a flood of cirle AFOC presents VS tour ”BATTLE ROYAL 2015” guest:9mm Parabellum Bullet @Zepp DiverCity 11/27
- 2015/11/28
- 00:40
メンバーの失踪や脱退など、様々な困難を乗り越えながら転がり続けてきた、a flood of cirleが来年10周年を迎える。
つまり、今年は9周年なわけだが、そんな直前のタイミングで自伝的とも言える歌詞のニューシングル「花」をリリース。
そのリリースツアーは対バン形式で、各地で豪華な面々と対バンを行ってきたわけだが、この日のツアーファイナルの東京公演のゲストは9mm Parabellum Bullet。
ともにいしわたり淳治プロデュースによってメジャーデビューするという、実は兄弟弟子的な立ち位置の2組である。ちなみに9mmはいしわたり淳治が2番目にプロデュースしたバンドであり、フラッドは3番目にプロデュースしたバンド。(最初にプロデュースしたバンドはチャットモンチー)
・9mm Parabellum Bullet
19時を過ぎると、場内が暗転し、いつものSEが鳴る前に、格闘技の試合の前口上のような、
「速すぎて見えないスティックさばき」
など、褒めすぎなくらいな内容のアナウンスが流れてから、ATARI TEENAGE RIOT「Digital Hardcore」が流れてメンバーが登場。髪を切ってサッパリした卓郎はボクシンググローブを着用している。滝は逆にまたボサボサ具合が増している。
するといきなりの「Answer and Answer」でスタートしたのだが、なんだかいつもより楽器の音が大きく聞こえる。(特にかみじょうのバスドラ)
さらにいつもはクライマックスで演奏するイメージになりつつある「新しい光」も序盤に演奏するという息もつかせぬ展開。当然ながらサビで卓郎がマイクから離れると、観客が合唱するという、ゲスト側なのに一切のアウェー感の無さ。
ベースの和彦作曲のクアトロA面シングルからの1曲「ダークホース」がまさに「まっすぐにまっしぐらに」客席に突き刺さると、最近セットリストに復活してきている「The World」を短い時間にもかかわらず入れてくる。その理由は、
「俺たちが2007年の6月16日に行った、The Worldツアーの新宿LOFTでのライブにa flood of cirleに出てもらって…」
というもの。さらに、
「The Worldツアーと言いながらも日本を周ったという、名ばかりのツアーだったんだけど(笑)
今日は男と男の戦い…と言いたいところだったんだけど、HISAYOさんがいるな(笑)あんなヒール履いて、踊りながらライブできるのは他にPerfumeの3人くらい(笑)」
と、最近さらに機転が利くようになった卓郎のフラッドいじりMC。
すっかり寒くなってきたこの日の関東の気候を忘れさせるかのような「ハートに火をつけて」から、アウトロのかみじょうのドラムによって一瞬で「Cold Edge」のイントロに変わると、作曲者である和彦は「バトルロイヤルー!」とデスボイスで叫ぶ。
これぞ9mmなイントロの滝のギターで客席が踊りだした「反逆のマーチ」では卓郎が2番の歌い出しをすっ飛ばしてしまうという、9mmでは実に珍しいアクシデントが発生するも、自ら頭をコツンと叩く仕草も含めて、カッコいいとしか思えないのはいったいなんなんだろうか。
そして最後は
「フラッドとここにいるみんなに捧げる!」
と卓郎が言ったので、「フラッドに捧げるということは「Black Market Blues」だろう」という大方の予想を裏切る「Discommunication」。しかし、ここで「Black Market Blues」をやらなかったことにより、後でさらに嬉しいことが起きる、ということはみんな薄々感づいていた気がする。
1.Answer and Answer
2.新しい光
3.ダークホース
4.The World
5.ハートに火をつけて
6.Cold Edge
7.反逆のマーチ
8.Discommunication
ハートに火をつけて
http://youtu.be/pWH11t2JKds
・a flood of cirle
そして、やはり仰々しい(「花」の歌詞を引用したりしていた)前口上に続いて、この日の主役、a flood of cirleが「青コーナー」として登場。なので登場時の照明もいつもとは異なる青色。(ちなみに赤コーナーだった9mmの時は照明も赤というこだわりぶり)
いきなりロックンロールが炸裂しまくる「Golden Time」からスタートすると、続く「The Beautiful Monkeys」ではイントロのギターリフが鳴っただけで、一斉に観客が前に詰めかけ、ダイブまでも起きるという沸騰ぶり。9mmも2曲目で「新しい光」をやったが、バンドの中でも屈指の激しさを見せるこの曲を2曲目にやるというあたりで、当然ながら冒頭からエンジン全開。
やはり他のこの会場でのライブよりも音がかなりデカく聴こえるが、それは亮介の声の大きさがそう感じさせるところも間違いなくある。
「ロックンロールは好きですか!?」
と亮介が観客に問うと、ギター、ベース、ドラムが重く重なる、亮介のステージドリンクと言ってもいい酒と同タイトルの爆裂酩酊ソング「鬼殺し」からさらにロックンロール色が強くなり、亮介がギターを置いてタンバリンを手にしてリズムを取る「ミッドナイト・サンシャイン」、そのタンバリンをキョウスケ(ギター)の首にかけ、アルカラ稲村スタイルにしてからの、全都道府県ツアーをやり切った経験のあるこのバンドだからこそ歌える「Black Eye Blues」ではハンドマイクで歌っていた亮介が客席に突入し、足を支えながら歌って、歌い終わるとそのまま倒れこみ、ステージに運ばれていく。
「HISAYOさん可愛いー!」
というやたらと野太い曲間の歓声に亮介が手を叩きながら爆笑していると、
「9mmと前に対バンした時、対バンっていうか前座みたいなもんだったけど、俺とナベちゃんは19歳とか20歳くらいで。普通の大学生だった。そんな俺らが先輩の9mmに喧嘩売りに行ったら、当然ボコボコにやられて。
8年って本当にあっという間だけど、俺たちは何も変わってない。ただ9mmが今日受けてくれて本当に嬉しいし、何よりここに集まってくれた君たちが本当に1番ヤバい!」
と、出てくれた9mmと、来てくれた観客に感謝を告げる。ちなみにドラムの渡邊は8年前よりも「白髪が多くなった」と言い、HISAYOもちょうどその頃にフラッドと出会ったらしいが、亮介は全く覚えておらず。これはこの男が後ろを振り返らず、前だけを見ているからだろうか。
「best ride」に亮介の弾き語りに近いバージョンが収録され、今回の「花」のカップリングでついにバンドバージョンになった「Trash Blues」はここまでのロックンロールな流れからは一変して内障的なブルースの空気に。同じ「Blues」を冠する「Black Eye Blues」とはサウンドは全く違うが、「月面のプール」しかり、近年は亮介の弾き語りで披露されてきたブルースがバンドバージョンに昇華されて収録されることも多いだけに、弾き語りツアーなどのバンド外活動も間違いなくバンドの活動に還元されている。
「バトルロイヤルなんで、大切な曲を…。あまりライブでやらないけど、本当に大切な曲です」
と言って演奏されたのは、きらめくようなギターサウンドが鳴る「Paradox Parade」からの「アンドロメダ」というレアな選曲。しかし、このタイミングで全く予想だにしなかったこの曲が演奏された理由はなんなんだろうか。
HISAYOが手拍子を始めると、ライブでは定番曲となっている「Dancing Zombiez」へ。ここからは亮介もコーラスを観客に歌わせるような曲が増えてくるが、アウトロでのライブならではのバンドアレンジは凄まじくカッコいい。亮介に先んじてキョウスケがギターソロを弾きまくるのだが、個人的には今のフラッドのサウンドの核はこの男なんじゃないかと思っている。
数えるのがめんどくさくなるくらいにこれまでに何度ギタリストが入れ替わってきたバンドだが、今までのメンバーの中でも、テクニック、ギタリストとしてのスタイル、ステージ上での雰囲気など、すべてを含めてこれまでで1番このバンドに合っている気がする。
キョウスケは亮介と渡邊よりもちょっと年下だが、もうずっとこのメンバーと一緒にやってきたかのような感じすらする。
それだけにずっとフラッドでギターを弾いていてもらいたいが、キョウスケにはサポートメンバーとしてではなくて、本当にギターを弾く場所、弾かなければならない場所がちゃんとある。だからいつかはまたそこで弾くようになるのが本人にとっては1番幸せなんだろうけど、そのバンドが活動できない状態だからこそこうしてフラッドでギターを弾いてるわけで…。と、ライブを見た後だとついついグルグルといろんな考えが頭の中を巡ってしまう。
そんなキョウスケのギターが炸裂しまくる中、バンドの代名詞的な曲である「シーガル」からはクライマックスへ。メンバー紹介を含めた「プシケ」では1人ずつ音が重なっていき、亮介がバンド名を叫ぶと亮介、キョウスケ、HISAYOの3人が照明が明るくなるとともにステージ前に出てきてギターとベースを弾く。
「俺たちはいつだって今が1番無敵!」
という亮介の言葉を裏付けるような「ベストライド」では特徴的な手拍子とともに、コーラスでは大合唱がこの広い会場を包む。
かつてはフラッドのライブでこうしてみんなで喉が痛くなるくらいに歌うようになるなんて全く思ってもいなかった。当時はみんなで歌えるような曲も全然なかったし、会場の空気も観客が歌っていいようなものでは全くなかった。それだけ、年を経るごとにフラッドが作る曲はどんどん外へ外へと開かれてきている。
そして1人1人の心に突き刺すように演奏されたバラード曲「心臓」から、最後に演奏されたのはやはり最新シングルの「花」。ロックンロール色も、ブルース色もそこまで強い曲じゃない、ある意味ど真ん中のギターロックな曲。そこにこれまでのバンドの歩みが、過去の曲のフレーズを含みながら歌われていく、本当に「名曲」の一言というような曲。それだけに、まだ客席側がこの曲をライブで聴いてどう向き合うのかを掴みきれていないような感じだった。しかし、この曲はこの会場や、もっと大きな会場で鳴らされることでさらに大きくなる曲になるはず。
アンコールではキョウスケがツアーTシャツに着替え、まずは亮介がボクシンググローブを客席に投げ入れながら、
「来年10周年って今年言いまくってて、だいぶハードルが上がってるんだけど(笑)
俺はナベちゃんと出会った日を結成記念日にしてて。だから2006年の1月2日。それから10年後の、結成記念日に前夜祭を行います!」
と言うと、下北沢でのカウントダウンイベントの開催、そして2月にベストアルバムをリリースすること、そのツアーがワンマンツアーで行なわれることが発表される。
「THE BLUE」というタイトルのベストアルバムだそうだが、どうやら普通のベストアルバムではなく、収録したことがないような曲まで収録されるらしい。初回盤は3枚組になるらしいが、果たしてどんな曲が並ぶんだろうか。
ひとしきり告知を終えた亮介がマイクを離れてステージ前に出てくると、
「夢を見てるのさ 何もない二人でも」
とアカペラでも会場全体に聞こえるくらいの声量で歌ってから、「花」のカップリングである「Dreamers Song」へ。
「すべての戦ってる人へ」
と前置きされて演奏されたが、その通りに戦っている人の背中を押すような、突き抜けるように爽快なロックナンバー。
そして熱狂の「Human License」に突入すると、間奏でガラッと演奏、というか曲そのものが変わる。これは紛れもなく9mmの「Black Market Blues」である。オリジナルにかなり忠実に演奏しているが、やはり亮介が歌うとこの曲もフラッドの曲になる…と思っていると、革ジャン姿の卓郎がステージに現れ、2番からは亮介とボーカルを分け合い、サビでは1本のマイクで2人が歌うという、まるでロックンロール兄弟のようなコラボに。卓郎がこの曲をハンドマイクで歌っているというのも実にレアいが、結局1曲まるまる演奏してしまうという9mmへのリスペクトの表明の仕方。
歌い終わった卓郎がステージから去ると同時に演奏も「Black Market Blues」から「Human License」の間奏へ。ここでも亮介とキョウスケがそれぞれギターソロを炸裂させると、
「最後はやっぱりロックンロールで!」
と「理由なき反抗 (The Rebel Age)」。
タイトル的にも内容的にもパンクのように中指を突き立てるような曲だが、それを笑いながらできる曲。後半では亮介が腕をグルグル回しながらギターを弾き、
「次はワンマンで会いましょう!」
と言ってステージを去って行った。
フラッドはこれまでに何度となく0からの再スタートを余儀なくされてきた。でもステージに立ってライブをやれば、いつでも100以上のものを見せてくれる。亮介が言うようにいつだって「今が1番無敵」。だからフラッドのライブはやめられない。10周年もその先もよろしく。
ツアーの大阪にゲストとして出た、グッドモーニングアメリカがこの日、日本武道館でワンマンを行った(こっちも本当に見たかった)が、いつかはフラッドもあのステージにたどり着けるって信じている。絶対にあの会場が似合うと思うし、あのステージに立っているメンバーの姿を見たいし、ステージからあの広いのに遠くない客席を見て欲しい。そのために、まずは来年6月の新木場STUDIO COASTを満員にしてやりましょう。
1.Golden Time
2.The Beautiful Monkeys
3.YES
4.鬼殺し
5.ミッドナイト・サンシャイン
6.Black Eye Blues
7.Trash Blues
8.アンドロメダ
9.Dancing Zombiez
10.シーガル
11.プシケ
12.ベストライド
13.心臓
14.花
encore
15.Dreamers Song
16.Human License ~ Black Market Blues w/菅原卓郎 ~Human License
17.理由なき反抗 (The Rebel Age)
花
http://youtu.be/rxJdDUKrVmM
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つまり、今年は9周年なわけだが、そんな直前のタイミングで自伝的とも言える歌詞のニューシングル「花」をリリース。
そのリリースツアーは対バン形式で、各地で豪華な面々と対バンを行ってきたわけだが、この日のツアーファイナルの東京公演のゲストは9mm Parabellum Bullet。
ともにいしわたり淳治プロデュースによってメジャーデビューするという、実は兄弟弟子的な立ち位置の2組である。ちなみに9mmはいしわたり淳治が2番目にプロデュースしたバンドであり、フラッドは3番目にプロデュースしたバンド。(最初にプロデュースしたバンドはチャットモンチー)
・9mm Parabellum Bullet
19時を過ぎると、場内が暗転し、いつものSEが鳴る前に、格闘技の試合の前口上のような、
「速すぎて見えないスティックさばき」
など、褒めすぎなくらいな内容のアナウンスが流れてから、ATARI TEENAGE RIOT「Digital Hardcore」が流れてメンバーが登場。髪を切ってサッパリした卓郎はボクシンググローブを着用している。滝は逆にまたボサボサ具合が増している。
するといきなりの「Answer and Answer」でスタートしたのだが、なんだかいつもより楽器の音が大きく聞こえる。(特にかみじょうのバスドラ)
さらにいつもはクライマックスで演奏するイメージになりつつある「新しい光」も序盤に演奏するという息もつかせぬ展開。当然ながらサビで卓郎がマイクから離れると、観客が合唱するという、ゲスト側なのに一切のアウェー感の無さ。
ベースの和彦作曲のクアトロA面シングルからの1曲「ダークホース」がまさに「まっすぐにまっしぐらに」客席に突き刺さると、最近セットリストに復活してきている「The World」を短い時間にもかかわらず入れてくる。その理由は、
「俺たちが2007年の6月16日に行った、The Worldツアーの新宿LOFTでのライブにa flood of cirleに出てもらって…」
というもの。さらに、
「The Worldツアーと言いながらも日本を周ったという、名ばかりのツアーだったんだけど(笑)
今日は男と男の戦い…と言いたいところだったんだけど、HISAYOさんがいるな(笑)あんなヒール履いて、踊りながらライブできるのは他にPerfumeの3人くらい(笑)」
と、最近さらに機転が利くようになった卓郎のフラッドいじりMC。
すっかり寒くなってきたこの日の関東の気候を忘れさせるかのような「ハートに火をつけて」から、アウトロのかみじょうのドラムによって一瞬で「Cold Edge」のイントロに変わると、作曲者である和彦は「バトルロイヤルー!」とデスボイスで叫ぶ。
これぞ9mmなイントロの滝のギターで客席が踊りだした「反逆のマーチ」では卓郎が2番の歌い出しをすっ飛ばしてしまうという、9mmでは実に珍しいアクシデントが発生するも、自ら頭をコツンと叩く仕草も含めて、カッコいいとしか思えないのはいったいなんなんだろうか。
そして最後は
「フラッドとここにいるみんなに捧げる!」
と卓郎が言ったので、「フラッドに捧げるということは「Black Market Blues」だろう」という大方の予想を裏切る「Discommunication」。しかし、ここで「Black Market Blues」をやらなかったことにより、後でさらに嬉しいことが起きる、ということはみんな薄々感づいていた気がする。
1.Answer and Answer
2.新しい光
3.ダークホース
4.The World
5.ハートに火をつけて
6.Cold Edge
7.反逆のマーチ
8.Discommunication
ハートに火をつけて
http://youtu.be/pWH11t2JKds
・a flood of cirle
そして、やはり仰々しい(「花」の歌詞を引用したりしていた)前口上に続いて、この日の主役、a flood of cirleが「青コーナー」として登場。なので登場時の照明もいつもとは異なる青色。(ちなみに赤コーナーだった9mmの時は照明も赤というこだわりぶり)
いきなりロックンロールが炸裂しまくる「Golden Time」からスタートすると、続く「The Beautiful Monkeys」ではイントロのギターリフが鳴っただけで、一斉に観客が前に詰めかけ、ダイブまでも起きるという沸騰ぶり。9mmも2曲目で「新しい光」をやったが、バンドの中でも屈指の激しさを見せるこの曲を2曲目にやるというあたりで、当然ながら冒頭からエンジン全開。
やはり他のこの会場でのライブよりも音がかなりデカく聴こえるが、それは亮介の声の大きさがそう感じさせるところも間違いなくある。
「ロックンロールは好きですか!?」
と亮介が観客に問うと、ギター、ベース、ドラムが重く重なる、亮介のステージドリンクと言ってもいい酒と同タイトルの爆裂酩酊ソング「鬼殺し」からさらにロックンロール色が強くなり、亮介がギターを置いてタンバリンを手にしてリズムを取る「ミッドナイト・サンシャイン」、そのタンバリンをキョウスケ(ギター)の首にかけ、アルカラ稲村スタイルにしてからの、全都道府県ツアーをやり切った経験のあるこのバンドだからこそ歌える「Black Eye Blues」ではハンドマイクで歌っていた亮介が客席に突入し、足を支えながら歌って、歌い終わるとそのまま倒れこみ、ステージに運ばれていく。
「HISAYOさん可愛いー!」
というやたらと野太い曲間の歓声に亮介が手を叩きながら爆笑していると、
「9mmと前に対バンした時、対バンっていうか前座みたいなもんだったけど、俺とナベちゃんは19歳とか20歳くらいで。普通の大学生だった。そんな俺らが先輩の9mmに喧嘩売りに行ったら、当然ボコボコにやられて。
8年って本当にあっという間だけど、俺たちは何も変わってない。ただ9mmが今日受けてくれて本当に嬉しいし、何よりここに集まってくれた君たちが本当に1番ヤバい!」
と、出てくれた9mmと、来てくれた観客に感謝を告げる。ちなみにドラムの渡邊は8年前よりも「白髪が多くなった」と言い、HISAYOもちょうどその頃にフラッドと出会ったらしいが、亮介は全く覚えておらず。これはこの男が後ろを振り返らず、前だけを見ているからだろうか。
「best ride」に亮介の弾き語りに近いバージョンが収録され、今回の「花」のカップリングでついにバンドバージョンになった「Trash Blues」はここまでのロックンロールな流れからは一変して内障的なブルースの空気に。同じ「Blues」を冠する「Black Eye Blues」とはサウンドは全く違うが、「月面のプール」しかり、近年は亮介の弾き語りで披露されてきたブルースがバンドバージョンに昇華されて収録されることも多いだけに、弾き語りツアーなどのバンド外活動も間違いなくバンドの活動に還元されている。
「バトルロイヤルなんで、大切な曲を…。あまりライブでやらないけど、本当に大切な曲です」
と言って演奏されたのは、きらめくようなギターサウンドが鳴る「Paradox Parade」からの「アンドロメダ」というレアな選曲。しかし、このタイミングで全く予想だにしなかったこの曲が演奏された理由はなんなんだろうか。
HISAYOが手拍子を始めると、ライブでは定番曲となっている「Dancing Zombiez」へ。ここからは亮介もコーラスを観客に歌わせるような曲が増えてくるが、アウトロでのライブならではのバンドアレンジは凄まじくカッコいい。亮介に先んじてキョウスケがギターソロを弾きまくるのだが、個人的には今のフラッドのサウンドの核はこの男なんじゃないかと思っている。
数えるのがめんどくさくなるくらいにこれまでに何度ギタリストが入れ替わってきたバンドだが、今までのメンバーの中でも、テクニック、ギタリストとしてのスタイル、ステージ上での雰囲気など、すべてを含めてこれまでで1番このバンドに合っている気がする。
キョウスケは亮介と渡邊よりもちょっと年下だが、もうずっとこのメンバーと一緒にやってきたかのような感じすらする。
それだけにずっとフラッドでギターを弾いていてもらいたいが、キョウスケにはサポートメンバーとしてではなくて、本当にギターを弾く場所、弾かなければならない場所がちゃんとある。だからいつかはまたそこで弾くようになるのが本人にとっては1番幸せなんだろうけど、そのバンドが活動できない状態だからこそこうしてフラッドでギターを弾いてるわけで…。と、ライブを見た後だとついついグルグルといろんな考えが頭の中を巡ってしまう。
そんなキョウスケのギターが炸裂しまくる中、バンドの代名詞的な曲である「シーガル」からはクライマックスへ。メンバー紹介を含めた「プシケ」では1人ずつ音が重なっていき、亮介がバンド名を叫ぶと亮介、キョウスケ、HISAYOの3人が照明が明るくなるとともにステージ前に出てきてギターとベースを弾く。
「俺たちはいつだって今が1番無敵!」
という亮介の言葉を裏付けるような「ベストライド」では特徴的な手拍子とともに、コーラスでは大合唱がこの広い会場を包む。
かつてはフラッドのライブでこうしてみんなで喉が痛くなるくらいに歌うようになるなんて全く思ってもいなかった。当時はみんなで歌えるような曲も全然なかったし、会場の空気も観客が歌っていいようなものでは全くなかった。それだけ、年を経るごとにフラッドが作る曲はどんどん外へ外へと開かれてきている。
そして1人1人の心に突き刺すように演奏されたバラード曲「心臓」から、最後に演奏されたのはやはり最新シングルの「花」。ロックンロール色も、ブルース色もそこまで強い曲じゃない、ある意味ど真ん中のギターロックな曲。そこにこれまでのバンドの歩みが、過去の曲のフレーズを含みながら歌われていく、本当に「名曲」の一言というような曲。それだけに、まだ客席側がこの曲をライブで聴いてどう向き合うのかを掴みきれていないような感じだった。しかし、この曲はこの会場や、もっと大きな会場で鳴らされることでさらに大きくなる曲になるはず。
アンコールではキョウスケがツアーTシャツに着替え、まずは亮介がボクシンググローブを客席に投げ入れながら、
「来年10周年って今年言いまくってて、だいぶハードルが上がってるんだけど(笑)
俺はナベちゃんと出会った日を結成記念日にしてて。だから2006年の1月2日。それから10年後の、結成記念日に前夜祭を行います!」
と言うと、下北沢でのカウントダウンイベントの開催、そして2月にベストアルバムをリリースすること、そのツアーがワンマンツアーで行なわれることが発表される。
「THE BLUE」というタイトルのベストアルバムだそうだが、どうやら普通のベストアルバムではなく、収録したことがないような曲まで収録されるらしい。初回盤は3枚組になるらしいが、果たしてどんな曲が並ぶんだろうか。
ひとしきり告知を終えた亮介がマイクを離れてステージ前に出てくると、
「夢を見てるのさ 何もない二人でも」
とアカペラでも会場全体に聞こえるくらいの声量で歌ってから、「花」のカップリングである「Dreamers Song」へ。
「すべての戦ってる人へ」
と前置きされて演奏されたが、その通りに戦っている人の背中を押すような、突き抜けるように爽快なロックナンバー。
そして熱狂の「Human License」に突入すると、間奏でガラッと演奏、というか曲そのものが変わる。これは紛れもなく9mmの「Black Market Blues」である。オリジナルにかなり忠実に演奏しているが、やはり亮介が歌うとこの曲もフラッドの曲になる…と思っていると、革ジャン姿の卓郎がステージに現れ、2番からは亮介とボーカルを分け合い、サビでは1本のマイクで2人が歌うという、まるでロックンロール兄弟のようなコラボに。卓郎がこの曲をハンドマイクで歌っているというのも実にレアいが、結局1曲まるまる演奏してしまうという9mmへのリスペクトの表明の仕方。
歌い終わった卓郎がステージから去ると同時に演奏も「Black Market Blues」から「Human License」の間奏へ。ここでも亮介とキョウスケがそれぞれギターソロを炸裂させると、
「最後はやっぱりロックンロールで!」
と「理由なき反抗 (The Rebel Age)」。
タイトル的にも内容的にもパンクのように中指を突き立てるような曲だが、それを笑いながらできる曲。後半では亮介が腕をグルグル回しながらギターを弾き、
「次はワンマンで会いましょう!」
と言ってステージを去って行った。
フラッドはこれまでに何度となく0からの再スタートを余儀なくされてきた。でもステージに立ってライブをやれば、いつでも100以上のものを見せてくれる。亮介が言うようにいつだって「今が1番無敵」。だからフラッドのライブはやめられない。10周年もその先もよろしく。
ツアーの大阪にゲストとして出た、グッドモーニングアメリカがこの日、日本武道館でワンマンを行った(こっちも本当に見たかった)が、いつかはフラッドもあのステージにたどり着けるって信じている。絶対にあの会場が似合うと思うし、あのステージに立っているメンバーの姿を見たいし、ステージからあの広いのに遠くない客席を見て欲しい。そのために、まずは来年6月の新木場STUDIO COASTを満員にしてやりましょう。
1.Golden Time
2.The Beautiful Monkeys
3.YES
4.鬼殺し
5.ミッドナイト・サンシャイン
6.Black Eye Blues
7.Trash Blues
8.アンドロメダ
9.Dancing Zombiez
10.シーガル
11.プシケ
12.ベストライド
13.心臓
14.花
encore
15.Dreamers Song
16.Human License ~ Black Market Blues w/菅原卓郎 ~Human License
17.理由なき反抗 (The Rebel Age)
花
http://youtu.be/rxJdDUKrVmM
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The Mirraz ミニアルバムリリースツアー ~マジか!?っつーか、ミイラズツアーっつーかツアー2015 aw~ @東京キネマ倶楽部 11/22