Suck a Stew Dry 春のモラトリアムまつり @渋谷CLUB QUATTRO 4/12
- 2015/04/12
- 22:25
猫を使ったバンドの可愛いキャラクターと、ボーカル・シノヤマコウセイの綴る徹底的に暗い歌詞、さらには「エゴサーチ王子」とも評される、Twitter上の地道な宣伝活動などで人気を獲得している5人組バンド、Suck a Stew Dry。
去年のポップに開けた一大変化アルバム「ジブンセンキ」に続いて早くも今年リリースされたシングル「モラトリアムスパイラル」を携えてのツアーファイナルであるこの日の渋谷QUATTROワンマンはソールドアウトと、バンドの期待度の高さが伺える。
17時過ぎ、場内が暗転すると、メガネにベレー帽と蝶ネクタイという漫画家のようなハジオキクチ(ギター)が先頭で手を叩きながら登場し、続いて他のメンバーも登場。
最後に登場したシノヤマ(ボーカル&ギター)が大きく両手を広げると、「ジブンセンキ」のリードシングル「世界に一人ぼっち」からスタート。シノヤマ、キクチ、金髪ギタリスト・フセによるトリプルギターは音の厚みを感じる。
シノヤマがアコギに持ち替えての軽快なリズムとポップなメロディに相反するような歌詞の「アイドントラブユー」、この日山の手線と京浜東北線が止まったことについて、
「Stewのライブの日に線路の支柱が倒れて電車が止まるっていうね」
と、実に上手いことをフセが挨拶代わりに言ってからの(Twitterで誰かが言ってたのをそのままパクったらしい)「ユーズドクロージング」、スダっちことスダユウキ(ベース)と、チカちゃんことイタバシヒロチカ(ドラム)がモータウンのようなリズムを生み出す「八月のサリー」と、序盤は「ジブンセンキ」の曲が続いたのだが、イメージよりもはるかに盛り上がっている。もっと棒立ちで聴きいるようなスタイルになるのかと思っていたが、ガンガン腕も上がるし、キクチの独特な動きの煽りで、全くズレることがない手拍子にメンバーも思わず笑顔になる。
「モラトリアムスパイラル」のカップリング曲「絶望と希望のシーソーゲーム」ではキクチがギターではなくキーボードを演奏。CDで聴いた限りだと、ライブでどう再現するのかイメージが湧かなかった曲を生で演奏している場面を見れるのは実に嬉しいところ。
「妄想が好きな人にピッタリな曲」
とシノヤマが紹介した「空想少女リリー」、スダのゴリゴリしたベースのイントロが引っ張る「Anti Preasure ~快楽主義者の憂鬱~」は、このバンドの中でも最もラウドなギターロックゾーンで、分厚いサウンドと、確かな技術を持ったメンバーたちによるバンドのグルーヴを堪能できる。
「Suck a Stew Dry、始まってからそろそろ5年になるんですけど、初めてライブやった時は、思ったより人が来てくれたんですね。17人くらい。全員友達でしたけど(笑)
そしたらそこから順調に動員が減り、2011年の12月には動員0人を記録しました(笑)
その頃によくやっていた、バンドの始まりと言っていい曲を」
とシノヤマが過去を振り返ってから演奏したのは、最初期からある「二時二分」。リズムがどこか時計の針の進むように聴こえる、諦念や絶望が漂ってくるサウンドと歌詞。この曲から始まったのだから、「暗い」というイメージが定着するのも無理もないところ。
するとシノヤマが不意に、
「フセ君、コイバナは好きですか?」
とフセに問いかけると、
「俺たちカラオケオール後の朝5時から7時間ずっとマックでコイバナしてて、マックから追い出されたことあるじゃん(笑)」
という大学生時代のエピソードから、
シノヤマ「好きな人とかは今いないんですか?」
フセ「まぁ、好きな人っていうか…僕は先日入籍しましたからね」
という衝撃の告白へ。
シノヤマ「相手はどんな方なんですか?」
フセ「まぁ俺と同じような職種っていうか、この間始まったドラマも主演じゃないけど出てるし、今日も下北沢の劇場で舞台やってるしね。だから女優ですよ。もしかしたら関係者席に来てるかもしれないけど」
と、リアルな情報を挙げていくのだが、
シノヤマ「いやいや、フセ君が結婚できるわけないじゃん!」
ということで、このツアーで毎回行ってきた茶番であった。
ちなみにフセは「長谷川京子さんのような女性に養ってもらいたい」という願望があるらしい。
「そんなコイバナの好きな人たちにピッタリな曲」
と、長い前振りを経ての「こころは愛を探してる」からは、これまでは会場の全方向に向かって演奏していたバンド(フセの正面はクアトロ名物の柱だったのだが、フセは柱にも感謝を告げるくらいに柱をずっと見ながら演奏していたらしい)と、歌っていたシノヤマが、一人一人に向き合って演奏し、歌うバラード曲が続く。
ただ、どれも決して暗い曲ではないのは、「ジブンセンキ」期以降の曲だからか。
一転して軽快な4つ打ちが踊らせる、作詞作曲したキクチのボーカルパートもある「カタカナトーク」では間奏で
「カタカナトークも今や誰のもの?」
というフレーズのコール&レスポンスを展開。メンバー全員が入れ替わりでコールし、男女に分かれてレスポンスさせたりしていたのだが、そこで圧倒的に女子が男子よりも多いというファンの比率が明らかになる。
すると、これまでひたすらにハイテンションなMCを続けてきたフセが急に神妙な面持ちで、
「えー、スダっちことスダユウキが加入して、この5人でのSuck a Stew Dryになってもう2年くらいやってるんですけど、明日、4/13を持ちまして、ベース・スダが…」
と言うと、「まさか…」という、ここまでとは全く違う異様な空気に包まれると、
「加入してからちょうど2年になりまーす!2周年記念日でーす!」
という引っ掛け。これはちょっとマジで最初はビックリした。
そんなこともありつつ、
「働きたくないすべての人へ」
という「Payment」から、ツアータイトルにもなっている最新シングル「モラトリアムスパイラル」では打ち込みも使ってポップなサウンドを響かせ、
「来月、リキッドルームでGOOD ON THE REELとの2マンがあるんですよ。どうやら、GOTRを見たい人がたくさんい過ぎて、チケットが入手困難になっていると。あーご苦労なこって!(笑)
そこで、我々としては我々を見にきてくれる人が少しでも増えるとやりやすくなるかな、ということで物販に若干ではありますが、チケット持ってきてます!
今日チケット買って、当日入る時に、どちらのバンドがお目当てですか?って言われた時に、Suck a Stew Dryです、って言ってくれれば、ああSuckも結構頑張ってるな、って運営の方々も思ってくれるはずなんで(笑)」
と、ここまで何かと笑わせてくれたフセが本編最後のMCで再び笑わせると、
「じゃあ最後にボーカルのシノヤマさんからありがたいお言葉をどうぞ!」
と、実に雑にシノヤマにパスし、
「僕は押し付けがましいのが嫌いなんですよ。頑張れ、とか、絶対また会おうぜ!、とか言われるのが嫌なんで、言いたくもない。
だから、もし生きてたらまた会うこともあると思うんで、またその時に会えたら。そのくらいのバランスでいきましょう」
と締めて、本編最後の曲は、「モラトリアムスパイラル」収録の、シノヤマのボーカルとそれに続くフセとキクチの
「またここで会えるように」
というコーラスが実に最後を飾るに相応しい(というかこの曲は最後以外にやる場所がない気さえする)「さらば素晴らしき日々よ」で終了し、メンバーはいったんステージを去った。
アンコールではシノヤマとフセとスダが黒、キクチとイタバシが白のツアーTシャツに着替えて登場し、「普通とは」というテーマに向き合った「Normalism」、
「君に会えたら もう死にたいな
でもまだ僕は君に会えない」
という歌い出しの「傘」と、ここにきて重い曲を続ける。
そんな重い雰囲気を振り払うかのようにフセがツアーグッズの紹介MCをすると、キーホルダーが入っているガチャガチャ(フセは最初「ガシャガシャ」と言っていたが、シノヤマに「(フセの故郷の)青森にはガチャガチャがないからガシャガシャと言っている、といじられていた)の中に、メンバーのサインが入っている当たりが入っていることと、「春のモラトリアムまつり」の元ネタになっている「ヤマザキ春のパンまつり」にちなんで、この日は大当たりに白い皿(無印良品のものとのこと)にメンバー全員のサインを入れたものがあると告げ、当たった人がいるか聞くも、まだ大当たりは出てないとのこと。(このくだりのフセのノリツッコミも非常に面白かった)
さらに、その大当たりが出た人には、シノヤマが前まで使っていたエフェクターボードにメンバー全員のサインを入れたものと、エフェクターボードの中にはツアーグッズが大量に入っている大盤振る舞いということで、終演後にはガチャガチャは長蛇の列になっていた。
そんなやり取りを経てのラストは、
「僕らの音楽が、社会不適合者の人たちにとってのマリアのような存在になってくれたら嬉しいです」
と、自他ともに認める社会不適合者のシノヤマらしい前振りからの「僕らの自分戦争」。「ジブンセンキ」のリード曲であり、まさに1人で閉じこもっている人が一歩外に踏み出すためのテーマソングのようなポップな曲。
本編ではやっていなかったので、アンコールの最後はこれだろうという、大方の予想通りの締めだった。
しかしそれでも再びアンコールに登場したメンバー。
「まだ僕ら1人1人のことを良く知らない人も多いと思うので」
ということで、メンバーそれぞれが東京公演にちなんで、「東京の好きなところ」を挙げることに。
シノヤマ…母校であり、バンド結成地である東洋大学
フセ…自宅
キクチ…歌舞伎町
イタバシ…お台場海浜公園。夜に砂浜から海と星が見えるから。
スダ…ここにいるみんな!
ということだったのだが、「それよりも好きなキャラクターがいる」というスダが、この日原宿に行って買ったというスティッチとモンチッチの小さいぬいぐるみを取り出して客席に放り投げ、
「スティッチ!モンチッチ!スダっち!」
というコール&レスポンスを展開。ちなみにスダは1人だけ専用のマイクがないので、しゃべる時はフセのマイクを使う。
そしてシノヤマの、本編最後と同じように、「押し付けがましいのが嫌い」ということを話し、
「売れ線の曲やります」
と言い、「遺失物取扱所」。ラストのサビの
「君に会いたくなって痛くて」
の前にシノヤマ、キクチ、フセの3人が「君」である客席に向かって揃って指を差すと、それに合わせて銀テープが炸裂。アウトロでシノヤマがギターを置くと、大きく両手を広げてこの日の最後を締めくくった。
演奏終了後には観客を背に写真撮影をして、春のモラトリアムまつりは終了。
2時間半にも及ぶ、意外な長尺ライブとなったが、終わって最初に出てきた感想は「楽しい」というものだった。それはフセのMCはもちろんだが、「ジブンセンキ」以降の曲のポップさがあってこそ。もはや「暗いバンド」というレッテルは外して見なければならない。今後、このポップさを武器に、さらに大きなステージに進むはず。
「孤独」から始まった音楽がたくさんの人に響くようになる様を見ているのは、実に頼もしい。
モラトリアムスパイラル
http://youtu.be/Jorq82btn4E
1.世界に一人ぼっち
2.アイドントラブユー
3.ユーズドクロージング
4.八月のサリー
5.絶望と希望のシーソーゲーム
6.空想少女リリー
7.Anti Preasure ~快楽主義者の憂鬱~
8.二時二分
9.こころは愛を探してる
10.ヒーロー
11.カラフル
12.カタカナトーク
13.Payment
14.モラトリアムスパイラル
15.さらば素晴らしき日々よ
encore1
16.Normalism
17.傘
18.僕らの自分戦争
encore2
19.遺失物取扱所
Next→ 4/17 フレデリック / 東京カランコロン @渋谷CLUB QUATTRO

去年のポップに開けた一大変化アルバム「ジブンセンキ」に続いて早くも今年リリースされたシングル「モラトリアムスパイラル」を携えてのツアーファイナルであるこの日の渋谷QUATTROワンマンはソールドアウトと、バンドの期待度の高さが伺える。
17時過ぎ、場内が暗転すると、メガネにベレー帽と蝶ネクタイという漫画家のようなハジオキクチ(ギター)が先頭で手を叩きながら登場し、続いて他のメンバーも登場。
最後に登場したシノヤマ(ボーカル&ギター)が大きく両手を広げると、「ジブンセンキ」のリードシングル「世界に一人ぼっち」からスタート。シノヤマ、キクチ、金髪ギタリスト・フセによるトリプルギターは音の厚みを感じる。
シノヤマがアコギに持ち替えての軽快なリズムとポップなメロディに相反するような歌詞の「アイドントラブユー」、この日山の手線と京浜東北線が止まったことについて、
「Stewのライブの日に線路の支柱が倒れて電車が止まるっていうね」
と、実に上手いことをフセが挨拶代わりに言ってからの(Twitterで誰かが言ってたのをそのままパクったらしい)「ユーズドクロージング」、スダっちことスダユウキ(ベース)と、チカちゃんことイタバシヒロチカ(ドラム)がモータウンのようなリズムを生み出す「八月のサリー」と、序盤は「ジブンセンキ」の曲が続いたのだが、イメージよりもはるかに盛り上がっている。もっと棒立ちで聴きいるようなスタイルになるのかと思っていたが、ガンガン腕も上がるし、キクチの独特な動きの煽りで、全くズレることがない手拍子にメンバーも思わず笑顔になる。
「モラトリアムスパイラル」のカップリング曲「絶望と希望のシーソーゲーム」ではキクチがギターではなくキーボードを演奏。CDで聴いた限りだと、ライブでどう再現するのかイメージが湧かなかった曲を生で演奏している場面を見れるのは実に嬉しいところ。
「妄想が好きな人にピッタリな曲」
とシノヤマが紹介した「空想少女リリー」、スダのゴリゴリしたベースのイントロが引っ張る「Anti Preasure ~快楽主義者の憂鬱~」は、このバンドの中でも最もラウドなギターロックゾーンで、分厚いサウンドと、確かな技術を持ったメンバーたちによるバンドのグルーヴを堪能できる。
「Suck a Stew Dry、始まってからそろそろ5年になるんですけど、初めてライブやった時は、思ったより人が来てくれたんですね。17人くらい。全員友達でしたけど(笑)
そしたらそこから順調に動員が減り、2011年の12月には動員0人を記録しました(笑)
その頃によくやっていた、バンドの始まりと言っていい曲を」
とシノヤマが過去を振り返ってから演奏したのは、最初期からある「二時二分」。リズムがどこか時計の針の進むように聴こえる、諦念や絶望が漂ってくるサウンドと歌詞。この曲から始まったのだから、「暗い」というイメージが定着するのも無理もないところ。
するとシノヤマが不意に、
「フセ君、コイバナは好きですか?」
とフセに問いかけると、
「俺たちカラオケオール後の朝5時から7時間ずっとマックでコイバナしてて、マックから追い出されたことあるじゃん(笑)」
という大学生時代のエピソードから、
シノヤマ「好きな人とかは今いないんですか?」
フセ「まぁ、好きな人っていうか…僕は先日入籍しましたからね」
という衝撃の告白へ。
シノヤマ「相手はどんな方なんですか?」
フセ「まぁ俺と同じような職種っていうか、この間始まったドラマも主演じゃないけど出てるし、今日も下北沢の劇場で舞台やってるしね。だから女優ですよ。もしかしたら関係者席に来てるかもしれないけど」
と、リアルな情報を挙げていくのだが、
シノヤマ「いやいや、フセ君が結婚できるわけないじゃん!」
ということで、このツアーで毎回行ってきた茶番であった。
ちなみにフセは「長谷川京子さんのような女性に養ってもらいたい」という願望があるらしい。
「そんなコイバナの好きな人たちにピッタリな曲」
と、長い前振りを経ての「こころは愛を探してる」からは、これまでは会場の全方向に向かって演奏していたバンド(フセの正面はクアトロ名物の柱だったのだが、フセは柱にも感謝を告げるくらいに柱をずっと見ながら演奏していたらしい)と、歌っていたシノヤマが、一人一人に向き合って演奏し、歌うバラード曲が続く。
ただ、どれも決して暗い曲ではないのは、「ジブンセンキ」期以降の曲だからか。
一転して軽快な4つ打ちが踊らせる、作詞作曲したキクチのボーカルパートもある「カタカナトーク」では間奏で
「カタカナトークも今や誰のもの?」
というフレーズのコール&レスポンスを展開。メンバー全員が入れ替わりでコールし、男女に分かれてレスポンスさせたりしていたのだが、そこで圧倒的に女子が男子よりも多いというファンの比率が明らかになる。
すると、これまでひたすらにハイテンションなMCを続けてきたフセが急に神妙な面持ちで、
「えー、スダっちことスダユウキが加入して、この5人でのSuck a Stew Dryになってもう2年くらいやってるんですけど、明日、4/13を持ちまして、ベース・スダが…」
と言うと、「まさか…」という、ここまでとは全く違う異様な空気に包まれると、
「加入してからちょうど2年になりまーす!2周年記念日でーす!」
という引っ掛け。これはちょっとマジで最初はビックリした。
そんなこともありつつ、
「働きたくないすべての人へ」
という「Payment」から、ツアータイトルにもなっている最新シングル「モラトリアムスパイラル」では打ち込みも使ってポップなサウンドを響かせ、
「来月、リキッドルームでGOOD ON THE REELとの2マンがあるんですよ。どうやら、GOTRを見たい人がたくさんい過ぎて、チケットが入手困難になっていると。あーご苦労なこって!(笑)
そこで、我々としては我々を見にきてくれる人が少しでも増えるとやりやすくなるかな、ということで物販に若干ではありますが、チケット持ってきてます!
今日チケット買って、当日入る時に、どちらのバンドがお目当てですか?って言われた時に、Suck a Stew Dryです、って言ってくれれば、ああSuckも結構頑張ってるな、って運営の方々も思ってくれるはずなんで(笑)」
と、ここまで何かと笑わせてくれたフセが本編最後のMCで再び笑わせると、
「じゃあ最後にボーカルのシノヤマさんからありがたいお言葉をどうぞ!」
と、実に雑にシノヤマにパスし、
「僕は押し付けがましいのが嫌いなんですよ。頑張れ、とか、絶対また会おうぜ!、とか言われるのが嫌なんで、言いたくもない。
だから、もし生きてたらまた会うこともあると思うんで、またその時に会えたら。そのくらいのバランスでいきましょう」
と締めて、本編最後の曲は、「モラトリアムスパイラル」収録の、シノヤマのボーカルとそれに続くフセとキクチの
「またここで会えるように」
というコーラスが実に最後を飾るに相応しい(というかこの曲は最後以外にやる場所がない気さえする)「さらば素晴らしき日々よ」で終了し、メンバーはいったんステージを去った。
アンコールではシノヤマとフセとスダが黒、キクチとイタバシが白のツアーTシャツに着替えて登場し、「普通とは」というテーマに向き合った「Normalism」、
「君に会えたら もう死にたいな
でもまだ僕は君に会えない」
という歌い出しの「傘」と、ここにきて重い曲を続ける。
そんな重い雰囲気を振り払うかのようにフセがツアーグッズの紹介MCをすると、キーホルダーが入っているガチャガチャ(フセは最初「ガシャガシャ」と言っていたが、シノヤマに「(フセの故郷の)青森にはガチャガチャがないからガシャガシャと言っている、といじられていた)の中に、メンバーのサインが入っている当たりが入っていることと、「春のモラトリアムまつり」の元ネタになっている「ヤマザキ春のパンまつり」にちなんで、この日は大当たりに白い皿(無印良品のものとのこと)にメンバー全員のサインを入れたものがあると告げ、当たった人がいるか聞くも、まだ大当たりは出てないとのこと。(このくだりのフセのノリツッコミも非常に面白かった)
さらに、その大当たりが出た人には、シノヤマが前まで使っていたエフェクターボードにメンバー全員のサインを入れたものと、エフェクターボードの中にはツアーグッズが大量に入っている大盤振る舞いということで、終演後にはガチャガチャは長蛇の列になっていた。
そんなやり取りを経てのラストは、
「僕らの音楽が、社会不適合者の人たちにとってのマリアのような存在になってくれたら嬉しいです」
と、自他ともに認める社会不適合者のシノヤマらしい前振りからの「僕らの自分戦争」。「ジブンセンキ」のリード曲であり、まさに1人で閉じこもっている人が一歩外に踏み出すためのテーマソングのようなポップな曲。
本編ではやっていなかったので、アンコールの最後はこれだろうという、大方の予想通りの締めだった。
しかしそれでも再びアンコールに登場したメンバー。
「まだ僕ら1人1人のことを良く知らない人も多いと思うので」
ということで、メンバーそれぞれが東京公演にちなんで、「東京の好きなところ」を挙げることに。
シノヤマ…母校であり、バンド結成地である東洋大学
フセ…自宅
キクチ…歌舞伎町
イタバシ…お台場海浜公園。夜に砂浜から海と星が見えるから。
スダ…ここにいるみんな!
ということだったのだが、「それよりも好きなキャラクターがいる」というスダが、この日原宿に行って買ったというスティッチとモンチッチの小さいぬいぐるみを取り出して客席に放り投げ、
「スティッチ!モンチッチ!スダっち!」
というコール&レスポンスを展開。ちなみにスダは1人だけ専用のマイクがないので、しゃべる時はフセのマイクを使う。
そしてシノヤマの、本編最後と同じように、「押し付けがましいのが嫌い」ということを話し、
「売れ線の曲やります」
と言い、「遺失物取扱所」。ラストのサビの
「君に会いたくなって痛くて」
の前にシノヤマ、キクチ、フセの3人が「君」である客席に向かって揃って指を差すと、それに合わせて銀テープが炸裂。アウトロでシノヤマがギターを置くと、大きく両手を広げてこの日の最後を締めくくった。
演奏終了後には観客を背に写真撮影をして、春のモラトリアムまつりは終了。
2時間半にも及ぶ、意外な長尺ライブとなったが、終わって最初に出てきた感想は「楽しい」というものだった。それはフセのMCはもちろんだが、「ジブンセンキ」以降の曲のポップさがあってこそ。もはや「暗いバンド」というレッテルは外して見なければならない。今後、このポップさを武器に、さらに大きなステージに進むはず。
「孤独」から始まった音楽がたくさんの人に響くようになる様を見ているのは、実に頼もしい。
モラトリアムスパイラル
http://youtu.be/Jorq82btn4E
1.世界に一人ぼっち
2.アイドントラブユー
3.ユーズドクロージング
4.八月のサリー
5.絶望と希望のシーソーゲーム
6.空想少女リリー
7.Anti Preasure ~快楽主義者の憂鬱~
8.二時二分
9.こころは愛を探してる
10.ヒーロー
11.カラフル
12.カタカナトーク
13.Payment
14.モラトリアムスパイラル
15.さらば素晴らしき日々よ
encore1
16.Normalism
17.傘
18.僕らの自分戦争
encore2
19.遺失物取扱所
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フレデリック prdsents UMIMOYASU vol.10special 東阪2マン編 ~カスタネットとタンタンタタンタタン~ ゲスト:東京カランコロン @渋谷CLUB QUATTRO 4/17 ホーム
黒木渚 ONEMAN TOUR 「虎視眈々と淡々と」 @東京グローブ座 4/11