やついフェス 2015 @渋谷O-EAST他 6/21
- 2015/06/22
- 17:11
もはやお笑いコンビというよりも、フェスでのDJとして有名になりつつある、エレキコミックやついいちろうが主催する、渋谷道玄坂エリアのライブハウス・クラブを使ったフェス、やついフェス。
今年は2日開催に規模拡大し、この日は2日目。会場は
O-EAST
duo MUSIC EXCHANGE
O-WEST
O-nest
O-Crest
7th floor
asia
VUENOS
Glad
VISION
と、去年と変わらない10会場だが、サブステージにはお笑い芸人のネタなどの時間もあり、日本で一番出演者の数が多いフェスとなっている。
前日、リストバンド交換がすごい列になっているという情報を得たので、早めに着いたところ、前日の反省からか、実にスムーズになっていたので、逆に時間が余るという展開に。始まる前には雨も降っていた。
13:00~ コンテンポラリーな生活 [O-WEST]
O-WESTのトップバッターは、ボカロP石風呂としても活動している、朝日廉を中心とするスリーピースバンド、コンテンポラリーな生活。
先に朝日が走って登場して最前の客とハイタッチして一回戻ってから再び登場。
ストレートなギターロックから、踊れる四つ打ち、ラウドなギターサウンドと、短い時間の中でも幅広い曲が並ぶ。紅一点ベース藤田の動きが実に激しいが、それにともない、バンドの演奏も実にエモーショナル。
「安くないチケットを払ってきてるだけに、たくさんバンド見て、1組あたりいくらで観れたか計算してください」
と朝日が関西人らしいケチくさいMCをすると、すでに汗びっしょりなドラム酒井が、
「このフェス来てるような人たちならそんな心配いらんやろ。勝手にいろいろ見まくるやろ」
とフォロー。それにはさすがに、
「そうか!みんな音楽大好きやもんな!」
と朝日も納得。
ほとんど初見という感じなのか、観客のノリは演奏のエモさに比べるとおとなしかったが、
「こんな冴えない人間がこのステージ人間立ってるんですよ!一発逆転だと思いませんか!?夢があると思いませんか!?」
と朝日が叫ぶと、ラストはリリースされたばかりの新作「ハスキーガール」は現状での決定打的な曲。このキャパはまだバンドにとっては広いみたいだが、このくらいは埋まってしかるべき。
同じくボカロPからバンドに転身したヒトリエとは同じ形態でも全く違い、バンドにボカロらしさは全くない。むしろ、1人で音楽を作れる人がやってるバンドなのに、この3人だからこそこの音楽が生まれているというのが実に面白い。
1.死なない声を探す
2.嫌々々々
3.彼らは鉄腕ナインティーン
4.九龍城にて待つ
5.東京殺法
6.ひとえの少女
7.プロポーズ
8.ハスキーガール
ハスキーガール
http://youtu.be/cxXRvFp5R3k
そのあとEASTでお笑いを見る。アナログタロウ、飛石連休、新宿カウボーイ、そしてエレキコミック。エレキコミックがひたすら下ネタトークしまくるというコントで、早くも時間が押している。
14:25~ モーモールルギャバン [O-EAST]
ライブ活動休止から復活した、モーモールルギャバンがEASTに登場。休止前はZEPPクラスでもツアーをやっていただけに、開始前からすでに満員状態。
幕が開くとすでに3人がスタンばっており、ゲイリー(ボーカル&ドラム)はアフロ、ユコ(キーボード)は鮮やかな金髪と、ビジュアルには変化が見られる。
「ユキちゃんの遺伝子」「POP!烏龍ハイ」とキラーチューンが続くが、マルガリータのうねるようなベースで早くも踊らせまくってるあたり、休止していたから衰えたということは全くない。
中盤には来週発売されるアルバムからの新曲「さらば人類」を含め、近年のしんみりさせるような曲を続ける。
そしてキラーチューン「ユキちゃん」ではユコが銅鑼を連打しまくり、
「普段はユキちゃんが1番だけど、今日は小林さっちゃんが1番好きだー!」
と、この日出演する小林幸子にリスペクトを捧げる叫び。
そして
「ここにいるお笑い目当てとか、銀杏BOYZ目当ての人はポカーンとしてるだろうけど…銀杏のファンはポカーンとしねぇか(笑)
でも俺たち、ちゃんと聴くとポップな曲をやってるから、中学生の妹とかおばあちゃんを誘ってライブ来てください!」
とゲイリーが言うと、恒例のJ-POPの限界という名のパンツ脱ぎから、「パンティー!」コールが巻き起こる「サイケな恋人」で締め。やっぱり面白いバンドだし、曲も本当にメンバーのキャラに負けないくらいにしっかりしている。これからまたいろんなところでライブを見ることになるだろうが、今後の展開も実に楽しみなところ。
1.ユキちゃんの遺伝子
2.POP!烏龍ハイ
3.サノバ・ビッチェ
4.ハイヒールブルース
5.さらば人類
6.ユキちゃん
7.スシェンコ・トロブリスキー
8.サイケな恋人
さらば人類
http://youtu.be/8JepbzrwFNE
そのあとのお笑いコーナーは、カオポイント、鬼ヶ島、360°モンキーズ、キャン×キャンの4組。ずっとオンエアバトルでネタを見ていた、キャン×キャンを生で観れたのも嬉しいが、ともにマニアックな野球ネタをやっていた、カオポイントと360°モンキーズは野球場でネタをやったら日本で1番ウケる芸人なんじゃないかと思う。
15:50~ 銀杏BOYZ [O-EAST]
VIVA LA ROCKから一カ月ちょっと。まさかこんなに早く銀杏BOYZのライブが見れるとは。始まる前から「峯田ー!」という怒号が客席けらから発生している。
幕が開くと、白いでかめのTシャツを着た峯田和伸がすでにステージに。歌うでもなく、
「主催じゃないフェスとかイベントみたいなライブに最近良く出させてもらうんだけど…あと1枚作品出したら、ツアーやるから。まだもうちょっとかかるけど待ってて。
この前、酒鬼薔薇の本が出て。まだ読んでないんだけど、太田出版ってとこから出たんですけど、俺たちの写真集も太田出版から出てて。彼より先に出せて良かったなって」
と言って、ビバラの時にもやってた新曲「生きたい」。
酒鬼薔薇の本のあとがきに「生きたい」と書いてあるらしいと言っていたが、それだけに人間の本質を歌い、
「生きたくってさ 生きたくってさ」
と歌うこの曲の内容が図らずもリンクした。思えば、10年以上前から、峯田さんは酒鬼薔薇のことをMCでよく言っていた。
続く新曲は昨日できたばかりという曲。
「15年前にできた「BABY BABY」を今の俺が歌ったら」
という曲。思い出すために歌詞を復唱してから歌ったこの曲、タイトルこそ「イラマチオ」だが、峯田和伸だからこそのラブソング。曲の歌詞には「永遠に生きられるだろうか 永遠に君のために」という「BABY BABY」のフレーズも出てくる、完全なアンサーソングと言っていいだろう。
すると「新訳 銀河鉄道の夜」「BABY BABY」を立ち上がって弾き語りするも、「BABY BABY」の客席の合唱が汚い、と言い
「俺はアビちゃんにもなんども言ったんですよ!フフッフーはビブラートなんだから!って」
と男の客に、
「前立腺を刺激するような感じで声を出せ」
と、歌い方を指南しながら、結局は観客に歌わせるでもなく、自分で歌う。
ボイパからの「あいしてるって ゆってよね」からカラオケでダイバー続出の「I DON'T WANNA DIE FOREVER」。そして
「世界が一つになりませんように!偉大な民族などが大きな力によって潰されませんように!」
と「ぽあだむ」で終了。去り際には、
「あんたら1人1人にありがとう。もうあんたら1人ずつにフェラチオして気持ち良くさせたいくらいの気分です。ありがとうございました。銀杏BOYZでした」
と、この日はやたらと下ネタ率が高かったのは、その前にネタをやっていた芸人たちの影響もあるのだろうか。
でも新曲こそやったが、どこか内容にマンネリというか、「次はこれやるな」ってのがもうわかってしまってきているのも事実。4人だった時は、本当に毎回何が起こるかわからないような緊張感のあるライブをやっていただけになおさら。
弾き語りならいくらでもいろんな曲できるんじゃないだろうか、って思うのは自分がやらないサイドの人間だからだろうか。
1.生きたい (新曲)
2.イラマチオ (新曲)
3.新訳 銀河鉄道の夜
4.BABY BABY
5.あいしてるって ゆってよね
6.I DON'T WANNA DIE FOREVER
7.ぽあだむ
ぽあだむ
http://youtu.be/wSIRyLtgXSY
17:35~ phatmans after school [O-Crest]
アーティスト写真が熊のイラストであり、メンバーのビジュアルを公開していないphatmans after school。ようやくその姿を見ることができる機会が巡ってきた。
メンバーは実に普通の青年4人というか、まぁそれは当たり前なんだが、ヨシダタクミは声のイメージよりもずっと体が大きい。そして金髪。てっきり痩せた黒髪ロング的な外見を想像していたが、そう想像してしまうのは、このバンドがBUMP直系と言える、王道ギターロックを鳴らすバンドだから。
しかしながら同期も駆使した、踊れる曲が多いのはこのバンドの特徴。実際、今の若手ギタリストにしては珍しくフライングVを弾くユタニシンヤがギターを放り出して観客に指南したダンスを踊りまくる「あいまいみー」に加え、来月リリースを控えるシングルからの新曲「FR/DAY NIGHT」は、もはやトランスと言っていいくらいにバキバキなイントロが印象的。
それまではユタニがずっとMCをしていたが、ヨシダも口を開き、ユタニが全然ギターを弾かずに踊っていたことをいじり、同じ時間に違う会場でライブをしている川本真琴を見たかった、と話す。
そしてこのフェスに関わっているスタッフ全員に感謝を告げるとともに、自身が他のバンドのライブを見るときは、常に最初で最後の機会である、ということを思いながらライブを見ている、という前提で、また次に会う約束をし、ラストの「ツキヨミ」。
前回のツアーのリキッドルームはソールドアウトと、徐々に頭角を現しているバンドだが、この日は非常に厳しいというか、ガラガラな客入りであった。それは裏のアーティストとの兼ね合いや、Crestは階段をかなり昇らないといけないという事情もあるが、それを差し引いてももっと多くの人に見られて然るべきバンドなんじゃないかと思う。
1.人類への過程
2.メディアリテラシー
3.無重力少年
4.FR/DAY NIGHT
5.あいまいみー
6.ツキヨミ
ツキヨミ
http://youtu.be/xwzWCjro1I4
18:35~ ドレスコーズ [O-WEST]
志摩遼平以外のメンバーが脱退してからは、女子メンバーだけのバンドなど、様々な形態でライブを行っている、ドレスコーズ。この日は志摩が敬愛する先輩、KING BROTHERSとのコラボライブとなる。
まずはKING BROTHERSの3人がおなじみのスーツ姿で登場し、ギター×2とドラムという、スカスカにもかかわらずロックンロールこの上ない演奏を始めると、早くもマーヤが客席に飛び込み、
「残念でした!まだドレスコーズじゃありません!やついフェス、呼ばれてないのに来ました、KING BROTHERSです!じゃあそろそろ俺たちのボスをお呼びしましょうか!志摩遼平!」
と人の上で叫ぶと、志磨が登場。
近年のドレスコーズのポップな曲、さらには毛皮のマリーズの「おはようミカ」までもを凶悪なロックンロールサウンドで演奏。志磨とマーヤが1本のマイクでコーラスするのはあまりにもカッコ良すぎる。
すると最近はラストに演奏されることの多い「愛に気をつけてね」で、志磨が靴を脱いで客席に飛び込むとマーヤもそれに続き、さらにはケイゾーが客席の真ん中を空けるように指示し、ゾニーがドラムセットを客席に持ち込み、ケイゾーとゾニーが客席の中で演奏、志摩とマーヤはずっと観客の上で歌って演奏という、ステージにメンバーが誰もいないというカオス極まりない光景に。
曲が終わると志磨がステージに戻り、この日のメンバーを紹介して、あっという間ではあったが、これまでの中で最も攻撃的と言えるライブを終えた。
このまるで事件のようなライブを物語るかのように、客席にはモーモールルギャバンのゲイリー、OKAMOTO'Sのショウとレイジ、黒猫チェルシーの啓佑、撃鉄の天野など、出演者から、出演してない人まで、様々なバンドマンがいた。それだけこのアクトの注目度が高かったということ。ショウなんか客席のど真ん中でただのロックキッズみたいな目をしてライブ見てた。
1.ゴッホ
2.おはようミカ
3.スーパー、スーパーサッド
4.愛に気をつけてね
ゴッホ
http://youtu.be/k6jznp-ouxE
19:40~ SAKANAMON [O-WEST]
3年連続出演となるSAKANAMON。サウンドチェックの段階から、「SAKANAMON THE WORLD」を演奏し、早く集まってくれたファンを喜ばせる。
いつものようにSUPER BUTTER DOG「コミュニケーション・ブレイクダンス」のSEでメンバーが登場すると、「幼気な少女」から序盤はソリッドなギターロックな曲で押しまくり、同期も使った「脳内マネジメント事情」ではその遊泳するようなサウンドの心地良さに身を委ねさせる。
MCではエレキコミックのファンである森野(ベース)が3年連続出演の喜びを語るとともに、
「去年、うちのレーベルで俺たちだけやついさんのMIX CDに入ってないって言ったら、今年は小林幸子さんの裏にされるという仕打ちを受けまして(笑)」
と、タイムテーブルについて愚痴をこぼしたあと、
「でも、4月にアルバム出したんですけど、やついさんがその中のこの曲を好きだって言ってくれて。その曲をやります」
と最新アルバム「あくたもくた」のリード曲「ぱらぱらり」から後半戦とばかりに一気にギアを上げ、
「SAKANAMON流のラブソング」
という、藤森の妄想爆発な変態ラブソング「君の○○を××したい」から、
「日頃のつまらないこととか、つまらないやつのことを、つまんねーよ!って俺たちにぶつけてください!」
と、「つまんねーよ つまんねーよ」というサビで合唱が起こった「TSUMANNE」で終了。
来月には過去最大規模となるZepp DiverCityワンマンもあるが、果たしてそのキャパを埋めることはできるだろうか。この日、ライブ後に3人で手売りすると言っていたが。
1.幼気な少女
2.アリカナシカ
3.ミュージックプランクトン
4.脳内マネジメント事情
5.ぱらぱらり
6.マジックアワー
7.君の○○を××したい
8.TSUMANNE
TSUMANNE
http://youtu.be/NVkwv5AHkWM
duoに行くと、時間が少し押していたことにより、カジヒデキがまだライブをやっていた。最後だけちょっと見て、最後のお笑いコーナー。タイムマシーン3号、モグライダー、TAIGAという3組。モグライダーだけ全く知らないコンビだった。
20:55~ Awesome City Club [duo MUSIC EXCHANGE]
いよいよ2日間に渡るこのフェスも終わりの時間に。duoのトリは、4月にデビューミニアルバムをリリースしたばかりの、男女混成5人組バンド、Awesome City Club。
メンバーが登場すると、すでにネットなどでも話題になっているが、PORIN(キーボード&ボーカル)の美人ぶりが目を引く。ドラムのユキエも女性であり、atagi(ボーカル&ギター)、モリシー(ギター&シンセ)、マツザカ(ベース&シンセ)が男性。
ミニアルバム同様に「Children」で始まると、横ノリのサウンドとビートによる極上のインディーポップにゆったりと身を委ねる。
未発表曲「GOLD」も披露されるが、緊張しているのか、メンバーのMCはやや固め。
「お笑い芸人さんがネタやったあとにMCとかめっちゃやりづらい(笑)めちゃくちゃハードル上がってるもん」
とのこと。しかし「It's So Fine」ではフロントの4人が左右にステップを踏みながら演奏するという、見た目にも楽しい演出もあり、「Jungle」では一転して、ダークなエレクトロサウンドに包まれる。モリシーとマツザカが代わる代わるシンセを弾くのも実に面白い。
「最後に、極上のポップソングを」
とPORINが言って演奏されたのは、「涙の上海ナイト」。
しかし、これで当然終わるわけがないというのはここにいる誰もがわかっていただけに、アンコールで再びメンバーが登場。
「こういうフェスに出させてもらって、本当に嬉しい。これから夏フェスもいっぱい出ますからね。楽しみですね。ROCK IN JAPANとかね」
と夏フェスへの意気込みを語り、ラストはやはり、アルバムのリードトラックであり、2015年きっての名曲「4月のマーチ」。
「コットンパフまきちらして踊るの マテリアルガール」
という、普通では絶対考え付かないサビのフレーズ。この曲までは歌っていなかったPORINのボーカルと、atagi、モリシーのコーラスとギター。全てに名曲である必然が宿っている。
最後のサビではPORINがハンドマイクでステージの前に出てきて、クネクネと踊りながら歌う。これにはなかなかあざといな~とも思うし、わかってるな~とも思った。
しかし、トリは各会場で強力なアクトが重なっていたからか、期待度の高さに比して観客は少なめだった。来年以降、このクラスのキャパは埋められるようになって欲しい。
1.Children
2.GOLD
3.Lesson
4.It's So Fine
5.Jungle
6.涙の上海ナイト
encore
7.4月のマーチ
4月のマーチ
http://youtu.be/XZZCTYu24is
Awesome City Club終わって、そのまま帰途へ。これで今年のやついフェスは終了。来年も2days開催、さらには2会場ステージが増えるということも発表されている。いろいろ運営については至らないところもあったようだが、1日いて本当に楽しかったし、新しい音楽との出会いになる。この規模のサーキットイベントは他にないので、また来年も是非とも参加したい。
Next→ 6/26 the band apart @EX THEATER
今年は2日開催に規模拡大し、この日は2日目。会場は
O-EAST
duo MUSIC EXCHANGE
O-WEST
O-nest
O-Crest
7th floor
asia
VUENOS
Glad
VISION
と、去年と変わらない10会場だが、サブステージにはお笑い芸人のネタなどの時間もあり、日本で一番出演者の数が多いフェスとなっている。
前日、リストバンド交換がすごい列になっているという情報を得たので、早めに着いたところ、前日の反省からか、実にスムーズになっていたので、逆に時間が余るという展開に。始まる前には雨も降っていた。
13:00~ コンテンポラリーな生活 [O-WEST]
O-WESTのトップバッターは、ボカロP石風呂としても活動している、朝日廉を中心とするスリーピースバンド、コンテンポラリーな生活。
先に朝日が走って登場して最前の客とハイタッチして一回戻ってから再び登場。
ストレートなギターロックから、踊れる四つ打ち、ラウドなギターサウンドと、短い時間の中でも幅広い曲が並ぶ。紅一点ベース藤田の動きが実に激しいが、それにともない、バンドの演奏も実にエモーショナル。
「安くないチケットを払ってきてるだけに、たくさんバンド見て、1組あたりいくらで観れたか計算してください」
と朝日が関西人らしいケチくさいMCをすると、すでに汗びっしょりなドラム酒井が、
「このフェス来てるような人たちならそんな心配いらんやろ。勝手にいろいろ見まくるやろ」
とフォロー。それにはさすがに、
「そうか!みんな音楽大好きやもんな!」
と朝日も納得。
ほとんど初見という感じなのか、観客のノリは演奏のエモさに比べるとおとなしかったが、
「こんな冴えない人間がこのステージ人間立ってるんですよ!一発逆転だと思いませんか!?夢があると思いませんか!?」
と朝日が叫ぶと、ラストはリリースされたばかりの新作「ハスキーガール」は現状での決定打的な曲。このキャパはまだバンドにとっては広いみたいだが、このくらいは埋まってしかるべき。
同じくボカロPからバンドに転身したヒトリエとは同じ形態でも全く違い、バンドにボカロらしさは全くない。むしろ、1人で音楽を作れる人がやってるバンドなのに、この3人だからこそこの音楽が生まれているというのが実に面白い。
1.死なない声を探す
2.嫌々々々
3.彼らは鉄腕ナインティーン
4.九龍城にて待つ
5.東京殺法
6.ひとえの少女
7.プロポーズ
8.ハスキーガール
ハスキーガール
http://youtu.be/cxXRvFp5R3k
そのあとEASTでお笑いを見る。アナログタロウ、飛石連休、新宿カウボーイ、そしてエレキコミック。エレキコミックがひたすら下ネタトークしまくるというコントで、早くも時間が押している。
14:25~ モーモールルギャバン [O-EAST]
ライブ活動休止から復活した、モーモールルギャバンがEASTに登場。休止前はZEPPクラスでもツアーをやっていただけに、開始前からすでに満員状態。
幕が開くとすでに3人がスタンばっており、ゲイリー(ボーカル&ドラム)はアフロ、ユコ(キーボード)は鮮やかな金髪と、ビジュアルには変化が見られる。
「ユキちゃんの遺伝子」「POP!烏龍ハイ」とキラーチューンが続くが、マルガリータのうねるようなベースで早くも踊らせまくってるあたり、休止していたから衰えたということは全くない。
中盤には来週発売されるアルバムからの新曲「さらば人類」を含め、近年のしんみりさせるような曲を続ける。
そしてキラーチューン「ユキちゃん」ではユコが銅鑼を連打しまくり、
「普段はユキちゃんが1番だけど、今日は小林さっちゃんが1番好きだー!」
と、この日出演する小林幸子にリスペクトを捧げる叫び。
そして
「ここにいるお笑い目当てとか、銀杏BOYZ目当ての人はポカーンとしてるだろうけど…銀杏のファンはポカーンとしねぇか(笑)
でも俺たち、ちゃんと聴くとポップな曲をやってるから、中学生の妹とかおばあちゃんを誘ってライブ来てください!」
とゲイリーが言うと、恒例のJ-POPの限界という名のパンツ脱ぎから、「パンティー!」コールが巻き起こる「サイケな恋人」で締め。やっぱり面白いバンドだし、曲も本当にメンバーのキャラに負けないくらいにしっかりしている。これからまたいろんなところでライブを見ることになるだろうが、今後の展開も実に楽しみなところ。
1.ユキちゃんの遺伝子
2.POP!烏龍ハイ
3.サノバ・ビッチェ
4.ハイヒールブルース
5.さらば人類
6.ユキちゃん
7.スシェンコ・トロブリスキー
8.サイケな恋人
さらば人類
http://youtu.be/8JepbzrwFNE
そのあとのお笑いコーナーは、カオポイント、鬼ヶ島、360°モンキーズ、キャン×キャンの4組。ずっとオンエアバトルでネタを見ていた、キャン×キャンを生で観れたのも嬉しいが、ともにマニアックな野球ネタをやっていた、カオポイントと360°モンキーズは野球場でネタをやったら日本で1番ウケる芸人なんじゃないかと思う。
15:50~ 銀杏BOYZ [O-EAST]
VIVA LA ROCKから一カ月ちょっと。まさかこんなに早く銀杏BOYZのライブが見れるとは。始まる前から「峯田ー!」という怒号が客席けらから発生している。
幕が開くと、白いでかめのTシャツを着た峯田和伸がすでにステージに。歌うでもなく、
「主催じゃないフェスとかイベントみたいなライブに最近良く出させてもらうんだけど…あと1枚作品出したら、ツアーやるから。まだもうちょっとかかるけど待ってて。
この前、酒鬼薔薇の本が出て。まだ読んでないんだけど、太田出版ってとこから出たんですけど、俺たちの写真集も太田出版から出てて。彼より先に出せて良かったなって」
と言って、ビバラの時にもやってた新曲「生きたい」。
酒鬼薔薇の本のあとがきに「生きたい」と書いてあるらしいと言っていたが、それだけに人間の本質を歌い、
「生きたくってさ 生きたくってさ」
と歌うこの曲の内容が図らずもリンクした。思えば、10年以上前から、峯田さんは酒鬼薔薇のことをMCでよく言っていた。
続く新曲は昨日できたばかりという曲。
「15年前にできた「BABY BABY」を今の俺が歌ったら」
という曲。思い出すために歌詞を復唱してから歌ったこの曲、タイトルこそ「イラマチオ」だが、峯田和伸だからこそのラブソング。曲の歌詞には「永遠に生きられるだろうか 永遠に君のために」という「BABY BABY」のフレーズも出てくる、完全なアンサーソングと言っていいだろう。
すると「新訳 銀河鉄道の夜」「BABY BABY」を立ち上がって弾き語りするも、「BABY BABY」の客席の合唱が汚い、と言い
「俺はアビちゃんにもなんども言ったんですよ!フフッフーはビブラートなんだから!って」
と男の客に、
「前立腺を刺激するような感じで声を出せ」
と、歌い方を指南しながら、結局は観客に歌わせるでもなく、自分で歌う。
ボイパからの「あいしてるって ゆってよね」からカラオケでダイバー続出の「I DON'T WANNA DIE FOREVER」。そして
「世界が一つになりませんように!偉大な民族などが大きな力によって潰されませんように!」
と「ぽあだむ」で終了。去り際には、
「あんたら1人1人にありがとう。もうあんたら1人ずつにフェラチオして気持ち良くさせたいくらいの気分です。ありがとうございました。銀杏BOYZでした」
と、この日はやたらと下ネタ率が高かったのは、その前にネタをやっていた芸人たちの影響もあるのだろうか。
でも新曲こそやったが、どこか内容にマンネリというか、「次はこれやるな」ってのがもうわかってしまってきているのも事実。4人だった時は、本当に毎回何が起こるかわからないような緊張感のあるライブをやっていただけになおさら。
弾き語りならいくらでもいろんな曲できるんじゃないだろうか、って思うのは自分がやらないサイドの人間だからだろうか。
1.生きたい (新曲)
2.イラマチオ (新曲)
3.新訳 銀河鉄道の夜
4.BABY BABY
5.あいしてるって ゆってよね
6.I DON'T WANNA DIE FOREVER
7.ぽあだむ
ぽあだむ
http://youtu.be/wSIRyLtgXSY
17:35~ phatmans after school [O-Crest]
アーティスト写真が熊のイラストであり、メンバーのビジュアルを公開していないphatmans after school。ようやくその姿を見ることができる機会が巡ってきた。
メンバーは実に普通の青年4人というか、まぁそれは当たり前なんだが、ヨシダタクミは声のイメージよりもずっと体が大きい。そして金髪。てっきり痩せた黒髪ロング的な外見を想像していたが、そう想像してしまうのは、このバンドがBUMP直系と言える、王道ギターロックを鳴らすバンドだから。
しかしながら同期も駆使した、踊れる曲が多いのはこのバンドの特徴。実際、今の若手ギタリストにしては珍しくフライングVを弾くユタニシンヤがギターを放り出して観客に指南したダンスを踊りまくる「あいまいみー」に加え、来月リリースを控えるシングルからの新曲「FR/DAY NIGHT」は、もはやトランスと言っていいくらいにバキバキなイントロが印象的。
それまではユタニがずっとMCをしていたが、ヨシダも口を開き、ユタニが全然ギターを弾かずに踊っていたことをいじり、同じ時間に違う会場でライブをしている川本真琴を見たかった、と話す。
そしてこのフェスに関わっているスタッフ全員に感謝を告げるとともに、自身が他のバンドのライブを見るときは、常に最初で最後の機会である、ということを思いながらライブを見ている、という前提で、また次に会う約束をし、ラストの「ツキヨミ」。
前回のツアーのリキッドルームはソールドアウトと、徐々に頭角を現しているバンドだが、この日は非常に厳しいというか、ガラガラな客入りであった。それは裏のアーティストとの兼ね合いや、Crestは階段をかなり昇らないといけないという事情もあるが、それを差し引いてももっと多くの人に見られて然るべきバンドなんじゃないかと思う。
1.人類への過程
2.メディアリテラシー
3.無重力少年
4.FR/DAY NIGHT
5.あいまいみー
6.ツキヨミ
ツキヨミ
http://youtu.be/xwzWCjro1I4
18:35~ ドレスコーズ [O-WEST]
志摩遼平以外のメンバーが脱退してからは、女子メンバーだけのバンドなど、様々な形態でライブを行っている、ドレスコーズ。この日は志摩が敬愛する先輩、KING BROTHERSとのコラボライブとなる。
まずはKING BROTHERSの3人がおなじみのスーツ姿で登場し、ギター×2とドラムという、スカスカにもかかわらずロックンロールこの上ない演奏を始めると、早くもマーヤが客席に飛び込み、
「残念でした!まだドレスコーズじゃありません!やついフェス、呼ばれてないのに来ました、KING BROTHERSです!じゃあそろそろ俺たちのボスをお呼びしましょうか!志摩遼平!」
と人の上で叫ぶと、志磨が登場。
近年のドレスコーズのポップな曲、さらには毛皮のマリーズの「おはようミカ」までもを凶悪なロックンロールサウンドで演奏。志磨とマーヤが1本のマイクでコーラスするのはあまりにもカッコ良すぎる。
すると最近はラストに演奏されることの多い「愛に気をつけてね」で、志磨が靴を脱いで客席に飛び込むとマーヤもそれに続き、さらにはケイゾーが客席の真ん中を空けるように指示し、ゾニーがドラムセットを客席に持ち込み、ケイゾーとゾニーが客席の中で演奏、志摩とマーヤはずっと観客の上で歌って演奏という、ステージにメンバーが誰もいないというカオス極まりない光景に。
曲が終わると志磨がステージに戻り、この日のメンバーを紹介して、あっという間ではあったが、これまでの中で最も攻撃的と言えるライブを終えた。
このまるで事件のようなライブを物語るかのように、客席にはモーモールルギャバンのゲイリー、OKAMOTO'Sのショウとレイジ、黒猫チェルシーの啓佑、撃鉄の天野など、出演者から、出演してない人まで、様々なバンドマンがいた。それだけこのアクトの注目度が高かったということ。ショウなんか客席のど真ん中でただのロックキッズみたいな目をしてライブ見てた。
1.ゴッホ
2.おはようミカ
3.スーパー、スーパーサッド
4.愛に気をつけてね
ゴッホ
http://youtu.be/k6jznp-ouxE
19:40~ SAKANAMON [O-WEST]
3年連続出演となるSAKANAMON。サウンドチェックの段階から、「SAKANAMON THE WORLD」を演奏し、早く集まってくれたファンを喜ばせる。
いつものようにSUPER BUTTER DOG「コミュニケーション・ブレイクダンス」のSEでメンバーが登場すると、「幼気な少女」から序盤はソリッドなギターロックな曲で押しまくり、同期も使った「脳内マネジメント事情」ではその遊泳するようなサウンドの心地良さに身を委ねさせる。
MCではエレキコミックのファンである森野(ベース)が3年連続出演の喜びを語るとともに、
「去年、うちのレーベルで俺たちだけやついさんのMIX CDに入ってないって言ったら、今年は小林幸子さんの裏にされるという仕打ちを受けまして(笑)」
と、タイムテーブルについて愚痴をこぼしたあと、
「でも、4月にアルバム出したんですけど、やついさんがその中のこの曲を好きだって言ってくれて。その曲をやります」
と最新アルバム「あくたもくた」のリード曲「ぱらぱらり」から後半戦とばかりに一気にギアを上げ、
「SAKANAMON流のラブソング」
という、藤森の妄想爆発な変態ラブソング「君の○○を××したい」から、
「日頃のつまらないこととか、つまらないやつのことを、つまんねーよ!って俺たちにぶつけてください!」
と、「つまんねーよ つまんねーよ」というサビで合唱が起こった「TSUMANNE」で終了。
来月には過去最大規模となるZepp DiverCityワンマンもあるが、果たしてそのキャパを埋めることはできるだろうか。この日、ライブ後に3人で手売りすると言っていたが。
1.幼気な少女
2.アリカナシカ
3.ミュージックプランクトン
4.脳内マネジメント事情
5.ぱらぱらり
6.マジックアワー
7.君の○○を××したい
8.TSUMANNE
TSUMANNE
http://youtu.be/NVkwv5AHkWM
duoに行くと、時間が少し押していたことにより、カジヒデキがまだライブをやっていた。最後だけちょっと見て、最後のお笑いコーナー。タイムマシーン3号、モグライダー、TAIGAという3組。モグライダーだけ全く知らないコンビだった。
20:55~ Awesome City Club [duo MUSIC EXCHANGE]
いよいよ2日間に渡るこのフェスも終わりの時間に。duoのトリは、4月にデビューミニアルバムをリリースしたばかりの、男女混成5人組バンド、Awesome City Club。
メンバーが登場すると、すでにネットなどでも話題になっているが、PORIN(キーボード&ボーカル)の美人ぶりが目を引く。ドラムのユキエも女性であり、atagi(ボーカル&ギター)、モリシー(ギター&シンセ)、マツザカ(ベース&シンセ)が男性。
ミニアルバム同様に「Children」で始まると、横ノリのサウンドとビートによる極上のインディーポップにゆったりと身を委ねる。
未発表曲「GOLD」も披露されるが、緊張しているのか、メンバーのMCはやや固め。
「お笑い芸人さんがネタやったあとにMCとかめっちゃやりづらい(笑)めちゃくちゃハードル上がってるもん」
とのこと。しかし「It's So Fine」ではフロントの4人が左右にステップを踏みながら演奏するという、見た目にも楽しい演出もあり、「Jungle」では一転して、ダークなエレクトロサウンドに包まれる。モリシーとマツザカが代わる代わるシンセを弾くのも実に面白い。
「最後に、極上のポップソングを」
とPORINが言って演奏されたのは、「涙の上海ナイト」。
しかし、これで当然終わるわけがないというのはここにいる誰もがわかっていただけに、アンコールで再びメンバーが登場。
「こういうフェスに出させてもらって、本当に嬉しい。これから夏フェスもいっぱい出ますからね。楽しみですね。ROCK IN JAPANとかね」
と夏フェスへの意気込みを語り、ラストはやはり、アルバムのリードトラックであり、2015年きっての名曲「4月のマーチ」。
「コットンパフまきちらして踊るの マテリアルガール」
という、普通では絶対考え付かないサビのフレーズ。この曲までは歌っていなかったPORINのボーカルと、atagi、モリシーのコーラスとギター。全てに名曲である必然が宿っている。
最後のサビではPORINがハンドマイクでステージの前に出てきて、クネクネと踊りながら歌う。これにはなかなかあざといな~とも思うし、わかってるな~とも思った。
しかし、トリは各会場で強力なアクトが重なっていたからか、期待度の高さに比して観客は少なめだった。来年以降、このクラスのキャパは埋められるようになって欲しい。
1.Children
2.GOLD
3.Lesson
4.It's So Fine
5.Jungle
6.涙の上海ナイト
encore
7.4月のマーチ
4月のマーチ
http://youtu.be/XZZCTYu24is
Awesome City Club終わって、そのまま帰途へ。これで今年のやついフェスは終了。来年も2days開催、さらには2会場ステージが増えるということも発表されている。いろいろ運営については至らないところもあったようだが、1日いて本当に楽しかったし、新しい音楽との出会いになる。この規模のサーキットイベントは他にないので、また来年も是非とも参加したい。
Next→ 6/26 the band apart @EX THEATER
the band apart 7th album ”謎のオープンワールド” release live SMOOTH LIKE BUTTER TOUR @EX THEATER ROPPONGI 6/26 ホーム
SATANIC CARNIVAL '15 @幕張メッセ 6/20