サカナクション SAKANAQUARIUM 2015-2016 ”NF Records launch tour” @幕張メッセ 国際展示場ホール9-11 4/9
- 2016/04/09
- 23:37
昨年のアリーナ、ホールツアーでベース・草刈愛美の産休による活動休止から早くも復活を果たしたサカナクション。その間にはクラブでのオールナイトイベントも行い、さらに幅広い活動を展開している中、去年から続くツアーのファイナルは、過去にもワンマンを行っている幕張メッセでの2days。この日はその初日である。
ステージには左右にスクリーン、メンバーが演奏する機材回りの四方を白い幕が囲んでいる中、18時前にステージ前に登場したのは、武道館でも登場した和太鼓チーム。総勢12人が和太鼓を打ち鳴らし、ディジリドゥ奏者が呪術的な音を出すが、この和太鼓チームの演奏からすでに客席は大きな盛り上がりを見せており、これにはメンバーも嬉しかったことだろう。
その和太鼓メンバーが口上的な感じでサカナクションの紹介をすると、白い幕が開き、その中には武道館の時と同様に高い台に乗った、横並びでラップトップを操作するメンバー5人の姿が。
「ナイトフィッシングイズグッド」のリミックスバージョンで幕張メッセを巨大なダンスフロアに一瞬で変えると、メンバーがそれぞれ持ち場に戻り、いきなりの「アルクアラウンド」からスタート。さらに「モノクロトーキョー」では「トーキョー」のフレーズを「幕張」に変えて大きな歓声が飛ぶ。
草刈と岡崎の女性メンバーがサビを歌う「表参道26時」、ストレートなギターロックのキラーチューン「Aoi」と、序盤はライブでの定番曲、人気曲が続くが、山口一郎が
「季節外れの曲を聴いてください」
と言って始まった、冬を感じさせる「スローモーション」からは明らかにモードが「踊る」から「聴き入る」にシフト。その「スローモーション」では最後のサビでメンバーの声が折り重なって荘厳なコーラスとなり、「壁」では一切の照明が使われず、真っ暗な中でメンバーが演奏し、何も見えない中でギターノイズの轟音が会場を支配していく。
すると暗闇の中から山口を包み込むように、上空からのレーザー光線がベールのようになった中で歌った「years」、ステージ背面の巨大なスクリーンにワンマンではおなじみのオイルアートが展開された「ネプトゥーヌス」と、「これぞサカナクションのワンマン!」な演出が次々に展開される。聴き入るような曲ばかりなので、じっくりとその演出を堪能できる。
分厚いバンドサウンドの「さよならはエモーション」で再びモードが変わると、
「みんなまだまだ踊れる!?」
と、「ネイティヴダンサー」からはダンスアンセムを連発。「ネイティヴダンサー」のアウトロではインストのダンスパートが追加され、そこから「ホーリーダンス」のイントロに繋がるというミックス。
「夜の踊り子」ではPVでもおなじみの踊り子さん2人も登場し、「SAKANATRIBE」ではオープニングの和太鼓チームが再び登場し、岩寺と草刈もチームに混じって和太鼓を叩きまくるという、アイデア総動員的な演出の中、観客にしきりに
「自由なステップで思い思いに踊ろう!」
と呼び掛けていた山口が1番ステージ上で踊りまくっており、汗ダクになっている。実に楽しそうな姿である。
「SAKANATRIBE」のアウトロから徐々にサウンドが変化していくと、「アイデンティティ」~「ルーキー」という、これまでのライブでもクライマックスを作り上げてきた鉄板の流れへ。
「僕たち私たち、サカナクションでした。今日はありがとうございました!」
と山口が軽く挨拶すると、曲間がほぼ全くないだけに本当にあっという間の最後の曲は、現状の最新シングル「新宝島」。
リリース当時は否定的とはいかないまでも、微妙な感想も並んでいた曲だが、今やあの特徴的なイントロが流れただけで大歓声が起こる、バンドの代表曲の1曲と言ってもいいくらいの曲に成長している。それは紛れもなく、こうしてライブで毎回演奏してきたからである。
アンコールでは幕が閉じている中、そこに映像が映し出され、メンバーは幕の前でサングラスをかけてラップトップに横並びになり、「グッドバイ」のリミックスバージョンを演奏。フォーキーなバラードも、こうしてリミックスではダンスミュージックになる。
そのままラップトップ横並びで「ミュージック」へ。最後のサビ前で暗転してバンド演奏に戻るのだが、その切り替えがこれまでよりはるかにスムーズになっている印象。
するとここで、アネッサのCMで使われている新曲を演奏。CMではサビのみが流れていたが、フルバージョンで聴くと、「セントレイ」や「アルクアラウンド」あたりの曲をライブで新曲として聴いた時の感触を思い出させる、原点回帰感を感じさせる曲。しかし、アレンジも歌詞も全部変える可能性があるとのこと。
「新曲の後には、懐かしい曲を」
と言って続いて演奏されたのは、実に久しぶりの「Ame(A)」。ある意味では「Ame(B)」とともにサカナクションのイメージを決定付けた曲とも言える。野外フェスでやたら雨が降るという雨バンドとして。
ここでこの日唯一のMCタイム。最初は岩寺に話を振るも、江島とともに山口が汗をかきすぎて前髪がオバQみたいになっている、という話で笑わせると、まだ解禁してはいけないはずの情報を山口が口にしてしまう。
その流れで「新宝島」を山口が頭にカメラを付けて客席の様子を撮影するという理由でワンコーラスだけ演奏。この映像がどういう形で公開されるのかは今後のお楽しみ。
出産を経た草刈、相変わらず全く喋れない岡崎にも話を振るも、1番ウケていたのは、
「今日は偉い人はみんなBUMP OF CHICKENの現場に行っている(笑)」
というところ。ちなみにいつものローディーさんすらもそっちに行っているらしい。
そんな笑わせる一面もあったが、
「僕らはマジョリティなものとマイノリティなものの通訳をするような存在でありたい。その間に立つような。
だから、「何わけわかんないことやってんだよ」とか、「わかりやすい曲ばっかり出しやがって」とか、「またテレビ出てんのかよ」とか思うかもしれないけど…。今年中にアルバム出して、年末くらいにはまたツアーもやるんで、その時にまた会いましょう。ありがとうございました、サカナクションでした!」
と、今後の展望と、バンドの活動指針について語り、最後にこの広い会場の中を音が回遊していくような「白波トップウォーター」で締め、メンバーが横一列に並び、山口がマイクを通さずに「ありがとうございました!」と叫んでステージを去ると、幕にはエンディング映像と画像が映し出された。
もう「DocumentaLy」のリリース後に最初に幕張メッセでワンマンをやった時とは状況が違う。あの時はまだ階段を登っている途中の、若手バンドの中で最も勢いのあるバンド、という立ち位置だったが、もはやこのキャパでやるのが当たり前というレベルの、若手を超えて中堅というところまで来ている。(今、かつてのこのバンドのような立ち位置にいるのが、来週この幕張メッセでワンマンを行うKANA-BOONあたりなのだろう)
でも、サカナクションのライブでの演出面以外での演奏の爆発力の凄さは初めてライブを見た時からわかりきっているが、その「凄い」もライブを毎回見ていると段々当たり前になってくる。それでも毎回ライブが終わると「凄い」としか思えないし、毎回「凄い」を更新してるのがさらに凄い。サカナクションがここまでの存在になれたのは、間違いなくこういうようにライブが飛び切り良いバンドだからという要素がある。
「マジョリティとマイノリティの間に立つ」というのは実に難しいことであるし、その両立を目指すことは、もしかしたらこれまでいたファンの中で離れていく人も出てくるかもしれない。しかし、そこを担えるバンドはサカナクションしかいないし、もしそれを実現できたら、日本のロックシーンはおろか、もっと全体的な音楽シーンそのものがもっと面白いものになるはず。
オールナイトイベントの東京以外での開催や、JOIN ALIVEの後のオールナイトレイヴパーティーなど、そこを目指したサカナクションの戦いはこれからまだまだ続く。
1.ナイトフィッシングイズグッド (Iw_Remix)
2.アルクアラウンド
3.モノクロトーキョー
4.表参道26時
5.Aoi
6.スローモーション
7.壁
8.years
9.ネプトゥーヌス
10.さよならはエモーション
11.ネイティヴダンサー
12.ホーリーダンス
13.夜の踊り子
14.SAKANATRIBE
15.アイデンティティ
16.ルーキー
17.新宝島
encore
18.グッドバイ (Next World Remix)
19.ミュージック
20.新曲
21.Ame (A)
新宝島 (ワンコーラス)
22.白波トップウォーター
新宝島
http://youtu.be/LIlZCmETvsY
Next→ 4/10 Mrs. GREEN APPLE @赤坂BLITZ
ステージには左右にスクリーン、メンバーが演奏する機材回りの四方を白い幕が囲んでいる中、18時前にステージ前に登場したのは、武道館でも登場した和太鼓チーム。総勢12人が和太鼓を打ち鳴らし、ディジリドゥ奏者が呪術的な音を出すが、この和太鼓チームの演奏からすでに客席は大きな盛り上がりを見せており、これにはメンバーも嬉しかったことだろう。
その和太鼓メンバーが口上的な感じでサカナクションの紹介をすると、白い幕が開き、その中には武道館の時と同様に高い台に乗った、横並びでラップトップを操作するメンバー5人の姿が。
「ナイトフィッシングイズグッド」のリミックスバージョンで幕張メッセを巨大なダンスフロアに一瞬で変えると、メンバーがそれぞれ持ち場に戻り、いきなりの「アルクアラウンド」からスタート。さらに「モノクロトーキョー」では「トーキョー」のフレーズを「幕張」に変えて大きな歓声が飛ぶ。
草刈と岡崎の女性メンバーがサビを歌う「表参道26時」、ストレートなギターロックのキラーチューン「Aoi」と、序盤はライブでの定番曲、人気曲が続くが、山口一郎が
「季節外れの曲を聴いてください」
と言って始まった、冬を感じさせる「スローモーション」からは明らかにモードが「踊る」から「聴き入る」にシフト。その「スローモーション」では最後のサビでメンバーの声が折り重なって荘厳なコーラスとなり、「壁」では一切の照明が使われず、真っ暗な中でメンバーが演奏し、何も見えない中でギターノイズの轟音が会場を支配していく。
すると暗闇の中から山口を包み込むように、上空からのレーザー光線がベールのようになった中で歌った「years」、ステージ背面の巨大なスクリーンにワンマンではおなじみのオイルアートが展開された「ネプトゥーヌス」と、「これぞサカナクションのワンマン!」な演出が次々に展開される。聴き入るような曲ばかりなので、じっくりとその演出を堪能できる。
分厚いバンドサウンドの「さよならはエモーション」で再びモードが変わると、
「みんなまだまだ踊れる!?」
と、「ネイティヴダンサー」からはダンスアンセムを連発。「ネイティヴダンサー」のアウトロではインストのダンスパートが追加され、そこから「ホーリーダンス」のイントロに繋がるというミックス。
「夜の踊り子」ではPVでもおなじみの踊り子さん2人も登場し、「SAKANATRIBE」ではオープニングの和太鼓チームが再び登場し、岩寺と草刈もチームに混じって和太鼓を叩きまくるという、アイデア総動員的な演出の中、観客にしきりに
「自由なステップで思い思いに踊ろう!」
と呼び掛けていた山口が1番ステージ上で踊りまくっており、汗ダクになっている。実に楽しそうな姿である。
「SAKANATRIBE」のアウトロから徐々にサウンドが変化していくと、「アイデンティティ」~「ルーキー」という、これまでのライブでもクライマックスを作り上げてきた鉄板の流れへ。
「僕たち私たち、サカナクションでした。今日はありがとうございました!」
と山口が軽く挨拶すると、曲間がほぼ全くないだけに本当にあっという間の最後の曲は、現状の最新シングル「新宝島」。
リリース当時は否定的とはいかないまでも、微妙な感想も並んでいた曲だが、今やあの特徴的なイントロが流れただけで大歓声が起こる、バンドの代表曲の1曲と言ってもいいくらいの曲に成長している。それは紛れもなく、こうしてライブで毎回演奏してきたからである。
アンコールでは幕が閉じている中、そこに映像が映し出され、メンバーは幕の前でサングラスをかけてラップトップに横並びになり、「グッドバイ」のリミックスバージョンを演奏。フォーキーなバラードも、こうしてリミックスではダンスミュージックになる。
そのままラップトップ横並びで「ミュージック」へ。最後のサビ前で暗転してバンド演奏に戻るのだが、その切り替えがこれまでよりはるかにスムーズになっている印象。
するとここで、アネッサのCMで使われている新曲を演奏。CMではサビのみが流れていたが、フルバージョンで聴くと、「セントレイ」や「アルクアラウンド」あたりの曲をライブで新曲として聴いた時の感触を思い出させる、原点回帰感を感じさせる曲。しかし、アレンジも歌詞も全部変える可能性があるとのこと。
「新曲の後には、懐かしい曲を」
と言って続いて演奏されたのは、実に久しぶりの「Ame(A)」。ある意味では「Ame(B)」とともにサカナクションのイメージを決定付けた曲とも言える。野外フェスでやたら雨が降るという雨バンドとして。
ここでこの日唯一のMCタイム。最初は岩寺に話を振るも、江島とともに山口が汗をかきすぎて前髪がオバQみたいになっている、という話で笑わせると、まだ解禁してはいけないはずの情報を山口が口にしてしまう。
その流れで「新宝島」を山口が頭にカメラを付けて客席の様子を撮影するという理由でワンコーラスだけ演奏。この映像がどういう形で公開されるのかは今後のお楽しみ。
出産を経た草刈、相変わらず全く喋れない岡崎にも話を振るも、1番ウケていたのは、
「今日は偉い人はみんなBUMP OF CHICKENの現場に行っている(笑)」
というところ。ちなみにいつものローディーさんすらもそっちに行っているらしい。
そんな笑わせる一面もあったが、
「僕らはマジョリティなものとマイノリティなものの通訳をするような存在でありたい。その間に立つような。
だから、「何わけわかんないことやってんだよ」とか、「わかりやすい曲ばっかり出しやがって」とか、「またテレビ出てんのかよ」とか思うかもしれないけど…。今年中にアルバム出して、年末くらいにはまたツアーもやるんで、その時にまた会いましょう。ありがとうございました、サカナクションでした!」
と、今後の展望と、バンドの活動指針について語り、最後にこの広い会場の中を音が回遊していくような「白波トップウォーター」で締め、メンバーが横一列に並び、山口がマイクを通さずに「ありがとうございました!」と叫んでステージを去ると、幕にはエンディング映像と画像が映し出された。
もう「DocumentaLy」のリリース後に最初に幕張メッセでワンマンをやった時とは状況が違う。あの時はまだ階段を登っている途中の、若手バンドの中で最も勢いのあるバンド、という立ち位置だったが、もはやこのキャパでやるのが当たり前というレベルの、若手を超えて中堅というところまで来ている。(今、かつてのこのバンドのような立ち位置にいるのが、来週この幕張メッセでワンマンを行うKANA-BOONあたりなのだろう)
でも、サカナクションのライブでの演出面以外での演奏の爆発力の凄さは初めてライブを見た時からわかりきっているが、その「凄い」もライブを毎回見ていると段々当たり前になってくる。それでも毎回ライブが終わると「凄い」としか思えないし、毎回「凄い」を更新してるのがさらに凄い。サカナクションがここまでの存在になれたのは、間違いなくこういうようにライブが飛び切り良いバンドだからという要素がある。
「マジョリティとマイノリティの間に立つ」というのは実に難しいことであるし、その両立を目指すことは、もしかしたらこれまでいたファンの中で離れていく人も出てくるかもしれない。しかし、そこを担えるバンドはサカナクションしかいないし、もしそれを実現できたら、日本のロックシーンはおろか、もっと全体的な音楽シーンそのものがもっと面白いものになるはず。
オールナイトイベントの東京以外での開催や、JOIN ALIVEの後のオールナイトレイヴパーティーなど、そこを目指したサカナクションの戦いはこれからまだまだ続く。
1.ナイトフィッシングイズグッド (Iw_Remix)
2.アルクアラウンド
3.モノクロトーキョー
4.表参道26時
5.Aoi
6.スローモーション
7.壁
8.years
9.ネプトゥーヌス
10.さよならはエモーション
11.ネイティヴダンサー
12.ホーリーダンス
13.夜の踊り子
14.SAKANATRIBE
15.アイデンティティ
16.ルーキー
17.新宝島
encore
18.グッドバイ (Next World Remix)
19.ミュージック
20.新曲
21.Ame (A)
新宝島 (ワンコーラス)
22.白波トップウォーター
新宝島
http://youtu.be/LIlZCmETvsY
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