眠レヌ夜ニ音楽ヲ Vol.1 生演奏ノ夜 出演:Koji Nakamura / The fin. / Young Juvenile Youth @渋谷CLUB QUATTRO 12/15
- 2015/12/15
- 23:46
元スーパーカーのボーカルであり、バンド解散後はソロやLAMA、プロデュース業など、様々な形態で活動している、ナカコーことKoji Nakamura。
そのナカコーが立ち上げる新イベント、眠レヌ夜ニ音楽ヲ。ゲストに若手アーティスト2組を迎えるという、これまでのナカコーの活動からは想像できないブッキングからも、ナカコーがこのイベントを開催する明確な意思を感じる。
遅刻してしまい、着いたらすでに最初の出演者のThe fin.が終わっていた。が、これはなかなか厳しい客入りである。スーパーカー解散後にiLLで初ライブをやった時ですらリキッドルームは埋まっていたのに。
・Young Juvenile Youth
「若さ・蒼さ」という意味の単語を3つ並べたユニット名の、女性ボーカルYukiと男性トラックメイカーJEMAPURによる2人組、Young Juvenile Youth。
ステージ中央にはマイクスタンド、奥にはラップトップとサンプラーという卓が配置されている中、まずはJEMAPURが1人で登場し、音が鳴った瞬間にビクッとしてしまうくらいにキック音が強い、音の断片が連なったようなアンビエントから宇宙空間を想起させるようなコズミックポップまでを横断するサウンドを奏で出すと、後から赤いドレスを見に纏い、その出で立ちから渋谷系の空気を感じさせる、いかにもおしゃれなシンガーYukiが登場。
エフェクトがかったYukiのボーカルは序盤はサウンドの一部というイメージが強かったが、自身が自由に踊りながら歌い出す中盤からは、その英語と日本語が入り混じった歌詞からも、神聖な声の歌姫という印象に変わる。
自分もそうであったが、ライブ初見どころか曲を聴くのすらも初めてであろう観客が大多数という状況の中で、ウソ泣き演技も含めてYukiは曲間のMCでは実にフランクに観客とコミュニケーションを取ろうとする。
同時に全く喋らないながらも、MC中のYukiの声に勝手にエフェクトをかけたりと、曲以外でも存在感を発揮するJEMAPURのことを
「全く喋らないから私が歌って踊って喋ってるけど、この人は本当にすごい人」
と紹介していたが、確かにインストの電子音楽としても確実に成立する(そういう意味ではナカコーのNYANTORAに通じるところもある)サウンドを、Yukiの歌声を掛け合わせることで、ポップミュージックにしてしまう手腕は実に見事。
JEMAPURのことを紹介していたYukiも前述のように渋谷系の歌姫を想起させるオーラがあるというか、水曜日のカンパネラのコムアイがぶっ飛んでなかったらこんな感じになってたかもしれない、とも思う。
しかし、ユニット名の割には、サウンドが洗練されまくってる上にメンバーの出で立ちも相まって、青春性を全く感じない。それは悪いことでは全くないけれど。
Animation
http://youtu.be/jREZtQU0ktk
・Koji Nakamura
そして9時半頃、ナカコーを先頭に、田渕ひさ子、345、沼澤尚の3人が登場。各々が音を確かめ合うように楽器を手にしてから、
「えー、メンバー紹介します」
と言って、唐突にメンバー紹介。これには張り詰めていた空気が一気に解け、客席からは吹き出すように笑う声も聞こえた。
メンバー紹介を終えると、田渕ひさ子のギターがサイケデリックな空気を生み出すロックなサウンドが響きだす。ナカコーのファルセットボイスもサイケデリックさに拍車をかけるが、これはドラムセットの至る部分を叩く沼澤尚の演奏からして、バンドの音を確かめるような意味合いが強い。
打ち込みの音も使いながら、きらめくようなギターフレーズで始まったのは、iLLの「Cosmic Star」。会場に入った時はガラガラだったが、この時間になると満員とは言わないまでも、かなり埋まっていただけに、ナカコーのこのバンドセットでのワンマンだったらこの規模でも売り切れたんじゃないだろうか、という気もする。
「Are you ready? tonight」
というフレーズがまさにこの夜のライブの始まりを告げると、続いて流れた打ち込みのサウンドにはどよめきが起こる。それは紛れもなく、スーパーカー後期の名曲「RECREATION」のそれだったからである。おそらくこのバンドでこの曲を演奏するのは初めてだと思われる。そもそもスーパーカーのライブを見たことがない(この曲はライブ映像では見たことがあるが)だけに、演奏しているメンバーこそ当時と違えど、「この曲はこうやって演奏しているんだな」と食い入るように見てしまった。しかしやはりフルカワミキのコーラスが生声ではなく打ち込みなのは少し寂しいものがあるが。(田渕ひさ子も345も自身のバンドでは歌っているのに、なぜナカコーバンドではマイクスタンドすらないんだろうか)
さらにこの日1番観客の体を揺らしたのは、このバンドでのライブでは定番曲になりつつある「WHITE SURF style 5.」。さらにメンバー牛尾憲輔の存在を最大限に生かしたようにエレクトロに振り切ったLAMAのアルバム「Modanica」の中でも最もギターロック色の強い「Know Your Rights」で観客の体もさらに動くが、バンドの演奏も熱量を増していく。もはやベテランと言ってもいい田渕と沼澤に全く負けない345の力強いベースも、彼女がこのバンドにいる理由をどんな言葉よりも雄弁に語っている。
沼澤のスネア3連打ドラムが実に気持ちいいスーパーカー初期の爽やかな「JET BEE TOWN」では後半で演奏がどんどん加速していき、ピタッと音が止まって終わったかと思いきや、またアウトロをワンフレーズ演奏するという遊び心を見せる。
ナカコーがギターを置いてボーカルに専念する「Diamond」からはソロ名義の曲が続く。うねるような345のベースが凛として時雨での姿とは全く違うベーシストとしての扉を開いている「Diamond」から、打ち込みでストリングスのサウンドを入れている「Reaction Curve」「KISETSU」と、ダークな側面もあれど、ソロ名義でのアルバム「Masterpiece」のイメージをあくまでも「ポップ」たらしめている曲が続く。やはりナカコーの作るメロディはバンドであろうと1人であろうと、こうしてポップさを強く感じるからこそ、いつまでも新曲を聴いていられる。
ここでナカコーが年末年始のライブの告知。かつてはライブ中に全く喋らなかった男も近年は少しずつしゃべるようになってきてはいる…が、しゃべる時に観客のほうではなく、メンバー(主に沼澤)のほうを見ながらしゃべるのは相変わらず。
一通り告知を終えるともうしゃべることがなくなり、345に
「なんか、凛として時雨の告知とかはないんですか?」
と無茶振り。そもそも345にはマイクスタンドがないので喋っても聞こえないだろうし、メンバーとはいえ先輩のライブで自分のバンドの告知なぞ出来っこないであろう。
そして曲の終盤になるとナカコーのボーカルがどんどん熱量を帯びていく、スーパーカーの問答無用の名曲「AOHARU YOUTH」から、メンバーの激しい演奏がぶつかり合い、アウトロでは轟音セッションのように展開する「Space Rock」をナカコーが指揮者のように手でビシッと演奏を止めて締め。
すでに10時半頃になっていたからか、アンコールを求める拍手も起こってはいたが、この日はアンコールはなし。
沼澤尚がMC中に
「来年もライブやるんで見に来てください!」
と言っていたが、こうしてスーパーカーの曲をライブで聴ける、ナカコーがステージに立って演奏して、歌っているのを見れるんなら、来年だけじゃなく、これからもずっと行く。
そしてナカコーは過去最高クラスに近年歌が上手くなっていると思う。(というかちゃんと声が出ている)
1.Cosmic Star (iLL)
2.RECREATION (スーパーカー)
3.WHITE SURF style 5. (スーパーカー)
4.Know Your Rights (LAMA)
5.JET BEE TOWN (スーパーカー)
6.Diamond (Koji Nakamura)
7.Reaction Curve (Koji Nakamura)
8.KISETSU (Koji Nakamura)
9.AOHARU YOUTH (スーパーカー)
10.Space Rock (iLL)
RECREATION
http://youtu.be/dXFqRM039Hc
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そのナカコーが立ち上げる新イベント、眠レヌ夜ニ音楽ヲ。ゲストに若手アーティスト2組を迎えるという、これまでのナカコーの活動からは想像できないブッキングからも、ナカコーがこのイベントを開催する明確な意思を感じる。
遅刻してしまい、着いたらすでに最初の出演者のThe fin.が終わっていた。が、これはなかなか厳しい客入りである。スーパーカー解散後にiLLで初ライブをやった時ですらリキッドルームは埋まっていたのに。
・Young Juvenile Youth
「若さ・蒼さ」という意味の単語を3つ並べたユニット名の、女性ボーカルYukiと男性トラックメイカーJEMAPURによる2人組、Young Juvenile Youth。
ステージ中央にはマイクスタンド、奥にはラップトップとサンプラーという卓が配置されている中、まずはJEMAPURが1人で登場し、音が鳴った瞬間にビクッとしてしまうくらいにキック音が強い、音の断片が連なったようなアンビエントから宇宙空間を想起させるようなコズミックポップまでを横断するサウンドを奏で出すと、後から赤いドレスを見に纏い、その出で立ちから渋谷系の空気を感じさせる、いかにもおしゃれなシンガーYukiが登場。
エフェクトがかったYukiのボーカルは序盤はサウンドの一部というイメージが強かったが、自身が自由に踊りながら歌い出す中盤からは、その英語と日本語が入り混じった歌詞からも、神聖な声の歌姫という印象に変わる。
自分もそうであったが、ライブ初見どころか曲を聴くのすらも初めてであろう観客が大多数という状況の中で、ウソ泣き演技も含めてYukiは曲間のMCでは実にフランクに観客とコミュニケーションを取ろうとする。
同時に全く喋らないながらも、MC中のYukiの声に勝手にエフェクトをかけたりと、曲以外でも存在感を発揮するJEMAPURのことを
「全く喋らないから私が歌って踊って喋ってるけど、この人は本当にすごい人」
と紹介していたが、確かにインストの電子音楽としても確実に成立する(そういう意味ではナカコーのNYANTORAに通じるところもある)サウンドを、Yukiの歌声を掛け合わせることで、ポップミュージックにしてしまう手腕は実に見事。
JEMAPURのことを紹介していたYukiも前述のように渋谷系の歌姫を想起させるオーラがあるというか、水曜日のカンパネラのコムアイがぶっ飛んでなかったらこんな感じになってたかもしれない、とも思う。
しかし、ユニット名の割には、サウンドが洗練されまくってる上にメンバーの出で立ちも相まって、青春性を全く感じない。それは悪いことでは全くないけれど。
Animation
http://youtu.be/jREZtQU0ktk
・Koji Nakamura
そして9時半頃、ナカコーを先頭に、田渕ひさ子、345、沼澤尚の3人が登場。各々が音を確かめ合うように楽器を手にしてから、
「えー、メンバー紹介します」
と言って、唐突にメンバー紹介。これには張り詰めていた空気が一気に解け、客席からは吹き出すように笑う声も聞こえた。
メンバー紹介を終えると、田渕ひさ子のギターがサイケデリックな空気を生み出すロックなサウンドが響きだす。ナカコーのファルセットボイスもサイケデリックさに拍車をかけるが、これはドラムセットの至る部分を叩く沼澤尚の演奏からして、バンドの音を確かめるような意味合いが強い。
打ち込みの音も使いながら、きらめくようなギターフレーズで始まったのは、iLLの「Cosmic Star」。会場に入った時はガラガラだったが、この時間になると満員とは言わないまでも、かなり埋まっていただけに、ナカコーのこのバンドセットでのワンマンだったらこの規模でも売り切れたんじゃないだろうか、という気もする。
「Are you ready? tonight」
というフレーズがまさにこの夜のライブの始まりを告げると、続いて流れた打ち込みのサウンドにはどよめきが起こる。それは紛れもなく、スーパーカー後期の名曲「RECREATION」のそれだったからである。おそらくこのバンドでこの曲を演奏するのは初めてだと思われる。そもそもスーパーカーのライブを見たことがない(この曲はライブ映像では見たことがあるが)だけに、演奏しているメンバーこそ当時と違えど、「この曲はこうやって演奏しているんだな」と食い入るように見てしまった。しかしやはりフルカワミキのコーラスが生声ではなく打ち込みなのは少し寂しいものがあるが。(田渕ひさ子も345も自身のバンドでは歌っているのに、なぜナカコーバンドではマイクスタンドすらないんだろうか)
さらにこの日1番観客の体を揺らしたのは、このバンドでのライブでは定番曲になりつつある「WHITE SURF style 5.」。さらにメンバー牛尾憲輔の存在を最大限に生かしたようにエレクトロに振り切ったLAMAのアルバム「Modanica」の中でも最もギターロック色の強い「Know Your Rights」で観客の体もさらに動くが、バンドの演奏も熱量を増していく。もはやベテランと言ってもいい田渕と沼澤に全く負けない345の力強いベースも、彼女がこのバンドにいる理由をどんな言葉よりも雄弁に語っている。
沼澤のスネア3連打ドラムが実に気持ちいいスーパーカー初期の爽やかな「JET BEE TOWN」では後半で演奏がどんどん加速していき、ピタッと音が止まって終わったかと思いきや、またアウトロをワンフレーズ演奏するという遊び心を見せる。
ナカコーがギターを置いてボーカルに専念する「Diamond」からはソロ名義の曲が続く。うねるような345のベースが凛として時雨での姿とは全く違うベーシストとしての扉を開いている「Diamond」から、打ち込みでストリングスのサウンドを入れている「Reaction Curve」「KISETSU」と、ダークな側面もあれど、ソロ名義でのアルバム「Masterpiece」のイメージをあくまでも「ポップ」たらしめている曲が続く。やはりナカコーの作るメロディはバンドであろうと1人であろうと、こうしてポップさを強く感じるからこそ、いつまでも新曲を聴いていられる。
ここでナカコーが年末年始のライブの告知。かつてはライブ中に全く喋らなかった男も近年は少しずつしゃべるようになってきてはいる…が、しゃべる時に観客のほうではなく、メンバー(主に沼澤)のほうを見ながらしゃべるのは相変わらず。
一通り告知を終えるともうしゃべることがなくなり、345に
「なんか、凛として時雨の告知とかはないんですか?」
と無茶振り。そもそも345にはマイクスタンドがないので喋っても聞こえないだろうし、メンバーとはいえ先輩のライブで自分のバンドの告知なぞ出来っこないであろう。
そして曲の終盤になるとナカコーのボーカルがどんどん熱量を帯びていく、スーパーカーの問答無用の名曲「AOHARU YOUTH」から、メンバーの激しい演奏がぶつかり合い、アウトロでは轟音セッションのように展開する「Space Rock」をナカコーが指揮者のように手でビシッと演奏を止めて締め。
すでに10時半頃になっていたからか、アンコールを求める拍手も起こってはいたが、この日はアンコールはなし。
沼澤尚がMC中に
「来年もライブやるんで見に来てください!」
と言っていたが、こうしてスーパーカーの曲をライブで聴ける、ナカコーがステージに立って演奏して、歌っているのを見れるんなら、来年だけじゃなく、これからもずっと行く。
そしてナカコーは過去最高クラスに近年歌が上手くなっていると思う。(というかちゃんと声が出ている)
1.Cosmic Star (iLL)
2.RECREATION (スーパーカー)
3.WHITE SURF style 5. (スーパーカー)
4.Know Your Rights (LAMA)
5.JET BEE TOWN (スーパーカー)
6.Diamond (Koji Nakamura)
7.Reaction Curve (Koji Nakamura)
8.KISETSU (Koji Nakamura)
9.AOHARU YOUTH (スーパーカー)
10.Space Rock (iLL)
RECREATION
http://youtu.be/dXFqRM039Hc
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