米津玄師 2016 TOUR / 音楽隊 @Zepp Tokyo
- 2016/02/06
- 22:20
先月の名古屋でのワンマンに続き、今回のツアー2箇所目となるのはZepp Tokyo。11月にRADWIMPSとの胎盤を行った場所であるが、果たして名古屋からどの程度進化しているのか。
基本的にライブの流れは名古屋の時と全く変わらないので、詳細はそちらも参照して欲しいのだが、18時を過ぎた頃、ステージに貼られた紗幕に動物たちの影絵が映し出され、紗幕が開くとすでにそこには米津玄師、中島宏(ギター)、須藤優(ベース)、堀正輝(ドラム)というおなじみのライブメンバーが。
「犬も猫も鶏も引き連れこの街を出たんだ」
と、冒頭の影絵とともに会場を一気に「Bremen」の世界に変える「ウィルオウィスプ」からスタート。いきなり中島も須藤もシンセという編成が過去のツアーとはやはり全く違う。
「アンビリーバーズ」では米津がハンドマイクになり、サビ前とアウトロではフロアタムを打ち鳴らす。
「フローライト」ではサビの2フレーズ目をキーを下げて歌ったりというのは名古屋の時と変わらないが、高音部はやはりキツそうとはいえ、前日に仙台でライブ→移動してこの日のライブという過密スケジュールの割には声は出ていたと思う。むしろ2日連続という、普段から声を出しているほうが声が出るタイプなのかもしれないが。
「ただいま東京!」
と一言だけ挨拶すると、ハンドマイクでゆらゆらと体を揺らし、時には最前列の観客に手を差し伸べながら歌うのがだいぶ様になってきた感のある美しいポップソング「ミラージュソング」から、米津がキーボードを弾きながら歌う「雨の街路に夜行蟲」「メトロノーム」という、今回のツアー最大の見所というべき2曲に突入するのだが、名古屋の時点ではまだ慣れていないというか、余裕が感じられなかったこのパートが、明らかに余裕と自信を感じさせるパフォーマンスに進化していた。このパートが進化すること=「Bremen」の世界が進化することと言っても過言ではないし、今後のライブにおいても、この編成での手応えがあれば、さらに既存の編成にとらわれないサウンド作りができるようになるはず。
大名曲「アイネクライネ」を経てのMCでは、仙台で牛タンを食べたりと、今回のツアーで各地のグルメを堪能したことを米津と中島が語り合い、広島が牡蠣のみならずレモンの生産量が全国一位であるという豆知識を披露すると、唐突に
米津「このマイクの起源は知ってる?」
と問いかけ、
中島「これはねぇ、実は縄文時代からこういうのがあって。筒に声を通したりしてね。それから1200~1300年くらいかけてこういう風に進化してきて…」
米津「それは本当の話なの?」
中島「嘘です」
米津「という、すべてのことを嘘で語りまくるという、知ったかぶりゲームってやつをさっきまでずっとやってました(笑)」
という、ライブ前に実にリラックスして過ごしていたのが伺える一幕も。
そこからは米津が
「こっから速い曲やるけど、ついてこれますか!?」
と煽って、堀のパワフルなドラムを中心に、各地でのライブを重ねてさらに進化したバンドのグルーヴが発揮された「ゴーゴー幽霊船」「パンダヒーロー」という過去曲の連打に客席は大いに湧く。名古屋では「アイネクライネ」が悲鳴のごとき歓声で迎えられたが、東京では「パンダヒーロー」が1番歓声が大きかったというのも面白い。
ダークなエレクトロサウンドの「Undercover」「Neon Sign」から物販のパーカーなどにもデザインされた猫の電飾がステージに登場する「ドーナツホール」を終えると、
「楽しいね!でもあと2曲で終わりです!(「えー!?」という歓声に対して)じゃあ朝までやる?(笑)朝までやったらめちゃくちゃ怒られるけど(笑)」
と、本数を重ねるごとに長くしようとするあと2曲のお知らせから、このツアーで毎回行っているであろう、「個人的な曲過ぎて収録するかどうか迷った」という解説を話してからの「ホープランド」の神聖なサウンドがこの広い会場を包み込み、曲終わりには一転して地獄のような照明とともに、米津が唸り声をあげる。
そしてラストは米津がアコギに持ち替え、これまでの童話的な世界観から、テーブルを挟んで話をしているような日常に戻されるような「Blue Jusmine」。後半はボーカルもややキツそうな感じがしたが、米津は笑顔で手を振りながらステージを去っていった。
アンコールではメンバーが登場してそのまますぐに演奏が始まる「Flowerwall」、米津が「ブレーメンの音楽隊」のストーリーを解説し、このツアーの意図を説明してから、最後には観客にサビの
「りんご レモン ぶどう メロン
いちご バナナ みかん キウイ」
という果物の名前を羅列したフレーズで合唱を起こす「こころにくだもの」と、一応追加公演を除けばファイナルではあれど、流れは全く変わらず。しかし唯一変わったのは、最後に米津がステージを去る際に投げたピックが、これまでと比べると信じられないくらい遠くまで飛んでいたこと。投げる練習をしていたりするのだろうか。
米津玄師は今日「ただいま東京!」と言った。おそらく、ツアー序盤の彼の地元、徳島でもそう言ったと思われるが、地元ではなく、全国を回ってきて、今、自分が生きている、暮らしている街、東京。「Bremen」もそうだが、「街」など、これまでの米津は架空のものを描くストーリーライティングの素晴らしさを充分見せてきたが、いつかはこれまでに東京出身者や地方出身者など、様々なミュージシャンが向き合って数々の名曲が紡がれてきた、「東京」というテーマの、架空ではないリアルな米津の視点での曲を聴いてみたい。
そして「Bremen」の、とりわけこのツアーからの新編成の部分で見せた、ツアーで各地を回ったことで前半よりも明らかに進化したバンドのグルーヴは、来週の豊洲PITでの追加公演ではどんな「完成形」を見せてくれるのだろうか。
1.ウィルオウィスプ
2.アンビリーバーズ
3.再上映
4.フローライト
5.ミラージュソング
6.雨の街路に夜光蟲
7.メトロノーム
8.アイネクライネ
9.ゴーゴー幽霊船
10.パンダヒーロー
11.Undercover
12.Neon Sign
13.ドーナツホール
14.ホープランド
15.Blue Jusmine
encore
16.Flowerwall
17.こころにくだもの
フローライト
http://youtu.be/WLEPU7DqLzg
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基本的にライブの流れは名古屋の時と全く変わらないので、詳細はそちらも参照して欲しいのだが、18時を過ぎた頃、ステージに貼られた紗幕に動物たちの影絵が映し出され、紗幕が開くとすでにそこには米津玄師、中島宏(ギター)、須藤優(ベース)、堀正輝(ドラム)というおなじみのライブメンバーが。
「犬も猫も鶏も引き連れこの街を出たんだ」
と、冒頭の影絵とともに会場を一気に「Bremen」の世界に変える「ウィルオウィスプ」からスタート。いきなり中島も須藤もシンセという編成が過去のツアーとはやはり全く違う。
「アンビリーバーズ」では米津がハンドマイクになり、サビ前とアウトロではフロアタムを打ち鳴らす。
「フローライト」ではサビの2フレーズ目をキーを下げて歌ったりというのは名古屋の時と変わらないが、高音部はやはりキツそうとはいえ、前日に仙台でライブ→移動してこの日のライブという過密スケジュールの割には声は出ていたと思う。むしろ2日連続という、普段から声を出しているほうが声が出るタイプなのかもしれないが。
「ただいま東京!」
と一言だけ挨拶すると、ハンドマイクでゆらゆらと体を揺らし、時には最前列の観客に手を差し伸べながら歌うのがだいぶ様になってきた感のある美しいポップソング「ミラージュソング」から、米津がキーボードを弾きながら歌う「雨の街路に夜行蟲」「メトロノーム」という、今回のツアー最大の見所というべき2曲に突入するのだが、名古屋の時点ではまだ慣れていないというか、余裕が感じられなかったこのパートが、明らかに余裕と自信を感じさせるパフォーマンスに進化していた。このパートが進化すること=「Bremen」の世界が進化することと言っても過言ではないし、今後のライブにおいても、この編成での手応えがあれば、さらに既存の編成にとらわれないサウンド作りができるようになるはず。
大名曲「アイネクライネ」を経てのMCでは、仙台で牛タンを食べたりと、今回のツアーで各地のグルメを堪能したことを米津と中島が語り合い、広島が牡蠣のみならずレモンの生産量が全国一位であるという豆知識を披露すると、唐突に
米津「このマイクの起源は知ってる?」
と問いかけ、
中島「これはねぇ、実は縄文時代からこういうのがあって。筒に声を通したりしてね。それから1200~1300年くらいかけてこういう風に進化してきて…」
米津「それは本当の話なの?」
中島「嘘です」
米津「という、すべてのことを嘘で語りまくるという、知ったかぶりゲームってやつをさっきまでずっとやってました(笑)」
という、ライブ前に実にリラックスして過ごしていたのが伺える一幕も。
そこからは米津が
「こっから速い曲やるけど、ついてこれますか!?」
と煽って、堀のパワフルなドラムを中心に、各地でのライブを重ねてさらに進化したバンドのグルーヴが発揮された「ゴーゴー幽霊船」「パンダヒーロー」という過去曲の連打に客席は大いに湧く。名古屋では「アイネクライネ」が悲鳴のごとき歓声で迎えられたが、東京では「パンダヒーロー」が1番歓声が大きかったというのも面白い。
ダークなエレクトロサウンドの「Undercover」「Neon Sign」から物販のパーカーなどにもデザインされた猫の電飾がステージに登場する「ドーナツホール」を終えると、
「楽しいね!でもあと2曲で終わりです!(「えー!?」という歓声に対して)じゃあ朝までやる?(笑)朝までやったらめちゃくちゃ怒られるけど(笑)」
と、本数を重ねるごとに長くしようとするあと2曲のお知らせから、このツアーで毎回行っているであろう、「個人的な曲過ぎて収録するかどうか迷った」という解説を話してからの「ホープランド」の神聖なサウンドがこの広い会場を包み込み、曲終わりには一転して地獄のような照明とともに、米津が唸り声をあげる。
そしてラストは米津がアコギに持ち替え、これまでの童話的な世界観から、テーブルを挟んで話をしているような日常に戻されるような「Blue Jusmine」。後半はボーカルもややキツそうな感じがしたが、米津は笑顔で手を振りながらステージを去っていった。
アンコールではメンバーが登場してそのまますぐに演奏が始まる「Flowerwall」、米津が「ブレーメンの音楽隊」のストーリーを解説し、このツアーの意図を説明してから、最後には観客にサビの
「りんご レモン ぶどう メロン
いちご バナナ みかん キウイ」
という果物の名前を羅列したフレーズで合唱を起こす「こころにくだもの」と、一応追加公演を除けばファイナルではあれど、流れは全く変わらず。しかし唯一変わったのは、最後に米津がステージを去る際に投げたピックが、これまでと比べると信じられないくらい遠くまで飛んでいたこと。投げる練習をしていたりするのだろうか。
米津玄師は今日「ただいま東京!」と言った。おそらく、ツアー序盤の彼の地元、徳島でもそう言ったと思われるが、地元ではなく、全国を回ってきて、今、自分が生きている、暮らしている街、東京。「Bremen」もそうだが、「街」など、これまでの米津は架空のものを描くストーリーライティングの素晴らしさを充分見せてきたが、いつかはこれまでに東京出身者や地方出身者など、様々なミュージシャンが向き合って数々の名曲が紡がれてきた、「東京」というテーマの、架空ではないリアルな米津の視点での曲を聴いてみたい。
そして「Bremen」の、とりわけこのツアーからの新編成の部分で見せた、ツアーで各地を回ったことで前半よりも明らかに進化したバンドのグルーヴは、来週の豊洲PITでの追加公演ではどんな「完成形」を見せてくれるのだろうか。
1.ウィルオウィスプ
2.アンビリーバーズ
3.再上映
4.フローライト
5.ミラージュソング
6.雨の街路に夜光蟲
7.メトロノーム
8.アイネクライネ
9.ゴーゴー幽霊船
10.パンダヒーロー
11.Undercover
12.Neon Sign
13.ドーナツホール
14.ホープランド
15.Blue Jusmine
encore
16.Flowerwall
17.こころにくだもの
フローライト
http://youtu.be/WLEPU7DqLzg
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