パスピエ TOUR 2014 "幕の外ISM" @Zepp DiverCity 12/21
- 2014/12/21
- 22:18
今年6月に2ndアルバム「幕の内ISM」をリリースしたパスピエのツアーファイナルはZepp DiverCity。
1stアルバム「演出家出演」をリリース後、急速に規模を拡大し、「幕の内ISM」もオリコンTOP10入り、今年の夏フェスでは大きいステージに出ることも多くなってきただけに、このクラスのキャパが即完しているという状況にも納得である。
18時過ぎ、ステージには幕が張られている中、SEもなしに場内が暗転すると、いきなり音が鳴る。どうやらすでにメンバーはステージにいる様子。セッション的な演奏から、幕が横に開くとやはりメンバーは完全に演奏中。そのまま成田ハネダの不穏なイントロから「MATATABISTEP」でスタート。
大胡田は「幕の内ISM」のジャケットの女性のような緑を基調とした着物を纏っており、メンバーの頭上には巨大な三角形のオブジェが二つ。
実は今月初旬のツアーの浜松公演を大胡田の体調不良により延期しているので、果たして大丈夫だろうか、と不安もあった。その影響があったのか、「MATATABISTEP」の歌唱はやや不安定さを感じさせるものであった。
しかしながら続く「YES / NO」からはそうした不安がどんどんなくなっていくように声に力強さが増していき、大胡田がステージを右に左に歩きながら歌うと、その前にいる観客から大きな歓声が上がる。
また、三澤(ギター)、露崎(ベース)の2人は演奏中にガンガンステージ前に出てきてアピールし、マイクがないにもかかわらず、歌を口ずさんでいる。
元々演奏力は驚異的と言えるくらいのレベルのバンドであったが、こうしてメンバー各々がライブでアグレッシブさを増すことにより、バンド全体の肉体性の向上につながっている。
にもかかわらず、成田から「言語障害」とまで言われた大胡田のMCはグダグダというか、文脈がよくわからないくらいに意味不明なところばかり。結構しゃべっている時間は長いのだが、要約したら1分くらいで言い切れてしまうような気さえする。
鮮やかな映像の演出に見入ってしまう「トーキョーシティー・アンダーグラウンド」、思わず走り回っていた少年時代の夏の日を回想してしまう「七色の少年」(だからこそ、今年のロッキンで披露した時に天気が悪かったのが残念であった)と、「幕の内ISM」のノれる楽曲から、露崎のうねるようなベースラインが楽曲を支える過去曲「あきの日」からはじっくりと聴きいるモード。
「あの青と青と青」こそ両A面先行シングルとしてリリースされたが、歌詞に「幕の内」というアルバムのタイトルになった単語が入る「ノルマンディー」など、ここまでの前半だけで、まさに「幕の内」というような楽曲の幅の広さを見せてくれる。
ちなみにこの「幕の内」という語源については、後のMCでメンバーもそのような意図でつけたという説明があった。
するとここで大胡田がいったんステージから去り、男性陣によるインストの演奏が始まる。それぞれのソロも披露され、最後にやおのドラムソロが終わると、自ら観客の歓声を煽り、軽く挨拶すると大胡田を招き、そこからはガラッと変わってアッパーな楽曲を連発。
さらには
「パスピエの最新形」
という、すでにリリックビデオが公開されている新曲「贅沢ないいわけ」も披露。これまでもパスピエは高い演奏力を持ち、それをフルに発揮しながらも楽曲自体はキャッチーという曲をたくさん作ってきたが、その中でもトップクラスにキャッチーな、完璧に開かれた曲。ちなみにツアーの来場者にはこの曲の歌詞とジャケットが配布されている。
大胡田が
「大事な曲を、いつもとは違うアレンジで」
と言って演奏された「最終電車」は、言った通りに、落ち着いた、ジャジーなアレンジに。最後のサビ前では従来のアレンジに戻るのだが、それが爆発力を生み出していたと思う。
また、この曲はわかりやすくガラッとアレンジを変えていたが、この日演奏された多くの曲でライブならではのアレンジが加えられていた。これはメンバーの演奏力とアレンジ力の高さの賜物だろう。
そして
「そろそろあとちょっとで終わります!」
と大胡田が言うと、客席から
「えー!」
という声が上がり(この日の歓声は本当に男性のものが多かったが、客席の男女比率も男性のほうが多めだった)、
「えー!って言ってもらえるようなライブができたのかな」
と言うと、ここまで何度となくステージの前まで出てきて演奏していた三澤と露崎が、前に出てくるだけでなく、中央でお互いに向き合って演奏するという、見てる側も胸がアツくなる演出を見せた「ワールドエンド」、「S.S」で終了。
アンコールではまずはスタジャンを着た男性陣が出てくると、
成田「ツアー中はメンバーの故郷でライブをやることもあって。やおの北海道とか、三澤は山形なんだけど仙台に行った時に、おかえりみたいな感じになってたんだけど、僕は横浜で、露崎は千葉なんで、ここは東京ですけど首都圏ということで、地元だと思ってもいいですか!」
というやり取りに、「おかえりー!」の声が上がる。
さらに大胡田がいないのをいいことに、
成田「最近、インタビューで大胡田が、神様になりたい、って言ってて(笑)
俺たちはどこへ向かうんだろうか(笑)」
と言ってると、大胡田もスタジャンに着替えて登場。「神様ー!」と呼ぶ声も上がる中、神様のありがたい言葉として、大胡田が最近ハマっている言葉
「御利益」
が客席に放たれる。さらに来年の6月に東名阪で自主企画ライブが行われることも発表し、
「せっかくの「幕の内ISM」のツアーということで、その中に入っている最後の曲を」
と言って、アルバム最後の曲「瞑想」。さらに、
「エンドレスリピートではないけど」
と言って「シネマ」も演奏して、ステージを去って行った。
しかしながらそれでもアンコールを求める声は止まず、再びメンバーが登場。
成田「インディーの頃のアルバムに入っているんだけど、僕らの始まりの曲を」
と言って、成田の印象的なシンセのイントロから始まる「電波ジャック」。自分がこのバンドを知ったのは、リリース時にスペシャでこの曲を聴いたのがきっかけだっただけに、やらないだろうと思っていたこの曲が聴けたのは本当に嬉しい。
演奏が終わると、露崎が最後まで残って観客に頭を下げながらステージを去って行ったのが印象的だった。
この日のパスピエ、本当にめちゃくちゃ良かったので、GALAXY STAGEのトリとして出演するCDJでも見たい気持ちが高まっているのだが、同じ時間にメインステージのトリをやるthe HIATUSの武道館を翌日見に行くので、結局「やっぱりthe HIATUSだな!」ってなってしまいそうな予感がしている。
1.MATATABISTEP
2.YES / NO
3.トロイメライ
4.とおりゃんせ
5.トーキョーシティー・アンダーグラウンド
6.七色の少年
7.あきの日
8.あの青と青と青
9.ノルマンディー
10.チャイナタウン
11.アジアン
12.はいからさん
13.フィーバー
14.贅沢ないいわけ
15.最終電車
16.ワールドエンド
17.S.S
encore1
18.瞑想
19.シネマ
encore2
20.電波ジャック
贅沢ないいわけ
http://youtu.be/U-nSZkBSvXI
MATATABISTEP
http://youtu.be/v4P1JsHOe88
Next→ 12/22 the HIATUS @日本武道館
1stアルバム「演出家出演」をリリース後、急速に規模を拡大し、「幕の内ISM」もオリコンTOP10入り、今年の夏フェスでは大きいステージに出ることも多くなってきただけに、このクラスのキャパが即完しているという状況にも納得である。
18時過ぎ、ステージには幕が張られている中、SEもなしに場内が暗転すると、いきなり音が鳴る。どうやらすでにメンバーはステージにいる様子。セッション的な演奏から、幕が横に開くとやはりメンバーは完全に演奏中。そのまま成田ハネダの不穏なイントロから「MATATABISTEP」でスタート。
大胡田は「幕の内ISM」のジャケットの女性のような緑を基調とした着物を纏っており、メンバーの頭上には巨大な三角形のオブジェが二つ。
実は今月初旬のツアーの浜松公演を大胡田の体調不良により延期しているので、果たして大丈夫だろうか、と不安もあった。その影響があったのか、「MATATABISTEP」の歌唱はやや不安定さを感じさせるものであった。
しかしながら続く「YES / NO」からはそうした不安がどんどんなくなっていくように声に力強さが増していき、大胡田がステージを右に左に歩きながら歌うと、その前にいる観客から大きな歓声が上がる。
また、三澤(ギター)、露崎(ベース)の2人は演奏中にガンガンステージ前に出てきてアピールし、マイクがないにもかかわらず、歌を口ずさんでいる。
元々演奏力は驚異的と言えるくらいのレベルのバンドであったが、こうしてメンバー各々がライブでアグレッシブさを増すことにより、バンド全体の肉体性の向上につながっている。
にもかかわらず、成田から「言語障害」とまで言われた大胡田のMCはグダグダというか、文脈がよくわからないくらいに意味不明なところばかり。結構しゃべっている時間は長いのだが、要約したら1分くらいで言い切れてしまうような気さえする。
鮮やかな映像の演出に見入ってしまう「トーキョーシティー・アンダーグラウンド」、思わず走り回っていた少年時代の夏の日を回想してしまう「七色の少年」(だからこそ、今年のロッキンで披露した時に天気が悪かったのが残念であった)と、「幕の内ISM」のノれる楽曲から、露崎のうねるようなベースラインが楽曲を支える過去曲「あきの日」からはじっくりと聴きいるモード。
「あの青と青と青」こそ両A面先行シングルとしてリリースされたが、歌詞に「幕の内」というアルバムのタイトルになった単語が入る「ノルマンディー」など、ここまでの前半だけで、まさに「幕の内」というような楽曲の幅の広さを見せてくれる。
ちなみにこの「幕の内」という語源については、後のMCでメンバーもそのような意図でつけたという説明があった。
するとここで大胡田がいったんステージから去り、男性陣によるインストの演奏が始まる。それぞれのソロも披露され、最後にやおのドラムソロが終わると、自ら観客の歓声を煽り、軽く挨拶すると大胡田を招き、そこからはガラッと変わってアッパーな楽曲を連発。
さらには
「パスピエの最新形」
という、すでにリリックビデオが公開されている新曲「贅沢ないいわけ」も披露。これまでもパスピエは高い演奏力を持ち、それをフルに発揮しながらも楽曲自体はキャッチーという曲をたくさん作ってきたが、その中でもトップクラスにキャッチーな、完璧に開かれた曲。ちなみにツアーの来場者にはこの曲の歌詞とジャケットが配布されている。
大胡田が
「大事な曲を、いつもとは違うアレンジで」
と言って演奏された「最終電車」は、言った通りに、落ち着いた、ジャジーなアレンジに。最後のサビ前では従来のアレンジに戻るのだが、それが爆発力を生み出していたと思う。
また、この曲はわかりやすくガラッとアレンジを変えていたが、この日演奏された多くの曲でライブならではのアレンジが加えられていた。これはメンバーの演奏力とアレンジ力の高さの賜物だろう。
そして
「そろそろあとちょっとで終わります!」
と大胡田が言うと、客席から
「えー!」
という声が上がり(この日の歓声は本当に男性のものが多かったが、客席の男女比率も男性のほうが多めだった)、
「えー!って言ってもらえるようなライブができたのかな」
と言うと、ここまで何度となくステージの前まで出てきて演奏していた三澤と露崎が、前に出てくるだけでなく、中央でお互いに向き合って演奏するという、見てる側も胸がアツくなる演出を見せた「ワールドエンド」、「S.S」で終了。
アンコールではまずはスタジャンを着た男性陣が出てくると、
成田「ツアー中はメンバーの故郷でライブをやることもあって。やおの北海道とか、三澤は山形なんだけど仙台に行った時に、おかえりみたいな感じになってたんだけど、僕は横浜で、露崎は千葉なんで、ここは東京ですけど首都圏ということで、地元だと思ってもいいですか!」
というやり取りに、「おかえりー!」の声が上がる。
さらに大胡田がいないのをいいことに、
成田「最近、インタビューで大胡田が、神様になりたい、って言ってて(笑)
俺たちはどこへ向かうんだろうか(笑)」
と言ってると、大胡田もスタジャンに着替えて登場。「神様ー!」と呼ぶ声も上がる中、神様のありがたい言葉として、大胡田が最近ハマっている言葉
「御利益」
が客席に放たれる。さらに来年の6月に東名阪で自主企画ライブが行われることも発表し、
「せっかくの「幕の内ISM」のツアーということで、その中に入っている最後の曲を」
と言って、アルバム最後の曲「瞑想」。さらに、
「エンドレスリピートではないけど」
と言って「シネマ」も演奏して、ステージを去って行った。
しかしながらそれでもアンコールを求める声は止まず、再びメンバーが登場。
成田「インディーの頃のアルバムに入っているんだけど、僕らの始まりの曲を」
と言って、成田の印象的なシンセのイントロから始まる「電波ジャック」。自分がこのバンドを知ったのは、リリース時にスペシャでこの曲を聴いたのがきっかけだっただけに、やらないだろうと思っていたこの曲が聴けたのは本当に嬉しい。
演奏が終わると、露崎が最後まで残って観客に頭を下げながらステージを去って行ったのが印象的だった。
この日のパスピエ、本当にめちゃくちゃ良かったので、GALAXY STAGEのトリとして出演するCDJでも見たい気持ちが高まっているのだが、同じ時間にメインステージのトリをやるthe HIATUSの武道館を翌日見に行くので、結局「やっぱりthe HIATUSだな!」ってなってしまいそうな予感がしている。
1.MATATABISTEP
2.YES / NO
3.トロイメライ
4.とおりゃんせ
5.トーキョーシティー・アンダーグラウンド
6.七色の少年
7.あきの日
8.あの青と青と青
9.ノルマンディー
10.チャイナタウン
11.アジアン
12.はいからさん
13.フィーバー
14.贅沢ないいわけ
15.最終電車
16.ワールドエンド
17.S.S
encore1
18.瞑想
19.シネマ
encore2
20.電波ジャック
贅沢ないいわけ
http://youtu.be/U-nSZkBSvXI
MATATABISTEP
http://youtu.be/v4P1JsHOe88
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"This Summer Festival 2014" 出演:[Alexandros] / ORANGE RANGE / キュウソネコカミ @Zepp Tokyo 12/19