10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤 RADWIMPS / 米津玄師 @Zepp Tokyo 11/4
- 2015/11/05
- 19:00
今年でデビュー10周年となる、RADWIMPSが滅多にやらない対バンツアーを開催。「胎盤」と名付けられた今回のツアーには、アリーナ公演にはスピッツ、ONE OK ROCK、いきものがかりという大物が出演する一方、ツアー初日のこの日のZepp Tokyoの胎盤は米津玄師。大物というよりは、RADWIMPSを聴いて育ってきた世代である。
しかしRADWIMPSはこれまでずっと一緒に歩いてきたドラムの山口智史が病気のため、無期限休養を発表。サポートドラムを迎えることが発表されており、直前の海外ツアーもサポートドラマーを加えた4人で回ったということだが、「あの4人でのRADWIMPS」しか知らないだけに、不安も頭をよぎる。
・米津玄師
開演前から多くの観客が前へ前へと押し寄せる中、19時ちょうどくらいになると、会場が暗転し、堀正輝(ドラム)、須藤優(ベース)、中島宏(ギター)のサポートメンバーに続き、米津玄師が登場。米津本人は夏フェスまでの真っ白な服装とは異なり、カーキ色というような服を着ている。
すると浮遊感のあるイントロから、米津が力強く「1,2,3!」とカウントして「ゴーゴー幽霊船」からスタート。歌い終わりに
「初めまして!米津玄師です!よろしくお願いします!」
と挨拶する米津の口調も、「!」をつけざるを得ないくらいに力強い。
米津がハンドマイクで歌唱する「駄菓子屋商売」ではステージを動き回りながら歌うのだが、台の上に乗って歌ったりと、フロントマンらしさがさらに増してきている。
すると「メランコリーキッチン」、イントロで大歓声が上がった「アイネクライネ」「WOODEN DOLL」と「YANKEE」収録の名曲が次々に披露される。米津はファルセット歌唱こそやや不安定だが、その歌声と一挙手一投足は実に力強い。バンドの演奏、特に堀と須藤のリズム隊は相変わらず超強力なのだが、そこにバンドのグルーヴを確かに感じられるようになってきている。
「RADWIMPSは高校の時からずっと聴いていて。俺の音楽を聴けばわかると思うんだけど、かなり影響を受けています。だから俺にとっては偉大な父親みたいな。だからこうやって同じステージに立てるのが信じられないし、すごく嬉しい。
クソみたいな高校生だったにとってのヒーローみたいなバンドなんで、次からの曲も、RADWIMPSに捧げるつもりでやります。10周年おめでとうございます!」
と、RADWIMPSへの思いを語るが、この日の目に見える気合いの入りぶりは、その偉大な父親の前で下手なライブは絶対にできないという気持ちによるものもあったはず。
ボカロ時代の「パンダヒーロー」からは熱狂もバンドの奏でるBPMもさらに加速していき、「マトリョシカ」ではアウトロでのどんどんテンポが早くなっていく演奏がいつにも増して早くなっているように感じた。
すると中島にMCを任せて自身はいったん座って休憩。中島も米津とともにRADWIMPSをずっと聴いていたことを語るが、なんとか面白いMCをしようとはしていたものの、なかなか面白い話題は出てこず。2日前の大阪でのライブでもだいぶスベったらしい。
すると立ち上がった米津が、
「アルバムを出しまして。そのアルバムの曲をいくつかやろうと思います」
と言って、中島と須藤がシンセ、米津がハンドマイク歌唱で演奏が始まったのは、アルバムの先行シングル曲「アンビリーバーズ」。サビ前で米津がタムを連打して、
「今は信じない 残酷な結末なんて
僕らアンビリーバーズ 何度でも這い上がっていく」
と歌うサビの規模に溢れるフレーズは、アルバムを聴いたあとだとより一層響く。
そして米津がアコギに持ち替えて最後に演奏されたのは、「Bremen」の最後を飾る「Blue Jusmine」。「Bremen」の1曲目である「アンビリーバーズ」から一気に最後のこの曲に飛んだわけだが、やはり今の米津玄師にとって1番リアルなのはこの曲であるということがその歌声から響いてくる。それだけに、他の「Bremen」の収録曲も早くライブで聴いてみたいところ。
夏フェスもたくさん出て、いろんなシチュエーションのライブを経験してきているが、こうして憧れの人たちと対バンすることは、米津玄師のこれからの活動とライブにとって、必ず大きな財産になるはず。そうやってこれからもいろんなライブを経験しながら、もっともっと良いライブを見せてくれるようになるはず。
アルバムの毎作毎作での恐ろしいまでのクオリティを考えると、いずれはライブもそこまで到達するようになるはず。
1.ゴーゴー幽霊船
2.駄菓子屋商売
3.メランコリーキッチン
4.アイネクライネ
5.WOODEN DOLL
6.パンダヒーロー
7.ドーナツホール
8.マトリョシカ
9.アンビリーバーズ
10.Blue Jusmine
アンビリーバーズ
http://youtu.be/naJcqMBbAn4
・RADWIMPS
転換を挟み、いよいよRADWIMPSの登場なのだが、ステージにセッティングされた楽器の異様な多さに驚く。いや、もちろん前回のツアー「実況中継」の時からメンバーはそれぞれいろんな楽器を演奏するようになって、ステージ上の楽器も増えていたのだが、どう見てもドラムセットが2台並んでいるのはこれまでで1番異様な光景。
メンバーが登場すると、洋次郎、桑原、武田の3人に加え、兼ねてから智史の代わりにサポートを務めることが発表されていたドラマー・森瑞希、さらにはやはりもう1人のドラマーとして、元・東京事変の畑利樹の姿が。
そのサポートドラマー2人が火蓋を切るように同時に叩き始めたのは「DADA」。桑原も畑のパーカッションを連打し、洋次郎が歌い始めると、いきなり熱狂の極みというべき状態へ。この段階ですでに智史の不在という不安は一瞬にして消え去り、ただただ「すげぇ…」としか思えなくなる。
序盤はアッパーな曲が続くのだが、やはりツインドラム編成になったことにより、音圧が凄まじい。しかしこの編成になったことにより最もメンバーで大変だったであろう武田のベースがしっかりと対応しているという過去最高クラスの頼もしさ。
「満天の空に君の声が…」
という歌い出しから悲鳴のような歓声が起きた「トレモロ」は、今年のSWEET LOVE SHOWERでこの歌い出しの部分しかやらなかった曲なだけに、またこうしてフルで聴けるのが実に嬉しい。後ろのスクリーンにはまさに満天の星空な映像。
意外にもこの日メンバーで最初に口を開いたのは桑原。
「バンドも僕の体も、一回り大きくなって帰ってまいりました!」
という、確かに年々太り具合が心配になる肉体をネタにして笑わせると、
「今日はみんなが思ってるよりたくさん曲やるから!」
という宣言で喜ばせる。
「05410-(ん)」で観客の体をまさに起こすかのように飛び跳ねさせると、「遠恋」では間奏でおなじみの桑原と武田のソロの掛け合いがあったのだが、それに加えて森と畑のドラム同士、さらには武田&森、桑原&畑と、ステージの左側と右側に分かれての掛け合いも行なわれる。
こんな凄まじいことをあっさりやってのけているが、智史が参加した最後のライブであるラブシャからわずか2ヶ月でここまで仕上げたというのは本当に恐ろしさすら感じる。
「みんなをびっくりさせようと思ったから内緒にしてたんだけど、智史がいなくなって、2人の天才ドラマーに力を貸してもらうことにしました」
と、洋次郎がこの編成にしたことについて話すと、久々の披露に会場がどよめいた「ヒキコモリロリン」で、曲中のジャンケンのフレーズを「最初はチョキ」に変えて、歌詞の通りにパーを出した観客に対して一人勝ち状態へ。
「アイアンバイブル」では洋次郎がピアノ、サンプラー、ハンドマイクと目まぐるしく動き回り、「ふたりごと」では割れんばかりの大歓声が起き、アウトロではアルバムバージョン(「一生に一度のワープ ver.」)の、ツインドラムアレンジでさらに洋次郎がピアノを弾くという、このまま飛んで行ってしまいそうなサウンドが広がる。
さらに懐かしの「夢見月に何思ふ」も洋次郎のピアノにより、原曲よりもムーディーな大人の曲に変貌。
「今日は米津君がすごくいいライブをやってくれて。俺は今日初めて会ったんだけど(武田は米津の春のツアーを見に行っていたらしい)、人見知り同士だからまだちゃんと話せてなくて。でも俺よりも背が高いボーカリストと初めて一緒にライブやったかもしれない(笑)
とりあえずこれからはよねっち、野田っちでやっていこうと思ってます(笑)嫌われるかもしれないけど(笑)」
と対バンに出てくれた米津玄師のことを初対面にしていきなりいじる。
するとそこからは「実況中継」からこの日最もラウドなゾーンへ。「おしゃかしゃま」では間奏で洋次郎が指揮者のようにメンバー全員の演奏の音量をコントロールして圧巻のバンドアンサンブルを見せつけると、ファン歓喜の「ます。」ではイントロで武田がここにいるすべての「you」の思いを受け止めるかのように両手を広げ、観客も
「迷わずyou!」
の大合唱で応じる。
すると特に何も前置きもなく淡々と始まったのは、現在東京メトロのCM曲としてオンエアされている「'I' Novel」。ここまでのアッパーな流れからは一転して日常感の強く出た曲だが、人生を本に例えたかのような歌詞は歌詞カードを見ながら聴きたいところ。
そして手拍子の音が流れると、観客も手を高くあげて手拍子し、洋次郎がマイクを預けると大合唱が轟く「いいんですか?」。惜しみないくらいの名曲の連打ぶりである。
「米津君とは初めて会ったんだけど、こういう作り方してるんだ、って思う人がいてくれて本当に嬉しくて。俺たちにできないことを彼にはやって欲しいし、俺たちも彼にできないことをやりたい。でもなんだか点と点がつながったような感じがする。
でも、今日こうやってたくさん来てくれて本当に嬉しいんだけど、悪いやつもいて。最初から見る気もないのにチケット買って、高値で転売するやつもいて。俺たちも何か考えるけど、みんなも考えて欲しい。どちらかだけじゃダメだと思うんだよね。やっぱり、気持ちが通じ合う同士でやりたいんだよ」
と、再び米津玄師のことに加え、この日のチケットが高値で転売されることになったからか、転売行為に対する意見を語る。
まだ具体的な対策は見えないけど、RADWIMPSくらい巨大な存在のバンドがアクションを起こしてくれたら、他のバンドのチケット転売対策にもつながると思う。
そして、海外ツアーを回ったことにより、各国の言語を習得した武田の台湾語やドイツ語挨拶の披露を経て、
「デビュー曲をやります」
と言って演奏されたのは、RADWIMPSの名を一躍シーンに知らしめることになった、これぞ野田洋次郎なラブソング「25コ目の染色体」。正直、デビュー曲と言った時はファーストアルバムの曲をやるのかと思ったが、どうやらメジャーデビューという意味合いだったようだ。
そして「君と羊と青」でパーティー空間になると、アウトロではメンバーの演奏がどんどん加速していくのが繰り返される。おそらく直接的にこの曲からの影響ではないと思うが、米津玄師の「マトリョシカ」のアウトロの演奏はこのアレンジと同じ方法論を取っている。
そしてラストはRADWIMPS最新のキラーチューン「会心の一撃」でまさに会心のラストとなった。
この時点ですでに22時を過ぎていたが、アンコールを求めて「もしも」を歌う観客の声は止むことはなく、メンバーが再びステージに登場。
「ごめん、やっぱりよねっちとは呼べなかった(笑)でも、米津君、出てきてくれるって!」
と洋次郎が言うと、本編のMCですでに出てこざるを得ない空気にされていた米津がステージに登場し、洋次郎と抱き合う。
米津「あのさ(笑)、俺のMC聞いてました?」
洋次郎「どの部分だろう?」
米津「RADWIMPSは高校生の時のヒーローだった、ってくだり。そんな存在にこうやってステージに呼ばれたら、どうしていいかわかんないですよ!」
と、本当にどうしていいのかわからない感じが出まくってる米津はずっと顔を手で押さえている。
「でも、ボーカリスト同士がステージに揃って、なんもしないわけにはいかないでしょう!」
と言うと、まさかのコラボ(急遽決まったらしい)に発展。役割分担を決めていなかった、と言うと、桑原が、太ってきたことに加えて髪の毛が薄くなってきていることを明かして笑いを誘うMCで間をつなぎ、なんと「有心論」を洋次郎と米津のデュエットで演奏。
しかし、こうして聴くと、「RADに似ている」と言われまくっていた米津の声は洋次郎の声とは全然違うというのがよくわかる。歌詞を全く見なくても歌える米津はさすがに高校生の時に聴きまくっていただけはあるが、ラップ部分のリズム感もやはり洋次郎のものとは違う。
そんな夢のようなコラボを終えると、再び洋次郎と米津が抱き合って、米津がステージから去っていく。洋次郎は
「こんなの見たら寝れなくなっちゃうだろ!」
と言っていたが、本当にこの日寝れなくなった人がたくさんいたと思う。
そしてラストは「夢番地」。夏にWILDBUNCHに出演した際に演奏した、というのは知っていたが、それはWILDBUNCHだからこそだと思っていた。しかしこの日の最後はこの曲だった。今、この曲を最後にやった意味とは。翌日以降は曲を変えたりするのだろうか。
演奏を終えると、メンバーと2人のドラマーがステージ前に出てきて、畑を真ん中にして観客に一礼してステージを去った。
対バンとは思えない、まさかの2時間超えのボリューム。ここまでやられたからにはチケット代7000円は全く高く感じない。
しかし、RADWIMPSのライブに行くと毎回感じるのは、アルバム曲がセトリの大半を占めるにもかかわらず、観客がみんな曲を丸々一曲全部歌えるということの凄さ。シングル曲、アルバム曲にかかわらず、どれだけ深くこのバンドの曲が愛されているかというのが本当によくわかる。
総括すると、智史不在という不安を「こう来るか!」という編成で一瞬で「すげえ!」に変えて見せたRADWIMPSはやはり凄すぎる。
サマソニ初出演の08年以降の2年くらい、いわゆる「アルトコロニー」期は桑原はミスりまくるわ、あれだけ鉄壁だったバンドアンサンブルはバラバラだわで、もう見に行くのやめようかなって何度も思った。でもやっぱりRADWIMPSのライブを見続けてきて良かったと、この日改めて思った。
10年同じことを続けてきて、それをやめなきゃいけないかもしれないくらいの困難に見舞われて。それを考えられる全てと、持てる力の全て、協力してくれる仲間の力を使って乗り越えて。ステージ上であんなに楽しそうな顔を見たら、明日への力をもらわずにはいられない。RADWIMPS、本当にありがとう。
1.DADA
2.ギミギミック
3.DARMA GRAND PRIX
4.トレモロ
5.05410-(ん)
6.遠恋
7.ヒキコモリロリン
8.アイアンバイブル
9.ふたりごと
10.夢見月に何思ふ
11.実況中継
12.おしゃかしゃま
13.ます。
14.'I' Novel
15.いいんですか?
16.25コ目の染色体
17.君と羊と青
18.会心の一撃
encore
19.有心論 feat.米津玄師
20.夢番地
ふたりごと
http://youtu.be/gmLXEmCExIE
Next→11/5 キュウソネコカミ × 忘れらんねえよ @六本木EX THEATER
しかしRADWIMPSはこれまでずっと一緒に歩いてきたドラムの山口智史が病気のため、無期限休養を発表。サポートドラムを迎えることが発表されており、直前の海外ツアーもサポートドラマーを加えた4人で回ったということだが、「あの4人でのRADWIMPS」しか知らないだけに、不安も頭をよぎる。
・米津玄師
開演前から多くの観客が前へ前へと押し寄せる中、19時ちょうどくらいになると、会場が暗転し、堀正輝(ドラム)、須藤優(ベース)、中島宏(ギター)のサポートメンバーに続き、米津玄師が登場。米津本人は夏フェスまでの真っ白な服装とは異なり、カーキ色というような服を着ている。
すると浮遊感のあるイントロから、米津が力強く「1,2,3!」とカウントして「ゴーゴー幽霊船」からスタート。歌い終わりに
「初めまして!米津玄師です!よろしくお願いします!」
と挨拶する米津の口調も、「!」をつけざるを得ないくらいに力強い。
米津がハンドマイクで歌唱する「駄菓子屋商売」ではステージを動き回りながら歌うのだが、台の上に乗って歌ったりと、フロントマンらしさがさらに増してきている。
すると「メランコリーキッチン」、イントロで大歓声が上がった「アイネクライネ」「WOODEN DOLL」と「YANKEE」収録の名曲が次々に披露される。米津はファルセット歌唱こそやや不安定だが、その歌声と一挙手一投足は実に力強い。バンドの演奏、特に堀と須藤のリズム隊は相変わらず超強力なのだが、そこにバンドのグルーヴを確かに感じられるようになってきている。
「RADWIMPSは高校の時からずっと聴いていて。俺の音楽を聴けばわかると思うんだけど、かなり影響を受けています。だから俺にとっては偉大な父親みたいな。だからこうやって同じステージに立てるのが信じられないし、すごく嬉しい。
クソみたいな高校生だったにとってのヒーローみたいなバンドなんで、次からの曲も、RADWIMPSに捧げるつもりでやります。10周年おめでとうございます!」
と、RADWIMPSへの思いを語るが、この日の目に見える気合いの入りぶりは、その偉大な父親の前で下手なライブは絶対にできないという気持ちによるものもあったはず。
ボカロ時代の「パンダヒーロー」からは熱狂もバンドの奏でるBPMもさらに加速していき、「マトリョシカ」ではアウトロでのどんどんテンポが早くなっていく演奏がいつにも増して早くなっているように感じた。
すると中島にMCを任せて自身はいったん座って休憩。中島も米津とともにRADWIMPSをずっと聴いていたことを語るが、なんとか面白いMCをしようとはしていたものの、なかなか面白い話題は出てこず。2日前の大阪でのライブでもだいぶスベったらしい。
すると立ち上がった米津が、
「アルバムを出しまして。そのアルバムの曲をいくつかやろうと思います」
と言って、中島と須藤がシンセ、米津がハンドマイク歌唱で演奏が始まったのは、アルバムの先行シングル曲「アンビリーバーズ」。サビ前で米津がタムを連打して、
「今は信じない 残酷な結末なんて
僕らアンビリーバーズ 何度でも這い上がっていく」
と歌うサビの規模に溢れるフレーズは、アルバムを聴いたあとだとより一層響く。
そして米津がアコギに持ち替えて最後に演奏されたのは、「Bremen」の最後を飾る「Blue Jusmine」。「Bremen」の1曲目である「アンビリーバーズ」から一気に最後のこの曲に飛んだわけだが、やはり今の米津玄師にとって1番リアルなのはこの曲であるということがその歌声から響いてくる。それだけに、他の「Bremen」の収録曲も早くライブで聴いてみたいところ。
夏フェスもたくさん出て、いろんなシチュエーションのライブを経験してきているが、こうして憧れの人たちと対バンすることは、米津玄師のこれからの活動とライブにとって、必ず大きな財産になるはず。そうやってこれからもいろんなライブを経験しながら、もっともっと良いライブを見せてくれるようになるはず。
アルバムの毎作毎作での恐ろしいまでのクオリティを考えると、いずれはライブもそこまで到達するようになるはず。
1.ゴーゴー幽霊船
2.駄菓子屋商売
3.メランコリーキッチン
4.アイネクライネ
5.WOODEN DOLL
6.パンダヒーロー
7.ドーナツホール
8.マトリョシカ
9.アンビリーバーズ
10.Blue Jusmine
アンビリーバーズ
http://youtu.be/naJcqMBbAn4
・RADWIMPS
転換を挟み、いよいよRADWIMPSの登場なのだが、ステージにセッティングされた楽器の異様な多さに驚く。いや、もちろん前回のツアー「実況中継」の時からメンバーはそれぞれいろんな楽器を演奏するようになって、ステージ上の楽器も増えていたのだが、どう見てもドラムセットが2台並んでいるのはこれまでで1番異様な光景。
メンバーが登場すると、洋次郎、桑原、武田の3人に加え、兼ねてから智史の代わりにサポートを務めることが発表されていたドラマー・森瑞希、さらにはやはりもう1人のドラマーとして、元・東京事変の畑利樹の姿が。
そのサポートドラマー2人が火蓋を切るように同時に叩き始めたのは「DADA」。桑原も畑のパーカッションを連打し、洋次郎が歌い始めると、いきなり熱狂の極みというべき状態へ。この段階ですでに智史の不在という不安は一瞬にして消え去り、ただただ「すげぇ…」としか思えなくなる。
序盤はアッパーな曲が続くのだが、やはりツインドラム編成になったことにより、音圧が凄まじい。しかしこの編成になったことにより最もメンバーで大変だったであろう武田のベースがしっかりと対応しているという過去最高クラスの頼もしさ。
「満天の空に君の声が…」
という歌い出しから悲鳴のような歓声が起きた「トレモロ」は、今年のSWEET LOVE SHOWERでこの歌い出しの部分しかやらなかった曲なだけに、またこうしてフルで聴けるのが実に嬉しい。後ろのスクリーンにはまさに満天の星空な映像。
意外にもこの日メンバーで最初に口を開いたのは桑原。
「バンドも僕の体も、一回り大きくなって帰ってまいりました!」
という、確かに年々太り具合が心配になる肉体をネタにして笑わせると、
「今日はみんなが思ってるよりたくさん曲やるから!」
という宣言で喜ばせる。
「05410-(ん)」で観客の体をまさに起こすかのように飛び跳ねさせると、「遠恋」では間奏でおなじみの桑原と武田のソロの掛け合いがあったのだが、それに加えて森と畑のドラム同士、さらには武田&森、桑原&畑と、ステージの左側と右側に分かれての掛け合いも行なわれる。
こんな凄まじいことをあっさりやってのけているが、智史が参加した最後のライブであるラブシャからわずか2ヶ月でここまで仕上げたというのは本当に恐ろしさすら感じる。
「みんなをびっくりさせようと思ったから内緒にしてたんだけど、智史がいなくなって、2人の天才ドラマーに力を貸してもらうことにしました」
と、洋次郎がこの編成にしたことについて話すと、久々の披露に会場がどよめいた「ヒキコモリロリン」で、曲中のジャンケンのフレーズを「最初はチョキ」に変えて、歌詞の通りにパーを出した観客に対して一人勝ち状態へ。
「アイアンバイブル」では洋次郎がピアノ、サンプラー、ハンドマイクと目まぐるしく動き回り、「ふたりごと」では割れんばかりの大歓声が起き、アウトロではアルバムバージョン(「一生に一度のワープ ver.」)の、ツインドラムアレンジでさらに洋次郎がピアノを弾くという、このまま飛んで行ってしまいそうなサウンドが広がる。
さらに懐かしの「夢見月に何思ふ」も洋次郎のピアノにより、原曲よりもムーディーな大人の曲に変貌。
「今日は米津君がすごくいいライブをやってくれて。俺は今日初めて会ったんだけど(武田は米津の春のツアーを見に行っていたらしい)、人見知り同士だからまだちゃんと話せてなくて。でも俺よりも背が高いボーカリストと初めて一緒にライブやったかもしれない(笑)
とりあえずこれからはよねっち、野田っちでやっていこうと思ってます(笑)嫌われるかもしれないけど(笑)」
と対バンに出てくれた米津玄師のことを初対面にしていきなりいじる。
するとそこからは「実況中継」からこの日最もラウドなゾーンへ。「おしゃかしゃま」では間奏で洋次郎が指揮者のようにメンバー全員の演奏の音量をコントロールして圧巻のバンドアンサンブルを見せつけると、ファン歓喜の「ます。」ではイントロで武田がここにいるすべての「you」の思いを受け止めるかのように両手を広げ、観客も
「迷わずyou!」
の大合唱で応じる。
すると特に何も前置きもなく淡々と始まったのは、現在東京メトロのCM曲としてオンエアされている「'I' Novel」。ここまでのアッパーな流れからは一転して日常感の強く出た曲だが、人生を本に例えたかのような歌詞は歌詞カードを見ながら聴きたいところ。
そして手拍子の音が流れると、観客も手を高くあげて手拍子し、洋次郎がマイクを預けると大合唱が轟く「いいんですか?」。惜しみないくらいの名曲の連打ぶりである。
「米津君とは初めて会ったんだけど、こういう作り方してるんだ、って思う人がいてくれて本当に嬉しくて。俺たちにできないことを彼にはやって欲しいし、俺たちも彼にできないことをやりたい。でもなんだか点と点がつながったような感じがする。
でも、今日こうやってたくさん来てくれて本当に嬉しいんだけど、悪いやつもいて。最初から見る気もないのにチケット買って、高値で転売するやつもいて。俺たちも何か考えるけど、みんなも考えて欲しい。どちらかだけじゃダメだと思うんだよね。やっぱり、気持ちが通じ合う同士でやりたいんだよ」
と、再び米津玄師のことに加え、この日のチケットが高値で転売されることになったからか、転売行為に対する意見を語る。
まだ具体的な対策は見えないけど、RADWIMPSくらい巨大な存在のバンドがアクションを起こしてくれたら、他のバンドのチケット転売対策にもつながると思う。
そして、海外ツアーを回ったことにより、各国の言語を習得した武田の台湾語やドイツ語挨拶の披露を経て、
「デビュー曲をやります」
と言って演奏されたのは、RADWIMPSの名を一躍シーンに知らしめることになった、これぞ野田洋次郎なラブソング「25コ目の染色体」。正直、デビュー曲と言った時はファーストアルバムの曲をやるのかと思ったが、どうやらメジャーデビューという意味合いだったようだ。
そして「君と羊と青」でパーティー空間になると、アウトロではメンバーの演奏がどんどん加速していくのが繰り返される。おそらく直接的にこの曲からの影響ではないと思うが、米津玄師の「マトリョシカ」のアウトロの演奏はこのアレンジと同じ方法論を取っている。
そしてラストはRADWIMPS最新のキラーチューン「会心の一撃」でまさに会心のラストとなった。
この時点ですでに22時を過ぎていたが、アンコールを求めて「もしも」を歌う観客の声は止むことはなく、メンバーが再びステージに登場。
「ごめん、やっぱりよねっちとは呼べなかった(笑)でも、米津君、出てきてくれるって!」
と洋次郎が言うと、本編のMCですでに出てこざるを得ない空気にされていた米津がステージに登場し、洋次郎と抱き合う。
米津「あのさ(笑)、俺のMC聞いてました?」
洋次郎「どの部分だろう?」
米津「RADWIMPSは高校生の時のヒーローだった、ってくだり。そんな存在にこうやってステージに呼ばれたら、どうしていいかわかんないですよ!」
と、本当にどうしていいのかわからない感じが出まくってる米津はずっと顔を手で押さえている。
「でも、ボーカリスト同士がステージに揃って、なんもしないわけにはいかないでしょう!」
と言うと、まさかのコラボ(急遽決まったらしい)に発展。役割分担を決めていなかった、と言うと、桑原が、太ってきたことに加えて髪の毛が薄くなってきていることを明かして笑いを誘うMCで間をつなぎ、なんと「有心論」を洋次郎と米津のデュエットで演奏。
しかし、こうして聴くと、「RADに似ている」と言われまくっていた米津の声は洋次郎の声とは全然違うというのがよくわかる。歌詞を全く見なくても歌える米津はさすがに高校生の時に聴きまくっていただけはあるが、ラップ部分のリズム感もやはり洋次郎のものとは違う。
そんな夢のようなコラボを終えると、再び洋次郎と米津が抱き合って、米津がステージから去っていく。洋次郎は
「こんなの見たら寝れなくなっちゃうだろ!」
と言っていたが、本当にこの日寝れなくなった人がたくさんいたと思う。
そしてラストは「夢番地」。夏にWILDBUNCHに出演した際に演奏した、というのは知っていたが、それはWILDBUNCHだからこそだと思っていた。しかしこの日の最後はこの曲だった。今、この曲を最後にやった意味とは。翌日以降は曲を変えたりするのだろうか。
演奏を終えると、メンバーと2人のドラマーがステージ前に出てきて、畑を真ん中にして観客に一礼してステージを去った。
対バンとは思えない、まさかの2時間超えのボリューム。ここまでやられたからにはチケット代7000円は全く高く感じない。
しかし、RADWIMPSのライブに行くと毎回感じるのは、アルバム曲がセトリの大半を占めるにもかかわらず、観客がみんな曲を丸々一曲全部歌えるということの凄さ。シングル曲、アルバム曲にかかわらず、どれだけ深くこのバンドの曲が愛されているかというのが本当によくわかる。
総括すると、智史不在という不安を「こう来るか!」という編成で一瞬で「すげえ!」に変えて見せたRADWIMPSはやはり凄すぎる。
サマソニ初出演の08年以降の2年くらい、いわゆる「アルトコロニー」期は桑原はミスりまくるわ、あれだけ鉄壁だったバンドアンサンブルはバラバラだわで、もう見に行くのやめようかなって何度も思った。でもやっぱりRADWIMPSのライブを見続けてきて良かったと、この日改めて思った。
10年同じことを続けてきて、それをやめなきゃいけないかもしれないくらいの困難に見舞われて。それを考えられる全てと、持てる力の全て、協力してくれる仲間の力を使って乗り越えて。ステージ上であんなに楽しそうな顔を見たら、明日への力をもらわずにはいられない。RADWIMPS、本当にありがとう。
1.DADA
2.ギミギミック
3.DARMA GRAND PRIX
4.トレモロ
5.05410-(ん)
6.遠恋
7.ヒキコモリロリン
8.アイアンバイブル
9.ふたりごと
10.夢見月に何思ふ
11.実況中継
12.おしゃかしゃま
13.ます。
14.'I' Novel
15.いいんですか?
16.25コ目の染色体
17.君と羊と青
18.会心の一撃
encore
19.有心論 feat.米津玄師
20.夢番地
ふたりごと
http://youtu.be/gmLXEmCExIE
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