the telephones presents ”Last Party ~We are DISCO!!!~” @さいたまスーパーアリーナ 11/3
- 2015/11/05
- 01:07
昨年末のTOKYO DOME CITY HALLでのワンマンでのアンコールでの、「結成10周年を迎える2015年をもって無期限活動休止」という衝撃的な宣言をしたthe telephones。その宣言を経ての今年はアルバム「Bye Bye Hello」のリリース、バンド初の武道館ワンマン、史上初の4大フェス同年出演など夏フェスに参加しまくっての、この日がいよいよ活動休止前最後のライブ。
ワンマンは武道館で最後だったので、この日は同年代の仲間と、地元埼玉県の先輩を招いてのフェス形式。主役のthe telephonesに加え、
サカナクション
9mm Parabellum Bullet
syrup16g
THE BAWDIES
dustbox
凛として時雨
DJ FREE THROW & Getting Better
という、アーティスト主催フェスではまず揃わないであろう出演者が並ぶのはさすがにジャンルの壁を壊そうとしてきたthe telephonesのイベントである。(dustboxとsyrup16gとサカナクションが一緒に出るアーティスト主催フェスはまず他にない)
会場のさいたまスーパーアリーナは4年前にバンドであり、会場内には様々なバンドなどから贈られた花が並び、飲食店がいくつも並んでいる様はまるでフェスのよう。
全席自由でアリーナスタンディングとスタンド席を行き来できる場内に入ると、10時半からはtelephonesと親交の深いDJチーム、FREE THROW(telephonesは「FREE THROW」という曲を作っている)とGetting Betterによる合同DJが始まる。
メンバーのルーツである海外バンドの曲やavengers in sci-fiやandymoriなど、telephonesとともに戦ってきたバンドの曲などで客席を沸かせる。
DJが終わると、telephonesのメンバーがステージに登場し、諸注意などを含めた開会宣言。「We are!?」「ディスコ!」のコール&レスポンスを行い、4人はいったんステージを去る。この段階で誠治がニット帽をかぶっていたので、これは髪型でなんかあるなという予感を感じる。
・凛として時雨
開会宣言が終わると、11時半くらいにステージ左右のスクリーンに「Next Artist」の映像と、この日のために石毛が作ったジングルが流れると、最初のバンド、凛として時雨の3人が登場。
スクリーンにはメンバーの演奏する姿は一切映し出されることはなく、冒頭から「鼓膜に突き刺さる」ようなメタリックなバンドサウンドと、TKのハイトーンボイスがスーパーアリーナに響き渡る。
それぞれ別々で活動しているのはよく見ているが、3人で見るのは実に久々ということもあり、それぞれの活動で得た技術がバンドに還元されているのか、昔からすごかった演奏技術がさらに進化している。特に345のベースはここまで力強かったかとびっくりさせられる。geek sleep sheepやナカコーのサポートの経験が確実に生きている。
近年の曲を中心としながらも、「DISCO FLIGHT」というtelephonesに合わせたかのような選曲も見せつつ、ピエール中野はMCで、「ディスコ!」のコール&レスポンスをしながら、「チョコレイト」「ディスコ!」と彼が大好きなPerfumeの曲も取り入れる悪ノリぶりを見せる。
その直後の「I was music」ではピエールが立ち上がって観客を煽り、345もぴょんぴょん飛び跳ねながらベースを弾くと、後半はさらに激しさを増していく。
そしてTKが
「今日は高い声で始まり、高い声で終わるという1日です」
という、TKにしては実にうまいことを言うと、ラストはオレンジの照明がステージを照らし出す「傍観」。アウトロでは強烈なギターノイズに包まれる中、先に345とピエールがステージを去ると、TKはさらにギターノイズを撒き散らしながら、「ディスコー!」と叫んでからステージを去って行った。
それらしいMCもしなかったし、そもそもそういうことを言うバンドでもない。しかし、フェスなどには滅多に出演しないこのバンドが、同世代であり、同じ埼玉出身のtelephonesのライブに出演したというのが、何よりのメッセージだったように思う。
1.SOSOS
2.DISCO FLIGHT
3.Enigmatic Feeling
4.Who What Who What
5.I was music
6.Telecastic fake show
7.感覚UFO
8.傍観
SOSOS
http://youtu.be/RSLvVK3Q3mo
・dustbox
あまり絡んでいるイメージはないが、the telephonesにとっては埼玉の先輩になるdustbox。
SUGAのメロディアスなギターのイントロの「Riot」で幕開けを告げると、独自の空気に包まれていた凛として時雨のライブからは一転し、客席はダイバー連発のライブハウス状態に。
「Last Partyってなんだよ!?まだ間に合うんじゃねぇの!?やっぱり活動休止するのやめますって言っていいんじゃねぇの!?」
と、JOJI(ベース)が観客の思いを代弁するかのような思いを語ると、
「人生は苦くて甘い。Bitter Sweet!」
と「Bitter Sweet」から、telephonesのトリビュートアルバムに参加したことに触れ、サポートキーボーディストを呼び込み、ツービートの高速メロコアチューンに変貌した「A.B.C.DISCO」のカバーを披露。テンポが倍近く速くなっているので、コーラス部分の手を振る速さもめちゃくちゃ速くなっている。すると、途中で石毛がマイクを持ってステージに登場してSUGAとともに歌い始め、さらには涼平、ノブ、誠治の3人も登場。涼平はベース、ノブはギター(石毛のソロライブの時にノブはギターを弾いたりしている)で参加という、この日しか見ることができないであろうスペシャルセッション。ちなみにメンバーは唇サングラスをかけている。
telephonesのメンバーがステージを去ると、
「わかった!お前ら踊るのが好きなんだな!それなら朝まで踊ろうぜ!」
とサポートキーボーディストを加えたまま、「Dance Until Morning」へ。
「Right Now」でさらに加速すると、
「ミラクルを起こそうぜ!」
と、観客にコーラスの練習をさせて、大合唱を起こし、
「ミラクル起きたぞー!」
と「Here Comes A Miracle」、巨大左回りサークルが発生する「Hurdle Race」、
「ここにいる全員に捧げる!」
と「Tomorrow」、そして
「2マンやるっていう約束をまだ果たしてないんだよね。いつか果たせる日が来るように!」
とSUGAがtelephonesへの思いを語り、「Jupiter」で終了。
この日、dustboxは先にGOOD4NOTHINGのライブに出ることが決まっていた。しかし、埼玉の先輩としてこのライブを行ってからGOOD4NOTHINGのライブに向かうという男気を見せた。(終わってから打ち上げで戻ってきたらしい)
こういうところが京都大作戦を始め、様々なフェスから毎年呼ばれている所以。現在新作のレコーディングを行っているらしいが、メンバーが変わっても全く立ち止まることなく進んでいる姿は、telephonesのメンバーにも確かに響いたはず。
1.Riot
2.Break Through
3.Bird Of Passage
4.Bitter Sweet
5.A.B.C.DISCO
6.Dance Until Morning
7.Right Now
8.Here Comes A Miracle
9.Hurdle Race
10.Tomorrow
11.Jupiter
dustbox
http://youtu.be/4QPeX5fxQgE
・THE BAWDIES
telephonesとはかつて共同体Kingsを形成していた、THE BAWDIES。Kingsを代表してこのステージに立つ。
いつものように揃いのスーツでウィルソン・ピケット「ダンス天国」をSEにメンバーが登場すると、「NO WAY」から気合い入りまくりの演奏を見せる。
まさに「揺らす」という表現がぴったりなロックンロールをアリーナに響かせると、
「お互いインディーズの頃から一緒にやってきた、兄弟みたいなバンド」
とtelephonesへの思いをROYが語ると、新曲「SUNSHINE」でtelephonesの未来に光を照らし出し、おなじみの「HOT DOG」前の小芝居ではtelephones誠治が影アナを務める中、長男・JIM、次男・MARCY、三男・TAXMAN、狼・ROYの三匹の子豚という微妙なtelephonesとのコラボを見せ、dustboxと同じくtelephonesトリビュートに参加した「sick rocks」のカバーを披露。もはや完璧なTHE BAWDIESの曲としか思えない、ガレージロックンロールに生まれ変わっているのだが、このインディーズ期の選曲は、この曲を毎回演奏していた時代から対バンしていたTHE BAWDIESならでは。
「telephonesは活動休止してしまうけど、俺たちは立ち止まることなくロックンロールを鳴らし続けて、telephonesが帰ってこれる畑を耕し続けます!」
と、暖かい言葉を投げかけてから「SING YOUR SONG」で大コール&レスポンスを巻き起こすと、突如としてROYが
「尿意をもよおしてしまって…」
といきなりステージを去ると、代わりにステージに登場したのは、THE BAWDIESと同じスーツに身を包んだ涼平がベースを持って登場。ROYも戻ってくると、ROYがハンドマイクで涼平がベースという5人編成で「JUST BE COOL」を披露。
さらには大将ことTAXMANによるわっしょいも今回ばかりは涼平が執り行ない、まだお互いに何者でもなかった時代から同じ意志を共有し、今まで何度となく対バンしてきた2組の、現状最後の対バンは幕を閉じた。
このTHE BAWDIESもそうだし、他にはBIGMAMAなんかも昔、telephonesが対バンをした時に初めてライブを見た。ただ単にtelephonesのライブを見て楽しかった、というだけではなく、telephonesは自分の音楽の幅を広げてくれるとともに、カッコイイバンドと出会わせてくれた。そういう意味でも、telephonesには本当に感謝している。
1.NO WAY
2.YOU GOTTA DANCE
3.IT'S TOO LATE
4.SUNSHINE
5.HOT DOG
6.sick rocks
7.SING YOUR SONG
8.JUST BE COOL feat.長島涼平
SUNSHINE
http://youtu.be/MlRUxu3D9BY
・syrup16g
今回の出演者の中では最も異色な存在であるsyrup16g。今回このバンドが呼ばれた理由は、ボーカルの五十嵐隆が埼玉の先輩であるということだが、telephonesも出演したUKFCに五十嵐が弾き語りで出た時に、周りの若いバンドを見てsyrup16gの再結成を決意したという背景もあると思われる。
ステージに幕がかけられた状態で3人が登場し、「生きているよりマシさ」を演奏し始める。やはりアウェーとはいえ、ツアーを経たことで、バンドの演奏も五十嵐の歌もかつては考えられなかったような安定感を感じるようになった。
五十嵐の歌声に中畑のコーラスがキレイに重なる「Sonic Disorder」で幕が落ちると、スーパーアリーナの巨大なステージに立つsyrup16gの姿が明らかになる。
「生活」「神のカルマ」「パープルムカデ」と、MCを挟まないので淡々と感じるようでいて、五十嵐の振り絞るような歌唱からは確かな熱量を感じる。
「リアル」ではイントロで五十嵐がギターをミスってやり直すという場面もあり、客席から「頑張れー」という声もあがる。
そして
「telephonesのメンバーとは、昔から使ってるスタジオが同じだったりして。話しかけてくれていたんだけど、世代が違いすぎてなかなかうまく話せなくて…。でもこうやってtelephonesが律儀に呼んでくれて…」
と、ついに五十嵐が口を開いてtelephonesへの思いを語ると、最後に演奏されたのは「Reborn」。
「時間は流れて 僕らは歳を取る」
という歌詞の通り、活動休止してからもtelephonesのメンバーは歳を取っていく。それでも帰ってこれる場所があって、待っててくれる人たちがたくさんいる。それをステージで示せたのは、syrup自信が一度解散して再結成しても、今でも多くの人に必要とされているから。やはりフェスに向いているバンドではないけれど、このバンドがこの日ステージに立った意味は確かにあった。
1.生きているよりマシさ
2.Sonic Disorder
3.生活
4.神のカルマ
5.パープルムカデ
6.リアル
7.Reborn
生きているよりマシさ
http://youtu.be/FyD0jRsAqNk
ここでtelephonesの4人が再び登場し、半分ほど終わって疲労を感じつつある客席を気づかうとともに、ノブがこのあとゲストで出るようなことをにおわせる。
・9mm Parabellum Bullet
この日の出演者の中では、最も最近までもやくtelephonesと対バンしている9mm。
和彦が涼平のように黒い蝶ネクタイを着用するというtelephonesスタイルで登場すると、最新シングルからの「反逆のマーチ」でスタートしたのだが、対バンツアーを経たあとだからか、telephonesの最後の舞台で気合いが入りまくっているからか、冒頭からテンションがものすごく高い。
畳み掛けるような展開の中、すでに滝も和彦も飛び跳ねまくり、暴れまくると、「The Revolutionary」では「ディスコを変えるのさー!」と歌詞を変えて叫ぶ。
「みんな、すぐ帰ってきてくれ、とか、さっきTHE BAWDIESのROY君も帰ってくる畑を耕す、みたいなこと言ってたけど、俺は早く戻ってこないと、俺たちが帰ってくる場所を焼き尽くしちまうぞ、と言っておこうかな。そう言うやつが1人くらいいてもいいでしょ」
と卓郎が意地悪する小学生みたいなことを言うと、この日3組目のトリビュートアルバムのカバー「Monkey Discooooooo」を披露。かみじょうが唇サングラスをかけてドラムを叩く中、予告通りにノブがカウベルを持ってステージに登場して、ステージを動き回りながらカウベルを叩くというよりは暴れまくる。
dustboxとTHE BAWDIESはそれぞれのスタイルに寄せたカバーだったが、9mmはこの曲の狂騒的なシンセのサウンドを滝のギターが担うという、ここまでで1番原曲に忠実と言えるアレンジ。滝は間奏で石毛へのリスペクトとでもいうようなブリッジギターソロを決める。
ノブがステージを去ると、「Cold Edge」で和彦が「ウィーアーディスコー!」とデス声で叫び、
「telephonesのみんなはこの曲が大好きなんだよ」
と紹介された「新しい光」、そして「俺たちなりのディスコ」と「Discommunication」と、最後まで全く手をゆるめることなく燃えがあらせた。
「俺たちは普段は次にやるバンドを燃やし尽くしてやるっていう思いでやっているので、次に出るサカナクションは焼き魚に…」
と言って笑わせたりしてもいたが、
「さっさと帰ってこいよって思いをぶつけてもいいと思う」
と、正直過ぎることも言っていた。かみじょうと和彦のステージの去り際も、いつもより感情を持っているように見えた。
1.反逆のマーチ
2.Answer and Answer
3.The Revolutionary
4.Monkey Discooooooo feat.ノブ
5.Black Market Blues
6.Cold Edge
7.新しい光
8.Discommunication
反逆のマーチ
http://youtu.be/zIa5-CsMotA
・サカナクション
草刈の妊娠・出産を経ての活動休止からアリーナツアーで見事にシーンに戻ってきたサカナクション。かつて、telephonesとORGE YOU ASSHOLEとともにversion21.1を形成していた存在で、THE BAWDIESとはまた違う形で同じ意志を共有していたバンドである。
「ナイトフィッシングイズグッド」のリミックスのSEでメンバーが登場すると、ラップトップ横並びでの「ミュージック」からスタート。やはりワンマンではないので派手な演出はないが、大サビ前で真っ暗になってバンド編成になる瞬間はやはり身震いがするくらいにカッコイイ。
「アルクアラウンド」「夜の踊り子」とヒット曲を連発すると、「アイデンティティ」では間奏で山口が手招きすると、石毛とノブの2人がステージに登場。サカナクションのライブは完璧に構築されているだけに、他のバンドとコラボというのは実に考えにくいが、この日はやはり特別ということか。
石毛とノブが踊りまくりながら、石毛と山口が目を合わせて笑いあったり、ノブが岩寺や岡崎にもちょっかいを出して笑いあったりしている様は、かつては同じ意志を共有していたが、今ではかたや紅白や情熱大陸に出るような、日本を代表する巨大なバンドになって、どこか距離が離れてしまったようにも感じていたこの2組が、今でも同じ意志を持って戦っているということが本当によくわかって、なんだか涙が出そうになってしまった。
アウトロからイントロにつなげるような「ルーキー」、メンバーのコーラスが響き渡る「Aoi」と続けると、フェスではMCを全くしないこともあるが、山口も口を開き、同じ頃にデビューしたことや、version21.1をやっていた時のことを語り、いつまでもtelephonesが戻ってくることを待っている、と言うと、歌詞が期せずしてtelephonesへの応援歌のように聞こえてきた「新宝島」を最後に演奏。緑色のレーザー光線までもが「ディスコ」という文字を描き出し、メンバーだけでなくチーム全体でtelephonesへのエールを送ると、山口も
「ディスコー!」
と叫んだ。かつて、山口は石毛との対談で「telephonesのディスコは発明だと思う」と発言していた。自ら
「僕らは友達が少ないけど、telephonesは山口さん、山口さんって慕ってくれて」
と自虐的に言うくらいの仲間への確かな思いを代表曲中心のセトリながらにして感じるようなライブだった。
1.ミュージック
2.アルクアラウンド
3.夜の踊り子
4.アイデンティティ
5.ルーキー
6.Aoi
7.新宝島
新宝島
http://youtu.be/LIlZCmETvsY
・the telephones
そしていよいよ、the telephonesの活動休止前のラストライブの時間に。しかし、客席内で急病人が出たとのことで、開演が遅れる旨がアナウンスされる。
18時半過ぎになると、スクリーンには昨年末のTDCホールでの活動休止宣言から、武道館、そして今日に至るまでのメンバーのオフショットやライブ映像、さらには客席の様子までもが映し出され、まだメンバーが出てきていないというのに涙腺が刺激されてしまう。
そしていつものように「Happiness,Happiness,Happiness」のSEでメンバーが登場すると、これまでニット帽を被っていた誠治はやはり髪型がモヒカンに。これは4年前にここでワンマンをやった時と同じだが、あの日と違うのは、これが現状最後のライブであるということと、あの日は全く埋まってなかったスタンド席が、1番上まで人がいるということ。しかもみんな立ち上がっている。
「2つ隣の駅、埼玉県北浦和から来ました、the telephonesです!」
という石毛の挨拶から、ライブではおなじみのアレンジがなされた「HABANERO」でスタートし、THE BAWDIESがカバーした「sick rocks」の本家バージョンと、序盤は初期の楽曲が続く。
4年前のこの場所では「新曲であり、初めての日本語の曲」として披露され、初聴きの観客を爆笑させた「D.E.N.W.A」がすっかり定番曲になっているのはどこか感慨深く、「Baby,Baby,Baby」ではやはりノブがカウベルを持ってステージを飛び降りて客席の間を駆け回り、スタンド席の中の通路にまで入っていく。
しかしどこか演奏は地に足が着いていないというか、多少のズレを感じるところもあったのだが、MCはそれ以上に地に足が着いていないというか、石毛は言いたいこともあるのだろうが、「すごい」と「ありがとう」しか言葉にならない。
「やっぱり対バンはダメだね」
とも言っていたので、やはり各バンドのtelephonesへの思いにかなり思うところがあったのだろう。
埼玉ならではの「SAITAMA DANCE MIRRORBALLERS!!!」では、ダサいダサいと言われまくったシンセのリフが狂騒を巻き起こし、「electric girl」ではこのバンドが観客を踊らせることができた最大の功労者である、涼平のベースのイントロで否応なしに体が踊りだす。
さらにこの日dustboxがカバーした「A.B.C.DISCO」の本家バージョンから、初期曲にして、これまでの大事なライブの場面では毎回演奏されてきた「Homunculus」の幻想的なサウンドと石毛のボーカルを折り返しに、全く言葉にならないMCへ。さすがにこれにはメンバーも
「10年間やってきた中で1番ヤバい(笑)」
と言っていたが、その後に客席をブロック毎に分けて行われた「ディスコ!」コールでは、アリーナブロックの声の大きさにスタンド席から拍手が起きるという、telephones's peopleならではの暖かい光景が。
石毛も、
「ディスコって叫ぶってこういうことなんだよ。実際にこの場所にいて、叫んでみないとわからないものがある。字面だけ見たら、「We are DISCO!!!」って意味わかんないけど(笑)」
と言っていたが、「ディスコ!」の叫びには、その日、その場所にいた人たちを一つにする力があった。だからそれをわかってしまっていたからこそ、telephonesのライブに行くのはやめられなかった。
コールを終えると、そのまま「ディスコ!」を叫びまくるディスコシリーズ曲を連発。狂騒的な「I Hate~」、この場で演奏されるのはちょっと予想外だった「Oh my~」、そして天井知らずに盛り上がりを増し続ける「Keep Your~」、この日9mmがカバーした「Monkey~」と連発していくのだが、何度となくライブで聴いて、ディスコを叫んだこの曲たちも、しばらくはライブでは聴くことができないと思うと、どこか寂しい気持ちになってしまう。
そして意外にも本編で最後に演奏されたのは、これまで数々のライブのラストに演奏され、観客を笑顔にしてきた「Love&DISCO」。
すでに客席には数多くの風船が飛び交い、銀テープも放たれる中、4年前同様に飛行船が客席を飛び、その機体には「10年間ありがとう」の文字が。やはり、この曲が持つ祝祭感は他のどんな曲からも感じることができない。だからこそこの曲はファンからも、他のアーティストからも愛され続けた、telephonesのアンセムだった。
アンコールではスタンド席の観客がスマホのバックライトを点灯させてかざし、それを見たメンバーが「すごい」と口にする。メンバーはそれぞれTシャツなどのラフな姿に着替えている。
すると、ここで髪型を変えたにもかかわらず、ここまで全く触れられていない誠治がマイクを取って立ち上がり、
「今回、活動休止っていうのは自分たちで選んだこと。だからみなさんも、音楽にかかわらず、自分の意志を持って物事を選んでほしい」
と語りかけたが、その目はどこか潤んでいるようにも見えた。
そして本編では上手く言葉にできなかった石毛も、
「telephones、少なくとも日本の音楽シーンを面白くしたっていう自負があります。今日出たバンドはどのバンドもリスペクトしています。良い音楽は良いんです。それはロックでもテクノでもヒップホップでもアンビエントでもいいんです。みんなが好きな音楽をみんなの意志で決めてほしい。
俺たちがやろうとしてたのは、日本のシーンと海外のシーンとDJ文化をくっつけようとしてて。まだ21歳時の頃は、俺たちは海外のシーンに憧れてた。それがこんな規模になって本当に嬉しいです。
でも良い言葉が見つからないから言うけど、みんながミーハーな音楽を求めると、ミーハーなバンドが増えます。みんながカッコいい音楽を求めると、カッコいいバンドが増えます。まだ中学生とか高校生だと、その時に入ってきたものがすべてだろうから、そんなに選べないと思うけど…。でもこういう時代だからこそ、良い音楽が鳴っていて欲しい。
まだ確認してないけど、俺たちはみんな音楽をそれぞれ続けると思うし…続けるよね?(メンバー全員頷く)なので、これからもtelephonesのメンバーをよろしくお願いします!」
と、この日初めてしっかりと自分の口で言いたいことをしっかりと今、目の前にいる人たちに伝える。
そして
「urban disco」ではノブが客席にダイブして、「I am disco!」の大合唱が起こる。これが、最後の「ディスコ」の合唱となってしまった。
そして
「不器用な4人組、the telephonesでした!」
と石毛が言ってからの最後の曲は最新アルバム「Bye Bye Hello」からの「Something Good」。なぜ「Love&DISCO」でも「urban disco」でもなくこの曲だったのか。それは、スクリーンに映し出された、メンバーの演奏する姿の横に出てきた、この曲の和訳がすべてを物語っていた、というくらいにこの歌詞がこの瞬間の状況を言い当てていた。
演奏が終わると、観客を背景に写真撮影を行い、さらにはスタッフ達もステージに呼び込んで、チームtelephonesでの写真撮影。するとメンバーがステージを降りて、客席の間を全員が観客とハイタッチしながら歩いていき、アリーナを一周したメンバーからステージに戻ると、全員で最後まで残っていてくれた観客に感謝の意を表しながら、活動休止前最後のステージを後にした。
メンバーがステージから去ると、スクリーンにはエンドロールというべき、今までこのバンドに関わったスタッフの名前とメンバーの名前が映し出された。(もちろん、プロデューサーとしてナカコーなどの名前も)
流れ終わると、会場が明るくなり、
「いつの日か、必ずまた会いましょう!」
という終演アナウンスのあと、客席から大きな拍手が起こった。
終わった。10時間以上だが、本当にあっという間にラストパーティーは終わってしまった。
自分は活動休止を発表したTDCホールの時に泣いてしまった。その時は周りにも泣いている人がたくさんいた。しかし、この日は泣いている人ももちろんいたが、笑顔の人のほうが圧倒的に多かった。やっぱりこのバンドは笑顔のほうがよく似合う。
1.HABANERO
2.sick rocks
3.D.E.N.W.A.
4.Baby,Baby,Baby
5.SAITAMA DANCE MIRRORBALLERS!!!
6.electric girl
7.A.B.C.DISCO
8.Homunculus
9.I Hate DISCOOOOOOO!!!
10.Oh my disco!!!
11.Keep Your DISCO!!!
12.Monkey Discooooooo
13.Love&DISCO
encore
14.urban disco
15.Something Good
本人も言っていたように、telephonesは本当に不器用なバンドだった。(音楽的には器用なとこも多いけど)
もっとこうしてれば、ああしてれば、悩むことはなかったかもしれないと思うところもたくさんある。でも、その不器用なところがメンバーの人間らしさで、このバンドのファンはみんなそこが好きだったはず。
でも、まだ「Bye Bye Hello」の曲をライブでは3曲くらいしか聴けていないだけに、お互い生きているうちには必ず。
一週間に4日ライブ見たこともあったし、telephonesがライブやらなかったら行けなかった場所にもたくさん連れて行ってもらった。同じ時代に生きれて、出会えて、好きになれて本当に良かったし、楽しかった。でもこれで最後だなんて思ってない。また「ディスコ!」をみんなで一緒に叫びたい。その日が少しでも早く来ることを祈って。
Next→ 11/4 RADWIMPS × 米津玄師 @Zepp Tokyo


ワンマンは武道館で最後だったので、この日は同年代の仲間と、地元埼玉県の先輩を招いてのフェス形式。主役のthe telephonesに加え、
サカナクション
9mm Parabellum Bullet
syrup16g
THE BAWDIES
dustbox
凛として時雨
DJ FREE THROW & Getting Better
という、アーティスト主催フェスではまず揃わないであろう出演者が並ぶのはさすがにジャンルの壁を壊そうとしてきたthe telephonesのイベントである。(dustboxとsyrup16gとサカナクションが一緒に出るアーティスト主催フェスはまず他にない)
会場のさいたまスーパーアリーナは4年前にバンドであり、会場内には様々なバンドなどから贈られた花が並び、飲食店がいくつも並んでいる様はまるでフェスのよう。
全席自由でアリーナスタンディングとスタンド席を行き来できる場内に入ると、10時半からはtelephonesと親交の深いDJチーム、FREE THROW(telephonesは「FREE THROW」という曲を作っている)とGetting Betterによる合同DJが始まる。
メンバーのルーツである海外バンドの曲やavengers in sci-fiやandymoriなど、telephonesとともに戦ってきたバンドの曲などで客席を沸かせる。
DJが終わると、telephonesのメンバーがステージに登場し、諸注意などを含めた開会宣言。「We are!?」「ディスコ!」のコール&レスポンスを行い、4人はいったんステージを去る。この段階で誠治がニット帽をかぶっていたので、これは髪型でなんかあるなという予感を感じる。
・凛として時雨
開会宣言が終わると、11時半くらいにステージ左右のスクリーンに「Next Artist」の映像と、この日のために石毛が作ったジングルが流れると、最初のバンド、凛として時雨の3人が登場。
スクリーンにはメンバーの演奏する姿は一切映し出されることはなく、冒頭から「鼓膜に突き刺さる」ようなメタリックなバンドサウンドと、TKのハイトーンボイスがスーパーアリーナに響き渡る。
それぞれ別々で活動しているのはよく見ているが、3人で見るのは実に久々ということもあり、それぞれの活動で得た技術がバンドに還元されているのか、昔からすごかった演奏技術がさらに進化している。特に345のベースはここまで力強かったかとびっくりさせられる。geek sleep sheepやナカコーのサポートの経験が確実に生きている。
近年の曲を中心としながらも、「DISCO FLIGHT」というtelephonesに合わせたかのような選曲も見せつつ、ピエール中野はMCで、「ディスコ!」のコール&レスポンスをしながら、「チョコレイト」「ディスコ!」と彼が大好きなPerfumeの曲も取り入れる悪ノリぶりを見せる。
その直後の「I was music」ではピエールが立ち上がって観客を煽り、345もぴょんぴょん飛び跳ねながらベースを弾くと、後半はさらに激しさを増していく。
そしてTKが
「今日は高い声で始まり、高い声で終わるという1日です」
という、TKにしては実にうまいことを言うと、ラストはオレンジの照明がステージを照らし出す「傍観」。アウトロでは強烈なギターノイズに包まれる中、先に345とピエールがステージを去ると、TKはさらにギターノイズを撒き散らしながら、「ディスコー!」と叫んでからステージを去って行った。
それらしいMCもしなかったし、そもそもそういうことを言うバンドでもない。しかし、フェスなどには滅多に出演しないこのバンドが、同世代であり、同じ埼玉出身のtelephonesのライブに出演したというのが、何よりのメッセージだったように思う。
1.SOSOS
2.DISCO FLIGHT
3.Enigmatic Feeling
4.Who What Who What
5.I was music
6.Telecastic fake show
7.感覚UFO
8.傍観
SOSOS
http://youtu.be/RSLvVK3Q3mo
・dustbox
あまり絡んでいるイメージはないが、the telephonesにとっては埼玉の先輩になるdustbox。
SUGAのメロディアスなギターのイントロの「Riot」で幕開けを告げると、独自の空気に包まれていた凛として時雨のライブからは一転し、客席はダイバー連発のライブハウス状態に。
「Last Partyってなんだよ!?まだ間に合うんじゃねぇの!?やっぱり活動休止するのやめますって言っていいんじゃねぇの!?」
と、JOJI(ベース)が観客の思いを代弁するかのような思いを語ると、
「人生は苦くて甘い。Bitter Sweet!」
と「Bitter Sweet」から、telephonesのトリビュートアルバムに参加したことに触れ、サポートキーボーディストを呼び込み、ツービートの高速メロコアチューンに変貌した「A.B.C.DISCO」のカバーを披露。テンポが倍近く速くなっているので、コーラス部分の手を振る速さもめちゃくちゃ速くなっている。すると、途中で石毛がマイクを持ってステージに登場してSUGAとともに歌い始め、さらには涼平、ノブ、誠治の3人も登場。涼平はベース、ノブはギター(石毛のソロライブの時にノブはギターを弾いたりしている)で参加という、この日しか見ることができないであろうスペシャルセッション。ちなみにメンバーは唇サングラスをかけている。
telephonesのメンバーがステージを去ると、
「わかった!お前ら踊るのが好きなんだな!それなら朝まで踊ろうぜ!」
とサポートキーボーディストを加えたまま、「Dance Until Morning」へ。
「Right Now」でさらに加速すると、
「ミラクルを起こそうぜ!」
と、観客にコーラスの練習をさせて、大合唱を起こし、
「ミラクル起きたぞー!」
と「Here Comes A Miracle」、巨大左回りサークルが発生する「Hurdle Race」、
「ここにいる全員に捧げる!」
と「Tomorrow」、そして
「2マンやるっていう約束をまだ果たしてないんだよね。いつか果たせる日が来るように!」
とSUGAがtelephonesへの思いを語り、「Jupiter」で終了。
この日、dustboxは先にGOOD4NOTHINGのライブに出ることが決まっていた。しかし、埼玉の先輩としてこのライブを行ってからGOOD4NOTHINGのライブに向かうという男気を見せた。(終わってから打ち上げで戻ってきたらしい)
こういうところが京都大作戦を始め、様々なフェスから毎年呼ばれている所以。現在新作のレコーディングを行っているらしいが、メンバーが変わっても全く立ち止まることなく進んでいる姿は、telephonesのメンバーにも確かに響いたはず。
1.Riot
2.Break Through
3.Bird Of Passage
4.Bitter Sweet
5.A.B.C.DISCO
6.Dance Until Morning
7.Right Now
8.Here Comes A Miracle
9.Hurdle Race
10.Tomorrow
11.Jupiter
dustbox
http://youtu.be/4QPeX5fxQgE
・THE BAWDIES
telephonesとはかつて共同体Kingsを形成していた、THE BAWDIES。Kingsを代表してこのステージに立つ。
いつものように揃いのスーツでウィルソン・ピケット「ダンス天国」をSEにメンバーが登場すると、「NO WAY」から気合い入りまくりの演奏を見せる。
まさに「揺らす」という表現がぴったりなロックンロールをアリーナに響かせると、
「お互いインディーズの頃から一緒にやってきた、兄弟みたいなバンド」
とtelephonesへの思いをROYが語ると、新曲「SUNSHINE」でtelephonesの未来に光を照らし出し、おなじみの「HOT DOG」前の小芝居ではtelephones誠治が影アナを務める中、長男・JIM、次男・MARCY、三男・TAXMAN、狼・ROYの三匹の子豚という微妙なtelephonesとのコラボを見せ、dustboxと同じくtelephonesトリビュートに参加した「sick rocks」のカバーを披露。もはや完璧なTHE BAWDIESの曲としか思えない、ガレージロックンロールに生まれ変わっているのだが、このインディーズ期の選曲は、この曲を毎回演奏していた時代から対バンしていたTHE BAWDIESならでは。
「telephonesは活動休止してしまうけど、俺たちは立ち止まることなくロックンロールを鳴らし続けて、telephonesが帰ってこれる畑を耕し続けます!」
と、暖かい言葉を投げかけてから「SING YOUR SONG」で大コール&レスポンスを巻き起こすと、突如としてROYが
「尿意をもよおしてしまって…」
といきなりステージを去ると、代わりにステージに登場したのは、THE BAWDIESと同じスーツに身を包んだ涼平がベースを持って登場。ROYも戻ってくると、ROYがハンドマイクで涼平がベースという5人編成で「JUST BE COOL」を披露。
さらには大将ことTAXMANによるわっしょいも今回ばかりは涼平が執り行ない、まだお互いに何者でもなかった時代から同じ意志を共有し、今まで何度となく対バンしてきた2組の、現状最後の対バンは幕を閉じた。
このTHE BAWDIESもそうだし、他にはBIGMAMAなんかも昔、telephonesが対バンをした時に初めてライブを見た。ただ単にtelephonesのライブを見て楽しかった、というだけではなく、telephonesは自分の音楽の幅を広げてくれるとともに、カッコイイバンドと出会わせてくれた。そういう意味でも、telephonesには本当に感謝している。
1.NO WAY
2.YOU GOTTA DANCE
3.IT'S TOO LATE
4.SUNSHINE
5.HOT DOG
6.sick rocks
7.SING YOUR SONG
8.JUST BE COOL feat.長島涼平
SUNSHINE
http://youtu.be/MlRUxu3D9BY
・syrup16g
今回の出演者の中では最も異色な存在であるsyrup16g。今回このバンドが呼ばれた理由は、ボーカルの五十嵐隆が埼玉の先輩であるということだが、telephonesも出演したUKFCに五十嵐が弾き語りで出た時に、周りの若いバンドを見てsyrup16gの再結成を決意したという背景もあると思われる。
ステージに幕がかけられた状態で3人が登場し、「生きているよりマシさ」を演奏し始める。やはりアウェーとはいえ、ツアーを経たことで、バンドの演奏も五十嵐の歌もかつては考えられなかったような安定感を感じるようになった。
五十嵐の歌声に中畑のコーラスがキレイに重なる「Sonic Disorder」で幕が落ちると、スーパーアリーナの巨大なステージに立つsyrup16gの姿が明らかになる。
「生活」「神のカルマ」「パープルムカデ」と、MCを挟まないので淡々と感じるようでいて、五十嵐の振り絞るような歌唱からは確かな熱量を感じる。
「リアル」ではイントロで五十嵐がギターをミスってやり直すという場面もあり、客席から「頑張れー」という声もあがる。
そして
「telephonesのメンバーとは、昔から使ってるスタジオが同じだったりして。話しかけてくれていたんだけど、世代が違いすぎてなかなかうまく話せなくて…。でもこうやってtelephonesが律儀に呼んでくれて…」
と、ついに五十嵐が口を開いてtelephonesへの思いを語ると、最後に演奏されたのは「Reborn」。
「時間は流れて 僕らは歳を取る」
という歌詞の通り、活動休止してからもtelephonesのメンバーは歳を取っていく。それでも帰ってこれる場所があって、待っててくれる人たちがたくさんいる。それをステージで示せたのは、syrup自信が一度解散して再結成しても、今でも多くの人に必要とされているから。やはりフェスに向いているバンドではないけれど、このバンドがこの日ステージに立った意味は確かにあった。
1.生きているよりマシさ
2.Sonic Disorder
3.生活
4.神のカルマ
5.パープルムカデ
6.リアル
7.Reborn
生きているよりマシさ
http://youtu.be/FyD0jRsAqNk
ここでtelephonesの4人が再び登場し、半分ほど終わって疲労を感じつつある客席を気づかうとともに、ノブがこのあとゲストで出るようなことをにおわせる。
・9mm Parabellum Bullet
この日の出演者の中では、最も最近までもやくtelephonesと対バンしている9mm。
和彦が涼平のように黒い蝶ネクタイを着用するというtelephonesスタイルで登場すると、最新シングルからの「反逆のマーチ」でスタートしたのだが、対バンツアーを経たあとだからか、telephonesの最後の舞台で気合いが入りまくっているからか、冒頭からテンションがものすごく高い。
畳み掛けるような展開の中、すでに滝も和彦も飛び跳ねまくり、暴れまくると、「The Revolutionary」では「ディスコを変えるのさー!」と歌詞を変えて叫ぶ。
「みんな、すぐ帰ってきてくれ、とか、さっきTHE BAWDIESのROY君も帰ってくる畑を耕す、みたいなこと言ってたけど、俺は早く戻ってこないと、俺たちが帰ってくる場所を焼き尽くしちまうぞ、と言っておこうかな。そう言うやつが1人くらいいてもいいでしょ」
と卓郎が意地悪する小学生みたいなことを言うと、この日3組目のトリビュートアルバムのカバー「Monkey Discooooooo」を披露。かみじょうが唇サングラスをかけてドラムを叩く中、予告通りにノブがカウベルを持ってステージに登場して、ステージを動き回りながらカウベルを叩くというよりは暴れまくる。
dustboxとTHE BAWDIESはそれぞれのスタイルに寄せたカバーだったが、9mmはこの曲の狂騒的なシンセのサウンドを滝のギターが担うという、ここまでで1番原曲に忠実と言えるアレンジ。滝は間奏で石毛へのリスペクトとでもいうようなブリッジギターソロを決める。
ノブがステージを去ると、「Cold Edge」で和彦が「ウィーアーディスコー!」とデス声で叫び、
「telephonesのみんなはこの曲が大好きなんだよ」
と紹介された「新しい光」、そして「俺たちなりのディスコ」と「Discommunication」と、最後まで全く手をゆるめることなく燃えがあらせた。
「俺たちは普段は次にやるバンドを燃やし尽くしてやるっていう思いでやっているので、次に出るサカナクションは焼き魚に…」
と言って笑わせたりしてもいたが、
「さっさと帰ってこいよって思いをぶつけてもいいと思う」
と、正直過ぎることも言っていた。かみじょうと和彦のステージの去り際も、いつもより感情を持っているように見えた。
1.反逆のマーチ
2.Answer and Answer
3.The Revolutionary
4.Monkey Discooooooo feat.ノブ
5.Black Market Blues
6.Cold Edge
7.新しい光
8.Discommunication
反逆のマーチ
http://youtu.be/zIa5-CsMotA
・サカナクション
草刈の妊娠・出産を経ての活動休止からアリーナツアーで見事にシーンに戻ってきたサカナクション。かつて、telephonesとORGE YOU ASSHOLEとともにversion21.1を形成していた存在で、THE BAWDIESとはまた違う形で同じ意志を共有していたバンドである。
「ナイトフィッシングイズグッド」のリミックスのSEでメンバーが登場すると、ラップトップ横並びでの「ミュージック」からスタート。やはりワンマンではないので派手な演出はないが、大サビ前で真っ暗になってバンド編成になる瞬間はやはり身震いがするくらいにカッコイイ。
「アルクアラウンド」「夜の踊り子」とヒット曲を連発すると、「アイデンティティ」では間奏で山口が手招きすると、石毛とノブの2人がステージに登場。サカナクションのライブは完璧に構築されているだけに、他のバンドとコラボというのは実に考えにくいが、この日はやはり特別ということか。
石毛とノブが踊りまくりながら、石毛と山口が目を合わせて笑いあったり、ノブが岩寺や岡崎にもちょっかいを出して笑いあったりしている様は、かつては同じ意志を共有していたが、今ではかたや紅白や情熱大陸に出るような、日本を代表する巨大なバンドになって、どこか距離が離れてしまったようにも感じていたこの2組が、今でも同じ意志を持って戦っているということが本当によくわかって、なんだか涙が出そうになってしまった。
アウトロからイントロにつなげるような「ルーキー」、メンバーのコーラスが響き渡る「Aoi」と続けると、フェスではMCを全くしないこともあるが、山口も口を開き、同じ頃にデビューしたことや、version21.1をやっていた時のことを語り、いつまでもtelephonesが戻ってくることを待っている、と言うと、歌詞が期せずしてtelephonesへの応援歌のように聞こえてきた「新宝島」を最後に演奏。緑色のレーザー光線までもが「ディスコ」という文字を描き出し、メンバーだけでなくチーム全体でtelephonesへのエールを送ると、山口も
「ディスコー!」
と叫んだ。かつて、山口は石毛との対談で「telephonesのディスコは発明だと思う」と発言していた。自ら
「僕らは友達が少ないけど、telephonesは山口さん、山口さんって慕ってくれて」
と自虐的に言うくらいの仲間への確かな思いを代表曲中心のセトリながらにして感じるようなライブだった。
1.ミュージック
2.アルクアラウンド
3.夜の踊り子
4.アイデンティティ
5.ルーキー
6.Aoi
7.新宝島
新宝島
http://youtu.be/LIlZCmETvsY
・the telephones
そしていよいよ、the telephonesの活動休止前のラストライブの時間に。しかし、客席内で急病人が出たとのことで、開演が遅れる旨がアナウンスされる。
18時半過ぎになると、スクリーンには昨年末のTDCホールでの活動休止宣言から、武道館、そして今日に至るまでのメンバーのオフショットやライブ映像、さらには客席の様子までもが映し出され、まだメンバーが出てきていないというのに涙腺が刺激されてしまう。
そしていつものように「Happiness,Happiness,Happiness」のSEでメンバーが登場すると、これまでニット帽を被っていた誠治はやはり髪型がモヒカンに。これは4年前にここでワンマンをやった時と同じだが、あの日と違うのは、これが現状最後のライブであるということと、あの日は全く埋まってなかったスタンド席が、1番上まで人がいるということ。しかもみんな立ち上がっている。
「2つ隣の駅、埼玉県北浦和から来ました、the telephonesです!」
という石毛の挨拶から、ライブではおなじみのアレンジがなされた「HABANERO」でスタートし、THE BAWDIESがカバーした「sick rocks」の本家バージョンと、序盤は初期の楽曲が続く。
4年前のこの場所では「新曲であり、初めての日本語の曲」として披露され、初聴きの観客を爆笑させた「D.E.N.W.A」がすっかり定番曲になっているのはどこか感慨深く、「Baby,Baby,Baby」ではやはりノブがカウベルを持ってステージを飛び降りて客席の間を駆け回り、スタンド席の中の通路にまで入っていく。
しかしどこか演奏は地に足が着いていないというか、多少のズレを感じるところもあったのだが、MCはそれ以上に地に足が着いていないというか、石毛は言いたいこともあるのだろうが、「すごい」と「ありがとう」しか言葉にならない。
「やっぱり対バンはダメだね」
とも言っていたので、やはり各バンドのtelephonesへの思いにかなり思うところがあったのだろう。
埼玉ならではの「SAITAMA DANCE MIRRORBALLERS!!!」では、ダサいダサいと言われまくったシンセのリフが狂騒を巻き起こし、「electric girl」ではこのバンドが観客を踊らせることができた最大の功労者である、涼平のベースのイントロで否応なしに体が踊りだす。
さらにこの日dustboxがカバーした「A.B.C.DISCO」の本家バージョンから、初期曲にして、これまでの大事なライブの場面では毎回演奏されてきた「Homunculus」の幻想的なサウンドと石毛のボーカルを折り返しに、全く言葉にならないMCへ。さすがにこれにはメンバーも
「10年間やってきた中で1番ヤバい(笑)」
と言っていたが、その後に客席をブロック毎に分けて行われた「ディスコ!」コールでは、アリーナブロックの声の大きさにスタンド席から拍手が起きるという、telephones's peopleならではの暖かい光景が。
石毛も、
「ディスコって叫ぶってこういうことなんだよ。実際にこの場所にいて、叫んでみないとわからないものがある。字面だけ見たら、「We are DISCO!!!」って意味わかんないけど(笑)」
と言っていたが、「ディスコ!」の叫びには、その日、その場所にいた人たちを一つにする力があった。だからそれをわかってしまっていたからこそ、telephonesのライブに行くのはやめられなかった。
コールを終えると、そのまま「ディスコ!」を叫びまくるディスコシリーズ曲を連発。狂騒的な「I Hate~」、この場で演奏されるのはちょっと予想外だった「Oh my~」、そして天井知らずに盛り上がりを増し続ける「Keep Your~」、この日9mmがカバーした「Monkey~」と連発していくのだが、何度となくライブで聴いて、ディスコを叫んだこの曲たちも、しばらくはライブでは聴くことができないと思うと、どこか寂しい気持ちになってしまう。
そして意外にも本編で最後に演奏されたのは、これまで数々のライブのラストに演奏され、観客を笑顔にしてきた「Love&DISCO」。
すでに客席には数多くの風船が飛び交い、銀テープも放たれる中、4年前同様に飛行船が客席を飛び、その機体には「10年間ありがとう」の文字が。やはり、この曲が持つ祝祭感は他のどんな曲からも感じることができない。だからこそこの曲はファンからも、他のアーティストからも愛され続けた、telephonesのアンセムだった。
アンコールではスタンド席の観客がスマホのバックライトを点灯させてかざし、それを見たメンバーが「すごい」と口にする。メンバーはそれぞれTシャツなどのラフな姿に着替えている。
すると、ここで髪型を変えたにもかかわらず、ここまで全く触れられていない誠治がマイクを取って立ち上がり、
「今回、活動休止っていうのは自分たちで選んだこと。だからみなさんも、音楽にかかわらず、自分の意志を持って物事を選んでほしい」
と語りかけたが、その目はどこか潤んでいるようにも見えた。
そして本編では上手く言葉にできなかった石毛も、
「telephones、少なくとも日本の音楽シーンを面白くしたっていう自負があります。今日出たバンドはどのバンドもリスペクトしています。良い音楽は良いんです。それはロックでもテクノでもヒップホップでもアンビエントでもいいんです。みんなが好きな音楽をみんなの意志で決めてほしい。
俺たちがやろうとしてたのは、日本のシーンと海外のシーンとDJ文化をくっつけようとしてて。まだ21歳時の頃は、俺たちは海外のシーンに憧れてた。それがこんな規模になって本当に嬉しいです。
でも良い言葉が見つからないから言うけど、みんながミーハーな音楽を求めると、ミーハーなバンドが増えます。みんながカッコいい音楽を求めると、カッコいいバンドが増えます。まだ中学生とか高校生だと、その時に入ってきたものがすべてだろうから、そんなに選べないと思うけど…。でもこういう時代だからこそ、良い音楽が鳴っていて欲しい。
まだ確認してないけど、俺たちはみんな音楽をそれぞれ続けると思うし…続けるよね?(メンバー全員頷く)なので、これからもtelephonesのメンバーをよろしくお願いします!」
と、この日初めてしっかりと自分の口で言いたいことをしっかりと今、目の前にいる人たちに伝える。
そして
「urban disco」ではノブが客席にダイブして、「I am disco!」の大合唱が起こる。これが、最後の「ディスコ」の合唱となってしまった。
そして
「不器用な4人組、the telephonesでした!」
と石毛が言ってからの最後の曲は最新アルバム「Bye Bye Hello」からの「Something Good」。なぜ「Love&DISCO」でも「urban disco」でもなくこの曲だったのか。それは、スクリーンに映し出された、メンバーの演奏する姿の横に出てきた、この曲の和訳がすべてを物語っていた、というくらいにこの歌詞がこの瞬間の状況を言い当てていた。
演奏が終わると、観客を背景に写真撮影を行い、さらにはスタッフ達もステージに呼び込んで、チームtelephonesでの写真撮影。するとメンバーがステージを降りて、客席の間を全員が観客とハイタッチしながら歩いていき、アリーナを一周したメンバーからステージに戻ると、全員で最後まで残っていてくれた観客に感謝の意を表しながら、活動休止前最後のステージを後にした。
メンバーがステージから去ると、スクリーンにはエンドロールというべき、今までこのバンドに関わったスタッフの名前とメンバーの名前が映し出された。(もちろん、プロデューサーとしてナカコーなどの名前も)
流れ終わると、会場が明るくなり、
「いつの日か、必ずまた会いましょう!」
という終演アナウンスのあと、客席から大きな拍手が起こった。
終わった。10時間以上だが、本当にあっという間にラストパーティーは終わってしまった。
自分は活動休止を発表したTDCホールの時に泣いてしまった。その時は周りにも泣いている人がたくさんいた。しかし、この日は泣いている人ももちろんいたが、笑顔の人のほうが圧倒的に多かった。やっぱりこのバンドは笑顔のほうがよく似合う。
1.HABANERO
2.sick rocks
3.D.E.N.W.A.
4.Baby,Baby,Baby
5.SAITAMA DANCE MIRRORBALLERS!!!
6.electric girl
7.A.B.C.DISCO
8.Homunculus
9.I Hate DISCOOOOOOO!!!
10.Oh my disco!!!
11.Keep Your DISCO!!!
12.Monkey Discooooooo
13.Love&DISCO
encore
14.urban disco
15.Something Good
本人も言っていたように、telephonesは本当に不器用なバンドだった。(音楽的には器用なとこも多いけど)
もっとこうしてれば、ああしてれば、悩むことはなかったかもしれないと思うところもたくさんある。でも、その不器用なところがメンバーの人間らしさで、このバンドのファンはみんなそこが好きだったはず。
でも、まだ「Bye Bye Hello」の曲をライブでは3曲くらいしか聴けていないだけに、お互い生きているうちには必ず。
一週間に4日ライブ見たこともあったし、telephonesがライブやらなかったら行けなかった場所にもたくさん連れて行ってもらった。同じ時代に生きれて、出会えて、好きになれて本当に良かったし、楽しかった。でもこれで最後だなんて思ってない。また「ディスコ!」をみんなで一緒に叫びたい。その日が少しでも早く来ることを祈って。
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