amazarashi 5th anniversary Live Tour 2016 @中野サンプラザ 3/6
- 2016/03/06
- 22:36
先週に続いてのamazarashiのワンマンにして、今回のツアーファイナルである。先週のZeppなど、amazarashiはライブハウスでも過去に何度もワンマンを行っているが、やはり渋谷公会堂と、この中野サンプラザのイメージが非常に強い(歌詞にも中野は出てくる)だけに、今回はどこか前回よりも落ち着く感じがある。
基本的に曲の演出自体はほとんど変わらないので、そこは前回のも見ていただきたいのだが、18時を少し過ぎると、場内がゆっくり暗転し、紗幕の向こうには秋田ひろむの姿が。しかし、歌い始めるのではなく、詩の朗読を始める。こんな朗読、先週のZeppでやっていただろうか?と思っていると、「ガイガーカウンター」などの単語に続き、
「たとえこの土の上に立つ、最後の1人になろうとも」
という締めから、豊川のピアノが鳴り、オープニング映像とともに、先週は後半に演奏された「収束」から始まる。
つまり、先週は世界が「収束」に向かっていく物語だったのだが、この日のファイナルは、世界が「収束」してからの物語であった。やる曲はほとんど変化してないが、曲順を入れ替えるだけで、全く違う物語になる。それはamazarashiの1曲1曲それ自体が強い物語性を持っているからこそできることである。
先週同様にPVではなく、歌詞の文字が紗幕に浮かび上がってくる「季節は次々死んでいく」では、どこか秋田が歌詞を探り探り、間違えないように歌っているような印象だったのだが、先週大いに歌詞が飛んだ「タクシードライバー」は一切歌詞が飛ばず。その結果なのか、歌声もここから力強さを増していったような印象。この後に歌い慣れている過去曲が続くというセトリを組んだのも影響したのかもしれないが。
ベースの低音が、ツアーを経てさらに強度を増したバンドサウンドを引っ張る「スピードと摩擦」から、先週は冒頭で演奏された「コンビニ傘」、2016年からアルバムタイトルの2116年に時計を進める「百年経ったら」と続く中、秋田の朗読もいたるところに挟まれる。内容は冒頭の朗読に連なる、世界が収束したことに関する内容。しかし、その中に現状の社会情勢に対するメッセージを感じることができるのは、これまでにも様々な手法でそれを表現してきたamazarashiならでは。
するとここで、先週は演奏されず、終演SEであった「花は誰かの死体に咲く」。タイトルからもわかるとおり、アルバムの中で非常に重要な位置を占める曲。内容が実に素晴らしい、初回盤付属の同タイトルの小説を読むと、スクリーンに映った色鮮やかな花も、誰かの死体の上に咲いているというイメージを持ってしまう。
そんなこの流れの中で演奏されると、違和感しか感じないくらいに希望に満ち溢れた「スターライト」から、秋田ひろむの情念が渦巻くポエトリーリーディング「しらふ」。秋田の声のトーンがどんどん大きく、感情が強くなったまま「美しき思い出」へ。この会場、中野の駅前の映像も映る中、アウトロで秋田は「忘れたいこと」というフレーズを何度も力を込めて繰り返す。
「忘れたいこと 忘れたくないこと」
生きていればいるほどに増えていく、忘れたいことと忘れたくないこと。一体どれだけの数の忘れたいことと忘れたくないことが己の中にあるだろうか。ドラクエVIみたいに、コマンド一つで忘れたいことを忘れられて、忘れたくないことを思い出せたらどれだけ楽だろうか。
そして曲とともに、この日のライブの中で重要な役割を担った朗読もいよいよ最後を迎える。
人間を他の星に運ぶ、ノアの箱舟計画。そこに乗れなかった人が迎えた、地球の収束。乗れなかったのは、弱者、持たざる者だったから。全てはあの時から決まっていた。
という内容からの「多数決」はまさにその朗読をそのまま歌にしたような内容の曲。この日のセトリの中で最も激しい演奏のバンドサウンドもここでピークを迎える。
するとここでこの日唯一の秋田のMC。
「アルバムを作っている時は、世界よ終われ、と思って作ってたんですけど…。こうして全国でライブをやって、こうして来てくれた人や、メンバー、スタッフからキレイなものをもらって。また青森に帰って、それを形にしたいと思います。これからもよろしくお願いします」
と、早くもさらなる創作への思いを口にしてから演奏されたのは、「エンディングテーマ」。先週演奏された時は、紗幕に秋田ひろむの人生のエンドロールが流れるという映像だったが、この日は新たに公開された、この曲のPV。物販で販売された「エンディングノート」に、秋田を含めた様々な人の「幸せにしたかった人は?」「後悔してることは?」という問いへの解答が映し出される。中には
「私のことを忘れないでください」
といった、涙腺崩壊必至なものまでも並ぶ。
自分なら、果たしてなんて書くだろうか。今はまだ、死ぬ予定が全くないから書く予定は全くないが。
この終盤の「しらふ」以降の流れは本当に秋田の感情が伝わってきたし、だからこそ我々見ている側も感情が揺さぶられる。つまり、この日のライブは泣けて仕方がなかった。そういう意味でも、この日は先週よりもはるかに良いライブであった。
そして最後はこの物語を総括するようでもあり、その物語から解放されるかのようでもある、「ライフイズビューティフル」。紗幕に映し出されるのは、シンプルな歌詞のフレーズたち。
演奏が終わると、amazarashiのロゴが映し出される中、終演SEとして流れたのは「吐きそうだ」。未だ演奏されていないこの曲をライブで聴けるのは、果たして。
前作後、これからは「スターライト」などの希望を感じるような曲が増えるかもしれない、と思っていたが、そうはならず、今作もいわゆる暗い曲がやはり多い。その鍵は、この日も物販に並んでいた、エンディングノートの秋田ひろむの回答にある。これだけ成功したと言ってもいい状況になった今でも消えない、かつてのバンド仲間たちへの後ろめたさ。そしてそれは秋田が音楽を続けていく限りは決して消えることはないだろう。amazarashiの原動力になってるのはやはりそこだと思う。
世界を収束した後の物語を描いた一夜だったが、「世界収束ニ一一六」のアルバムの全貌は未だに見えていない。今回のツアーで演奏されなかった収録曲はいつ披露されるのか。それは10月の幕張メッセイベントホールのワンマンなのか、その前になんらかのアクションがあるのか。もしそれまでに7ヶ月も見れなかったら、吐きそうだ。
1.収束
2.季節は次々死んでいく
3.タクシードライバー
4.性善説
5.雨男
6.ラブソング
7.スピードと摩擦
8.コンビニ傘
9.百年経ったら
10.花は誰かの死体に咲く
11.夏を待っていました
12.スターライト
13.しらふ
14.美しき思い出
15.多数決
16.エンディングテーマ
17.ライフイズビューティフル
エンディングテーマ
http://youtu.be/pHGnrG_PrCU
Next→ 3/10 [Alexandros] @新木場STUDIO COAST
基本的に曲の演出自体はほとんど変わらないので、そこは前回のも見ていただきたいのだが、18時を少し過ぎると、場内がゆっくり暗転し、紗幕の向こうには秋田ひろむの姿が。しかし、歌い始めるのではなく、詩の朗読を始める。こんな朗読、先週のZeppでやっていただろうか?と思っていると、「ガイガーカウンター」などの単語に続き、
「たとえこの土の上に立つ、最後の1人になろうとも」
という締めから、豊川のピアノが鳴り、オープニング映像とともに、先週は後半に演奏された「収束」から始まる。
つまり、先週は世界が「収束」に向かっていく物語だったのだが、この日のファイナルは、世界が「収束」してからの物語であった。やる曲はほとんど変化してないが、曲順を入れ替えるだけで、全く違う物語になる。それはamazarashiの1曲1曲それ自体が強い物語性を持っているからこそできることである。
先週同様にPVではなく、歌詞の文字が紗幕に浮かび上がってくる「季節は次々死んでいく」では、どこか秋田が歌詞を探り探り、間違えないように歌っているような印象だったのだが、先週大いに歌詞が飛んだ「タクシードライバー」は一切歌詞が飛ばず。その結果なのか、歌声もここから力強さを増していったような印象。この後に歌い慣れている過去曲が続くというセトリを組んだのも影響したのかもしれないが。
ベースの低音が、ツアーを経てさらに強度を増したバンドサウンドを引っ張る「スピードと摩擦」から、先週は冒頭で演奏された「コンビニ傘」、2016年からアルバムタイトルの2116年に時計を進める「百年経ったら」と続く中、秋田の朗読もいたるところに挟まれる。内容は冒頭の朗読に連なる、世界が収束したことに関する内容。しかし、その中に現状の社会情勢に対するメッセージを感じることができるのは、これまでにも様々な手法でそれを表現してきたamazarashiならでは。
するとここで、先週は演奏されず、終演SEであった「花は誰かの死体に咲く」。タイトルからもわかるとおり、アルバムの中で非常に重要な位置を占める曲。内容が実に素晴らしい、初回盤付属の同タイトルの小説を読むと、スクリーンに映った色鮮やかな花も、誰かの死体の上に咲いているというイメージを持ってしまう。
そんなこの流れの中で演奏されると、違和感しか感じないくらいに希望に満ち溢れた「スターライト」から、秋田ひろむの情念が渦巻くポエトリーリーディング「しらふ」。秋田の声のトーンがどんどん大きく、感情が強くなったまま「美しき思い出」へ。この会場、中野の駅前の映像も映る中、アウトロで秋田は「忘れたいこと」というフレーズを何度も力を込めて繰り返す。
「忘れたいこと 忘れたくないこと」
生きていればいるほどに増えていく、忘れたいことと忘れたくないこと。一体どれだけの数の忘れたいことと忘れたくないことが己の中にあるだろうか。ドラクエVIみたいに、コマンド一つで忘れたいことを忘れられて、忘れたくないことを思い出せたらどれだけ楽だろうか。
そして曲とともに、この日のライブの中で重要な役割を担った朗読もいよいよ最後を迎える。
人間を他の星に運ぶ、ノアの箱舟計画。そこに乗れなかった人が迎えた、地球の収束。乗れなかったのは、弱者、持たざる者だったから。全てはあの時から決まっていた。
という内容からの「多数決」はまさにその朗読をそのまま歌にしたような内容の曲。この日のセトリの中で最も激しい演奏のバンドサウンドもここでピークを迎える。
するとここでこの日唯一の秋田のMC。
「アルバムを作っている時は、世界よ終われ、と思って作ってたんですけど…。こうして全国でライブをやって、こうして来てくれた人や、メンバー、スタッフからキレイなものをもらって。また青森に帰って、それを形にしたいと思います。これからもよろしくお願いします」
と、早くもさらなる創作への思いを口にしてから演奏されたのは、「エンディングテーマ」。先週演奏された時は、紗幕に秋田ひろむの人生のエンドロールが流れるという映像だったが、この日は新たに公開された、この曲のPV。物販で販売された「エンディングノート」に、秋田を含めた様々な人の「幸せにしたかった人は?」「後悔してることは?」という問いへの解答が映し出される。中には
「私のことを忘れないでください」
といった、涙腺崩壊必至なものまでも並ぶ。
自分なら、果たしてなんて書くだろうか。今はまだ、死ぬ予定が全くないから書く予定は全くないが。
この終盤の「しらふ」以降の流れは本当に秋田の感情が伝わってきたし、だからこそ我々見ている側も感情が揺さぶられる。つまり、この日のライブは泣けて仕方がなかった。そういう意味でも、この日は先週よりもはるかに良いライブであった。
そして最後はこの物語を総括するようでもあり、その物語から解放されるかのようでもある、「ライフイズビューティフル」。紗幕に映し出されるのは、シンプルな歌詞のフレーズたち。
演奏が終わると、amazarashiのロゴが映し出される中、終演SEとして流れたのは「吐きそうだ」。未だ演奏されていないこの曲をライブで聴けるのは、果たして。
前作後、これからは「スターライト」などの希望を感じるような曲が増えるかもしれない、と思っていたが、そうはならず、今作もいわゆる暗い曲がやはり多い。その鍵は、この日も物販に並んでいた、エンディングノートの秋田ひろむの回答にある。これだけ成功したと言ってもいい状況になった今でも消えない、かつてのバンド仲間たちへの後ろめたさ。そしてそれは秋田が音楽を続けていく限りは決して消えることはないだろう。amazarashiの原動力になってるのはやはりそこだと思う。
世界を収束した後の物語を描いた一夜だったが、「世界収束ニ一一六」のアルバムの全貌は未だに見えていない。今回のツアーで演奏されなかった収録曲はいつ披露されるのか。それは10月の幕張メッセイベントホールのワンマンなのか、その前になんらかのアクションがあるのか。もしそれまでに7ヶ月も見れなかったら、吐きそうだ。
1.収束
2.季節は次々死んでいく
3.タクシードライバー
4.性善説
5.雨男
6.ラブソング
7.スピードと摩擦
8.コンビニ傘
9.百年経ったら
10.花は誰かの死体に咲く
11.夏を待っていました
12.スターライト
13.しらふ
14.美しき思い出
15.多数決
16.エンディングテーマ
17.ライフイズビューティフル
エンディングテーマ
http://youtu.be/pHGnrG_PrCU
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