Mrs. GREEN APPLE presents 「Mrs. ONEMAN LIVE ~武装と創と造~」 @渋谷WWW 9/26
- 2015/09/26
- 23:55
今年、3枚目のミニアルバム「Variety」でメジャーデビューを果たし、夏には各大型フェスにも出演した、まだ10代の大森元貴(ボーカル&ギター、全作詞作曲も手がける)を中心とする、現在のポップシーンを更新せんとする5人組バンド、Mrs. GREEN APPLE。
これまでは主催ライブも対バン企画のみだったが、曲が揃ってきたことにより、ついに初ワンマンを渋谷WWWで開催。夏フェスでの期待度などを踏まえるとあまりに小さいキャパの会場なだけに、チケットはもちろん瞬殺ソールドアウト。
客層はほとんどが大森より年下と思われる10代、しかも女子が8~9割を占めている印象。
開演前にはBGMとして、バンドの曲のインストバージョンが流れている中、18時を5分ほど過ぎたあたりでSEとともにメンバーが登場し、2ndミニアルバム「Progressive」のラスト曲「WaLL FloWeR」からスタートし、観客に合唱させてから曲最後にメンバーが高くジャンプする「我逢人」という、メンバーの完成度の高い演奏による瑞々しいサウンドで、土曜日の渋谷の喧騒からガラッと世界が変わる。
いつも通りに抜群の声の伸びを披露し、若さの割にはどこか達観した雰囲気を醸し出しながらも、
「こう見えてゲロ吐きそうなくらいに緊張している(笑)」
という大森の挨拶的な最初のMCも挟みつつ、序盤はバンドのグルーヴで押していく曲が続く。
すでに序盤から藤澤(キーボード)の煽りもあり、完璧なタイミングで手拍子や合唱をするという仕上がりぶりの客席にコール&レスポンスの練習をさせてから、大森がギターを置いてハンドマイクで歌う「HeLLo」「アンゼンパイ」を終えると、いったんメンバーがステージから去り、ステージ背面には森の中のような場所にバンド名が映し出される映像が始まる。
が、これは転換も兼ねたもので、スタッフが機材をセッティングすると、メンバーが再登場。大森がアコギ、この日は裸足でステージに上がっていた高野もアコースティックベースに持ち替えると、映像も森の中から花畑のような画面に変わり、まさにその風景がぴったりと似合うような、まだ音源化されていない暖かくも柔らかい曲が続く。
しかし、やはり歌詞には大森の死生観を感じさせるフレーズが多い。メンバーの緊張感もあり、このあたりの中盤は少し重いというか、楽しくてポップなミセス、という大方のイメージを良い意味で裏切るブロック。この流れは時間がこれまでで最長のワンマンだからこそ見れる部分でもある。
メンバーも少し空気が重くなってきていることを察しながらも、同じように聴かせるタイプの「日々と君」、そして作ったばかりだという新曲「くじらのうた」を披露。大森が「大きい曲」と紹介したとおり、藤澤の奏でるフレーズをストリングスを加えたアレンジで演奏したらものすごく合うだろうな、と思える壮大な曲。とりあえずストリングス入れとけばそれっぽくなる、みたいなJ-POPバラード的な曲とは全く違う。
すると「道徳と皿」からは一変して「ポップで楽しいミセス」サイドへ。高野と若井(ギター)が「昨日何をしていた?」というテーマでMCも展開。なぜか年上の高野が敬語で年下の若井がタメ口(バンドに入った順番的には高野が1番後輩だからか?)という口調で話しながら若井は
「昨日風呂に入ってる時に脳内で1回ワンマンをやってるから、今日が2回目のワンマン」
というぶっ飛んだことを言い放つ。ちなみに風呂に入ってた時間は10分くらいだったらしい。
すでに序盤から汗だくになりながらパワフルなドラムを叩き続けている紅一点メンバーの山中綾華がそんな流れをぶった切るようにドラムを叩き始めると、大森、藤澤、若井、高野の4人がキメで片足を高く上げながら演奏するのが実に楽しい、音源化されてない曲とは思えないほどの盛り上がりを見せた「愛情と矛先」からライブでおなじみのキラーチューン連発。
とりわけ今回のライブのタイトルにもなっているフレーズが出てくる、「Variety」のリード曲「StaRt」は本当に強い。ドラムロールから始まり、合唱や手拍子など、ポップな曲をさらに際立たせるようなフックが満載。こんな曲をある意味狙って作れているというのはもはや恐ろしさすら感じる。
そして大森が次が最後の曲であることを告げると、中学校へ行けずに友達がいなかった自分が、メジャーデビューしてこうしてたくさんの人に見つけてもらったことにより、そのかつての喪失を埋められると思っていたが、実際は全く埋まらなかったこと、埋まらないからこそ、強くならないといけないと自分に言い聞かせ、歌うのがキツい(歌詞の内容的に)という「CONFLICT」をあえて最後に歌うことを選んだ。
「いつかはどうせ消えて往く
残された時間が 笑えるように」
という歌詞を10代(高校生の年齢)で書いてしまえるという感覚。ポップさ、楽しさももちろんだが、この感覚こそが大森元貴という人間の、そしてこのバンドの核。ここまで青臭さを感じることのない10代が書いた歌詞は初めてかもしれない。現にこのバンドには「青春」や「恋愛」という要素を感じさせる歌詞の曲が全くない。これから大森が20代になって、大人になってからも気恥ずかしく思うことなく、今の曲たちを歌い続けていけるはず。
アンコールでは打ち込みのサウンドも取り入れながら、これまた死生観の強い歌詞の「L.P」を演奏。空気が重くなりがちな曲なので、
「この曲の後にしゃべるの難しいよね(笑)」
と言いながら、10月からラジオが始まること、すでに発表されているが、ニューシングルが「遊戯王」のタイアップになっていることを発表。メンバーは遊戯王世代ということで、カードゲームについて若井と藤澤が白熱した意見を交わすというあたり、相思相愛のコラボと言える。
そのタイアップの新曲「Speaking」は本人も言う通り、「超ポップ」なサウンドの、「StaRt」の進化形とでも言うような曲だが、歌詞の内容はタイトル通りにコミュニケーションについてのものだと思われる。そのあたりは遊戯王の内容に即したものなのかはもはや遊戯王をわからない自分にはなんとも言えないが、そうしたタイアップをきっかけにまた若い人たちがこのバンドの音楽を知ることになれば最高の結果になる。
しかしそれでもまだ終わらず(生配信されていたスペシャアプリの放送はすでに終了していたらしい)、メンバーが全員この日のライブTシャツを着て登場。このTシャツはライブ前にすでに売り切れたらしい。そして先に観客をバックに写真撮影をすると、
「ポップなだけじゃない。これからの僕らを表す曲」
と言って、圧倒的なバンドのグルーヴを見せつける、ラウドなギターロックと言ってもいい「パブリック」。
突き抜けたポップな曲はメロディーの良さが際立ち、この曲ではバンドの演奏の完成度の高さが際立つ。次々に演奏された新曲のクオリティも含め、本当に末恐ろしいバンド。
演奏を終えるとメンバーが並んで手を取り、観客に一礼。バンドの持つ幅広さをかつてなく感じさせた、2時間に及ぶ記念すべき初ワンマンはこうして幕を閉じた。
このライブ後の確信しかない感じはなかなか味わえない。このキャパでワンマンを見れるのは間違いなく最初で最後。年末にはリキッドルームでワンマンも決まっているし、来年にはZEPPクラスでワンマンをやっていてもおかしくない。でも自分はこの日のライブを見て、武道館のステージに立ってるメンバーの姿が容易に想像できた。あのメンバーのアクションは広いステージのほうが絶対似合うはず。
そしてMrs. GREEN APPLEのファンは間違いなく大森よりちょっと年下の10代の人が大多数だと思うが、高校生くらいの人が同世代くらいに夢や期待を託せるバンドがいるというのは本当にうらやましいし、支えになってるはず。自分が高校生の時は、10代のバンドなんて全然いなかったから。
1.WaLL FloWer
2.我逢人
3.VIP
4.リスキーゲーム
5.FACTORY
6.HeLLo
7.アンゼンパイ
8.ノニサクウタ
9.春愁
10.ミスカサズ
11.日々と君
12.くじらのうた (新曲)
13.道徳と皿
14.愛情と矛先
15.ナニヲナニヲ
16.StaRt
17.CONFLICT
encore1
18.L.P
19.Speaking
encore2
20.パブリック
StaRt
http://youtu.be/OTUtF7ZxRN8
愛情と矛先
http://youtu.be/5s6xcRSl600
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これまでは主催ライブも対バン企画のみだったが、曲が揃ってきたことにより、ついに初ワンマンを渋谷WWWで開催。夏フェスでの期待度などを踏まえるとあまりに小さいキャパの会場なだけに、チケットはもちろん瞬殺ソールドアウト。
客層はほとんどが大森より年下と思われる10代、しかも女子が8~9割を占めている印象。
開演前にはBGMとして、バンドの曲のインストバージョンが流れている中、18時を5分ほど過ぎたあたりでSEとともにメンバーが登場し、2ndミニアルバム「Progressive」のラスト曲「WaLL FloWeR」からスタートし、観客に合唱させてから曲最後にメンバーが高くジャンプする「我逢人」という、メンバーの完成度の高い演奏による瑞々しいサウンドで、土曜日の渋谷の喧騒からガラッと世界が変わる。
いつも通りに抜群の声の伸びを披露し、若さの割にはどこか達観した雰囲気を醸し出しながらも、
「こう見えてゲロ吐きそうなくらいに緊張している(笑)」
という大森の挨拶的な最初のMCも挟みつつ、序盤はバンドのグルーヴで押していく曲が続く。
すでに序盤から藤澤(キーボード)の煽りもあり、完璧なタイミングで手拍子や合唱をするという仕上がりぶりの客席にコール&レスポンスの練習をさせてから、大森がギターを置いてハンドマイクで歌う「HeLLo」「アンゼンパイ」を終えると、いったんメンバーがステージから去り、ステージ背面には森の中のような場所にバンド名が映し出される映像が始まる。
が、これは転換も兼ねたもので、スタッフが機材をセッティングすると、メンバーが再登場。大森がアコギ、この日は裸足でステージに上がっていた高野もアコースティックベースに持ち替えると、映像も森の中から花畑のような画面に変わり、まさにその風景がぴったりと似合うような、まだ音源化されていない暖かくも柔らかい曲が続く。
しかし、やはり歌詞には大森の死生観を感じさせるフレーズが多い。メンバーの緊張感もあり、このあたりの中盤は少し重いというか、楽しくてポップなミセス、という大方のイメージを良い意味で裏切るブロック。この流れは時間がこれまでで最長のワンマンだからこそ見れる部分でもある。
メンバーも少し空気が重くなってきていることを察しながらも、同じように聴かせるタイプの「日々と君」、そして作ったばかりだという新曲「くじらのうた」を披露。大森が「大きい曲」と紹介したとおり、藤澤の奏でるフレーズをストリングスを加えたアレンジで演奏したらものすごく合うだろうな、と思える壮大な曲。とりあえずストリングス入れとけばそれっぽくなる、みたいなJ-POPバラード的な曲とは全く違う。
すると「道徳と皿」からは一変して「ポップで楽しいミセス」サイドへ。高野と若井(ギター)が「昨日何をしていた?」というテーマでMCも展開。なぜか年上の高野が敬語で年下の若井がタメ口(バンドに入った順番的には高野が1番後輩だからか?)という口調で話しながら若井は
「昨日風呂に入ってる時に脳内で1回ワンマンをやってるから、今日が2回目のワンマン」
というぶっ飛んだことを言い放つ。ちなみに風呂に入ってた時間は10分くらいだったらしい。
すでに序盤から汗だくになりながらパワフルなドラムを叩き続けている紅一点メンバーの山中綾華がそんな流れをぶった切るようにドラムを叩き始めると、大森、藤澤、若井、高野の4人がキメで片足を高く上げながら演奏するのが実に楽しい、音源化されてない曲とは思えないほどの盛り上がりを見せた「愛情と矛先」からライブでおなじみのキラーチューン連発。
とりわけ今回のライブのタイトルにもなっているフレーズが出てくる、「Variety」のリード曲「StaRt」は本当に強い。ドラムロールから始まり、合唱や手拍子など、ポップな曲をさらに際立たせるようなフックが満載。こんな曲をある意味狙って作れているというのはもはや恐ろしさすら感じる。
そして大森が次が最後の曲であることを告げると、中学校へ行けずに友達がいなかった自分が、メジャーデビューしてこうしてたくさんの人に見つけてもらったことにより、そのかつての喪失を埋められると思っていたが、実際は全く埋まらなかったこと、埋まらないからこそ、強くならないといけないと自分に言い聞かせ、歌うのがキツい(歌詞の内容的に)という「CONFLICT」をあえて最後に歌うことを選んだ。
「いつかはどうせ消えて往く
残された時間が 笑えるように」
という歌詞を10代(高校生の年齢)で書いてしまえるという感覚。ポップさ、楽しさももちろんだが、この感覚こそが大森元貴という人間の、そしてこのバンドの核。ここまで青臭さを感じることのない10代が書いた歌詞は初めてかもしれない。現にこのバンドには「青春」や「恋愛」という要素を感じさせる歌詞の曲が全くない。これから大森が20代になって、大人になってからも気恥ずかしく思うことなく、今の曲たちを歌い続けていけるはず。
アンコールでは打ち込みのサウンドも取り入れながら、これまた死生観の強い歌詞の「L.P」を演奏。空気が重くなりがちな曲なので、
「この曲の後にしゃべるの難しいよね(笑)」
と言いながら、10月からラジオが始まること、すでに発表されているが、ニューシングルが「遊戯王」のタイアップになっていることを発表。メンバーは遊戯王世代ということで、カードゲームについて若井と藤澤が白熱した意見を交わすというあたり、相思相愛のコラボと言える。
そのタイアップの新曲「Speaking」は本人も言う通り、「超ポップ」なサウンドの、「StaRt」の進化形とでも言うような曲だが、歌詞の内容はタイトル通りにコミュニケーションについてのものだと思われる。そのあたりは遊戯王の内容に即したものなのかはもはや遊戯王をわからない自分にはなんとも言えないが、そうしたタイアップをきっかけにまた若い人たちがこのバンドの音楽を知ることになれば最高の結果になる。
しかしそれでもまだ終わらず(生配信されていたスペシャアプリの放送はすでに終了していたらしい)、メンバーが全員この日のライブTシャツを着て登場。このTシャツはライブ前にすでに売り切れたらしい。そして先に観客をバックに写真撮影をすると、
「ポップなだけじゃない。これからの僕らを表す曲」
と言って、圧倒的なバンドのグルーヴを見せつける、ラウドなギターロックと言ってもいい「パブリック」。
突き抜けたポップな曲はメロディーの良さが際立ち、この曲ではバンドの演奏の完成度の高さが際立つ。次々に演奏された新曲のクオリティも含め、本当に末恐ろしいバンド。
演奏を終えるとメンバーが並んで手を取り、観客に一礼。バンドの持つ幅広さをかつてなく感じさせた、2時間に及ぶ記念すべき初ワンマンはこうして幕を閉じた。
このライブ後の確信しかない感じはなかなか味わえない。このキャパでワンマンを見れるのは間違いなく最初で最後。年末にはリキッドルームでワンマンも決まっているし、来年にはZEPPクラスでワンマンをやっていてもおかしくない。でも自分はこの日のライブを見て、武道館のステージに立ってるメンバーの姿が容易に想像できた。あのメンバーのアクションは広いステージのほうが絶対似合うはず。
そしてMrs. GREEN APPLEのファンは間違いなく大森よりちょっと年下の10代の人が大多数だと思うが、高校生くらいの人が同世代くらいに夢や期待を託せるバンドがいるというのは本当にうらやましいし、支えになってるはず。自分が高校生の時は、10代のバンドなんて全然いなかったから。
1.WaLL FloWer
2.我逢人
3.VIP
4.リスキーゲーム
5.FACTORY
6.HeLLo
7.アンゼンパイ
8.ノニサクウタ
9.春愁
10.ミスカサズ
11.日々と君
12.くじらのうた (新曲)
13.道徳と皿
14.愛情と矛先
15.ナニヲナニヲ
16.StaRt
17.CONFLICT
encore1
18.L.P
19.Speaking
encore2
20.パブリック
StaRt
http://youtu.be/OTUtF7ZxRN8
愛情と矛先
http://youtu.be/5s6xcRSl600
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