くるり 20th ANNIVERSARY 「NOW AND THEN」 @渋谷公会堂 4/28
- 2015/04/29
- 00:25
1990年代後半から現在にかけて、常に独自のオルタナティヴなロックを鳴らし、多数のメンバーの入れ替わりを経ながら20年を迎えた、くるり。その20年を記念して、1stアルバム「さよならストレンジャー」と2ndアルバム「図鑑」の全曲再現ライブを開催。
この日は渋谷公会堂で2days開催されるうちの2日目。平日で18:30スタートという設定だからか、ソールドアウトこそしているが、客席には空席もちらほら見える。始まってから徐々に空席はなくなってきたが。
18:30ちょうどくらいになると場内が暗転し、岸田繁、佐藤征史とサポートメンバーの松本大樹(ギター)、mabanua(ドラム)の4人がステージに登場。トランペットのファンファンはおめでたのため、今回のライブは不参加。会場で物販の説明などはしていたらしいが。
4人という、シンプルな編成の人数にもかかわらず、ステージ上にはシンセなども置かれ、やたらと機材が多い中、佐藤がウッドベースを弾き、それとドラムというシンプルなサウンドの「ランチ」からスタート。
1stアルバム「さよならストレンジャー」の1曲目に入ってる曲である。ということは、この日は再現ライブであるからして、アルバムの収録曲順通りに演奏するということ。
なのでいきなり次に「虹」が演奏され、蒼さと衝動を感じる「オールドタイマー」では岸田が動き回り、さらにジャンプを決めまくるというアクティブさを見せる。
しかし演奏後に息を切らしながら、
「飛ばし過ぎた…(笑)
昨日、39歳になったんやけど、ヤバイね。駅でクサイおっさんの匂いがすると思ったら俺かもしれん(笑)」
と、挨拶代わりにしゃべると、アルバムのタイトル曲「さよならストレンジャー」を演奏し、ステージには巨大なグロッケンが運び込まれる。
その前に岸田と佐藤が移動すると、岸田がおもむろにスポーツ新聞を広げ、
「阪神・西岡、男気の強行出場。最初ロッテにいた奴や。アメリカに行ったのはなかったことになってる(笑)
俺が前に広島で始球式やった時、当時の小早川コーチが、岸田君!西岡の足に当てろ!、って言ってきた(笑)」
と、野球オタクらしく野球の記事を読んで自身の体験を交えて笑いを取る。
佐藤がグロッケンを叩き始めると、岸田はそのスポーツ新聞をマイクの前でビリビリと破く。アルバムの中のインタールード的な「ハワイ・サーティーン」だが、佐藤が「余興」と言ったように、再現ライブでもこういう、曲と言っていいのかわからないような曲は演奏されないことが多い(というか演奏しようがない)が、これはまさに完全再現である。
そんな流れのあとに、おなじみのギターのストロークからの「東京」。この曲がこんな序盤にいきなり演奏されるのもこういう企画的なライブならでは。松本のハードロックなギターの音は、何度となく聴いてきたこの名曲の新たな姿を見せてくれる。
「ハワイ・サーティーン」以上に曲らしくない「葡萄園」も演奏され(と言っても、再現ライブ以外でいきなりこれを演奏されても絶対わからない)、岸田と佐藤にの2人によるアコースティック的な「りんご飴」から、「さよならストレンジャー」は終幕へ向かっていく。序盤こそ岸田のトークもちょこちょこあったが、中盤以降はアルバムの流れに浸れるようにほぼノンストップであった。
全12曲を終えると、
「やりましたねぇ。我々、「葡萄園」をやりましたよ(笑)」
と「さよならストレンジャー」を振り返りつつ、この日はステージにはいないファンファンのボイスサンプリングを流してから、ゲストとしておなじみの権藤知彦を招き、いよいよ後半、2ndアルバム「図鑑」の再現へ。
「虹」のイントロがいきなりグニャッと潰れるかのような、まさにタイトルそのままの「イントロ」から、「マーチ」「青い空」と、ギターロックバンドとしてのくるりな2曲が続き、会場も熱気を増していく。
イントロで意外な歓声が起こった(人気曲だったんだろうか?)インスト曲「惑星づくり」では権藤の管楽器が大きくフィーチャーされる。ちなみに権藤はこの「図鑑」のパートで、トランペット、ユーフォニウム、フリューゲルホルン、ディジリドゥなどを自在に吹きこなすという活躍を見せる。
中盤は、現在に至るまでに連なる、くるりの実験性を感じさせる曲も多い中、岸田以外の4人が全員ステージ上に座り、岸田が鍵盤の弾き語りで歌う「ピアノガール」のシンプルな名曲ぶりが際立つ。普段のライブでやることはまずない曲なだけに、これは非常に良い再評価の機会。
岸田の絶唱による「街」をこの日もとんでもなくエモーショナルに鳴らすと、「ロシアのルーレット」では静と動の転調が繰り返し行われ、突如として曲が終わるという不思議な構成に、
「例えば「Remember me」とか「奇跡」とか「ばらの花」でファンになった人がこれ聴いたらビックリするよな(笑)」
と岸田が言うほど。
そして当時佐藤が作った3曲を無理矢理1曲にまとめたという「ホームラン」(確かにメロとサビが急変し過ぎる)、メンバー各々が楽器を変えながら長尺のセッションに展開した「ガロン」、そして権藤が叙情的な旋律を奏でる「宿はなし」で「図鑑」も全曲やり切り、万雷の拍手の中、メンバーはステージから去って行った。
再現ライブの特性上、アンコールで何をやるのか、というかそもそもアンコールをやるのかという感じすらするが、権藤以外の4人が登場すると、
「ばらの花とか、練習してないからできへん。曲がもうないんですよ。だから、まだ発表されてない新曲を」
と言って披露されたのは、新曲「その線は水平線」。先ほど話に出ていた「Remember me」や「奇跡」を思わせるような美しいメロディーのこの曲で、1stと2ndの「THEN」と、この新曲での「NOW」の両面をしっかりと見せ、最後は権藤も呼び込んでメンバー5人で写真を撮って終了。
今回は1stと2ndだったが、この先、他のアルバムの再現ライブもやることになるんだろうか。もしやるんならば、本人たちも、
「TEAM ROCKの曲なんか、アルバム出た時のツアーの時ですらやってない(笑)」
と言っていた、「TEAM ROCK」の再現ライブが是非見てみたい。
リアルタイムではその当時のライブは見れていないし、当時とメンバーも違うだけに、リアルタイムで見ていた人ほどの感動は得られないかもしれない。だけど、メンバーも曲に対する理解度も違えど、ずっとライブで聴いてみたかった曲をこうして聴ける機会があるのは本当に嬉しいこと。ある程度のキャリアがあるバンドはみんなやればいいのに。
1.ランチ
2.虹
3.オールドタイマー
4.さよならストレンジャー
5.ハワイ・サーティーン
6.東京
7.トランスファー
8.葡萄園
9.7月の夜
10.りんご飴
11.傘
12.ブルース
13.イントロ
14.マーチ
15.青い空
16.ミレニアム
17.惑星づくり
18.窓
19.チアノーゼ
20.ピアノガール
21.ABULA
22.屏風浦
23.街
24.ロシアのルーレット
25.ホームラン
26.ガロン
27.宿はなし
encore
28.その線は水平線 (新曲)
東京
http://youtu.be/9osrk5jXCUY
Next→ 5/2 Large House Satisfaction × THE PINBALLS @渋谷STAR LOUNGE
この日は渋谷公会堂で2days開催されるうちの2日目。平日で18:30スタートという設定だからか、ソールドアウトこそしているが、客席には空席もちらほら見える。始まってから徐々に空席はなくなってきたが。
18:30ちょうどくらいになると場内が暗転し、岸田繁、佐藤征史とサポートメンバーの松本大樹(ギター)、mabanua(ドラム)の4人がステージに登場。トランペットのファンファンはおめでたのため、今回のライブは不参加。会場で物販の説明などはしていたらしいが。
4人という、シンプルな編成の人数にもかかわらず、ステージ上にはシンセなども置かれ、やたらと機材が多い中、佐藤がウッドベースを弾き、それとドラムというシンプルなサウンドの「ランチ」からスタート。
1stアルバム「さよならストレンジャー」の1曲目に入ってる曲である。ということは、この日は再現ライブであるからして、アルバムの収録曲順通りに演奏するということ。
なのでいきなり次に「虹」が演奏され、蒼さと衝動を感じる「オールドタイマー」では岸田が動き回り、さらにジャンプを決めまくるというアクティブさを見せる。
しかし演奏後に息を切らしながら、
「飛ばし過ぎた…(笑)
昨日、39歳になったんやけど、ヤバイね。駅でクサイおっさんの匂いがすると思ったら俺かもしれん(笑)」
と、挨拶代わりにしゃべると、アルバムのタイトル曲「さよならストレンジャー」を演奏し、ステージには巨大なグロッケンが運び込まれる。
その前に岸田と佐藤が移動すると、岸田がおもむろにスポーツ新聞を広げ、
「阪神・西岡、男気の強行出場。最初ロッテにいた奴や。アメリカに行ったのはなかったことになってる(笑)
俺が前に広島で始球式やった時、当時の小早川コーチが、岸田君!西岡の足に当てろ!、って言ってきた(笑)」
と、野球オタクらしく野球の記事を読んで自身の体験を交えて笑いを取る。
佐藤がグロッケンを叩き始めると、岸田はそのスポーツ新聞をマイクの前でビリビリと破く。アルバムの中のインタールード的な「ハワイ・サーティーン」だが、佐藤が「余興」と言ったように、再現ライブでもこういう、曲と言っていいのかわからないような曲は演奏されないことが多い(というか演奏しようがない)が、これはまさに完全再現である。
そんな流れのあとに、おなじみのギターのストロークからの「東京」。この曲がこんな序盤にいきなり演奏されるのもこういう企画的なライブならでは。松本のハードロックなギターの音は、何度となく聴いてきたこの名曲の新たな姿を見せてくれる。
「ハワイ・サーティーン」以上に曲らしくない「葡萄園」も演奏され(と言っても、再現ライブ以外でいきなりこれを演奏されても絶対わからない)、岸田と佐藤にの2人によるアコースティック的な「りんご飴」から、「さよならストレンジャー」は終幕へ向かっていく。序盤こそ岸田のトークもちょこちょこあったが、中盤以降はアルバムの流れに浸れるようにほぼノンストップであった。
全12曲を終えると、
「やりましたねぇ。我々、「葡萄園」をやりましたよ(笑)」
と「さよならストレンジャー」を振り返りつつ、この日はステージにはいないファンファンのボイスサンプリングを流してから、ゲストとしておなじみの権藤知彦を招き、いよいよ後半、2ndアルバム「図鑑」の再現へ。
「虹」のイントロがいきなりグニャッと潰れるかのような、まさにタイトルそのままの「イントロ」から、「マーチ」「青い空」と、ギターロックバンドとしてのくるりな2曲が続き、会場も熱気を増していく。
イントロで意外な歓声が起こった(人気曲だったんだろうか?)インスト曲「惑星づくり」では権藤の管楽器が大きくフィーチャーされる。ちなみに権藤はこの「図鑑」のパートで、トランペット、ユーフォニウム、フリューゲルホルン、ディジリドゥなどを自在に吹きこなすという活躍を見せる。
中盤は、現在に至るまでに連なる、くるりの実験性を感じさせる曲も多い中、岸田以外の4人が全員ステージ上に座り、岸田が鍵盤の弾き語りで歌う「ピアノガール」のシンプルな名曲ぶりが際立つ。普段のライブでやることはまずない曲なだけに、これは非常に良い再評価の機会。
岸田の絶唱による「街」をこの日もとんでもなくエモーショナルに鳴らすと、「ロシアのルーレット」では静と動の転調が繰り返し行われ、突如として曲が終わるという不思議な構成に、
「例えば「Remember me」とか「奇跡」とか「ばらの花」でファンになった人がこれ聴いたらビックリするよな(笑)」
と岸田が言うほど。
そして当時佐藤が作った3曲を無理矢理1曲にまとめたという「ホームラン」(確かにメロとサビが急変し過ぎる)、メンバー各々が楽器を変えながら長尺のセッションに展開した「ガロン」、そして権藤が叙情的な旋律を奏でる「宿はなし」で「図鑑」も全曲やり切り、万雷の拍手の中、メンバーはステージから去って行った。
再現ライブの特性上、アンコールで何をやるのか、というかそもそもアンコールをやるのかという感じすらするが、権藤以外の4人が登場すると、
「ばらの花とか、練習してないからできへん。曲がもうないんですよ。だから、まだ発表されてない新曲を」
と言って披露されたのは、新曲「その線は水平線」。先ほど話に出ていた「Remember me」や「奇跡」を思わせるような美しいメロディーのこの曲で、1stと2ndの「THEN」と、この新曲での「NOW」の両面をしっかりと見せ、最後は権藤も呼び込んでメンバー5人で写真を撮って終了。
今回は1stと2ndだったが、この先、他のアルバムの再現ライブもやることになるんだろうか。もしやるんならば、本人たちも、
「TEAM ROCKの曲なんか、アルバム出た時のツアーの時ですらやってない(笑)」
と言っていた、「TEAM ROCK」の再現ライブが是非見てみたい。
リアルタイムではその当時のライブは見れていないし、当時とメンバーも違うだけに、リアルタイムで見ていた人ほどの感動は得られないかもしれない。だけど、メンバーも曲に対する理解度も違えど、ずっとライブで聴いてみたかった曲をこうして聴ける機会があるのは本当に嬉しいこと。ある程度のキャリアがあるバンドはみんなやればいいのに。
1.ランチ
2.虹
3.オールドタイマー
4.さよならストレンジャー
5.ハワイ・サーティーン
6.東京
7.トランスファー
8.葡萄園
9.7月の夜
10.りんご飴
11.傘
12.ブルース
13.イントロ
14.マーチ
15.青い空
16.ミレニアム
17.惑星づくり
18.窓
19.チアノーゼ
20.ピアノガール
21.ABULA
22.屏風浦
23.街
24.ロシアのルーレット
25.ホームラン
26.ガロン
27.宿はなし
encore
28.その線は水平線 (新曲)
東京
http://youtu.be/9osrk5jXCUY
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米津玄師 2015 TOUR / 花ゆり落ちる @TSUTAYA O-EAST 4/27