JAPAN JAM BEACH 2016 @幕張海浜公園 5/5
- 2016/05/07
- 01:58
初年度の富士スピードウェイでの開催以降、幕張メッセ、新木場STUDIO COASTと会場を変えながら存続し、去年から幕張の海浜公園に場所を移した、ROCKIN'ON JAPAN主催のフェス、JAPAN JAM。
このフェスならではのコラボというフェスの持ち味も全てのアーティストにおいてではないが継続させ、去年はビーチという景観の良さも好評だったが、それ故に風や砂対策という課題も浮き彫りになった。
去年同様に5/3~5のGW3日間開催となった今年は、前日の2日目が強風などによる天候の影響で中止に。そしてこの日が最終日であるが、天気は快晴で、もはや夏フェスというくらいの気候。
今年もステージはSEASIDE STAGE、SKY STAGE、SUNSET STAGEの3つ。SEASIDE STAGEとSUNSET STAGEは演奏時間がかぶっており、SKY STAGEはその2つのステージとは被らない時間設定になっている。
11:30~ The Mirraz [SUNSET STAGE]
去年同様にSUNSET STAGEへの出演で、今年はトップバッターとなった、The Mirraz。
今回は活動休止中のN'夙川BOYSのリンダとマーヤとのコラボが発表されていたが、山崎洋一郎の「実にしぶといバンド」という前説での紹介の後にEDMなSEでメンバーが登場すると、リンダとマーヤもサングラスをかけて一緒にステージに出てくる。コラボはどのアーティストもだいたい1~2曲だが、まさか最初から一緒にやるとは。
1曲目「マジか~」から「まざーふぁっかー」という新作のEDM曲ではリンダとマーヤは元輝のドラムセットの前に組まれた、対面型のドラムセットを2人で叩く。つまりドラム3台。EDMというデジタルな音楽でこんなにドラムのリズムが強調されたことがいまだかつてあっただろうか。シンバルやスネアの1発1発が実に重いマーヤはことあるごとに「ロックンロール!」と叫んでいる。
この海というシチュエーションに似合いすぎる「真夏の屯田兵 ~yeah! yeah! yeah!~」ではリンダとマーヤがギターに切り替え、ギター4本という分厚いサウンドに変貌すると、マーヤが好きだという「シスター」、リンダが好きだという「らぶりー」(カップリングであるこの曲を選ぶあたり、本当に好きである)を続けて演奏するが、「らぶりー」はまさかのリンダがメインボーカル。女性ボーカルによるミイラズの曲は実に新鮮だが、やはりこのバンドの曲は息継ぎがかなり厳しいのが、他の人が歌うとよくわかる。
「Oh! Yeah!」のコーラスに合わせてタオルを上に投げる「SUSHI A GO GO GO!」では、去年同様に風が強すぎて全然観客はタオルを投げない中、リンダとマーヤがタオルを投げると、ステージ端まで飛んでいき、慌てて取りに行くリンダがなんとも可愛らしい。
畠山がマーヤに今回のコラボについてのコメントを求めると、
「大好きなミイラズの曲をこうして一緒に出来て、本当に嬉しいです」
と言い、畠山が「俺も大好きだよ!」と返すと、
「それは初めて聞いた(笑)」
と、やはりなかなか素直に己の気持ちを伝えない畠山らしいやり取り。
するとEDMサウンドに乗せて手を振る「VAM! VAM! VAMPIRE!」では、リンダとマーヤがミイラズのマスコットキャラクターである、ミイラのキノイ君を引き連れてきて、キノイ君も一緒に手を振る。マーヤはキノイ君の頭を180°回すという暴挙を見せ、畠山が笑ってしまって歌えなくなるという場面も。
「つーか、っつーか」ではリンダとマーヤが再び向かいあってのドラムを叩いてEDMサウンドを強力にブーストさせると、ラストの「CANの~」ではまさかのキュウソネコカミのセイヤまでもがステージに登場し、主に畠山が歌わない部分を歌うという、全く発表されていなかったコラボを披露し、普段はなかなか素直な気持ちが見えづらいミイラズ(というか畠山)が、実は見に来てくれている人たちをちょっとでも楽しませたい、という気持ちの持ち主であり、エンターテイナーであることを証明した。
このフェスのコラボというと、だいたい1曲に他のバンドのボーカルが参加、というパターンが多いのだが、全曲に渡ってコラボするというのは、前述の観客を楽しませたいという精神はもちろん、コラボ相手と本当に相思相愛じゃないとできない。ミイラズ、実はいろんな人に愛されてるんだよな。それは周りのバンドはもちろん、山崎洋一郎も含めて。せめてロッキンのフェスだけは出続けて欲しい。
1.マジかーそうきたか、やっぱりそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
2.まざーふぁっかー
3.真夏の屯田兵 ~yeah! yeah! yeah!~
4.シスター
5.らぶりー
6.SUSHI A GO GO GO!
7.VAM! VAM! VAMPIRE!
8.僕らは
9.つーか、っつーか
10.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
13:00~ THE BAWDIES [SUNSET STAGE]
2年連続出場のTHE BAWDIES。いつものようにウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで、この海が実によく似合う爽やかな水色のスーツでメンバーが登場。JIMが登場からすぐさま煽りまくると、
「HOT DOG、召し上がれっ!」
というROYの一声でいきなりの「HOT DOG」スタートで、後ろまで満員の客席は早くも盛り上がりまくり。
「海なんだからもう脱いじゃえよ!裸になっちゃえよ!
いや、心をですよ?(笑)本当に脱がれたら、「ロックバンドのボーカル、ヌードを強要」って明日のニュースに出ちゃいますから(笑)」
と笑わせながら、まさに心を裸にするかのような、強力なメドレーからROYの超ロングシャウト(見るたびに長くなってる気がする)が曲を締める「IT'S TOO LATE」と走り抜けると、この晴天の空そのもののように会場を暖かく包み込む「SUNSHINE」、さらにはガレージ色の強い新曲をも披露するが、
「昨日は残念ながら中止になってしまいましたが、我々、一昨日POLYSICSとコラボさせていただきましたが、その時も快晴でした。
もはやSUNSHINE BOYSです。THE BAWDIESっていう名前なんか覚えなくていいです(笑)
SUNSHINE BOYSのリーダーの「晴れのち光」です(笑)」
と、MCはどこまでも脱力気味。
しかしながら「EMOTION POTION」からはさらに加速し、「SING YOUR SONG」「NO WAY」では大コール&レスポンスが起こり、ラストは「JUST BE COOL」で飛び跳ねさせまくって、おなじみTAXMANの「わっしょーい!」で締め。
「ROCK ME BABY」「LEMONADE」というおなじみ曲をやらず、メドレーや新曲をやっているあたり、フェスへの意識の変化と、「SUNSHINE」などによるさらなる音楽性の広がりを感じさせる。
早く着きすぎてトップバッターすら会場に到着してなかった、というエピソードなどはやっぱりこのバンドらしい微笑ましさがあるけど。
1.HOT DOG
2.メドレー
YOU GOTTA DANCE ~ YEAH ~LEAVE YOUR TROUBLES ~ YOU GOTTA DANCE
3.IT'S TOO LATE
4.SUNSHINE
5.45s (新曲)
6.EMOTION POTION
7.SING YOUR SONG
8.NO WAY
9.JUST BE COOL
13:45~ キュウソネコカミ [SKY STAGE]
こちらも2年連続の出演となる、キュウソネコカミ。3つのステージの中でメインステージ的な位置のSKY STAGEは始まる前から超満員である。
T.M.Revolutionの「HOT LIMIT」が流れると、メンバーが順番に登場してくるのだが、最後にステージに出てきたセイヤは、その「HOT LIMIT」のPVの西川貴教のような、黒いボンテージ風の衣装で、出てくるだけで観客爆笑。いきなり掴んでしまうあたりはさすが。
「ビビった」「ファントムバイブレーション」と代表曲が続くと、ヨコタのカメラアピールなどのアクションもありながら、テンポよく曲を続けていく。ベースのカワクボは髪が伸びきったのか、纏めて結わくというスタイルになっている。
セイヤは
「Mステ出るから見てくれよー!」
と第一声で叫んでいたが、これは西川貴教が出るというだけで、キュウソは出ないらしい。この衣装も去年のイナズマロックフェス(西川貴教主催のフェス)でやって、本人からちゃんと公認をもらっているとのこと。
おなじみの「DQN~」ではセイヤの客席突入もなければ、ウォールオブデスもないというロッキンのフェス仕様だが、「ヤンキー怖い」のコール&レスポンスを海に向かって行ったり、なぜかKEYTALKの「MABOROSHI SUMMER」と、円広志の「夢想花」(「飛んで 飛んで 回って 回って」で有名な曲)をコール&レスポンスしたりと、いつものワンマンなどで行っていることができないなら、できないなりに来てくれた人を楽しませようというこのバンドの精神が強く感じられる。
すっかり定番曲になった「NEKOSAMA」で「ニャー!」のフレーズとともに飛び跳ねさせると、ラストはおなじみの2曲。
ワンマンでは幕張メッセイベントホール2daysを埋めることは出来なかったが、もはやフェスでの動員力は随一と言っていいレベル。果たして夏フェスではどのステージに立っているのだろうか。
1.ビビった
2.ファントムバイブレーション
3.記憶にございません
4.KMDT25
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.NEKOSAMA
7.MEGA SHAKE IT!!
8.ハッピーポンコツ
14:30~ SUPER BEAVER [SUNSET STAGE]
ここ一年で様々な大型フェスのステージに立つようになったSUPER BEAVER、JAPAN JAMにもついに初登場。
「何が正解か、不正解かなんて誰にもわからない。ただ、この時間、この場所を選んでくれたあなた方1人1人を全力で肯定するために歌う」
と、渋谷がいつものように熱い口上を述べると、今年のシングル3部作の1つである、3拍子のリズムと、昨年のアルバム「愛する」でより強くなってきた、メンバー全員でのコーラスが歌にさらなる力強さを与える「青い春」でスタート。
まさにここにいる人たち1人1人を肯定するような熱い言葉が渋谷から矢継ぎ早に繰り出される中、中盤には今回のコラボ相手である、水色の衣装が鮮やかなSCANDALのMAMIが登場。自身がコーラスとして参加した「愛する」収録曲の「Q&A」を再現するのだが、言葉を交わす渋谷とMAMIの間に緊張感というか、そこまでこうして話すのに慣れていないような感じがして、どこかこういう男女コラボならではの初々しさを感じる。熱さの中に爽やかな風を吹かせたMAMIは自身の出番が終わったあともずっとステージ袖でバンドの演奏を見ていた。
後半も渋谷の熱く、見ているすべての人に一歩踏み出す勇気をくれる言葉を挟みながら、「証明」ではアウトロのコーラスで大合唱を起こし、最後には
「言いたいことや伝えたいことがある時は、そう思った時に言ったほうがいい。言葉には鮮度があって、言わないでいるうちに言えなくなってしまうから」
という言葉をそのまま曲にしたような「ありがとう」。
本当に全身全霊を込めたライブをするバンド(どのバンドもそうだろうけど)だが、それがこの上なく伝わってくるのは、メンバーの誰か1人ではなく、メンバー全員が同じ意志と熱さを同じ強度で共有しているから。だから言葉と演奏に説得力と、見ている人を引き込み、感動させる力がある。
すでにZeppクラスですらソールドアウトするようなバンドになったが、これからはこういうデカいステージで見ることも多くなってくるはず。他の見たいバンドと日程が被っていなければ是非ともワンマン行ってみたいバンドなのだが。
1.青い春
2.らしさ
3.Q&A feat. MAMI(SCANDAL)
4.歓びの明日に
5.証明
6.ありがとう
15:15~ くるり [SKY STAGE]
昨年は2日目のトリで、10分以上にも及ぶ「ガロン」を演奏し、客席と幕張を沈黙の海に叩きこんだ、くるり。今年は昼の時間での出演である。
岸田、佐藤に加え、近年のくるりには欠かせない存在のギタリスト松本大樹、かつてのサポートメンバーであるクリフ・アーモンド(ドラム)、そして最近のくるりのライブによく参加している野崎泰弘(キーボード)、アチコ&加藤哉子(コーラスなど)という7人編成で、「グッドモーニング」を皮切りに、今年も実に渋いというか、コアな選曲が続く。
というのもこれは、現在5thアルバム「アンテナ」の再現ツアー中であり、実際に5曲目までは「アンテナ」の1~5曲目という、アルバム前半の流れを演奏したもの。
「アンテナ」は当時瞬間的にバンドに加入していたクリストファー・マグワイアの強力なドラムに引っ張られたかのような、4人でのバンドのグルーヴによるロックアルバムであるが、このキーボードやコーラスを加えた編成で演奏されると、リリース当時の「重く深いバンドサウンドのアルバム」というイメージよりもはるかにポップに聴こえる。
もちろんそこには「ロックンロール」という、くるりを代表する名曲の存在もあってのことだが、
「晴れ渡る空の色」
というサビのフレーズをまさに晴れ渡る空の下で聴けるというのはなんとも贅沢なこと。
岸田が
「ずっと若手のつもりでやってたけど、今日の出演者のボーカルの中で最年長だった(笑)」
という、タイムテーブルを見れば一目でわかるようなことを言って笑いを誘うと、「アンテナ」の世界から一転して、去年リリースのシングル曲「ふたつの世界」。くるりがもしアニソンを作ったらどうなるか?という想像そのもののように、くるりらしいけどくるりらしくないとも言えるような曲。
そして最後に演奏されたのは、この日の翌日にリリース詳細が発表された、新曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」。
タイトルだけ聞くとどんな曲なのか全く想像できないが、ここまでに演奏された曲とは全く違う、現在のインディーポップにも通じる、ブラックミュージックの要素が強い、岸田のラップのようなボーカルが乗る曲。「上海蟹」ということで、サビではコーラスの女性2人に合わせて観客も両手をチョキにして上に掲げるのがなんとも楽しい。
こうしたブラックミュージックを基軸にした曲は、ともすると雰囲気重視になりがちだが、そうはならないのは、くるりならではのメロディの良さ(それは「東京」からずっと一貫しているもの)と、これまでにも様々な音楽の要素を取り入れてきた咀嚼力、そしてどうすればその要素を取り入れた音楽を最前の方法で鳴らすことができるか、というのを完璧に熟知しているからである。だからブラックミュージックを取り入れようが、クラシックを取り入れようが、東洋音階を取り入れようが、くるりの音楽は雰囲気だけのものにはならない。
これからこの新曲の路線で進んでいくのかはわからないが、やはりくるりは凄い。このセトリをフェスでやってしまうという面も含めて。
1.グッドモーニング
2.Morning Paper
3.Race
4.ロックンロール
5.Hometown
6.ふたつの世界
7.琥珀色の街、上海蟹の朝 (新曲)
16:00~ 夜の本気ダンス [SUNSET STAGE]
今、最も動員が右肩上がりなバンドの1つである、夜の本気ダンス。昼の幕張のステージに初出演。
「By My Side」「WHERE?」といきなり必殺の4つ打ちダンスロックで、米田が
「踊れる準備はできてますか!?」
と問いかけるまでもなく超満員の観客を踊らせまくると、演奏中もカメラ目線を全く外さずにドラムを叩き続けて笑わせていた鈴鹿が、
「もう人が多すぎてみんなが波のようやで!ここでみんながウェーブでもやったら、どっちが波か見分けつかん!」
と言うと、すぐさま合図なしに客席にウェーブが発生し、それを見ると、
「あんたらの適応力ヤバいな!それだけ適応力あれば、夜の本気ダンスに他のバンドが入ってきても適応できるんちゃう!?」
と言い、かねてからアナウンスされていた、コラボ相手のフレデリックを呼び込むという、さすがのMC力を見せる。
健司がボーカル、康司がタンバリン&コーラス、赤頭がギターで加わると(サポートドラムの高橋武は自身のバンドAnyのライブのためすでに移動)、2組でSUPER BUTTER DOGの「コミュニケーション・ブレイクダンス」のカバー。親友同士という2組だが、ともに4つ打ちダンスロックというイメージが強く、夜の本気ダンスは洋楽的な要素も濃いだけに、SUPER BUTTER DOGが双方のルーツにあるというのは実に意外。
コラボを終えると鈴鹿が
「気ぃつけて帰りやー!ETCカードとかちゃんと挿してな!」
とフレデリックに呼びかけて笑いを誘い、
「今日はこどもの日ということで、母親から昔遊んでた機関車トーマスのおもちゃが100個くらい揃ってる写真が送られてきました!」
とよくわからない話をすると、最新アルバム「DANCEABLE」からの2曲を演奏して、早くも終了。
昨年までの、「CD聴いた時の期待度に比べるとライブはそこまでではない」というイメージからすると、大幅に進化を遂げている。それは満員の観客の盛り上がりぶりという要素もあるだろうが、やはり想像以上に曲の振れ幅が大きいアルバムとなった「DANCEABLE」のリリースによるものが大きいと思う。
これから夏フェスにおいて、さらなる熱狂を生み出すバンドになっていくと思われるが、40分の持ち時間のところを25分くらいで終わってしまったのは一体なんなんだろうか?
1.By My Side
2.WHERE?
3.コミュニケーション・ブレイクダンス feat.フレデリック (SUPER BUTTER DOGのカバー)
4.escape with you
5.Crazy Dancer
17:30~ Mrs. GREEN APPLE [SEASIDE STAGE]
こちらも初出演にして、すでに超満員のMrs. GREEN APPLE。メンバーが時間前から出てきてサウンドチェックを行うと(本編ではやらなかった6月発売の新曲の断片も)、本番ではメンバーが走ってステージに登場。男性陣は髪を切って爽やかになり、男らしさが増しているイメージ。
若井のギターのイントロから、ライブの1曲目としておなじみの「愛情と矛先」でスタートすると、見るたびにメンバーのアクションが増えている、というか、もはやほぼ1曲全編においてメンバーの息の合ったアクションが繰り広げられる。それだけ動きが多くなっているのに、演奏の力強さも増しているのは本当にすごい。
キーボード藤澤がはしゃぎまくると観客も飛び跳ねまくる「VIP」では高野が間奏で前に出てきてゴリゴリのベースソロを弾くと、
「ここが唯一の見せ場なんです!(笑)」
と、最年長メンバーをいじる大森。
「リスキーゲーム」ではぐるぐる回る客席のタオルを見て大森が「キレイだー!」と叫び、藤澤はタオルをほっかむりのようにして被っておどけている。
「みんなが知ってるかもしれない曲」
と言って演奏された「Speaking」から、EDMと言っていい、バキバキのデジタルサウンドの未音源化曲「うブ」と、短い時間ながら幅広い楽曲を演奏すると、
「最後にほっこりしましょう」
と言って、今年リリースの1stフルアルバム「TWELVE」の最後に収録されている「庶幾の唄」で藤澤がフルートを演奏し、またもやメンバーの息の合ったアクションや、若さ溢れる微笑ましいやり取りを見せた。
みんなで大きな声で歌えるフックが満載のこのバンドの曲は、多くの人の前で演奏されることにより、さらに本領を発揮するというのが実によくわかった初出演。
他のバンドのライブを見ていたのか、ライブ前から日焼けしていた大森は何度も
「キレイだー!」
と叫んでいたが、これから先、このバンドは数え切れないくらいにもっとキレイな景色をその目で見て、ファンである我々にも見せてくれるようになるはず。
これだけライブ猛者ばかりが集まった1日で、ベストアクトクラスのインパクトを残してしまうというのは末恐ろしさすらも感じるが。
リハ1.ナニヲナニヲ
リハ2.サママ・フェスティバル!
リハ3.うブ
1.愛情と矛先
2.VIP
3.アンゼンパイ
4.リスキーゲーム
5.Speaking
6.うブ
7.StaRt
8.庶幾の唄
18:15~ [Alexandros] [SKY STAGE]
昨年の大トリ、[Alexandros]が、今年はトリ前に登場。川上洋平の金髪姿もようやく見慣れてきた感。
「Burger Queen」のSEで登場してそのまま後半をバンド演奏に切り替えると、ロマンチックな「Adventure」で本格始動。
デジタルなサウンドの「Girl A」から、ストレートなギターロックの「Famous Day」「city」で、陽が落ちて肌寒さを感じるようになってきた会場の温度を一気に上げると、川上がハンドマイクで熱量と色気を放出しまくる「Kick&Spin」と、MCなしで曲を畳み掛ける。
川上が演奏前に客席を煽ると、大きな歓声(主に黄色い声)が起こるも、川上が歌い出すと一気にその歓声とざわつきが収まるのは本当にすごい。みんながこの男のボーカルと一挙手一投足を見逃したくないと思わせるようなカリスマ性を放っている。
そのように始まった最新シングル「NEW WALL」は、昨年末の幕張メッセでのワンマンで新曲として演奏された曲だが、もはや完全にこの規模やこれ以上の規模の会場に照準を合わせたかのようにドラマチックに響くスタジアムロック。「壁を乗り越える」ではなくて「壁を壊す」という歌詞にもこのバンドの美学が現れている。
「昨日は中止になってしまって。昨日出るはずだった人の曲をちょっと歌おうかな」
と言って川上が弾き語り始めたのは、まさかのORANGE RANGEの「花」。展開を忘れてしまって磯部に助けを求めてもう一回歌うという流れだったが、サビだけと言わず、一曲まるまるカバーしてもらいたいくらいのハマりぶり。ちなみに本人たちにやることを告げて、許可を得ているらしい。
そして最後に演奏された「ワタリドリ」は、川上がアコギを弾きながら歌い、メンバーの演奏も従来の爆発力を感じさせるものではなく、特にサトヤスのドラムからも、ビルボードで演奏されるのが似合いそうな、アコースティックと言っても良さそうなアレンジに。これからこの曲はこのアレンジでやっていくのだろうか。
演奏が終わり、サトヤスがステージ前に出てきて白井もギターを置く中、川上が歌い出したのは、現在CMのタイアップで流れている新曲。さわりだけ、という感じだったが、果たしてフルバージョンをライブで聴ける日はいつになるのだろうか。
1.Burger Queen
2.Adventure
3.Girl A
4.Famous Day
5.city
6.Kick&Spin
7.NEW WALL
8.ワタリドリ
19:00~ BLUE ENCOUNT [SUNSET STAGE]
昨年はこのステージのトップバッターだったBLUE ENCOUNT。去年のコラボ相手であったNICO Touches the Wallsの代役も含めたCDJでの2ステージ出演を経て、今年はトリに抜擢である。
「始めるよー!」
という田邊の一声から「アンバランス」でスタートし、最新シングル「Survivor」と続く序盤だけで今のこのバンドの勢いがどれだけすごいのかを充分に実感できる。
すると早くも熱すぎてMCが長い男・田邊が口を開く。
昨日のこのフェスが中止になってしまい、自然には勝てないと改めて思ったことから、地元の熊本の震災で家族や友人が被害を受けたことに話をつなげ、自分が何にもできないと思ってるままでこのトリのステージに立つ資格はないとすら思ってしまったが、この目の前にいる超満員の観客がその絡まった気持ちを吹っ切れさせてくれたと感謝を告げ、「大丈夫」を演奏したのだが、このMCがあったからこそ、「大丈夫」と連呼するこの曲に説得力が増していた。
そんな、すでに熱さと感動のピークの中、今回のコラボ相手である、BIGMAMA金井政人を噛み気味でステージに呼び込むと、金井のイケメンさを自らの自虐に使って笑いを誘いながら、バンドの代名詞的な曲である「もっと光を」を、交互に歌うというエモーショナルコラボ。金井はもともとは前日にBIGMAMAで出演するはずだったのが中止になってしまったことで、その分の気持ちも込めた歌と、
「本当に会いたかったよ、幕張ー!」
という叫びを響かせる。
コラボを終えると「LIVER」では一斉に観客がタオルを回す光景を見て、
「こんなの前代未聞でしょ!」
と目の前の景色にメンバーが感動し、ラストは「DAY×DAY」からの「THANKS」でバンドが観客に感動を与えた。
田邊の熱いMCだけじゃなく、メンバーの演奏も実に力強いが、パンク・ラウド系のバンドと互角以上に渡り合えるのは、辻村のマッチョさすら感じるゴリゴリのベースによるものが大きい。それがこれからもしっかりしていれば、MCが泣けるという話題性がひと段落したあとも、多くの人に熱狂されるバンドでいられるはず。
10月の武道館は「絶対来てくれ!」って言うまでもなくソールドアウトすると思う。
1.アンバランス
2.Survivor
3.大丈夫
4.もっと光を feat.金井政人(BIGMAMA)
5.Never Ending Story
6.LIVER
7.DAY×DAY
8.THANKS
19:55~ サカナクション [SKY STAGE]
去年は草刈の産休により、春~夏のフェスは出演しなかったサカナクションが、このフェス初出演にして堂々の大トリ。
完全に夜の海という、サカナクションに似合い過ぎるシチュエーションの中、「ナイトフィッシングイズグッド」のリミックスのSEで登場すると、5人がサングラスをかけてラップトップ横並びでの「ミュージック」からスタート。最後のサビ前でバンド演奏に切り替わるところも実にスムーズに移行し、ヒット曲の中に挟まれた「モノクロトーキョー」では、先日の幕張メッセでのワンマンの時と同様に「トーキョー」を「幕張」に変えて歌い、「夜の踊り子」ではもはやお馴染みの踊り子さん2名も登場。
岩寺と草刈が和太鼓を叩く、長尺ダンスゾーンの「SAKANATRIBE」では山口が観客に自由に好きなように踊るように語りかけると、レーザー光線も飛び交う中、山口が振り回す2本のサイリウムのような発光する棒の残像が、様々な文字や形を描きながら輝いている。これは夜ならではの演出だが、一体どうやっているのだろうか。チームサカナクションの技術はやはり恐ろしい。
そのままイントロで和太鼓が鳴り響く「アイデンティティ」からアウトロが徐々に変化していく「ルーキー」という鉄板の流れから、すでにイントロで大歓声が上がるほどの人気曲にまで成長した「新宝島」。これはライブでやり続けてきたからこその結果である。
本編は全くMCなしで曲を連発したが、アンコールで再登場しても、MCは一切なし。もはや海の青さは見えなくなっているが、夜の砂浜というシチュエーションが本当に良く似合う「Aoi」を演奏し、3日間(実質2日だけど)の最後のステージを締めくくった。
もはや圧巻の横綱相撲とも言えるようなライブで、初見の人を完璧に取り込めるような内容。(その分、ワンマンに何回も行くファンは、夏フェスまでこのセトリだと飽きそうだけど)
すでに去年の秋に復活して、年末のフェスにも出演していたが、野外フェスにようやくサカナクションが帰ってきた。しかもかつてよりさらなる進化を遂げた姿で。
1.ミュージック
2.アルクアラウンド
3.モノクロトーキョー
4.夜の踊り子
5.SAKANATRIBE
6.アイデンティティ
7.ルーキー
8.新宝島
encore
9.Aoi
サカナクションのライブが終わると、花火が打ち上がり、今年のJAPAN JAM BEACHは幕を閉じた。
飲食スペースの場所移動、一部の砂浜以外の歩道の確保など、去年から改善は見られたが、ロッキンオンのことだから来年はさらにいろんな部分を改善してくれるだろう。
ビーチでフェスをやることの難しさも実感しただけに、来年以降このフェスがどうなっていくのか。(来年はまたVIVA LA ROCKと被るだろうし)
これまでにコロコロ会場を変えてきたが、できればここをJAPAN JAMの会場というイメージが完全に定着するまで、ここで続けて欲しい。もちろん、この日しか見れないコラボも含めて。
Next→ 5/8 BIGMAMA @Zepp Tokyo
このフェスならではのコラボというフェスの持ち味も全てのアーティストにおいてではないが継続させ、去年はビーチという景観の良さも好評だったが、それ故に風や砂対策という課題も浮き彫りになった。
去年同様に5/3~5のGW3日間開催となった今年は、前日の2日目が強風などによる天候の影響で中止に。そしてこの日が最終日であるが、天気は快晴で、もはや夏フェスというくらいの気候。
今年もステージはSEASIDE STAGE、SKY STAGE、SUNSET STAGEの3つ。SEASIDE STAGEとSUNSET STAGEは演奏時間がかぶっており、SKY STAGEはその2つのステージとは被らない時間設定になっている。
11:30~ The Mirraz [SUNSET STAGE]
去年同様にSUNSET STAGEへの出演で、今年はトップバッターとなった、The Mirraz。
今回は活動休止中のN'夙川BOYSのリンダとマーヤとのコラボが発表されていたが、山崎洋一郎の「実にしぶといバンド」という前説での紹介の後にEDMなSEでメンバーが登場すると、リンダとマーヤもサングラスをかけて一緒にステージに出てくる。コラボはどのアーティストもだいたい1~2曲だが、まさか最初から一緒にやるとは。
1曲目「マジか~」から「まざーふぁっかー」という新作のEDM曲ではリンダとマーヤは元輝のドラムセットの前に組まれた、対面型のドラムセットを2人で叩く。つまりドラム3台。EDMというデジタルな音楽でこんなにドラムのリズムが強調されたことがいまだかつてあっただろうか。シンバルやスネアの1発1発が実に重いマーヤはことあるごとに「ロックンロール!」と叫んでいる。
この海というシチュエーションに似合いすぎる「真夏の屯田兵 ~yeah! yeah! yeah!~」ではリンダとマーヤがギターに切り替え、ギター4本という分厚いサウンドに変貌すると、マーヤが好きだという「シスター」、リンダが好きだという「らぶりー」(カップリングであるこの曲を選ぶあたり、本当に好きである)を続けて演奏するが、「らぶりー」はまさかのリンダがメインボーカル。女性ボーカルによるミイラズの曲は実に新鮮だが、やはりこのバンドの曲は息継ぎがかなり厳しいのが、他の人が歌うとよくわかる。
「Oh! Yeah!」のコーラスに合わせてタオルを上に投げる「SUSHI A GO GO GO!」では、去年同様に風が強すぎて全然観客はタオルを投げない中、リンダとマーヤがタオルを投げると、ステージ端まで飛んでいき、慌てて取りに行くリンダがなんとも可愛らしい。
畠山がマーヤに今回のコラボについてのコメントを求めると、
「大好きなミイラズの曲をこうして一緒に出来て、本当に嬉しいです」
と言い、畠山が「俺も大好きだよ!」と返すと、
「それは初めて聞いた(笑)」
と、やはりなかなか素直に己の気持ちを伝えない畠山らしいやり取り。
するとEDMサウンドに乗せて手を振る「VAM! VAM! VAMPIRE!」では、リンダとマーヤがミイラズのマスコットキャラクターである、ミイラのキノイ君を引き連れてきて、キノイ君も一緒に手を振る。マーヤはキノイ君の頭を180°回すという暴挙を見せ、畠山が笑ってしまって歌えなくなるという場面も。
「つーか、っつーか」ではリンダとマーヤが再び向かいあってのドラムを叩いてEDMサウンドを強力にブーストさせると、ラストの「CANの~」ではまさかのキュウソネコカミのセイヤまでもがステージに登場し、主に畠山が歌わない部分を歌うという、全く発表されていなかったコラボを披露し、普段はなかなか素直な気持ちが見えづらいミイラズ(というか畠山)が、実は見に来てくれている人たちをちょっとでも楽しませたい、という気持ちの持ち主であり、エンターテイナーであることを証明した。
このフェスのコラボというと、だいたい1曲に他のバンドのボーカルが参加、というパターンが多いのだが、全曲に渡ってコラボするというのは、前述の観客を楽しませたいという精神はもちろん、コラボ相手と本当に相思相愛じゃないとできない。ミイラズ、実はいろんな人に愛されてるんだよな。それは周りのバンドはもちろん、山崎洋一郎も含めて。せめてロッキンのフェスだけは出続けて欲しい。
1.マジかーそうきたか、やっぱりそうきますよね。はいはい、ですよね知ってます。
2.まざーふぁっかー
3.真夏の屯田兵 ~yeah! yeah! yeah!~
4.シスター
5.らぶりー
6.SUSHI A GO GO GO!
7.VAM! VAM! VAMPIRE!
8.僕らは
9.つーか、っつーか
10.CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい
13:00~ THE BAWDIES [SUNSET STAGE]
2年連続出場のTHE BAWDIES。いつものようにウィルソン・ピケット「ダンス天国」のSEで、この海が実によく似合う爽やかな水色のスーツでメンバーが登場。JIMが登場からすぐさま煽りまくると、
「HOT DOG、召し上がれっ!」
というROYの一声でいきなりの「HOT DOG」スタートで、後ろまで満員の客席は早くも盛り上がりまくり。
「海なんだからもう脱いじゃえよ!裸になっちゃえよ!
いや、心をですよ?(笑)本当に脱がれたら、「ロックバンドのボーカル、ヌードを強要」って明日のニュースに出ちゃいますから(笑)」
と笑わせながら、まさに心を裸にするかのような、強力なメドレーからROYの超ロングシャウト(見るたびに長くなってる気がする)が曲を締める「IT'S TOO LATE」と走り抜けると、この晴天の空そのもののように会場を暖かく包み込む「SUNSHINE」、さらにはガレージ色の強い新曲をも披露するが、
「昨日は残念ながら中止になってしまいましたが、我々、一昨日POLYSICSとコラボさせていただきましたが、その時も快晴でした。
もはやSUNSHINE BOYSです。THE BAWDIESっていう名前なんか覚えなくていいです(笑)
SUNSHINE BOYSのリーダーの「晴れのち光」です(笑)」
と、MCはどこまでも脱力気味。
しかしながら「EMOTION POTION」からはさらに加速し、「SING YOUR SONG」「NO WAY」では大コール&レスポンスが起こり、ラストは「JUST BE COOL」で飛び跳ねさせまくって、おなじみTAXMANの「わっしょーい!」で締め。
「ROCK ME BABY」「LEMONADE」というおなじみ曲をやらず、メドレーや新曲をやっているあたり、フェスへの意識の変化と、「SUNSHINE」などによるさらなる音楽性の広がりを感じさせる。
早く着きすぎてトップバッターすら会場に到着してなかった、というエピソードなどはやっぱりこのバンドらしい微笑ましさがあるけど。
1.HOT DOG
2.メドレー
YOU GOTTA DANCE ~ YEAH ~LEAVE YOUR TROUBLES ~ YOU GOTTA DANCE
3.IT'S TOO LATE
4.SUNSHINE
5.45s (新曲)
6.EMOTION POTION
7.SING YOUR SONG
8.NO WAY
9.JUST BE COOL
13:45~ キュウソネコカミ [SKY STAGE]
こちらも2年連続の出演となる、キュウソネコカミ。3つのステージの中でメインステージ的な位置のSKY STAGEは始まる前から超満員である。
T.M.Revolutionの「HOT LIMIT」が流れると、メンバーが順番に登場してくるのだが、最後にステージに出てきたセイヤは、その「HOT LIMIT」のPVの西川貴教のような、黒いボンテージ風の衣装で、出てくるだけで観客爆笑。いきなり掴んでしまうあたりはさすが。
「ビビった」「ファントムバイブレーション」と代表曲が続くと、ヨコタのカメラアピールなどのアクションもありながら、テンポよく曲を続けていく。ベースのカワクボは髪が伸びきったのか、纏めて結わくというスタイルになっている。
セイヤは
「Mステ出るから見てくれよー!」
と第一声で叫んでいたが、これは西川貴教が出るというだけで、キュウソは出ないらしい。この衣装も去年のイナズマロックフェス(西川貴教主催のフェス)でやって、本人からちゃんと公認をもらっているとのこと。
おなじみの「DQN~」ではセイヤの客席突入もなければ、ウォールオブデスもないというロッキンのフェス仕様だが、「ヤンキー怖い」のコール&レスポンスを海に向かって行ったり、なぜかKEYTALKの「MABOROSHI SUMMER」と、円広志の「夢想花」(「飛んで 飛んで 回って 回って」で有名な曲)をコール&レスポンスしたりと、いつものワンマンなどで行っていることができないなら、できないなりに来てくれた人を楽しませようというこのバンドの精神が強く感じられる。
すっかり定番曲になった「NEKOSAMA」で「ニャー!」のフレーズとともに飛び跳ねさせると、ラストはおなじみの2曲。
ワンマンでは幕張メッセイベントホール2daysを埋めることは出来なかったが、もはやフェスでの動員力は随一と言っていいレベル。果たして夏フェスではどのステージに立っているのだろうか。
1.ビビった
2.ファントムバイブレーション
3.記憶にございません
4.KMDT25
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.NEKOSAMA
7.MEGA SHAKE IT!!
8.ハッピーポンコツ
14:30~ SUPER BEAVER [SUNSET STAGE]
ここ一年で様々な大型フェスのステージに立つようになったSUPER BEAVER、JAPAN JAMにもついに初登場。
「何が正解か、不正解かなんて誰にもわからない。ただ、この時間、この場所を選んでくれたあなた方1人1人を全力で肯定するために歌う」
と、渋谷がいつものように熱い口上を述べると、今年のシングル3部作の1つである、3拍子のリズムと、昨年のアルバム「愛する」でより強くなってきた、メンバー全員でのコーラスが歌にさらなる力強さを与える「青い春」でスタート。
まさにここにいる人たち1人1人を肯定するような熱い言葉が渋谷から矢継ぎ早に繰り出される中、中盤には今回のコラボ相手である、水色の衣装が鮮やかなSCANDALのMAMIが登場。自身がコーラスとして参加した「愛する」収録曲の「Q&A」を再現するのだが、言葉を交わす渋谷とMAMIの間に緊張感というか、そこまでこうして話すのに慣れていないような感じがして、どこかこういう男女コラボならではの初々しさを感じる。熱さの中に爽やかな風を吹かせたMAMIは自身の出番が終わったあともずっとステージ袖でバンドの演奏を見ていた。
後半も渋谷の熱く、見ているすべての人に一歩踏み出す勇気をくれる言葉を挟みながら、「証明」ではアウトロのコーラスで大合唱を起こし、最後には
「言いたいことや伝えたいことがある時は、そう思った時に言ったほうがいい。言葉には鮮度があって、言わないでいるうちに言えなくなってしまうから」
という言葉をそのまま曲にしたような「ありがとう」。
本当に全身全霊を込めたライブをするバンド(どのバンドもそうだろうけど)だが、それがこの上なく伝わってくるのは、メンバーの誰か1人ではなく、メンバー全員が同じ意志と熱さを同じ強度で共有しているから。だから言葉と演奏に説得力と、見ている人を引き込み、感動させる力がある。
すでにZeppクラスですらソールドアウトするようなバンドになったが、これからはこういうデカいステージで見ることも多くなってくるはず。他の見たいバンドと日程が被っていなければ是非ともワンマン行ってみたいバンドなのだが。
1.青い春
2.らしさ
3.Q&A feat. MAMI(SCANDAL)
4.歓びの明日に
5.証明
6.ありがとう
15:15~ くるり [SKY STAGE]
昨年は2日目のトリで、10分以上にも及ぶ「ガロン」を演奏し、客席と幕張を沈黙の海に叩きこんだ、くるり。今年は昼の時間での出演である。
岸田、佐藤に加え、近年のくるりには欠かせない存在のギタリスト松本大樹、かつてのサポートメンバーであるクリフ・アーモンド(ドラム)、そして最近のくるりのライブによく参加している野崎泰弘(キーボード)、アチコ&加藤哉子(コーラスなど)という7人編成で、「グッドモーニング」を皮切りに、今年も実に渋いというか、コアな選曲が続く。
というのもこれは、現在5thアルバム「アンテナ」の再現ツアー中であり、実際に5曲目までは「アンテナ」の1~5曲目という、アルバム前半の流れを演奏したもの。
「アンテナ」は当時瞬間的にバンドに加入していたクリストファー・マグワイアの強力なドラムに引っ張られたかのような、4人でのバンドのグルーヴによるロックアルバムであるが、このキーボードやコーラスを加えた編成で演奏されると、リリース当時の「重く深いバンドサウンドのアルバム」というイメージよりもはるかにポップに聴こえる。
もちろんそこには「ロックンロール」という、くるりを代表する名曲の存在もあってのことだが、
「晴れ渡る空の色」
というサビのフレーズをまさに晴れ渡る空の下で聴けるというのはなんとも贅沢なこと。
岸田が
「ずっと若手のつもりでやってたけど、今日の出演者のボーカルの中で最年長だった(笑)」
という、タイムテーブルを見れば一目でわかるようなことを言って笑いを誘うと、「アンテナ」の世界から一転して、去年リリースのシングル曲「ふたつの世界」。くるりがもしアニソンを作ったらどうなるか?という想像そのもののように、くるりらしいけどくるりらしくないとも言えるような曲。
そして最後に演奏されたのは、この日の翌日にリリース詳細が発表された、新曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」。
タイトルだけ聞くとどんな曲なのか全く想像できないが、ここまでに演奏された曲とは全く違う、現在のインディーポップにも通じる、ブラックミュージックの要素が強い、岸田のラップのようなボーカルが乗る曲。「上海蟹」ということで、サビではコーラスの女性2人に合わせて観客も両手をチョキにして上に掲げるのがなんとも楽しい。
こうしたブラックミュージックを基軸にした曲は、ともすると雰囲気重視になりがちだが、そうはならないのは、くるりならではのメロディの良さ(それは「東京」からずっと一貫しているもの)と、これまでにも様々な音楽の要素を取り入れてきた咀嚼力、そしてどうすればその要素を取り入れた音楽を最前の方法で鳴らすことができるか、というのを完璧に熟知しているからである。だからブラックミュージックを取り入れようが、クラシックを取り入れようが、東洋音階を取り入れようが、くるりの音楽は雰囲気だけのものにはならない。
これからこの新曲の路線で進んでいくのかはわからないが、やはりくるりは凄い。このセトリをフェスでやってしまうという面も含めて。
1.グッドモーニング
2.Morning Paper
3.Race
4.ロックンロール
5.Hometown
6.ふたつの世界
7.琥珀色の街、上海蟹の朝 (新曲)
16:00~ 夜の本気ダンス [SUNSET STAGE]
今、最も動員が右肩上がりなバンドの1つである、夜の本気ダンス。昼の幕張のステージに初出演。
「By My Side」「WHERE?」といきなり必殺の4つ打ちダンスロックで、米田が
「踊れる準備はできてますか!?」
と問いかけるまでもなく超満員の観客を踊らせまくると、演奏中もカメラ目線を全く外さずにドラムを叩き続けて笑わせていた鈴鹿が、
「もう人が多すぎてみんなが波のようやで!ここでみんながウェーブでもやったら、どっちが波か見分けつかん!」
と言うと、すぐさま合図なしに客席にウェーブが発生し、それを見ると、
「あんたらの適応力ヤバいな!それだけ適応力あれば、夜の本気ダンスに他のバンドが入ってきても適応できるんちゃう!?」
と言い、かねてからアナウンスされていた、コラボ相手のフレデリックを呼び込むという、さすがのMC力を見せる。
健司がボーカル、康司がタンバリン&コーラス、赤頭がギターで加わると(サポートドラムの高橋武は自身のバンドAnyのライブのためすでに移動)、2組でSUPER BUTTER DOGの「コミュニケーション・ブレイクダンス」のカバー。親友同士という2組だが、ともに4つ打ちダンスロックというイメージが強く、夜の本気ダンスは洋楽的な要素も濃いだけに、SUPER BUTTER DOGが双方のルーツにあるというのは実に意外。
コラボを終えると鈴鹿が
「気ぃつけて帰りやー!ETCカードとかちゃんと挿してな!」
とフレデリックに呼びかけて笑いを誘い、
「今日はこどもの日ということで、母親から昔遊んでた機関車トーマスのおもちゃが100個くらい揃ってる写真が送られてきました!」
とよくわからない話をすると、最新アルバム「DANCEABLE」からの2曲を演奏して、早くも終了。
昨年までの、「CD聴いた時の期待度に比べるとライブはそこまでではない」というイメージからすると、大幅に進化を遂げている。それは満員の観客の盛り上がりぶりという要素もあるだろうが、やはり想像以上に曲の振れ幅が大きいアルバムとなった「DANCEABLE」のリリースによるものが大きいと思う。
これから夏フェスにおいて、さらなる熱狂を生み出すバンドになっていくと思われるが、40分の持ち時間のところを25分くらいで終わってしまったのは一体なんなんだろうか?
1.By My Side
2.WHERE?
3.コミュニケーション・ブレイクダンス feat.フレデリック (SUPER BUTTER DOGのカバー)
4.escape with you
5.Crazy Dancer
17:30~ Mrs. GREEN APPLE [SEASIDE STAGE]
こちらも初出演にして、すでに超満員のMrs. GREEN APPLE。メンバーが時間前から出てきてサウンドチェックを行うと(本編ではやらなかった6月発売の新曲の断片も)、本番ではメンバーが走ってステージに登場。男性陣は髪を切って爽やかになり、男らしさが増しているイメージ。
若井のギターのイントロから、ライブの1曲目としておなじみの「愛情と矛先」でスタートすると、見るたびにメンバーのアクションが増えている、というか、もはやほぼ1曲全編においてメンバーの息の合ったアクションが繰り広げられる。それだけ動きが多くなっているのに、演奏の力強さも増しているのは本当にすごい。
キーボード藤澤がはしゃぎまくると観客も飛び跳ねまくる「VIP」では高野が間奏で前に出てきてゴリゴリのベースソロを弾くと、
「ここが唯一の見せ場なんです!(笑)」
と、最年長メンバーをいじる大森。
「リスキーゲーム」ではぐるぐる回る客席のタオルを見て大森が「キレイだー!」と叫び、藤澤はタオルをほっかむりのようにして被っておどけている。
「みんなが知ってるかもしれない曲」
と言って演奏された「Speaking」から、EDMと言っていい、バキバキのデジタルサウンドの未音源化曲「うブ」と、短い時間ながら幅広い楽曲を演奏すると、
「最後にほっこりしましょう」
と言って、今年リリースの1stフルアルバム「TWELVE」の最後に収録されている「庶幾の唄」で藤澤がフルートを演奏し、またもやメンバーの息の合ったアクションや、若さ溢れる微笑ましいやり取りを見せた。
みんなで大きな声で歌えるフックが満載のこのバンドの曲は、多くの人の前で演奏されることにより、さらに本領を発揮するというのが実によくわかった初出演。
他のバンドのライブを見ていたのか、ライブ前から日焼けしていた大森は何度も
「キレイだー!」
と叫んでいたが、これから先、このバンドは数え切れないくらいにもっとキレイな景色をその目で見て、ファンである我々にも見せてくれるようになるはず。
これだけライブ猛者ばかりが集まった1日で、ベストアクトクラスのインパクトを残してしまうというのは末恐ろしさすらも感じるが。
リハ1.ナニヲナニヲ
リハ2.サママ・フェスティバル!
リハ3.うブ
1.愛情と矛先
2.VIP
3.アンゼンパイ
4.リスキーゲーム
5.Speaking
6.うブ
7.StaRt
8.庶幾の唄
18:15~ [Alexandros] [SKY STAGE]
昨年の大トリ、[Alexandros]が、今年はトリ前に登場。川上洋平の金髪姿もようやく見慣れてきた感。
「Burger Queen」のSEで登場してそのまま後半をバンド演奏に切り替えると、ロマンチックな「Adventure」で本格始動。
デジタルなサウンドの「Girl A」から、ストレートなギターロックの「Famous Day」「city」で、陽が落ちて肌寒さを感じるようになってきた会場の温度を一気に上げると、川上がハンドマイクで熱量と色気を放出しまくる「Kick&Spin」と、MCなしで曲を畳み掛ける。
川上が演奏前に客席を煽ると、大きな歓声(主に黄色い声)が起こるも、川上が歌い出すと一気にその歓声とざわつきが収まるのは本当にすごい。みんながこの男のボーカルと一挙手一投足を見逃したくないと思わせるようなカリスマ性を放っている。
そのように始まった最新シングル「NEW WALL」は、昨年末の幕張メッセでのワンマンで新曲として演奏された曲だが、もはや完全にこの規模やこれ以上の規模の会場に照準を合わせたかのようにドラマチックに響くスタジアムロック。「壁を乗り越える」ではなくて「壁を壊す」という歌詞にもこのバンドの美学が現れている。
「昨日は中止になってしまって。昨日出るはずだった人の曲をちょっと歌おうかな」
と言って川上が弾き語り始めたのは、まさかのORANGE RANGEの「花」。展開を忘れてしまって磯部に助けを求めてもう一回歌うという流れだったが、サビだけと言わず、一曲まるまるカバーしてもらいたいくらいのハマりぶり。ちなみに本人たちにやることを告げて、許可を得ているらしい。
そして最後に演奏された「ワタリドリ」は、川上がアコギを弾きながら歌い、メンバーの演奏も従来の爆発力を感じさせるものではなく、特にサトヤスのドラムからも、ビルボードで演奏されるのが似合いそうな、アコースティックと言っても良さそうなアレンジに。これからこの曲はこのアレンジでやっていくのだろうか。
演奏が終わり、サトヤスがステージ前に出てきて白井もギターを置く中、川上が歌い出したのは、現在CMのタイアップで流れている新曲。さわりだけ、という感じだったが、果たしてフルバージョンをライブで聴ける日はいつになるのだろうか。
1.Burger Queen
2.Adventure
3.Girl A
4.Famous Day
5.city
6.Kick&Spin
7.NEW WALL
8.ワタリドリ
19:00~ BLUE ENCOUNT [SUNSET STAGE]
昨年はこのステージのトップバッターだったBLUE ENCOUNT。去年のコラボ相手であったNICO Touches the Wallsの代役も含めたCDJでの2ステージ出演を経て、今年はトリに抜擢である。
「始めるよー!」
という田邊の一声から「アンバランス」でスタートし、最新シングル「Survivor」と続く序盤だけで今のこのバンドの勢いがどれだけすごいのかを充分に実感できる。
すると早くも熱すぎてMCが長い男・田邊が口を開く。
昨日のこのフェスが中止になってしまい、自然には勝てないと改めて思ったことから、地元の熊本の震災で家族や友人が被害を受けたことに話をつなげ、自分が何にもできないと思ってるままでこのトリのステージに立つ資格はないとすら思ってしまったが、この目の前にいる超満員の観客がその絡まった気持ちを吹っ切れさせてくれたと感謝を告げ、「大丈夫」を演奏したのだが、このMCがあったからこそ、「大丈夫」と連呼するこの曲に説得力が増していた。
そんな、すでに熱さと感動のピークの中、今回のコラボ相手である、BIGMAMA金井政人を噛み気味でステージに呼び込むと、金井のイケメンさを自らの自虐に使って笑いを誘いながら、バンドの代名詞的な曲である「もっと光を」を、交互に歌うというエモーショナルコラボ。金井はもともとは前日にBIGMAMAで出演するはずだったのが中止になってしまったことで、その分の気持ちも込めた歌と、
「本当に会いたかったよ、幕張ー!」
という叫びを響かせる。
コラボを終えると「LIVER」では一斉に観客がタオルを回す光景を見て、
「こんなの前代未聞でしょ!」
と目の前の景色にメンバーが感動し、ラストは「DAY×DAY」からの「THANKS」でバンドが観客に感動を与えた。
田邊の熱いMCだけじゃなく、メンバーの演奏も実に力強いが、パンク・ラウド系のバンドと互角以上に渡り合えるのは、辻村のマッチョさすら感じるゴリゴリのベースによるものが大きい。それがこれからもしっかりしていれば、MCが泣けるという話題性がひと段落したあとも、多くの人に熱狂されるバンドでいられるはず。
10月の武道館は「絶対来てくれ!」って言うまでもなくソールドアウトすると思う。
1.アンバランス
2.Survivor
3.大丈夫
4.もっと光を feat.金井政人(BIGMAMA)
5.Never Ending Story
6.LIVER
7.DAY×DAY
8.THANKS
19:55~ サカナクション [SKY STAGE]
去年は草刈の産休により、春~夏のフェスは出演しなかったサカナクションが、このフェス初出演にして堂々の大トリ。
完全に夜の海という、サカナクションに似合い過ぎるシチュエーションの中、「ナイトフィッシングイズグッド」のリミックスのSEで登場すると、5人がサングラスをかけてラップトップ横並びでの「ミュージック」からスタート。最後のサビ前でバンド演奏に切り替わるところも実にスムーズに移行し、ヒット曲の中に挟まれた「モノクロトーキョー」では、先日の幕張メッセでのワンマンの時と同様に「トーキョー」を「幕張」に変えて歌い、「夜の踊り子」ではもはやお馴染みの踊り子さん2名も登場。
岩寺と草刈が和太鼓を叩く、長尺ダンスゾーンの「SAKANATRIBE」では山口が観客に自由に好きなように踊るように語りかけると、レーザー光線も飛び交う中、山口が振り回す2本のサイリウムのような発光する棒の残像が、様々な文字や形を描きながら輝いている。これは夜ならではの演出だが、一体どうやっているのだろうか。チームサカナクションの技術はやはり恐ろしい。
そのままイントロで和太鼓が鳴り響く「アイデンティティ」からアウトロが徐々に変化していく「ルーキー」という鉄板の流れから、すでにイントロで大歓声が上がるほどの人気曲にまで成長した「新宝島」。これはライブでやり続けてきたからこその結果である。
本編は全くMCなしで曲を連発したが、アンコールで再登場しても、MCは一切なし。もはや海の青さは見えなくなっているが、夜の砂浜というシチュエーションが本当に良く似合う「Aoi」を演奏し、3日間(実質2日だけど)の最後のステージを締めくくった。
もはや圧巻の横綱相撲とも言えるようなライブで、初見の人を完璧に取り込めるような内容。(その分、ワンマンに何回も行くファンは、夏フェスまでこのセトリだと飽きそうだけど)
すでに去年の秋に復活して、年末のフェスにも出演していたが、野外フェスにようやくサカナクションが帰ってきた。しかもかつてよりさらなる進化を遂げた姿で。
1.ミュージック
2.アルクアラウンド
3.モノクロトーキョー
4.夜の踊り子
5.SAKANATRIBE
6.アイデンティティ
7.ルーキー
8.新宝島
encore
9.Aoi
サカナクションのライブが終わると、花火が打ち上がり、今年のJAPAN JAM BEACHは幕を閉じた。
飲食スペースの場所移動、一部の砂浜以外の歩道の確保など、去年から改善は見られたが、ロッキンオンのことだから来年はさらにいろんな部分を改善してくれるだろう。
ビーチでフェスをやることの難しさも実感しただけに、来年以降このフェスがどうなっていくのか。(来年はまたVIVA LA ROCKと被るだろうし)
これまでにコロコロ会場を変えてきたが、できればここをJAPAN JAMの会場というイメージが完全に定着するまで、ここで続けて欲しい。もちろん、この日しか見れないコラボも含めて。
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