METROCK 2016 @若洲公園 5/22
- 2016/05/24
- 21:28
2日目。前日夜の雨はどこへやら、雲ひとつない快晴。もはや気分は完全に夏フェスという感じである。
この日はオープニングアクトは特になし。前日同様にテレ朝の女子アナの前説から、メインステージのトップバッターへ。
12:00~ キュウソネコカミ [WINDMILL FIELD]
すでに前説の前から本気のリハを始めていた、キュウソネコカミ。3年連続出演で1番小さいステージからメインステージにたどり着いた。
セイヤは去年使った風車のコスプレでリハを行うが、本番では使わないとのこと。本番ではやらない曲はもちろん、「MEGA SHAKE IT!!」のハウスミュージックの部分を練習がてらに演奏して振り付けを覚えさせたりする。
さらにリハで新曲も披露。先日のワンマンでややった、地球がテーマの新曲ではなく、これからの季節に合わせた、テーマは夏だけど決してアッパーではない、家の中でだらけた夏の曲。
本番ではMステのテーマソングで登場すると、予告通りにセイヤは衣装は普通。いきなり「MEGA SHAKE IT!!」でスタートするが、リハで練習したこともあり、ハウスミュージックの振り付けもかなり後ろの方まで浸透している。
トップバッターが出てくる前のこの日の出演者紹介VTRが流れた時に、星野源→ONE OK ROCK→[Alexandros]という流れの歓声がデカすぎてちょっと凹むからトップバッターは不利、とリアルな心境を話して笑わせるが、セトリ自体は実に王道というかフェス向けなもの。ライブが配信されるということを意識してか、ヨコタとセイヤはいつも以上にカメラ目線などのアクションが多い。
盆踊りサークルなどもなくストレートに演奏された「KMDT25」(時間の都合もあってのことか)の後は、「DQN~」でセイヤが
「足腰に自信あるやつー!」
と問いかけて、ステージを降りて手が挙がった客席最前列に突入するも、セイヤを支えきれずにすぐ崩れてしまい、
「自信あるって言ったじゃねーか!」
と結局支えられながら歩くことはせず。
「ついにWINDMILL FIELDに出れました。みなさんにWINDMILL FIELDに出れる秘訣を伝授しましょう。それは他のバンドがライブやってる時に、主催者と一緒にしっかり他のバンドのライブを見ることです。呑気にビールを飲んでてはいけません。主催者がステージ移動する自転車について走って行って、ライブを見まくるのです。俺らはそうやってここまで辿り着きました」
と1番小さいステージからメインステージにたどり着いた理由を明かすと、「ハッピーポンコツ」「ビビった」というおなじみの締め。
セイヤはこのステージに立った理由を笑い話にしていたが、そうして他のバンドのライブのいいところを研究する姿勢はもちろん、フェスでもワンマンでもどうしたらお客さんが楽しんでくれるか、というのを考えまくってしっかり実践し、このステージに出てもおかしくはないバンドの演奏力をちゃんと持ってるからこそこのステージまでたどり着いた。
こうなると、他の大型フェスでもメインステージに立つ姿が見たくなるが、果たしてそこまで行けるだろうか。
リハ1.OS
リハ2.MEGA SHAKE IT!!
リハ3.空心菜
リハ4.夏っぽい新曲
1.MEGA SHAKE IT!!
2.ファントムバイブレーション
3.GALAXY
4.良いDJ
5.KMDT25
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
ハッピーポンコツ
https://youtu.be/_ZEGUfWSgls
12:50~ グッドモーニングアメリカ [SEASIDE PARK]
2年連続でのSEASIDE PARK出演となった、グッドモーニングアメリカ。
やはりキュウソネコカミからこのバンドに移動する人が非常に多く、移動の道が混んでおり、着いた時にはたなしんがすでにいつもの上半身裸になっていて、他のメンバーが登場してきたので、たなしんの登場シーンは見逃してしまった。
いきなり「未来へのスパイラル」で大合唱を巻き起こすと、人気曲(「アブラカタブラ」)、過去曲(「光となって」)、定番曲(「コピペ」「inトーキョーシティー」)を織り交ぜた、さすがのライブバンドっぷり。持ち曲自体は年々増えていく一方だが、どの曲もいつでも演奏できる状態にあるというのは、やはりパンク・メロコアをルーツに持ち、今もその流れを汲むバンドであることの誇りがあるからこそ。
すでに10月に地元の八王子にて自分たちが主催するフェスを開催することが発表されているが、だからこそこうしてフェスに出ると勉強することばかりだというバンドの良心・渡邊のMCからは、ライブを楽しむだけではなく、自分たちのフェスをどうすれば成功に導けるかを模索しているこのバンドの真面目さを感じさせる。
呼ぼうと思えばいくらでも人気バンドを呼ぶことができるくらいに顔の広いバンドだが、むしろそこよりも運営面を強化していこうという気概も感じる。
そしてラストは「空ばかり見てた」で再び大合唱を起こすと、客席には衝動を抑えきれなくなったのか、ダイバーも出現。
一時期のメインステージに間違いなく歩を進めるであろう勢いではなくなってきたのは否めないが、やはりライブ力はいまだ抜群というか、さらに進化してきているのは間違いない。
それだけに、自分たちの主催フェスをきっかけに再びさらに高いところを狙えるような存在になって欲しい。
ちなみに、ライブ終わってからたなしん&ペギはファンサービスをしながらいろんなバンドの客席に出没していた。本当に真面目というか、良い男だな、と思わせてくれる。
1.未来へのスパイラル
2.アブラカタブラ
3.光となって
4.コピペ
5.inトーキョーシティー
6.空ばかり見てた
アブラカタブラ
https://youtu.be/qBZ71W_iOXs
13:30~ 9mm Parabellum Bullet [WINDMILL FIELD]
このフェスではおなじみの存在、かつてはトリもやっている9mmが今年も登場。
おなじみのATARI TEENAGE RIOTのSEで登場すると、いきなりの「Discomnunication」からスタートし、「反逆のマーチ」「Cold Edge」と新旧の定番曲を続けながらも、卓郎がMCでリリースしたばかりのアルバム「Waltz on Life Line」の宣伝をした際に、アルバムの中で重要な曲であると言った「生命のワルツ」で爆音を響かせながら、両サイドの滝と和彦は広いステージなだけにはしゃぎまくりの暴れまくり。滝のもはや弾いてないのに音が聞こえてくる錯覚に陥るギターも随所に発揮される。
すると新作からの「太陽が欲しいだけ」「Lost!!」と、フェスに合いそうな2曲を演奏し、定番曲ばかりではなくしっかりとバンドの最新のモードを見せつけ、ラストは歌詞に「新木場のMETROCK」というワードを入れながら観客全員を仲間入りさせた、「Black Market Blues」からラストのサビ前では大合唱を巻き起こし、かみじょうの超人的ドラム連打が見られる「新しい光」で終了し、圧倒的な残響と余韻を残しながら、メンバーは笑顔でステージを去って行った。
フェスにおいて最新のモードを示しながら戦うというのはさすがにデビュー以降から巨大な存在となり、常に最前線を走ってきたバンドだからこそであるが、メンバー全員が作曲、作詞を行って作られた「Waltz on Life Line」の真価は、その収録曲をあらかた演奏するであろうワンマンでこそ明らかになる気がしている。
そしてその真価はこれから先の9mmの活動において、今までで最も大切なものに変わっていくように思う。
CDJでもGALAXY STAGEだっただけに、この日ももはやメインステージにずっと立ち続けるのはかなり厳しくなってきたと感じてしまう感じの客席の状態だったが。
1.Discomnunication
2.反逆のマーチ
3.Cold Edge
4.生命のワルツ
5.太陽が欲しいだけ
6.Lost!!
7.Black Market Blues
8.新しい光
Lost!!
https://youtu.be/QvzzTBJ3IgY
14:20~ OKAMOTO'S [SEASIDE PARK]
こちらもこの会場、このステージでおなじみの存在と言っていいバンド、OKAMOTO'S。
SEもなしに、というか明らかに予定の時間より早くステージにメンバーが登場すると、コウキ、ショウ、レイジ、そしてハマの順に叫び声を上げてから演奏されたのは、まさかの星野源「SUN」のカバー。
ハマが星野源の演奏に参加しているとはいえ、こうしてこの後に出演するアーティストの代表曲を軽々と演奏できてしまうというメンバーの技術の高さと(去年のロッキンにドレスコーズとしてメンバーが出演した際も椎名林檎の「丸の内サディスティック」を演奏していた)、初めてこのバンドのライブを見る観客を一瞬で掴んでしまうアイデア力は若くしてもはやベテランの貫禄さえある。今やもう10代ではないが、このバンドがデビューした時に「恐ろしき10代」と評された所以。
そんなサービスもありつつ、「Beek」「まじないの唄」と初期の曲もさらに現在のバンドの力量に合わせてブラッシュアップさせられている中、一転してコーラスの多い新曲の「BROTHER」でバンドの最新モードを見せつける。ショウは出てきた時はコートを着ていたが、さすがに暑かったのか、わりとあっさり脱ぎ捨てていた。
そして後半は多様な音楽を聴くメンバーが揃ったバンドだからこその引き出しの多さを持ちながらも、あえて現在のロックシーンに照準を合わせたダンサブルなシングル曲を連発し、予想以上に満員になっていた客席を踊らせまくった。
同世代のバンドが次々にシーンに浮上して大きなステージに進もうとしているが、ライブの地力という点ではやはりこの世代では頭一つ以上抜けている。それだけにこのバンドはシーンの流行や流れが変わっていってもこのままずっと変わらずにこの規模をキープしたまま生き残り続けていく存在だと思う。
1.SUN (星野源カバー)
2.Beek
3.まじないの唄
4.BROTHER
5.SEXY BODY
6.JOY JOY JOY
7.Dance With You
Dance With You
https://youtu.be/WBrCZgHiGxA
15:00~ くるり [WINDMILL FIELD]
常に新たな音楽的挑戦を続けてきたバンドだが、こうしてラインアップを眺めているだけで、もはや異色の存在に感じる、くるり。かつては大トリも務めたこのフェスに今年も登場。
この日も最近おなじみの7人の大所帯編成で登場すると、クリフ・アーモンドの1発1発が重いドラムの連打から「HOW TO GO」でスタート。アチコと加藤哉子の参加により、この曲の、特にサビではコーラスがどれだけ重要なファクターであるかということが実によくわかる。
この雲ひとつない「晴れ渡る空」の下で生で聴けるのがこの上なく幸せな「ロックンロール」、バンドの豊かなサウンドのぶつかり合いと調和が堪能できるロックナンバー「Morning paper」と続くと、岸田がJAPAN JAMに続いてこの日も出演ボーカリストの中で最年長であるということを語りながらウイスキーを飲み(このあたりがさすが最年長というような行動である)、濃厚かつ重い「黒い扉」へ。
「HOW TO GO」も「ロックンロール」もシングル曲だし、「Morning paper」もライブで演奏される頻度が高いので忘れていたが、今は「アンテナ」再現ツアーの真っ最中。JAPAN JAMのように冒頭から「アンテナ」収録曲連発ではなかったが、アルバムの中でも最も重いこの曲をフェスでやってしまうあたりは本当にさすがの一言。佐藤も
「フェスでこのテンポの曲をやるバンドはなかなかいないですよ(笑)」
とやたら冷静に分析。さすがはレーベルオーナーである。
すると一転して軽やかかつポップな「ふたつの世界」で最新モードに転ずると、ラストに新曲の「琥珀色の街、上海蟹の朝」を披露。すでに他のライブでも演奏されているが、現在のインディーポップバンドに通じるような都会的でムーディーな、岸田のラップのような歌唱が聴ける、最新中の最新の曲だが、やはりメロディが良いという点においてはくるりそのものなだけに、この手腕と、編成とメンバーの選択によって曲においての最良の形を見つけることができるあたりは岸田の眼力はさすがである。
となると当然気になるのはこの先であるが、再現ツアー後にはシングルとしてこの曲がリリースされるために、次のアルバムはまたくるりが日本のロックの新たなページを作り出すことになりそうである。
1.HOW TO GO
2.ロックンロール
3.Morning paper
4.黒い扉
5.ふたつの世界
6.琥珀色の街、上海蟹の朝
ふたつの世界
https://youtu.be/9sXMm-tJneQ
15:50~ アルカラ [SEASIDE PARK]
こちらも今年もSEASIDE PARKへの出演となったアルカラ。
時間になると、SEとして流れてきたのは、同じ時間にNEW BEAT SQUAREでライブを行っている、水曜日のカンパネラの「桃太郎」で、曲に合わせてメンバーは一列に並んでどじょうすくいのような踊りを踊るという、爆笑のオープニング。
すると1曲目は明らかに水曜日のカンパネラに合わせたであろう、「水曜日のマネキンは笑う」。このバンドのこういった瞬発力の高さは本当に恐ろしいものがある。
早くも「キャッチーを科学する」というキラーチューンも演奏すると、9mmの「The World」のイントロを何度も演奏してから(こういうのをすぐ出来てしまうあたりは本当にすごい)、ここでかねてからアナウンスされていた通り、ゲストとして9mmの滝が実にフォーマルな出で立ちでステージに登場。するとギターではなくヴァイオリンを手にし、稲村とのツインヴァイオリンでインスト曲の「380」をコラボ演奏。普通にヴァイオリンを弾いているので、やはりピアノも弾けるしドラムも叩けるし滝はさすがだな、と思っていたが、実はヴァイオリンを始めたのはつい最近であるらしい。曲終わり前には稲村が滝にちょっかいを出したりしながら、なかなか今後も見れないであろうコラボは終了。ちなみに「380」はもともと稲村がファブリーズについての歌を作ってできた曲だという。
ここからは再びバンド4人で、といきたいところだが、マクドナルドのロコモコバーガーの宣伝をしながら、
「足りない!まだまだ足りない!アブノーマルが足りない!」
と言って始まった「アブノーマルが足りない」ではそれまでも袖にいるのがチラチラ見えていたグッドモーニングアメリカのたなしんが、稲村に手招きされてステージへ。下上のマイクを使ってコーラスや煽りをしながら、最終的には客席にダイブし、そのあとはそのまま客席で普通にライブを楽しんでいた。もはやただのアルカラファンの1人の男である。
そしてラストの「交差点」ではLUNA SEAの「LOSIER」を織り交ぜつつ、観客にサビを歌わせながらも、稲村も客席最前列の柵によじ登って熱唱と、たった5曲とは思えないくらいの内容の濃さ。去年はバンドのマスコットキャラであるくだけねこの中身にたなしんが入っていたが、今年は完全にそれをはるかに上回るインパクト。もはやロック界の奇行士というよりも、完全にロック界の良心的な存在。これだけたなしんがファンであるということは、グドモの主催フェスにも確実に名前を連ねるバンドになるであろう。
終演SEもこのあとライブをやるフォーリミの「Terminal」という凝りよう。
1.水曜日のマネキンは笑う
2.キャッチーを科学する
3.380 feat.9mm滝
4.アブノーマルが足りない
5.交差点
水曜日のマネキンは笑う
https://youtu.be/rwbFD_R1aPw
17:10~ 04 Limited Sazabys [NEW BEAT SQUARE]
まさかのこの1番小さいステージへの出演となった、名古屋のフォーリミこと04 Limited Sazabys。4月に主催フェス「YON FES」でデカいステージのトリを見事に務めあげているのを見ているだけに、フェスでこの規模のステージにいるのは不思議な気分。
時間前からメンバーがステージに出てきて曲を連発すると、開演前から入場規制がかかっているんじゃないかというくらいの超満員の中、メンバーが登場すると、GENが
「今日は下がコンクリートだからダイブなしで最高の景色を僕らに見せてください!」
と言って「monolith」からスタート。GENが先に言ったことにより、ダイバーは全くいない。ハードな音像の「fiction」「escape」と続くと、GENがSuchmosのメンバーと一緒にくるりのライブを見て感銘を受けたこと、この日も前の週の大阪の日もタイムテーブルの都合上、星野源のライブが見れないのが悔しいということを告げ、ショートチューンも交えながら、30分の持ち時間とは思えない曲数を演奏していく。
徐々にあたりが暗くなってきている会場の雰囲気の中を泳いでいくような「swim」の前にはGENが
「これからも日本のロックに光が射しますように!」
と、YON FESを経てすでにシーンを背負い牽引していく存在になったからこその責任感を感じさせる言葉を発する。もうすでにGENからはそういう、時代や世代を引っ張っていく雰囲気というかオーラのようなものを感じる。それはかつてアジカンのゴッチなどが纏っていたものと同じ。GENはまだまだ見た目は年齢以上に子供っぽいが。
そして最後は「再会の歌」こと「Terminal」。リフトしている人こそ数名いたが、GENが喚起した甲斐あってか、ダイブしている人は全くいなかった。きっと、そこに関しては本人たちも周りからいろんなことを言われているんだろうけど。そしてこの日演奏しなかった「AIM」収録曲をライブで披露するのはやはりワンマンだろうか。
最後にあごひげが一段と濃くなったように感じるRYU-TAが
「来年は向こうのステージ(メイン)で!」
と言ってステージを去っていったが、首都圏のこの規模のフェスの1番小さいステージでこのバンドのライブを見れるのは間違いなくこの日が最後だろう。
リハ1.midnight cruising
リハ2.medley
リハ3.days
リハ4.Now here, No where
1.monolith
2.fiction
3.escape
4.Chicken race
5.Remember
6.nem…
7.swim
8.Terminal
Terminal
https://youtu.be/7h-fk7BXmtQ
19:00~ WANIMA [NEW BEAT SQUARE]
こちらもフォーリミに続いて、まさかの1番小さいステージ、もはやメインでもいいんじゃないかとすら思う存在のWANIMA。入場規制が怖かったので、フォーリミ終わりからずっと移動せずに待機していたが、メインステージがONE OK ROCKということで、フォーリミが終わった直後からWANIMAのスタート15分前くらいまではまだまだ余裕で入れる感じだったので、ワンオクを少し見てからでも良かったかもしれない。
しかしながら10分前くらいには早くも完全に入場規制状態となり、おなじみスキャットマン・ジョンのSEで手拍子を起こしながらも、曲に「ワンチャン」という掛け声が混じるWANIMAリミックスのような感じに進化し、
「手拍子とかいらんからー!」
と笑顔で言いながら手拍子を煽る健太と独特な踊りを踊る藤原、少し髪を短く切った光真の3人が揃うと、
「日本で1番、METROCKが好きー!WANIMA、開催します!」
というおなじみの口上から、歌詞の内容はエロいのに超良い曲という「いいから」でスタートするのだが、「ワンツー!」という気合いの合いの手が入る「エル」、「リベンジ」と、もはや全曲に渡って大合唱が起きる。これはアルバム曲ですらもすでにこの時代最大のパンクアンセムになっているという証拠。
「我々熊本出身東京在住なんですが、今日は熊本の隣の鹿児島県から長渕剛さんが来てくれています!」
と健太が紹介すると、おなじみの藤原による長渕剛の「乾杯」のモノマネコーナーが始まるのだが、持ち時間が短いこともあり、かなり短縮されたバージョンに。しかしその短い時間でもモノマネのクオリティが見るたびに上がっているのはわかる。どこに力を入れているんだという話だが。
すると光真もしゃべることを促され、最前の観客を指差し、
「べっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん、1人飛ばして…べっぴんさーん!」
と最後に思いっきりリヴァーブをかけて、「いいから」同様にエロいのに超名曲な「BIG UP」から「Hey Lady」へ突入し、さらに激しいモッシュの嵐によるパンクパーティーに。
そして健太が地元熊本が被災したことについて語り始めると、
「みんないろいろ熊本のために協力してくれてありがとう。俺たちも今、熊本のためになんかやりたいって考えて行動しようとしてるけん、これからも熊本をよろしくお願いします!」
と地元への愛と支援への感謝を語り、3人が揃って頭を下げると、大きな拍手が起こった。
熊本に行ったことがない関東在住の身としては、熊本はくまモンのイメージくらいしか今まで持ってなかった。でもこのWANIMAやBLUE ENCOUNTという熊本出身のバンドが目の前で地元への思いをストレートに語ってくれるから、これまでよりずっと近い存在に感じることができるし、他人事でいることはできない。
その支援への感謝の思いをそのまま曲にしたかのような、
「ありがとうを込めて歌ったこの気持ちに嘘はないと」
というフレーズでまたしても大合唱が起きた「THANX」で終わりかと思いきや、
「アンコール!アンコール!」
と健太が自らアンコールを求めると、最後の最後にこれからのさらなる飛躍と新たな始まりを告げる「ここから」で最後の大モッシュを起こして3人はステージを去って行った。
バンドの規模や売り上げ、曲のスケール、持っているオーラなど、全ての要素において完全にキャパオーバーだった30分。
いずれメインステージの夜に出る日が来るのもそう遠い話ではない。というかそれは確実に現実になる。それくらい、このバンドは2010年代後半になってもパンクに夢を見させてくれる。
1.いいから
2.エル
3.リベンジ
4.BIG UP
5.Hey Lady
6.THANX
7.ここから
THANX
https://youtu.be/lBFI99Y14mc
20:00~ [Alexandros] [WINDMILL FIELD]
去年は初日のトップバッターだった[Alexandros]。今年は待望の大トリという位置で登場。
「Burger Queen」のイントロでメンバーが登場すると、SEの続きを演奏することなく、むしろ途中で制するようにして、川上がハンドマイクで動き回りながら歌う「ワタリドリ」からスタート。川上だけでなく、磯部も白井もサトヤスもこの瞬間、この場所を待ち望んでいたかのような躍動感に満ち溢れている。
「Boo!」「Girl A」というサポートキーボードのRoseの活躍が目立つ不穏なデジタルサウンドを取り入れた曲もあれば、「city」というストレートなバンドサウンドでガシガシ押していく曲もある中、川上と磯部が曲間で飲み物をコツンと合わせて乾杯すると、まさかの「In your face」「Kiss The Damage」という、ワンマンですらやらないようなレア曲を演奏。わかりやすく盛り上がる曲ではないために、川上も「みんながシーンとしてた曲(笑)」と後で振り返っていた。
だが、「トリで持ち時間が長いからこういう曲もできる」と言っていたように、これらの曲は1時間の持ち時間があればこその選曲。どこでもできるというわけではない。(現にJAPAN JAMの時はやってなかった)
「Run Away」からは一転してキラーチューン連発。「Kick&Spin」では再び川上がハンドマイクで煽りまくり、最新シングル「NEW WALL」ではこの規模、さらに夜がとてつもなく似合うスタジアムロックを轟かせる。
そして「照明のせいでステージに虫が多い(笑)」とこの日最初かつ本編ラストのMCで笑わせると、最後に「Starrrrrr」をこの夜空に向けて鳴らしてステージを去って行った。
アンコールでは川上が再びハンドマイクで歌う「Adventure」で、ステージに寝そべりながら歌うと、最後の最後にとびきりファニーな「Dracula La」。この選曲には本当にたくさんの人が飛び跳ねて喜んでいた。
メンバーがステージを去って行く中、川上はステージに1人残ると、現在CMでオンエアされている新曲を少しだけ弾き語りしてからこのフェス初のメインステージのトリの大役を終え、今年の2日間のMETROCKに幕を降ろした。
この、ライブが終わったあとの楽しさと幸せで満ち溢れている感覚こそ、このバンドがトリで良かったという最大の証明。川上は「勝ち取ったと思っている」と言っていたが、これだけ素晴らしいライブをやってくれるんだから、トリをやるのは当たり前とも思うけど、勝ち取ってくれたことに本当に感謝。
1.ワタリドリ
2.Boo!
3.Girl A
4.city
5.In your face
6.Kiss The Damage
7.Run Away
8.Kick&Spin
9.NEW WALL
10.Starrrrrr
encore
11.Adventure
12.Dracula La
NEW WALL
https://youtu.be/WW8LSsHZGTM
1年でたった2日間だけでも、ROCKS TOKYOから7年も続くと、この場所が紛れもなく大事な場所になっている。KANA-BOONや[Champagne]を初めてライブで見たのもこの場所だった。それだけに、今年もこうして行くことができて本当に感謝。若洲公園、また来年!
Next→ 5/28 VIVA LA ROCK @さいたまスーパーアリーナ

この日はオープニングアクトは特になし。前日同様にテレ朝の女子アナの前説から、メインステージのトップバッターへ。
12:00~ キュウソネコカミ [WINDMILL FIELD]
すでに前説の前から本気のリハを始めていた、キュウソネコカミ。3年連続出演で1番小さいステージからメインステージにたどり着いた。
セイヤは去年使った風車のコスプレでリハを行うが、本番では使わないとのこと。本番ではやらない曲はもちろん、「MEGA SHAKE IT!!」のハウスミュージックの部分を練習がてらに演奏して振り付けを覚えさせたりする。
さらにリハで新曲も披露。先日のワンマンでややった、地球がテーマの新曲ではなく、これからの季節に合わせた、テーマは夏だけど決してアッパーではない、家の中でだらけた夏の曲。
本番ではMステのテーマソングで登場すると、予告通りにセイヤは衣装は普通。いきなり「MEGA SHAKE IT!!」でスタートするが、リハで練習したこともあり、ハウスミュージックの振り付けもかなり後ろの方まで浸透している。
トップバッターが出てくる前のこの日の出演者紹介VTRが流れた時に、星野源→ONE OK ROCK→[Alexandros]という流れの歓声がデカすぎてちょっと凹むからトップバッターは不利、とリアルな心境を話して笑わせるが、セトリ自体は実に王道というかフェス向けなもの。ライブが配信されるということを意識してか、ヨコタとセイヤはいつも以上にカメラ目線などのアクションが多い。
盆踊りサークルなどもなくストレートに演奏された「KMDT25」(時間の都合もあってのことか)の後は、「DQN~」でセイヤが
「足腰に自信あるやつー!」
と問いかけて、ステージを降りて手が挙がった客席最前列に突入するも、セイヤを支えきれずにすぐ崩れてしまい、
「自信あるって言ったじゃねーか!」
と結局支えられながら歩くことはせず。
「ついにWINDMILL FIELDに出れました。みなさんにWINDMILL FIELDに出れる秘訣を伝授しましょう。それは他のバンドがライブやってる時に、主催者と一緒にしっかり他のバンドのライブを見ることです。呑気にビールを飲んでてはいけません。主催者がステージ移動する自転車について走って行って、ライブを見まくるのです。俺らはそうやってここまで辿り着きました」
と1番小さいステージからメインステージにたどり着いた理由を明かすと、「ハッピーポンコツ」「ビビった」というおなじみの締め。
セイヤはこのステージに立った理由を笑い話にしていたが、そうして他のバンドのライブのいいところを研究する姿勢はもちろん、フェスでもワンマンでもどうしたらお客さんが楽しんでくれるか、というのを考えまくってしっかり実践し、このステージに出てもおかしくはないバンドの演奏力をちゃんと持ってるからこそこのステージまでたどり着いた。
こうなると、他の大型フェスでもメインステージに立つ姿が見たくなるが、果たしてそこまで行けるだろうか。
リハ1.OS
リハ2.MEGA SHAKE IT!!
リハ3.空心菜
リハ4.夏っぽい新曲
1.MEGA SHAKE IT!!
2.ファントムバイブレーション
3.GALAXY
4.良いDJ
5.KMDT25
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
ハッピーポンコツ
https://youtu.be/_ZEGUfWSgls
12:50~ グッドモーニングアメリカ [SEASIDE PARK]
2年連続でのSEASIDE PARK出演となった、グッドモーニングアメリカ。
やはりキュウソネコカミからこのバンドに移動する人が非常に多く、移動の道が混んでおり、着いた時にはたなしんがすでにいつもの上半身裸になっていて、他のメンバーが登場してきたので、たなしんの登場シーンは見逃してしまった。
いきなり「未来へのスパイラル」で大合唱を巻き起こすと、人気曲(「アブラカタブラ」)、過去曲(「光となって」)、定番曲(「コピペ」「inトーキョーシティー」)を織り交ぜた、さすがのライブバンドっぷり。持ち曲自体は年々増えていく一方だが、どの曲もいつでも演奏できる状態にあるというのは、やはりパンク・メロコアをルーツに持ち、今もその流れを汲むバンドであることの誇りがあるからこそ。
すでに10月に地元の八王子にて自分たちが主催するフェスを開催することが発表されているが、だからこそこうしてフェスに出ると勉強することばかりだというバンドの良心・渡邊のMCからは、ライブを楽しむだけではなく、自分たちのフェスをどうすれば成功に導けるかを模索しているこのバンドの真面目さを感じさせる。
呼ぼうと思えばいくらでも人気バンドを呼ぶことができるくらいに顔の広いバンドだが、むしろそこよりも運営面を強化していこうという気概も感じる。
そしてラストは「空ばかり見てた」で再び大合唱を起こすと、客席には衝動を抑えきれなくなったのか、ダイバーも出現。
一時期のメインステージに間違いなく歩を進めるであろう勢いではなくなってきたのは否めないが、やはりライブ力はいまだ抜群というか、さらに進化してきているのは間違いない。
それだけに、自分たちの主催フェスをきっかけに再びさらに高いところを狙えるような存在になって欲しい。
ちなみに、ライブ終わってからたなしん&ペギはファンサービスをしながらいろんなバンドの客席に出没していた。本当に真面目というか、良い男だな、と思わせてくれる。
1.未来へのスパイラル
2.アブラカタブラ
3.光となって
4.コピペ
5.inトーキョーシティー
6.空ばかり見てた
アブラカタブラ
https://youtu.be/qBZ71W_iOXs
13:30~ 9mm Parabellum Bullet [WINDMILL FIELD]
このフェスではおなじみの存在、かつてはトリもやっている9mmが今年も登場。
おなじみのATARI TEENAGE RIOTのSEで登場すると、いきなりの「Discomnunication」からスタートし、「反逆のマーチ」「Cold Edge」と新旧の定番曲を続けながらも、卓郎がMCでリリースしたばかりのアルバム「Waltz on Life Line」の宣伝をした際に、アルバムの中で重要な曲であると言った「生命のワルツ」で爆音を響かせながら、両サイドの滝と和彦は広いステージなだけにはしゃぎまくりの暴れまくり。滝のもはや弾いてないのに音が聞こえてくる錯覚に陥るギターも随所に発揮される。
すると新作からの「太陽が欲しいだけ」「Lost!!」と、フェスに合いそうな2曲を演奏し、定番曲ばかりではなくしっかりとバンドの最新のモードを見せつけ、ラストは歌詞に「新木場のMETROCK」というワードを入れながら観客全員を仲間入りさせた、「Black Market Blues」からラストのサビ前では大合唱を巻き起こし、かみじょうの超人的ドラム連打が見られる「新しい光」で終了し、圧倒的な残響と余韻を残しながら、メンバーは笑顔でステージを去って行った。
フェスにおいて最新のモードを示しながら戦うというのはさすがにデビュー以降から巨大な存在となり、常に最前線を走ってきたバンドだからこそであるが、メンバー全員が作曲、作詞を行って作られた「Waltz on Life Line」の真価は、その収録曲をあらかた演奏するであろうワンマンでこそ明らかになる気がしている。
そしてその真価はこれから先の9mmの活動において、今までで最も大切なものに変わっていくように思う。
CDJでもGALAXY STAGEだっただけに、この日ももはやメインステージにずっと立ち続けるのはかなり厳しくなってきたと感じてしまう感じの客席の状態だったが。
1.Discomnunication
2.反逆のマーチ
3.Cold Edge
4.生命のワルツ
5.太陽が欲しいだけ
6.Lost!!
7.Black Market Blues
8.新しい光
Lost!!
https://youtu.be/QvzzTBJ3IgY
14:20~ OKAMOTO'S [SEASIDE PARK]
こちらもこの会場、このステージでおなじみの存在と言っていいバンド、OKAMOTO'S。
SEもなしに、というか明らかに予定の時間より早くステージにメンバーが登場すると、コウキ、ショウ、レイジ、そしてハマの順に叫び声を上げてから演奏されたのは、まさかの星野源「SUN」のカバー。
ハマが星野源の演奏に参加しているとはいえ、こうしてこの後に出演するアーティストの代表曲を軽々と演奏できてしまうというメンバーの技術の高さと(去年のロッキンにドレスコーズとしてメンバーが出演した際も椎名林檎の「丸の内サディスティック」を演奏していた)、初めてこのバンドのライブを見る観客を一瞬で掴んでしまうアイデア力は若くしてもはやベテランの貫禄さえある。今やもう10代ではないが、このバンドがデビューした時に「恐ろしき10代」と評された所以。
そんなサービスもありつつ、「Beek」「まじないの唄」と初期の曲もさらに現在のバンドの力量に合わせてブラッシュアップさせられている中、一転してコーラスの多い新曲の「BROTHER」でバンドの最新モードを見せつける。ショウは出てきた時はコートを着ていたが、さすがに暑かったのか、わりとあっさり脱ぎ捨てていた。
そして後半は多様な音楽を聴くメンバーが揃ったバンドだからこその引き出しの多さを持ちながらも、あえて現在のロックシーンに照準を合わせたダンサブルなシングル曲を連発し、予想以上に満員になっていた客席を踊らせまくった。
同世代のバンドが次々にシーンに浮上して大きなステージに進もうとしているが、ライブの地力という点ではやはりこの世代では頭一つ以上抜けている。それだけにこのバンドはシーンの流行や流れが変わっていってもこのままずっと変わらずにこの規模をキープしたまま生き残り続けていく存在だと思う。
1.SUN (星野源カバー)
2.Beek
3.まじないの唄
4.BROTHER
5.SEXY BODY
6.JOY JOY JOY
7.Dance With You
Dance With You
https://youtu.be/WBrCZgHiGxA
15:00~ くるり [WINDMILL FIELD]
常に新たな音楽的挑戦を続けてきたバンドだが、こうしてラインアップを眺めているだけで、もはや異色の存在に感じる、くるり。かつては大トリも務めたこのフェスに今年も登場。
この日も最近おなじみの7人の大所帯編成で登場すると、クリフ・アーモンドの1発1発が重いドラムの連打から「HOW TO GO」でスタート。アチコと加藤哉子の参加により、この曲の、特にサビではコーラスがどれだけ重要なファクターであるかということが実によくわかる。
この雲ひとつない「晴れ渡る空」の下で生で聴けるのがこの上なく幸せな「ロックンロール」、バンドの豊かなサウンドのぶつかり合いと調和が堪能できるロックナンバー「Morning paper」と続くと、岸田がJAPAN JAMに続いてこの日も出演ボーカリストの中で最年長であるということを語りながらウイスキーを飲み(このあたりがさすが最年長というような行動である)、濃厚かつ重い「黒い扉」へ。
「HOW TO GO」も「ロックンロール」もシングル曲だし、「Morning paper」もライブで演奏される頻度が高いので忘れていたが、今は「アンテナ」再現ツアーの真っ最中。JAPAN JAMのように冒頭から「アンテナ」収録曲連発ではなかったが、アルバムの中でも最も重いこの曲をフェスでやってしまうあたりは本当にさすがの一言。佐藤も
「フェスでこのテンポの曲をやるバンドはなかなかいないですよ(笑)」
とやたら冷静に分析。さすがはレーベルオーナーである。
すると一転して軽やかかつポップな「ふたつの世界」で最新モードに転ずると、ラストに新曲の「琥珀色の街、上海蟹の朝」を披露。すでに他のライブでも演奏されているが、現在のインディーポップバンドに通じるような都会的でムーディーな、岸田のラップのような歌唱が聴ける、最新中の最新の曲だが、やはりメロディが良いという点においてはくるりそのものなだけに、この手腕と、編成とメンバーの選択によって曲においての最良の形を見つけることができるあたりは岸田の眼力はさすがである。
となると当然気になるのはこの先であるが、再現ツアー後にはシングルとしてこの曲がリリースされるために、次のアルバムはまたくるりが日本のロックの新たなページを作り出すことになりそうである。
1.HOW TO GO
2.ロックンロール
3.Morning paper
4.黒い扉
5.ふたつの世界
6.琥珀色の街、上海蟹の朝
ふたつの世界
https://youtu.be/9sXMm-tJneQ
15:50~ アルカラ [SEASIDE PARK]
こちらも今年もSEASIDE PARKへの出演となったアルカラ。
時間になると、SEとして流れてきたのは、同じ時間にNEW BEAT SQUAREでライブを行っている、水曜日のカンパネラの「桃太郎」で、曲に合わせてメンバーは一列に並んでどじょうすくいのような踊りを踊るという、爆笑のオープニング。
すると1曲目は明らかに水曜日のカンパネラに合わせたであろう、「水曜日のマネキンは笑う」。このバンドのこういった瞬発力の高さは本当に恐ろしいものがある。
早くも「キャッチーを科学する」というキラーチューンも演奏すると、9mmの「The World」のイントロを何度も演奏してから(こういうのをすぐ出来てしまうあたりは本当にすごい)、ここでかねてからアナウンスされていた通り、ゲストとして9mmの滝が実にフォーマルな出で立ちでステージに登場。するとギターではなくヴァイオリンを手にし、稲村とのツインヴァイオリンでインスト曲の「380」をコラボ演奏。普通にヴァイオリンを弾いているので、やはりピアノも弾けるしドラムも叩けるし滝はさすがだな、と思っていたが、実はヴァイオリンを始めたのはつい最近であるらしい。曲終わり前には稲村が滝にちょっかいを出したりしながら、なかなか今後も見れないであろうコラボは終了。ちなみに「380」はもともと稲村がファブリーズについての歌を作ってできた曲だという。
ここからは再びバンド4人で、といきたいところだが、マクドナルドのロコモコバーガーの宣伝をしながら、
「足りない!まだまだ足りない!アブノーマルが足りない!」
と言って始まった「アブノーマルが足りない」ではそれまでも袖にいるのがチラチラ見えていたグッドモーニングアメリカのたなしんが、稲村に手招きされてステージへ。下上のマイクを使ってコーラスや煽りをしながら、最終的には客席にダイブし、そのあとはそのまま客席で普通にライブを楽しんでいた。もはやただのアルカラファンの1人の男である。
そしてラストの「交差点」ではLUNA SEAの「LOSIER」を織り交ぜつつ、観客にサビを歌わせながらも、稲村も客席最前列の柵によじ登って熱唱と、たった5曲とは思えないくらいの内容の濃さ。去年はバンドのマスコットキャラであるくだけねこの中身にたなしんが入っていたが、今年は完全にそれをはるかに上回るインパクト。もはやロック界の奇行士というよりも、完全にロック界の良心的な存在。これだけたなしんがファンであるということは、グドモの主催フェスにも確実に名前を連ねるバンドになるであろう。
終演SEもこのあとライブをやるフォーリミの「Terminal」という凝りよう。
1.水曜日のマネキンは笑う
2.キャッチーを科学する
3.380 feat.9mm滝
4.アブノーマルが足りない
5.交差点
水曜日のマネキンは笑う
https://youtu.be/rwbFD_R1aPw
17:10~ 04 Limited Sazabys [NEW BEAT SQUARE]
まさかのこの1番小さいステージへの出演となった、名古屋のフォーリミこと04 Limited Sazabys。4月に主催フェス「YON FES」でデカいステージのトリを見事に務めあげているのを見ているだけに、フェスでこの規模のステージにいるのは不思議な気分。
時間前からメンバーがステージに出てきて曲を連発すると、開演前から入場規制がかかっているんじゃないかというくらいの超満員の中、メンバーが登場すると、GENが
「今日は下がコンクリートだからダイブなしで最高の景色を僕らに見せてください!」
と言って「monolith」からスタート。GENが先に言ったことにより、ダイバーは全くいない。ハードな音像の「fiction」「escape」と続くと、GENがSuchmosのメンバーと一緒にくるりのライブを見て感銘を受けたこと、この日も前の週の大阪の日もタイムテーブルの都合上、星野源のライブが見れないのが悔しいということを告げ、ショートチューンも交えながら、30分の持ち時間とは思えない曲数を演奏していく。
徐々にあたりが暗くなってきている会場の雰囲気の中を泳いでいくような「swim」の前にはGENが
「これからも日本のロックに光が射しますように!」
と、YON FESを経てすでにシーンを背負い牽引していく存在になったからこその責任感を感じさせる言葉を発する。もうすでにGENからはそういう、時代や世代を引っ張っていく雰囲気というかオーラのようなものを感じる。それはかつてアジカンのゴッチなどが纏っていたものと同じ。GENはまだまだ見た目は年齢以上に子供っぽいが。
そして最後は「再会の歌」こと「Terminal」。リフトしている人こそ数名いたが、GENが喚起した甲斐あってか、ダイブしている人は全くいなかった。きっと、そこに関しては本人たちも周りからいろんなことを言われているんだろうけど。そしてこの日演奏しなかった「AIM」収録曲をライブで披露するのはやはりワンマンだろうか。
最後にあごひげが一段と濃くなったように感じるRYU-TAが
「来年は向こうのステージ(メイン)で!」
と言ってステージを去っていったが、首都圏のこの規模のフェスの1番小さいステージでこのバンドのライブを見れるのは間違いなくこの日が最後だろう。
リハ1.midnight cruising
リハ2.medley
リハ3.days
リハ4.Now here, No where
1.monolith
2.fiction
3.escape
4.Chicken race
5.Remember
6.nem…
7.swim
8.Terminal
Terminal
https://youtu.be/7h-fk7BXmtQ
19:00~ WANIMA [NEW BEAT SQUARE]
こちらもフォーリミに続いて、まさかの1番小さいステージ、もはやメインでもいいんじゃないかとすら思う存在のWANIMA。入場規制が怖かったので、フォーリミ終わりからずっと移動せずに待機していたが、メインステージがONE OK ROCKということで、フォーリミが終わった直後からWANIMAのスタート15分前くらいまではまだまだ余裕で入れる感じだったので、ワンオクを少し見てからでも良かったかもしれない。
しかしながら10分前くらいには早くも完全に入場規制状態となり、おなじみスキャットマン・ジョンのSEで手拍子を起こしながらも、曲に「ワンチャン」という掛け声が混じるWANIMAリミックスのような感じに進化し、
「手拍子とかいらんからー!」
と笑顔で言いながら手拍子を煽る健太と独特な踊りを踊る藤原、少し髪を短く切った光真の3人が揃うと、
「日本で1番、METROCKが好きー!WANIMA、開催します!」
というおなじみの口上から、歌詞の内容はエロいのに超良い曲という「いいから」でスタートするのだが、「ワンツー!」という気合いの合いの手が入る「エル」、「リベンジ」と、もはや全曲に渡って大合唱が起きる。これはアルバム曲ですらもすでにこの時代最大のパンクアンセムになっているという証拠。
「我々熊本出身東京在住なんですが、今日は熊本の隣の鹿児島県から長渕剛さんが来てくれています!」
と健太が紹介すると、おなじみの藤原による長渕剛の「乾杯」のモノマネコーナーが始まるのだが、持ち時間が短いこともあり、かなり短縮されたバージョンに。しかしその短い時間でもモノマネのクオリティが見るたびに上がっているのはわかる。どこに力を入れているんだという話だが。
すると光真もしゃべることを促され、最前の観客を指差し、
「べっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん、1人飛ばして…べっぴんさーん!」
と最後に思いっきりリヴァーブをかけて、「いいから」同様にエロいのに超名曲な「BIG UP」から「Hey Lady」へ突入し、さらに激しいモッシュの嵐によるパンクパーティーに。
そして健太が地元熊本が被災したことについて語り始めると、
「みんないろいろ熊本のために協力してくれてありがとう。俺たちも今、熊本のためになんかやりたいって考えて行動しようとしてるけん、これからも熊本をよろしくお願いします!」
と地元への愛と支援への感謝を語り、3人が揃って頭を下げると、大きな拍手が起こった。
熊本に行ったことがない関東在住の身としては、熊本はくまモンのイメージくらいしか今まで持ってなかった。でもこのWANIMAやBLUE ENCOUNTという熊本出身のバンドが目の前で地元への思いをストレートに語ってくれるから、これまでよりずっと近い存在に感じることができるし、他人事でいることはできない。
その支援への感謝の思いをそのまま曲にしたかのような、
「ありがとうを込めて歌ったこの気持ちに嘘はないと」
というフレーズでまたしても大合唱が起きた「THANX」で終わりかと思いきや、
「アンコール!アンコール!」
と健太が自らアンコールを求めると、最後の最後にこれからのさらなる飛躍と新たな始まりを告げる「ここから」で最後の大モッシュを起こして3人はステージを去って行った。
バンドの規模や売り上げ、曲のスケール、持っているオーラなど、全ての要素において完全にキャパオーバーだった30分。
いずれメインステージの夜に出る日が来るのもそう遠い話ではない。というかそれは確実に現実になる。それくらい、このバンドは2010年代後半になってもパンクに夢を見させてくれる。
1.いいから
2.エル
3.リベンジ
4.BIG UP
5.Hey Lady
6.THANX
7.ここから
THANX
https://youtu.be/lBFI99Y14mc
20:00~ [Alexandros] [WINDMILL FIELD]
去年は初日のトップバッターだった[Alexandros]。今年は待望の大トリという位置で登場。
「Burger Queen」のイントロでメンバーが登場すると、SEの続きを演奏することなく、むしろ途中で制するようにして、川上がハンドマイクで動き回りながら歌う「ワタリドリ」からスタート。川上だけでなく、磯部も白井もサトヤスもこの瞬間、この場所を待ち望んでいたかのような躍動感に満ち溢れている。
「Boo!」「Girl A」というサポートキーボードのRoseの活躍が目立つ不穏なデジタルサウンドを取り入れた曲もあれば、「city」というストレートなバンドサウンドでガシガシ押していく曲もある中、川上と磯部が曲間で飲み物をコツンと合わせて乾杯すると、まさかの「In your face」「Kiss The Damage」という、ワンマンですらやらないようなレア曲を演奏。わかりやすく盛り上がる曲ではないために、川上も「みんながシーンとしてた曲(笑)」と後で振り返っていた。
だが、「トリで持ち時間が長いからこういう曲もできる」と言っていたように、これらの曲は1時間の持ち時間があればこその選曲。どこでもできるというわけではない。(現にJAPAN JAMの時はやってなかった)
「Run Away」からは一転してキラーチューン連発。「Kick&Spin」では再び川上がハンドマイクで煽りまくり、最新シングル「NEW WALL」ではこの規模、さらに夜がとてつもなく似合うスタジアムロックを轟かせる。
そして「照明のせいでステージに虫が多い(笑)」とこの日最初かつ本編ラストのMCで笑わせると、最後に「Starrrrrr」をこの夜空に向けて鳴らしてステージを去って行った。
アンコールでは川上が再びハンドマイクで歌う「Adventure」で、ステージに寝そべりながら歌うと、最後の最後にとびきりファニーな「Dracula La」。この選曲には本当にたくさんの人が飛び跳ねて喜んでいた。
メンバーがステージを去って行く中、川上はステージに1人残ると、現在CMでオンエアされている新曲を少しだけ弾き語りしてからこのフェス初のメインステージのトリの大役を終え、今年の2日間のMETROCKに幕を降ろした。
この、ライブが終わったあとの楽しさと幸せで満ち溢れている感覚こそ、このバンドがトリで良かったという最大の証明。川上は「勝ち取ったと思っている」と言っていたが、これだけ素晴らしいライブをやってくれるんだから、トリをやるのは当たり前とも思うけど、勝ち取ってくれたことに本当に感謝。
1.ワタリドリ
2.Boo!
3.Girl A
4.city
5.In your face
6.Kiss The Damage
7.Run Away
8.Kick&Spin
9.NEW WALL
10.Starrrrrr
encore
11.Adventure
12.Dracula La
NEW WALL
https://youtu.be/WW8LSsHZGTM
1年でたった2日間だけでも、ROCKS TOKYOから7年も続くと、この場所が紛れもなく大事な場所になっている。KANA-BOONや[Champagne]を初めてライブで見たのもこの場所だった。それだけに、今年もこうして行くことができて本当に感謝。若洲公園、また来年!
Next→ 5/28 VIVA LA ROCK @さいたまスーパーアリーナ

