UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL ”fun time 724” @日本武道館 7/24
- 2015/07/25
- 14:02
今年結成10周年を迎え、先日リリースしたニューシングル「シュガーソングとビターステップ」が今年リリースのロックバンドのシングルではトップクラスの大ヒットとなっているスリーピースバンド、UNISON SQUARE GARDEN。
これまで何度となく、「次は武道館か?」というタイミングはあったが、結成10周年であり、結成日のこの7/24に満を持して日本武道館ワンマンを開催。2日前には10周年記念アルバムとして、「シングル曲が1曲も入っていない10周年記念アルバム」という、実にこのバンドらしい「DUGOUT ACCIDENT」を発売。なんと、発売日のオリコンデイリーチャートで1位を獲得している。
客席は1階席はステージ真後ろの席まで開放され、2階席も端から端、最上段の立ち見席まで含めて超満員。そんな中、18:40頃に場内が急に暗転すると、おなじみイズカワソラ「絵の具」がSEで流れる中、コートを纏った鈴木(ドラム)、挙動不審な田淵(ベース)、爽やかな白シャツ姿の斎藤(ボーカル&ギター)と、いつもと変わらぬ姿で順番に3人がステージに上がる。
SEが丸々1曲流れ終わるのを待つと、
「ようこそ!」
と斎藤が言い、「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」(「流星のスコール」のカップリング曲で、「DUGOUT ACCIDENT」にも収録)から始まるという、意外なオープニング。メンバー、特に斎藤はちょっと緊張感を感じさせるが、あの独特な声の伸びやかさはこれだけ大きな会場になっても変わらない。
続く「リニアブルーを聴きながら」では一気にメンバーのスイッチが点火。客席も一気に沸き、曲ラストの
「今日を行け、何度でも、メロディ」
という必殺のフレーズでは広いステージを走り回っていた田淵が大ジャンプをかます。さすがに「日本で一番見切れるベーシスト」である。
すると斎藤が、
「僕らは悩んでないのに朝が来て」
と弾き語りで歌ってからあのギターリフと4つ打ちビートのバンド演奏へと切り替わる「MR.アンディ」で武道館はダンスフロアに。
「UNISON SQUARE GARDENです!今日は長いよ!」
とここで挨拶をすると、「ため息 shooting the MOON」からはアッパーなギターロック曲が続く。「マスターボリューム」「サンポサキマイライフ」と、1stフルアルバムからの曲が並ぶのも嬉しい限り。
「ワールドワイド・スーパーガール」のメンバー3人でのコーラス部分を観客も一緒に歌って大合唱となると、ウキウキするようなポップさの「like coffeeのおまじない」、なかなか最近はライブで演奏されていなかったシングル曲「スカースデイル」と、これはこの日ならではの並びだろうか。
そして意外にもこの中盤で演奏された、最新にしてバンド史上最大のヒットシングルとなっている「シュガーソングとビターステップ」。軽やかなリズムとメロディーという、「リニアブルー~」あたりのカッコいいユニゾンとは少し異なる曲かもしれないが、ひょっとしたらこの曲を聴いて、この日会場に来た人もいるんじゃないか、と思えるくらいの歓迎ぶりだった。
すぐさま斎藤がギターリフを奏でる、シングルではないけれどバンドの代表曲の一つと言える「23:25」では、
「今握りしめて空も飛べるようなお年頃ですもの」
というラストのフレーズがまたも完璧に決まり、斎藤と田淵が向き合って演奏しているという、実に胸が熱くなる光景が見られる。
しかし、本当にペースが早く、ライブのテンポが良い。というか曲自体もCDよりはるかに早くなっているように感じる。
赤い照明がエマージェンシー感を際立たせる「天国と地獄」ではステージ前方から火柱が巻き上がるという演出。ここまでは演出全くなし、映像はおろかスクリーンすらないというストイックなステージだったが、一気に華やかさが増す。
すると斎藤がようやく口を開き、真後ろの席の観客に向かい、
「30のおっさんたちの後頭部はどうですか?(笑)まだ大丈夫?20周年の時にはメンバーの誰かが帽子を被ってるかもしれないんで、その時は察してください(笑)」
と笑わせると、昨日まさかの引越しをしていたという話に。前の家を借りたのがちょうど2年前で、更新の時期になり、休みが昨日しかなかったので昨日にしたらしい。
しかし昨日引越ししたおかげで、引越ししてから初めて出かける場所がこの武道館になった、とのこと。その流れから、
「10周年の曲を作りました」
と言って演奏されたのは「DUGOUT ACCIDENT」に収録された新曲「プログラムcontinued」。これからもバンドを続けていくというメッセージを感じる曲であるが、いたるところにこれまでの曲のフレーズなどが使われており、リリースされたばかりでまだ回数を聴いてるわけではないのに非常に既視感が強い曲。
そこからは聴かせるタイプの曲を続ける。「クローバー」は今でも割とライブで聴けるが、タイトル通りに温かい光に包まれるような「光のどけき春の日に」は意外な選曲。
そしてその流れを締めくくるのは、ピアノのサンプリング音が流れる「harmonized finale」。この広い会場で響くのが実によく似合う、スケールの大きい曲だ。
せっかくの武道館ということで、ここでは普段は喋らない2人のMC。まず鈴木は、やたらと水を飲み干しながら、
「宏介(斎藤)みたいなMCできないけど…せっかくの武道館だから、家から武道館までドアツードアでタクシーで行こうと思ったんだけど、ハイヤーにしようかどうか迷って。ハイヤーとタクシーって意外と2000円くらいしか違わなくて。
でもタクシーにして良かったなって思ったのは、着いたら物販がめちゃくちゃ並んでて、みんなこっち見てたから、ハイヤーから俺が降りてきたら、すごい調子乗ってるみたいに思われただろうなって(笑)」
と最初は笑わせたが、
「でもみんながユニゾンに救われてるように、俺もユニゾンに救われてます。本当にありがとう」
といきなり真面目になる。
続いての田淵は、
「おみくじやったんだよ、年始に。おみくじっていうか占いみたいな。そしたら一ヶ月ごとの運勢が書いてあったんだけど、どれもすごいいいこと書いてあって。今年はいい一年になりそうだって思ってたら、7月だけ「言葉に注意」って書いてあって(笑)12個中、11個は良いこと書いてあるのに、7月だけ(笑)
まぁ思い返せば、友人バンドへのディス、ライブ中の野次、そしてソーシャルネットシステムへの過激な書き込みなど、言葉に注意ってのを何度となく意識した11年でした(笑)
なのでみなさんに一つアドバイスするなら、「言葉に注意!」」
という、非常に良くまとまってる、本人いわく落語みたいなMCだったが、これはある程度事前に内容を考えていたのだろう。
そこからは「シュプレヒコール ~世界が終わる夜に~」から、ライブ定番曲を連発。音源化されたのは「DUGOUT ACCIDENT」が初だが、すでにライブではおなじみとなっている「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」が熱狂を生み出すと、ワンマンでは恒例の鈴木のドラムソロ。手数の多すぎるドラムで会場を沸かせながら、あまりの激しさにドラムセットに突っ伏したり、同じフレーズを徐々にテンポを速くしながら何度も演奏し、大歓声を浴びる。ソロ中にはドラムセットが上に浮き上がるという、武道館ならではの舞台装置を活かした演出も。
するとギターとベースの音も聞こえてくるのだが、メンバーの姿はステージにはない。どこにいるんだ?と思っていると、田淵と斎藤がステージ下から浮き上がってくるという、これも武道館ならではの演出。
斎藤がギターを弾いたまま、これまでは全く使っていなかった花道を走って行ってギターイントロを決めたのは「シャンデリア・ワルツ」。「DUGOUT ACCIDENT」にも収録されているが、本当にシングル曲じゃないとは思えないくらいの盛り上がり。
さらに「場違いハミングバード」ではイントロで田淵がステージを端から端まで走りまくり、間奏部分ではスピーカーを飛び越える大ジャンプを見せる。
ユニゾンは毎回シングルに2~3曲のカップリング曲を収録しており、「なんでこんな良い曲をカップリングにするんだ!?」と思うくらいの曲が普通にカップリングに入っているのだが、インディーズ時代からライブでやってたとは言え、デビューシングルのカップリングに収録された段階でこのバンドがカップリングに名曲を放り込みまくるのが決まっていたと言える「ガリレオのショーケース」をこのクライマックスで演奏すると、
「ラスト!」
と言って演奏されたのは、インディーズ1stミニアルバムに収録され、メジャーデビューのタイミングでデビューシングルとして再録された「センチメンタルピリオド」。最初はメンバーに当たっていた照明が、サビになると観客にも当たり、客電もついて一気に場内が明るくなる。それにより、メンバーからも観客の顔がはっきりと見えたことであろう。
本編がかなりの大ボリュームだったので、アンコールまでかなりの時間を要したが、(特に鈴木は相当体力を消費したはず)メンバーの名前を呼ぶ声に応え、メンバーが再び登場。すると田淵が、
「あまりでかいところでライブをやるのは好きじゃないんだが…この九段下の会場には特別な思い入れがあるので、自分がこの会場に立つ日が来たら、言おうと思ってたことを、恥ずかしいけど5年前から考えていた。でも、今回それを言うのはやめておこうと思う。別に「言葉に注意」を信じてるわけではないんだが(笑)」
と喋り始め、観客から「言ってー!」という声も飛んだが、「言おうと思ってたこと」を結局言わないまま、
「11年間続いた、君たちが好きなロックバンドは、君たちが聴きたい曲や世の中が求める曲は書いてこなかったし、これからも書くつもりもない。だから君たちが親や友達に勧めようとしてCDを聴かせたら、変な空気になることだろう。それは僕が保証する(笑)
でも君たちが好きなロックバンドは、間違いなくカッコいい。それも僕が保証する。
付いてきてくれ、なんて言わない。気が向いた時に聴いて、好きな音楽を楽しんでくれ」
と、ユニゾンの精神そのものというべき言葉を語る。このバンドはボーカルこそ斎藤だが、作詞をしているのは田淵であるし、3人の関係はあくまで対等でありながらも、やはりこのバンドを1番芯の部分から動かしているのは田淵であると実感する。
そしてこれからまたライブが始まるんじゃないか、と思わせるようなオープニング感の強い「3 minutes replay」からアウトロとイントロがつながるように「kid,I like quartet」、そして
「またね!」
と斎藤が言ってのラスト「フルカラープログラム」ではキラッキラのメロディーが弾ける中、最後のサビのフレーズでバンドが演奏を止め、斎藤にピンスポットが当たる中、
「そうだ 涙キラキラ 西の空に光る モノクロでは説明できない」
のフレーズをアカペラで歌い、場内に斎藤の生声だけが響き渡る。そして続く
「完全無欠のロックンロールを」
のフレーズで斎藤がマイクを通すとバンドも演奏に加わり、再び場内が明るくなる中、
「言えなかったバイバイを 優しさでそっと包んで
ふざけろ!「いつか終わる、悲しみは」
どうか忘れないでよ」
という最後のフレーズが見ている側の心の底まで響いてきて、思わず感極まりそうになってしまった。
演奏が終わり、それぞれが思い思いのやり方(鈴木はステージ前に出てきて一礼、田淵はベースを何度も上に放り投げてからキャッチ)で武道館のステージに別れを告げると、最後に1人残った斎藤は、
「僕らはすごく売れる曲を作ったり、ものすごく大きい会場でライブをやりたいわけじゃない。それはあくまでも結果としてついてくるもの。僕らは華やかな道を進むバンドではないかもしれないけど、僕らがやりたいことは、大事なみんなの大事なバンドでありたいだけ。ありがとう、またツアーで会おうね」
と言ってからステージを去って行った。
アンコールで田淵が言ったことと、最後のこの斎藤の言葉は、同じことを言っている。本編で「バラバラな3人」とも言っていたが、確かに全く違う個性を持った3人ではあれど、意識の根底の部分で3人は確実に同じ思いを共有している。だからこの3人は10年に渡ってUNISON SQUARE GARDENでいられた。そしてこれからも。
田淵なa flood of circleの佐々木亮介に、
「武道館終わったら休むのもありだよな」
と漏らしていたらしいが、今年は夏フェスには出ないとはいえ、きっと休むことなんてこのバンドはできないだろう。
そしてこの日、武道館の客席には自分のようなメンバーと同世代くらいの人はもちろん、高校生や中学生っぽい若い人がたくさんいた。とびっきりポップで、でもカッコよくて、何より楽しい。そういう若い人たちの、ロックバンドの入り口にユニゾンというバンドがいることを本当に強く実感した一夜。これからもっとそういう人が増えるんだろうな。
1.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
2.リニアブルーを聴きながら
3.MR.アンディ
4.ため息 shooting the MOON
5.マスターボリューム
6.サンポサキマイライフ
7.ワールドワイド・スーパーガール
8.like coffeeのおまじない
9.スカースデイル
10.シュガーソングとビターステップ
11.23:25
12.天国と地獄
13.プログラムcontinued
14.光のどけき春の日に
15.クローバー
16.harmonized finale
17.シュプレヒコール ~世界が終わる前に~
18.桜のあと (all quartet lead to the?)
19.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
20.シャンデリア・ワルツ
21.場違いハミングバード
22.ガリレオのショーケース
23.センチメンタルピリオド
encore
24.3 minutes replay
25.kid,I like quartet
26.フルカラープログラム
シュガーソングとビターステップ
http://youtu.be/3exsRhw3xt8
Next→ 7/26 メレンゲ @恵比寿リキッドルーム
これまで何度となく、「次は武道館か?」というタイミングはあったが、結成10周年であり、結成日のこの7/24に満を持して日本武道館ワンマンを開催。2日前には10周年記念アルバムとして、「シングル曲が1曲も入っていない10周年記念アルバム」という、実にこのバンドらしい「DUGOUT ACCIDENT」を発売。なんと、発売日のオリコンデイリーチャートで1位を獲得している。
客席は1階席はステージ真後ろの席まで開放され、2階席も端から端、最上段の立ち見席まで含めて超満員。そんな中、18:40頃に場内が急に暗転すると、おなじみイズカワソラ「絵の具」がSEで流れる中、コートを纏った鈴木(ドラム)、挙動不審な田淵(ベース)、爽やかな白シャツ姿の斎藤(ボーカル&ギター)と、いつもと変わらぬ姿で順番に3人がステージに上がる。
SEが丸々1曲流れ終わるのを待つと、
「ようこそ!」
と斎藤が言い、「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」(「流星のスコール」のカップリング曲で、「DUGOUT ACCIDENT」にも収録)から始まるという、意外なオープニング。メンバー、特に斎藤はちょっと緊張感を感じさせるが、あの独特な声の伸びやかさはこれだけ大きな会場になっても変わらない。
続く「リニアブルーを聴きながら」では一気にメンバーのスイッチが点火。客席も一気に沸き、曲ラストの
「今日を行け、何度でも、メロディ」
という必殺のフレーズでは広いステージを走り回っていた田淵が大ジャンプをかます。さすがに「日本で一番見切れるベーシスト」である。
すると斎藤が、
「僕らは悩んでないのに朝が来て」
と弾き語りで歌ってからあのギターリフと4つ打ちビートのバンド演奏へと切り替わる「MR.アンディ」で武道館はダンスフロアに。
「UNISON SQUARE GARDENです!今日は長いよ!」
とここで挨拶をすると、「ため息 shooting the MOON」からはアッパーなギターロック曲が続く。「マスターボリューム」「サンポサキマイライフ」と、1stフルアルバムからの曲が並ぶのも嬉しい限り。
「ワールドワイド・スーパーガール」のメンバー3人でのコーラス部分を観客も一緒に歌って大合唱となると、ウキウキするようなポップさの「like coffeeのおまじない」、なかなか最近はライブで演奏されていなかったシングル曲「スカースデイル」と、これはこの日ならではの並びだろうか。
そして意外にもこの中盤で演奏された、最新にしてバンド史上最大のヒットシングルとなっている「シュガーソングとビターステップ」。軽やかなリズムとメロディーという、「リニアブルー~」あたりのカッコいいユニゾンとは少し異なる曲かもしれないが、ひょっとしたらこの曲を聴いて、この日会場に来た人もいるんじゃないか、と思えるくらいの歓迎ぶりだった。
すぐさま斎藤がギターリフを奏でる、シングルではないけれどバンドの代表曲の一つと言える「23:25」では、
「今握りしめて空も飛べるようなお年頃ですもの」
というラストのフレーズがまたも完璧に決まり、斎藤と田淵が向き合って演奏しているという、実に胸が熱くなる光景が見られる。
しかし、本当にペースが早く、ライブのテンポが良い。というか曲自体もCDよりはるかに早くなっているように感じる。
赤い照明がエマージェンシー感を際立たせる「天国と地獄」ではステージ前方から火柱が巻き上がるという演出。ここまでは演出全くなし、映像はおろかスクリーンすらないというストイックなステージだったが、一気に華やかさが増す。
すると斎藤がようやく口を開き、真後ろの席の観客に向かい、
「30のおっさんたちの後頭部はどうですか?(笑)まだ大丈夫?20周年の時にはメンバーの誰かが帽子を被ってるかもしれないんで、その時は察してください(笑)」
と笑わせると、昨日まさかの引越しをしていたという話に。前の家を借りたのがちょうど2年前で、更新の時期になり、休みが昨日しかなかったので昨日にしたらしい。
しかし昨日引越ししたおかげで、引越ししてから初めて出かける場所がこの武道館になった、とのこと。その流れから、
「10周年の曲を作りました」
と言って演奏されたのは「DUGOUT ACCIDENT」に収録された新曲「プログラムcontinued」。これからもバンドを続けていくというメッセージを感じる曲であるが、いたるところにこれまでの曲のフレーズなどが使われており、リリースされたばかりでまだ回数を聴いてるわけではないのに非常に既視感が強い曲。
そこからは聴かせるタイプの曲を続ける。「クローバー」は今でも割とライブで聴けるが、タイトル通りに温かい光に包まれるような「光のどけき春の日に」は意外な選曲。
そしてその流れを締めくくるのは、ピアノのサンプリング音が流れる「harmonized finale」。この広い会場で響くのが実によく似合う、スケールの大きい曲だ。
せっかくの武道館ということで、ここでは普段は喋らない2人のMC。まず鈴木は、やたらと水を飲み干しながら、
「宏介(斎藤)みたいなMCできないけど…せっかくの武道館だから、家から武道館までドアツードアでタクシーで行こうと思ったんだけど、ハイヤーにしようかどうか迷って。ハイヤーとタクシーって意外と2000円くらいしか違わなくて。
でもタクシーにして良かったなって思ったのは、着いたら物販がめちゃくちゃ並んでて、みんなこっち見てたから、ハイヤーから俺が降りてきたら、すごい調子乗ってるみたいに思われただろうなって(笑)」
と最初は笑わせたが、
「でもみんながユニゾンに救われてるように、俺もユニゾンに救われてます。本当にありがとう」
といきなり真面目になる。
続いての田淵は、
「おみくじやったんだよ、年始に。おみくじっていうか占いみたいな。そしたら一ヶ月ごとの運勢が書いてあったんだけど、どれもすごいいいこと書いてあって。今年はいい一年になりそうだって思ってたら、7月だけ「言葉に注意」って書いてあって(笑)12個中、11個は良いこと書いてあるのに、7月だけ(笑)
まぁ思い返せば、友人バンドへのディス、ライブ中の野次、そしてソーシャルネットシステムへの過激な書き込みなど、言葉に注意ってのを何度となく意識した11年でした(笑)
なのでみなさんに一つアドバイスするなら、「言葉に注意!」」
という、非常に良くまとまってる、本人いわく落語みたいなMCだったが、これはある程度事前に内容を考えていたのだろう。
そこからは「シュプレヒコール ~世界が終わる夜に~」から、ライブ定番曲を連発。音源化されたのは「DUGOUT ACCIDENT」が初だが、すでにライブではおなじみとなっている「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」が熱狂を生み出すと、ワンマンでは恒例の鈴木のドラムソロ。手数の多すぎるドラムで会場を沸かせながら、あまりの激しさにドラムセットに突っ伏したり、同じフレーズを徐々にテンポを速くしながら何度も演奏し、大歓声を浴びる。ソロ中にはドラムセットが上に浮き上がるという、武道館ならではの舞台装置を活かした演出も。
するとギターとベースの音も聞こえてくるのだが、メンバーの姿はステージにはない。どこにいるんだ?と思っていると、田淵と斎藤がステージ下から浮き上がってくるという、これも武道館ならではの演出。
斎藤がギターを弾いたまま、これまでは全く使っていなかった花道を走って行ってギターイントロを決めたのは「シャンデリア・ワルツ」。「DUGOUT ACCIDENT」にも収録されているが、本当にシングル曲じゃないとは思えないくらいの盛り上がり。
さらに「場違いハミングバード」ではイントロで田淵がステージを端から端まで走りまくり、間奏部分ではスピーカーを飛び越える大ジャンプを見せる。
ユニゾンは毎回シングルに2~3曲のカップリング曲を収録しており、「なんでこんな良い曲をカップリングにするんだ!?」と思うくらいの曲が普通にカップリングに入っているのだが、インディーズ時代からライブでやってたとは言え、デビューシングルのカップリングに収録された段階でこのバンドがカップリングに名曲を放り込みまくるのが決まっていたと言える「ガリレオのショーケース」をこのクライマックスで演奏すると、
「ラスト!」
と言って演奏されたのは、インディーズ1stミニアルバムに収録され、メジャーデビューのタイミングでデビューシングルとして再録された「センチメンタルピリオド」。最初はメンバーに当たっていた照明が、サビになると観客にも当たり、客電もついて一気に場内が明るくなる。それにより、メンバーからも観客の顔がはっきりと見えたことであろう。
本編がかなりの大ボリュームだったので、アンコールまでかなりの時間を要したが、(特に鈴木は相当体力を消費したはず)メンバーの名前を呼ぶ声に応え、メンバーが再び登場。すると田淵が、
「あまりでかいところでライブをやるのは好きじゃないんだが…この九段下の会場には特別な思い入れがあるので、自分がこの会場に立つ日が来たら、言おうと思ってたことを、恥ずかしいけど5年前から考えていた。でも、今回それを言うのはやめておこうと思う。別に「言葉に注意」を信じてるわけではないんだが(笑)」
と喋り始め、観客から「言ってー!」という声も飛んだが、「言おうと思ってたこと」を結局言わないまま、
「11年間続いた、君たちが好きなロックバンドは、君たちが聴きたい曲や世の中が求める曲は書いてこなかったし、これからも書くつもりもない。だから君たちが親や友達に勧めようとしてCDを聴かせたら、変な空気になることだろう。それは僕が保証する(笑)
でも君たちが好きなロックバンドは、間違いなくカッコいい。それも僕が保証する。
付いてきてくれ、なんて言わない。気が向いた時に聴いて、好きな音楽を楽しんでくれ」
と、ユニゾンの精神そのものというべき言葉を語る。このバンドはボーカルこそ斎藤だが、作詞をしているのは田淵であるし、3人の関係はあくまで対等でありながらも、やはりこのバンドを1番芯の部分から動かしているのは田淵であると実感する。
そしてこれからまたライブが始まるんじゃないか、と思わせるようなオープニング感の強い「3 minutes replay」からアウトロとイントロがつながるように「kid,I like quartet」、そして
「またね!」
と斎藤が言ってのラスト「フルカラープログラム」ではキラッキラのメロディーが弾ける中、最後のサビのフレーズでバンドが演奏を止め、斎藤にピンスポットが当たる中、
「そうだ 涙キラキラ 西の空に光る モノクロでは説明できない」
のフレーズをアカペラで歌い、場内に斎藤の生声だけが響き渡る。そして続く
「完全無欠のロックンロールを」
のフレーズで斎藤がマイクを通すとバンドも演奏に加わり、再び場内が明るくなる中、
「言えなかったバイバイを 優しさでそっと包んで
ふざけろ!「いつか終わる、悲しみは」
どうか忘れないでよ」
という最後のフレーズが見ている側の心の底まで響いてきて、思わず感極まりそうになってしまった。
演奏が終わり、それぞれが思い思いのやり方(鈴木はステージ前に出てきて一礼、田淵はベースを何度も上に放り投げてからキャッチ)で武道館のステージに別れを告げると、最後に1人残った斎藤は、
「僕らはすごく売れる曲を作ったり、ものすごく大きい会場でライブをやりたいわけじゃない。それはあくまでも結果としてついてくるもの。僕らは華やかな道を進むバンドではないかもしれないけど、僕らがやりたいことは、大事なみんなの大事なバンドでありたいだけ。ありがとう、またツアーで会おうね」
と言ってからステージを去って行った。
アンコールで田淵が言ったことと、最後のこの斎藤の言葉は、同じことを言っている。本編で「バラバラな3人」とも言っていたが、確かに全く違う個性を持った3人ではあれど、意識の根底の部分で3人は確実に同じ思いを共有している。だからこの3人は10年に渡ってUNISON SQUARE GARDENでいられた。そしてこれからも。
田淵なa flood of circleの佐々木亮介に、
「武道館終わったら休むのもありだよな」
と漏らしていたらしいが、今年は夏フェスには出ないとはいえ、きっと休むことなんてこのバンドはできないだろう。
そしてこの日、武道館の客席には自分のようなメンバーと同世代くらいの人はもちろん、高校生や中学生っぽい若い人がたくさんいた。とびっきりポップで、でもカッコよくて、何より楽しい。そういう若い人たちの、ロックバンドの入り口にユニゾンというバンドがいることを本当に強く実感した一夜。これからもっとそういう人が増えるんだろうな。
1.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
2.リニアブルーを聴きながら
3.MR.アンディ
4.ため息 shooting the MOON
5.マスターボリューム
6.サンポサキマイライフ
7.ワールドワイド・スーパーガール
8.like coffeeのおまじない
9.スカースデイル
10.シュガーソングとビターステップ
11.23:25
12.天国と地獄
13.プログラムcontinued
14.光のどけき春の日に
15.クローバー
16.harmonized finale
17.シュプレヒコール ~世界が終わる前に~
18.桜のあと (all quartet lead to the?)
19.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
20.シャンデリア・ワルツ
21.場違いハミングバード
22.ガリレオのショーケース
23.センチメンタルピリオド
encore
24.3 minutes replay
25.kid,I like quartet
26.フルカラープログラム
シュガーソングとビターステップ
http://youtu.be/3exsRhw3xt8
Next→ 7/26 メレンゲ @恵比寿リキッドルーム
