ハルカトミユキ ワンマンライブ 2015 ”世界” @恵比寿LIQUIDROOM 6/19
- 2015/06/19
- 22:37
今年に入り、毎月配信で新曲を発表するという試みを行い、その最初の成果としてミニアルバム「世界」をリリースした、ハルカとミユキによるデュオ、ハルカトミユキ。
ここ最近はワンマンが他のライブとかぶったり、チケット取ってたのに行くの忘れたり(去年の夏のGRAPEVINEとのツーマン)していただけに、ライブを見るのは実に久々。
しかし、どうやらこの日は「大切なお知らせ」という、ちょっと聞くのが怖い発表もあるそうで…。
会場BGMとしてGOING STEADY「銀河鉄道の夜」が流れてビックリしたりする中、19時過ぎ、静閑なインストのサウンドがSEとして流れると、もはやおなじみのドラム・中畑大樹(Syrup16g)を中心とする、ギターとベースを含めた3人のバックバンドと、ハルカトミユキの2人が登場。
ハルカは「世界」のジャケットと同様の金髪ベリーショートという髪型に赤いドレス、ミユキはまさかのモヒカンという気合いの入りぶり。SEに乗せてハルカがしばらく声を出していると、「世界」の開放的なポップサウンドで幕開け。しかし「バッドエンドの続きを」は、同じ「世界」に収録されてこそいるが、こちらはこれまでのハルカトミユキの持ち味とも言える、絶望感溢れるノイジーなギターロック。
「世界ツアーというタイトルなんですけど、大阪と東京の2箇所だけです。いつかは世界のいろんな場所でやりたいよねぇ?」
とミユキが問うも、チューニングに集中しており、ハルカは全く話を聞いていない(笑)
そんなこともありつつ、「小学生の頃から生きづらさを感じてきた」というハルカの心情を歌った「未成年」からはハルカがアコギに持ち替える。かつてデモCDに収録され、今回「世界」で長い年月を経てようやく陽の目を見ることになった「マゼンタ」と、美しいメロディーがアコギの旋律により際立つ。
ミユキがカート・コバーンの自伝映画を公開前にもかかわらず見に行った、という話もしつつ(ただ、カートの顔が大好きな、顔ファンとのこと)、5月の新曲「春の雨」。ハルカがハンドマイクで歌い、ミユキのシンセのサウンドを前面に押し出した、エレポップ曲。「世界」の曲とはまた全く違うタイプの曲であり、今後のさらなる展開にも期待が高まる。
「屋上のすみ タバコの煙吐いた」
「桜散る、校舎の裏」
と、詩人でもあるハルカの真骨頂とも言える情景が浮かんでくるような歌詞の「君はまだ知らない」を終えると、バックバンドのメンバーがいったん捌け、ハルカトミユキの2人だけに。すると、ハルカが
「プライドというのは時として生きていくのに邪魔になる」
という旨の話をしてから、大好きな曲だという吉田拓郎の「流星」を弾き語り。ここ最近、ハルカの歌唱はデビュー当初より格段に上手くなっているが、この曲もカバーではあれど、吉田拓郎の影は全く見えず、ハルカのオリジナルのようにすら聞こえる。かつての不安定だった部分もあった歌唱は全く顔を出さない。
さらにこの日、入場時に配られた6月の新曲「copy」を2人だけで演奏。本来はバンドサウンドであるらしいが、2人だけで演奏することによって、「人とコミュニケーションを取るのが苦手な人(それはハルカトミユキの2人のことでもある)のラブソング」というこの曲の歌詞をじっくりと堪能できる。果たしてバンドではどのようなアレンジになるのだろうか。
ミユキがそのモヒカンヘアの両サイドを観客にしっかり見せたりしつつ、後半はハルカがハンドマイクで跳ねたり踊ったりしながら歌う「嘘ツキ」から、強力なバックバンドのバンドサウンドがさらに熱を帯びていく。
ミユキのシンセがスペーシーな雰囲気を醸し出す「tonight」ではハルカのコーラスに合わせて観客、さらには中畑までもがコーラスに参加。ライブでおなじみの「ニュートンの林檎」、シューゲイズギターとグロテスクな歌詞がマッチングする「マネキン」、ハルカが客席を指差して「女、男、男、男、男、女…」と言ってから演奏された「プラスチック・メトロ」と、熱狂を巻き起こして、本人もあっという間というラストは、「青い夜更け」。
「ラララ 声を聞かせて」
という歌詞に呼応するかのように、ハルカが客席にマイクを向けると、「ラララ」のフレーズでは合唱が巻き起こった。
アンコールを待つ手拍子が響く中、会場下手のスクリーンに、ハルカトミユキの2人が楽屋から出てくる映像が映し出される。歩きながら、
「ひとりぼっちの私、ハルカと、もっとひとりぼっちだったミユキの2人で始まった私たちのハルカトミユキですが、そんなひとりぼっちのたくさん集まるお祭りをやりたいと思いました。それも、星空の下で!」
とハルカが話し始めた、大切なお知らせの内容は、10月3日に日比谷野音でフリーワンマンライブが行なわれるというもの。
近年、いろんなバンドが解散や活動休止を発表しているので、嫌な予感しかしていなかったが、これにはいい方向に裏切られた。
ステージにはVTR同様にツアーTシャツに着替えた2人とサポートメンバーが登場し、その野音ワンマンに向けた意気込みとともに、9月に新たなミニアルバムをリリースすることも発表。
「ミユキが好きなカート・コバーンのように、錆びて色あせていくくらいならいっそ燃え尽きたほうがいい、っていうつもりでやります」
とハルカは言ったが、ミユキは「顔ファンだから」という理由で、そのカートの名言を知らなかったらしい(笑)
そして「大切な曲」という、「ドライアイス」、さらに「Vanilla」の、初期の代表曲2曲を、野音での再会を約束するように鳴らした。
「嘘ツキ」でのハルカの跳ねたり踊ったりという、これまでには考えられなかったようなパフォーマンスは、「世界」がこれまでで最も開放感を感じる内容の作品であることと無関係ではないだろう。
まだ過渡期感すらあるが、絶望と孤独を歌ってきた、世の中や社会に迎合できずに生きてきた2人がこれから鳴らす音楽はさらに開放的になっていく気がする。
そのいったんの集大成は9月のミニアルバムと10月の野音で見れることになるはずだが、あえてフリーライブにしたのは、興行的に普通に料金払ってチケット買うというシステムだと埋まらないという理由もあってのことだろう。
現にこの日もリキッドルームのキャパでソールドアウトまではまだまだ、という感じであったために、フリーライブをきっかけに少しでも多くの人がこの2人の音楽に出会うことを願ってやまない。
1.世界
2.バッドエンドの続きを
3.ヨーグルト・ホリック
4.未成年
5.マゼンタ
6.春の雨
7.君はまだ知らない
8.流星 (吉田拓郎のカバー)
9.copy
10.その日がきたら
11.嘘ツキ
12.振り出しに戻る
13.tonight
14.ニュートンの林檎
15.マネキン
16.プラスチック・メトロ
17.青い夜更け
encore
18.ドライアイス
19.Vanilla
世界
http://youtu.be/R_e7u5pkvH4
Next→ 6/20 SATANIC CARNIVAL @幕張メッセ

ここ最近はワンマンが他のライブとかぶったり、チケット取ってたのに行くの忘れたり(去年の夏のGRAPEVINEとのツーマン)していただけに、ライブを見るのは実に久々。
しかし、どうやらこの日は「大切なお知らせ」という、ちょっと聞くのが怖い発表もあるそうで…。
会場BGMとしてGOING STEADY「銀河鉄道の夜」が流れてビックリしたりする中、19時過ぎ、静閑なインストのサウンドがSEとして流れると、もはやおなじみのドラム・中畑大樹(Syrup16g)を中心とする、ギターとベースを含めた3人のバックバンドと、ハルカトミユキの2人が登場。
ハルカは「世界」のジャケットと同様の金髪ベリーショートという髪型に赤いドレス、ミユキはまさかのモヒカンという気合いの入りぶり。SEに乗せてハルカがしばらく声を出していると、「世界」の開放的なポップサウンドで幕開け。しかし「バッドエンドの続きを」は、同じ「世界」に収録されてこそいるが、こちらはこれまでのハルカトミユキの持ち味とも言える、絶望感溢れるノイジーなギターロック。
「世界ツアーというタイトルなんですけど、大阪と東京の2箇所だけです。いつかは世界のいろんな場所でやりたいよねぇ?」
とミユキが問うも、チューニングに集中しており、ハルカは全く話を聞いていない(笑)
そんなこともありつつ、「小学生の頃から生きづらさを感じてきた」というハルカの心情を歌った「未成年」からはハルカがアコギに持ち替える。かつてデモCDに収録され、今回「世界」で長い年月を経てようやく陽の目を見ることになった「マゼンタ」と、美しいメロディーがアコギの旋律により際立つ。
ミユキがカート・コバーンの自伝映画を公開前にもかかわらず見に行った、という話もしつつ(ただ、カートの顔が大好きな、顔ファンとのこと)、5月の新曲「春の雨」。ハルカがハンドマイクで歌い、ミユキのシンセのサウンドを前面に押し出した、エレポップ曲。「世界」の曲とはまた全く違うタイプの曲であり、今後のさらなる展開にも期待が高まる。
「屋上のすみ タバコの煙吐いた」
「桜散る、校舎の裏」
と、詩人でもあるハルカの真骨頂とも言える情景が浮かんでくるような歌詞の「君はまだ知らない」を終えると、バックバンドのメンバーがいったん捌け、ハルカトミユキの2人だけに。すると、ハルカが
「プライドというのは時として生きていくのに邪魔になる」
という旨の話をしてから、大好きな曲だという吉田拓郎の「流星」を弾き語り。ここ最近、ハルカの歌唱はデビュー当初より格段に上手くなっているが、この曲もカバーではあれど、吉田拓郎の影は全く見えず、ハルカのオリジナルのようにすら聞こえる。かつての不安定だった部分もあった歌唱は全く顔を出さない。
さらにこの日、入場時に配られた6月の新曲「copy」を2人だけで演奏。本来はバンドサウンドであるらしいが、2人だけで演奏することによって、「人とコミュニケーションを取るのが苦手な人(それはハルカトミユキの2人のことでもある)のラブソング」というこの曲の歌詞をじっくりと堪能できる。果たしてバンドではどのようなアレンジになるのだろうか。
ミユキがそのモヒカンヘアの両サイドを観客にしっかり見せたりしつつ、後半はハルカがハンドマイクで跳ねたり踊ったりしながら歌う「嘘ツキ」から、強力なバックバンドのバンドサウンドがさらに熱を帯びていく。
ミユキのシンセがスペーシーな雰囲気を醸し出す「tonight」ではハルカのコーラスに合わせて観客、さらには中畑までもがコーラスに参加。ライブでおなじみの「ニュートンの林檎」、シューゲイズギターとグロテスクな歌詞がマッチングする「マネキン」、ハルカが客席を指差して「女、男、男、男、男、女…」と言ってから演奏された「プラスチック・メトロ」と、熱狂を巻き起こして、本人もあっという間というラストは、「青い夜更け」。
「ラララ 声を聞かせて」
という歌詞に呼応するかのように、ハルカが客席にマイクを向けると、「ラララ」のフレーズでは合唱が巻き起こった。
アンコールを待つ手拍子が響く中、会場下手のスクリーンに、ハルカトミユキの2人が楽屋から出てくる映像が映し出される。歩きながら、
「ひとりぼっちの私、ハルカと、もっとひとりぼっちだったミユキの2人で始まった私たちのハルカトミユキですが、そんなひとりぼっちのたくさん集まるお祭りをやりたいと思いました。それも、星空の下で!」
とハルカが話し始めた、大切なお知らせの内容は、10月3日に日比谷野音でフリーワンマンライブが行なわれるというもの。
近年、いろんなバンドが解散や活動休止を発表しているので、嫌な予感しかしていなかったが、これにはいい方向に裏切られた。
ステージにはVTR同様にツアーTシャツに着替えた2人とサポートメンバーが登場し、その野音ワンマンに向けた意気込みとともに、9月に新たなミニアルバムをリリースすることも発表。
「ミユキが好きなカート・コバーンのように、錆びて色あせていくくらいならいっそ燃え尽きたほうがいい、っていうつもりでやります」
とハルカは言ったが、ミユキは「顔ファンだから」という理由で、そのカートの名言を知らなかったらしい(笑)
そして「大切な曲」という、「ドライアイス」、さらに「Vanilla」の、初期の代表曲2曲を、野音での再会を約束するように鳴らした。
「嘘ツキ」でのハルカの跳ねたり踊ったりという、これまでには考えられなかったようなパフォーマンスは、「世界」がこれまでで最も開放感を感じる内容の作品であることと無関係ではないだろう。
まだ過渡期感すらあるが、絶望と孤独を歌ってきた、世の中や社会に迎合できずに生きてきた2人がこれから鳴らす音楽はさらに開放的になっていく気がする。
そのいったんの集大成は9月のミニアルバムと10月の野音で見れることになるはずだが、あえてフリーライブにしたのは、興行的に普通に料金払ってチケット買うというシステムだと埋まらないという理由もあってのことだろう。
現にこの日もリキッドルームのキャパでソールドアウトまではまだまだ、という感じであったために、フリーライブをきっかけに少しでも多くの人がこの2人の音楽に出会うことを願ってやまない。
1.世界
2.バッドエンドの続きを
3.ヨーグルト・ホリック
4.未成年
5.マゼンタ
6.春の雨
7.君はまだ知らない
8.流星 (吉田拓郎のカバー)
9.copy
10.その日がきたら
11.嘘ツキ
12.振り出しに戻る
13.tonight
14.ニュートンの林檎
15.マネキン
16.プラスチック・メトロ
17.青い夜更け
encore
18.ドライアイス
19.Vanilla
世界
http://youtu.be/R_e7u5pkvH4
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