チャットモンチー 「チャットモンチーのすごい10周年 in 日本武道館!!!!」 @日本武道館 11/11
- 2015/11/11
- 23:14
2005年頃、初めてスカパーの音楽番組で見た、「ハナノユメ」のPV。イントロのギターの音に撃ち抜かれた。その直後に発売された、「chatmonchy has come」を聴いて、すぐさま虜になった。その時画面で見たメンバー3人は、本当に田舎のバンド少女というような見た目で、橋本絵莉子は中学生かと思うような幼い外見だった。(その直後に、そのチャットモンチーをプロデュースしたのが、解散してからほどなかった、スーパーカーのいしわたり淳治だということを雑誌で知る)
それから10年。ドラムの高橋久美子の脱退や、橋本の結婚と出産など、様々なことがあった10年間。その10周年記念ワンマンの舞台は日本武道館。2ndアルバム「生命力」リリースツアーの後に行われた初武道館以来、実に7年半ぶりくらいとなる日本武道館ワンマンである。
立ち見までぎっしり埋まった客席、他のバンドの武道館ライブよりはやや広めに作られた白いステージには、左右にそれぞれキーボードが、中央奥には2台のドラムセットがセッティングされているのが現在のチャットモンチーの編成を表している。
開演時間の18時半を15分ほど過ぎた頃に会場が暗転すると、まずはサポートメンバーの恒岡章(ドラム)、シモリョー(キーボード&ギター)、北野愛子(ドラム)、世武裕子(キーボード)の4人が全員ステージに揃い、恒岡と北野がツインドラムを叩き始める。そのビートは紛れもなく「あの曲」のもの。
しかしながら、肝心の橋本と福岡晃子の2人はなかなかステージに出てこないな、と思っていると、ステージ中央の下から巨大な風船を支えるようにして2人がせり上がってくる。その巨大な風船を割ると、中に入っていた色とりどりの小さな風船が飛び、2人がギターとベースを持つと、橋本がドラムのビートに合わせて、
「薄い紙で指を切って 赤い赤い血がにじむ」
と歌い出したのは、デビューミニアルバムの1曲目、つまりチャットモンチーの10年の始まりの曲といえる「ハナノユメ」。3人編成当時はギター1本では再現できていなかったサウンドをシモリョーがギターで加わることによって再現し、さらにはツインドラムと世武のキーボードが現在のチャットモンチーとしてのアレンジを加える。
さらに「8cmのピンヒール」も6人編成で演奏されたのだが、かたやHi-STANDARDのメンバーとして激しい2ビートのパンク、メロコアの曲を叩き続けてきた恒岡と、かたやyour gold,my pinkなど、オルタナティブなバンドでドラムを叩いてきた北野が同じフレーズをブレることなく叩いている。
そのまま「今日だけは、幸せだって叫んでくれー!」とアッコが言って始まった「シャングリラ」と、序盤から代表曲を連発していく。かつてはこの曲はワンマンではだいたいクライマックスで演奏されていた。
するとサポートメンバーが恒岡だけになり、
「ここからは3ピース時代の曲を3人でやりたいと思います!」
と言って、恒岡を含めた3人編成で演奏されたのは「親知らず」。イントロの橋本のギターのフレーズが鳴らされただけで大歓声が起こるが、やはり恒岡がドラムということで、かつての3人編成時代よりも勢いがある演奏に感じる。
そのままの編成で橋本がノイジーなギターをかき鳴らし始めたのは、まさかの「湯気」。かつてはワンマンではたびたび演奏されていた、カップリングにするにはもったいないくらいの名曲が、この武道館のステージで鳴らされるのをまた見れる日が来るなんて思ってもいなかった。テンポが早いギターロックな曲なだけに、恒岡のドラムとの相性はバッチリだ。
するとドラムが恒岡から北野に交代し、橋本のゆらぐようなギターから始まったのは「染まるよ」。北野のドラムも含め、それまでの勢いで突っ走るような空気から一変して、繊細な演奏と空気が会場を包み込む。
7年半前の武道館では2日目に、「新しい生活を始める人への応援歌」として最後の最後に演奏された「東京ハチミツオーケストラ」もこの序盤の段階で演奏されるが、橋本が客席のアリーナから2階席、右から左までを見回しながらその澄んだ歌声を響かせる。これにはどこか、一直線に前を見つめていたかつてとは異なり、母親になったことによる母性のようなものを感じた。
会場が暗くなるとステージからメンバーがいったん全員いなくなり、この日の朝に録音した、2人が車に乗って武道館へ移動している最中の会話が流される。これは久美子が脱退して2人になった直後のツアーで行われていた、録音MCの手法を再びやってみたものだが、「11/11の11時11分11秒だ!」という瞬間に歓喜する様が実にこの2人らしい。
録音MCの最後は武道館の敷地に入り、早い時間から物販の列に並んでいるファンの姿を見ながら会場入りするというものだが、
「なんか聞いた事のあると音が聞こえてきたぞー!」
とアッコが言ってステージにライトが照らされると、「変身」のイントロのキラキラしたギターフレーズが会場に流れ、先ほどまでメンバーが立っていたステージの前に、2人編成用の小さいステージがせり上がり、すでに2人はそこにいて、橋本がドラム&ボーカル、アッコがベースという編成(ギターは打ち込み)で「変身」へ。
「待ち合わせは… 7年半ぶりの日本武道館!」
とアッコが歌詞を変えて叫ぶ。2人になってから何度となくライブで聴いてきたこの曲(時にはgroup_inouによるリミックスバージョンでも)も、これまでで最も今、ここで鳴らされるべき曲のように感じる。
そんな感じで、録音MCは2人編成で演奏する布石だったわけだが、橋本がギターでアッコがドラムという激しいサウンドの「きらきらひかれ」、観客にコーラスの練習をさせてから橋本がキーボード、アッコがドラムの「ウタタネ」と、2人だけであっても編成とサウンドは毎曲変わる。
「2人でやることにしたきっかけは、羽田空港でアッコちゃんが急に、「私ドラムやる!」って言い出したから」
と橋本は説明したが、結果的にアッコのドラムのみならず、橋本もドラムを叩くことにもなったし、2人それぞれの音楽的スキルと曲のアレンジの幅は、2人になったことで大きく広がっている。
2人時代のライブを見ていた時、自分は毎回泣きそうになりながら見ていた。それは決して「変わってしまった」というネガティヴなものではなく、どんな形であれ、2人の「絶対バンドを続けてやる」という決意のようなエモさがステージから溢れ出ていたことによるものだが、新しい仲間を得た今は、実にフラットに2人編成でのライブを見ることができるようになった。
2人がミニステージから通常のステージに戻ると、そこには北野と世武の乙女団が。世武の美しいピアノと、ドキッとするような歌詞の「ときめき」「毒の花」とバラードと言っていい曲が続くと一転してアッコの力強いベースに大歓声が上がる「Last Love Letter」で、乙女団の2人はステージを去る。
入れ替わりで恒岡とシモリョーの男陣が登場すると、「真夜中遊園地」からシモリョーが飛び跳ねながらキーボードを演奏する「こころとあたま」とアッパーな曲が続く。この乙女団のバラードと男陣のアッパーな曲との対比が実に面白いし、こうしてサポートメンバーが分かれている意味を感じる。
すると2人時代の「満月に吠えろ」も4人編成で演奏され、橋本に合わせて観客がこの曲のダンスを踊り、思わず「素晴らしい!」と叫び、アッコに合わせて観客も文字通り満月に吠える。
観客からの声援に応えながらも、あまり長いMCはしなかった中(MCだけは一向に上手くならないので、しなくて良かったかも)、サポートメンバーが勢ぞろいして、冒頭と同じく6人編成になると、7年半前には新曲として初披露された「風吹けば恋」を久々に演奏し、最後はこのメンバーで作った最新アルバム「共鳴」からの「きみがその気なら」。シモリョーに合わせて観客が手を叩き、世武のキーボードが美しいメロディを彩る中で終了。
アンコールでは橋本とアッコの2人だけでこの日のライブTシャツに着替えて登場すると、来年2月に地元徳島で行われる、主催フェスの話をし、
「チャットモンチーが10年っていうことは、みんなも10年経っていろいろあったっていうことで。でもみんながこうやって来てくれて、明日から頑張ろうっていう気持ちになってくれたらこれ以上嬉しいことはないです」
というアッコの言葉に橋本も「泣きそうになるから」と感情をあらわにすると、まだ作ったばかりという新曲を初披露。タイトルも決まってなければ、歌詞も曲自体も変わるかもしれないし、アレンジで全然変わるかもしれないということで、まだ曲自体はなんとも言えないところも多いが、アッコがエイトビートのドラムを叩き、橋本が風景のことを歌ったような、実にシンプルな曲。果たしてどのような形で我々の元に届くのか。というかちゃんと形になるのか。
そしてそのまま「共鳴」の「ドライブ」へ。2人で演奏をし始めるも、最初のサビを終えるとサポートの4人が登場し、2人も小さいステージから元のステージに戻り、6人編成に。まさに2人で走り出したチャットモンチーという名の車に、途中で4人が乗ってライブという名のドライブに行くような演出。さらにステージからは風船が、天井からはメンバーと観客に感謝を示すかのようにハート型の紙が降り、一斉に会場が明るくなる中、いつもより長く、何度も何度も嚙み締めるようにアウトロのフレーズを演奏して、バンドの始まりの曲で幕を開け、最新の曲で幕を閉じるという、懐かしむだけではなく、きちんと前に進んでいるのが実によくわかる健全な形で10周年記念ライブの最後の曲の演奏を終えた。
先にサポートの4人が手を振りながらステージを去ると、橋本とアッコの2人が最後に残り、手をつないでステージを去って行った。
6人、4人、3人、そして2人。様々に編成を変えながら、10年の歴史を作ってきた代表曲や、久美子が脱退してからもう聴けないと思っていた曲まで。編成も変わったけど、チャットモンチーがカッコいいロックバンドであるということは出会った時からこれまでも、そしてこれからも絶対変わらないはず。
チャットモンチーがデビューするまで、自分は女性ボーカルの音楽を全く聴いていなかった。それは思春期男子特有の気恥ずかしさや自意識みたいなものもあったと思うが、チャットモンチーはそんな細かいことをぶっ飛ばすくらいに衝撃的にカッコよかった。もしチャットモンチーがいなかったら、ねごと(この日会場に来ていた)やSHISHAMOとかのガールズバンドも聞いてなかったかもしれない。
そしてそんな自分のようなやつの心境をリアルに代弁するように、
「爆音でチャットモンチーを聞いた 涙が もう涙がボロボロ溢れた
そんなことブランキー以来だから 思い切ってファンレター書いた」
という歌詞の曲でデビューした、忘れらんねえよを好きになったのはある意味必然だったんだと思う。
今後の予定を見ると、きっとチャットモンチーはこの後は来年の2月に地元の徳島で自身が開催するフェスまではほぼライブはやらないだろうから、バンドのホームに遠征してみるのもアリだよなぁとも思っている。その時には新しい動きも発表されているんだろうな。
1.ハナノユメ
2.8cmのピンヒール
3.シャングリラ
4.親知らず
5.湯気
6.染まるよ
7.東京ハチミツオーケストラ
8.変身
9.きらきらひかれ
10.ウタタネ
11.ときめき
12.毒の花
13.Last Love Letter
14.真夜中遊園地
15.こころとあたま
16.満月に吠えろ
17.風吹けば恋
18.きみがその気なら
encore
19.新曲
20.ドライブ
きみがその気なら
http://youtu.be/NvzyzI0wdUA
Next→ 11/14~15 BRAHMAN 尽未来際 @幕張メッセ
それから10年。ドラムの高橋久美子の脱退や、橋本の結婚と出産など、様々なことがあった10年間。その10周年記念ワンマンの舞台は日本武道館。2ndアルバム「生命力」リリースツアーの後に行われた初武道館以来、実に7年半ぶりくらいとなる日本武道館ワンマンである。
立ち見までぎっしり埋まった客席、他のバンドの武道館ライブよりはやや広めに作られた白いステージには、左右にそれぞれキーボードが、中央奥には2台のドラムセットがセッティングされているのが現在のチャットモンチーの編成を表している。
開演時間の18時半を15分ほど過ぎた頃に会場が暗転すると、まずはサポートメンバーの恒岡章(ドラム)、シモリョー(キーボード&ギター)、北野愛子(ドラム)、世武裕子(キーボード)の4人が全員ステージに揃い、恒岡と北野がツインドラムを叩き始める。そのビートは紛れもなく「あの曲」のもの。
しかしながら、肝心の橋本と福岡晃子の2人はなかなかステージに出てこないな、と思っていると、ステージ中央の下から巨大な風船を支えるようにして2人がせり上がってくる。その巨大な風船を割ると、中に入っていた色とりどりの小さな風船が飛び、2人がギターとベースを持つと、橋本がドラムのビートに合わせて、
「薄い紙で指を切って 赤い赤い血がにじむ」
と歌い出したのは、デビューミニアルバムの1曲目、つまりチャットモンチーの10年の始まりの曲といえる「ハナノユメ」。3人編成当時はギター1本では再現できていなかったサウンドをシモリョーがギターで加わることによって再現し、さらにはツインドラムと世武のキーボードが現在のチャットモンチーとしてのアレンジを加える。
さらに「8cmのピンヒール」も6人編成で演奏されたのだが、かたやHi-STANDARDのメンバーとして激しい2ビートのパンク、メロコアの曲を叩き続けてきた恒岡と、かたやyour gold,my pinkなど、オルタナティブなバンドでドラムを叩いてきた北野が同じフレーズをブレることなく叩いている。
そのまま「今日だけは、幸せだって叫んでくれー!」とアッコが言って始まった「シャングリラ」と、序盤から代表曲を連発していく。かつてはこの曲はワンマンではだいたいクライマックスで演奏されていた。
するとサポートメンバーが恒岡だけになり、
「ここからは3ピース時代の曲を3人でやりたいと思います!」
と言って、恒岡を含めた3人編成で演奏されたのは「親知らず」。イントロの橋本のギターのフレーズが鳴らされただけで大歓声が起こるが、やはり恒岡がドラムということで、かつての3人編成時代よりも勢いがある演奏に感じる。
そのままの編成で橋本がノイジーなギターをかき鳴らし始めたのは、まさかの「湯気」。かつてはワンマンではたびたび演奏されていた、カップリングにするにはもったいないくらいの名曲が、この武道館のステージで鳴らされるのをまた見れる日が来るなんて思ってもいなかった。テンポが早いギターロックな曲なだけに、恒岡のドラムとの相性はバッチリだ。
するとドラムが恒岡から北野に交代し、橋本のゆらぐようなギターから始まったのは「染まるよ」。北野のドラムも含め、それまでの勢いで突っ走るような空気から一変して、繊細な演奏と空気が会場を包み込む。
7年半前の武道館では2日目に、「新しい生活を始める人への応援歌」として最後の最後に演奏された「東京ハチミツオーケストラ」もこの序盤の段階で演奏されるが、橋本が客席のアリーナから2階席、右から左までを見回しながらその澄んだ歌声を響かせる。これにはどこか、一直線に前を見つめていたかつてとは異なり、母親になったことによる母性のようなものを感じた。
会場が暗くなるとステージからメンバーがいったん全員いなくなり、この日の朝に録音した、2人が車に乗って武道館へ移動している最中の会話が流される。これは久美子が脱退して2人になった直後のツアーで行われていた、録音MCの手法を再びやってみたものだが、「11/11の11時11分11秒だ!」という瞬間に歓喜する様が実にこの2人らしい。
録音MCの最後は武道館の敷地に入り、早い時間から物販の列に並んでいるファンの姿を見ながら会場入りするというものだが、
「なんか聞いた事のあると音が聞こえてきたぞー!」
とアッコが言ってステージにライトが照らされると、「変身」のイントロのキラキラしたギターフレーズが会場に流れ、先ほどまでメンバーが立っていたステージの前に、2人編成用の小さいステージがせり上がり、すでに2人はそこにいて、橋本がドラム&ボーカル、アッコがベースという編成(ギターは打ち込み)で「変身」へ。
「待ち合わせは… 7年半ぶりの日本武道館!」
とアッコが歌詞を変えて叫ぶ。2人になってから何度となくライブで聴いてきたこの曲(時にはgroup_inouによるリミックスバージョンでも)も、これまでで最も今、ここで鳴らされるべき曲のように感じる。
そんな感じで、録音MCは2人編成で演奏する布石だったわけだが、橋本がギターでアッコがドラムという激しいサウンドの「きらきらひかれ」、観客にコーラスの練習をさせてから橋本がキーボード、アッコがドラムの「ウタタネ」と、2人だけであっても編成とサウンドは毎曲変わる。
「2人でやることにしたきっかけは、羽田空港でアッコちゃんが急に、「私ドラムやる!」って言い出したから」
と橋本は説明したが、結果的にアッコのドラムのみならず、橋本もドラムを叩くことにもなったし、2人それぞれの音楽的スキルと曲のアレンジの幅は、2人になったことで大きく広がっている。
2人時代のライブを見ていた時、自分は毎回泣きそうになりながら見ていた。それは決して「変わってしまった」というネガティヴなものではなく、どんな形であれ、2人の「絶対バンドを続けてやる」という決意のようなエモさがステージから溢れ出ていたことによるものだが、新しい仲間を得た今は、実にフラットに2人編成でのライブを見ることができるようになった。
2人がミニステージから通常のステージに戻ると、そこには北野と世武の乙女団が。世武の美しいピアノと、ドキッとするような歌詞の「ときめき」「毒の花」とバラードと言っていい曲が続くと一転してアッコの力強いベースに大歓声が上がる「Last Love Letter」で、乙女団の2人はステージを去る。
入れ替わりで恒岡とシモリョーの男陣が登場すると、「真夜中遊園地」からシモリョーが飛び跳ねながらキーボードを演奏する「こころとあたま」とアッパーな曲が続く。この乙女団のバラードと男陣のアッパーな曲との対比が実に面白いし、こうしてサポートメンバーが分かれている意味を感じる。
すると2人時代の「満月に吠えろ」も4人編成で演奏され、橋本に合わせて観客がこの曲のダンスを踊り、思わず「素晴らしい!」と叫び、アッコに合わせて観客も文字通り満月に吠える。
観客からの声援に応えながらも、あまり長いMCはしなかった中(MCだけは一向に上手くならないので、しなくて良かったかも)、サポートメンバーが勢ぞろいして、冒頭と同じく6人編成になると、7年半前には新曲として初披露された「風吹けば恋」を久々に演奏し、最後はこのメンバーで作った最新アルバム「共鳴」からの「きみがその気なら」。シモリョーに合わせて観客が手を叩き、世武のキーボードが美しいメロディを彩る中で終了。
アンコールでは橋本とアッコの2人だけでこの日のライブTシャツに着替えて登場すると、来年2月に地元徳島で行われる、主催フェスの話をし、
「チャットモンチーが10年っていうことは、みんなも10年経っていろいろあったっていうことで。でもみんながこうやって来てくれて、明日から頑張ろうっていう気持ちになってくれたらこれ以上嬉しいことはないです」
というアッコの言葉に橋本も「泣きそうになるから」と感情をあらわにすると、まだ作ったばかりという新曲を初披露。タイトルも決まってなければ、歌詞も曲自体も変わるかもしれないし、アレンジで全然変わるかもしれないということで、まだ曲自体はなんとも言えないところも多いが、アッコがエイトビートのドラムを叩き、橋本が風景のことを歌ったような、実にシンプルな曲。果たしてどのような形で我々の元に届くのか。というかちゃんと形になるのか。
そしてそのまま「共鳴」の「ドライブ」へ。2人で演奏をし始めるも、最初のサビを終えるとサポートの4人が登場し、2人も小さいステージから元のステージに戻り、6人編成に。まさに2人で走り出したチャットモンチーという名の車に、途中で4人が乗ってライブという名のドライブに行くような演出。さらにステージからは風船が、天井からはメンバーと観客に感謝を示すかのようにハート型の紙が降り、一斉に会場が明るくなる中、いつもより長く、何度も何度も嚙み締めるようにアウトロのフレーズを演奏して、バンドの始まりの曲で幕を開け、最新の曲で幕を閉じるという、懐かしむだけではなく、きちんと前に進んでいるのが実によくわかる健全な形で10周年記念ライブの最後の曲の演奏を終えた。
先にサポートの4人が手を振りながらステージを去ると、橋本とアッコの2人が最後に残り、手をつないでステージを去って行った。
6人、4人、3人、そして2人。様々に編成を変えながら、10年の歴史を作ってきた代表曲や、久美子が脱退してからもう聴けないと思っていた曲まで。編成も変わったけど、チャットモンチーがカッコいいロックバンドであるということは出会った時からこれまでも、そしてこれからも絶対変わらないはず。
チャットモンチーがデビューするまで、自分は女性ボーカルの音楽を全く聴いていなかった。それは思春期男子特有の気恥ずかしさや自意識みたいなものもあったと思うが、チャットモンチーはそんな細かいことをぶっ飛ばすくらいに衝撃的にカッコよかった。もしチャットモンチーがいなかったら、ねごと(この日会場に来ていた)やSHISHAMOとかのガールズバンドも聞いてなかったかもしれない。
そしてそんな自分のようなやつの心境をリアルに代弁するように、
「爆音でチャットモンチーを聞いた 涙が もう涙がボロボロ溢れた
そんなことブランキー以来だから 思い切ってファンレター書いた」
という歌詞の曲でデビューした、忘れらんねえよを好きになったのはある意味必然だったんだと思う。
今後の予定を見ると、きっとチャットモンチーはこの後は来年の2月に地元の徳島で自身が開催するフェスまではほぼライブはやらないだろうから、バンドのホームに遠征してみるのもアリだよなぁとも思っている。その時には新しい動きも発表されているんだろうな。
1.ハナノユメ
2.8cmのピンヒール
3.シャングリラ
4.親知らず
5.湯気
6.染まるよ
7.東京ハチミツオーケストラ
8.変身
9.きらきらひかれ
10.ウタタネ
11.ときめき
12.毒の花
13.Last Love Letter
14.真夜中遊園地
15.こころとあたま
16.満月に吠えろ
17.風吹けば恋
18.きみがその気なら
encore
19.新曲
20.ドライブ
きみがその気なら
http://youtu.be/NvzyzI0wdUA
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