ROCK IN JAPAN FES. 2015 day4 @国営ひたち海浜公園 8/9
- 2015/08/10
- 23:15
2週間に渡って続いた今年のロッキンもいよいよ最終日。前日に続いてこの日も先週に比べるとかなり涼しめ。
入場すると、WANIMAの物販がすべてソールドアウトしているというとんでもない状況を目の当たりにし、早めに観に行くことに。
なので、GRASS STAGEで渋谷陽一の前説を聞き、トップバッターのチャットモンチーが2人だけで奥田民生の「息子」のカバー、バンド編成で「ここだけの話」を演奏したのを見て移動。移動中に「東京ハチミツオーケストラ」「こころとあたま」を演奏しているのが聞こえていた。
11:05~ WANIMA [SOUND OF FOREST]
初出演。PIZZA OF DEATH RECORDSからの新人スリーピースパンクバンド、WANIMA。すでに書いたように物販がすでにすべてソールドアウトという異常とも言える状況であるため、サウンドチェックでHi-STANDARD「STAY GOLD」を演奏したりしていると、開演前からすでに満員状態だが、
「今日は52曲やります!」
と宣言していったん捌ける。
スキャットマン・ジョンのSEでメンバーが登場すると、
「WANIMAでーす!日本のフェスで1番、ジャパンが好きー!」
と健太が叫び、「Hey Lady」からスタートすると、すでに超満員、もはやLAKE STAGEでも入場規制かかるだろうというくらいの人が一斉に火がついたように前に詰めかけ、激しいモッシュが起こる。
もはやこれ以上に良いメロディーがあるのかというくらいに誰もがすぐに口ずさめる曲と、ライブでの爆発力。おなじみ「雨上がり」やリリースされたばかりのシングル収録曲である、「エッチな曲」という「いいから」、聴かせるタイプの曲である「TRACE」でもそれは変わらない。
「こんにちは、ゆずでーす!」
と挨拶するとドラム藤原が「夏色」を歌いまくり、「長い!」と突っ込まれたり、
「プーさんよりもくまモン!プーさんよりもくまモン!」
という熊本出身バンドならではのコール&レスポンスを繰り返したりという詰め込みぶりで、健太がイントロでアカペラで高々と歌い上げてからの「昨日の歌」、男女の一夜の情事を描いた「BIG UP」と続け、ラストは情景が頭に浮かんでくる大名曲「1106」。涼しいとは言えないくらいにもはや客席は熱気に溢れる中で演奏を終えると、
「来年出れるかわからんけん、写真撮らせて!」
と健太が客席の写真を撮り、初出演の大舞台を見事にやりきった。
大袈裟でもなんでもなく、来年以降、GRASS STAGEでWANIMAに出会った人が、「あの時FORESTで見たかった」とうらやむに違いないというくらいのライブだった。この日本最大級のロックフェスで、このストレートなパンクがど真ん中で鳴り響く日が必ず来る。
「来年出れるかわからんから」と言っていたが、何事もなければ来年はGRASSに出てもおかしくない。しかもこれがまだミニアルバムとシングル1枚しか出てないという末恐ろしさ。
1.Hey Lady
2.雨上がり
3.TRACE
4.いいから
5.昨日の歌
6.BIG UP
7.1106
TRACE
http://youtu.be/Em-d1f55NPg
11:40~ ストレイテナー [LAKE STAGE]
かつてはGRASS STAGEに出ていたが、LAKE STAGEでトリをやって以降はこのステージが定着しつつある、ストレイテナー。
「From Noon Till Dawn」でいきなりホリエが
「LAKE STAGEマジで最高!」
と歌詞を変えて叫ぶと、「The World Record」「Discography」と踊れる曲を続け、ホリエがシンセを弾きながら歌うイントロが追加された「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」と、前半はバンドの演奏の安定感を見せてくれる曲が続く。
「この夏のために書いた曲。反戦歌です」
と言って演奏された「NO ~命の跡に咲いた花~」のメッセージをじっくりと聴かせる。反戦歌であるだけに、こうして歌詞をはっきりと聴いてもらえるようなバラードと言っていい曲。演奏を終えると、
「70年前の今日は長崎に原爆が落ちた日です。音楽みたいな楽しいことを、当たり前のように全力で楽しめるような世の中にしましょう!」
とホリエは言ったが、ホリエは今までは政治的なことを全く言ってこなかったミュージシャンである。それが今はこうしてこういう発言をしているというのは、長崎出身として、この現状が危険な方向に進んでしまっているという危機感があるんだろうか。
「みんなで歌いましょう!」
と言って、このLAKE STAGEに実によく似合う爽やかな風のような「Melodic Storm」で大合唱を起こすと、
「こうしてこのLAKE STAGEで楽しんでいる君たちは、まるで狂戦士のようだ。LAKE STAGEのバーサーカー達に捧げる!」
とシンペイが言っての「BERSERKER TUNE」の爆発力で完全燃焼。演奏が終わるといつものようにメンバー全員がステージ前で手を繋いで観客に一礼。
満員と言っていい感じではあったが、これは来年以降もこのLAKE STAGEに出ると思う。
1.From Noon Till Dawn
2.The World Record
3.Discography
4.SAD AND BEAUTIFUL WORLD
5.シンデレラソング
6.NO ~命の跡に咲いた花~
7.Melodic Storm
8.BERSERKER TUNE
NO ~命の跡に咲いた花~
http://youtu.be/2NUM86iMi0k
12:50~ KEYTALK [LAKE STAGE]
去年はPARK STAGEのトリ、今年は一気に拡大してLAKE STAGEへの登場となったKEYTALK。サウンドチェックの段階でメンバーが登場して曲を演奏すると、本番ではその様子に引き込まれてか、すでに満員に。
ギター武正の黄緑色の鮮やかな衣装が目を引く中、「FLAVOR FLAVOR」で爽やかに始まると、代表曲に加え、この暑さすらこのバンドの味方になっているんじゃないかというくらいにこのシチュエーションにピッタリな夏ソングを連発していく。
武正の「ぺーい」のコール&レスポンスや八木の中日ドラゴンズのTシャツなど、歌う2人以外のキャラも立ちまくる中、首藤と巨匠こと寺中はツインボーカルを響かせ、首藤が歌っている時は寺中は首藤の後ろにピッタリとくっついてギターを弾いたり、間奏で缶ビールを一気飲みしたりとやりたい放題。(最も目立つべきところなのに、モニターには一切映ってなかった)
「MABOROSHI SUMMER」では満員の観客がMABOROSHIダンスを踊り、最新アルバム「HOT!」収録の「バイバイアイミスユー」ではこれまでの踊れる曲とは全く違う、寺中による甘酸っぱいラブソング。踊れるイメージが強いKEYTALKだが、こういう曲があるのがこのバンドの強みでもあり、ここまで大きくなった理由の一つだと思う。
するとシングルとMV集の発売を発表し(シングル出るので新曲やるかと思ったけどやらず)、「太陽系リフレイン」から、待ってました!な「MONSTER DANCE」で一糸乱れぬダンスが広がった。
客席は入場規制がかかるくらいの超満員ぶり。これは今年控える武道館ワンマンに向けて、非常に期待できるライブとなった。
1.FLAVOR FLAVOR
2.パラレル
3.YURAMEKI SUMMER
4.桜花爛漫
5.MABOROSHI SUMMER
6.バイバイアイミスユー
7.太陽系リフレイン
8.MONSTER DANCE
MONSTER DANCE
http://youtu.be/N39glrfql0I
14:00~ フレデリック [PARK STAGE]
ついにこのフェス初出演となったフレデリック。サウンドチェックで「ディスコプール」を演奏したり、「オドループ」のイントロのギターを一瞬だけ弾くというのを何回も繰り返したりするという焦らしっぷりを見せていったんステージを去る。
いきなりの「オワラセナイト」から炎天下のPARK STAGEをダンスフロアに変えると、ギターロック色の強い「愛の迷惑」、シュールな歌詞と癖になるサウンドの「ふしだらフラミンゴ」「うわさのケムリの女の子」で勢いを緩めることなく躍らせまくり、
「俺たち昨日からこの会場に来てて。みんなと同じように入り口からこのステージまで歩いてみたりして。みんなと同じ気持ちでこのステージにやってきて。
長い間バンドやってきて、ずっと出たかったこのフェスについに出ることができて、これだけたくさんの人が待っててくれてて、どれだけ勇気をもらえたと思う?もう無敵ですよ!」
と康司(ベース)が感慨深げに語る。初出演というのは意外にも思えるが、去年はまだ「オドループ」も「オワラセナイト」もなかった。そうやって名曲を作ってライブで各地の観客を躍らせまくった結果、バンドはこの夢の舞台についに立つことができた。
そんな無敵状態のバンドから届いた新曲「フューチャーアイスクリーム」は、かなりストレートなギターロックという感じの曲。これはかなり意外ではあるが、一聴しただけではわからないような歌詞やタイトルも含め、どんな内容の曲なのかはまだつかみどころがない。
そしてラストは「プロレスごっこのフラフープ」から、バンドの存在を世に知らしめた現代最大のダンスアンセムと言っていい「オドループ」で客席にオドループダンスが広がるなど、躍らせまくって終了。
初出演とは思えないくらいの満員ぶりは、このバンドが「オドループ」の一発屋ではないことを示しているし、来年以降このバンドがさらに大きなステージに行く可能性があることを示している。
1.オワラセナイト
2.愛の迷惑
3.ふしだらフラミンゴ
4.うわさのケムリの女の子
5.フューチャーアイスクリーム (新曲)
6.プロレスごっこのフラフープ
7.オドループ
オドループ
http://youtu.be/PCp2iXA1uLE
14:35~ Czecho No Republic [SOUND OF FOREST]
去年はBUZZ STAGEに出演していたCzecho No Republic、日比谷野音ワンマンを経て、最もバンドの雰囲気に似合うと思われるSOUND OF FORESTへの出演となった。
最新のアー写同様に真っ白な衣装で統一されたメンバーが登場し、「NO WAY」からスタートし、
「エンジョイ、フェスティバル!」
と砂川(ギター)が叫ぶと、この状況に実によく似合う「Festival」。
「なんかこの真っ白な感じだと、みんな病院帰りの人みたい(笑)」
と武井が自虐的に語ると、3人のホーン隊をステージに招いて「Amazing Parade」からはゴージャスなサウンドを展開。最近、フェスやイベントでは演奏されなかった「RUN RUN TIKI BANG BANG」が演奏されたのもこのホーン隊のアレンジあってこそだろうか。
大合唱が響いた「ダイナソー」から、野音でも披露された新曲「Firework」。タイトル的にもこれはいつか夜のこのフェスで聞いてみたい曲である。
来月リリースのアルバムと、10月のDiverCityでのワンマンの告知もすると、ラストは「Oh Yeah!!!!!!!」。タイアップ効果もあるだろうが、やはりこの曲が1番待たれていた感じがした。武井は終盤でベースを置いてハンドマイクになると、マイクを客席に向けて再び大合唱を巻き起こして終了した。
本当にこのステージがよく似合うバンドであるために、森の番人になっていただきたいが、さらにでかいステージに進んでもらいたいという気持ちもある。リリースペースがかなり速いバンドなだけに、アルバムを経ての来年はさらに進化しているかもしれない。
1.NO WAY
2.Festival
3.Amazing Parade
4.RUN RUN TIKI BANG BANG
5.ダイナソー
6.Firework
7.Oh Yeah!!!!!!!
Oh Yeah!!!!!!!
http://youtu.be/zqC3tkbhfRA
15:50~ Mrs. GREEN APPLE [WING TENT]
サウンドチェックで本番さながらに「我逢人」をまるまる一曲演奏し、これ本編でやらないのか?と思ってしまった、Mrs. GREEN APPLE。先月メジャーデビューしたばかり、当然初出演である。
時間になって、若さ溢れる元気いっぱいとばかりにメンバーが登場すると、「愛情と矛先」からスタート。客席は満員。待ってましたと言わんばかりの空気と、このバンドに対する期待が満ちている。
どこか女子っぽく見える、真っ白な衣装に身を包んだ藤澤が手拍子を煽り、バンドの首謀者・大森は満員の観客が手拍子をしているのを見て、
「すごい!夢みたいだ!」
と思わず口に出す。しかしながらそうは言いながらも、この男、このバンドには緊張という言葉はないんだろうかというくらいに初出演ながら堂々としている。まだ18歳。普通ならようやくこのフェスに遊びに来れるような年齢でこのステージに立って、堂々としたパフォーマンスを見せている。それだけでこのバンドが只者ではないのがわかるが、やはりこのバンドの武器はその大森の生み出すメロディー。まだミニアルバム3枚しかリリースされていないバンドだが、全曲シングルカットできるくらいのクオリティの曲である。そしてメンバーの演奏力の高さと、パフォーマンスを含めたバンドの完成度の高さ。
ギター若井がずっとテレビでこのフェスを見ていて、ずっと見ながらギターを弾いて暴れていた、というエピソードを告げると、ついにその憧れの舞台に立ったメンバーに対して暖かい拍手が起こり、ラストの突き抜けるようなポップさの「StaRt」を終えると、
「以上、Mrs. GREEN APPLEでした。以降お見知り置きを!」
と大森が言ってステージを去って行った。
かつてこのWING TENTには、今はメインステージに出ているKANA-BOON、SEKAI NO OWARI、クリープハイプ、[Alexandros]、ONE OK ROCK、さらに昔にはチャットモンチー、RADWIMPS、9mm Parabellum Bulletというあたりも初期に出ていた。どのバンドももはやWING TENTに出ていたのが信じられないような規模になっているが、数年後、このバンドも間違いなくそれらのバンドと同じようにGRASS STAGEに立っているはず。こんなにバンドシーン、さらには日本の音楽シーンのど真ん中を突破していくだろうと思えるようなバンドはそうそういない。
1.愛情と矛先
2.リスキーゲーム
3.VIP
4.ナニヲナニヲ
5.HeLLo
6.StaRt
StaRt
http://youtu.be/OTUtF7ZxRN8
16:20~ アルカラ [PARK STAGE]
着いたらすでに始まっていたので、かなり面白いことになっていたらしい登場からオープニングまでを見逃してしまった、アルカラ。
なので観れたのは「キャッチーを科学する」から、ひたすらに曲を連発していくあたりから。「チクショー」でぐんぐんバンドも客席も温度が上がっていき、そこからはここ最近リリースの曲の中でのフェスやイベントでの定番曲を演奏。
すると稲村がいきなり、
「この透き通るような青空!数々の命を生み出してきた太陽!豪華な出演者!みんなの最高の笑顔!こんなに揃ってるのに何かが足りない!何かが足りない!アブノーマルが足りない!」
と、実にうまい上にかっこいい繋ぎMCからの「アブノーマルが足りない」をバッチリ決めたかと思いきや、一度袖に捌けて赤いカツラを着用し、
「でんぱ組や!」
と同じ時間にLAKE STAGEでライブをしているでんぱ組.incを意識した格好で「交差点」で踊らせまくった。
正直、動員的にももはやこのステージではなく、LAKE STAGEに出てもおかしくないバンドのはず。だが毎回動員力のあるアクトの裏に回されるという位置になりつつある。それでも今回もしっかり満員にしてみせるんだから大したもの。
1.Aカップ巨乳
2.キャッチーを科学する
3.チクショー
4.嘘つきライアー
5.カラ騒ぎの彼女
6.愚痴ばかりのローレロレロ
7.アブノーマルが足りない
8.交差点
アブノーマルが足りない
http://youtu.be/Vn84dMfPNsU
17:10~ the HIATUS [GRASS STAGE]
前日は新バンド、MONOEYESとして出演した細美武士がこの日はメインのトリ前におなじみのthe HIATUSとして出演。
サウンドチェックで
「なんかこの曲をやりたい気分だった」
と言って「Horse Riding」を演奏。ということはこの曲は本編ではやらないのか、というのはちょっと意外なところ。
本編は「The Ivy」から圧倒的なバンドアンサンブルで押していく曲が続き、「Storm Racers」でさらに加速。
しかし曲終わりのMCでは、
「今日はお祭りだから本当は言いたくないんだけど、今日は8月9日だから言うしかないと思って。70年前の今日、長崎に原爆が落とされて。広島と合わせたら14万人と8万人で…計算苦手だからわかんねぇけど(笑)、20万人以上。このステージの客席には6万人入るらしいけど、俺たちの時はそんなにはいないだろうから、まぁ4万人くらいか。だからここにいる人が5回分、死んだんでもなく、命を落としたんでもなく、殺された」
と、この日盟友であるストレイテナーのホリエが言ったことを、細美武士はもっと直接的な言葉で話す。
そして
「うちのバンドにも広島出身のメンバーがいます。ウエノコウジさん」
と言うと、普段the HIATUSのライブでは全く喋らないウエノコウジが
「ウエノコウジでございます。うちのおかんが10歳の時に原爆が落とされて、おかんは地方に疎開してたんで、こうして生まれまして…まぁ、平和なほうがいいよね」
と口を開く。
「俺は未来のこととか考えられんから、このライブが終わったあとのこととかは考えられないけど、友達の子供とかを見てると、この子達にはもうちょっといい未来を生きていて欲しいなぁと思うし、建前じゃなくて、言いたいことを本音で言い合える世界になって欲しいと思います。そんな曲をやります」
と言って演奏されたのは、細美がアコギに持ち替えて歌う「Deerhounds」。さらに伊澤の美しいピアノの旋律が美しい景色を生み出す「Silver Birch」へ。
お祭りと言いながらも、一度口に出した以上は止まることはできない細美は、
「ミュージシャンが政治的なこと言うんじゃねぇって散々言われてきたよ。だからそう言う奴らは一生そう言い続けてくれ。でももし行動したくてもあと一歩踏み出せない、っていうやつがいたら、頼むから力を貸してくれ!」
と言って頭を下げた。「全てに賛成しろとか、こう思えみたいなことは言わない」とは言っていたが、名前も顔も何をして生きているかも知らないようなやつに「政治的なこと言うな」って言われて言うのやめるくらいの覚悟なら最初から言おうと思わないだろう。そう言われまくったとしても、絶対に揺るがない覚悟や信念があるから、こうしてこういう舞台で政治的な発言をしている。
ちなみに前日、OAUで出演したTOSHI-LOWが「細美武士と国会前に行った」ということを話していたが、その話も細美視点で語られた。
すると「Thirst」「Unhurt」と「Keeper Of The Flame」収録曲をハンドマイク状態で歌い、徐々に温度を上げながらの「Lone Train Running」。
そして
「最近HIATUSで新曲作ってて。相変わらず一回聴いただけではピンと来ないような曲かもしれないけど、来年には聴かせられるように頑張ります」
と言って、「Insomnia」で「Save me」の大合唱を響かせると、「ベテルギウスの灯」「紺碧の夜に」の2連発。退場覚悟でダイブしている人を指差して笑顔の細美であった。今回はそのルールについては触れなかったが、最後には
「後は任せたぞ、10-FEET!」
と大トリを務める仲間に想いを託した。
しかし、the HIATUSのライブとは思えないくらいに客席は空いていた。これは裏のLAKEでback numberがやっていたからだと思われるが、やはり凄まじい入場規制ぶりだったらしい。
リハ.Horse Riding
1.The Ivy
2.The Flare
3.Storm Racers
4.Deerhounds
5.Silver Birch
6.Thirst
7.Unhurt
8.Lone Train Running
9.Insomnia
10.ベテルギウスの灯
11.紺碧の夜に
Thirst
http://youtu.be/fSzxtLQBZHY
18:30~ 10-FEET [GRASS STAGE]
いよいよ今年のこのフェスも最後のアクトに。日もだいぶ傾いてきたこの時間、メインステージの大トリを任されたのは10-FEET。自身のフェス、京都大作戦も2日間開催してこのフェスでも大トリを務めるというバイタリティーは驚異的である。
いつも通りのSEでメンバーが登場したが、やはりどこかちょっと緊張しているようにも見える。そんな中、TAKUMAは、
「お前らめっちゃ好きやー!」
といきなり叫んでから、サビのフレーズを先に弾き語りしての「風」からスタート。さらに「VIBES BY VIBES」、そして「STONE COLD BREAK」では
「ぐるぐるぐるぐる…サークルの真ん中で人間ピラミッド作れー!サークル崩す時はちゃんとピラミッドの人が怪我しないようにやれやー!」
と言うと、巨大サークルの中で人間ピラミッドが乱立。中にはTAKUMAも「それ高過ぎひん!?」というようなものまで出現する。
すると「focus」では
「フェスの醍醐味、それは突然のコラボ」
とRHYMESTERが登場してのコラボ。ミクスチャーと言っていいバンドなだけに、やはりヒップホップとの相性は非常に良いし、何よりRHYMESTERのスキルはさすが。DJ JINは最後にはDJ卓に立って煽りまくっていた。
「2%」では先日のDEAD POP FESTIVAL同様にイントロのベースの部分にギターとドラムを重ねたらどうなるか?という論争が起こるも、やはり「作った時の気持ちで」ということで、紆余曲折あった末にいつも通りにベースのみで始まるパターンに。
しかしながらこの日のみでTAKUMAは本当に壮絶だった。話す時には常に声を限界まで張り上げながら話し、何度も何度もマイクを通さずに叫んでいた。それが何を意味していたのかは我々にはわからないが、
「毎年このフェスのルールのギリギリのところで勝負しようと思っていて。靴だけダイブした時はめちゃくちゃ怒られたけど、渋谷さんが終わった後に、来年も戦ってくれよ、って声かけてくれて。だから今年は人間ピラミッドや!やっちゃいけないことはモニターに映らない、ということがわかったんで、ピラミッドが映らなかったら俺たちの勝ちや!」
と言って再びピラミッドを作らせると、家族への感謝を忘れないようにという話から、
「子供を産んだ友達が、愛と虐待は紙一重やって言ってたんや。でもお母さんは諦めずに私を育ててくれたから、私はこうして母親になれた。だから私も諦めないでこの子に愛を注ごうって思ってるって。お母さん、産んでくれてありがとう!」
と母親への感謝を口にしてから演奏されたのは、もちろん母親のことを歌った「RIVER」。
曲中でTAKUMAが呼び込むと盟友kj(Dragon Ash)も登場し、
「お前ら普段毎日毎日下げたくもねえ頭下げて我慢して一年に一回だけそういうのから解放されたくてここに来てんだろ!?俺たちだってそうだよ!」
と熱いメッセージを語りかける。その前のTAKUMAのMCとこのkjの言葉からは、今生きていて、この場にいれることがどれだけ幸せなことなのかを実感させてくれる。
kjがライターを取り出すと、
「携帯でもライターでも出してくれ!」
と言い、客席が光に包まれる。そんな中、TAKUMAは
「どっちも持ってない人は靴を出してくれ」
とまるで意味のないことを言い始め、kjに「ここは俺のとこだから!」とたしなめられる。
そしてラストのサビ前のフレーズを観客だけに歌わせると、最後のサビをTAKUMAとともに歌ってkjはステージを去っていった。
ラストは「goes on」。TAKUMAが「知らない隣の人とハイタッチやー!」と言うとハイタッチがいたるところで発生し、「RIVER」でも「那珂川」とご当地ネタを歌詞に入れたりしていたが、この曲では
「人がJAPANに来る人みたいに優しくなれたら」
と歌詞を変えて歌った。10-FEETはもうこのフェスに出始めて10年以上になるため、このフェスの客がどういう人たちかというのをよく理解していると思うが、こうして歌ってもらっても恥ずかしさや後ろめたさを感じないような参加者でいたいと心から思う。
アンコールでは京都大作戦の時も披露した新曲を演奏。ちょっとは進んだらしいが、未だ完成には至らず、しかもまだタイトルすら決まっていないらしい。曲自体は「風」や「蜃気楼」のようなタイプの聴かせる曲。
そして「CHERRY BLOSSOM」でタオルを投げさせ、さらには隣の人の汗をタオルで拭かせて終了かと思いきや、TAKUMAが再びマイクを通さずに絶叫しての「その向こうへ」で、
「怪我したやつ、財布盗まれたやつ、痴漢されたやつ、すまん!今日だけは俺たちに免じて許してくれ!そしてどうか笑顔で帰ってくれ!」
と言って、大トリとしての責務を全うした。
毎年、このフェスではルールギリギリのところで戦いながら楽しませてくれるし、だからこそ他のフェスやイベントでは見れない景色を見せてくれる。だからこの場所で見る10-FEETが好き。この日、今まで見た中でも間違いなく1番良かった。
1.風
2.VIBES BY VIBES
3.STONE COLD BREAK
4.focus feat.RHYMESTER
5.SHOES
6.2%
7.1sec.
8.蜃気楼
9.RIVER
10.goes on
encore
11.新曲
12.CHERRY BLOSSOM
13.その向こうへ
その向こうへ
http://youtu.be/yWyzYlvYqHk
終演後、名残惜しくて帰りたくなく、追い出されるギリギリまで飲食ブースにとどまる。
今年で12年目。最初に来た時、漠然と「10年経ってもここに来れたら」と思っていたが、あっという間に10年経って、今でもこうして全日ここに来ている。だからもはや死ぬか、フェスがなくなるまでずっと来続けるだろう。だから、また来年。参加した方、スタッフや飲食ブースの方々など、みなさま本当にお疲れ様でした。
Next→ 8/16 amazarashi @豊洲PIT



入場すると、WANIMAの物販がすべてソールドアウトしているというとんでもない状況を目の当たりにし、早めに観に行くことに。
なので、GRASS STAGEで渋谷陽一の前説を聞き、トップバッターのチャットモンチーが2人だけで奥田民生の「息子」のカバー、バンド編成で「ここだけの話」を演奏したのを見て移動。移動中に「東京ハチミツオーケストラ」「こころとあたま」を演奏しているのが聞こえていた。
11:05~ WANIMA [SOUND OF FOREST]
初出演。PIZZA OF DEATH RECORDSからの新人スリーピースパンクバンド、WANIMA。すでに書いたように物販がすでにすべてソールドアウトという異常とも言える状況であるため、サウンドチェックでHi-STANDARD「STAY GOLD」を演奏したりしていると、開演前からすでに満員状態だが、
「今日は52曲やります!」
と宣言していったん捌ける。
スキャットマン・ジョンのSEでメンバーが登場すると、
「WANIMAでーす!日本のフェスで1番、ジャパンが好きー!」
と健太が叫び、「Hey Lady」からスタートすると、すでに超満員、もはやLAKE STAGEでも入場規制かかるだろうというくらいの人が一斉に火がついたように前に詰めかけ、激しいモッシュが起こる。
もはやこれ以上に良いメロディーがあるのかというくらいに誰もがすぐに口ずさめる曲と、ライブでの爆発力。おなじみ「雨上がり」やリリースされたばかりのシングル収録曲である、「エッチな曲」という「いいから」、聴かせるタイプの曲である「TRACE」でもそれは変わらない。
「こんにちは、ゆずでーす!」
と挨拶するとドラム藤原が「夏色」を歌いまくり、「長い!」と突っ込まれたり、
「プーさんよりもくまモン!プーさんよりもくまモン!」
という熊本出身バンドならではのコール&レスポンスを繰り返したりという詰め込みぶりで、健太がイントロでアカペラで高々と歌い上げてからの「昨日の歌」、男女の一夜の情事を描いた「BIG UP」と続け、ラストは情景が頭に浮かんでくる大名曲「1106」。涼しいとは言えないくらいにもはや客席は熱気に溢れる中で演奏を終えると、
「来年出れるかわからんけん、写真撮らせて!」
と健太が客席の写真を撮り、初出演の大舞台を見事にやりきった。
大袈裟でもなんでもなく、来年以降、GRASS STAGEでWANIMAに出会った人が、「あの時FORESTで見たかった」とうらやむに違いないというくらいのライブだった。この日本最大級のロックフェスで、このストレートなパンクがど真ん中で鳴り響く日が必ず来る。
「来年出れるかわからんから」と言っていたが、何事もなければ来年はGRASSに出てもおかしくない。しかもこれがまだミニアルバムとシングル1枚しか出てないという末恐ろしさ。
1.Hey Lady
2.雨上がり
3.TRACE
4.いいから
5.昨日の歌
6.BIG UP
7.1106
TRACE
http://youtu.be/Em-d1f55NPg
11:40~ ストレイテナー [LAKE STAGE]
かつてはGRASS STAGEに出ていたが、LAKE STAGEでトリをやって以降はこのステージが定着しつつある、ストレイテナー。
「From Noon Till Dawn」でいきなりホリエが
「LAKE STAGEマジで最高!」
と歌詞を変えて叫ぶと、「The World Record」「Discography」と踊れる曲を続け、ホリエがシンセを弾きながら歌うイントロが追加された「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」と、前半はバンドの演奏の安定感を見せてくれる曲が続く。
「この夏のために書いた曲。反戦歌です」
と言って演奏された「NO ~命の跡に咲いた花~」のメッセージをじっくりと聴かせる。反戦歌であるだけに、こうして歌詞をはっきりと聴いてもらえるようなバラードと言っていい曲。演奏を終えると、
「70年前の今日は長崎に原爆が落ちた日です。音楽みたいな楽しいことを、当たり前のように全力で楽しめるような世の中にしましょう!」
とホリエは言ったが、ホリエは今までは政治的なことを全く言ってこなかったミュージシャンである。それが今はこうしてこういう発言をしているというのは、長崎出身として、この現状が危険な方向に進んでしまっているという危機感があるんだろうか。
「みんなで歌いましょう!」
と言って、このLAKE STAGEに実によく似合う爽やかな風のような「Melodic Storm」で大合唱を起こすと、
「こうしてこのLAKE STAGEで楽しんでいる君たちは、まるで狂戦士のようだ。LAKE STAGEのバーサーカー達に捧げる!」
とシンペイが言っての「BERSERKER TUNE」の爆発力で完全燃焼。演奏が終わるといつものようにメンバー全員がステージ前で手を繋いで観客に一礼。
満員と言っていい感じではあったが、これは来年以降もこのLAKE STAGEに出ると思う。
1.From Noon Till Dawn
2.The World Record
3.Discography
4.SAD AND BEAUTIFUL WORLD
5.シンデレラソング
6.NO ~命の跡に咲いた花~
7.Melodic Storm
8.BERSERKER TUNE
NO ~命の跡に咲いた花~
http://youtu.be/2NUM86iMi0k
12:50~ KEYTALK [LAKE STAGE]
去年はPARK STAGEのトリ、今年は一気に拡大してLAKE STAGEへの登場となったKEYTALK。サウンドチェックの段階でメンバーが登場して曲を演奏すると、本番ではその様子に引き込まれてか、すでに満員に。
ギター武正の黄緑色の鮮やかな衣装が目を引く中、「FLAVOR FLAVOR」で爽やかに始まると、代表曲に加え、この暑さすらこのバンドの味方になっているんじゃないかというくらいにこのシチュエーションにピッタリな夏ソングを連発していく。
武正の「ぺーい」のコール&レスポンスや八木の中日ドラゴンズのTシャツなど、歌う2人以外のキャラも立ちまくる中、首藤と巨匠こと寺中はツインボーカルを響かせ、首藤が歌っている時は寺中は首藤の後ろにピッタリとくっついてギターを弾いたり、間奏で缶ビールを一気飲みしたりとやりたい放題。(最も目立つべきところなのに、モニターには一切映ってなかった)
「MABOROSHI SUMMER」では満員の観客がMABOROSHIダンスを踊り、最新アルバム「HOT!」収録の「バイバイアイミスユー」ではこれまでの踊れる曲とは全く違う、寺中による甘酸っぱいラブソング。踊れるイメージが強いKEYTALKだが、こういう曲があるのがこのバンドの強みでもあり、ここまで大きくなった理由の一つだと思う。
するとシングルとMV集の発売を発表し(シングル出るので新曲やるかと思ったけどやらず)、「太陽系リフレイン」から、待ってました!な「MONSTER DANCE」で一糸乱れぬダンスが広がった。
客席は入場規制がかかるくらいの超満員ぶり。これは今年控える武道館ワンマンに向けて、非常に期待できるライブとなった。
1.FLAVOR FLAVOR
2.パラレル
3.YURAMEKI SUMMER
4.桜花爛漫
5.MABOROSHI SUMMER
6.バイバイアイミスユー
7.太陽系リフレイン
8.MONSTER DANCE
MONSTER DANCE
http://youtu.be/N39glrfql0I
14:00~ フレデリック [PARK STAGE]
ついにこのフェス初出演となったフレデリック。サウンドチェックで「ディスコプール」を演奏したり、「オドループ」のイントロのギターを一瞬だけ弾くというのを何回も繰り返したりするという焦らしっぷりを見せていったんステージを去る。
いきなりの「オワラセナイト」から炎天下のPARK STAGEをダンスフロアに変えると、ギターロック色の強い「愛の迷惑」、シュールな歌詞と癖になるサウンドの「ふしだらフラミンゴ」「うわさのケムリの女の子」で勢いを緩めることなく躍らせまくり、
「俺たち昨日からこの会場に来てて。みんなと同じように入り口からこのステージまで歩いてみたりして。みんなと同じ気持ちでこのステージにやってきて。
長い間バンドやってきて、ずっと出たかったこのフェスについに出ることができて、これだけたくさんの人が待っててくれてて、どれだけ勇気をもらえたと思う?もう無敵ですよ!」
と康司(ベース)が感慨深げに語る。初出演というのは意外にも思えるが、去年はまだ「オドループ」も「オワラセナイト」もなかった。そうやって名曲を作ってライブで各地の観客を躍らせまくった結果、バンドはこの夢の舞台についに立つことができた。
そんな無敵状態のバンドから届いた新曲「フューチャーアイスクリーム」は、かなりストレートなギターロックという感じの曲。これはかなり意外ではあるが、一聴しただけではわからないような歌詞やタイトルも含め、どんな内容の曲なのかはまだつかみどころがない。
そしてラストは「プロレスごっこのフラフープ」から、バンドの存在を世に知らしめた現代最大のダンスアンセムと言っていい「オドループ」で客席にオドループダンスが広がるなど、躍らせまくって終了。
初出演とは思えないくらいの満員ぶりは、このバンドが「オドループ」の一発屋ではないことを示しているし、来年以降このバンドがさらに大きなステージに行く可能性があることを示している。
1.オワラセナイト
2.愛の迷惑
3.ふしだらフラミンゴ
4.うわさのケムリの女の子
5.フューチャーアイスクリーム (新曲)
6.プロレスごっこのフラフープ
7.オドループ
オドループ
http://youtu.be/PCp2iXA1uLE
14:35~ Czecho No Republic [SOUND OF FOREST]
去年はBUZZ STAGEに出演していたCzecho No Republic、日比谷野音ワンマンを経て、最もバンドの雰囲気に似合うと思われるSOUND OF FORESTへの出演となった。
最新のアー写同様に真っ白な衣装で統一されたメンバーが登場し、「NO WAY」からスタートし、
「エンジョイ、フェスティバル!」
と砂川(ギター)が叫ぶと、この状況に実によく似合う「Festival」。
「なんかこの真っ白な感じだと、みんな病院帰りの人みたい(笑)」
と武井が自虐的に語ると、3人のホーン隊をステージに招いて「Amazing Parade」からはゴージャスなサウンドを展開。最近、フェスやイベントでは演奏されなかった「RUN RUN TIKI BANG BANG」が演奏されたのもこのホーン隊のアレンジあってこそだろうか。
大合唱が響いた「ダイナソー」から、野音でも披露された新曲「Firework」。タイトル的にもこれはいつか夜のこのフェスで聞いてみたい曲である。
来月リリースのアルバムと、10月のDiverCityでのワンマンの告知もすると、ラストは「Oh Yeah!!!!!!!」。タイアップ効果もあるだろうが、やはりこの曲が1番待たれていた感じがした。武井は終盤でベースを置いてハンドマイクになると、マイクを客席に向けて再び大合唱を巻き起こして終了した。
本当にこのステージがよく似合うバンドであるために、森の番人になっていただきたいが、さらにでかいステージに進んでもらいたいという気持ちもある。リリースペースがかなり速いバンドなだけに、アルバムを経ての来年はさらに進化しているかもしれない。
1.NO WAY
2.Festival
3.Amazing Parade
4.RUN RUN TIKI BANG BANG
5.ダイナソー
6.Firework
7.Oh Yeah!!!!!!!
Oh Yeah!!!!!!!
http://youtu.be/zqC3tkbhfRA
15:50~ Mrs. GREEN APPLE [WING TENT]
サウンドチェックで本番さながらに「我逢人」をまるまる一曲演奏し、これ本編でやらないのか?と思ってしまった、Mrs. GREEN APPLE。先月メジャーデビューしたばかり、当然初出演である。
時間になって、若さ溢れる元気いっぱいとばかりにメンバーが登場すると、「愛情と矛先」からスタート。客席は満員。待ってましたと言わんばかりの空気と、このバンドに対する期待が満ちている。
どこか女子っぽく見える、真っ白な衣装に身を包んだ藤澤が手拍子を煽り、バンドの首謀者・大森は満員の観客が手拍子をしているのを見て、
「すごい!夢みたいだ!」
と思わず口に出す。しかしながらそうは言いながらも、この男、このバンドには緊張という言葉はないんだろうかというくらいに初出演ながら堂々としている。まだ18歳。普通ならようやくこのフェスに遊びに来れるような年齢でこのステージに立って、堂々としたパフォーマンスを見せている。それだけでこのバンドが只者ではないのがわかるが、やはりこのバンドの武器はその大森の生み出すメロディー。まだミニアルバム3枚しかリリースされていないバンドだが、全曲シングルカットできるくらいのクオリティの曲である。そしてメンバーの演奏力の高さと、パフォーマンスを含めたバンドの完成度の高さ。
ギター若井がずっとテレビでこのフェスを見ていて、ずっと見ながらギターを弾いて暴れていた、というエピソードを告げると、ついにその憧れの舞台に立ったメンバーに対して暖かい拍手が起こり、ラストの突き抜けるようなポップさの「StaRt」を終えると、
「以上、Mrs. GREEN APPLEでした。以降お見知り置きを!」
と大森が言ってステージを去って行った。
かつてこのWING TENTには、今はメインステージに出ているKANA-BOON、SEKAI NO OWARI、クリープハイプ、[Alexandros]、ONE OK ROCK、さらに昔にはチャットモンチー、RADWIMPS、9mm Parabellum Bulletというあたりも初期に出ていた。どのバンドももはやWING TENTに出ていたのが信じられないような規模になっているが、数年後、このバンドも間違いなくそれらのバンドと同じようにGRASS STAGEに立っているはず。こんなにバンドシーン、さらには日本の音楽シーンのど真ん中を突破していくだろうと思えるようなバンドはそうそういない。
1.愛情と矛先
2.リスキーゲーム
3.VIP
4.ナニヲナニヲ
5.HeLLo
6.StaRt
StaRt
http://youtu.be/OTUtF7ZxRN8
16:20~ アルカラ [PARK STAGE]
着いたらすでに始まっていたので、かなり面白いことになっていたらしい登場からオープニングまでを見逃してしまった、アルカラ。
なので観れたのは「キャッチーを科学する」から、ひたすらに曲を連発していくあたりから。「チクショー」でぐんぐんバンドも客席も温度が上がっていき、そこからはここ最近リリースの曲の中でのフェスやイベントでの定番曲を演奏。
すると稲村がいきなり、
「この透き通るような青空!数々の命を生み出してきた太陽!豪華な出演者!みんなの最高の笑顔!こんなに揃ってるのに何かが足りない!何かが足りない!アブノーマルが足りない!」
と、実にうまい上にかっこいい繋ぎMCからの「アブノーマルが足りない」をバッチリ決めたかと思いきや、一度袖に捌けて赤いカツラを着用し、
「でんぱ組や!」
と同じ時間にLAKE STAGEでライブをしているでんぱ組.incを意識した格好で「交差点」で踊らせまくった。
正直、動員的にももはやこのステージではなく、LAKE STAGEに出てもおかしくないバンドのはず。だが毎回動員力のあるアクトの裏に回されるという位置になりつつある。それでも今回もしっかり満員にしてみせるんだから大したもの。
1.Aカップ巨乳
2.キャッチーを科学する
3.チクショー
4.嘘つきライアー
5.カラ騒ぎの彼女
6.愚痴ばかりのローレロレロ
7.アブノーマルが足りない
8.交差点
アブノーマルが足りない
http://youtu.be/Vn84dMfPNsU
17:10~ the HIATUS [GRASS STAGE]
前日は新バンド、MONOEYESとして出演した細美武士がこの日はメインのトリ前におなじみのthe HIATUSとして出演。
サウンドチェックで
「なんかこの曲をやりたい気分だった」
と言って「Horse Riding」を演奏。ということはこの曲は本編ではやらないのか、というのはちょっと意外なところ。
本編は「The Ivy」から圧倒的なバンドアンサンブルで押していく曲が続き、「Storm Racers」でさらに加速。
しかし曲終わりのMCでは、
「今日はお祭りだから本当は言いたくないんだけど、今日は8月9日だから言うしかないと思って。70年前の今日、長崎に原爆が落とされて。広島と合わせたら14万人と8万人で…計算苦手だからわかんねぇけど(笑)、20万人以上。このステージの客席には6万人入るらしいけど、俺たちの時はそんなにはいないだろうから、まぁ4万人くらいか。だからここにいる人が5回分、死んだんでもなく、命を落としたんでもなく、殺された」
と、この日盟友であるストレイテナーのホリエが言ったことを、細美武士はもっと直接的な言葉で話す。
そして
「うちのバンドにも広島出身のメンバーがいます。ウエノコウジさん」
と言うと、普段the HIATUSのライブでは全く喋らないウエノコウジが
「ウエノコウジでございます。うちのおかんが10歳の時に原爆が落とされて、おかんは地方に疎開してたんで、こうして生まれまして…まぁ、平和なほうがいいよね」
と口を開く。
「俺は未来のこととか考えられんから、このライブが終わったあとのこととかは考えられないけど、友達の子供とかを見てると、この子達にはもうちょっといい未来を生きていて欲しいなぁと思うし、建前じゃなくて、言いたいことを本音で言い合える世界になって欲しいと思います。そんな曲をやります」
と言って演奏されたのは、細美がアコギに持ち替えて歌う「Deerhounds」。さらに伊澤の美しいピアノの旋律が美しい景色を生み出す「Silver Birch」へ。
お祭りと言いながらも、一度口に出した以上は止まることはできない細美は、
「ミュージシャンが政治的なこと言うんじゃねぇって散々言われてきたよ。だからそう言う奴らは一生そう言い続けてくれ。でももし行動したくてもあと一歩踏み出せない、っていうやつがいたら、頼むから力を貸してくれ!」
と言って頭を下げた。「全てに賛成しろとか、こう思えみたいなことは言わない」とは言っていたが、名前も顔も何をして生きているかも知らないようなやつに「政治的なこと言うな」って言われて言うのやめるくらいの覚悟なら最初から言おうと思わないだろう。そう言われまくったとしても、絶対に揺るがない覚悟や信念があるから、こうしてこういう舞台で政治的な発言をしている。
ちなみに前日、OAUで出演したTOSHI-LOWが「細美武士と国会前に行った」ということを話していたが、その話も細美視点で語られた。
すると「Thirst」「Unhurt」と「Keeper Of The Flame」収録曲をハンドマイク状態で歌い、徐々に温度を上げながらの「Lone Train Running」。
そして
「最近HIATUSで新曲作ってて。相変わらず一回聴いただけではピンと来ないような曲かもしれないけど、来年には聴かせられるように頑張ります」
と言って、「Insomnia」で「Save me」の大合唱を響かせると、「ベテルギウスの灯」「紺碧の夜に」の2連発。退場覚悟でダイブしている人を指差して笑顔の細美であった。今回はそのルールについては触れなかったが、最後には
「後は任せたぞ、10-FEET!」
と大トリを務める仲間に想いを託した。
しかし、the HIATUSのライブとは思えないくらいに客席は空いていた。これは裏のLAKEでback numberがやっていたからだと思われるが、やはり凄まじい入場規制ぶりだったらしい。
リハ.Horse Riding
1.The Ivy
2.The Flare
3.Storm Racers
4.Deerhounds
5.Silver Birch
6.Thirst
7.Unhurt
8.Lone Train Running
9.Insomnia
10.ベテルギウスの灯
11.紺碧の夜に
Thirst
http://youtu.be/fSzxtLQBZHY
18:30~ 10-FEET [GRASS STAGE]
いよいよ今年のこのフェスも最後のアクトに。日もだいぶ傾いてきたこの時間、メインステージの大トリを任されたのは10-FEET。自身のフェス、京都大作戦も2日間開催してこのフェスでも大トリを務めるというバイタリティーは驚異的である。
いつも通りのSEでメンバーが登場したが、やはりどこかちょっと緊張しているようにも見える。そんな中、TAKUMAは、
「お前らめっちゃ好きやー!」
といきなり叫んでから、サビのフレーズを先に弾き語りしての「風」からスタート。さらに「VIBES BY VIBES」、そして「STONE COLD BREAK」では
「ぐるぐるぐるぐる…サークルの真ん中で人間ピラミッド作れー!サークル崩す時はちゃんとピラミッドの人が怪我しないようにやれやー!」
と言うと、巨大サークルの中で人間ピラミッドが乱立。中にはTAKUMAも「それ高過ぎひん!?」というようなものまで出現する。
すると「focus」では
「フェスの醍醐味、それは突然のコラボ」
とRHYMESTERが登場してのコラボ。ミクスチャーと言っていいバンドなだけに、やはりヒップホップとの相性は非常に良いし、何よりRHYMESTERのスキルはさすが。DJ JINは最後にはDJ卓に立って煽りまくっていた。
「2%」では先日のDEAD POP FESTIVAL同様にイントロのベースの部分にギターとドラムを重ねたらどうなるか?という論争が起こるも、やはり「作った時の気持ちで」ということで、紆余曲折あった末にいつも通りにベースのみで始まるパターンに。
しかしながらこの日のみでTAKUMAは本当に壮絶だった。話す時には常に声を限界まで張り上げながら話し、何度も何度もマイクを通さずに叫んでいた。それが何を意味していたのかは我々にはわからないが、
「毎年このフェスのルールのギリギリのところで勝負しようと思っていて。靴だけダイブした時はめちゃくちゃ怒られたけど、渋谷さんが終わった後に、来年も戦ってくれよ、って声かけてくれて。だから今年は人間ピラミッドや!やっちゃいけないことはモニターに映らない、ということがわかったんで、ピラミッドが映らなかったら俺たちの勝ちや!」
と言って再びピラミッドを作らせると、家族への感謝を忘れないようにという話から、
「子供を産んだ友達が、愛と虐待は紙一重やって言ってたんや。でもお母さんは諦めずに私を育ててくれたから、私はこうして母親になれた。だから私も諦めないでこの子に愛を注ごうって思ってるって。お母さん、産んでくれてありがとう!」
と母親への感謝を口にしてから演奏されたのは、もちろん母親のことを歌った「RIVER」。
曲中でTAKUMAが呼び込むと盟友kj(Dragon Ash)も登場し、
「お前ら普段毎日毎日下げたくもねえ頭下げて我慢して一年に一回だけそういうのから解放されたくてここに来てんだろ!?俺たちだってそうだよ!」
と熱いメッセージを語りかける。その前のTAKUMAのMCとこのkjの言葉からは、今生きていて、この場にいれることがどれだけ幸せなことなのかを実感させてくれる。
kjがライターを取り出すと、
「携帯でもライターでも出してくれ!」
と言い、客席が光に包まれる。そんな中、TAKUMAは
「どっちも持ってない人は靴を出してくれ」
とまるで意味のないことを言い始め、kjに「ここは俺のとこだから!」とたしなめられる。
そしてラストのサビ前のフレーズを観客だけに歌わせると、最後のサビをTAKUMAとともに歌ってkjはステージを去っていった。
ラストは「goes on」。TAKUMAが「知らない隣の人とハイタッチやー!」と言うとハイタッチがいたるところで発生し、「RIVER」でも「那珂川」とご当地ネタを歌詞に入れたりしていたが、この曲では
「人がJAPANに来る人みたいに優しくなれたら」
と歌詞を変えて歌った。10-FEETはもうこのフェスに出始めて10年以上になるため、このフェスの客がどういう人たちかというのをよく理解していると思うが、こうして歌ってもらっても恥ずかしさや後ろめたさを感じないような参加者でいたいと心から思う。
アンコールでは京都大作戦の時も披露した新曲を演奏。ちょっとは進んだらしいが、未だ完成には至らず、しかもまだタイトルすら決まっていないらしい。曲自体は「風」や「蜃気楼」のようなタイプの聴かせる曲。
そして「CHERRY BLOSSOM」でタオルを投げさせ、さらには隣の人の汗をタオルで拭かせて終了かと思いきや、TAKUMAが再びマイクを通さずに絶叫しての「その向こうへ」で、
「怪我したやつ、財布盗まれたやつ、痴漢されたやつ、すまん!今日だけは俺たちに免じて許してくれ!そしてどうか笑顔で帰ってくれ!」
と言って、大トリとしての責務を全うした。
毎年、このフェスではルールギリギリのところで戦いながら楽しませてくれるし、だからこそ他のフェスやイベントでは見れない景色を見せてくれる。だからこの場所で見る10-FEETが好き。この日、今まで見た中でも間違いなく1番良かった。
1.風
2.VIBES BY VIBES
3.STONE COLD BREAK
4.focus feat.RHYMESTER
5.SHOES
6.2%
7.1sec.
8.蜃気楼
9.RIVER
10.goes on
encore
11.新曲
12.CHERRY BLOSSOM
13.その向こうへ
その向こうへ
http://youtu.be/yWyzYlvYqHk
終演後、名残惜しくて帰りたくなく、追い出されるギリギリまで飲食ブースにとどまる。
今年で12年目。最初に来た時、漠然と「10年経ってもここに来れたら」と思っていたが、あっという間に10年経って、今でもこうして全日ここに来ている。だからもはや死ぬか、フェスがなくなるまでずっと来続けるだろう。だから、また来年。参加した方、スタッフや飲食ブースの方々など、みなさま本当にお疲れ様でした。
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