キュウソネコカミ DMCC -REAL ONEMAN TOUR- EXTRA!!! @幕張メッセイベントホール 3/19
- 2016/03/20
- 20:32
衝撃的なシーンへの登場から、そのライブでの圧倒的な楽しさであっという間に人気バンドになり、念願のミュージックステーション出演も果たし、もはやすっかり若手バンドの代表格と言ってもいい存在になった、キュウソネコカミ。
昨年はフルアルバムのツアーもあったが、全国ワンマンツアーに続き、インテックス大阪2days、そして幕張メッセイベントホール2daysという、過去最大規模のワンマンライブを開催。この日は幕張メッセイベントホールの初日。
海浜幕張駅と会場周辺にはネズミくんグッズを身にまとった若者たちで溢れかえる中、会場内はスタンディングエリアはAブロック、Bブロックともにソールドアウトしたものの、スタンド席指定席上方は空席があり、そこに「人がいるように見えるスタッフたちの写真パネル」や「NOT SOLD」という文字を作って自虐的な演出をし、「楽しくても、思いやりとマナーを忘れるな」というセイヤの標語も貼られている中、通常より早めの17時を過ぎた頃、ステージ中央のスクリーン(この日は3つスクリーンがあり、左右のスクリーンには主にメンバーの演奏する様子が映し出されていた)に、キュウソのライブではおなじみの、ATフィールド青木氏と、バンドのマスコット、ネズミくんのアニメ映像が流れ、ライブにおける諸注意を促す。
青木氏は非常に噛みやすく(実際にこのアニメですら噛みまくっていた)、しゃべる内容を忘れがちなので、本人が出てくるのではなく、こうして事前に用意しておくのは正解だと思う。
続けてスーツを着て、サングラスをかけたメンバーが通路を歩いてステージに向かう映像が流れる。途中で各々スーツを脱ぎ捨て、サングラスを外してステージにつながるドアを開けると映像が終わり、リアルなメンバーがステージに登場。
冒頭はミュージックステーションでも披露した、いきなりハウスミュージックになる部分で観客が振り付けを完璧に踊る「MEGA SHAKE IT!」から、iphoneの着信音のイントロで大歓声が上がる「ファントムバイブレーション」という、近年のフェスやイベントでもおなじみの流れ。
しかし「JP」で、最近はあまり演奏されない過去曲を披露すると、「ゲーマーズハイ」ではメンバーがゲームのキャラクターになった、ドラクエ、MOTHER2、ストリートファイター、スーパーマリオなど、様々な有名ゲームをパクったような映像が映し出される。しかしながらパクり丸出しとはいえ、かなり秀逸な映像であった。
するとこの日最初のMCではやはりソールドアウトしていない状況を自虐で笑いに変え、セイヤは前日に海浜幕張駅前のアウトレットに出かけ、靴を買おうとするも、
「これまで26.5cmのサイズだと思って生きてきたのに、26.5だとぶかぶかで、26でもぶかぶかで、25.5だとピッタリやった。女が家に来て靴を見た時に、靴小さいと嫌やん!(笑)
だから今履いてるやつも27cmのやつ(笑)」
と、靴の大きさをかなり偽っていた話で笑わせ、スタッフが運んできた宝箱を開けると、中から血が付いたシャツが。(もちろん血糊だけど)
インディーズ時代に着ていた衣装なのだが、
「同じ衣装をずっと着ていると、キワモノバンドだと思われるから。今もキワモノやけど(笑)」
と言い、その衣装を着ていた当時の曲である「役立たず」「チャンピオンズリーグ」を演奏。今となっては実にシンプルなアレンジのサウンドだが、自虐といじり&嚙みつきというキュウソの歌詞のスタイルはこの時からすでに完成していた、というのが実によくわかる。やっぱり「チャンピオンズリーグ」の歌詞は今聴いても面白いし。
BAYCAMPでやった時のように時のように途中から一気にBPMが速くなるアレンジを施した、高速バージョンの「KMDT25」からは、カワクボのベースが引っ張る、レッチリを彷彿とさせるアレンジの「ビーフ or チキン」、客席頭上のミラーボールが回る「GALAXY」と、シンプルだった自主制作時代から一変して、このバンドが今持っている&手に入れた、幅広いサウンドの引き出しを見せてくれる。その引き出しが生きるのは、やはりイメージよりも実は非常にしっかりしているバンドの演奏があるからこそ。ツアーを経てそれはさらにたくましくなってきている。
「客が全然いない時に、酒を飲みながらゆったり踊れるように作ったけど、ライブでやっても全然盛り上がらない(笑)」
とセイヤが自虐してから演奏されたのは、今やレア曲と言っていい「ウツロウココロ」。照明が実にムーディーな空気を作り出すが、やはり盛り上がるかというとそこまでではなく、
「こっからが本当のダンスタイム!」
と、このバンド最大の策略家であり、現状認識眼の鋭い男であるヨコタが言っての「カワイイだけ」からは客席も踊りまくる。
いつの間にか大合唱を巻き起すようになった、自分が父親になってから聴いたらより沁みるであろう「泣くな親父」から、不倫をテーマにした「要するに飽きた」という落差が激しい曲をつなげるが、「要するに飽きた」はセイヤの親父が「ライブに母さんじゃない女の人を連れて行っていいか?」と言ってきたことで、
「おかん泣かせたら許さんぞ!」
という気持ちになって作った曲だということ。ちなみにこの曲を作ってから、ヤマサキ家は非常に父親と母親の仲が良くなったとのこと。
「ご飯を1人で食べに行っても、お冷やください、って言えない。そのくらいのコミュ力が欲しい」
とセイヤがコミュ障っぷりを打ち明けた(それに対するソゴウの返答は「一蘭行け」だったが、そのシステムは寂しいらしい)後に演奏されたのは、新曲の「コミュ力」。実にキュウソらしいサウンドで、曲後半には
「自分でコミュ障って言う奴が1番イタい」
などの歌詞がニコ動のコメントのようにスクリーンに流れていく。
そんな新曲披露の空気からは考えられないくらいおどろおどろしい雰囲気を醸し出しての「Scary song」ではセイヤがタモリモノマネをすると、黒スーツの男2人にセイヤが拉致され、スクリーンにはセイヤがジェイソンマスクの男に追いかけ回される、という映像が流れ、ステージにはそのジェイソンマスクの男が登場。(あきらかにマネージャーのはいからさんだと思われる)
ジェイソンマスクがステージを徘徊していると、今度はステージ中央から貞子が登場し、ジェイソンをハリセンで叩きのめす。貞子が長い髪のカツラを取ると、やはり正体はセイヤで、貞子の衣装から白タイツに変わり、「怖くないよ」ダンスという、1曲の中の詰め込みぶり。
すると画面には喫茶店で飲み物を飲む、SHISHAMOのボーカル宮崎朝子の姿が。宮崎が正面を向き、「嘘つき」と言うと、「記憶にございません」へ。2番ではなぜかナース姿で「嘘つき」と言うのだが、これは次の曲の「たまにいるタラシくん」でタイトルコールをするソゴウが同じシチュエーションでナース姿という映像の前フリであった。
歌詞は最低なバンドマンを描いてはいるが、サウンドはどこか切ない「~タラシくん」を終えると、セイヤとヨコタが結成7年目を迎えたバンドの過去、特に客が全くいなかった時代を振り返り、インディーズ時代を忘れない意味で「ウィーアーインディーズバンド!!」からラストスパートへ。
「良いDJ」では大合唱が起こると、「NEKOSAMA」ではヘッドマイクを装着したセイヤが客席を歩き回りながら歌い、最終的にはスタンド席を一周。セイヤとステージどちらを見ればいいのかわからなくなるが、ステージのスクリーンには実に可愛い猫の写真が次々に映し出され、客席も「ネコ踊る」のフレーズで「ニャー!」の掛け声とともに飛び跳ねる。
そして「DQNなりたい、40代で死にたい」では「ヤンキー怖いー」の大合唱とともに、セイヤがこの広い会場でも客席の中に突入し、人の上を歩いていく。最初は客席真ん中のミラーボールの下まで、と言っていたが、AブロックとBブロックの間をスタッフに支えられ、なんとBブロックの中にまで突入していく。結局、Bブロックでは観客が将棋倒しになってしまい、かなりの時間をセイヤが人に支えられながら待つことになったが、この会場でまさかここまでやるとは。セイヤが進んでいく様子をスクリーンの方を向いて見守るステージ上のメンバーの様子も実にシュール。
スタッフに支えられてセイヤがステージに戻ると、本編ラストはその支えてくれているスタッフたちに向けた「ハッピーポンコツ」で、会場に集ったポンコツピープルが踊り尽くした。
待っている間に、客席にいる子供がスクリーンに映ったりする中、アンコールで最初に演奏されたのは新曲。
「何を書いていいかわからなくなって、最終的に地球の歌詞を書いた。もう俺が地球だ、っていう感じで」
という新曲は、レーザー光線が飛び交い、シリアスな歌詞も並ぶか、「GALAXY」のダンスのフレーズが出てきたりというあたりが実に面白い。
そして今やお蔵入りになっているPVがスクリーンに映し出された「お願いシェンロン」ではやはりセイヤが客席に突入。筋斗雲(と書かれたビート板みたいなやつ)を2枚使って客席を進んでいくのはこれまでと変わらないが、最終的にはかなりリアルに完成度の高い筋斗雲も客席に放たれ、セイヤがそれに乗り込んで、客席のあらゆる部分にカメハメ波を打つ。
ステージにセイヤが戻ると、SMAPの「ありがとう」が流れる中、メンバーが黄色い台車(SMAPがコンサートでよく乗ってるようなやつ)に乗り、手を振りながら客席の周りを回るという、アイドルのライブの終わり方みたいな演出を行ったので、これでもう終わりかな?とも思ったが、ステージに戻ったメンバーは再び楽器を構え、最後に演奏されたのはやはり「ビビった」で、最後のひと暴れ。
演奏が終わると「泣くな親父」が流れる中、観客を背景に写真撮影。撮影が終わってもメンバーがじゃれ合い、ヨコタは翌日のチケットがまだ余っていることをしきりにアピール。そんな中、唯一の後輩メンバーであるギターのオカザワが1人だけ残って観客に笑顔でずっと手を振っていたのが印象的だった。
キュウソのライブの原理は「来てくれた人に出来る限り楽しんでほしい」というものだが、最大規模でのワンマンでもそれは全く変わらず、むしろ「ここまでやるか!?」というくらいのネタの仕込みの数々。しかしただ単にネタが面白いだけならこの規模まで来れてない。
やはり、バンドの演奏が本当にしっかりしていること(そしてそれはさらに進化を果たしている)、何より一度聴いたらクセになるくらいに曲と歌詞が良いことという点につきる。そこが揺るがない限り、たとえわかりやすい戦略がなくなろうと、このバンドは支持され続けると思う。
しかし、この日「DQN~」でセイヤが客席に突入した際、Bブロックの観客がセイヤの方に殺到して将棋倒しになり、その後、女の子が泣きながらスタッフに誘導され、男の人が足を引きずりながら出てきた。
キュウソのライブは本当に楽しい。しかし、前説などでも言っていた通り、それは「最後まで誰も怪我しない」という鉄則があってこそ。
メンバーが悪いわけではないし、このやり方を変えて欲しくはないが、このキャパ以上、それこそアリーナクラスでワンマンをするようになった時に、このままでいくのか。それとも、「キュウソのライブではセイヤ以外ダイブ禁止」のように、新たなルールを作るのか。
キュウソはメンバー自身もポンコツなスタッフたちも本当に優しい人たちだというのが痛いほどにわかるだけに、悲しい思いをして欲しくないし、全身キュウソグッズに身を包むほどにキュウソを好きな人たちが、怪我をしたことによって、「もうキュウソのライブには行かない」とはならないことを心から願ってやまない。
本当に、翌日違うライブがなければ2日連続で行きたいくらいに楽しかっただけに。
1.MEGA SHAKE IT!
2.ファントムバイブレーション
3.OS
4.JP
5.ゲーマーズハイ
6.役立たず
7.チャンピオンズリーグ
8.KMDT25
9.ビーフ or チキン
10.GALAXY
11.ウツロウココロ
12.カワイイだけ
13.泣くな親父
14.要するに飽きた
15.コミュ力 (新曲)
16.Scary song
17.記憶にございません
18.たまにいるタラシくん
19.ウィーアーインディーズバンド!!
20.良いDJ
21.NEKOSAMA
22.適度に武士道、サムライBOYS。
23.DQNなりたい、40代で死にたい
24.ハッピーポンコツ
encore
25.新曲
26.お願いシェンロン
27.ビビった
泣くな親父
http://youtu.be/tzO04hUbDNc
Next→ 3/20 THE ORAL CIGARETTES × THE BAWDIES @新木場STUDIO COAST
昨年はフルアルバムのツアーもあったが、全国ワンマンツアーに続き、インテックス大阪2days、そして幕張メッセイベントホール2daysという、過去最大規模のワンマンライブを開催。この日は幕張メッセイベントホールの初日。
海浜幕張駅と会場周辺にはネズミくんグッズを身にまとった若者たちで溢れかえる中、会場内はスタンディングエリアはAブロック、Bブロックともにソールドアウトしたものの、スタンド席指定席上方は空席があり、そこに「人がいるように見えるスタッフたちの写真パネル」や「NOT SOLD」という文字を作って自虐的な演出をし、「楽しくても、思いやりとマナーを忘れるな」というセイヤの標語も貼られている中、通常より早めの17時を過ぎた頃、ステージ中央のスクリーン(この日は3つスクリーンがあり、左右のスクリーンには主にメンバーの演奏する様子が映し出されていた)に、キュウソのライブではおなじみの、ATフィールド青木氏と、バンドのマスコット、ネズミくんのアニメ映像が流れ、ライブにおける諸注意を促す。
青木氏は非常に噛みやすく(実際にこのアニメですら噛みまくっていた)、しゃべる内容を忘れがちなので、本人が出てくるのではなく、こうして事前に用意しておくのは正解だと思う。
続けてスーツを着て、サングラスをかけたメンバーが通路を歩いてステージに向かう映像が流れる。途中で各々スーツを脱ぎ捨て、サングラスを外してステージにつながるドアを開けると映像が終わり、リアルなメンバーがステージに登場。
冒頭はミュージックステーションでも披露した、いきなりハウスミュージックになる部分で観客が振り付けを完璧に踊る「MEGA SHAKE IT!」から、iphoneの着信音のイントロで大歓声が上がる「ファントムバイブレーション」という、近年のフェスやイベントでもおなじみの流れ。
しかし「JP」で、最近はあまり演奏されない過去曲を披露すると、「ゲーマーズハイ」ではメンバーがゲームのキャラクターになった、ドラクエ、MOTHER2、ストリートファイター、スーパーマリオなど、様々な有名ゲームをパクったような映像が映し出される。しかしながらパクり丸出しとはいえ、かなり秀逸な映像であった。
するとこの日最初のMCではやはりソールドアウトしていない状況を自虐で笑いに変え、セイヤは前日に海浜幕張駅前のアウトレットに出かけ、靴を買おうとするも、
「これまで26.5cmのサイズだと思って生きてきたのに、26.5だとぶかぶかで、26でもぶかぶかで、25.5だとピッタリやった。女が家に来て靴を見た時に、靴小さいと嫌やん!(笑)
だから今履いてるやつも27cmのやつ(笑)」
と、靴の大きさをかなり偽っていた話で笑わせ、スタッフが運んできた宝箱を開けると、中から血が付いたシャツが。(もちろん血糊だけど)
インディーズ時代に着ていた衣装なのだが、
「同じ衣装をずっと着ていると、キワモノバンドだと思われるから。今もキワモノやけど(笑)」
と言い、その衣装を着ていた当時の曲である「役立たず」「チャンピオンズリーグ」を演奏。今となっては実にシンプルなアレンジのサウンドだが、自虐といじり&嚙みつきというキュウソの歌詞のスタイルはこの時からすでに完成していた、というのが実によくわかる。やっぱり「チャンピオンズリーグ」の歌詞は今聴いても面白いし。
BAYCAMPでやった時のように時のように途中から一気にBPMが速くなるアレンジを施した、高速バージョンの「KMDT25」からは、カワクボのベースが引っ張る、レッチリを彷彿とさせるアレンジの「ビーフ or チキン」、客席頭上のミラーボールが回る「GALAXY」と、シンプルだった自主制作時代から一変して、このバンドが今持っている&手に入れた、幅広いサウンドの引き出しを見せてくれる。その引き出しが生きるのは、やはりイメージよりも実は非常にしっかりしているバンドの演奏があるからこそ。ツアーを経てそれはさらにたくましくなってきている。
「客が全然いない時に、酒を飲みながらゆったり踊れるように作ったけど、ライブでやっても全然盛り上がらない(笑)」
とセイヤが自虐してから演奏されたのは、今やレア曲と言っていい「ウツロウココロ」。照明が実にムーディーな空気を作り出すが、やはり盛り上がるかというとそこまでではなく、
「こっからが本当のダンスタイム!」
と、このバンド最大の策略家であり、現状認識眼の鋭い男であるヨコタが言っての「カワイイだけ」からは客席も踊りまくる。
いつの間にか大合唱を巻き起すようになった、自分が父親になってから聴いたらより沁みるであろう「泣くな親父」から、不倫をテーマにした「要するに飽きた」という落差が激しい曲をつなげるが、「要するに飽きた」はセイヤの親父が「ライブに母さんじゃない女の人を連れて行っていいか?」と言ってきたことで、
「おかん泣かせたら許さんぞ!」
という気持ちになって作った曲だということ。ちなみにこの曲を作ってから、ヤマサキ家は非常に父親と母親の仲が良くなったとのこと。
「ご飯を1人で食べに行っても、お冷やください、って言えない。そのくらいのコミュ力が欲しい」
とセイヤがコミュ障っぷりを打ち明けた(それに対するソゴウの返答は「一蘭行け」だったが、そのシステムは寂しいらしい)後に演奏されたのは、新曲の「コミュ力」。実にキュウソらしいサウンドで、曲後半には
「自分でコミュ障って言う奴が1番イタい」
などの歌詞がニコ動のコメントのようにスクリーンに流れていく。
そんな新曲披露の空気からは考えられないくらいおどろおどろしい雰囲気を醸し出しての「Scary song」ではセイヤがタモリモノマネをすると、黒スーツの男2人にセイヤが拉致され、スクリーンにはセイヤがジェイソンマスクの男に追いかけ回される、という映像が流れ、ステージにはそのジェイソンマスクの男が登場。(あきらかにマネージャーのはいからさんだと思われる)
ジェイソンマスクがステージを徘徊していると、今度はステージ中央から貞子が登場し、ジェイソンをハリセンで叩きのめす。貞子が長い髪のカツラを取ると、やはり正体はセイヤで、貞子の衣装から白タイツに変わり、「怖くないよ」ダンスという、1曲の中の詰め込みぶり。
すると画面には喫茶店で飲み物を飲む、SHISHAMOのボーカル宮崎朝子の姿が。宮崎が正面を向き、「嘘つき」と言うと、「記憶にございません」へ。2番ではなぜかナース姿で「嘘つき」と言うのだが、これは次の曲の「たまにいるタラシくん」でタイトルコールをするソゴウが同じシチュエーションでナース姿という映像の前フリであった。
歌詞は最低なバンドマンを描いてはいるが、サウンドはどこか切ない「~タラシくん」を終えると、セイヤとヨコタが結成7年目を迎えたバンドの過去、特に客が全くいなかった時代を振り返り、インディーズ時代を忘れない意味で「ウィーアーインディーズバンド!!」からラストスパートへ。
「良いDJ」では大合唱が起こると、「NEKOSAMA」ではヘッドマイクを装着したセイヤが客席を歩き回りながら歌い、最終的にはスタンド席を一周。セイヤとステージどちらを見ればいいのかわからなくなるが、ステージのスクリーンには実に可愛い猫の写真が次々に映し出され、客席も「ネコ踊る」のフレーズで「ニャー!」の掛け声とともに飛び跳ねる。
そして「DQNなりたい、40代で死にたい」では「ヤンキー怖いー」の大合唱とともに、セイヤがこの広い会場でも客席の中に突入し、人の上を歩いていく。最初は客席真ん中のミラーボールの下まで、と言っていたが、AブロックとBブロックの間をスタッフに支えられ、なんとBブロックの中にまで突入していく。結局、Bブロックでは観客が将棋倒しになってしまい、かなりの時間をセイヤが人に支えられながら待つことになったが、この会場でまさかここまでやるとは。セイヤが進んでいく様子をスクリーンの方を向いて見守るステージ上のメンバーの様子も実にシュール。
スタッフに支えられてセイヤがステージに戻ると、本編ラストはその支えてくれているスタッフたちに向けた「ハッピーポンコツ」で、会場に集ったポンコツピープルが踊り尽くした。
待っている間に、客席にいる子供がスクリーンに映ったりする中、アンコールで最初に演奏されたのは新曲。
「何を書いていいかわからなくなって、最終的に地球の歌詞を書いた。もう俺が地球だ、っていう感じで」
という新曲は、レーザー光線が飛び交い、シリアスな歌詞も並ぶか、「GALAXY」のダンスのフレーズが出てきたりというあたりが実に面白い。
そして今やお蔵入りになっているPVがスクリーンに映し出された「お願いシェンロン」ではやはりセイヤが客席に突入。筋斗雲(と書かれたビート板みたいなやつ)を2枚使って客席を進んでいくのはこれまでと変わらないが、最終的にはかなりリアルに完成度の高い筋斗雲も客席に放たれ、セイヤがそれに乗り込んで、客席のあらゆる部分にカメハメ波を打つ。
ステージにセイヤが戻ると、SMAPの「ありがとう」が流れる中、メンバーが黄色い台車(SMAPがコンサートでよく乗ってるようなやつ)に乗り、手を振りながら客席の周りを回るという、アイドルのライブの終わり方みたいな演出を行ったので、これでもう終わりかな?とも思ったが、ステージに戻ったメンバーは再び楽器を構え、最後に演奏されたのはやはり「ビビった」で、最後のひと暴れ。
演奏が終わると「泣くな親父」が流れる中、観客を背景に写真撮影。撮影が終わってもメンバーがじゃれ合い、ヨコタは翌日のチケットがまだ余っていることをしきりにアピール。そんな中、唯一の後輩メンバーであるギターのオカザワが1人だけ残って観客に笑顔でずっと手を振っていたのが印象的だった。
キュウソのライブの原理は「来てくれた人に出来る限り楽しんでほしい」というものだが、最大規模でのワンマンでもそれは全く変わらず、むしろ「ここまでやるか!?」というくらいのネタの仕込みの数々。しかしただ単にネタが面白いだけならこの規模まで来れてない。
やはり、バンドの演奏が本当にしっかりしていること(そしてそれはさらに進化を果たしている)、何より一度聴いたらクセになるくらいに曲と歌詞が良いことという点につきる。そこが揺るがない限り、たとえわかりやすい戦略がなくなろうと、このバンドは支持され続けると思う。
しかし、この日「DQN~」でセイヤが客席に突入した際、Bブロックの観客がセイヤの方に殺到して将棋倒しになり、その後、女の子が泣きながらスタッフに誘導され、男の人が足を引きずりながら出てきた。
キュウソのライブは本当に楽しい。しかし、前説などでも言っていた通り、それは「最後まで誰も怪我しない」という鉄則があってこそ。
メンバーが悪いわけではないし、このやり方を変えて欲しくはないが、このキャパ以上、それこそアリーナクラスでワンマンをするようになった時に、このままでいくのか。それとも、「キュウソのライブではセイヤ以外ダイブ禁止」のように、新たなルールを作るのか。
キュウソはメンバー自身もポンコツなスタッフたちも本当に優しい人たちだというのが痛いほどにわかるだけに、悲しい思いをして欲しくないし、全身キュウソグッズに身を包むほどにキュウソを好きな人たちが、怪我をしたことによって、「もうキュウソのライブには行かない」とはならないことを心から願ってやまない。
本当に、翌日違うライブがなければ2日連続で行きたいくらいに楽しかっただけに。
1.MEGA SHAKE IT!
2.ファントムバイブレーション
3.OS
4.JP
5.ゲーマーズハイ
6.役立たず
7.チャンピオンズリーグ
8.KMDT25
9.ビーフ or チキン
10.GALAXY
11.ウツロウココロ
12.カワイイだけ
13.泣くな親父
14.要するに飽きた
15.コミュ力 (新曲)
16.Scary song
17.記憶にございません
18.たまにいるタラシくん
19.ウィーアーインディーズバンド!!
20.良いDJ
21.NEKOSAMA
22.適度に武士道、サムライBOYS。
23.DQNなりたい、40代で死にたい
24.ハッピーポンコツ
encore
25.新曲
26.お願いシェンロン
27.ビビった
泣くな親父
http://youtu.be/tzO04hUbDNc
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THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマン TOUR 2016 ~復活・激突・BKW!!の巻~ 出演: THE ORAL CIGARETTES / THE BAWDIES @新木場STUDIO COAST 3/20 ホーム
preview of film [石毛輝、岡本伸明、北山詩織、高橋昌志] Koji Nakamura DJ片平実 @新代田FEVER 3/14