黒木渚 FREE LIVE ONEMAN TOUR 「君が私をダメにする」 @LIQUIDROOM 7/22
- 2015/07/23
- 00:19
先日、4曲入りのニューシングル「君が私をダメにする」をリリースした、黒木渚。そのリリースツアーは、なんとまさかのフリーライブ。発券手数料とドリンク代のみで見れるということもあり、前回の対バンツアーでは空き気味だった恵比寿リキッドルームは完全に満員。さすが無料効果である。
明らかに年がちょっといっている男性が大半を占めているが、やはりいつもよりは若い女性も数多くいる中、19時半過ぎになると、まずはバンドメンバーが登場。
井手上誠(ギター)、マシータ(ドラム)、多畠幸良(キーボード)はもはや黒木渚にとってはソウルメイトというべき、必要不可欠かつおなじみな存在であるが、前回はプロデューサーの根岸孝旨が担っていたベースはこのツアーは髭の宮川トモユキ。ハットを被っているのはいつもと変わらないが、髭以外のステージに立っている姿は実に新鮮。
そして後から黒木渚が登場。ややカラフルとも言える服を着ているが、ホールの時のドレスとは違い、ライブハウスということもあってか動きやすそうな衣装。
「これからの90分だけ、黒木渚をみんなの大本命にしてください!」
と言うと、オープニングはやはり「標本箱」の1曲目であり、ある意味で黒木渚の活動のテーマとも言える「革命」。早くも無数の腕が上がる客席の様子は、これまでの黒木渚のライブとはかなり違う。
きらめくようなポップさの「金魚姫」、一気に怪しい雰囲気に包まれ、ハンドマイクで歌う黒木渚の歌とバンドのグルーヴが溶け合う「マトリョーシカ」、ギター弾き語りからバンドサウンドに転換する「あたしの心臓あげる」、音楽界の偉人たちの名前が並ぶサビと、
「何がロックだ 何がパンクだ」
というサビ前のフレーズが
「愛と憎しみの真ん中」
という本人の形容を最もわかりやすく表す「アンチスーパースター」は序盤のピーク。黒木渚は基本的にいつも前半はそこまで声が絶好調というわけではないが、この日も例に漏れず。しかしながら観客の声が本当に大きく、野太い。これは間違いなく本人を大きく後押しする要素になったはず。ちなみに宮川はこの曲の演奏中に被っていたハットを吹っ飛ばす。
このフリーライブツアーを開催することにした経緯や、「君が私をダメにする」収録曲の解説を交えながら、黒木渚の曲の中では実に普遍的なラブソング「窓」は宮川のベースの音に寄り添うように聞かせ、「ピカソ」では黒木渚がリコーダーを手にしてその場を行進しながら歌い、終盤ではそのリコーダーも吹く。
いつにも増して井手上のギターがアメリカンハードロック色の強い「プラナリア」では
「ダメ ダメ」
の大合唱を巻き起こしたのだが、あまりの合唱の大きさに黒木渚も少しビックリしていた様子。
さらにこれまでは本編最終盤やアンコールで演奏されていた「テーマ」を続け、激しいバンドアンサンブルの演奏のピークは間違いなくここ。これはライブハウスならではだが、
「オイ!オイ!」
のコールまで発生し、しかもその声も非常に大きい。しかし、この「テーマ」は本当に名曲。歌詞自体はかなりセクシャルなものであるが、余裕でシングルのタイトルになるくらいの曲だと思う。黒木渚のボーカルもこのあたりでは完全にバンドの演奏に負けないくらいに仕上がっている。
するとここでステージが暗闇に包まれ、黒木渚が押してきた台車の上に灯るランプの灯りだけがステージを照らす中、自身が上京してきた時をテーマにした朗読が披露される。
「灯るひらめきは 愛かしら」
という一文で朗読を締めたあとに披露されたのは、そのフレーズが歌詞に登場する「君が私をダメにする」のカップリング曲である「エジソン」。そのフレーズの通り、電球やアイデアというエジソンに関する歌詞を絡めながらも、結果的には黒木渚ならではのラブソングに帰結するこの歌詞の構成は本当に見事。さすが小説を書いたりして文章力を養っているだけはある。このクラスの曲を出し惜しみなくカップリングに入れているだけに、毎回シングルを買おうと思わされる。
そしてツアーのタイトルである「君が私をダメにする」からはクライマックス。恋に溺れるというテーマはともすると重くなりそう(ましてやそういう曲をたくさん書いてきた黒木渚だし)だが、そう感じさせないのはサウンドの爽やかさ。「夏前、つまり今の時期に合う曲」と形容していたが、これはその通りだと思う。PV自体も映像は甘酸っぱさすら感じるくらいの爽やかさ。
「好き!嫌い!好き!嫌い!」
のコール&レスポンスを男女に分けて行い(もちろん男性側が圧倒的に大きかった)、客席ではタオルも回る「フラフープ」でさらにバンドのグルーヴが増すと、
「私、黒木渚は正直な音楽家です。だから率直に言うと、今の世の中はつまらない!安パイばかり切って、自粛、不謹慎。世の中にある様々な素晴らしい余分を省いてしまっている。
でもここに来ているみんなは、自分の意志と、自分の足でここに来たんでしょう!?ならば、せめてここにいる人たちだけは、正直に、感情を爆発させていきましょう!」
と、観客の目をじっと見据えて言うと、その正直な生き様そのものを歌った「虎視眈々と淡々と」を最後に決意表明のように鳴らして、
「デタラメ でこぼこ デタラメ でこぼこ」
というサビ前のフレーズで再び大合唱を巻き起こしてステージを去って行った。
「渚!渚!」
の観客からのコールに応えて黒木渚が再び登場すると、白のツアーTシャツに白のショーパンという、
「異常なほどに清潔感を主張している(笑)」
出で立ちに着替えている。
そのTシャツも含めた物販の紹介、すでに決定している冬のツアー、そのツアーのファイナルが六本木EX THEATERが行われることを発表。
「ライブハウスではこれまでで最大。でも今回、こうやってフリーライブツアーをやったのも、まだ会ったことのない人たちに会いたいから。そしてその人たちを含めて、みんなをもっと広いところに連れて行って、もっと素晴らしい景色を見せたい。
ライブの最初に、私を本命にしてください、って言ったけど、その思いを曲にしました」
とこれからの活動への意気込みを改めて表明すると、井手上と多畠の2人を加えてのアコースティック編成で
「私を本命にしてよ」
と歌われる「大本命」を歌い上げる。
そして、
「初めて観た人、私あんまり怖くないでしょ?(笑)快楽主義者ですから。楽しいことをやり続けたいし、面白いことを一つ残らず取りこぼさずに生きていきたい。
だから、私が骨になったとしても、黒木渚の音楽でみんなを抱きしめさせてください!」
と言って演奏されたのは、バンド時代からの初期の曲、「骨」。
黒木渚は指揮者のように両手を頭上で振りながら、
「死んだ後でも楽しめるように 墓石に点数を掘ろう」
と歌い出す。最後の
「それはまるで 骨の様に
私を燃やして残るもの」
というフレーズは、まさに最後に本人が語ったことそのもののように響いた。
黒木渚は形態としてはソロであれど、ライブを見ると毎回この上ない「バンド感」を実感させてくれる。それはメンバーが3人も固定されているという要素もあるが、唯一固定メンバーではない宮川の普段と変わらぬクールな表情の中で見せる笑顔が、このメンバー、このバンドで演奏することの楽しさを何よりも物語っていた。
結果的に無料ライブとはいえ、タダだからという甘えや容赦はステージにも客席にも皆無という、普段とまるで変わらないワンマンだった。着実に支持者が増え、キャパを拡げているが、これから果たして我々にもっといい景色、それこそ他のアーティストではなく黒木渚でなければ見れないような景色を見せてくれるだろうか?
1.革命
2.金魚姫
3.マトリョーシカ
4.あたしの心臓あげる
5.アンチスーパースター
6.窓
7.ピカソ
8.プラナリア
9.テーマ
10.エジソン
11.君が私をダメにする
12.フラフープ
13.虎視眈々と淡々と
encore
14.大本命
15.骨
君が私をダメにする
http://youtu.be/FMMRfGP9WUk
Next→ 7/24 UNISON SQUARE GARDEN @日本武道館
明らかに年がちょっといっている男性が大半を占めているが、やはりいつもよりは若い女性も数多くいる中、19時半過ぎになると、まずはバンドメンバーが登場。
井手上誠(ギター)、マシータ(ドラム)、多畠幸良(キーボード)はもはや黒木渚にとってはソウルメイトというべき、必要不可欠かつおなじみな存在であるが、前回はプロデューサーの根岸孝旨が担っていたベースはこのツアーは髭の宮川トモユキ。ハットを被っているのはいつもと変わらないが、髭以外のステージに立っている姿は実に新鮮。
そして後から黒木渚が登場。ややカラフルとも言える服を着ているが、ホールの時のドレスとは違い、ライブハウスということもあってか動きやすそうな衣装。
「これからの90分だけ、黒木渚をみんなの大本命にしてください!」
と言うと、オープニングはやはり「標本箱」の1曲目であり、ある意味で黒木渚の活動のテーマとも言える「革命」。早くも無数の腕が上がる客席の様子は、これまでの黒木渚のライブとはかなり違う。
きらめくようなポップさの「金魚姫」、一気に怪しい雰囲気に包まれ、ハンドマイクで歌う黒木渚の歌とバンドのグルーヴが溶け合う「マトリョーシカ」、ギター弾き語りからバンドサウンドに転換する「あたしの心臓あげる」、音楽界の偉人たちの名前が並ぶサビと、
「何がロックだ 何がパンクだ」
というサビ前のフレーズが
「愛と憎しみの真ん中」
という本人の形容を最もわかりやすく表す「アンチスーパースター」は序盤のピーク。黒木渚は基本的にいつも前半はそこまで声が絶好調というわけではないが、この日も例に漏れず。しかしながら観客の声が本当に大きく、野太い。これは間違いなく本人を大きく後押しする要素になったはず。ちなみに宮川はこの曲の演奏中に被っていたハットを吹っ飛ばす。
このフリーライブツアーを開催することにした経緯や、「君が私をダメにする」収録曲の解説を交えながら、黒木渚の曲の中では実に普遍的なラブソング「窓」は宮川のベースの音に寄り添うように聞かせ、「ピカソ」では黒木渚がリコーダーを手にしてその場を行進しながら歌い、終盤ではそのリコーダーも吹く。
いつにも増して井手上のギターがアメリカンハードロック色の強い「プラナリア」では
「ダメ ダメ」
の大合唱を巻き起こしたのだが、あまりの合唱の大きさに黒木渚も少しビックリしていた様子。
さらにこれまでは本編最終盤やアンコールで演奏されていた「テーマ」を続け、激しいバンドアンサンブルの演奏のピークは間違いなくここ。これはライブハウスならではだが、
「オイ!オイ!」
のコールまで発生し、しかもその声も非常に大きい。しかし、この「テーマ」は本当に名曲。歌詞自体はかなりセクシャルなものであるが、余裕でシングルのタイトルになるくらいの曲だと思う。黒木渚のボーカルもこのあたりでは完全にバンドの演奏に負けないくらいに仕上がっている。
するとここでステージが暗闇に包まれ、黒木渚が押してきた台車の上に灯るランプの灯りだけがステージを照らす中、自身が上京してきた時をテーマにした朗読が披露される。
「灯るひらめきは 愛かしら」
という一文で朗読を締めたあとに披露されたのは、そのフレーズが歌詞に登場する「君が私をダメにする」のカップリング曲である「エジソン」。そのフレーズの通り、電球やアイデアというエジソンに関する歌詞を絡めながらも、結果的には黒木渚ならではのラブソングに帰結するこの歌詞の構成は本当に見事。さすが小説を書いたりして文章力を養っているだけはある。このクラスの曲を出し惜しみなくカップリングに入れているだけに、毎回シングルを買おうと思わされる。
そしてツアーのタイトルである「君が私をダメにする」からはクライマックス。恋に溺れるというテーマはともすると重くなりそう(ましてやそういう曲をたくさん書いてきた黒木渚だし)だが、そう感じさせないのはサウンドの爽やかさ。「夏前、つまり今の時期に合う曲」と形容していたが、これはその通りだと思う。PV自体も映像は甘酸っぱさすら感じるくらいの爽やかさ。
「好き!嫌い!好き!嫌い!」
のコール&レスポンスを男女に分けて行い(もちろん男性側が圧倒的に大きかった)、客席ではタオルも回る「フラフープ」でさらにバンドのグルーヴが増すと、
「私、黒木渚は正直な音楽家です。だから率直に言うと、今の世の中はつまらない!安パイばかり切って、自粛、不謹慎。世の中にある様々な素晴らしい余分を省いてしまっている。
でもここに来ているみんなは、自分の意志と、自分の足でここに来たんでしょう!?ならば、せめてここにいる人たちだけは、正直に、感情を爆発させていきましょう!」
と、観客の目をじっと見据えて言うと、その正直な生き様そのものを歌った「虎視眈々と淡々と」を最後に決意表明のように鳴らして、
「デタラメ でこぼこ デタラメ でこぼこ」
というサビ前のフレーズで再び大合唱を巻き起こしてステージを去って行った。
「渚!渚!」
の観客からのコールに応えて黒木渚が再び登場すると、白のツアーTシャツに白のショーパンという、
「異常なほどに清潔感を主張している(笑)」
出で立ちに着替えている。
そのTシャツも含めた物販の紹介、すでに決定している冬のツアー、そのツアーのファイナルが六本木EX THEATERが行われることを発表。
「ライブハウスではこれまでで最大。でも今回、こうやってフリーライブツアーをやったのも、まだ会ったことのない人たちに会いたいから。そしてその人たちを含めて、みんなをもっと広いところに連れて行って、もっと素晴らしい景色を見せたい。
ライブの最初に、私を本命にしてください、って言ったけど、その思いを曲にしました」
とこれからの活動への意気込みを改めて表明すると、井手上と多畠の2人を加えてのアコースティック編成で
「私を本命にしてよ」
と歌われる「大本命」を歌い上げる。
そして、
「初めて観た人、私あんまり怖くないでしょ?(笑)快楽主義者ですから。楽しいことをやり続けたいし、面白いことを一つ残らず取りこぼさずに生きていきたい。
だから、私が骨になったとしても、黒木渚の音楽でみんなを抱きしめさせてください!」
と言って演奏されたのは、バンド時代からの初期の曲、「骨」。
黒木渚は指揮者のように両手を頭上で振りながら、
「死んだ後でも楽しめるように 墓石に点数を掘ろう」
と歌い出す。最後の
「それはまるで 骨の様に
私を燃やして残るもの」
というフレーズは、まさに最後に本人が語ったことそのもののように響いた。
黒木渚は形態としてはソロであれど、ライブを見ると毎回この上ない「バンド感」を実感させてくれる。それはメンバーが3人も固定されているという要素もあるが、唯一固定メンバーではない宮川の普段と変わらぬクールな表情の中で見せる笑顔が、このメンバー、このバンドで演奏することの楽しさを何よりも物語っていた。
結果的に無料ライブとはいえ、タダだからという甘えや容赦はステージにも客席にも皆無という、普段とまるで変わらないワンマンだった。着実に支持者が増え、キャパを拡げているが、これから果たして我々にもっといい景色、それこそ他のアーティストではなく黒木渚でなければ見れないような景色を見せてくれるだろうか?
1.革命
2.金魚姫
3.マトリョーシカ
4.あたしの心臓あげる
5.アンチスーパースター
6.窓
7.ピカソ
8.プラナリア
9.テーマ
10.エジソン
11.君が私をダメにする
12.フラフープ
13.虎視眈々と淡々と
encore
14.大本命
15.骨
君が私をダメにする
http://youtu.be/FMMRfGP9WUk
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