人がどんどん遠ざかっていくような気がして…じゃあ歌うなって言うのかい!?歌いますよ!どんなにあの人が遠ざかっていっても!」
と言って最後に演奏されたのは「東京」。
バンド演奏だからこそ滲み出る切なさや愛しさ。その全ての感情を出し切るような「東京」を終えると、アンコールで1人で峯田が登場。椅子に座り、
「最初にやった「生きたい」っていう曲は、15分くらいある曲なんで、こういうフェスでやると他の曲をやる時間がなくなっちゃうんですけど(笑)、それでもどうしてもやりたくて。
アンコール、星野源君がもう始まっちゃうんで、1曲だけやります」
と言って、アコギで弾き語り始めたのは、「抱きしめたい」の連呼と「骨までしゃぶりたい」のフレーズがインパクトのある、安藤裕子に提供した曲、「骨」。
弾き語りでも「生きたい」とは全く違う、軽快さすら感じる曲。セルフカバーするとして、バンドアレンジされたらまた変わるのだろうが、重いモードではもうない様子。最後に今日放送の自身出演ドラマの宣伝をして去った峯田。と思ったら、このステージの終演挨拶をしに出てきた鹿野淳に割り込むようにまたステージに登場し、
「鹿野さん、昔ロッキンオンにいて。GOING STEADY時代から俺のことをずっと見てて、褒めてくれてたの。見る目あるよ、この人」
と言って、鹿野淳との良好な関係を示して帰って行った。
もしかしたら、銀杏BOYZは10年前みたいに、デカいフェスのデカいステージに立てるような存在ではないのかもしれない。でも、こうして峯田和伸がステージに立って歌っている姿を見れるだけで、本当に幸せ。ワンマンが今から楽しみすぎる。また東京で会いましょう。
1.生きたい
2.大人全滅
3.夢で逢えたら
4.あいどんわなだい
5.BABY BABY
6.東京
encore
7.骨
銀杏BOYZを見て放心状態になってしまったため、これで今年の自分のVIVA LA ROCKは締めることに。
導線は毎年改善されているとはいえ、CAVE STAGEのあまりの見えなさはあのステージに行く気がなくなるレベルなので、まだまだ改善すべき点はたくさんある。
しかし、来年からはビバラはまたGWに戻るらしい。でも去年も今年もビバラとJAPAN JAMに両方行った身としては、近場で客を取り合うことになってしまうのは本当にもったいないと思う。どちらの良さも知ってるからこそ、どちらか悩むことなく、できれば両方全部行きたいから。今のところはメンツ次第だが、もし来年も銀杏BOYZが出るんなら、また埼玉まで来ます。
Next→ 6/4 a flood of circle @新木場STUDIO COAST
10:00~ HEY-SMITH [STAR STAGE]
そんなこの日のメインステージのトップバッターは、タイムテーブルを見ると抜擢感が強く感じるHEY-SMITH。このフェスには初出演にしてメインステージに登場である。
鹿野淳の熱い前説のあとにメンバーが登場すると、ラウドなスカパンクを朝イチから炸裂させ、客席も朝からダイブ・モッシュの嵐。ライブではおなじみの曲ばかりで掴んでいくと、最初はそこまで埋まっていなかったアリーナがみるみるうちに満員になっていく。
新作アルバム「STOP THE WAR」がリリースされたばかりなので、もう少しそのアルバムの比率が増えるかと思いきや、中盤に演奏された「2nd Youth」「Dandadan」以外はこれまでのおなじみの曲ということで、フェスならではの選曲と言える。
しかし人数・音数が多いというのもあるが、実に広いステージがよく似合うバンドである。それはすでに幕張メッセのイベントなどにも出演し、この日もこのステージで納得と言えるくらいの人を動員していたからというのもあってのことだが。
猪狩が去年からオファーされていたが、去年はメンバー脱退による活動休止中だったので出ることができなかったという、待ち焦がれたこのフェスの舞台であったエピソードを語ると、このバンドならではのラブソングである「The First Love Song」から後半はさらにエンジン全開といった感じで、みんなで歌って騒げるスカパンクの精神を継承したようなライブを見せた。
最初にタイムテーブルを見たときは、このステージじゃなくてVIVA! STAGEのほうがいいんじゃないか?と思ったが、もはやこのバンドはこの規模でライブやるのが当たり前みたいな貫禄すらある存在になった。もしかしたらこれから他のフェスでもメインステージに立つような存在になるのかもしれない。
1.Living In My Skin
2.Endless Sorrow
3.Download Me If You Can
4.2nd Youth
5.Jump!!
6.Dandadan
7.The First Love Song
8.Lonely With Everything
9.We sing our song
10.DRUG FREE JAPAN
11.Goodbye to say hello
12.Come back my dog
10:40~ 04 Limited Sazabys [VIVA! STAGE]
自身の主催フェス「YON FES」以降も全国の様々なフェスに出まくっている名古屋のフォーリミ。去年は2日間、2ステージに出るという活躍ぶりだった。(運営が規模を見誤り、CAVE STAGEだったのが急遽前日のVIVA! STAGEも出演することになった)
おなじみのSEでメンバーが登場すると、
「今日この日を覚えていられますように!」
と言って「Remember」からスタート。すでに超満員状態だが、早くもモッシュ・ダイブが発生し、「monolith」「fiction」と続くとさらにそれは加速していく。
おなじみのRYU-TAの煽りからのダンスチューン「Chicken race」から、シングルのリード曲にもかかわらず滅多にフェスでは演奏されない「Letter」を披露するという嬉しい驚きもあり、
「去年初めて出させてもらいましたけど、主催者の意思、スタッフの意思が本当に伝わってくる素晴らしいフェスです。去年ケータリングで何を食べたか、何のバンドを見たかも全部覚えてます」
というGENの言葉からは、少なからずYON FESにこのフェスの良い部分が影響を与えていたであろうことがうかがい知れる。
「起きてんのー!?」
と問いかける「nem…」、
「朝ですが、名古屋から流星群を持って来ました!」
と言って室内にも流星群を降らせる「midnight cruising」と続け、途中でRYU-TAのギターがトラブルを起こすも、演奏中にスタッフが出てきて解決するというあたりとメンバーの落ち着きぶりからはもはや慣れというか経験の豊富さを感じる。
そして、
「もっともっと先に進みたい!STAR STAGEにも出たいし、いつかはここでワンマンもやりたい!」
とバンドのさらなる野望を口にしてから演奏されたのは、YON FESの2日目の最後に演奏された新曲「climb」。すでにリリースが翌週に迫っているが、あまりフェスでは演奏されていなかっただけに、ライブで聴くのは久しぶり。
このバンドのルーツであるメロコアらしいツービートに乗せて
「もっともっと行ってみる」
と歌われるこの曲は、さらなる高みを目指すこのバンドの現在の心境そのもの。
「明日からの平日に、みなさんの生活に光が溢れていますように!音楽が溢れていますように!」
と、もはや世代というか、ロックシーンそのものを引っ張る存在になりつつあるオーラを感じさせてから最後に演奏されたのは「swim」。
来年、きっとこのバンドはSTAR STAGEに立っているだろう。そう思わせてくれるような雰囲気が今のこのバンドにはある。パンクとかメロコアを超えたところで、ロックシーンのど真ん中で鳴り響くようになる存在。
1.Remember
2.monolith
3.fiction
4.Chicken race
5.Letter
6.medley
7.nem…
8.midnight cruising
9.climb
10.swim
11:20~ BIGMAMA [STAR STAGE]
2年前にこのフェスの初日のトップバッターとして出演して、フェスの始まりを告げたBIGMAMA。今年もこのメインステージに登場である。
ベートーヴェンの「第九」のSEでメンバーが登場すると、この会場にいる全員が特別、バンドとファンの関係性そのものを歌った「SPECIALS」でスタートすると、金井が
「本当に会いたかったよ!VIVA LA ROCK!」
と言ってダイバーが続出した「秘密」、色とりどりのタオルを観客が掲げて大合唱が発生した「until the blouse is buttoned up」、柿沼のボーカルが映える「Royalize」、コーラスを合唱するラブソング「Lovers in a Suitcase」と、バンドのロマンチックな側面の曲も多く演奏し、フェス向けというよりは幅広いバンドの音楽性を提示するといった感じ。
金井が初出演時にトップバッターで出演してからこのフェスが特別な存在であることを語り、終盤はアンセム感の強い曲を連発し、「~”シンセカイ”」ではたくさんのダイバーを発生させるというこのフェスならではの光景を見せた。
主催者の鹿野と金井は一緒に東京マラソンに参加するくらいの仲だが、この日のセトリはその鹿野のフェスだからこそのセトリだったのか、それともこれからのフェスもこのセトリを軸にしていくのか。
正直、このバンドがこれからもフェスでこの規模のステージに立ち続けるには、そこである程度の柔軟性を見せる必要がある。ましてや母の日ライブでいろんな曲をちゃんとライブで演奏できると証明したわけだし、去年までの「どのフェスで見てもセトリが変わらない」という状態だと、タイムテーブルが他のステージと被るフェスだと、1回見たら他のフェスでは違うステージに行くという状態になってしまっても仕方がない。
事実、客層という部分もあるが、HEY-SMITHに比べるとアリーナは空いていた。名曲を多く持つバンドだからこそ、これからの夏フェスでもう少しフェスで攻めていく姿勢を見てみたい。
1.SPECIALS
2.秘密
3.until the blouse is buttoned up
4.Royalize
5.Lovers in a Suitcase
6.Sweet Dreams
7.MUTOPIA
8.荒狂曲”シンセカイ”
12:40~ キュウソネコカミ [STAR STAGE]
2年連続でSTAR STAGEへの出演となった、キュウソネコカミ。今回も時間前からメンバーが登場し、本気のリハを展開。
「ビーフorチキン」でセイヤがリハにもかかわらず客席に突入し、
「来年はステージ落ちるかもしれんからー!」
と叫ぶ。しかしその心配は全く無用なんじゃないかと思うくらいに満員だが、本人的にはインテックス大阪と幕張メッセが売り切れなかったというのがまだ片隅にあるのかもしれない。
「MEGA SHAKE IT!!」のハウスミュージックのパートの振り付けを練習し、METROCKでは本番で演奏した「GALAXY」を今回はリハでやると、メンバーが捌けることなく、そのまま本番に突入。つまり今回はSEや登場で意表を付くようなことはない。
練習したばかりの「MEGA SHAKE IT!!」の振り付けを早くも本番でやるスタートから、「ファントムバイブレーション」、続く「記憶にございません」ではセイヤが「ハイハイハイハイ」とステージを左右に走り回りながら叫び回り、「ビバビバビバビバビバロック!」「ビバビバビバビバレボリューション!」と、フェスとこの後に出演する先輩のDragon Ashにリスペクトを込めたコール&レスポンスを展開し、「DQN~」ではやはりセイヤが客席に突入すると、観客に最大限の配慮を見せながら人の上に立つ。観客が倒れそうになると停止しながら、フェスが3年目ということで、3歩人の上を歩こうとするも、3歩目でさらにもう1歩進み、ヨコタに
「今4歩行ったで!3歩って言ったのに4歩行ったで!」
と突っ込まれる。
さらには新曲も披露。ワンマンでやっていた「地球」がテーマのとも、METROCKのリハでやっていた「ダルい夏」がテーマのとも違う、割とストレートに聴く人の背中を押す曲。もしこの3曲の新曲の中でシングルのタイトル曲をどれかにするならばこの曲になるだろうか。
そしてラストは「ハッピーポンコツ」「ビビった」のフェスではおなじみの流れ。
これまでと比べるとセトリはフェスにおいては固まりつつあるが、おそらく新曲がしっかりと形になってくるであろう夏フェスではまた違ってくるような気もする。
そしてフェスごとに戦い方を変える(客席に突入するかどうかをフェスの方針ごとに変える)あたりは本当にクレバーなバンドだと思う。
リハ1.ビーフorチキン
リハ2.MEGA SHAKE IT!!
リハ3.GALAXY
1.MEGA SHAKE IT!!
2.ファントムバイブレーション
3.記憶にございません
4.良いDJ
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.新曲
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
13:20~ TOTALFAT [VIVA! STAGE]
未だにパンク・メロコアシーンの特攻隊長感が強いTOTALFAT。完全に夏フェスを意識したかのような新しいバンドのアンセム「宴の合図」でスタートすると、「Summer Frequence」と続いたことにより、完全に季節は夏。コーラスフレーズではメンバーが瞬間的に音を止めるアレンジにしたことにより、コーラスの合唱が本当によく聴こえるようになっている。
すると、今たくさん作っているという新曲の中から、常に前向きなバンドの姿勢を英語詞にした、ここ最近の曲の中ではかなりTOTALFATのイメージである西海岸のパンクに近い「WANNA BE」を披露。
そしてJoseが「次にやる曲はなんでしょう!?」とクイズを出すと、ヒントとして演奏された瞬間に観客が一斉に「PARTY! PARTY!」と合唱が起きた「PARTY PARTY」から、客席で無数の左回りのサークルが発生した、疾走感溢れる「Room45」と続く。本当にメンバーも観客も思い思いに心から楽しんでいる。
するとShunが
「フェスは好きかー!?ライブは好きかー!?」
と問いかけ、
「フェスがないってもう信じられないよね。でも昔はフェスがない時代が確かにあったの。世界で初めてフェスを始めた人がいて、日本で初めてフェスを始めた人がいて。それでそれぞれの街にフェスを作った人がいて。だからこうして俺たちの遊び場を作ってくれた人たちに感謝しようぜ!」
と、今、そして先人たちへの思いをも語るのは、自身がフェスに育てられ、フェスに愛されてフェスを愛してきたこのバンドだからこそ。
勇壮なコーラスが轟く、バンドの合唱曲「ONE FOR THE DREAMS」から、最後はJoseが「今1番歌いたい曲」と言って演奏された「Place To Try」ではサビで飛び跳ねながらたくさんの人が肩を組んでぐるぐると回っている。
このバンドでしか見れないこの光景には思わず目頭が熱くなる。今も少年の心を忘れないままでパンクの夢を追いかけ続けているバンド。サウンドや歌詞のスタイルにおいては様々な挑戦をしているが、その根幹の部分はずっと変わっていないまま。
1.宴の合図
2.Summer Frequence
3.WANNA BE (新曲)
4.Party Party
5.Room45
6.ONE FOR THE DREAMS
7.Place To Try
14:00~ SiM [STAR STAGE]
ラウドシーンの中心的存在として自身でもフェスを主催しているSiM。自分たちで出るべきフェスをしっかり選んでいるバンドだが、このフェスには毎年名前を連ねている。
登場していきなり「Blah Blah Blah」でスタートし、この日最大レベルの超満員の観客が大合唱。今日もSINのステップとSHOW-HATEの振り下ろすかのようなギターの動きは絶好調。
MAHが時計の針の動きをしてから始まった「Faster Than The Clock」ではサビで激しい左回りのサークルモッシュが発生し、最新アルバム「THE BEAUTiFUL PEOPLE」収録曲の中でも特にキャッチーでバンドのスケールを広げる「MAKE ME DEAD!」「THE KiNG」という曲も演奏されると、
「今年もゴールデンウィークの予定開けてますよ。え?今年はゴールデンウィークじゃない?5月末?それはJAPAN JAMが被せてきたから?(笑)
あ、それは関係ない?スーパーアリーナの改修工事があるからですか。え?ちょっとは関係ある?」
と、MAHがこのフェスのオファーを受けた時の一人芝居を展開し、去年までは日程が被っていたJAPAN JAMを皮肉って笑いを起こす。(ダイブ禁止云々以外の理由もあって、このバンドはJAPANのフェスには出ない)
「スタンド席で座って見てる人もこの曲の時だけでいいから手を貸してくれー!」
と言って観客全員が腕を交互に振ってモンキーダンスを起こす「GUNSHOTS」の後は
「レゲエパンクバンド、SiMの真髄を見せたいと思います」
と言って、レゲエ色の強い、ゆったりと揺れながらMAHのボーカルが堪能できる「I DUB YOU」、「Life is Beautiful」と聴かせる曲が続くと、
「そろそろステージ移動する時間ですか?MONOEYESですか?感覚ピエロですか?今からKiLLiNG MEやるんで、まだ移動しないほうがいいですよ(笑)
その後にはアレもやりますからね(笑)」
と予告してから「KiLLiNG ME」を投下。しかし、最初のサビを終えたところでまさかのSHOW-HATEのギターが出なくなるというアクシデントが発生してしまい中断、どうするかメンバーが話し合った結果、1サビ終わりからやり直し、最後には「f.a.i.t.h」で「アレ」ことウォールオブデスを発生させて終了。
アクシデントこそあったが、もはやこの規模が当たり前というか、この規模ですら小さく感じるほどの曲と演奏のスケールを感じさせる存在になってきている。
すでに横浜アリーナのワンマンも決定しているが、MAHが
「いつかここでワンマンやらせて下さい!」
と言っていたのは、やろうとさえ思えばすぐできるようになると思う。
1.Blah Blah Blah
2.Faster Than The Clock
3.MAKE ME DEAD!
4.THE KiNG
5.GUNSHOTS
6.Amy
7.I DUB YOU
8.Life is Beautiful
9.CROWS
10.KiLLiNG ME
11.f.a.i.t.h
14:50~ MONOEYES [VIVA! STAGE]
まさかの出演である。これまで鹿野淳のフェスには一切出演していない、それどころかMUSICAの誌面にもインタビューが載ったことがない細美武士がこのフェスに初出演。かつて一緒にバンドをやっていた、生形真一のNothing's Carved In Stoneも同じように誌面への登場が一切ない状態で、このフェスの初年度に出演していたが。
スコットがぐるぐるとその場で回りながらベースを弾く「When I Was A King」でスタートすると、演奏しているメンバーも観客も一斉に飛び跳ねる「My Instant Song」と、まだ曲が少ないというのもあり、スコットがボーカルをやっていたALLiSTERの「Somewhere On Fullerton」も含め、セトリ自体はこれまでと変化はない。
しかし、楽屋に置いてあったさいたまスーパーアリーナのゆるキャラのぬいぐるみを客席に放り投げたり、
「俺は鹿野さんに嫌われてると思ってたし、JAPANとMUSICAは仲が悪いって勝手に思ってた(笑)」
と、我々の疑問を自ら口にしてくれる男、細美武士。
「明日公園で」でスコットがベースを銃のようにして戸高に向けて撃ったりする中、
「俺は千葉だけど、このステージが気に入ったから、埼玉と千葉で協力して神奈川を倒そうぜ」
と細美が謎の共闘宣言をするも、ドラマー一瀬が
「俺は神奈川なんだけど!(笑)」
と非を唱える。
そしてラストは「グラニート」から「Remember Me」というおなじみの締め。だが慣れていないステージなためか、最後の細美、戸高、スコットが揃ってジャンプするところはズレてしまい、細美も苦笑いするという珍しい結末になった。
「もし今後、このフェスにまた出れるなら、俺たちがどんなに人気者になってたとしても、このステージにしてください!」
と、「通路でやっとけみたいな」と語っていたこのステージを細美は非常に気に入っていたらしいが、やはりMONOEYESではアリーナのメイン規模のステージには出ないのであろう。そうなると、今後の夏フェスも2番目のステージがこのバンドの主戦場になっていくだろう。
そして鹿野のフェスには絶対出ないと思っていた細美武士のバンドがこうして出演するのなら、同じように誌面には全く出ないし、フェスにも出たことがない9mmあたりもこのフェスにいつか出る日が来るっていうこともあるんだろうか。
1.When I Was A King
2.My Instant Song
3.Like We've Never Lost
4.Somewhere On Fullerton
5.What I Left Today
6.明日公園で
7.Run Run
8.グラニート
9.Remember Me
15:30~ Dragon Ash [STAR STAGE]
鹿野淳とはもう長い付き合いであるDragon Ash。今でもMUSICAでは表紙を務めたりしているバンドである。
大所帯のメンバーが登場すると、1曲目は「HARVEST」収録の「House of Velocity」という実に意外な始まり。コアなファンには人気があるが、世間的にはキャッチーさがないとされているアルバムなだけに、客席のリアクションはちょっと薄め。
しかし「Ambitious」でサンバのリズムを取り入れた流れになって観客を踊らせると、
「ダイブさせるために作った曲だから!」
と言って「For diver's erea」では無数のダイバーを出現させる。
さらに「Revive」とまたしても「HERVEST」収録曲を披露。このあたりをフェスでやってくるというのはどういう意図なんだろうか。なかなか聴けない曲なだけに嬉しいところではあるが。
「百合の咲く場所で」では
「スタンドで見てる人たち、次は下で見てくれ!これがサークルモッシュだ!」
と言って、アリーナでサークルモッシュを行った観客に対してステージ上から拍手を送って讃えると、
「今、全国的にフェスとかでダイブが禁止になってきてて。でも俺たちはモッシュとかダイブでぐちゃぐちゃになるライブハウスで育ってきたし、そういう文化がなくなったら、上の世代のかっこいい人たちに申し訳ない。
このフェスはモッシュもダイブも禁止してないけど、だからこそ絶対にけが人を出さないように本当に気をつけて見るから、って鹿野さんが言ってくれて。こういうフェスがあるってことは本当に幸せなことだ」
と、フェス創世記から日本全国の様々なフェスに出てきたこのバンドだからこそ響くMCのあとに演奏された新曲は、Dragon Ashが今再びラウドロックに真正面から向き合う、といった獰猛なナンバー。ほとんどの人が初めて聴くにもかかわらず、ダイバーが発生するというのはバンドの演奏力と先ほどのkjのカリスマ性溢れるMCがあってこそ。
そしてスーパーベーシストことkenkenのベースとボーカルをフィーチャーし、kenkenの凄さを1曲で見せつける「The Live」から、ラストはkjが
「ミクスチャーロックは好きですかー!?」
と叫ぶと、大合唱の末に
「俺もミクスチャーロックが大好きだー!!!」
とkjが思いっきり叫んだ「Fantasista」で終了。
前半のセトリの渋さにはどうなることかと思ったが、やはりフェスキングと称されるこのバンドは本当に強い。サウンドは変わりながらもずっと第一線、常にフェスのメインステージに立ち続けてこられた理由が、ライブを見れば良くわかる。
そしてドラム桜井誠の飲食店、桜井食堂の新メニューの汁なし担々麺はやはり美味そのもので、もはやフェスには欠かせない店になりつつある。ライブ後には桜井をはじめとしたメンバーも店に姿を見せ、ファンと写真撮影に応じたりしていた。
1.House of Velocity
2.Ambitious
3.For diver's erea
4.Velvet Touch
5.Revive
6.百合の咲く場所で
7.新曲
8.The Live
9.Fantasista
16:20~ ストレイテナー [VIVA! STAGE]
実はこのフェスには初出演となるストレイテナー。
ホリエアツシの
「VIVA LA ROCK初出演、俺たちストレイテナーって言います。よろしくお願いします!」
という挨拶とともに、ひなっちのゴリゴリのベースが唸りを上げる「DAY TO DAY」からスタートするが、いきなり途中でドラムの音がなくなって演奏がストップしたかと思ったら、シンペイのドラムが壊れたということでやり直すことに。(スネアかタムが破れたのだろうか)
「VIVA LA ROCK初出演、俺たちストレイテナーって言います。よろしくお願いします!」
と、またそこからやるんかい、と突っ込みたくなるくらいに1回目はなかったことにするべく最初からやり直すと、これまでなんども観客を踊らせてきた「DISCOGRAPHY」は大幅にアレンジを変えた最新バージョンに。
リリースされたばかりの最新アルバム「COLD DISC」がMUSICAのDISC of MONTHに選ばれたことを実に嬉しそうにホリエが語ると、その「COLD DISC」の収録曲のお披露目ライブかというくらいにライブ初披露の収録曲を連発。
英語詞の疾走感のあるストレートなギターロック「Dark City」、タイトル通りにサビで一気にダンサブルに展開する「Alternative Dancer」、ホリエ特有の詞世界に浸れる「原色」、シングルリリース時から評判の良い、新たなバンドの代表曲になる可能性を持った「シーグラス」と、攻めすぎなんじゃないかと思うくらいに新作曲の連打。これは本当にアルバムに自信を持っていないとなかなかできない。ましてやライブの度にガラッとセトリを変えるこのバンドならなおさらである。
そして最後はホリエがキーボードを弾きながら歌う「覚星」。これまでにも「シンクロ」「Toneless Twilight」「SIX DAY WONDER」など、ホリエがキーボードを弾くタイプの曲は毎回1曲はライブで披露されてきたが、しばらくはこの曲になりそうな予感がしている。
「COLD DISC」の曲を連発したことによって浮かび上がるのは、ホリエアツシのメロディメーカーとしての素晴らしさ。革新性に走っているような時期もあったが、今のこのバンドの真ん中にあるのは紛れもなくホリエのメロディと歌である。
客層的な要素もあるが、2番目のステージでありながらも集客がちょっと寂しい結果だったのは少し残念なところだが。
1.DAY TO DAY
2.DISCOGRAPHY
3.The Place Has No Name
4.Dark City
5.Alternative Dancer
6.原色
7.シーグラス
8.覚星
17:00~ UNISON SQUARE GARDEN [STAR STAGE]
もはや名実ともにメインステージで文句なしの存在になった、UNISON SQUARE GARDEN。
おなじみイズミカワソラ「絵の具」のSEで登場すると、「カラクリカルカレ」でスタート。ポップでありながらも、スリーピースのロックバンドのダイナミズムを1曲目から見せつける。
早くも2曲目でこのバンドをこのメインステージに立っているのが当然という状況まで持っていった、去年の大ヒットシングル「シュガーソングとビターステップ」で踊らせると、シングル曲とアルバム曲を織り交ぜた、ユニゾンだからこそできるようなセットリストを展開。
さらにはハードな新曲「パンデミック・サドンデス」からの「天国と地獄」はこのバンドの演奏の凄さ、分厚さを実感させ、田淵はこの広いステージをベースを置いて走り回ったり、片手で弾きながら片手で派手なアクションを繰り返したりというさすがの暴れっぷり。この日先に出たSiMのSINと運動量ではどちらが多いのだろうか。
イントロで大歓声があがった「オリオンをなぞる」は「シュガーソングとビターステップ」の大ヒットがあっても、未だにこの曲がバンドの代表曲の一つであることを示し、ラストの「ガリレオのショーケース」では田淵が斎藤に近寄って行ってギターを触ったり、目の前に立ってベースを弾いたりと、いつも以上にちょっかいを出していた。このあたりを考えてやっているのかはわからないが、すごいライブをやりながらもこうして笑える要素を入れてくることで、さらに楽しさが増していく。
MCもなければ、「歌え!」「踊れ!」など煽ることも全くしない。この規模でこのスタイルを貫けるバンドは他に全く思い浮かばない。
そしてたくさんのバンドがこのステージにたどり着きたいと思っている中、ユニゾンは大きなステージへの欲が全くない中でここまでたどり着いてしまった。でも、田淵の暴れっぷりという面でも、このバンドは広いステージが本当によく似合うバンドだと思っている。
果たして夏に出演する大型フェスではどのステージに立っているんだろうか。
1.カラクリカルカレ
2.シュガーソングとビターステップ
3.桜のあと (all quartet lead to the?)
4.メカトル時空探検隊
5.ライドオンタイム
6.ワールドワイド・スーパーガール
7.パンデミック・サドンデス
8.天国と地獄
9.オリオンをなぞる
10.ガリレオのショーケース
19:10~ 銀杏BOYZ [VIVA! STAGE]
VIVA! STAGEの大トリは、去年のこのフェスで久しぶりに大型フェスに出演した銀杏BOYZ。去年は屋外のフリーエリアのステージに出たが、今年は室内。メインステージではないが、峯田和伸がさいたまスーパーアリーナの中でライブをするのは、GOING STEADY時代にGREEN DAYの来日公演のオープニングアクトで出た時以来だろうか。
しかしながら、去年は入場規制がかかるくらいの人を動員したというのに、今回は始まるまで客席はガラガラ。客層的な要素もあるだろうが、これには今の銀杏BOYZの状況を実感させられてしまった。
時間になると、黒いコートを着て峯田和伸が1人で登場。ステージに向かって唾を吐きながら、
「この曲であんたらの今までの過去と、俺の過去を全て肯定したい。
人を殺して刑務所から出てきてここにいようが、妊娠した子供を堕ろしてようが、手首を切ってようが、そんなあんたら全員の今までをこの曲で肯定したいんだ」
と語り、去年の出演時には新曲として弾き語りをした「生きたい」でスタート。途中から山本幹宗(ギター)、藤原寛(ベース&コーラス)、後藤大樹(ドラム)というおなじみのバンドメンバーが加わりバンド編成の轟音に。 「人間」「光」とおなじ構成なのは、この曲がその2曲に連なる三部作と言える曲だから。
そのままバンド編成、峯田もエレキを手にし、「DON'T TRUST OVER THIRTY」の現在のアレンジ版「大人全滅」。パンクというよりもノイジーなサウンドは2枚のアルバムの延長線上で、多数のエフェクターを操作する山本幹宗の貢献度が高い。曲を終えると、今この曲を歌うことにした経緯を語る。
峯田がアコギに変えると、
「今日はこの曲をみんなと歌いに来た」
と言い、「君の胸にキスをしたら…」と弾き語りのように歌い出してからバンド編成になったのは、まさかの「夢で逢えたら」。ライブで聴くの、2005年のロッキン全裸事件の直後の野音以来だろうか。歓声に混じり、泣いてる声も聞こえるが、あの頃と違うのは、後藤のドラムがあまりにも上手すぎるということ。村井守とは比べものにならない手数の多さは「今の銀杏BOYZ」を実感させるには充分過ぎるし、本当は峯田本人もこういうアレンジにしたかったんじゃないかとすら思える。
演奏を終えると、
「あなたはこの時代に死にたいでしょうか?僕は死にたくない。死にたくない、あいどんわなだい!」
と言って、「~FOREVER」バージョンではなく、限りなくオリジナルのパンクバージョンな「あいどんわなだい」。しかし歌詞は「~FOREVER」のもので、「イエス!イエス!イエス!イエス!」の大合唱とともにダイバーが続出。ハンドマイクの峯田もステージ上でのたうちまわるように暴れまくる。
久々に原曲バージョンで聴いた「あいどんわなだい」を終えると、
「俺がおじいちゃんになっても、俺が結婚して子供ができて、子供が結婚して孫ができても…100年経ってもこの曲が聴かれてますように」
と言って、誰もが待ち焦がれていた曲、「BABY BABY」を演奏。去年の弾き語りとは違い、バンドバージョン。しかし弾き語り同様に終盤には合唱パートも追加され、観客全員によるサビの大合唱。何回居合わせても、これには涙をこらえることができない。銀杏BOYZをずっと聴いてきた人たちと、銀杏BOYZのLIVEで一緒に歌う。それがどれだけ幸せなことで、この瞬間をどれだけ待ち望んでいたことか。
「BABY BABY」の大合唱を終えると、
「俺の曲にはある特定の人を歌ったものがあって。でもそれを歌うと、その人がどんどん遠ざかっていくような気がして…じゃあ歌うなって言うのかい!?歌いますよ!どんなにあの人が遠ざかっていっても!」
と言って最後に演奏されたのは「東京」。
バンド演奏だからこそ滲み出る切なさや愛しさ。その全ての感情を出し切るような「東京」を終えると、アンコールで1人で峯田が登場。椅子に座り、
「最初にやった「生きたい」っていう曲は、15分くらいある曲なんで、こういうフェスでやると他の曲をやる時間がなくなっちゃうんですけど(笑)、それでもどうしてもやりたくて。
アンコール、星野源君がもう始まっちゃうんで、1曲だけやります」
と言って、アコギで弾き語り始めたのは、「抱きしめたい」の連呼と「骨までしゃぶりたい」のフレーズがインパクトのある、安藤裕子に提供した曲、「骨」。
弾き語りでも「生きたい」とは全く違う、軽快さすら感じる曲。セルフカバーするとして、バンドアレンジされたらまた変わるのだろうが、重いモードではもうない様子。最後に今日放送の自身出演ドラマの宣伝をして去った峯田。と思ったら、このステージの終演挨拶をしに出てきた鹿野淳に割り込むようにまたステージに登場し、
「鹿野さん、昔ロッキンオンにいて。GOING STEADY時代から俺のことをずっと見てて、褒めてくれてたの。見る目あるよ、この人」
と言って、鹿野淳との良好な関係を示して帰って行った。
もしかしたら、銀杏BOYZは10年前みたいに、デカいフェスのデカいステージに立てるような存在ではないのかもしれない。でも、こうして峯田和伸がステージに立って歌っている姿を見れるだけで、本当に幸せ。ワンマンが今から楽しみすぎる。また東京で会いましょう。
1.生きたい
2.大人全滅
3.夢で逢えたら
4.あいどんわなだい
5.BABY BABY
6.東京
encore
7.骨
銀杏BOYZを見て放心状態になってしまったため、これで今年の自分のVIVA LA ROCKは締めることに。
導線は毎年改善されているとはいえ、CAVE STAGEのあまりの見えなさはあのステージに行く気がなくなるレベルなので、まだまだ改善すべき点はたくさんある。
しかし、来年からはビバラはまたGWに戻るらしい。でも去年も今年もビバラとJAPAN JAMに両方行った身としては、近場で客を取り合うことになってしまうのは本当にもったいないと思う。どちらの良さも知ってるからこそ、どちらか悩むことなく、できれば両方全部行きたいから。今のところはメンツ次第だが、もし来年も銀杏BOYZが出るんなら、また埼玉まで来ます。
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