BRAHMAN 尽未来際 @幕張メッセ 11/15
- 2015/11/16
- 22:46
前日に続き、幕張メッセでのBRAHMAN20周年イベント、尽未来際の2日目。この日は前日とは打って変わって、
JOHNSONS MOTORCAR (Opening Act)
HEY-SMITH
SiM
エレファントカシマシ
ACIDMAN
ストレイテナー
THE BACK HORN
MAN WITH A MISSION
10-FEET
the HIATUS
BRAHMAN
という、BRAHMANが近年ともにライブを行ったり、BRAHMANに影響を受けている中堅~若手バンドが出演。しかしこう並ぶととんでもない豪華さだ。
11:30~ JOHNSONS MOTORCAR (Opening Act) [右往STAGE]
昨日はなかったオープニングアクト枠。まだ午前中という早い時間に登場したのは、BRAHMANのメンバーとともにOverground Acoustic Undergroundのメンバーとして活動しているMARTIN(ボーカル&バイオリン)らによるバンド、JOHNSONS MOTORCAR。
MARTINも含め、ギターのBLACKOとベースのCOLEMANも外人で、紅一点ドラマーRINAMAMEが日本人という多国籍バンド。
バイオリンが入ってることもあり、アイリッシュ色の強い(実際にBLACKOはアイルランド人)パンクサウンドで、前日がひたすら暴れまくるようなバンドばかりだったこともあり、この踊れるサウンドは実に新鮮に聴こえる。
RINAMAMEが女性らしからぬパワフルなドラムと、ステージ前まで出てきて煽りまくるというアクションで客席は熱狂のダンスフロアと化すが、オープニングアクトということで持ち時間はかなり短め。およそ20分ちょっとで、本当にあっという間だった。
MARTINは去り際にメンバーに祝福の言葉を述べたが、やはり同じバンドのメンバーとして活動している男なだけに、その言葉には重みがあった。
ライブが終わったあと、その日のライブ音源を物販で売るという面白い試みも行っているとのこと。
Johny is a Rovin' Blade
http://youtu.be/pHYEmRrj9uA
12:00~ HEY-SMITH [左往STAGE]
メンバー脱退による活動休止を経て、今年の京都大作戦で新メンバーを迎えて活動再開を果たした、HEY-SMITH。
サポートメンバーのかなす(トロンボーン)、飯川(トランペット)を含めた総勢6人のメンバーが登場すると、「Endless Sorrow」から、ホーン隊が3人いることを最大限に生かした、陽性のスカパンクを連発していき、あっという間に客席はモッシュ、ダイブ、大合唱。新加入したYuji(ベース&ボーカル)の歌声も実に爽やかで、このバンドのサウンドに実に良く似合っている。
猪狩(ボーカル&ギター)は踊りまくり、満(サックス)も含めたホーン隊の3人は暴れまくりで曲を連発していくと、
「知ってる人も知らん人もいると思うけど、俺たちこの間まで1年間活動休止してて。辞めるかどうか悩んだこともあったけど、BRAHMANの姿にどれだけ勇気をもらったことか。今日、たくさんのバンドが出てるわけじゃなくて、少数精鋭の中に選ばれて、バンドを続けてきて、このステージに立てて本当に嬉しい」
と猪狩がこの日への思いを語る。
そして最後は再開の約束の歌とでも言うような「Goodbye To Say Hello」から、バンドの最も獰猛な代表曲と言ってもいいショートチューン、「Come back my dog」。
「前の方が良かったって言うやつも絶対いる。それなら思った通りに言ってくれ」
と猪狩は言っていた。メンバーチェンジ前のライブは数えられるくらいしか見れなかったが、前の方が良かった、とは全く思わない。むしろ進化しているとさえ感じる。
そして前日はSCAFULL KINGも出ていたが、スカパンクバンドが今も昔もBRAHMANの近くにいて、これだけ巨大な会場を満員にするような存在になっている。それもまた、このバンドがこの日にステージに立った理由の一つなんじゃないかと思う。
1.Endless Sorrow
2.Download Me If You Can
3.Living In My Skin
4.Like A Gentleman
5.Jump!!
6.DRUG FREE JAPAN
7.The First Love Song
8.We sing our song
9.True Yourself
10.Goodbye To Say Hello
11.Come back my dog
True Yourself
http://youtu.be/7XM0ndDBkl0
12:50~ SiM [右往STAGE]
自分たちのフェスの主催者であり、大型フェスでもメインステージのヘッドライナーをできるくらいの動員力のあるバンドが早くもこの時間に登場してくる。
勢いよくステージに駆け出してお立ち台に立って腕を高く上げたSHOW-HATEを筆頭にメンバーが登場。最後にゆっくりと登場したMAHは髪に赤く染まった部分が混じっている。
するとまさかのいきなりの「KiLLiNG ME」でスタート。ステージ上で暴れまくりながら演奏しているSHOW-HATEとSIN(ベース)だが、客席ももちろんいきなりダイブの嵐と暴れまくっている。
コーラス部分で大合唱となった最新シングル収録曲「CROWS」、MAHの妖艶な雰囲気が曲のイメージをさらに際立たせる「SACCUBUS」と続けると、
「よく90年代とか2000年代の初めは良かった、みたいなことを聞くけどさ。俺はエアジャムとかをこの目で見ることができなかったの。その当時、ライブハウスに行ったりしてなかったから。でもこうやって、BRAHMANに呼んでもらえて、ようやく同じ時代を生きてるなって思えて本当に嬉しいです」
とMAHがこのステージに立てたことを自分なりの言い方で伝えるが、世代的にこの発言には共感せざるを得ない。
「ぶっちゃけ、中指を立てたい先輩もいるよ!でもBRAHMANを見ると、いつもこの人たちみたいに生きていたいと思える」
と言うと、変わり果てたかつてのヒーローに中指を突き立てる「Fallen Idols」ではSHOW-HATEがシンセを演奏する。
さらに「Same Sky」の壮大なスケール感とMAHのボーカルがメッセの中に響き渡ると、
「両手を上げてくれー!手はグーで!」
と言って腕を交互に上げ下げしてモンキーダンスを全員で踊る「GUNSHOTS」、カオスな盛り上がりを見せた「Blah Blah Blah」と、「KiLLiNG ME」が最初に演奏されるのも納得のキラーチューン揃いっぷり。しかも「Amy」もやっていない。
そんな状況でトドメとばかりにMAHが客席を分ける仕草を見せてから演奏されたのは、ウォールオブデスを発生させたショートチューン「f.a.i.t.h」。
BRAHMANの一世代下のバンドとして、これからBRAHMANのバトンを受け取るのは俺たちだ、と言わんばかりの圧巻のライブ。カリスマ性という部分ではMAHはこの世代では最もTOSHI-LOWに近い存在だと言える。
1.KiLLiNG ME
2.CROWS
3.SACCUBUS
4.EXiSTENCE
5.Fallen Idols
6.Same Sky
7.GUNSHOTS
8.Blah Blah Blah
9.f.a.i.t.h
CROWS
http://youtu.be/cWPoczvmFQo
13:40~ エレファントカシマシ [左往STAGE]
この日の出演者の中では明らかに異色の存在であるエレカシ。それもそのはずで、BRAHMANより年も歴も上。1981年結成なので、そのキャリアはすでに30年以上にのぼる。
サポート2人を加えた6人編成というのは近年のものだが、キーボードが蔦谷好位置ではないのと、宮本(総合司会)が白シャツではなく、黒のロンTに黒のパンツという黒ずくめの姿。これによっていつもよりもさらに体型が細く見える。
近年はフェスでは代表シングル曲を並べることが多いが、いきなり「うつらうつら」というかなり渋いチョイス。序盤からエネルギーに満ち溢れている宮本の歌唱とアクションは、演奏中の高緑(ベース)をステージ前まで引っ張り出し、被っているハットを取って自らが被る。あとで石森(ギター)にも同じことをしたが、石森の時はサングラスまでも奪う。
2曲目はこれまでに聞いたことのない曲。かなり激しい演奏で、宮本も振り絞るようにして歌っていた曲だが、歌詞は情景描写的な表現が多かった。これはどうやらいよいよ発売間近となった、新作アルバム「RAINBOW」収録曲らしい。
宮本がアコギに持ち替え、椅子に座るではなく、椅子に足をかけるようにして歌い始めたのは、かつてエレカシのトリビュートアルバムでBRAHMANがカバーした「月の夜」。もう20年くらい前の曲だし、そんなに有名な曲でもないが、やはりBRAHMANのイベントということで、かつてカバーした曲に対するリアクションは実に良く、宮本が曲タイトルを言った段階で大きな歓声が起こった。
宮本が15年くらい前にエレカシとBRAHMANが赤坂BLITZで対バンした時、「音楽と楽屋にいた友達の数がすごかった(笑)」と思ったことを話して笑いを取ると、エレカシの中でもトップクラスに獰猛な「生命賛歌」と問答無用の名曲「悲しみの果て」、やはりテンポがめちゃくちゃ速くなっている「ガストロンジャー」を続け、
「君たちはなんていい奴らなんだ!」
と予想以上に全然アウェー感がないことに驚きながら、ラストは「ファイティングマン」「俺たちの明日」と、新旧の聴いてる人に勇気を与える曲の連発。
他のバンドはBRAHMANの背中を見てきたバンドたちだが、BRAHMANよりさらに10年先輩のエレカシは、BRAHMANが背中を見ているバンド。そんなバンドがこんなにも未だに現役感しかないライブをやっていて、新曲も絶え間なく作っているという頼もしさ。まだまだ上には上がいる。
しかし、フェスにおいてはいつになく獰猛な曲が多いのはエレカシなりのBRAHMANに対するリスペクトだろうか。
1.うつらうつら
2.RAINBOW
3.月の夜
4.生命賛歌
5.悲しみの果て
6.ガストロンジャー
7.ファイティングマン
8.俺たちの明日
悲しみの果て
http://youtu.be/0WZu7L7Hjds
14:30~ ACIDMAN [右往STAGE]
3人が登場して、大木(ボーカル&ギター)の
「今は一瞬しかない」
という挨拶代わりの言葉。1曲目の「Stay in my hand」。そのあとに演奏されていく代表曲の数々。いつも通りである。しかしながらいつもとは明らかに違う。いつもより圧倒的にエモいのである。
「今日が20年バンドを続けてきたBRAHMANと、俺たちの、一つの、ある証明!」
と言って中盤にあっさりピークに到達すると、続く「飛光」では間奏でなぜかいきなり大木がサトマ(ベース)と肩を組み出すという、何がどうしてこうなるのか全くわからない光景が目に映っている。肩を組んでいるということは当然その瞬間は楽器を弾けていない。
さらに「造花が笑う」とアッパーな流れでさらに加速していくのだが、
「よくファンの人に、「握手してください!」って言われることがあって。ありがとうございますって言って握手するんだけど。昔、「ファンなんですけど、MC全然しないのかっこいいですね!」って言われたことがあって。あれ?俺、デビュー当時から結構MCしてるぞ?誰かと間違えてんのかな?って思ったら…BRAHMANでした(笑)
一応、「ああ、MCとかって別にやる意味ないかなーって思うんですよ」って話合わせちゃったんだけど、あの時の人が今日いたらすいません、俺はBRAHMANじゃなくてACIDMANです」
と客席を爆笑させておいて、
「でも俺たちACIDMANとBRAHMANは名前も似てるけど、音楽性は全く違っていて。でも伝えようとしてることは同じだと思っています。
音楽って楽しいぜ、嬉しいぜ、音楽イエーイ!ってだけじゃなくて、悲しさとか苦しさとか、そういうのをちゃんと知ってて、人がいつか死んでいくっていうのもわかってる。好きな人も嫌いな人もいつか必ず死んでいく。
それでも空を見上げたら星がキレイだなって思える夜がある。そういうことを俺たちは伝えようとしてずっとバンドをやっている」
と着地させる。そしてそのあとの全てを包み込むかのような「世界が終わる夜」は本当に沁みたし、こういう場所でも自分たちの普段のライブ通りに、バラード曲で締めるという美学を貫いているあたりがこのバンドのブレなさを証明している。
1.Stay in my hand
2.FREE STAR
3.リピート
4.ある証明
5.飛光
6.造花が笑う
7.世界が終わる夜
ある証明
http://youtu.be/uJkTEn9CqCI
15:20~ ストレイテナー [左往STAGE]
4人揃ってのサウンドチェックで「ROCKSTEADY」を演奏するという、そういえばここまでの2日間、こういうことやってたバンドいなかったなということをやって早くも客席を温めたストレイテナー。
いつものSEで4人が登場すると、「From Noon Till Dawn」でスタート。OJは髪型がさっぱりし、ひなっちはどこかフォーマルさを感じる服装。
「BRAHMANのライブを初めて見たのは19歳の時の渋谷QUATTRO。あれから17年くらい経って、こうして肩を並べてライブができて本当に嬉しいです」
とホリエ(ボーカル&ギター)がこのステージに立てた喜びを語ると、続けざまにシンペイが
「俺たちストレイテナーですけど、BRAHMAN始めます!」
と言って演奏されたのはBRAHMAN「THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE」のカバー。今月リリースされたthe telephonesのトリビュートとは違って、原曲に忠実でありながらも、ひなっちのベースの音数の多さなどからは、やはり本家よりも緻密な演奏のイメージを受ける。
さらにそのシンペイがドラムセットの上に立ち上がり、
「尊敬できる3人の先輩と、酒を飲んでなければ尊敬できる1人の先輩。そしてその先輩のライブで暴れている、幕張メッセのバーサーカーたちに捧げる!」
と言って「BERSERKERTUNE」へ。OJがイントロでコサックダンスのように足を動かすのはもはやこの曲でのおなじみ。
さらに意外なサウンドのイントロから王道的なメロディへガラッと変わる最新シングル「DAY TO DAY」、ダンスチューン「DISCOGRAPHY」と続くと、
「アッパーな曲で押し切ろうかとも思ったんですけど、TOSHI-LOWが「あの曲やんないの?」って言うから」
と言い、さらに前日にパリで起きたテロのことに言及してから演奏したのは、反戦歌「NO ~命の跡に咲いた花~」。
ホリエは以前はこういうことを全く口にしなかったし、反戦歌と正面から言って歌うようなことはしなかった。むしろそういうところは同世代のアジカン・ゴッチらに任せていると思うようなところもあった。しかし近年こういうことを自分の口から言うようになったのは、現在の政治や社会情勢もあると思うけど、BRAHMANの姿を見ているというのも少なからずあると思う。
そしてラストはメンバー紹介からの「Melodic Storm」で爽やかな合唱という風を吹かせて終了。
ここまでのバンドが様々な形でBRAHMANのリスペクトを示してきたが、カバーという最もわかりやすい形でそれを示したこのバンドはやはりさすが。
リハ.ROCKSTEADY
1.From Noon Till Dawn
2.THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE
3.BERSERKERTUNE
4.DAY TO DAY
5.DISCOGRAPHY
6.NO ~命の跡に咲いた花~
7.Melodic Storm
DAY TO DAY
http://youtu.be/qI306Q05xPY
16:10~ THE BACK HORN [右往STAGE]
TOSHI-LOWの1番の舎弟としてこれまでに様々な無理難題を押し付けられ、無茶振りをさせられまくってきた男、松田(ドラム)率いるTHE BACK HORN。
「声」「刃」と代表曲を続けるスタートだが、やはりこのバンドの持つ「和」の情緒を強く感じられるギターサウンドや歌詞などはこれだけ豪華な出演者が並んでいる日でも唯一無二。
最新シングル「悪人」から一転してその名の通りに美しいバラード「美しい名前」に続けるという流れから、
「俺たちはBRAHMANと7~8年前からよく一緒にツアー回ったりしてるんですけど、その度に「お前のMCは本当になんの脈絡もないことを2~3分ベラベラ喋りやがって」と言われるので、今日は言うことを事前に用意してきました」
と松田が話し始めると、この日のために作った、BRAHMANのチャンピオンベルトを掲げ、BRAHMANに捧げる。するとステージにTOSHI-LOWが登場し、山田(ボーカル)に巻いてもらい、プロレスの武藤ポーズを決めてTOSHI-LOWは実に満足そうな顔でステージを去っていく。
その後はバンド自身のことを歌ったかのような「その先へ」、ダイバー続出で栄純(ギター)の意味不明なダンスやアクションが炸裂しまくる「コバルトブルー」、そしてBRAHMANとこのバンドの未来を祝うかのように鳴らされた「シンフォニア」で終了。
TOSHI-LOWと松田が音楽と人のDVDで対談(というか飲み会)した時、
TOSHI-LOW「俺がお前じゃなくてKEYTALKの4人とか引き連れて歩いてたら嫌だろ?(笑)」
松田「それは…確かに嫌ですねぇ(笑)」
という会話を繰り広げていたが、果たしてこの2人の関係性はいつまで続くのだろうか。
1.声
2.刃
3.悪人
4.美しい名前
5.その先へ
6.コバルトブルー
7.シンフォニア
シンフォニア
http://youtu.be/uGA8WzwAi18
17:00~ MAN WITH A MISSION [左往STAGE]
時間前から白覆面の男たち、ヴェダースがサウンドチェックで「distance」、ニルヴァーナのカバー「Smells Like Teen Spirit」を演奏して客席を揺らしてから登場した、MAN WITH A MISSION。TOSHI-LOWが日頃から「中のおっさんたち」といじったりする相手である。
いきなりの「Emotions」でその名の通りにエモくスタートすると、ジャン・ケン・ジョニー(ボーカル&ギター)が煽りまくって、「Get Off of My Way」ではステージ上で跳んだり跳ねたりしているトーキョー・タナカ(ボーカル)がとともに観客が一斉に両手を交互に上げ下げするダンスを踊る。
エレクトロ要素を取り入れた「Dive」を挟むと、最新シングル「Raise your flag」からはキラーチューン揃いのクライマックスへ。DJサンタモニカの目が光るギミックも使用され、ラストはタナカがステージを降りて客席に突入して歌うという、今思うとこれもTOSHI-LOWの影響によるものなのだろうかというパフォーマンスの「FLY AGAIN」で終了。
しかしながらこれだけ豪華な出演者が並んだこの日のイベントにおいても、動員力、客席の盛り上がりと誰もが曲を知ってる感はずば抜けていた。狼のルックスだけではなく、曲のキャッチーさ、ライブで見ている人みんなを巻き込める演奏力とパフォーマンス。瞬く間に日本最大級のバンドになっただけに、これからはどうなるんだろうか。
リハ1.distance
リハ2.Smells Like Teen Spirit
1.Emotions
2.Take What U Want
3.Get Off of My Way
4.Dive
5.Raise your flag
6.Seven Deadly Sins
7.FLY AGAIN
Raise your flag
http://youtu.be/PiQpGzYMVos
17:50~ 10-FEET [右往STAGE]
パンク・ラウド系のバンドのこういう場には必ずといっていいほどに毎回名を連ねている、10-FEET。それだけいろんなバンドからの信頼が厚いという証である。
普段はフェスでも本編でやっているような曲をサウンドチェックでやっていたので、あれ?っと思っていると、実際にいつものSEが鳴ってメンバーが登場(TAKUMAは黒髪になっている)しても、熱い演奏でいきなりダイバーの嵐となっているのだが、何やら間奏でTAKUMAとNAOKIがこそこそと耳打ちしながら楽器を弾いている。
「今、BRAHMAN40歳くらいやねん。20代とか30代のやつってどれくらいおる?(観客の大半が手を挙げる)
おー、良かったな。おっさんおばさんになるのが決してネガティヴなことじゃないってわかるやろ」
と言って「VIBES BY VIBES」を演奏するのだが、曲を終えるとTAKUMAがなんとステージを降りていって、客席に突入。しかも観客に支えられながらマイクを持って話そうとする様はまさしくTOSHI-LOWのそれである。実際に誰がどう聞いても完全にTOSHI-LOWのモノマネ口調で、
「TOSHI-LOWは性格が悪ぃ。俺が初めてあいつに会った時、まだお互いにどんな人間か全然知らねえのにあいつは俺のことを笑いながら追いかけ回してきやがった。(場内爆笑)
それからお互いにどんな人間か理解して、俺たちが毎年京都で頑張っている京都大作戦に毎年オファーした。なのに全然出てくれない(笑)
返事をする時にあいつはいつも決まってこう言った。
「出るタイミングはある。京都大作戦がどんなフェスで、どんなに素晴らしいかも知ってる。でもあの、台風でごめんな祭、とか、子供に戻りな祭、みたいな○○祭っていうふざけたサブタイトルを付けるのをやめろ。そうしたら出てやる」
って。
今回のこのライブのオファーが来た時、俺たちはかなり早めにOKを出した。そしたらこのライブのタイトル、「BRAHMAN 20周年 尽未来際 ~尽未来祭~」。自分がやってんじゃねーか!(場内大爆笑)」
とTOSHI-LOWをいじりまくったMCで会場を笑いの渦に叩き込む。いったいこの男はどれだけTOSHI-LOWのMCを見ているんだろうか、というくらいの似せっぷりだった。
TAKUMAがステージに戻ると、代わりにNAOKIがステージを降りていこうとするも、
「NAOKIも言いたいことあるやろうけど、時間ないから」
という理由でステージを降りることなく戻される。
そんな流れでやる曲とは思えない「RIVER」ではTAKUMAはやはり「流れ行く あの花見川~」と幕張バージョンに歌詞を変えて歌い、さらには唐突にBRAHMAN「SEE OFF」のカバーまでやってしまう。NAOKIのコーラスが声が高すぎるので、あの原曲の重さは感じないが、スリーピースアレンジで演奏されたことも含め、実に10-FEETらしかった。
さらに「その向こうへ」ではTAKUMAが明らかにTOSHI-LOWの真似であろう、右手を客席に差し出すようにして歌う。
「BRAHMANのことが大好きなやつー!」
と叫んで大歓声を浴びていたTAKUMAこそがBRAHMANが間違いなく大好きすぎる。
しかし、ここでいきなりTAKUMAがシリアスな空気になり、
「震災が起きたあと、いろんな有名人とかミュージシャンが、支援物資を運んだり、寄付をしたりした。それに対して、偽善っていう声もたくさん上がっていた。
どこまでが偽善で、どこからが偽善じゃないのか。そんなことはわからん。やってる本人たちもわかってないかもしらん。でも、例えそれが偽善だったとしても、その行動で救われた人はたくさんいる。
TOSHI-LOWはよく、「行動」っていう。本音とか、気持ちより先に行動だと。その行動をすることによって、もしかしたら最初は偽善だったかもしれないことにも、気持ちがついてくるかもしれん。
それは友達に対しても同じやで。友達が落ち込んでいる時、もしそう思ってなかったとしても、建前だったとしても、「元気出しーや」と声をかけてやる。その友達は言った人の本音なんかわからん。でもその言葉をかけられたことで救われるかもしれん。気持ちは後でついてくるかもしれんから、まずは声をかけてやる。行動する。TOSHI-LOWはずっとそれを貫いている」
と、普段からそういったことをよく口にするTAKUMAが言うからこそ説得力のある話をする。あれだけ笑わせておきながら、最後には泣かせるようなことを言う。その両面があるから、10-FEETは多くの人に愛される。
だからこそ、今までも何度となく最高の景色を見せてくれて、最高の思い出を残してくれた「goes on」は、この日も過去最高と言っていいくらいに最高な景色を見せてくれた。
リハ1.SHOES
リハ2.STONE COLD BREAK
1.JUNGLE
2.VIBES BY VIBES
TAKUMAのTOSHI-LOWモノマネMC
3.RIVER
4.1sec
5.SEE OFF (BRAHMANのカバー)
6.その向こうへ
7.goes on
goes on
http://youtu.be/ZQKHPtl2mI8
18:40~ the HIATUS [左往STAGE]
近年は細美武士がTOSHI-LOWとthe LOW-ATUSやエセタイマーズとしてTOSHI-LOWと行動を共にするなど、公私ともに最大の理解者となっている。
その細美武士率いるthe HIATUSはサウンドチェックの段階で「ベテルギウスの灯」を演奏すると、サウンドチェックなのにダイバーが続出するという、信じられない光景が広がる。
メンバーが再びステージに登場すると、「The Ivy」「The Flare」と、それぞれは複雑な演奏なのに重なり合うことによってキャッチーになるバンドサウンド、この広い会場をそれだけで支配できるんじゃないかというくらいに大きく響き渡る細美武士の咆哮と歌声。
今年は細美がMONOEYESを始動させ、現在はそちらでツアーを回っているが、HIATUSが勘を失ったりバラバラになることは一切ない。
「Thirst」「Unhurt」と現状の最新アルバム「Keeper Of The Flame」からの曲では細美がハンドマイクで飛び跳ねながら歌い、
「昨日もとんでもないことが次々に起こって。なんで俺たちは昨日じゃなかったんだろう、って思ったけど、今日はBRAHMANの背中を見てきたバンドばかりが集まってて。そうやって昨日と今日で上の世代と下の世代をBRAHMANが繋げていて。
さっきロンちゃん(RONZI)に会った時、BRAHMANがこんなにいろんな世代の人をつなぐ存在になるって想像してた?って聞いたの。そしたら
「いやー、好き勝手やってきただけだからねぇ」
って言ってたんだけど、BRAHMANが好き勝手やるだけでこんなに上と下と横がどんどん繋がって来るんなら、これからの20年も好き勝手やり続けてください。
奇しくもこの幕張メッセの9~11ホールはウエノさんがやってたミッシェル・ガン・エレファントが最後にライブをやった場所であり、ELLEGARDENが活動休止前にやった1番大きい会場です。すべて繋がっているんだなって」
とBRAHMANに実に細美らしい言葉でエールを送る。
「Lone Train Running」では柏倉のドラムと伊澤のキーボードがこれまでとは明らかに異なるさらに激しく進化したアレンジを見せ、「Insomnia」では細美の「Save me」の圧倒的な歌唱にただただ圧倒される。
「BRAHMAN、最強に見えるでしょ?日本で1番強く見えるでしょ?でも俺はあいつらとは友達だから、弱ったり悩んだりしてるところも何度も見てる。そんな時にあいつらをステージに立たせてるのは、お前らの声と、暴れてる姿だよ。俺たちも出来る限り力を貸すからさ、みんなこれからもBRAHMANをよろしくお願いします!」
と、「友達」の細美だからこそ知るBRAHMANの姿を語ったあとの「紺碧の夜に」は一層響いたし、
「俺はでかい会場でやるのはそんなに好きじゃないんだけど、今日は初めてかもしれないってくらいに楽しいです!」
と言ってからの「仲間の歌」こと「Silver Birch」で細美は歌いながら
「ヤバい、終わりたくない!」
と叫んだ。
この日の細美は終始本当に楽しそうな顔でライブをしていたが、実際、細美はTOSHI-LOWと一緒にいる時はいつも本当に楽しそうな顔をしている。だからこそバンド仲間ではなく、友達と恥ずかしげもなく言える。なんていい関係性を築いている2人だろうか。
リハ.ベテルギウスの灯
1.The Ivy
2.The Flare
3.Storm Racers
4.Thirst
5.Unhurt
6.Lone Train Running
7.Insomnia
8.紺碧の夜に
9.Silver Birch
Insomnia
http://youtu.be/FD3Sbsf0b1w
19:30~ BRAHMAN [右往STAGE]
そしてこの2日間の豪華な出演者たちによるライブを締め括るべく、BRAHMANがついにステージへ。歴史を辿るような映像が流れると、すぐさまKOHKI(ギター)、MAKOTO(ベース)、RONZI(ドラム)の3人は演奏を始め、のっそりとTOSHI-LOWもステージに現れる。
まさに今も失われていない衝動を鳴らす「初期衝動」でスタートすると、
「20周年!幕張メッセ!尽未来際!お祝い!されるのは俺たち!BRAHMAN始めます!」
と言って「THE ONLY WAY」からはまさしく肉体と魂を削りまくるような圧巻のライブをまざまざと見せつける。前日にTOSHI-LOWが曲げたマイクスタンドはさらに曲がっている。
「映画ブラフマン」の主題歌である「其限」ではKOHKIのイントロのギターリフで大歓声が上がる。もしかしたら、この曲で、あの映画でBRAHMANのことを知った人もここにたくさんいたのかもしれない。
普段、モニターのある会場では福島第一原発で作業する人々の映像が映し出される「鼎の問」ではこの日は映像は使われず、これまでの曲と同じように演奏するメンバーの姿が映し出される。だからこそ、TOSHI-LOWがこの曲を歌っている時の顔、演奏しているメンバーの顔がはっきりとわかる。その姿は本当に伝えたい思いがあるということがわかるくらいに壮絶なものだった。
中盤からは近年のライブではあまり演奏されないような曲も演奏されていくが、DISC1の収録曲を収録順に演奏した前日同様、この日はベストアルバムのDISC2の収録曲が収録順に演奏されていく。
ただ代表曲を並べるんじゃなく、この2日間に演奏する想定で曲を選び、曲順を決める。それをライブで聴いて、その意味がちゃんとわかって、ベストアルバムが完成する。こんなベスト、他に聞いたことがない。
もはや完全にマイクスタンドが折れ曲がってしまった状態での「警醒」ではTOSHI-LOWがやはり客席に突入し、ダイバーにもみくちゃにされながら、それを振り払いつつ歌う。
さらに続く「PLACEBO」ではTOSHI-LOWの逆サイドの客席に細美武士が突入してコーラスを歌う。この光景自体は京都大作戦でも見ているが、あの時よりもさらに沁みたのは、やはり「お祝いされるのは俺たちBRAHMAN」だからだろうか。しかしそれにしても細美は本当に歌がうまい。こんなに歌がうまい男をコーラスで迎えられるのはBRAHMANくらいだろう。
歌い終わって細美が客席から去ると、残ったTOSHI-LOWが
「この辺?クチビル(TAKUMA)が来たのこの辺?(笑)」
と口を開くと、
「昨日は出演者の年齢的にバックステージが臭かったんだけど(笑)、今日はそんなことないだろうと思ったのに、なんか臭い。エレカシかな?獣(MAN WITH A MISSION)かな?って思ったんだけど、なんか上の方から匂いがするな、と思ったら、これ(自身のドレッドヘア)。このバンド始めた時にドレッドだったんだけど、その頃は臭わなかったのに」
と自身の髪型ネタで笑わせるも、
「20年前、何もわからないままバンドを始めた。何もわからないから、一個だけルールを決めた。どんなライブでも、これが最後だ、これで歌うのが最後だ、って思ってやってきた。
何も持たない旅のようだった。船に乗る時に航海図を持たない奴はいない。本格的な山登りをする時にコンパスを持たない奴はいない。
俺たちの旅は、ステージ袖にいるバンドたちが、俺たちのライブをどんな顔で見ているんだろうってのを航海図にした。
目の前で暴れている奴らや、奥の方で真剣に見てくれている奴らの顔をコンパスにした。俺たちを前に進ませてくれて、本当にありがとう」
と真剣な顔で言うと、大きな拍手が起き、
「津波に飲まれて復興しようとしてる街で、土砂災害にあった街で、放射能に汚染されてしまった街で、都会で、お前たちの住んでいるど田舎で………」
と言ったところでTOSHI-LOWが言葉を詰まらせる。
「俺は20年間、怖くて次の言葉が言えなかった。言ってしまったら、次の瞬間には一瞬で会えなくなってしまって、約束を破ってしまうんじゃないか、って思ってしまって…。
でも、今日だけは言わせてくれ。また、お前たちの近くのライブハウスで会いましょう」
と、TOSHI-LOWは初めて、再開の約束をした。この言葉を、その後に響いた、今まで何度となくライブを見てきたこの会場で聞いた中で間違いなく1番大きかった拍手を、涙を流している周りの人達の姿を、自分は一生忘れないと思う。
そして、
「明日からまた21年目の若手、BRAHMAN始めます!変わらない日常、変わらない世界、昨日も今日も、まさに晴天の…」
と言って「霹靂」、そして近年のワンマンでは最後に演奏されることの多い、TOSHI-LOWの咆哮が響いた「虚空ヲ掴ム」で終了。
かと思いきや、
「震災後、初めてのアンコール!」
と言って始まったのは、昨日の1曲目だった「TONGFARR」。これは間違いなく、21年目の始まりとしての1曲目だった。
演奏を終えると、TOSHI-LOW、MAKOTO、KOHKIが(RONZIだけは座ってたのでわからない)、客席のみならず、左右のステージ袖でライブを見ていた出演者や関係者たちにも頭を下げた。
出演者のバンドマンたちにとって、BRAHMANのライブを見るということは、バンドを続けること、バンドをやることに向き合うということ。(それはエレカシのライブにも通じるところがある)
だからこそ彼らはBRAHMANの背中を追い続ける。
そしてバンドをやっていなくても、それは我々も同じ。BRAHMANのライブを見るということは、バンドの音楽とともに生き続けることと向き合うこと。きっと、自分を含めてこの日BRAHMANのライブを見た人達は、きっと一生そこに向き合いながら生きていくはず。
だからこそ、終演を告げる、この日出演したバンドの映像がモニターに流れると、どのバンドに対しても本当に大きな拍手が送られた。
1.初期衝動
2.THE ONLY WAY
3.賽の河原
4.THE VOID
5.露命
6.EPIGRAM
7.SPECURATION
8.其限
9.鼎の問
10.A WHITE DEEP MORNING
11.DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
12.CIRCLE BACK
13.(a piece of)BLUE MOON
14.遠国
15.FAR FROM…
16.CAUSATION
17.LOSE ALL
18.警醒
19.PLACEBO
20.霹靂
21.虚空ヲ掴ム
22.TONGFARR
霹靂
http://youtu.be/l_Jx3LHnJJM
初日も本当に楽しかったけど、やはり自分はこの日のほうが余韻が強く残っている。それはこの日の出演者たちが、紛れもなく同じ時代を生きてきたと思えるバンドたちだったから。
でもきっと、少し上の世代の人達にとっては初日の出演者たちがそういう存在になっているはず。そして、その2つを繋いでいるのがBRAHMAN。
そして何よりこの日のほうが余韻が強く残っているのは、やはりTOSHI-LOWが再開を約束してくれたから。これからも、何度だってライブハウスやフェス会場とかで会いましょう。
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JOHNSONS MOTORCAR (Opening Act)
HEY-SMITH
SiM
エレファントカシマシ
ACIDMAN
ストレイテナー
THE BACK HORN
MAN WITH A MISSION
10-FEET
the HIATUS
BRAHMAN
という、BRAHMANが近年ともにライブを行ったり、BRAHMANに影響を受けている中堅~若手バンドが出演。しかしこう並ぶととんでもない豪華さだ。
11:30~ JOHNSONS MOTORCAR (Opening Act) [右往STAGE]
昨日はなかったオープニングアクト枠。まだ午前中という早い時間に登場したのは、BRAHMANのメンバーとともにOverground Acoustic Undergroundのメンバーとして活動しているMARTIN(ボーカル&バイオリン)らによるバンド、JOHNSONS MOTORCAR。
MARTINも含め、ギターのBLACKOとベースのCOLEMANも外人で、紅一点ドラマーRINAMAMEが日本人という多国籍バンド。
バイオリンが入ってることもあり、アイリッシュ色の強い(実際にBLACKOはアイルランド人)パンクサウンドで、前日がひたすら暴れまくるようなバンドばかりだったこともあり、この踊れるサウンドは実に新鮮に聴こえる。
RINAMAMEが女性らしからぬパワフルなドラムと、ステージ前まで出てきて煽りまくるというアクションで客席は熱狂のダンスフロアと化すが、オープニングアクトということで持ち時間はかなり短め。およそ20分ちょっとで、本当にあっという間だった。
MARTINは去り際にメンバーに祝福の言葉を述べたが、やはり同じバンドのメンバーとして活動している男なだけに、その言葉には重みがあった。
ライブが終わったあと、その日のライブ音源を物販で売るという面白い試みも行っているとのこと。
Johny is a Rovin' Blade
http://youtu.be/pHYEmRrj9uA
12:00~ HEY-SMITH [左往STAGE]
メンバー脱退による活動休止を経て、今年の京都大作戦で新メンバーを迎えて活動再開を果たした、HEY-SMITH。
サポートメンバーのかなす(トロンボーン)、飯川(トランペット)を含めた総勢6人のメンバーが登場すると、「Endless Sorrow」から、ホーン隊が3人いることを最大限に生かした、陽性のスカパンクを連発していき、あっという間に客席はモッシュ、ダイブ、大合唱。新加入したYuji(ベース&ボーカル)の歌声も実に爽やかで、このバンドのサウンドに実に良く似合っている。
猪狩(ボーカル&ギター)は踊りまくり、満(サックス)も含めたホーン隊の3人は暴れまくりで曲を連発していくと、
「知ってる人も知らん人もいると思うけど、俺たちこの間まで1年間活動休止してて。辞めるかどうか悩んだこともあったけど、BRAHMANの姿にどれだけ勇気をもらったことか。今日、たくさんのバンドが出てるわけじゃなくて、少数精鋭の中に選ばれて、バンドを続けてきて、このステージに立てて本当に嬉しい」
と猪狩がこの日への思いを語る。
そして最後は再開の約束の歌とでも言うような「Goodbye To Say Hello」から、バンドの最も獰猛な代表曲と言ってもいいショートチューン、「Come back my dog」。
「前の方が良かったって言うやつも絶対いる。それなら思った通りに言ってくれ」
と猪狩は言っていた。メンバーチェンジ前のライブは数えられるくらいしか見れなかったが、前の方が良かった、とは全く思わない。むしろ進化しているとさえ感じる。
そして前日はSCAFULL KINGも出ていたが、スカパンクバンドが今も昔もBRAHMANの近くにいて、これだけ巨大な会場を満員にするような存在になっている。それもまた、このバンドがこの日にステージに立った理由の一つなんじゃないかと思う。
1.Endless Sorrow
2.Download Me If You Can
3.Living In My Skin
4.Like A Gentleman
5.Jump!!
6.DRUG FREE JAPAN
7.The First Love Song
8.We sing our song
9.True Yourself
10.Goodbye To Say Hello
11.Come back my dog
True Yourself
http://youtu.be/7XM0ndDBkl0
12:50~ SiM [右往STAGE]
自分たちのフェスの主催者であり、大型フェスでもメインステージのヘッドライナーをできるくらいの動員力のあるバンドが早くもこの時間に登場してくる。
勢いよくステージに駆け出してお立ち台に立って腕を高く上げたSHOW-HATEを筆頭にメンバーが登場。最後にゆっくりと登場したMAHは髪に赤く染まった部分が混じっている。
するとまさかのいきなりの「KiLLiNG ME」でスタート。ステージ上で暴れまくりながら演奏しているSHOW-HATEとSIN(ベース)だが、客席ももちろんいきなりダイブの嵐と暴れまくっている。
コーラス部分で大合唱となった最新シングル収録曲「CROWS」、MAHの妖艶な雰囲気が曲のイメージをさらに際立たせる「SACCUBUS」と続けると、
「よく90年代とか2000年代の初めは良かった、みたいなことを聞くけどさ。俺はエアジャムとかをこの目で見ることができなかったの。その当時、ライブハウスに行ったりしてなかったから。でもこうやって、BRAHMANに呼んでもらえて、ようやく同じ時代を生きてるなって思えて本当に嬉しいです」
とMAHがこのステージに立てたことを自分なりの言い方で伝えるが、世代的にこの発言には共感せざるを得ない。
「ぶっちゃけ、中指を立てたい先輩もいるよ!でもBRAHMANを見ると、いつもこの人たちみたいに生きていたいと思える」
と言うと、変わり果てたかつてのヒーローに中指を突き立てる「Fallen Idols」ではSHOW-HATEがシンセを演奏する。
さらに「Same Sky」の壮大なスケール感とMAHのボーカルがメッセの中に響き渡ると、
「両手を上げてくれー!手はグーで!」
と言って腕を交互に上げ下げしてモンキーダンスを全員で踊る「GUNSHOTS」、カオスな盛り上がりを見せた「Blah Blah Blah」と、「KiLLiNG ME」が最初に演奏されるのも納得のキラーチューン揃いっぷり。しかも「Amy」もやっていない。
そんな状況でトドメとばかりにMAHが客席を分ける仕草を見せてから演奏されたのは、ウォールオブデスを発生させたショートチューン「f.a.i.t.h」。
BRAHMANの一世代下のバンドとして、これからBRAHMANのバトンを受け取るのは俺たちだ、と言わんばかりの圧巻のライブ。カリスマ性という部分ではMAHはこの世代では最もTOSHI-LOWに近い存在だと言える。
1.KiLLiNG ME
2.CROWS
3.SACCUBUS
4.EXiSTENCE
5.Fallen Idols
6.Same Sky
7.GUNSHOTS
8.Blah Blah Blah
9.f.a.i.t.h
CROWS
http://youtu.be/cWPoczvmFQo
13:40~ エレファントカシマシ [左往STAGE]
この日の出演者の中では明らかに異色の存在であるエレカシ。それもそのはずで、BRAHMANより年も歴も上。1981年結成なので、そのキャリアはすでに30年以上にのぼる。
サポート2人を加えた6人編成というのは近年のものだが、キーボードが蔦谷好位置ではないのと、宮本(総合司会)が白シャツではなく、黒のロンTに黒のパンツという黒ずくめの姿。これによっていつもよりもさらに体型が細く見える。
近年はフェスでは代表シングル曲を並べることが多いが、いきなり「うつらうつら」というかなり渋いチョイス。序盤からエネルギーに満ち溢れている宮本の歌唱とアクションは、演奏中の高緑(ベース)をステージ前まで引っ張り出し、被っているハットを取って自らが被る。あとで石森(ギター)にも同じことをしたが、石森の時はサングラスまでも奪う。
2曲目はこれまでに聞いたことのない曲。かなり激しい演奏で、宮本も振り絞るようにして歌っていた曲だが、歌詞は情景描写的な表現が多かった。これはどうやらいよいよ発売間近となった、新作アルバム「RAINBOW」収録曲らしい。
宮本がアコギに持ち替え、椅子に座るではなく、椅子に足をかけるようにして歌い始めたのは、かつてエレカシのトリビュートアルバムでBRAHMANがカバーした「月の夜」。もう20年くらい前の曲だし、そんなに有名な曲でもないが、やはりBRAHMANのイベントということで、かつてカバーした曲に対するリアクションは実に良く、宮本が曲タイトルを言った段階で大きな歓声が起こった。
宮本が15年くらい前にエレカシとBRAHMANが赤坂BLITZで対バンした時、「音楽と楽屋にいた友達の数がすごかった(笑)」と思ったことを話して笑いを取ると、エレカシの中でもトップクラスに獰猛な「生命賛歌」と問答無用の名曲「悲しみの果て」、やはりテンポがめちゃくちゃ速くなっている「ガストロンジャー」を続け、
「君たちはなんていい奴らなんだ!」
と予想以上に全然アウェー感がないことに驚きながら、ラストは「ファイティングマン」「俺たちの明日」と、新旧の聴いてる人に勇気を与える曲の連発。
他のバンドはBRAHMANの背中を見てきたバンドたちだが、BRAHMANよりさらに10年先輩のエレカシは、BRAHMANが背中を見ているバンド。そんなバンドがこんなにも未だに現役感しかないライブをやっていて、新曲も絶え間なく作っているという頼もしさ。まだまだ上には上がいる。
しかし、フェスにおいてはいつになく獰猛な曲が多いのはエレカシなりのBRAHMANに対するリスペクトだろうか。
1.うつらうつら
2.RAINBOW
3.月の夜
4.生命賛歌
5.悲しみの果て
6.ガストロンジャー
7.ファイティングマン
8.俺たちの明日
悲しみの果て
http://youtu.be/0WZu7L7Hjds
14:30~ ACIDMAN [右往STAGE]
3人が登場して、大木(ボーカル&ギター)の
「今は一瞬しかない」
という挨拶代わりの言葉。1曲目の「Stay in my hand」。そのあとに演奏されていく代表曲の数々。いつも通りである。しかしながらいつもとは明らかに違う。いつもより圧倒的にエモいのである。
「今日が20年バンドを続けてきたBRAHMANと、俺たちの、一つの、ある証明!」
と言って中盤にあっさりピークに到達すると、続く「飛光」では間奏でなぜかいきなり大木がサトマ(ベース)と肩を組み出すという、何がどうしてこうなるのか全くわからない光景が目に映っている。肩を組んでいるということは当然その瞬間は楽器を弾けていない。
さらに「造花が笑う」とアッパーな流れでさらに加速していくのだが、
「よくファンの人に、「握手してください!」って言われることがあって。ありがとうございますって言って握手するんだけど。昔、「ファンなんですけど、MC全然しないのかっこいいですね!」って言われたことがあって。あれ?俺、デビュー当時から結構MCしてるぞ?誰かと間違えてんのかな?って思ったら…BRAHMANでした(笑)
一応、「ああ、MCとかって別にやる意味ないかなーって思うんですよ」って話合わせちゃったんだけど、あの時の人が今日いたらすいません、俺はBRAHMANじゃなくてACIDMANです」
と客席を爆笑させておいて、
「でも俺たちACIDMANとBRAHMANは名前も似てるけど、音楽性は全く違っていて。でも伝えようとしてることは同じだと思っています。
音楽って楽しいぜ、嬉しいぜ、音楽イエーイ!ってだけじゃなくて、悲しさとか苦しさとか、そういうのをちゃんと知ってて、人がいつか死んでいくっていうのもわかってる。好きな人も嫌いな人もいつか必ず死んでいく。
それでも空を見上げたら星がキレイだなって思える夜がある。そういうことを俺たちは伝えようとしてずっとバンドをやっている」
と着地させる。そしてそのあとの全てを包み込むかのような「世界が終わる夜」は本当に沁みたし、こういう場所でも自分たちの普段のライブ通りに、バラード曲で締めるという美学を貫いているあたりがこのバンドのブレなさを証明している。
1.Stay in my hand
2.FREE STAR
3.リピート
4.ある証明
5.飛光
6.造花が笑う
7.世界が終わる夜
ある証明
http://youtu.be/uJkTEn9CqCI
15:20~ ストレイテナー [左往STAGE]
4人揃ってのサウンドチェックで「ROCKSTEADY」を演奏するという、そういえばここまでの2日間、こういうことやってたバンドいなかったなということをやって早くも客席を温めたストレイテナー。
いつものSEで4人が登場すると、「From Noon Till Dawn」でスタート。OJは髪型がさっぱりし、ひなっちはどこかフォーマルさを感じる服装。
「BRAHMANのライブを初めて見たのは19歳の時の渋谷QUATTRO。あれから17年くらい経って、こうして肩を並べてライブができて本当に嬉しいです」
とホリエ(ボーカル&ギター)がこのステージに立てた喜びを語ると、続けざまにシンペイが
「俺たちストレイテナーですけど、BRAHMAN始めます!」
と言って演奏されたのはBRAHMAN「THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE」のカバー。今月リリースされたthe telephonesのトリビュートとは違って、原曲に忠実でありながらも、ひなっちのベースの音数の多さなどからは、やはり本家よりも緻密な演奏のイメージを受ける。
さらにそのシンペイがドラムセットの上に立ち上がり、
「尊敬できる3人の先輩と、酒を飲んでなければ尊敬できる1人の先輩。そしてその先輩のライブで暴れている、幕張メッセのバーサーカーたちに捧げる!」
と言って「BERSERKERTUNE」へ。OJがイントロでコサックダンスのように足を動かすのはもはやこの曲でのおなじみ。
さらに意外なサウンドのイントロから王道的なメロディへガラッと変わる最新シングル「DAY TO DAY」、ダンスチューン「DISCOGRAPHY」と続くと、
「アッパーな曲で押し切ろうかとも思ったんですけど、TOSHI-LOWが「あの曲やんないの?」って言うから」
と言い、さらに前日にパリで起きたテロのことに言及してから演奏したのは、反戦歌「NO ~命の跡に咲いた花~」。
ホリエは以前はこういうことを全く口にしなかったし、反戦歌と正面から言って歌うようなことはしなかった。むしろそういうところは同世代のアジカン・ゴッチらに任せていると思うようなところもあった。しかし近年こういうことを自分の口から言うようになったのは、現在の政治や社会情勢もあると思うけど、BRAHMANの姿を見ているというのも少なからずあると思う。
そしてラストはメンバー紹介からの「Melodic Storm」で爽やかな合唱という風を吹かせて終了。
ここまでのバンドが様々な形でBRAHMANのリスペクトを示してきたが、カバーという最もわかりやすい形でそれを示したこのバンドはやはりさすが。
リハ.ROCKSTEADY
1.From Noon Till Dawn
2.THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE
3.BERSERKERTUNE
4.DAY TO DAY
5.DISCOGRAPHY
6.NO ~命の跡に咲いた花~
7.Melodic Storm
DAY TO DAY
http://youtu.be/qI306Q05xPY
16:10~ THE BACK HORN [右往STAGE]
TOSHI-LOWの1番の舎弟としてこれまでに様々な無理難題を押し付けられ、無茶振りをさせられまくってきた男、松田(ドラム)率いるTHE BACK HORN。
「声」「刃」と代表曲を続けるスタートだが、やはりこのバンドの持つ「和」の情緒を強く感じられるギターサウンドや歌詞などはこれだけ豪華な出演者が並んでいる日でも唯一無二。
最新シングル「悪人」から一転してその名の通りに美しいバラード「美しい名前」に続けるという流れから、
「俺たちはBRAHMANと7~8年前からよく一緒にツアー回ったりしてるんですけど、その度に「お前のMCは本当になんの脈絡もないことを2~3分ベラベラ喋りやがって」と言われるので、今日は言うことを事前に用意してきました」
と松田が話し始めると、この日のために作った、BRAHMANのチャンピオンベルトを掲げ、BRAHMANに捧げる。するとステージにTOSHI-LOWが登場し、山田(ボーカル)に巻いてもらい、プロレスの武藤ポーズを決めてTOSHI-LOWは実に満足そうな顔でステージを去っていく。
その後はバンド自身のことを歌ったかのような「その先へ」、ダイバー続出で栄純(ギター)の意味不明なダンスやアクションが炸裂しまくる「コバルトブルー」、そしてBRAHMANとこのバンドの未来を祝うかのように鳴らされた「シンフォニア」で終了。
TOSHI-LOWと松田が音楽と人のDVDで対談(というか飲み会)した時、
TOSHI-LOW「俺がお前じゃなくてKEYTALKの4人とか引き連れて歩いてたら嫌だろ?(笑)」
松田「それは…確かに嫌ですねぇ(笑)」
という会話を繰り広げていたが、果たしてこの2人の関係性はいつまで続くのだろうか。
1.声
2.刃
3.悪人
4.美しい名前
5.その先へ
6.コバルトブルー
7.シンフォニア
シンフォニア
http://youtu.be/uGA8WzwAi18
17:00~ MAN WITH A MISSION [左往STAGE]
時間前から白覆面の男たち、ヴェダースがサウンドチェックで「distance」、ニルヴァーナのカバー「Smells Like Teen Spirit」を演奏して客席を揺らしてから登場した、MAN WITH A MISSION。TOSHI-LOWが日頃から「中のおっさんたち」といじったりする相手である。
いきなりの「Emotions」でその名の通りにエモくスタートすると、ジャン・ケン・ジョニー(ボーカル&ギター)が煽りまくって、「Get Off of My Way」ではステージ上で跳んだり跳ねたりしているトーキョー・タナカ(ボーカル)がとともに観客が一斉に両手を交互に上げ下げするダンスを踊る。
エレクトロ要素を取り入れた「Dive」を挟むと、最新シングル「Raise your flag」からはキラーチューン揃いのクライマックスへ。DJサンタモニカの目が光るギミックも使用され、ラストはタナカがステージを降りて客席に突入して歌うという、今思うとこれもTOSHI-LOWの影響によるものなのだろうかというパフォーマンスの「FLY AGAIN」で終了。
しかしながらこれだけ豪華な出演者が並んだこの日のイベントにおいても、動員力、客席の盛り上がりと誰もが曲を知ってる感はずば抜けていた。狼のルックスだけではなく、曲のキャッチーさ、ライブで見ている人みんなを巻き込める演奏力とパフォーマンス。瞬く間に日本最大級のバンドになっただけに、これからはどうなるんだろうか。
リハ1.distance
リハ2.Smells Like Teen Spirit
1.Emotions
2.Take What U Want
3.Get Off of My Way
4.Dive
5.Raise your flag
6.Seven Deadly Sins
7.FLY AGAIN
Raise your flag
http://youtu.be/PiQpGzYMVos
17:50~ 10-FEET [右往STAGE]
パンク・ラウド系のバンドのこういう場には必ずといっていいほどに毎回名を連ねている、10-FEET。それだけいろんなバンドからの信頼が厚いという証である。
普段はフェスでも本編でやっているような曲をサウンドチェックでやっていたので、あれ?っと思っていると、実際にいつものSEが鳴ってメンバーが登場(TAKUMAは黒髪になっている)しても、熱い演奏でいきなりダイバーの嵐となっているのだが、何やら間奏でTAKUMAとNAOKIがこそこそと耳打ちしながら楽器を弾いている。
「今、BRAHMAN40歳くらいやねん。20代とか30代のやつってどれくらいおる?(観客の大半が手を挙げる)
おー、良かったな。おっさんおばさんになるのが決してネガティヴなことじゃないってわかるやろ」
と言って「VIBES BY VIBES」を演奏するのだが、曲を終えるとTAKUMAがなんとステージを降りていって、客席に突入。しかも観客に支えられながらマイクを持って話そうとする様はまさしくTOSHI-LOWのそれである。実際に誰がどう聞いても完全にTOSHI-LOWのモノマネ口調で、
「TOSHI-LOWは性格が悪ぃ。俺が初めてあいつに会った時、まだお互いにどんな人間か全然知らねえのにあいつは俺のことを笑いながら追いかけ回してきやがった。(場内爆笑)
それからお互いにどんな人間か理解して、俺たちが毎年京都で頑張っている京都大作戦に毎年オファーした。なのに全然出てくれない(笑)
返事をする時にあいつはいつも決まってこう言った。
「出るタイミングはある。京都大作戦がどんなフェスで、どんなに素晴らしいかも知ってる。でもあの、台風でごめんな祭、とか、子供に戻りな祭、みたいな○○祭っていうふざけたサブタイトルを付けるのをやめろ。そうしたら出てやる」
って。
今回のこのライブのオファーが来た時、俺たちはかなり早めにOKを出した。そしたらこのライブのタイトル、「BRAHMAN 20周年 尽未来際 ~尽未来祭~」。自分がやってんじゃねーか!(場内大爆笑)」
とTOSHI-LOWをいじりまくったMCで会場を笑いの渦に叩き込む。いったいこの男はどれだけTOSHI-LOWのMCを見ているんだろうか、というくらいの似せっぷりだった。
TAKUMAがステージに戻ると、代わりにNAOKIがステージを降りていこうとするも、
「NAOKIも言いたいことあるやろうけど、時間ないから」
という理由でステージを降りることなく戻される。
そんな流れでやる曲とは思えない「RIVER」ではTAKUMAはやはり「流れ行く あの花見川~」と幕張バージョンに歌詞を変えて歌い、さらには唐突にBRAHMAN「SEE OFF」のカバーまでやってしまう。NAOKIのコーラスが声が高すぎるので、あの原曲の重さは感じないが、スリーピースアレンジで演奏されたことも含め、実に10-FEETらしかった。
さらに「その向こうへ」ではTAKUMAが明らかにTOSHI-LOWの真似であろう、右手を客席に差し出すようにして歌う。
「BRAHMANのことが大好きなやつー!」
と叫んで大歓声を浴びていたTAKUMAこそがBRAHMANが間違いなく大好きすぎる。
しかし、ここでいきなりTAKUMAがシリアスな空気になり、
「震災が起きたあと、いろんな有名人とかミュージシャンが、支援物資を運んだり、寄付をしたりした。それに対して、偽善っていう声もたくさん上がっていた。
どこまでが偽善で、どこからが偽善じゃないのか。そんなことはわからん。やってる本人たちもわかってないかもしらん。でも、例えそれが偽善だったとしても、その行動で救われた人はたくさんいる。
TOSHI-LOWはよく、「行動」っていう。本音とか、気持ちより先に行動だと。その行動をすることによって、もしかしたら最初は偽善だったかもしれないことにも、気持ちがついてくるかもしれん。
それは友達に対しても同じやで。友達が落ち込んでいる時、もしそう思ってなかったとしても、建前だったとしても、「元気出しーや」と声をかけてやる。その友達は言った人の本音なんかわからん。でもその言葉をかけられたことで救われるかもしれん。気持ちは後でついてくるかもしれんから、まずは声をかけてやる。行動する。TOSHI-LOWはずっとそれを貫いている」
と、普段からそういったことをよく口にするTAKUMAが言うからこそ説得力のある話をする。あれだけ笑わせておきながら、最後には泣かせるようなことを言う。その両面があるから、10-FEETは多くの人に愛される。
だからこそ、今までも何度となく最高の景色を見せてくれて、最高の思い出を残してくれた「goes on」は、この日も過去最高と言っていいくらいに最高な景色を見せてくれた。
リハ1.SHOES
リハ2.STONE COLD BREAK
1.JUNGLE
2.VIBES BY VIBES
TAKUMAのTOSHI-LOWモノマネMC
3.RIVER
4.1sec
5.SEE OFF (BRAHMANのカバー)
6.その向こうへ
7.goes on
goes on
http://youtu.be/ZQKHPtl2mI8
18:40~ the HIATUS [左往STAGE]
近年は細美武士がTOSHI-LOWとthe LOW-ATUSやエセタイマーズとしてTOSHI-LOWと行動を共にするなど、公私ともに最大の理解者となっている。
その細美武士率いるthe HIATUSはサウンドチェックの段階で「ベテルギウスの灯」を演奏すると、サウンドチェックなのにダイバーが続出するという、信じられない光景が広がる。
メンバーが再びステージに登場すると、「The Ivy」「The Flare」と、それぞれは複雑な演奏なのに重なり合うことによってキャッチーになるバンドサウンド、この広い会場をそれだけで支配できるんじゃないかというくらいに大きく響き渡る細美武士の咆哮と歌声。
今年は細美がMONOEYESを始動させ、現在はそちらでツアーを回っているが、HIATUSが勘を失ったりバラバラになることは一切ない。
「Thirst」「Unhurt」と現状の最新アルバム「Keeper Of The Flame」からの曲では細美がハンドマイクで飛び跳ねながら歌い、
「昨日もとんでもないことが次々に起こって。なんで俺たちは昨日じゃなかったんだろう、って思ったけど、今日はBRAHMANの背中を見てきたバンドばかりが集まってて。そうやって昨日と今日で上の世代と下の世代をBRAHMANが繋げていて。
さっきロンちゃん(RONZI)に会った時、BRAHMANがこんなにいろんな世代の人をつなぐ存在になるって想像してた?って聞いたの。そしたら
「いやー、好き勝手やってきただけだからねぇ」
って言ってたんだけど、BRAHMANが好き勝手やるだけでこんなに上と下と横がどんどん繋がって来るんなら、これからの20年も好き勝手やり続けてください。
奇しくもこの幕張メッセの9~11ホールはウエノさんがやってたミッシェル・ガン・エレファントが最後にライブをやった場所であり、ELLEGARDENが活動休止前にやった1番大きい会場です。すべて繋がっているんだなって」
とBRAHMANに実に細美らしい言葉でエールを送る。
「Lone Train Running」では柏倉のドラムと伊澤のキーボードがこれまでとは明らかに異なるさらに激しく進化したアレンジを見せ、「Insomnia」では細美の「Save me」の圧倒的な歌唱にただただ圧倒される。
「BRAHMAN、最強に見えるでしょ?日本で1番強く見えるでしょ?でも俺はあいつらとは友達だから、弱ったり悩んだりしてるところも何度も見てる。そんな時にあいつらをステージに立たせてるのは、お前らの声と、暴れてる姿だよ。俺たちも出来る限り力を貸すからさ、みんなこれからもBRAHMANをよろしくお願いします!」
と、「友達」の細美だからこそ知るBRAHMANの姿を語ったあとの「紺碧の夜に」は一層響いたし、
「俺はでかい会場でやるのはそんなに好きじゃないんだけど、今日は初めてかもしれないってくらいに楽しいです!」
と言ってからの「仲間の歌」こと「Silver Birch」で細美は歌いながら
「ヤバい、終わりたくない!」
と叫んだ。
この日の細美は終始本当に楽しそうな顔でライブをしていたが、実際、細美はTOSHI-LOWと一緒にいる時はいつも本当に楽しそうな顔をしている。だからこそバンド仲間ではなく、友達と恥ずかしげもなく言える。なんていい関係性を築いている2人だろうか。
リハ.ベテルギウスの灯
1.The Ivy
2.The Flare
3.Storm Racers
4.Thirst
5.Unhurt
6.Lone Train Running
7.Insomnia
8.紺碧の夜に
9.Silver Birch
Insomnia
http://youtu.be/FD3Sbsf0b1w
19:30~ BRAHMAN [右往STAGE]
そしてこの2日間の豪華な出演者たちによるライブを締め括るべく、BRAHMANがついにステージへ。歴史を辿るような映像が流れると、すぐさまKOHKI(ギター)、MAKOTO(ベース)、RONZI(ドラム)の3人は演奏を始め、のっそりとTOSHI-LOWもステージに現れる。
まさに今も失われていない衝動を鳴らす「初期衝動」でスタートすると、
「20周年!幕張メッセ!尽未来際!お祝い!されるのは俺たち!BRAHMAN始めます!」
と言って「THE ONLY WAY」からはまさしく肉体と魂を削りまくるような圧巻のライブをまざまざと見せつける。前日にTOSHI-LOWが曲げたマイクスタンドはさらに曲がっている。
「映画ブラフマン」の主題歌である「其限」ではKOHKIのイントロのギターリフで大歓声が上がる。もしかしたら、この曲で、あの映画でBRAHMANのことを知った人もここにたくさんいたのかもしれない。
普段、モニターのある会場では福島第一原発で作業する人々の映像が映し出される「鼎の問」ではこの日は映像は使われず、これまでの曲と同じように演奏するメンバーの姿が映し出される。だからこそ、TOSHI-LOWがこの曲を歌っている時の顔、演奏しているメンバーの顔がはっきりとわかる。その姿は本当に伝えたい思いがあるということがわかるくらいに壮絶なものだった。
中盤からは近年のライブではあまり演奏されないような曲も演奏されていくが、DISC1の収録曲を収録順に演奏した前日同様、この日はベストアルバムのDISC2の収録曲が収録順に演奏されていく。
ただ代表曲を並べるんじゃなく、この2日間に演奏する想定で曲を選び、曲順を決める。それをライブで聴いて、その意味がちゃんとわかって、ベストアルバムが完成する。こんなベスト、他に聞いたことがない。
もはや完全にマイクスタンドが折れ曲がってしまった状態での「警醒」ではTOSHI-LOWがやはり客席に突入し、ダイバーにもみくちゃにされながら、それを振り払いつつ歌う。
さらに続く「PLACEBO」ではTOSHI-LOWの逆サイドの客席に細美武士が突入してコーラスを歌う。この光景自体は京都大作戦でも見ているが、あの時よりもさらに沁みたのは、やはり「お祝いされるのは俺たちBRAHMAN」だからだろうか。しかしそれにしても細美は本当に歌がうまい。こんなに歌がうまい男をコーラスで迎えられるのはBRAHMANくらいだろう。
歌い終わって細美が客席から去ると、残ったTOSHI-LOWが
「この辺?クチビル(TAKUMA)が来たのこの辺?(笑)」
と口を開くと、
「昨日は出演者の年齢的にバックステージが臭かったんだけど(笑)、今日はそんなことないだろうと思ったのに、なんか臭い。エレカシかな?獣(MAN WITH A MISSION)かな?って思ったんだけど、なんか上の方から匂いがするな、と思ったら、これ(自身のドレッドヘア)。このバンド始めた時にドレッドだったんだけど、その頃は臭わなかったのに」
と自身の髪型ネタで笑わせるも、
「20年前、何もわからないままバンドを始めた。何もわからないから、一個だけルールを決めた。どんなライブでも、これが最後だ、これで歌うのが最後だ、って思ってやってきた。
何も持たない旅のようだった。船に乗る時に航海図を持たない奴はいない。本格的な山登りをする時にコンパスを持たない奴はいない。
俺たちの旅は、ステージ袖にいるバンドたちが、俺たちのライブをどんな顔で見ているんだろうってのを航海図にした。
目の前で暴れている奴らや、奥の方で真剣に見てくれている奴らの顔をコンパスにした。俺たちを前に進ませてくれて、本当にありがとう」
と真剣な顔で言うと、大きな拍手が起き、
「津波に飲まれて復興しようとしてる街で、土砂災害にあった街で、放射能に汚染されてしまった街で、都会で、お前たちの住んでいるど田舎で………」
と言ったところでTOSHI-LOWが言葉を詰まらせる。
「俺は20年間、怖くて次の言葉が言えなかった。言ってしまったら、次の瞬間には一瞬で会えなくなってしまって、約束を破ってしまうんじゃないか、って思ってしまって…。
でも、今日だけは言わせてくれ。また、お前たちの近くのライブハウスで会いましょう」
と、TOSHI-LOWは初めて、再開の約束をした。この言葉を、その後に響いた、今まで何度となくライブを見てきたこの会場で聞いた中で間違いなく1番大きかった拍手を、涙を流している周りの人達の姿を、自分は一生忘れないと思う。
そして、
「明日からまた21年目の若手、BRAHMAN始めます!変わらない日常、変わらない世界、昨日も今日も、まさに晴天の…」
と言って「霹靂」、そして近年のワンマンでは最後に演奏されることの多い、TOSHI-LOWの咆哮が響いた「虚空ヲ掴ム」で終了。
かと思いきや、
「震災後、初めてのアンコール!」
と言って始まったのは、昨日の1曲目だった「TONGFARR」。これは間違いなく、21年目の始まりとしての1曲目だった。
演奏を終えると、TOSHI-LOW、MAKOTO、KOHKIが(RONZIだけは座ってたのでわからない)、客席のみならず、左右のステージ袖でライブを見ていた出演者や関係者たちにも頭を下げた。
出演者のバンドマンたちにとって、BRAHMANのライブを見るということは、バンドを続けること、バンドをやることに向き合うということ。(それはエレカシのライブにも通じるところがある)
だからこそ彼らはBRAHMANの背中を追い続ける。
そしてバンドをやっていなくても、それは我々も同じ。BRAHMANのライブを見るということは、バンドの音楽とともに生き続けることと向き合うこと。きっと、自分を含めてこの日BRAHMANのライブを見た人達は、きっと一生そこに向き合いながら生きていくはず。
だからこそ、終演を告げる、この日出演したバンドの映像がモニターに流れると、どのバンドに対しても本当に大きな拍手が送られた。
1.初期衝動
2.THE ONLY WAY
3.賽の河原
4.THE VOID
5.露命
6.EPIGRAM
7.SPECURATION
8.其限
9.鼎の問
10.A WHITE DEEP MORNING
11.DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
12.CIRCLE BACK
13.(a piece of)BLUE MOON
14.遠国
15.FAR FROM…
16.CAUSATION
17.LOSE ALL
18.警醒
19.PLACEBO
20.霹靂
21.虚空ヲ掴ム
22.TONGFARR
霹靂
http://youtu.be/l_Jx3LHnJJM
初日も本当に楽しかったけど、やはり自分はこの日のほうが余韻が強く残っている。それはこの日の出演者たちが、紛れもなく同じ時代を生きてきたと思えるバンドたちだったから。
でもきっと、少し上の世代の人達にとっては初日の出演者たちがそういう存在になっているはず。そして、その2つを繋いでいるのがBRAHMAN。
そして何よりこの日のほうが余韻が強く残っているのは、やはりTOSHI-LOWが再開を約束してくれたから。これからも、何度だってライブハウスやフェス会場とかで会いましょう。
Next→ 11/18 くるり @新木場STUDIO COAST
