musicるTV × ロッキンライフ presents 「musicるライフ」 @渋谷WWW 10/22
- 2023/10/23
- 19:15
何度か一緒に飲んだりしたことがある仲であるロッキン・ライフの中の人が、普段は地元である大阪でイベントを開催しているのであるが、今回はテレ朝系列のmusicるTVとコラボして渋谷でライブイベントを開催するということで、せっかく関東でやるんなら観に行こうということに。この日は
MOSHIMO
Chevon
あるゆえ
という3組が出演。MOSHIMOはちょくちょくライブを観ているが、他の2組はライブを観るのは初めてである。
会場のWWWの客席はたくさんの若い観客で埋まっているのが若干アウェー感を感じるのであるが、それくらいにこの出演バンドたちがコロナ禍を経て以降にこうした世代の人たちをライブハウスに連れてこれるようになっているということだろう。
・あるゆえ
トップバッターは東京の4人組バンド、あるゆえ。RO JACKのオーディションで優勝して、2年前のCOUNTDOWN JAPANにオープニングアクトとして出演していたバンドなので名前を聞いたことがあったバンドである。
メンバー4人がステージに登場すると、真っ白な衣装を着てハンドマイクを持つ姿が目を惹く紫月(ボーカル)が、まさにタイトル通りに空気を切り裂くようにして「一閃」を歌い始めるのであるが、その瞬間に「めちゃくちゃ演奏が上手いな」というのがわかる。どこか余裕というか貫禄すら感じさせるような拓永(ギター)、小さい体を思いっきり使って唸らせるように低音を鳴らすありさ(ベース)、手数の多さと正確さによってバンドの演奏の土台を支えるさのひろのしん(ドラム)と、全員が卓越したプレイヤーたちによるバンドであることがわかる。
紫月はハンドマイクという特性を活かして曲間や曲中にも、今この瞬間に自身の脳内に降ってきたであろう熱い言葉を、ここにいる全員に向けてではなくて、あくまで今目の前にいるあなたに向けて口にし、それが「ショート」の疾走感溢れるサウンドをさらに力強く走らせると、音楽への思いをそのまま歌詞にしたことによって、このバンドのメンバーや、リスナー、ファンが
「救えよ 音楽よ 生かしてくれよ
神頼みも効かないくらい 終わっちまったんだ
救えよ 音楽よ 助けてくれよ
その音だけはずっと止めないで」
と歌う通りに音楽によって救われ、繋がっていることを感じさせてくれる「騒音楽」へと続いていく。紫月の抜群の声量と表現力、さらにはカリスマ性の強さによって、この歌詞に強い説得力を宿らせていく。
そうした歌詞や言葉が多いために、音源を聴いていてもシリアスなバンドというイメージが強かったのであるが、さのによる挨拶的なMCはどころ軽妙というギャップもまた面白い。しかし最新配信曲である「紗」はそんな雰囲気から一転して、9mm Parabellum Bulletや凜として時雨を想起させるような轟音ロックサウンド。そうした曲を鳴らせるのもやはり演奏力の高さあってこそであるが、もしこのメンバーたちが自分が大好きなそうしたバンドたちの影響を受けているのだとしたら、それは実に嬉しいことである。
初期の「毒を塗って」という人間のドロッとしたような面をも歌う曲を演奏できるのも持ち時間が長めであるこのイベントならではだろうけれど、紫月は夜についての自身の思いを包み隠すことなく口にする。そこには
「音楽をやっていると楽しいことだけではなくて、苦しいことや辛いこともたくさんある」
ということを口にしてくれるあたりが、ライブを観てよりこのバンドを信用できると思える部分だ。それは紫月も
「それはあなたの日々の仕事や学校もそうだと思う」
と口にしていたように、こうしてステージに立つバンドマンも我々と同じ人間であり、日々悩んだりしながら生きていることがわかるからだ。それを隠さずに口にしてくれるというのが実に誠実なバンドだなと思うし、それはそのまま「生活夜」の歌詞やテーマに繋がっている。言葉や思考や人間性がそのまま音楽になっているバンドであることがよくわかるのである。
さらには同期のリズムに合わせて観客が手拍子をする、過ぎ去っていった夏の情景を感じさせるようなサウンドと歌詞による「幻陽」が再び空気を一変させると、さのが軽妙な語り口でライブ告知をするのが演奏同様に上手さを感じさせると、このバンドか初めて作った曲だという「ライブハウス」が演奏される。それはタイトル通りにこうしたバンドが生きる場所のことを歌った曲であるのだが、最初からこのレベルの曲を作り出していた(しかもまだライブハウスが危機に瀕していたわけでもないコロナ禍になる前の2019年やそれ以前から)というあたりには恐ろしさを感じざるを得ないし、COUNTDOWN JAPANのオープニングアクトの時にちゃんと観ていなかった自分を叱りつけたいと思ってしまった。
そうした楽曲や演奏技術の完成度の高さだけならず、「極楽鳥花」では紫月が歌いながら客席の中に突入して観客に囲まれながら歌うという、パフォーマンスの完成度の高さをも感じさせてくれる。それは自分たちのライブを、曲をどう見せれば1番伝わるのかということを考えているからであろうし、それと同時にロックバンドとしての衝動をも感じさせてくれるものである。
そんなライブの最後に演奏されたのは、メンバー全員が声を重ねるように歌い始めることによってこの上ないくらいの神聖さや美しさをタイトル通りに感じさせてくれる「讃美歌」。音源で聴いた時にはどこかその室内性を強く感じたが、ライブで聴くとそのイメージが一変するかのような力強さと熱さを確かに感じられる曲になっている。それゆえにバンドにとっての最大のアンセムであると感じられるし、こうしたライブの締めにこれ以上ないくらいにふさわしい曲をすでに持っているというのが本当に強い。
来年にはすでにO-Crestでのワンマンが決定しているが、すぐにそうしたキャパをも、紫月がかつてコンテストで立ったことがあると言っていたWWW Xのキャパをも超える場所に立つ可能性や予感をヒシヒシと感じた。このバンドがトップバッターだったことによって、このライブが素晴らしい夜になるとこの時点で確信できたのである。
1.一閃
2.ショート
3.騒音楽
4.紗
5.毒を塗って
6.生活夜
7.幻陽
8.ライブハウス
9.極楽鳥花
10.讃美歌
・Chevon
この日、会場にはこのバンドのタオルを持った人がめちゃくちゃ多かった。完全にこのバンドを観るためにこの場所に来たという人がたくさんいることがわかるくらいの状況。それを作っているのが3人組ロックバンドのChevonである。曲は聴いていたし、ライブの噂は聴いていたけれど、ようやくこの日初めてライブを観ることができるように。
先にサポートドラマーがステージに登場してスティックを掲げるような姿を見せると、それに続いてベースのオオノタツヤ、ギターのktjm、最後に髪を部分的に緑色に染めているのが目を引くボーカルの谷絹茉優という3人が登場し、「No.4」からスタートするのであるが、あるゆえもそうだったがこのバンドもまた音が鳴らされた瞬間に思わず驚いてしまうくらいに演奏が上手い。
ボカロミュージックなどの影響を感じさせるktjmのオリエンタルなギターフレーズ、グルーヴの権化というようにうねらせまくるオオノのベース、そしてグラマラスな出で立ちはDEZERTの千秋あたりを思い起こさせるような谷絹の、どうやったらこうして声を使い分けることができるんだろうかというような、ハイトーンからハスキーさまで曲の中で変化させながら行き来するようなボーカル。そうして声を変えられるというのは、オメでたい頭で何よりの赤飯に通じる能力を感じるが、使い分けている声の質が全く違うという意味では、今まで数え切れないくらいのボーカリストを観て聴いてきたけれど、誰かに似ているという感じは全くない。おそらくはどうやって声を出しているのかというのを本人に聞いても具体的には説明できないだろうけれど、喉にエフェクターのような機能が備わっていて、それを駆使して声を変化させているという部分もあったりするのだろうかと思ってしまう。
そうした唯一無二という言葉がこれだけ似合うバンドもいないというくらいの声を持っているからこそ、どんなタイプの曲をやってもこのバンドの色に染め上げることができている。アンセム感の強い「Banquet」から、一転してタイトル通りに曲自体のテンポを落とすような「マイペース」まで。ワンマンではやっていなかったりするような曲までもセトリに入れていたらしいが、全くそんな久々感はない。どれも変わらぬグルーヴの強さと完成度の高さを見せてくれる。
時にはサポートドラマーがクルクルとスティックを回しながら叩いてるあたりもサポートまで含めた演奏力の高さを感じさせるのであるが、何よりも黒いタンクトップを着用しているオオノのベースの強さは、このグルーヴがあってこそこのバンドの音楽が成り立っているということがわかるくらいの凄まじさ。本人はそれを至って普通であるかのようにやってみせているというのも含めて。そのリズムの強さがあるからこそこんなに音楽でもって踊ることができるということを改めて分からせてくれるようなベーシストである。
しかもそれをほぼ曲間なしにノンストップでやってみせるというメンバーの体力たるや。持ち時間もかなり長めだというのに全くそんなことを気にする素振りもないし、何よりも谷絹のボーカルがこれだけ高低差を行き来しているのに全く揺らぐことがない。タイトルを口にした際などから、地声は割と低めだとも思うのであるが、だからこそこんなにハイトーンまで自由自在に出せるのが信じられないくらいに凄い。
すでにドラマタイアップになっている最新配信曲「ノックブーツ」はそんなここまでのカオスなサウンドからグッと聴きやすくなっている感じもするのであるが、それでも歌詞には全く遠慮することのない単語(ある意味ではタイアップドラマの内容に合っているとも言える)が並ぶあたりはこのバンドらしさを貫きながらもそうした広い場所に届くような曲になっていると言えるし、実に久しぶりにライブで演奏されるという「ですとらくしょん!!」ではktjmとオオノが前に出てきて音を鳴らし、谷絹もどこかそれまで以上に観客を煽るようにして歌っている。後半に来てのそうした姿からさらにグルーヴが練り上げられているということを考えると、こうした長い持ち時間の方がさらに本領を発揮できるタイプのバンドなのかもしれない。
そして「最後」と言いながら「革命的ステップの夜」を演奏したかと思ったら、さらに「最後の最後」と言って「光ってろ正義」を演奏するというこのバンドらしいユーモアも見せてくれるし、何よりも谷絹のステージに倒れ込んだりしながらの絶唱というような歌唱のど迫力っぷり。それはその声だけでもこのロックバンドシーンに風穴を開けることのできる存在であり、そんなバンドがそのボーカルを最大限に活かすことができるプレイヤーたちによって支えられているということを示していた。最後に谷絹がステージに置いてあったぬいぐるみを抱えて去っていこうとする際に客席に投げ込んだものがなんなのかは全くわからなかったが、ぬいぐるみに手を振らせるような仕草を見せるあたりがなんだか笑えてしまった。
もしかしたらこういう表現は嫌かもしれないが、自分は初めてChevonのライブを観て、怪物みたいなバンドだと思った。それはプロ野球で言うならば松坂大輔や佐々木朗希のような、規格外の、今までいなかったし今後も似た存在が出てこないだろうという意味においての形容として。
これから先にもっと名前が広がることによって色々と言われたりすることもあるかもしれないくらいに個性が強いバンドであるが、そうした雑音を全て鳴らしている音で黙らせるくらいの強さを持っていると思う。だからこそこれからまた何回でもこの先ライブで観たいと思ったし、たくさんの若いファンが熱狂している理由が観てすぐにわかった。
1.No.4
2.プノペタリラ
3.Banquet
4.マイペース
5.アイシティ
6.ハイカラ
7.占っていたんです
8.ノックブーツ
9.ですとらくしょん!!
10.革命的ステップの夜
11.光ってろ正義
・MOSHIMO
そしてこの日のトリはMOSHIMO。前に出た2組と比べるとすでにキャリアがあるだけに若手と言えるかは微妙なところであるが、だからこその堂々たるトリである。ライブをやりまくっているバンドだからこそ、先月のTOKYO CALLINGに続いてこうしてすぐにライブが観れる。
メンバー4人がステージに登場すると、キャップを被り、アンプにはバンドシーン随一の読売ジャイアンツファンとして巨人グッズを並べている一瀬貴之(ギター)が早くもステージ前に出てきてギターを弾き、観客もその姿と音に「オイ!オイ!」と声を上げて応えるという熱さが展開されるのであるが、曲中での岩淵紗貴(ボーカル&ギター)と一瀬の会話的なフレーズで
一瀬「最近、推しが明るい髪色が好きって言ってたのを見て、髪を明るくしたらしいじゃん?」
と、髪が鮮やかな金になっている理由をあっさり暴露されるのであるが、そうしたライブの作り方も物販を岩淵らメンバーが販売してファンとコミュニケーションを取っているMOSHIMOならではの楽しさである。
その楽しさは楽曲のポップさにも宿っていると感じられるのが野球拳的なフレーズと振り付けが繰り返される「電光石火ジェラシー」であり、初めてMOSHIMOのライブを観るという人が大半の状況である中を見事にホームに変えていく。それはそうしたフレーズを入れる巧みさもそうであるが、ただただ純粋にメロディそのものがキャッチーな力に満ちているからだと思っているし、ライブを見るたび、曲を聴くたびにいつも「本当に良い曲を作るバンドだよな」と思う。
そんなMOSHIMOは先月に最新アルバム「CRAZY ABOUT YOU」をリリースしたばかりであるのだが、そのアルバムの1曲目に収録されている「君に夢チュウ」は
「ちゅちゅちゅちゅ君がすき
ぎゅぎゅぎゅぎゅ抱きしめて」
という思い切ったフレーズで合唱を巻き起こすのであるが、そんなフレーズもキャッチーなメロディに乗ることによって気恥ずかしさを感じなくなるということを実感させてくれる。「MUSICA」のインタビューでは岩淵が
「昔だったら恥ずかしくて歌えなかった。でも今なら歌える」
と言っていたのも、自分たちがどんなことを音楽でやるバンドなのかという焦点がハッキリしていて、どんなことをやってもMOSHIMOの音楽にできるという自信がついたからだろうし、それは今やNoisyという会社の代表として、シンガーズハイやパーカーズら若手バンドを輩出する立場になったからこそ感じられるものでもあるんだろうなと思う。
その最新アルバムからはさらに「少年少女」と、アッパーに振り切れるようなテンションではないからこそ、よりそのメロディのキャッチーさ、曲そのものの良さを感じさせてくれる曲が続く。一気に照明が暗くなるのもこの曲の雰囲気を示しているとも言えるが、本当にアルバムが良い曲ばかりの作品であるために、もっと広まって欲しいなとこうしてライブで聴いていると改めて思う。
そんなMOSHIMOはロッキンライフの中の人に「異質なバンド」と紹介されているということを一瀬が告げるのであるが、確かに前半のバカみたいにアッパーな流れから、「誓いのキス、タバコの匂い」という切なさがダダ漏れのバラード曲へと至るという流れは確かに異質なバンドだからこそのものとも言えるかもしれない。そこには岩淵の経験がそのまま歌詞になっているからこそ宿る切なさもあるかもしれないが、「倦怠期」も含めてそんな独特な視点による歌詞をどこまでもキャッチーなメロディで歌うことができるバンドであるということである。
すると一瀬がここで
「今日初めて我々のライブを観る人がたくさんいると思うんですけど、あのドラムの人のゴツいタトゥーはなんなんだ?と思うかもしれないですが、今日はmusicるTVというテレビ朝日の番組で放送されますけど、これまでに何回か出演した地上波の音楽番組の中で、テレビ東京の人からは
「ちょっとカーディガンかなんか着てもらえないですかね?」
って言われました(笑)
日テレの「バズリズム 」とフジテレビの「Love Music」に出演させてもらった時はそのままで大丈夫だったんで、このオンエアがどうなるかによってテレ朝のコンプライアンスがわかる(笑)もしかしたら顔から下はモザイクが入ってるかもしれない(笑)」
と、腕にびっしりとタトゥーが入ったドラムの高島一航に触れると、その高島も立ち上がって
「試される渋谷!」
とキメ台詞のように口にするのであるが、そんな見た目とは裏腹に誰よりも早く集合時間を守り、鞄の中身も丁寧に整頓されているという几帳面な高島と、サポートとは思えないくらいに笑顔で演奏してバンドを支えている岡田典之(ベース。空想委員会)のリズム隊の演奏は、これだけ演奏が上手いバンドたちが前に出演してきた後でも、いや、だからこそMOSHIMOも本当に上手いバンドだなと「触らぬキミに祟りなし」でのアッパーに振り切っていく演奏を見ていると改めて思う。特に高島の両腕がドラムと同化しているかのような叩き方は見ていて本当に映えるし力強さを感じさせる。
そんなライブの最後に岩淵が自身が引きこもっていた年月を経て、今こうしてこのバンドでライブができていて、目の前にいる人と会うことができて嬉しいということを口にしてからギターを弾きながら歌い始めたのはもちろん「命短し恋せよ乙女」であり、一瀬も岡田も前に出てきて台の上に立って笑顔で演奏する中、TOKYO CALLINGでは行っていなかった、観客の悩みをその場で聞いて応援するという展開に。客席にいた女性にスケッチブックを渡して書いてもらった悩みは
「MOSHIMOが好きすぎて辛い」
という、バンドのガチファンからのものであり、普段は「婚約破棄された」などの重い悩みが来ることが多いだけにあまりにも良い内容に岩淵と一瀬も驚いていたのであるが、その悩みを言ってくれた人を応援するように歌詞を変えて歌う。これはMOSHIMOのガチファンであろうその人も実に嬉しかったことだろうと思うし、MOSHIMOならではのライブの楽しみ方をそうしてあくまで楽しく示してくれる。だからやっぱりライブを観ていて楽しかったなと思うのである。
しかしすぐにアンコールでメンバーがステージに再び登場。
「今日は不安だったからすぐに出てきた」
と一瀬が言っていたが、帰る人は全くいない状態の中で
「1に美容師 2にバーテンダー
私が好きなのバンドマン
ダメな3B分かっちゃいるけど
全く私は何やってんだ」
といういわゆる恋愛の定説的なことを歌詞にした「バンドマン」を演奏し、岩淵はマイクを持ってステージを左右に歩きながら歌い、観客も一緒に「1,2,3」とカウントして指を掲げるのも実に楽しい。何よりもこうした人によっては全く共感できないテーマでこんなにもキャッチーな曲を生み出せるMOSHIMOは本当に凄いバンドだと思う。
それは今まで観てきた中でもトップクラスに長い持ち時間のライブだからこそよりそう思えたり、より楽しく感じられたところも間違いなくある。いわゆる定番的ではない曲を聴くこともできるから。ということはもっと長いワンマンならさらに楽しく思えるはず。それだけに年末に開催される、バンドとしての大きな勝負であろうZepp Shinjukuでのワンマンも是非観に行きたいと思っている。
1.釣った魚にエサやれ
2.電光石火ジェラシー
3.君に夢チュウ
4.少年少女
5.誓いのキス、タバコの匂い
6.倦怠期
7.触らぬキミに祟りなし
8.命短し恋せよ乙女
encore
9.バンドマン
ステージに出てきて挨拶をしたりするタイプではないことはわかっているけれど、ライブ後には少しロッキンライフの中の人とも話した。
今でこそお互いにいろんな場所に出るようになったけれど、知り合った時はどちらも全然知られてない、見られてないようなアカウントだった。だからといって感慨深さみたいなものは全く感じないけれど、今までこうした主催ライブ的なものをやったこともやろうとしたこともない自分からしたら、こうしていろんな人(テレビ朝日と共催って!)と関わり合いながらイベントを開催しているのは素直に凄いと思うし、そうしたことをしてくれたおかげでライブを観れた、出会えたバンドがいるということは紛れもない事実だ。
そんな真面目なことは本人に直接は絶対言わないけれど。
MOSHIMO
Chevon
あるゆえ
という3組が出演。MOSHIMOはちょくちょくライブを観ているが、他の2組はライブを観るのは初めてである。
会場のWWWの客席はたくさんの若い観客で埋まっているのが若干アウェー感を感じるのであるが、それくらいにこの出演バンドたちがコロナ禍を経て以降にこうした世代の人たちをライブハウスに連れてこれるようになっているということだろう。
・あるゆえ
トップバッターは東京の4人組バンド、あるゆえ。RO JACKのオーディションで優勝して、2年前のCOUNTDOWN JAPANにオープニングアクトとして出演していたバンドなので名前を聞いたことがあったバンドである。
メンバー4人がステージに登場すると、真っ白な衣装を着てハンドマイクを持つ姿が目を惹く紫月(ボーカル)が、まさにタイトル通りに空気を切り裂くようにして「一閃」を歌い始めるのであるが、その瞬間に「めちゃくちゃ演奏が上手いな」というのがわかる。どこか余裕というか貫禄すら感じさせるような拓永(ギター)、小さい体を思いっきり使って唸らせるように低音を鳴らすありさ(ベース)、手数の多さと正確さによってバンドの演奏の土台を支えるさのひろのしん(ドラム)と、全員が卓越したプレイヤーたちによるバンドであることがわかる。
紫月はハンドマイクという特性を活かして曲間や曲中にも、今この瞬間に自身の脳内に降ってきたであろう熱い言葉を、ここにいる全員に向けてではなくて、あくまで今目の前にいるあなたに向けて口にし、それが「ショート」の疾走感溢れるサウンドをさらに力強く走らせると、音楽への思いをそのまま歌詞にしたことによって、このバンドのメンバーや、リスナー、ファンが
「救えよ 音楽よ 生かしてくれよ
神頼みも効かないくらい 終わっちまったんだ
救えよ 音楽よ 助けてくれよ
その音だけはずっと止めないで」
と歌う通りに音楽によって救われ、繋がっていることを感じさせてくれる「騒音楽」へと続いていく。紫月の抜群の声量と表現力、さらにはカリスマ性の強さによって、この歌詞に強い説得力を宿らせていく。
そうした歌詞や言葉が多いために、音源を聴いていてもシリアスなバンドというイメージが強かったのであるが、さのによる挨拶的なMCはどころ軽妙というギャップもまた面白い。しかし最新配信曲である「紗」はそんな雰囲気から一転して、9mm Parabellum Bulletや凜として時雨を想起させるような轟音ロックサウンド。そうした曲を鳴らせるのもやはり演奏力の高さあってこそであるが、もしこのメンバーたちが自分が大好きなそうしたバンドたちの影響を受けているのだとしたら、それは実に嬉しいことである。
初期の「毒を塗って」という人間のドロッとしたような面をも歌う曲を演奏できるのも持ち時間が長めであるこのイベントならではだろうけれど、紫月は夜についての自身の思いを包み隠すことなく口にする。そこには
「音楽をやっていると楽しいことだけではなくて、苦しいことや辛いこともたくさんある」
ということを口にしてくれるあたりが、ライブを観てよりこのバンドを信用できると思える部分だ。それは紫月も
「それはあなたの日々の仕事や学校もそうだと思う」
と口にしていたように、こうしてステージに立つバンドマンも我々と同じ人間であり、日々悩んだりしながら生きていることがわかるからだ。それを隠さずに口にしてくれるというのが実に誠実なバンドだなと思うし、それはそのまま「生活夜」の歌詞やテーマに繋がっている。言葉や思考や人間性がそのまま音楽になっているバンドであることがよくわかるのである。
さらには同期のリズムに合わせて観客が手拍子をする、過ぎ去っていった夏の情景を感じさせるようなサウンドと歌詞による「幻陽」が再び空気を一変させると、さのが軽妙な語り口でライブ告知をするのが演奏同様に上手さを感じさせると、このバンドか初めて作った曲だという「ライブハウス」が演奏される。それはタイトル通りにこうしたバンドが生きる場所のことを歌った曲であるのだが、最初からこのレベルの曲を作り出していた(しかもまだライブハウスが危機に瀕していたわけでもないコロナ禍になる前の2019年やそれ以前から)というあたりには恐ろしさを感じざるを得ないし、COUNTDOWN JAPANのオープニングアクトの時にちゃんと観ていなかった自分を叱りつけたいと思ってしまった。
そうした楽曲や演奏技術の完成度の高さだけならず、「極楽鳥花」では紫月が歌いながら客席の中に突入して観客に囲まれながら歌うという、パフォーマンスの完成度の高さをも感じさせてくれる。それは自分たちのライブを、曲をどう見せれば1番伝わるのかということを考えているからであろうし、それと同時にロックバンドとしての衝動をも感じさせてくれるものである。
そんなライブの最後に演奏されたのは、メンバー全員が声を重ねるように歌い始めることによってこの上ないくらいの神聖さや美しさをタイトル通りに感じさせてくれる「讃美歌」。音源で聴いた時にはどこかその室内性を強く感じたが、ライブで聴くとそのイメージが一変するかのような力強さと熱さを確かに感じられる曲になっている。それゆえにバンドにとっての最大のアンセムであると感じられるし、こうしたライブの締めにこれ以上ないくらいにふさわしい曲をすでに持っているというのが本当に強い。
来年にはすでにO-Crestでのワンマンが決定しているが、すぐにそうしたキャパをも、紫月がかつてコンテストで立ったことがあると言っていたWWW Xのキャパをも超える場所に立つ可能性や予感をヒシヒシと感じた。このバンドがトップバッターだったことによって、このライブが素晴らしい夜になるとこの時点で確信できたのである。
1.一閃
2.ショート
3.騒音楽
4.紗
5.毒を塗って
6.生活夜
7.幻陽
8.ライブハウス
9.極楽鳥花
10.讃美歌
・Chevon
この日、会場にはこのバンドのタオルを持った人がめちゃくちゃ多かった。完全にこのバンドを観るためにこの場所に来たという人がたくさんいることがわかるくらいの状況。それを作っているのが3人組ロックバンドのChevonである。曲は聴いていたし、ライブの噂は聴いていたけれど、ようやくこの日初めてライブを観ることができるように。
先にサポートドラマーがステージに登場してスティックを掲げるような姿を見せると、それに続いてベースのオオノタツヤ、ギターのktjm、最後に髪を部分的に緑色に染めているのが目を引くボーカルの谷絹茉優という3人が登場し、「No.4」からスタートするのであるが、あるゆえもそうだったがこのバンドもまた音が鳴らされた瞬間に思わず驚いてしまうくらいに演奏が上手い。
ボカロミュージックなどの影響を感じさせるktjmのオリエンタルなギターフレーズ、グルーヴの権化というようにうねらせまくるオオノのベース、そしてグラマラスな出で立ちはDEZERTの千秋あたりを思い起こさせるような谷絹の、どうやったらこうして声を使い分けることができるんだろうかというような、ハイトーンからハスキーさまで曲の中で変化させながら行き来するようなボーカル。そうして声を変えられるというのは、オメでたい頭で何よりの赤飯に通じる能力を感じるが、使い分けている声の質が全く違うという意味では、今まで数え切れないくらいのボーカリストを観て聴いてきたけれど、誰かに似ているという感じは全くない。おそらくはどうやって声を出しているのかというのを本人に聞いても具体的には説明できないだろうけれど、喉にエフェクターのような機能が備わっていて、それを駆使して声を変化させているという部分もあったりするのだろうかと思ってしまう。
そうした唯一無二という言葉がこれだけ似合うバンドもいないというくらいの声を持っているからこそ、どんなタイプの曲をやってもこのバンドの色に染め上げることができている。アンセム感の強い「Banquet」から、一転してタイトル通りに曲自体のテンポを落とすような「マイペース」まで。ワンマンではやっていなかったりするような曲までもセトリに入れていたらしいが、全くそんな久々感はない。どれも変わらぬグルーヴの強さと完成度の高さを見せてくれる。
時にはサポートドラマーがクルクルとスティックを回しながら叩いてるあたりもサポートまで含めた演奏力の高さを感じさせるのであるが、何よりも黒いタンクトップを着用しているオオノのベースの強さは、このグルーヴがあってこそこのバンドの音楽が成り立っているということがわかるくらいの凄まじさ。本人はそれを至って普通であるかのようにやってみせているというのも含めて。そのリズムの強さがあるからこそこんなに音楽でもって踊ることができるということを改めて分からせてくれるようなベーシストである。
しかもそれをほぼ曲間なしにノンストップでやってみせるというメンバーの体力たるや。持ち時間もかなり長めだというのに全くそんなことを気にする素振りもないし、何よりも谷絹のボーカルがこれだけ高低差を行き来しているのに全く揺らぐことがない。タイトルを口にした際などから、地声は割と低めだとも思うのであるが、だからこそこんなにハイトーンまで自由自在に出せるのが信じられないくらいに凄い。
すでにドラマタイアップになっている最新配信曲「ノックブーツ」はそんなここまでのカオスなサウンドからグッと聴きやすくなっている感じもするのであるが、それでも歌詞には全く遠慮することのない単語(ある意味ではタイアップドラマの内容に合っているとも言える)が並ぶあたりはこのバンドらしさを貫きながらもそうした広い場所に届くような曲になっていると言えるし、実に久しぶりにライブで演奏されるという「ですとらくしょん!!」ではktjmとオオノが前に出てきて音を鳴らし、谷絹もどこかそれまで以上に観客を煽るようにして歌っている。後半に来てのそうした姿からさらにグルーヴが練り上げられているということを考えると、こうした長い持ち時間の方がさらに本領を発揮できるタイプのバンドなのかもしれない。
そして「最後」と言いながら「革命的ステップの夜」を演奏したかと思ったら、さらに「最後の最後」と言って「光ってろ正義」を演奏するというこのバンドらしいユーモアも見せてくれるし、何よりも谷絹のステージに倒れ込んだりしながらの絶唱というような歌唱のど迫力っぷり。それはその声だけでもこのロックバンドシーンに風穴を開けることのできる存在であり、そんなバンドがそのボーカルを最大限に活かすことができるプレイヤーたちによって支えられているということを示していた。最後に谷絹がステージに置いてあったぬいぐるみを抱えて去っていこうとする際に客席に投げ込んだものがなんなのかは全くわからなかったが、ぬいぐるみに手を振らせるような仕草を見せるあたりがなんだか笑えてしまった。
もしかしたらこういう表現は嫌かもしれないが、自分は初めてChevonのライブを観て、怪物みたいなバンドだと思った。それはプロ野球で言うならば松坂大輔や佐々木朗希のような、規格外の、今までいなかったし今後も似た存在が出てこないだろうという意味においての形容として。
これから先にもっと名前が広がることによって色々と言われたりすることもあるかもしれないくらいに個性が強いバンドであるが、そうした雑音を全て鳴らしている音で黙らせるくらいの強さを持っていると思う。だからこそこれからまた何回でもこの先ライブで観たいと思ったし、たくさんの若いファンが熱狂している理由が観てすぐにわかった。
1.No.4
2.プノペタリラ
3.Banquet
4.マイペース
5.アイシティ
6.ハイカラ
7.占っていたんです
8.ノックブーツ
9.ですとらくしょん!!
10.革命的ステップの夜
11.光ってろ正義
・MOSHIMO
そしてこの日のトリはMOSHIMO。前に出た2組と比べるとすでにキャリアがあるだけに若手と言えるかは微妙なところであるが、だからこその堂々たるトリである。ライブをやりまくっているバンドだからこそ、先月のTOKYO CALLINGに続いてこうしてすぐにライブが観れる。
メンバー4人がステージに登場すると、キャップを被り、アンプにはバンドシーン随一の読売ジャイアンツファンとして巨人グッズを並べている一瀬貴之(ギター)が早くもステージ前に出てきてギターを弾き、観客もその姿と音に「オイ!オイ!」と声を上げて応えるという熱さが展開されるのであるが、曲中での岩淵紗貴(ボーカル&ギター)と一瀬の会話的なフレーズで
一瀬「最近、推しが明るい髪色が好きって言ってたのを見て、髪を明るくしたらしいじゃん?」
と、髪が鮮やかな金になっている理由をあっさり暴露されるのであるが、そうしたライブの作り方も物販を岩淵らメンバーが販売してファンとコミュニケーションを取っているMOSHIMOならではの楽しさである。
その楽しさは楽曲のポップさにも宿っていると感じられるのが野球拳的なフレーズと振り付けが繰り返される「電光石火ジェラシー」であり、初めてMOSHIMOのライブを観るという人が大半の状況である中を見事にホームに変えていく。それはそうしたフレーズを入れる巧みさもそうであるが、ただただ純粋にメロディそのものがキャッチーな力に満ちているからだと思っているし、ライブを見るたび、曲を聴くたびにいつも「本当に良い曲を作るバンドだよな」と思う。
そんなMOSHIMOは先月に最新アルバム「CRAZY ABOUT YOU」をリリースしたばかりであるのだが、そのアルバムの1曲目に収録されている「君に夢チュウ」は
「ちゅちゅちゅちゅ君がすき
ぎゅぎゅぎゅぎゅ抱きしめて」
という思い切ったフレーズで合唱を巻き起こすのであるが、そんなフレーズもキャッチーなメロディに乗ることによって気恥ずかしさを感じなくなるということを実感させてくれる。「MUSICA」のインタビューでは岩淵が
「昔だったら恥ずかしくて歌えなかった。でも今なら歌える」
と言っていたのも、自分たちがどんなことを音楽でやるバンドなのかという焦点がハッキリしていて、どんなことをやってもMOSHIMOの音楽にできるという自信がついたからだろうし、それは今やNoisyという会社の代表として、シンガーズハイやパーカーズら若手バンドを輩出する立場になったからこそ感じられるものでもあるんだろうなと思う。
その最新アルバムからはさらに「少年少女」と、アッパーに振り切れるようなテンションではないからこそ、よりそのメロディのキャッチーさ、曲そのものの良さを感じさせてくれる曲が続く。一気に照明が暗くなるのもこの曲の雰囲気を示しているとも言えるが、本当にアルバムが良い曲ばかりの作品であるために、もっと広まって欲しいなとこうしてライブで聴いていると改めて思う。
そんなMOSHIMOはロッキンライフの中の人に「異質なバンド」と紹介されているということを一瀬が告げるのであるが、確かに前半のバカみたいにアッパーな流れから、「誓いのキス、タバコの匂い」という切なさがダダ漏れのバラード曲へと至るという流れは確かに異質なバンドだからこそのものとも言えるかもしれない。そこには岩淵の経験がそのまま歌詞になっているからこそ宿る切なさもあるかもしれないが、「倦怠期」も含めてそんな独特な視点による歌詞をどこまでもキャッチーなメロディで歌うことができるバンドであるということである。
すると一瀬がここで
「今日初めて我々のライブを観る人がたくさんいると思うんですけど、あのドラムの人のゴツいタトゥーはなんなんだ?と思うかもしれないですが、今日はmusicるTVというテレビ朝日の番組で放送されますけど、これまでに何回か出演した地上波の音楽番組の中で、テレビ東京の人からは
「ちょっとカーディガンかなんか着てもらえないですかね?」
って言われました(笑)
日テレの「バズリズム 」とフジテレビの「Love Music」に出演させてもらった時はそのままで大丈夫だったんで、このオンエアがどうなるかによってテレ朝のコンプライアンスがわかる(笑)もしかしたら顔から下はモザイクが入ってるかもしれない(笑)」
と、腕にびっしりとタトゥーが入ったドラムの高島一航に触れると、その高島も立ち上がって
「試される渋谷!」
とキメ台詞のように口にするのであるが、そんな見た目とは裏腹に誰よりも早く集合時間を守り、鞄の中身も丁寧に整頓されているという几帳面な高島と、サポートとは思えないくらいに笑顔で演奏してバンドを支えている岡田典之(ベース。空想委員会)のリズム隊の演奏は、これだけ演奏が上手いバンドたちが前に出演してきた後でも、いや、だからこそMOSHIMOも本当に上手いバンドだなと「触らぬキミに祟りなし」でのアッパーに振り切っていく演奏を見ていると改めて思う。特に高島の両腕がドラムと同化しているかのような叩き方は見ていて本当に映えるし力強さを感じさせる。
そんなライブの最後に岩淵が自身が引きこもっていた年月を経て、今こうしてこのバンドでライブができていて、目の前にいる人と会うことができて嬉しいということを口にしてからギターを弾きながら歌い始めたのはもちろん「命短し恋せよ乙女」であり、一瀬も岡田も前に出てきて台の上に立って笑顔で演奏する中、TOKYO CALLINGでは行っていなかった、観客の悩みをその場で聞いて応援するという展開に。客席にいた女性にスケッチブックを渡して書いてもらった悩みは
「MOSHIMOが好きすぎて辛い」
という、バンドのガチファンからのものであり、普段は「婚約破棄された」などの重い悩みが来ることが多いだけにあまりにも良い内容に岩淵と一瀬も驚いていたのであるが、その悩みを言ってくれた人を応援するように歌詞を変えて歌う。これはMOSHIMOのガチファンであろうその人も実に嬉しかったことだろうと思うし、MOSHIMOならではのライブの楽しみ方をそうしてあくまで楽しく示してくれる。だからやっぱりライブを観ていて楽しかったなと思うのである。
しかしすぐにアンコールでメンバーがステージに再び登場。
「今日は不安だったからすぐに出てきた」
と一瀬が言っていたが、帰る人は全くいない状態の中で
「1に美容師 2にバーテンダー
私が好きなのバンドマン
ダメな3B分かっちゃいるけど
全く私は何やってんだ」
といういわゆる恋愛の定説的なことを歌詞にした「バンドマン」を演奏し、岩淵はマイクを持ってステージを左右に歩きながら歌い、観客も一緒に「1,2,3」とカウントして指を掲げるのも実に楽しい。何よりもこうした人によっては全く共感できないテーマでこんなにもキャッチーな曲を生み出せるMOSHIMOは本当に凄いバンドだと思う。
それは今まで観てきた中でもトップクラスに長い持ち時間のライブだからこそよりそう思えたり、より楽しく感じられたところも間違いなくある。いわゆる定番的ではない曲を聴くこともできるから。ということはもっと長いワンマンならさらに楽しく思えるはず。それだけに年末に開催される、バンドとしての大きな勝負であろうZepp Shinjukuでのワンマンも是非観に行きたいと思っている。
1.釣った魚にエサやれ
2.電光石火ジェラシー
3.君に夢チュウ
4.少年少女
5.誓いのキス、タバコの匂い
6.倦怠期
7.触らぬキミに祟りなし
8.命短し恋せよ乙女
encore
9.バンドマン
ステージに出てきて挨拶をしたりするタイプではないことはわかっているけれど、ライブ後には少しロッキンライフの中の人とも話した。
今でこそお互いにいろんな場所に出るようになったけれど、知り合った時はどちらも全然知られてない、見られてないようなアカウントだった。だからといって感慨深さみたいなものは全く感じないけれど、今までこうした主催ライブ的なものをやったこともやろうとしたこともない自分からしたら、こうしていろんな人(テレビ朝日と共催って!)と関わり合いながらイベントを開催しているのは素直に凄いと思うし、そうしたことをしてくれたおかげでライブを観れた、出会えたバンドがいるということは紛れもない事実だ。
そんな真面目なことは本人に直接は絶対言わないけれど。
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Sony Music Artists presents 「オカベボフジラ」 @Zepp Shinjuku 10/21