クリープハイプ 「一つじゃつまらないから、せめて二つくらいやろう 後編」 @NHKホール 5/8
- 2015/05/08
- 23:34
1月のZepp Tokyoでのライブハウスツアーに続き、ホールツアーの一応のファイナル(翌週に日比谷野音での追加公演も決定)となる、NHKホールでの2daysの2日目。
昨年リリースのアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」のリリースツアーであるが、今週、ニューシングル「愛の点滅」もリリースしたばかりであり、ライブハウスツアーとは違った内容になるだろうと期待が高まる。
19時過ぎ、会場が暗転すると、ステージ前に張られた沙幕に、カオナシのシルエットが映り、あのベースのイントロが聞こえてくる。沙幕が落ちるとメンバー全員がすでに演奏している、いきなりの「HE IS MINE」という先制攻撃。
「出会っていきなりこんなこと言うのもなんですが…」
と、ライブ開始早々、
「セックスしよう!」
の大合唱が響き渡る。
「リグレット」、尾崎とカオナシのデュエット曲「そういえば今日から化け物になった」、「2LDK」と、新旧のソリッドなギターロック曲が並んだ序盤から、ツアーを経てきたことにより、バンドの演奏は実に漲っている。しかし、尾崎のボーカルは少々物足りなさを感じる。ここ最近、ツアーの東京公演はほぼ2daysなので、連日のライブだからというのは慣れているはずなのでマイナスにはならないと思うのだが。
そんな中、最初のMCでは、その昨日の初日を終えた後のことを語り始める。
「昨日ライブ終わって、打ち上げもせずに帰って、オリジン弁当買ったら、豚汁に肉が全然入ってなくて(笑)
そのあと風呂入る時に、ジャイアンの入浴剤を使ったら、風呂で死んだ人みたいに、風呂のお湯が真っ赤に染まっていって(笑)
だからもう風呂で死んだ人の真似をしたりしてたんだけど、誰も見るわけもなく、俺は何のためにこんなことをしてるんだろうと思ったりもしたんですが、今日最高のライブをするためですよ」
と、しっかりと上手く着地をすると、尾崎がアコギに持ち替え、聴かせる曲を続ける。
ここは比較的近年の曲が続いたのだが、かつては尾崎が描く、主人公がいて…という俯瞰の物語的な曲ではなく、日常感を感じる曲たち。メンバーの後ろには、派手ではないが曲のイメージに見合った映像も流れている。
「ここでいつもエロい話をしてたんだけど、昨日、中学生の時に父親のAVを見ていた、っていう話を、父親が見にきてる前でして。そしたら父親から、「MCが良かったです」っていうLINEが来てました(笑)
ちなみに今日は母親が来ていますが、その頃見ていた父親のAVは、飯島愛のものでした(笑)」
というMCに続くのはもちろん「エロ」。
そこから手拍子が響く四つ打ちの「オレンジ」、アルバムタイトルが歌詞に入っている、どこか牧歌的な印象を感じる「大丈夫」、いよいよ来る夏に思いを馳せざるを得ない「憂、燦々」と実にテンポ良く曲が続いていく。去年のホールツアーや武道館の時とは違い、派手な演出などは全くなく、ひたすら曲を聴かせるというスタイル。尾崎が何度も
「一生懸命歌います」
と言っていたのもそういうことだろう。
「ラブホテル」では最後のサビ前のブレイクでいったん演奏を止めると、観客から様々な歓声が上がり、
「一発やらせてー!」
という女性の声に対し尾崎が、
「女の子がそんなこと言うもんじゃありません!そういうのは男が言うんだ!」
と言うと、ギターの小川に「言え」とばかりに耳打ちすると、オフマイクで、
「一発やらせて!」
と叫び、なぜか大歓声。尾崎がそれを聞いて笑いをこらえながら、
「普段滅多に喋らない小川君が喋ったのは…」
と言ってから、
「夏のせい 夏のせい」
と歌いだす。この流れを最初から決めてやってないとしたら、実に尾崎は機転が利く。
一転しておどろおどろしいサウンドの「火まつり」ではカオナシがメインボーカルを務め、爽やかなサウンドの「チロルとポルノ」につながるという、実に幅広い選曲。
そして終盤は「寝癖」からライブにおけるキラーチューンを連発したのだが、その中に
「物事が古くなっていくのは普通は良くない意味だと思うんだけど、曲が古くなっていくってことはみんなが聴いて共有してくれるってことだから悪いことじゃないな、と。だからこの曲もそうなればいいなと思います」
と、リリースされたばかりの最新シングル「愛の点滅」も披露される。メンバーの後ろにある照明が、タイトルのとおりに信号のごとくに、青、赤、黄色と並ぶのはホールならではの演出だろうか。
「社会の窓と同じ構成」「社会の窓」という、最近ではすっかりおなじみとなった、クリープハイプの「毒」の要素を感じさせるコンボから、ラストは
「いつまでこの場所、この状況が続くかなっていつも思ってて。昔は客が全然いなかったから、何にも考えないでライブやってたんだけど、今はこうしてでかいところでやれて、たくさんの人が見にきてくれるから、いろんなことを考えてしまうんですよ。
その頃からやっていた、昔の日記を読まれるような恥ずかしい気分になる曲を」
という尾崎のMCからの「ねがいり」。このMC、最近のインタビューなどで尾崎がよく言っているように、アルバムが思ったほどの売り上げを残せなかったからこそきているものだろう。(それでもオリコンTOP10には入っているし、他のバンドよりははるかに売れているのだが)
確かに、アルバムはそこまでファンに評判が良いとは言えないが、本人がそれを理解しているだけに、今後どんな作品を作っていくのかが楽しみでもあり、気になるところでもある。
すぐさまアンコールでメンバーが再び登場すると、爽やかなラブソング「ボーイズENDガールズ」から、シングルの3種類あるうちの「青盤」に収録されている、カオナシボーカルの「空色申告」。演奏前にカオナシがたどたどしいMCをしたのだが、尾崎いわく
「すべて緻密な計算のもとに作られているキャラ」
ということらしい。犬目線の語りの部分では、「NHKホール」という単語も使い、大きな歓声が上がる。
カオナシのボーカル曲は、本人の資質というか世界観的にクセのある曲が多いが、この曲が実に爽やかな曲になっているのは、本人ではなく尾崎が作った曲をカオナシが歌う、というスタイルだからだろうか。
そして観客の「ありがとう!」という歓声に再び小川がオフマイクで
「どういたしまして!」
と叫び、尾崎がまたしても笑いをこらえながら、タイトル通りに観客への感謝を告げる「さっきはごめんね、ありがとう」で客席が明るく照らされ、一気に親密な空気に包まれて終了した。
これまでに様々な演出などで観客を驚かせたり楽しませてきたクリープハイプだが、この日は本当に曲の良さをひたすら一生懸命歌って演奏することで伝える、というものだった。
これからはこのスタイルでいくのか、またなにか驚くようなことを企んでいるのかはわからないが、このバンドには名曲が本当にたくさんあるというのはこうしてライブに来ている人はみんなわかっている。
1.HE IS MINE
2.リグレット
3.そういえば今日から化け物になった
4.2LDK
5.本当
6.喋る
7.のっぺらぼう
8.ヒッカキキズ
9.エロ
10.オレンジ
11.大丈夫
12.憂、燦々
13.ラブホテル
14.火まつり
15.チロルとポルノ
16.寝癖
17.愛の点滅
18.百八円の恋
19.社会の窓と同じ構成
20.社会の窓
21.ねがいり
encore
22.ボーイズENDガールズ
23.空色申告
24.さっきはごめんね、ありがとう
愛の点滅
http://youtu.be/9MCfLNP100E
Next→ 5/20 LAMA × bonobos @渋谷WWW
昨年リリースのアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」のリリースツアーであるが、今週、ニューシングル「愛の点滅」もリリースしたばかりであり、ライブハウスツアーとは違った内容になるだろうと期待が高まる。
19時過ぎ、会場が暗転すると、ステージ前に張られた沙幕に、カオナシのシルエットが映り、あのベースのイントロが聞こえてくる。沙幕が落ちるとメンバー全員がすでに演奏している、いきなりの「HE IS MINE」という先制攻撃。
「出会っていきなりこんなこと言うのもなんですが…」
と、ライブ開始早々、
「セックスしよう!」
の大合唱が響き渡る。
「リグレット」、尾崎とカオナシのデュエット曲「そういえば今日から化け物になった」、「2LDK」と、新旧のソリッドなギターロック曲が並んだ序盤から、ツアーを経てきたことにより、バンドの演奏は実に漲っている。しかし、尾崎のボーカルは少々物足りなさを感じる。ここ最近、ツアーの東京公演はほぼ2daysなので、連日のライブだからというのは慣れているはずなのでマイナスにはならないと思うのだが。
そんな中、最初のMCでは、その昨日の初日を終えた後のことを語り始める。
「昨日ライブ終わって、打ち上げもせずに帰って、オリジン弁当買ったら、豚汁に肉が全然入ってなくて(笑)
そのあと風呂入る時に、ジャイアンの入浴剤を使ったら、風呂で死んだ人みたいに、風呂のお湯が真っ赤に染まっていって(笑)
だからもう風呂で死んだ人の真似をしたりしてたんだけど、誰も見るわけもなく、俺は何のためにこんなことをしてるんだろうと思ったりもしたんですが、今日最高のライブをするためですよ」
と、しっかりと上手く着地をすると、尾崎がアコギに持ち替え、聴かせる曲を続ける。
ここは比較的近年の曲が続いたのだが、かつては尾崎が描く、主人公がいて…という俯瞰の物語的な曲ではなく、日常感を感じる曲たち。メンバーの後ろには、派手ではないが曲のイメージに見合った映像も流れている。
「ここでいつもエロい話をしてたんだけど、昨日、中学生の時に父親のAVを見ていた、っていう話を、父親が見にきてる前でして。そしたら父親から、「MCが良かったです」っていうLINEが来てました(笑)
ちなみに今日は母親が来ていますが、その頃見ていた父親のAVは、飯島愛のものでした(笑)」
というMCに続くのはもちろん「エロ」。
そこから手拍子が響く四つ打ちの「オレンジ」、アルバムタイトルが歌詞に入っている、どこか牧歌的な印象を感じる「大丈夫」、いよいよ来る夏に思いを馳せざるを得ない「憂、燦々」と実にテンポ良く曲が続いていく。去年のホールツアーや武道館の時とは違い、派手な演出などは全くなく、ひたすら曲を聴かせるというスタイル。尾崎が何度も
「一生懸命歌います」
と言っていたのもそういうことだろう。
「ラブホテル」では最後のサビ前のブレイクでいったん演奏を止めると、観客から様々な歓声が上がり、
「一発やらせてー!」
という女性の声に対し尾崎が、
「女の子がそんなこと言うもんじゃありません!そういうのは男が言うんだ!」
と言うと、ギターの小川に「言え」とばかりに耳打ちすると、オフマイクで、
「一発やらせて!」
と叫び、なぜか大歓声。尾崎がそれを聞いて笑いをこらえながら、
「普段滅多に喋らない小川君が喋ったのは…」
と言ってから、
「夏のせい 夏のせい」
と歌いだす。この流れを最初から決めてやってないとしたら、実に尾崎は機転が利く。
一転しておどろおどろしいサウンドの「火まつり」ではカオナシがメインボーカルを務め、爽やかなサウンドの「チロルとポルノ」につながるという、実に幅広い選曲。
そして終盤は「寝癖」からライブにおけるキラーチューンを連発したのだが、その中に
「物事が古くなっていくのは普通は良くない意味だと思うんだけど、曲が古くなっていくってことはみんなが聴いて共有してくれるってことだから悪いことじゃないな、と。だからこの曲もそうなればいいなと思います」
と、リリースされたばかりの最新シングル「愛の点滅」も披露される。メンバーの後ろにある照明が、タイトルのとおりに信号のごとくに、青、赤、黄色と並ぶのはホールならではの演出だろうか。
「社会の窓と同じ構成」「社会の窓」という、最近ではすっかりおなじみとなった、クリープハイプの「毒」の要素を感じさせるコンボから、ラストは
「いつまでこの場所、この状況が続くかなっていつも思ってて。昔は客が全然いなかったから、何にも考えないでライブやってたんだけど、今はこうしてでかいところでやれて、たくさんの人が見にきてくれるから、いろんなことを考えてしまうんですよ。
その頃からやっていた、昔の日記を読まれるような恥ずかしい気分になる曲を」
という尾崎のMCからの「ねがいり」。このMC、最近のインタビューなどで尾崎がよく言っているように、アルバムが思ったほどの売り上げを残せなかったからこそきているものだろう。(それでもオリコンTOP10には入っているし、他のバンドよりははるかに売れているのだが)
確かに、アルバムはそこまでファンに評判が良いとは言えないが、本人がそれを理解しているだけに、今後どんな作品を作っていくのかが楽しみでもあり、気になるところでもある。
すぐさまアンコールでメンバーが再び登場すると、爽やかなラブソング「ボーイズENDガールズ」から、シングルの3種類あるうちの「青盤」に収録されている、カオナシボーカルの「空色申告」。演奏前にカオナシがたどたどしいMCをしたのだが、尾崎いわく
「すべて緻密な計算のもとに作られているキャラ」
ということらしい。犬目線の語りの部分では、「NHKホール」という単語も使い、大きな歓声が上がる。
カオナシのボーカル曲は、本人の資質というか世界観的にクセのある曲が多いが、この曲が実に爽やかな曲になっているのは、本人ではなく尾崎が作った曲をカオナシが歌う、というスタイルだからだろうか。
そして観客の「ありがとう!」という歓声に再び小川がオフマイクで
「どういたしまして!」
と叫び、尾崎がまたしても笑いをこらえながら、タイトル通りに観客への感謝を告げる「さっきはごめんね、ありがとう」で客席が明るく照らされ、一気に親密な空気に包まれて終了した。
これまでに様々な演出などで観客を驚かせたり楽しませてきたクリープハイプだが、この日は本当に曲の良さをひたすら一生懸命歌って演奏することで伝える、というものだった。
これからはこのスタイルでいくのか、またなにか驚くようなことを企んでいるのかはわからないが、このバンドには名曲が本当にたくさんあるというのはこうしてライブに来ている人はみんなわかっている。
1.HE IS MINE
2.リグレット
3.そういえば今日から化け物になった
4.2LDK
5.本当
6.喋る
7.のっぺらぼう
8.ヒッカキキズ
9.エロ
10.オレンジ
11.大丈夫
12.憂、燦々
13.ラブホテル
14.火まつり
15.チロルとポルノ
16.寝癖
17.愛の点滅
18.百八円の恋
19.社会の窓と同じ構成
20.社会の窓
21.ねがいり
encore
22.ボーイズENDガールズ
23.空色申告
24.さっきはごめんね、ありがとう
愛の点滅
http://youtu.be/9MCfLNP100E
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