METROCK 2016 @若洲公園 5/21
- 2016/05/23
- 01:28
新木場の若洲公園でROCKS TOKYOを引き継ぐ形で開催されたMETROCKも今年で4年目。夏フェスの前哨戦というようなこのフェスもすっかり春フェスの後半フェスとして定着したが、今年は2日とも早々にチケットがソールドアウトと、今年も間違いのないラインアップを揃えての開催。
ステージは今年も
WINDMILL FIELD
SEASIDE PARK
NEW BEAT SQUARE
の3ステージ制。ステージ間がそこまで遠くないのが助かるところ。
11:30~ 地獄図 (オープニングアクト) [WINDMILL FIELD]
主催がテレビ朝日ということで、もはやおなじみになりつつあるテレ朝の女子アナによる前説と声出しの後にステージに出てきたのは、複数の鬼たち。その後に登場したのは、真っ赤な鬼のメイクをしたTOKIO長瀬と緑の鬼のメイクをした桐谷健太と清野菜名、学生服姿の神木隆之介という、映画「TOO YOUNG TO DIE ~若くして死ぬ~」の劇中バンド、地獄図(ヘルズ)。
地獄のバンドという設定らしく、歪んだギターとドロドロしたサウンドで、長瀬も鬼そのものという歌い方(この役に入った状態でステージに立って歌えるというのは素直にすごい人だと思う)だが、曲途中のメンバー紹介で桐谷健太がドラムセットから立ち上がってもドラムの音が聞こえている、という状況により、実際に演奏していないことがわかる。
KEYTALKがサウンドチェックを行った機材のままなので、演奏していないのも当たり前と言えば当たり前なのだが。
地獄図の新メンバーになったという神木隆之介の紹介になると、本人が
「ぶっちゃけ映画の宣伝です(笑)
サカナクションと高橋優が見たくて来ました(笑)
あっちのステージ行ったり、こっちのステージ戻ったりと、なかなか移動しますよね(笑)」
と、出演者というよりかは観客代表みたいなことを言って、映画の宣伝。
「TOO YOUNG TO DIE」という映画のタイトルを繰り返すのが印象的な1曲のみだったが、やたらと耳に残るし、このわずかな時間のために完璧に鬼メイクをしてきたメンバーのプロ意識の高さもあり、映画を観に行きたくなった。ということは宣伝として効果は抜群だったということである。
12:00~ KEYTALK [WINDMILL FIELD]
今年のメインステージのトップバッターはKEYTALK。これまではいろんなフェスで2番目のステージで満員、的なポジションだったが、ついにメインステージ進出。
「物販」のSEでメンバーが登場すると、「パラレル」からスタート。この日は金髪から茶髪混じりの黒髪に戻った義勝のボーカルがかなり冴えていた、というか続く「HELLO WONDERLAND」「fiction escape」というダンスチューンを牽引していたのは武正の弾きまくりなギターと八木の細く刻むドラムとともに義勝のボーカルだった。
武正によるコール&レスポンスと、なぜか兄弟構成を軸にしたメンバー紹介(可愛い妹がいるという八木が1番ウケていた)を経ると、リリースされたばかりの最新シングル曲「MATSURI BAYASHI」へ。まさにタイトル通りのフェスで盛り上がりが期待できるアッパーチューンだが、これまでにこういうタイプのキラーチューンを数々世に送り出してきた義勝ではなく、巨匠こと寺中がこの曲を作ったというのが実に面白い。(巨匠の曲がシングルのタイトル曲になるのは意外にも初めて)
「HELLO WONDERLAND」もそうだったが、4人全員がそれぞれ曲を作れて、かつシングルに1曲ずつ収録できるクオリティの高さを持っているというのは本当に恐ろしいバンド。しかもちゃんとそれぞれの個性が曲から出ているあたりもすごい。
イントロの打ち込みの音が合わずにやり直すという珍しいアクシデントもあった「YURAMEKI SUMMER」から、気候は暑くともこれが春フェスであることを実感させてくれる「桜花爛漫」、そしてトドメはたくさんの観客が振り付けを踊っていた「MONSTER DANCE」。ちょっとこの時間は風が強くて音が流されがちだったが、トップからしっかり満員にし、観客を躍らせまくったのはさすが。
出番後、武正はいろんなアーティストのステージを、客席や関係者エリアやステージ袖から見ていた。(2年前のSWEET LOVE SHOWERの時も、三日間全て会場に足を運び、朝から夜までライブを見まくっていた)
そうして他のバンドを見ていろんな技術を得たり、負けたくないと闘志を漲らせたり…このバンドがここまで来たのはこの男のフェスにおけるこういう姿勢によるものも大きいんじゃないかと思われる。
1.パラレル
2.HELLO WONDERLAND
3.fiction escape
4.MATSURI BAYASHI
5.YURAMEKI SUMMER
6.桜花爛漫
7.MONSTER DANCE
MATSURI BAYASHI
https://youtu.be/VK7y85uNevg
12:40~ lovefilm [NEW BEAT SQUARE]
去年は活動休止前に大トリを務めたthe telephonesの石毛とノブによる新バンド、lovefilm。新代田FEVERでの初ライブを経て、2回目のライブにして初のフェス出演。
石毛を先頭にしてメンバーが登場すると、紅一点ボーカリストの江夏詩織がバンドロゴのフラッグを持って登場。全員が白い衣装を纏っているが、やはりノブがこれだけ普通な衣装を着てステージに立っているのは新鮮。
「METROCKー!」
と石毛が声を上げると、江夏のキュートな歌声にハイトーンではない地声の石毛のボーカルが絡む、ローファイだがポップなギターロックが披露されていく。まだライブを見るのはもちろん、曲を聴くのすらも初めてという人ばかりという状況だが、サビでは腕が上がったり、手拍子が起きたりするのは楽曲のポップさによるものだろう。
石毛がBuggles「ラジオスターの悲劇」を口ずさんだりしながら、ノイジーなギターサウンドの曲があったり、江夏とノブが立ち位置とパートを入れ替えたりする曲もあったが、どれも初ライブで聴いた曲である、とすぐさまわかる。
the telephonesの曲のようにわかりやすいフックこそないが、それでもライブで1回聴いただけの曲を覚えているというのは、逆にtelephones時代はあまりそこは評価されなかったような気がしてならない石毛のメロディメーカーっぷりを象徴している。
初のフェス出演どころか、フェスの会場に来るのすらも人生初という江夏が、そのキュートな声を歌うだけじゃなく、張り上げるようにして叫んだりするようになっており、現在レコーディング中であるというアルバムが徐々に完成形に近づいているんじゃないかということをうかがわせる。
狂熱的に踊らせまくるダンスロックではなく、ただただ最良のメロディを追求するような、装飾を徹底的に削ぎ落としたシンプルなギターロックへ。
「フェスでの動員とワンマンの動員や売り上げが見合ってない」
とtelephonesは良く言われていたし、実際にそれはその通りだったが、lovefilmはそこを実に健全な形でクリアしていくような気がしている。これからライブを重ねることによって、まだ原石的な感じが強い江夏詩織もボーカリストとしてさらに覚醒していきそうな予感もする。
13:30~ KANA-BOON [WINDMILL FIELD]
4年連続出演、最初は1番小さいステージから始まったKANA-BOON。2年連続でのメインステージ登場である。
SEもなしにメンバーが登場すると、いきなりの「なんでもねだり」からスタートするという意表を突かれる展開。しかしながらこの曲で気分はすっかり夏に…と思いきや、そこからはツアー中ということもあってか、最新アルバム「Origin」のシリアスなメッセージ性の強い曲を連発するという攻めっぷり。
これにより、これまでのこのバンドのパブリックイメージでもあった高速四つ打ちダンスロック曲はほとんどセトリから姿を消し、どっしりと逞しくなった演奏を満員の観客に見せつける。
かと思いきやMCでは鮪が
「もう4年連続なんでね、このフェスの過ごし方もわかってきましたね。今日は午前中に会場入りして、ケータリングのクレープを食べながらずっとSHISHAMOのメンバーのことを盗み見してましたからね(笑)」
という脱力感溢れる内容で笑わせる。ちなみに飯田はそのクレープを貰おうと並んだ際、前にいたSHISHAMOの松岡に密着するかのように距離を詰めていたらしい。どれだけこの男たちはSHISHAMOのことが好きなんだろうか。
終盤は「フルドライブ」でタイトル通りに一気に加速しながら、バンドの決意を感じさせる「ダイバー」、そして最後はバンド屈指の名曲と言っていい「シルエット」。しかし、「シルエット」のラストサビの1番いいところ(PVでメンバーが楽器を抱えてジャンプするあたり)で古賀のギターの音が出なくなり、慌てて交換するというもったいないことに。結局交換したあと、数秒しかそのギターも弾いていなかったことになっていたし。
しかしながら、このセトリの攻めっぷり、自分は多いに買いたい姿勢だが、やはり終わったあとに周りには「知らない曲が多かった」と言っていた人も多かった。求められているものと、今自分たちがやりたいこと。そのバランスは非常に難しいところだが、求められるものだけをやっていたら、毎回同じ曲しかできなくなってしまう。(きっとメンバーもそうなってしまったバンドのことを見てきただろうし)
そうならないために、今は「知らない曲」と言われても、その「知らない曲」を「知ってる曲」に変えさせようとするこのセトリは決して間違っていない。夏まで毎回これだったらそれはそれでちょっとそれは…という感じもするけれど。
1.なんでもねだり
2.机上、綴る、空論
3.革命
4.ランアンドラン
5.anger in the mind
6.フルドライブ
7.ダイバー
8.シルエット
ランアンドラン
https://youtu.be/JbyQOzRANYs
14:10~ ウソツキ [NEW BEAT SQUARE]
このフェス初出演となる、「決して嘘をつかないバンド」、ウソツキ。
それぞれが服の一部分に羽根のような装飾をつけた、服自体は全然違うんだけど統一感のある衣装でメンバーが登場すると、
「人生は選択の連続です」
という竹田の一言から、「ミライドライバー」でスタートし、ネガティヴを繰り返すことでポジティブに反転させる、結果的にはポジティブな曲と言える「ネガチブ」と続けるのだが、竹田の描く私小説のような歌詞とボーカルを支えるようだった演奏の去年から明らかに変わり、メンバーの演奏が竹田の歌と対等に響いてくる。これによって、今までよりもはるかにバンド感を増しているが、これはやはり去年1stフルアルバム「スーパーリアリズム」をリリースし、ライブを重ねてきたことが大きいと思われる。
「普段はバーベキューとかに全然誘われないんですけど、そんな僕が作ったダンスナンバーを」
と言って演奏された「旗揚げ運動」ではシンプルな四つ打ちのダンスビートに乗せて、手を挙げたり下げたりするのが実に楽しい。
するとここで7月にリリースされる新作から、メンバーの推し曲であるという新曲「一生分のラブレター」を演奏。タイトル通りにかなり直球な部類に入ると思われるラブソングだが、そこはやはりこのバンドは歌詞をしっかり読みながら聴くまではまだわからない。
「さらに一歩踏み込んだ歌を」
という、メンバーのコーラスがどこか切なく重なって響く、じゃんけんのチョキがピースサインになる「ピースする」では最終的に観客全員が「ピースする」ことに。
そして吉田のギターが発車する列車の汽笛の音を奏でて別れを告げるのは、ついにこの新木場の野外で鳴り響いた「新木場発、銀河鉄道」。やはり銀河鉄道というだけあって、いつかは夜にこの場所で聴きたい曲だが、この曲以外にもウソツキの曲は様々なシチュエーションで聴いてみたくなる歌詞の曲が多いだけに、いろんなフェスのいろんな会場でいろんな曲を聴いてみたい。
演奏自体はシンプルそのものだが、それだけに曲と歌詞そのものが生きるし、そのシンプルさゆえに、バンドサウンドが力強くなってきているのがはっきりとわかる。
なかなかフェスではウケにくいタイプのバンドかもしれないが、これから先も長く愛していきたいバンド。
1.ミライドライバー
2.ネガチブ
3.旗揚げ運動
4.一生分のラブレター
5.ピースする
6.新木場発、銀河鉄道
旗揚げ運動
https://youtu.be/DQXz-arDv8Y
15:00~ THE BAWDIES [WINDMILL FIELD]
もはやこのフェスにおいてはおなじみの存在と言える、THE BAWDIES。おなじみのウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで爽やかな水色のスーツ姿のメンバーが登場すると、いきなりの「SING YOUR SONG」で大合唱を巻き起こし、「IT'S TOO LATE」ではROYの超ロングシャウトが響き渡り、この日も早くも絶好調。
最近フェスではやらない機会も多くなっている「ROCK ME BABY」から
「みなさんに太陽の光が降り注ぎますように!もうだいぶ降り注いでますけど(笑)」
と天気の良い野外フェスにぴったりな「SUNSHINE」でメンバーのコーラスと観客の合唱が暖かい空気を作り出すと、悪代官と越後屋という小芝居が繰り広げられ、新曲「45s」へ。すでにライブでは毎回演奏されているおなじみの曲だが、初期衝動を感じさせるガレージサウンドの曲は久々。
「HEY!」の掛け声とともにポップなサウンドで踊らせる「KICKS!」、暑苦しく飛び跳ねさせる「NO WAY」とアルバムとしては最新作となる「Boys!」の曲が続くと、最近おなじみとなりつつあるメドレーを投下と、長くない時間に曲を詰め込みまくる。
そして最後は「これでも喰らえ!」と「HOT DOG」で踊らせまくり、演奏が終わるとTAXMAN大将の「わっしょい」でこの日もしっかり締めた。
THE BAWDIESの音楽は決して流行りのサウンドというわけではないし、わかりやすく踊らせるような曲もそんなにない。しかしそれでもこれだけたくさんの人を踊らせまくり、揺らしまくるのは本当にバンドのグルーヴが凄まじいということをこのフェスのこのステージで観るたびに実感する。
そして今年も春フェスから出まくりという状況の中、JAPAN JAMからわずかの期間にもかかわらず、セトリをガラッと変えてくるのもさすが。こうして同じくらいの持ち時間でもセトリを変えてくると、直前に見ていても決して見逃せないな、と思える。それはフェスに出続ける上で非常に重要なこと。
1.SING YOUR SONG
2.IT'S TOO LATE
3.ROCK ME BABY
4.SUNSHINE
5.45s
6.KICKS!
7.NO WAY
8.メドレー
YOU GOTTA DANCE ~ YEAH ~ LEAVE YOUR TROUBLES ~ YOU GOTTA DANCE
9.HOT DOG
SUNSHINE
https://youtu.be/MlRUxu3D9BY
15:50~ THE ORAL CIGARETTES [SEASIDE PARK]
2年連続でのこのSEASIDE STAGEへの出演で、今年は始まる前から満員状態と、現在のバンドの上昇気流感を感じさせる、THE ORAL CIGARETTES。
EDMなSEが鳴ると、あきらかにあきらがバンドの巨大フラッグを振りかざしながら登場し、山中はスモーク噴射器を発射しながらというド派手な登場。
おなじみの山中の口上のあと、「気づけよBaby」でスタートし、サビでは満員の観客が手を左右に振り、「mist…」ではラストサビまえの合唱パートで大合唱…と思いきや、リズムがずれてしまい、山中に
「お前らバラバラやないか!(笑)」
と言われてしまう(笑)
もはやバンドの一大アンセムとなった「起死回生STORY」を終えると山中が
「すごい時代になりましたよ、今はミドリムシを食べるんですって!体にいいみたいですよ。ムシやし、ミドリやし、俺は食いたくないけど(笑)」
となぜかいきなりミドリムシを食べる時代になったという意味不明な話をし始めると、
「世の中、いつそういうとんでもない時代になるかわからへん。そんな新しい時代に必ず必要になる、新しい時代のアンセムとなる新曲!」
と無理矢理新曲「DIP-BAP」につなげる。すでに対バンツアーのファイナルで披露されて以降、春フェスでも毎回演奏されているが、EDMを取り入れたイントロから、ハンドマイクの山中のラップのような歌唱、そしてサビでの観客も巻き込んだ「オーオー」の大合唱と、展開しまくりというか、3~4曲分のアイデアを1曲に凝縮したような、紛れもなくこれまでのこのバンドのイメージからは想像できない曲。山中がそこまで言うのも納得せざるを得ない。
そのまま山中がハンドマイク状態で「カンタンナコト」から、タイトル通りに客席を狂乱に導く「狂乱Hey Kids!!」で終了。
長尺のツアーに行ったあとだとこの曲数はちょっと物足りなく感じてしまうが、バンドの纏っている空気というかオーラ、そしてメインステージのバンドを上回る物販の列の長さを記録する上昇気流っぷりからすると、来年には山中が口にしていた、メインステージに出ることになっていてもおかしくはない。
1.気づけよBaby
2.mist…
3.起死回生STORY
4.DIP-BAP
5.カンタンナコト
6.狂乱Hey Kids!!
DIP-BAP
https://youtu.be/u-G8CpRvQdE
17:20~ パスピエ [SEASIDE PARK]
ついにアー写でもメンバーの顔を公開した、パスピエ。幻想的なSEとともにメンバーが登場すると、大胡田なつきの赤と青の鮮やかな衣装が否が応でも目を引く中、成田のピアノと大胡田のボーカルのみでサビから始まったのは「S.S.」。そのピアノと歌のみから徐々にバンドサウンドになだれ込んでいくという、既存曲の大胆なアレンジはバンドの音楽的な探究心と、こうして軽々とできてしまう演奏力の賜物によるもの。
「とおりゃんせ」「裏の裏」というポップな曲で踊らせると、
「こんな爽やかな気候の日は外出しない」
と大胡田が実にインドアな性質を語り(若干この時間から肌寒くなってきていたけど)、最新シングルの「ヨアケマエ」へ。
パスピエの王道ポップ的な曲だが、明らかに武道館ワンマンを経てこそという歌詞もある中、間奏になると、大胡田がシンセを演奏。これまでに楽器を演奏する姿は見たことがなかったので、これは新鮮だし、これからサウンドの幅がさらに広がりそう。
「MATATABISTEP」で大胡田が猫のようなダンスを踊ると、成田のピアノがライブの終わりを告げる切ないフレーズを奏でる、演奏しているメンバーの姿が目の前にあるにもかかわらず、歌詞の情景が頭に浮かんでくる「最終電車」に乗ってメンバーはステージから去って行った。
良い曲、良い演奏、そしてライブならではのアレンジ。この規模のステージが満員になるのも納得する要素しかない。「革命のあとで」これからこの音楽集団はどこへ向かう?
1.S.S.
2.とおりゃんせ
3.裏の裏
4.ヨアケマエ
5.チャイナタウン
6.MATATABISTEP
7.最終電車
ヨアケマエ
https://youtu.be/kIqn6QGnxdU
18:10~ ゲスの極み乙女。 [WINDMILL FIELD]
初出演時は1番小さいステージだったゲスの極み乙女。、あれよあれよという間にメインステージ、しかもトリ前という実にいい時間に登場する存在になった。
コーラス2名を含めたおなじみの6人編成で登場すると、メンバー4人は赤を基調とした派手な衣装。川谷絵音の
「キラーボールで踊りませんか?」
という問いかけから「キラーボール」でスタートすると、メンバーの安定感あふれる演奏の割に、絵音のボーカルは不安定。特に高音部はかなり辛そうで、翌日控えているindigo la Endのライブが少し不安になる。
しかしながらさすがにヒット曲を連発しているバンドなだけに、次から次へと代表曲が演奏されていく…がその最中に全く予報になかった雨が降ってくるという事態に。途中かなり強めに降ったこともあり、抜けていく人も出てしまっていた。
ちゃんMARIが雨が降ってきたことを心配したりしつつも、休日課長のベースソロなど、ただでさえキャラの強いメンバーそれぞれを演奏面でもアピールする部分もあり、絵音がパンダの着ぐるみに着替えて再登場した「餅ガール」ではコール&レスポンスも巻き起こす。(ウサギの着ぐるみはLINEのイメージがあるのでフェスのサポーターであるAbemaTVのことを考えてパンダにしたらしい)
複雑な演奏がぶつかり合い、意味不明な歌詞というアバンギャルドそのものなはずなのにポップに着地する「アソビ」を終えると、黒のショーパンがめちゃセクシーなほな・いこかがドラムセットに立ち上がってコール&レスポンスをし、絵音と課長が向かい合って演奏し、ちゃんMARIも鍵盤の上に立ち上がった「ドレスを脱げ」で終了。
絵音の声が不安定でもライブ自体は非常に良かったとしか思えないあたり、やはりこのバンドはただものではない。パスピエ同様、高い演奏技術を持っていて、複雑なこともやっているのにそれがポップになるという実にすごいバンド。
絵音は今やいろいろと言われてしまう存在になってしまったが、それはもう実際にその通りなんだからもう仕方がない。かといって、テレビに出て謝罪したりする必要はないと思っている。なぜなら彼が立つのはテレビの画面ではなく、ステージの上だからである。(バラエティ番組に出まくっていたのも結局は諸刃の剣になってしまったが)
だからもしかしたら世間的な絵音のイメージはもはやクソ野郎なのかもしれないが、やはりこうして音楽を聴いてライブを見ると、全く異なる2つのバンドを同時進行させながら、次々にヒット曲を生み出す、現在のロックシーン最大の鬼才という評価にしかならない。
1.キラーボール
2.無垢な季節
3.私以外私じゃないの
4.オトナチック
5.サイデンティティ
6.両成敗でいいじゃない
7.ロマンスがありあまる
8.餅ガール
9.アソビ
10.ドレスを脱げ
私以外私じゃないの
https://youtu.be/Ae6gQmhaMn4
19:10~ 高橋優 [SEASIDE PARK]
2年連続のSEASIDE PARK出演で、今年は初日のトリを任された高橋優。
バンドメンバーとともに登場すると、本人が「高橋優って初めて見たけど、結構熱い感じなんだなって思ってるでしょ!」と観客に語りかけていた通り、本人はアコギを弾きながら歌うというスタイルだが、凄腕メンバーによるバンドサウンドの力もあり、実に熱いライブ。
しかしながらやはり曲はしみじみと「良い曲だなぁ」と思える。
始まる前は止んでいた雨がまた降り始めて、高橋優が観客のことを鼓舞したりしながら、去年に続いて今年も彼の出身地である秋田のなまはげのことを歌った曲、「泣く子はいねが」へ。全編秋田弁の歌詞のため、普通の人は聴いてもさっぱりなんのことかわからないような曲だが、曲中にはコール&レスポンスも行われ、
「メトロック!」
「メトロポリタン!」
「ナポリタン!」
「ジンギスカン!」
「サムゲタン!」
と、やはり今年も完全に暴走し、最終的にはなぜか「森のくまさん」を全員で合唱するというわけのわからない展開に。当然曲にはくまは出てこないし、なんの関係もない。
そんなやり取りで雨もぱらつく中でライブを見ている観客を暖めつつ笑わせると、最後に
「みんなの明日が今日よりももっと楽しい日になりますように!」
と言って、「福笑い」で完璧に締めてみせる。このギャップすら感じる展開はさすが。
しかしもっとさすがなのは、やはり高橋優本人の歌唱力と声量。もはや小さいステージだったらマイク使わなくても聞こえるんじゃないか?と思えるし、その声量を生かしてとてもハッキリとした発音で歌うので、歌詞が曖昧に聞こえるところがなく、しっかりと一語一語噛み締めながら聴ける。それはやはり本人が路上ライブをしていた時代から培ってきたものなんだろうか。
1.パイオニア
2.明日はきっといい日になる
3.同じ空の下
4.さくらのうた
5.泣く子はいねが
6.福笑い
明日はきっといい日になる
https://youtu.be/AJK-BWOXwW0
20:00~ サカナクション [WINDMILL FIELD]
初日のメインステージのトリはサカナクション。去年はベース草刈の産休でフェスに出なかったため、2年ぶりにこのステージに帰還。
メンバーがステージに登場すると、すでにステージにはラップトップが並んでおり、サングラスをかけたメンバーが横並びでラップトップを操作し、山口一郎が歌うという、最近ではおなじみのオープニングで、最後のサビ前にバンド編成になる。
「アルクアラウンド」ではイントロで大歓声が上がったが、むしろ驚いたのは次の「アドベンチャー」を演奏したこと。かつては定番曲だったが、最近は全然ライブでやらなくなっていただけにこれは嬉しいし、セトリに柔軟になったのかとも思ったが、結果的にはJAPAN JAMのものに「アドベンチャー」を加えただけ。なので持ち時間によって1曲増やすか削るかという違いである。
なので全体の流れも変わることはないのだが、「モノクロトーキョー」を東京の野外で響かせ、着物姿の踊り子さんが登場した「夜の踊り子」では
「にわか雨の音も消えた」
のフレーズを、まさに先ほどまで降っていた雨が上がったのを強調するかのようにして歌うなど、さすがにこの日限りの見せ方をしてくる。
岩寺と草刈が和太鼓を連打する長尺インスト曲「SAKANATRIBE」では山口の振りかざすサイリウムの光がバンドやフェスのロゴを作り出すという、一体どういう仕組みなんだろうかというのが実に気になる。
終盤はヒットシングルのさらなる連発となったが、ラストの「新宝島」では、それまでも木々に反射していたレーザー光線が、フェスの象徴的存在である風車に「新宝島」の文字を映し出して大歓声が上がった。
思えば大雨だった第2回のROCKS TOKYOで初めてトリをやってから、この会場の夜はこのバンドのものだった。2年ぶりの出演でそのことを実感した。やはりMCらしいMCはもうフェスではしないのかもしれないけど。
1.ミュージック
2.アルクアラウンド
3.アドベンチャー
4.モノクロトーキョー
5.夜の踊り子
6.SAKANATRIBE
7.アイデンティティ
8.ルーキー
9.新宝島
encore
10.Aoi
新宝島
https://youtu.be/LIlZCmETvsY
同じメインステージでも、昼と夜では見える景色も持ち時間も全然違う。今日昼に出たKEYTALKやKANA-BOONもいつかは夜に…とも思うが、トリ前のゲスの極み乙女。とトリのサカナクションの横綱相撲っぷりを見ると、それは果てしなく遠く、高い壁のように見えてくる。それを実感してしまった今年の初日だった。
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ステージは今年も
WINDMILL FIELD
SEASIDE PARK
NEW BEAT SQUARE
の3ステージ制。ステージ間がそこまで遠くないのが助かるところ。
11:30~ 地獄図 (オープニングアクト) [WINDMILL FIELD]
主催がテレビ朝日ということで、もはやおなじみになりつつあるテレ朝の女子アナによる前説と声出しの後にステージに出てきたのは、複数の鬼たち。その後に登場したのは、真っ赤な鬼のメイクをしたTOKIO長瀬と緑の鬼のメイクをした桐谷健太と清野菜名、学生服姿の神木隆之介という、映画「TOO YOUNG TO DIE ~若くして死ぬ~」の劇中バンド、地獄図(ヘルズ)。
地獄のバンドという設定らしく、歪んだギターとドロドロしたサウンドで、長瀬も鬼そのものという歌い方(この役に入った状態でステージに立って歌えるというのは素直にすごい人だと思う)だが、曲途中のメンバー紹介で桐谷健太がドラムセットから立ち上がってもドラムの音が聞こえている、という状況により、実際に演奏していないことがわかる。
KEYTALKがサウンドチェックを行った機材のままなので、演奏していないのも当たり前と言えば当たり前なのだが。
地獄図の新メンバーになったという神木隆之介の紹介になると、本人が
「ぶっちゃけ映画の宣伝です(笑)
サカナクションと高橋優が見たくて来ました(笑)
あっちのステージ行ったり、こっちのステージ戻ったりと、なかなか移動しますよね(笑)」
と、出演者というよりかは観客代表みたいなことを言って、映画の宣伝。
「TOO YOUNG TO DIE」という映画のタイトルを繰り返すのが印象的な1曲のみだったが、やたらと耳に残るし、このわずかな時間のために完璧に鬼メイクをしてきたメンバーのプロ意識の高さもあり、映画を観に行きたくなった。ということは宣伝として効果は抜群だったということである。
12:00~ KEYTALK [WINDMILL FIELD]
今年のメインステージのトップバッターはKEYTALK。これまではいろんなフェスで2番目のステージで満員、的なポジションだったが、ついにメインステージ進出。
「物販」のSEでメンバーが登場すると、「パラレル」からスタート。この日は金髪から茶髪混じりの黒髪に戻った義勝のボーカルがかなり冴えていた、というか続く「HELLO WONDERLAND」「fiction escape」というダンスチューンを牽引していたのは武正の弾きまくりなギターと八木の細く刻むドラムとともに義勝のボーカルだった。
武正によるコール&レスポンスと、なぜか兄弟構成を軸にしたメンバー紹介(可愛い妹がいるという八木が1番ウケていた)を経ると、リリースされたばかりの最新シングル曲「MATSURI BAYASHI」へ。まさにタイトル通りのフェスで盛り上がりが期待できるアッパーチューンだが、これまでにこういうタイプのキラーチューンを数々世に送り出してきた義勝ではなく、巨匠こと寺中がこの曲を作ったというのが実に面白い。(巨匠の曲がシングルのタイトル曲になるのは意外にも初めて)
「HELLO WONDERLAND」もそうだったが、4人全員がそれぞれ曲を作れて、かつシングルに1曲ずつ収録できるクオリティの高さを持っているというのは本当に恐ろしいバンド。しかもちゃんとそれぞれの個性が曲から出ているあたりもすごい。
イントロの打ち込みの音が合わずにやり直すという珍しいアクシデントもあった「YURAMEKI SUMMER」から、気候は暑くともこれが春フェスであることを実感させてくれる「桜花爛漫」、そしてトドメはたくさんの観客が振り付けを踊っていた「MONSTER DANCE」。ちょっとこの時間は風が強くて音が流されがちだったが、トップからしっかり満員にし、観客を躍らせまくったのはさすが。
出番後、武正はいろんなアーティストのステージを、客席や関係者エリアやステージ袖から見ていた。(2年前のSWEET LOVE SHOWERの時も、三日間全て会場に足を運び、朝から夜までライブを見まくっていた)
そうして他のバンドを見ていろんな技術を得たり、負けたくないと闘志を漲らせたり…このバンドがここまで来たのはこの男のフェスにおけるこういう姿勢によるものも大きいんじゃないかと思われる。
1.パラレル
2.HELLO WONDERLAND
3.fiction escape
4.MATSURI BAYASHI
5.YURAMEKI SUMMER
6.桜花爛漫
7.MONSTER DANCE
MATSURI BAYASHI
https://youtu.be/VK7y85uNevg
12:40~ lovefilm [NEW BEAT SQUARE]
去年は活動休止前に大トリを務めたthe telephonesの石毛とノブによる新バンド、lovefilm。新代田FEVERでの初ライブを経て、2回目のライブにして初のフェス出演。
石毛を先頭にしてメンバーが登場すると、紅一点ボーカリストの江夏詩織がバンドロゴのフラッグを持って登場。全員が白い衣装を纏っているが、やはりノブがこれだけ普通な衣装を着てステージに立っているのは新鮮。
「METROCKー!」
と石毛が声を上げると、江夏のキュートな歌声にハイトーンではない地声の石毛のボーカルが絡む、ローファイだがポップなギターロックが披露されていく。まだライブを見るのはもちろん、曲を聴くのすらも初めてという人ばかりという状況だが、サビでは腕が上がったり、手拍子が起きたりするのは楽曲のポップさによるものだろう。
石毛がBuggles「ラジオスターの悲劇」を口ずさんだりしながら、ノイジーなギターサウンドの曲があったり、江夏とノブが立ち位置とパートを入れ替えたりする曲もあったが、どれも初ライブで聴いた曲である、とすぐさまわかる。
the telephonesの曲のようにわかりやすいフックこそないが、それでもライブで1回聴いただけの曲を覚えているというのは、逆にtelephones時代はあまりそこは評価されなかったような気がしてならない石毛のメロディメーカーっぷりを象徴している。
初のフェス出演どころか、フェスの会場に来るのすらも人生初という江夏が、そのキュートな声を歌うだけじゃなく、張り上げるようにして叫んだりするようになっており、現在レコーディング中であるというアルバムが徐々に完成形に近づいているんじゃないかということをうかがわせる。
狂熱的に踊らせまくるダンスロックではなく、ただただ最良のメロディを追求するような、装飾を徹底的に削ぎ落としたシンプルなギターロックへ。
「フェスでの動員とワンマンの動員や売り上げが見合ってない」
とtelephonesは良く言われていたし、実際にそれはその通りだったが、lovefilmはそこを実に健全な形でクリアしていくような気がしている。これからライブを重ねることによって、まだ原石的な感じが強い江夏詩織もボーカリストとしてさらに覚醒していきそうな予感もする。
13:30~ KANA-BOON [WINDMILL FIELD]
4年連続出演、最初は1番小さいステージから始まったKANA-BOON。2年連続でのメインステージ登場である。
SEもなしにメンバーが登場すると、いきなりの「なんでもねだり」からスタートするという意表を突かれる展開。しかしながらこの曲で気分はすっかり夏に…と思いきや、そこからはツアー中ということもあってか、最新アルバム「Origin」のシリアスなメッセージ性の強い曲を連発するという攻めっぷり。
これにより、これまでのこのバンドのパブリックイメージでもあった高速四つ打ちダンスロック曲はほとんどセトリから姿を消し、どっしりと逞しくなった演奏を満員の観客に見せつける。
かと思いきやMCでは鮪が
「もう4年連続なんでね、このフェスの過ごし方もわかってきましたね。今日は午前中に会場入りして、ケータリングのクレープを食べながらずっとSHISHAMOのメンバーのことを盗み見してましたからね(笑)」
という脱力感溢れる内容で笑わせる。ちなみに飯田はそのクレープを貰おうと並んだ際、前にいたSHISHAMOの松岡に密着するかのように距離を詰めていたらしい。どれだけこの男たちはSHISHAMOのことが好きなんだろうか。
終盤は「フルドライブ」でタイトル通りに一気に加速しながら、バンドの決意を感じさせる「ダイバー」、そして最後はバンド屈指の名曲と言っていい「シルエット」。しかし、「シルエット」のラストサビの1番いいところ(PVでメンバーが楽器を抱えてジャンプするあたり)で古賀のギターの音が出なくなり、慌てて交換するというもったいないことに。結局交換したあと、数秒しかそのギターも弾いていなかったことになっていたし。
しかしながら、このセトリの攻めっぷり、自分は多いに買いたい姿勢だが、やはり終わったあとに周りには「知らない曲が多かった」と言っていた人も多かった。求められているものと、今自分たちがやりたいこと。そのバランスは非常に難しいところだが、求められるものだけをやっていたら、毎回同じ曲しかできなくなってしまう。(きっとメンバーもそうなってしまったバンドのことを見てきただろうし)
そうならないために、今は「知らない曲」と言われても、その「知らない曲」を「知ってる曲」に変えさせようとするこのセトリは決して間違っていない。夏まで毎回これだったらそれはそれでちょっとそれは…という感じもするけれど。
1.なんでもねだり
2.机上、綴る、空論
3.革命
4.ランアンドラン
5.anger in the mind
6.フルドライブ
7.ダイバー
8.シルエット
ランアンドラン
https://youtu.be/JbyQOzRANYs
14:10~ ウソツキ [NEW BEAT SQUARE]
このフェス初出演となる、「決して嘘をつかないバンド」、ウソツキ。
それぞれが服の一部分に羽根のような装飾をつけた、服自体は全然違うんだけど統一感のある衣装でメンバーが登場すると、
「人生は選択の連続です」
という竹田の一言から、「ミライドライバー」でスタートし、ネガティヴを繰り返すことでポジティブに反転させる、結果的にはポジティブな曲と言える「ネガチブ」と続けるのだが、竹田の描く私小説のような歌詞とボーカルを支えるようだった演奏の去年から明らかに変わり、メンバーの演奏が竹田の歌と対等に響いてくる。これによって、今までよりもはるかにバンド感を増しているが、これはやはり去年1stフルアルバム「スーパーリアリズム」をリリースし、ライブを重ねてきたことが大きいと思われる。
「普段はバーベキューとかに全然誘われないんですけど、そんな僕が作ったダンスナンバーを」
と言って演奏された「旗揚げ運動」ではシンプルな四つ打ちのダンスビートに乗せて、手を挙げたり下げたりするのが実に楽しい。
するとここで7月にリリースされる新作から、メンバーの推し曲であるという新曲「一生分のラブレター」を演奏。タイトル通りにかなり直球な部類に入ると思われるラブソングだが、そこはやはりこのバンドは歌詞をしっかり読みながら聴くまではまだわからない。
「さらに一歩踏み込んだ歌を」
という、メンバーのコーラスがどこか切なく重なって響く、じゃんけんのチョキがピースサインになる「ピースする」では最終的に観客全員が「ピースする」ことに。
そして吉田のギターが発車する列車の汽笛の音を奏でて別れを告げるのは、ついにこの新木場の野外で鳴り響いた「新木場発、銀河鉄道」。やはり銀河鉄道というだけあって、いつかは夜にこの場所で聴きたい曲だが、この曲以外にもウソツキの曲は様々なシチュエーションで聴いてみたくなる歌詞の曲が多いだけに、いろんなフェスのいろんな会場でいろんな曲を聴いてみたい。
演奏自体はシンプルそのものだが、それだけに曲と歌詞そのものが生きるし、そのシンプルさゆえに、バンドサウンドが力強くなってきているのがはっきりとわかる。
なかなかフェスではウケにくいタイプのバンドかもしれないが、これから先も長く愛していきたいバンド。
1.ミライドライバー
2.ネガチブ
3.旗揚げ運動
4.一生分のラブレター
5.ピースする
6.新木場発、銀河鉄道
旗揚げ運動
https://youtu.be/DQXz-arDv8Y
15:00~ THE BAWDIES [WINDMILL FIELD]
もはやこのフェスにおいてはおなじみの存在と言える、THE BAWDIES。おなじみのウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで爽やかな水色のスーツ姿のメンバーが登場すると、いきなりの「SING YOUR SONG」で大合唱を巻き起こし、「IT'S TOO LATE」ではROYの超ロングシャウトが響き渡り、この日も早くも絶好調。
最近フェスではやらない機会も多くなっている「ROCK ME BABY」から
「みなさんに太陽の光が降り注ぎますように!もうだいぶ降り注いでますけど(笑)」
と天気の良い野外フェスにぴったりな「SUNSHINE」でメンバーのコーラスと観客の合唱が暖かい空気を作り出すと、悪代官と越後屋という小芝居が繰り広げられ、新曲「45s」へ。すでにライブでは毎回演奏されているおなじみの曲だが、初期衝動を感じさせるガレージサウンドの曲は久々。
「HEY!」の掛け声とともにポップなサウンドで踊らせる「KICKS!」、暑苦しく飛び跳ねさせる「NO WAY」とアルバムとしては最新作となる「Boys!」の曲が続くと、最近おなじみとなりつつあるメドレーを投下と、長くない時間に曲を詰め込みまくる。
そして最後は「これでも喰らえ!」と「HOT DOG」で踊らせまくり、演奏が終わるとTAXMAN大将の「わっしょい」でこの日もしっかり締めた。
THE BAWDIESの音楽は決して流行りのサウンドというわけではないし、わかりやすく踊らせるような曲もそんなにない。しかしそれでもこれだけたくさんの人を踊らせまくり、揺らしまくるのは本当にバンドのグルーヴが凄まじいということをこのフェスのこのステージで観るたびに実感する。
そして今年も春フェスから出まくりという状況の中、JAPAN JAMからわずかの期間にもかかわらず、セトリをガラッと変えてくるのもさすが。こうして同じくらいの持ち時間でもセトリを変えてくると、直前に見ていても決して見逃せないな、と思える。それはフェスに出続ける上で非常に重要なこと。
1.SING YOUR SONG
2.IT'S TOO LATE
3.ROCK ME BABY
4.SUNSHINE
5.45s
6.KICKS!
7.NO WAY
8.メドレー
YOU GOTTA DANCE ~ YEAH ~ LEAVE YOUR TROUBLES ~ YOU GOTTA DANCE
9.HOT DOG
SUNSHINE
https://youtu.be/MlRUxu3D9BY
15:50~ THE ORAL CIGARETTES [SEASIDE PARK]
2年連続でのこのSEASIDE STAGEへの出演で、今年は始まる前から満員状態と、現在のバンドの上昇気流感を感じさせる、THE ORAL CIGARETTES。
EDMなSEが鳴ると、あきらかにあきらがバンドの巨大フラッグを振りかざしながら登場し、山中はスモーク噴射器を発射しながらというド派手な登場。
おなじみの山中の口上のあと、「気づけよBaby」でスタートし、サビでは満員の観客が手を左右に振り、「mist…」ではラストサビまえの合唱パートで大合唱…と思いきや、リズムがずれてしまい、山中に
「お前らバラバラやないか!(笑)」
と言われてしまう(笑)
もはやバンドの一大アンセムとなった「起死回生STORY」を終えると山中が
「すごい時代になりましたよ、今はミドリムシを食べるんですって!体にいいみたいですよ。ムシやし、ミドリやし、俺は食いたくないけど(笑)」
となぜかいきなりミドリムシを食べる時代になったという意味不明な話をし始めると、
「世の中、いつそういうとんでもない時代になるかわからへん。そんな新しい時代に必ず必要になる、新しい時代のアンセムとなる新曲!」
と無理矢理新曲「DIP-BAP」につなげる。すでに対バンツアーのファイナルで披露されて以降、春フェスでも毎回演奏されているが、EDMを取り入れたイントロから、ハンドマイクの山中のラップのような歌唱、そしてサビでの観客も巻き込んだ「オーオー」の大合唱と、展開しまくりというか、3~4曲分のアイデアを1曲に凝縮したような、紛れもなくこれまでのこのバンドのイメージからは想像できない曲。山中がそこまで言うのも納得せざるを得ない。
そのまま山中がハンドマイク状態で「カンタンナコト」から、タイトル通りに客席を狂乱に導く「狂乱Hey Kids!!」で終了。
長尺のツアーに行ったあとだとこの曲数はちょっと物足りなく感じてしまうが、バンドの纏っている空気というかオーラ、そしてメインステージのバンドを上回る物販の列の長さを記録する上昇気流っぷりからすると、来年には山中が口にしていた、メインステージに出ることになっていてもおかしくはない。
1.気づけよBaby
2.mist…
3.起死回生STORY
4.DIP-BAP
5.カンタンナコト
6.狂乱Hey Kids!!
DIP-BAP
https://youtu.be/u-G8CpRvQdE
17:20~ パスピエ [SEASIDE PARK]
ついにアー写でもメンバーの顔を公開した、パスピエ。幻想的なSEとともにメンバーが登場すると、大胡田なつきの赤と青の鮮やかな衣装が否が応でも目を引く中、成田のピアノと大胡田のボーカルのみでサビから始まったのは「S.S.」。そのピアノと歌のみから徐々にバンドサウンドになだれ込んでいくという、既存曲の大胆なアレンジはバンドの音楽的な探究心と、こうして軽々とできてしまう演奏力の賜物によるもの。
「とおりゃんせ」「裏の裏」というポップな曲で踊らせると、
「こんな爽やかな気候の日は外出しない」
と大胡田が実にインドアな性質を語り(若干この時間から肌寒くなってきていたけど)、最新シングルの「ヨアケマエ」へ。
パスピエの王道ポップ的な曲だが、明らかに武道館ワンマンを経てこそという歌詞もある中、間奏になると、大胡田がシンセを演奏。これまでに楽器を演奏する姿は見たことがなかったので、これは新鮮だし、これからサウンドの幅がさらに広がりそう。
「MATATABISTEP」で大胡田が猫のようなダンスを踊ると、成田のピアノがライブの終わりを告げる切ないフレーズを奏でる、演奏しているメンバーの姿が目の前にあるにもかかわらず、歌詞の情景が頭に浮かんでくる「最終電車」に乗ってメンバーはステージから去って行った。
良い曲、良い演奏、そしてライブならではのアレンジ。この規模のステージが満員になるのも納得する要素しかない。「革命のあとで」これからこの音楽集団はどこへ向かう?
1.S.S.
2.とおりゃんせ
3.裏の裏
4.ヨアケマエ
5.チャイナタウン
6.MATATABISTEP
7.最終電車
ヨアケマエ
https://youtu.be/kIqn6QGnxdU
18:10~ ゲスの極み乙女。 [WINDMILL FIELD]
初出演時は1番小さいステージだったゲスの極み乙女。、あれよあれよという間にメインステージ、しかもトリ前という実にいい時間に登場する存在になった。
コーラス2名を含めたおなじみの6人編成で登場すると、メンバー4人は赤を基調とした派手な衣装。川谷絵音の
「キラーボールで踊りませんか?」
という問いかけから「キラーボール」でスタートすると、メンバーの安定感あふれる演奏の割に、絵音のボーカルは不安定。特に高音部はかなり辛そうで、翌日控えているindigo la Endのライブが少し不安になる。
しかしながらさすがにヒット曲を連発しているバンドなだけに、次から次へと代表曲が演奏されていく…がその最中に全く予報になかった雨が降ってくるという事態に。途中かなり強めに降ったこともあり、抜けていく人も出てしまっていた。
ちゃんMARIが雨が降ってきたことを心配したりしつつも、休日課長のベースソロなど、ただでさえキャラの強いメンバーそれぞれを演奏面でもアピールする部分もあり、絵音がパンダの着ぐるみに着替えて再登場した「餅ガール」ではコール&レスポンスも巻き起こす。(ウサギの着ぐるみはLINEのイメージがあるのでフェスのサポーターであるAbemaTVのことを考えてパンダにしたらしい)
複雑な演奏がぶつかり合い、意味不明な歌詞というアバンギャルドそのものなはずなのにポップに着地する「アソビ」を終えると、黒のショーパンがめちゃセクシーなほな・いこかがドラムセットに立ち上がってコール&レスポンスをし、絵音と課長が向かい合って演奏し、ちゃんMARIも鍵盤の上に立ち上がった「ドレスを脱げ」で終了。
絵音の声が不安定でもライブ自体は非常に良かったとしか思えないあたり、やはりこのバンドはただものではない。パスピエ同様、高い演奏技術を持っていて、複雑なこともやっているのにそれがポップになるという実にすごいバンド。
絵音は今やいろいろと言われてしまう存在になってしまったが、それはもう実際にその通りなんだからもう仕方がない。かといって、テレビに出て謝罪したりする必要はないと思っている。なぜなら彼が立つのはテレビの画面ではなく、ステージの上だからである。(バラエティ番組に出まくっていたのも結局は諸刃の剣になってしまったが)
だからもしかしたら世間的な絵音のイメージはもはやクソ野郎なのかもしれないが、やはりこうして音楽を聴いてライブを見ると、全く異なる2つのバンドを同時進行させながら、次々にヒット曲を生み出す、現在のロックシーン最大の鬼才という評価にしかならない。
1.キラーボール
2.無垢な季節
3.私以外私じゃないの
4.オトナチック
5.サイデンティティ
6.両成敗でいいじゃない
7.ロマンスがありあまる
8.餅ガール
9.アソビ
10.ドレスを脱げ
私以外私じゃないの
https://youtu.be/Ae6gQmhaMn4
19:10~ 高橋優 [SEASIDE PARK]
2年連続のSEASIDE PARK出演で、今年は初日のトリを任された高橋優。
バンドメンバーとともに登場すると、本人が「高橋優って初めて見たけど、結構熱い感じなんだなって思ってるでしょ!」と観客に語りかけていた通り、本人はアコギを弾きながら歌うというスタイルだが、凄腕メンバーによるバンドサウンドの力もあり、実に熱いライブ。
しかしながらやはり曲はしみじみと「良い曲だなぁ」と思える。
始まる前は止んでいた雨がまた降り始めて、高橋優が観客のことを鼓舞したりしながら、去年に続いて今年も彼の出身地である秋田のなまはげのことを歌った曲、「泣く子はいねが」へ。全編秋田弁の歌詞のため、普通の人は聴いてもさっぱりなんのことかわからないような曲だが、曲中にはコール&レスポンスも行われ、
「メトロック!」
「メトロポリタン!」
「ナポリタン!」
「ジンギスカン!」
「サムゲタン!」
と、やはり今年も完全に暴走し、最終的にはなぜか「森のくまさん」を全員で合唱するというわけのわからない展開に。当然曲にはくまは出てこないし、なんの関係もない。
そんなやり取りで雨もぱらつく中でライブを見ている観客を暖めつつ笑わせると、最後に
「みんなの明日が今日よりももっと楽しい日になりますように!」
と言って、「福笑い」で完璧に締めてみせる。このギャップすら感じる展開はさすが。
しかしもっとさすがなのは、やはり高橋優本人の歌唱力と声量。もはや小さいステージだったらマイク使わなくても聞こえるんじゃないか?と思えるし、その声量を生かしてとてもハッキリとした発音で歌うので、歌詞が曖昧に聞こえるところがなく、しっかりと一語一語噛み締めながら聴ける。それはやはり本人が路上ライブをしていた時代から培ってきたものなんだろうか。
1.パイオニア
2.明日はきっといい日になる
3.同じ空の下
4.さくらのうた
5.泣く子はいねが
6.福笑い
明日はきっといい日になる
https://youtu.be/AJK-BWOXwW0
20:00~ サカナクション [WINDMILL FIELD]
初日のメインステージのトリはサカナクション。去年はベース草刈の産休でフェスに出なかったため、2年ぶりにこのステージに帰還。
メンバーがステージに登場すると、すでにステージにはラップトップが並んでおり、サングラスをかけたメンバーが横並びでラップトップを操作し、山口一郎が歌うという、最近ではおなじみのオープニングで、最後のサビ前にバンド編成になる。
「アルクアラウンド」ではイントロで大歓声が上がったが、むしろ驚いたのは次の「アドベンチャー」を演奏したこと。かつては定番曲だったが、最近は全然ライブでやらなくなっていただけにこれは嬉しいし、セトリに柔軟になったのかとも思ったが、結果的にはJAPAN JAMのものに「アドベンチャー」を加えただけ。なので持ち時間によって1曲増やすか削るかという違いである。
なので全体の流れも変わることはないのだが、「モノクロトーキョー」を東京の野外で響かせ、着物姿の踊り子さんが登場した「夜の踊り子」では
「にわか雨の音も消えた」
のフレーズを、まさに先ほどまで降っていた雨が上がったのを強調するかのようにして歌うなど、さすがにこの日限りの見せ方をしてくる。
岩寺と草刈が和太鼓を連打する長尺インスト曲「SAKANATRIBE」では山口の振りかざすサイリウムの光がバンドやフェスのロゴを作り出すという、一体どういう仕組みなんだろうかというのが実に気になる。
終盤はヒットシングルのさらなる連発となったが、ラストの「新宝島」では、それまでも木々に反射していたレーザー光線が、フェスの象徴的存在である風車に「新宝島」の文字を映し出して大歓声が上がった。
思えば大雨だった第2回のROCKS TOKYOで初めてトリをやってから、この会場の夜はこのバンドのものだった。2年ぶりの出演でそのことを実感した。やはりMCらしいMCはもうフェスではしないのかもしれないけど。
1.ミュージック
2.アルクアラウンド
3.アドベンチャー
4.モノクロトーキョー
5.夜の踊り子
6.SAKANATRIBE
7.アイデンティティ
8.ルーキー
9.新宝島
encore
10.Aoi
新宝島
https://youtu.be/LIlZCmETvsY
同じメインステージでも、昼と夜では見える景色も持ち時間も全然違う。今日昼に出たKEYTALKやKANA-BOONもいつかは夜に…とも思うが、トリ前のゲスの極み乙女。とトリのサカナクションの横綱相撲っぷりを見ると、それは果てしなく遠く、高い壁のように見えてくる。それを実感してしまった今年の初日だった。
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