ACIDMAN 2nd ALBUM Loop 再現 Tour "re:Loop" @Zepp Haneda 7/25
- 2023/07/26
- 19:58
2019年にはメジャー1stフルアルバム「創」の再現ツアーを開催したが、リリースから実に20年という時を超えて、ACIDMANが2ndアルバム「Loop」の再現ツアーを敢行。この間には去年の主催フェス「SAI」の2days開催もあり、ベテランになってもなおACIDMANのシーンでの存在感は高まっていると言っていいタイミングである。
バンドは先週もイベントGGでこの会場でライブを行ったばかりであるが、そのZepp Hanedaの中に入るとステージ前に張られた紗幕には「Loop」のジャケットの上にツアータイトルと日付、会場名が映し出されているのが期待を高まらせる。個人的にはこのアルバムリリース後のタイミングからライブに行くようになったために、当時のフェスのセットリストにもこのアルバムの収録曲が多数入っていただけに実に思い入れのあるアルバムである。
開演時間の前にはアナウンスが入り、注意事項とともにこのツアーが20年ぶりのアルバム再現であることを改めて告げると、19時になったあたりで紗幕には前作アルバムの「INNOCENCE」のツアーから過去のアルバムツアーを遡っていく映像が映し出される。ずっと3人とも変わらないように感じているACIDMANも、こうして映像で振り返ってみると昔の方が若さを感じる出で立ち(特に大木)をしていると感じるが、それはバンドが止まることなくずっと我々がその姿を見てくることができたからこそ、大きく変わることなくグラデーションのように少しずつ変わってきたということでもあるのだが、映像が20年前の「Loop」ツアーの時のものになるとそこで終わり、紗幕の向こう側で浦山一悟がドラムを叩く姿が見え、ステージ逆サイドの下手には佐藤雅俊のベースを弾く姿、そして最後にステージ中央で大木伸夫がギターを弾く姿が巨大なシルエットとして見えるのが実にカッコいいのであるが、それはつまりすでにメンバーはステージ上にスタンバイしているということであり、紗幕が落ちると激しい浦山のドラムのビートによる「Loop」のオープニング曲「Type A」でライブもスタートするのであるが、バンドの演奏の迫力はもちろん、観客の歓声の大きさと腕を振り上げる光景の激しさはとても20年前のアルバムの再現ライブとは思えないほど。個人的にはACIDMANのアルバムの中で最もアッパーなオープニング曲だと思っているだけに、この曲で始まるライブもやはり最大限に気持ちを昂らせてくれる。
しかしながら「創」の再現ライブの時もそうだったのであるが、いわゆる再現ライブというとだいたいはアルバムを収録曲順通りに演奏して、それが終わったら他の曲を…的なものになりがちなのだが、ACIDMANの再現ライブがそうではないのはアルバムとは曲順を変えてこの2曲目で「アイソトープ」が演奏され、大木がイントロのギターを刻んで起きる間隔で佐藤が思いっきり観客を煽って
「オイ!オイ!オイ!オイ!」
と勇壮な声が上がる。その声を聞いていて、こうして観客が声が出せるようになってからこの再現ライブをやることができて本当に良かったなと思う。英語歌詞の曲であるが、サビに入った時の一気に視界が開けていくような、五感が研ぎ澄まされていくような感覚は20年経った今でも全く変わることはない。
するとやはりアルバムとは曲順を変えて、大木のギターもリズム隊もポストロック的な、これもまた実にACIDMANらしいテクニックの高さをフルに生かした曲である「Swayed」では化学というか量子的というか、というような映像がステージ背面をいっぱいに使ったスクリーンに映し出されることによって曲の世界観であり、ACIDMANというバンドの持つ世界観や雰囲気に一気に引き込ませてくれる。じわじわと温めた演奏が一気に大木の叫び的なボーカルによって爆発していくというドラマチックな展開もまた、2枚目のアルバムでこの境地に達していたのかと今更になって驚かされる。
それはイントロから激しいサウンドが鳴らされる「波、白く」というライブにおけるキラーチューンにおいてもそうであるのだが、サビでの大木の安定感と力強さをともに感じさせる歌唱も、それを支えるというよりもむしろぶつかり合いながら一つになるような演奏も、全てが客席に一気に迫り来るかのようである。それはACIDMANが変わらないようでいて常に進化を遂げてきたバンドであるということを改めて示してくれるものである。
そうして迎えた20年ぶりの再現ツアーへの感慨を大木が口にすると、
「20年前のツアーでは東京ではZepp Tokyoでやりました。その時に来てくれた人もいますか?」
と問いかけると結構多くの人が手を挙げており、その人たちに向かって拍手も起こると、
「20年前も来てくれた人たち、歳取ったね〜(笑)」
と笑わせてくれるおじさんたちらしいMCをするようになったことだけは20年という時間の経過を感じさせるのであるが、
「でも20年前も来てくれた人が今日も来てくれて、我々もこうしてこのツアーを20年を経てできているのは、みんな生きてきたから、生きているからです。これでしかありません」
と着地するというあたりも実に大木らしいのであるが、「Loop」の再現ツアーでありながらも、メンバーもバンドも20年生き続けてきたからこそ生み出すことができた曲である、今やライブでおなじみの「Rebirth」という「Loop」収録曲以外の曲もセトリに入ってくるというあたりはさすがACIDMANであり、再現ライブという予想がつきやすいライブを予想できないものへとしてくれるのであるが、そのまま曲間なしで浦山がビートでアウトロから繋げるようにすると、大木がイントロでギターをその場でループさせて客席頭上のミラーボールが煌びやかに輝き出して、間奏で大木が前に出てきて客席を見渡してマイクを通さずに「ありがとう」と口にしながら、観客もサビで飛び跳ねる軽快な四つ打ちチューン「FREE STAR」と続くことによって、20年前のアルバムの曲たちと今のライブでおなじみの曲たちとの間に距離や違和感が全くないということを改めて実感させてくれる。それはACIDMANがずっとブレることなく同じことを歌い続けてきたからこそである。
それはまさにファンタジーな歌詞に合わせるかのように、バンドの代表曲で言うと「ALMA」の時のような星空などの美しい自然の映像がスクリーンいっぱいに映し出される「ALE」→「星のひとひら」という、まさか「Loop」の再現ライブでこの曲たちを聴けるとはと思わざるを得ない曲でもそうであり、盛り上がるというよりもグッと集中して聴き入ることによって曲の世界観に浸るような曲たちだからこそ、この曲たちが鳴らされている最中は良い意味で今この瞬間が「Loop」の再現ツアーであるということを忘れさせてくれる。それくらいに今目の前で鳴っている音楽が全てであり、ACIDMANの世界として貫かれているということである。
そんな「Loop」収録曲ではないのに引き込まれていく最大の曲はスクリーンに歌詞が映し出されることによって、大木の描く世界にどっぷりと浸かることができる「愛を両手に」だろう。その歌詞からはやはり大木の、そして大木の世界観を増幅させる佐藤と浦山の優しさを感じざるを得ないし、歌詞が映し出されるからこそ、
「幸せだったかい?
幸せだったかい?
今でも 星の数ほど 覚えているよ
あなたと生きた日々の全て」
というサビのフレーズを聞いていると、自分にとっての大切だった、いなくなってしまった人の存在を思い出させる。それはきっと聴き手それぞれにとってのそうした存在を想起させることだろうし、大木の感情を込めた歌い方が実に優しさを感じさせるからこそ、心が震えるような感覚になるのである。
しかしそんな曲の後にも大木は
「いつか大木語録っていうのを作りますので、その際は皆さま、お買い上げよろしくお願いします(笑)」
とやはり面白おじさんっぷりを発揮してシリアスな空気に包まれていた会場を和ませてくれるのであるが、
「僕らはアルバムに毎回必ずインスト曲を収録していて、「Loop」にもインスト曲があります。音だけで感情を表現したいと思って、こうしてインスト曲を入れてます」
と、バンドにとってインスト曲が大切な表現であることを改めて伝えてから演奏されたのは、まさにタイトル通りにゆっくりと流れていく心象風景を聴き手の脳内に描かせる「Slow View」であり、佐藤のベースがそのまま曲の展開になっているかのように、静謐に始まったものが曲が進むにつれて躍動感を増していく。「Swayed」の時のような映像もまたその感覚をさらに増大させてくれるものであるが、やはりACIDMANファンの方々はずっとこうしたインスト曲を聴いてきたからか、演奏中の集中力が凄まじい。それは他のバンドのライブではなかなか見れないものであり、20年以上かけて培ってきたバンドとファンの関係性の強さを感じさせる。
その「Slow View」から再び「Loop」の世界に戻って演奏されたのはほぼアルバム通りの流れで(アルバムだとインタールード的な「16185-0」を挟む)演奏された「O」であり、そのノイジーな大木のギターが鳴り響く中でリフレインされる
「再生された空」
というフレーズは退廃的な映像も相まって、一度壊れてしまったものを音楽の力によって蘇らせていくかのように感じられる。それは期せずしてコロナ禍というACIDMANのライブが見れない時期や、観客が声を出せない時期を経て今こうしてこの曲(おそらくこうした再現ツアーという機会でもないとまず演奏されない)をまた聴けているという状況に重なっているようにも感じられるのである。
で、そんな中で事前にこのツアーのセトリを見ていなかったものとしては最も驚かされたのは「Slow View / 飛光」のシングルのカップリング曲である「静かなる嘘と調和」が演奏されたこと。おそらくもうそうそうライブで聴くことはできない曲だろうけれど、カップリングという立ち位置の曲だからこそ、シングルのタイトル曲である2曲以上に「創」の後にまたACIDMANが新しい境地に足を踏み入れたんだなと思ったリリース当時のことを思い出す。まだ青春パンクブームの真っ只中であったが、BUMP OF CHICKENやACIDMANのシングルがオリコン上位に入るようになったことによってシーンの流れが変わりつつあったことも。その時はまだ制服を着た学生で、クラスの音楽好きな人と一緒にCDを貸し借り(だいたい貸す側だったけど)して聴いたりしていたことなんかも。それくらいに長い年月を共にしてきたバンドであり、音楽であり、この曲を聴くと当時のことを思い出すのは、この曲がその歌詞に浸りながら聴けるような曲だからだ。
そして大木のギターによるイントロが鳴らされた瞬間に歓声が起きたのは「Loop」を象徴する名曲だとも言える「リピート」。そこに佐藤のベースと浦山のドラムが重なることによってさらに有機的に、生の実感を持つバンドサウンド。それは背景に美しい森の中や、その森を上空から撮影したような、何らかのエネルギーが放射されているような映像が映し出されていたからかもしれない。そんな映像に合いすぎているこの曲の歌詞はACIDMANの曲の中で写経したくなるようなもののトップクラスと言えるものであるが、
「何を手に入れた?」
というリフレインとともにアウトロでどんどん激しさを増していくバンドサウンドは、インスト曲ではないけれどやはりACIDMANは音だけで感情や情景を表すことができるバンドなんだなと改めて実感させてくれる。アッパーな曲まではいかないけれど、でもメンバーの鳴らしている音や姿はどんな曲よりも強いグルーヴを放っているし、これは絶対にこの3人じゃないと生み出せないものである。
そんなハイライトの一つと言っていい瞬間を描いた後には大木が
「普段はみんなこんな話を聞きたくないだろうなと思って、ファニコンっていう会員制サイトの中でだけ話してるんだけど、やっぱり話したいから宇宙の話をしますね(笑)」
と、朗らかな宇宙おじさんとして元素を始まりとした宇宙の話を始める。正直言って文系でしかない自分としては全ては理解できないけれど、
「元素が融合していって星になって、最後に行き着く元素は鉄なんです。元素記号Feね(笑)
鉄まで行き着くと、星は爆発してバラバラになって飛び散ってしまうんです。その鉄は皆さんが生きているからこそ流れている血の成分です。(客席から拍手が起こる)
つまり、何が言いたいかっていうと、透明ですか?っていうことなんです(笑)」
と、上手くと言っていいのかわからないけれど、とりあえず曲に繋げるような宇宙についてのMCにさらなる歓声が湧き上がると、その言葉から繋がるように「今、透明か」が演奏され、バンドサウンドもさらに激しさを増すことによって「Loop」の世界がクライマックスに突入していくことを感じさせるのであるが、曲最後の
「溢れた」
という大木の叫びによるリフレインにはこちらの感情までもが溢れ出しそうになる。大木は「Loop」を作った当時のことを
「世の中への怒りとかもあったかもしれないけど、とにかくがむしゃらに、無我夢中になって作ったアルバムだった」
と言っていたが、ACIDMANのアルバムの中でもトップクラスにアッパーな曲が入っているイメージが強いアルバムでもあるし、それをこのフレーズから今も強く感じられる。それは20年経ってもACIDMANが当時と変わらぬ衝動を持っているからこそ出来ることである。
その衝動がイントロから爆発するのは、ACIDMANの中でもトップクラスに激しい曲と言えるような「飛光」であり、この日随所で使用されていたステージから放たれるレーザー光線がまさに飛光というように客席に向かって輝くのであるが、この曲はサビで声を張り上げ続けなければいけないために、リリース当時は大木が歌いきれない場面も多々あった。しかし今はそんなことが全くないし、でも声を張り上げるようにして歌うというのは変わっていない。つまり衝動はそのままに技術を向上させ、ボーカリストとして進化してきた20年だったということだ。その大木のボーカルがあるからこそ、佐藤の激しく体を動かす姿もより躍動感に満ち溢れているように見えるのである。
そして個人的に「Loop」における「Your Song」的な立ち位置の曲だと思っている「ドライドアウト」が続け様に演奏されると、もちろんコーラスパートでは大合唱が起きて、それまでは大人しく見ていたような人すらも腕を挙げているくらいの熱狂っぷり。もうそうせざるを得ないくらいに、今目の前で鳴っている音が我々観客に衝動を与えてくれている。その衝動によってついにダイバーすらも出現するのであるが、予期していなかったことだったのかセキュリティがおらずに受け止められず、曲終わりに大木は
「僕らはダイブに関して全然肯定も否定もしてないんで、本当に好きに楽しんで欲しい。衝動でそうなったなら嬉しいんだけど、こっちのケアが間に合わなかった。本当に申し訳ない。好きに楽しんで欲しいけど、怪我だけはして欲しくないんだ。怪我してしまったらどんな楽しい最高の日もそうではなくなってしまうから」
と告げたあたりにもACIDMANのバンドとしての真摯さ、誠実さを感じざるを得ない。だからこそそのバンドのスタンスに対して拍手が起こっていたのが、ちゃんとファンがバンドの思いをわかっているということだ。
そんな大木が
「基本的には人間は常に前を、上を見て生きていくべきだと思う。でも時には後ろを振り返ることも大切だと思う」
と曲の持つメッセージを改めて伝えてから最後に演奏されたのは「Loop」の最後を担う曲である「Turn Around」であり、こうした再現ライブやツアーを行うこともある意味では振り返りであり、そうした美しい思い出があるからこそ、我々は日々を生きていける。そんなことを思っていたら、背面のスクリーンにはアウトロで真っ白な状態に徐々に色がついていき、開演前と同じような映像が浮かび上がる。その見事な演出にも大きな拍手が起こる中で3人はステージを去って行った。
アンコールに応えてメンバー3人がステージに登場すると大木が
「みんな俺たちのことをすぐに忘れちゃう。でもそれはしょうがない。だからまたすぐに会える予定を作りました」
と、これぞACIDMAN!なセトリで構成されたライブ「This is ACIDMAN」が福岡と東京で開催されることを告知する。福岡になったのはこれまでに東名阪で開催したところ、福岡からも開催を望む声が大きかったからというものに応えたからというのもACIDMANらしいが、大木が日程を確認しようとスクリーンの方を振り返ったらすでに日程が消えていて、前を向いたらまたスクリーンに日程が映し出されたことによって、観客から
「大木!後ろ!後ろ!」
というかつてのドリフのコントのように大木が後ろを向くと日程が消えていて
「後ろに何もないじゃないか」
という小芝居が展開されるというのこそが20年を経たからこそのものだと言えるかもしれない。当時では絶対にそんなことをやることはなかっただろう。
佐藤、浦山もそれぞれにこうしてこの再現ツアーができていることの喜びを語ると、大木は先日のGG2023の時にも話していたように、国際天文学の会議が今年日本で開催されること、そのテーマ曲に「ALMA」が選ばれたことを語り、
「自分のエゴでしかないですけど、この曲をやりたいと思います」
と言って、星空が煌めく壮大な映像の前で「ALMA」を演奏するのであるが、この曲はかつて行われたバンドの楽曲人気投票で1位を獲得した曲である。ということはこの選曲は大木のエゴと観客の求めるものが完全に一致している曲である。だからこそこの日もやはり、
「世界の夜に 降り注ぐ星 全ての哀しみ洗う様に
さあ 降り注げ 今、 降り注げ 心が消えてしまう前に」
というフレーズの大木の歌唱に心が震える。その感覚を味わうたびに、まだ自分の心は消えてないと思えるのである。
そうして壮大に締めたかと思いきや、
「もう少し、もう少し上まで行きましょう!」
と大木が言って演奏されたのはアルバムとしては最新作である一昨年リリースの「INNOCENCE」収録のアッパーなギターロックチューン「夜のために」であるのだが、スクリーンに次々に歌詞が映し出される中でその演奏を聴いていると、いつだってACIDMANは今が1番カッコいいと思う。再現ツアーで聴きたかった過去の曲を聴いても、最新の曲を聴いてそう思うことができる。それは20年前から変わらずにずっと我々にそう思わせてくれてきたからこそ、今でもこんなにたくさんの人でZeppの規模が満員になっているのだ。ライブで聴くたびに触れてきたことであるが、
「世界はきっと美しいはずなんだよ」
というフレーズはyamaに大木が提供したタイトルと同じものであり、大木がACIDMANの曲でも提供曲でもずっと同じことを歌い続けてきたことがわかる。それがこれから先も決してブレることがないことも。
そうして最新こそ最高と思わせて終わるかと思いきや、
「最後にもう1曲!」
と言ってさらに演奏されたのは「Your Song」。手拍子が起きたり拳が振り上がる中でサビでは佐藤と浦山とともに観客の大合唱が響き渡るのであるが、この曲をライブで聴くと、今までにライブで観てきたこの曲の光景を思い出す。それこそ去年のSAI、2017年に初開催されたSAI、「創」再現ライブ、This is ACIDMANに武道館ワンマン、フェスの大トリ…。気付いたら20年を超える中でこの曲が本当にたくさんの大切な思い出を作ってくれたことを実感する。それくらいにこの曲が、ACIDMANというバンドの存在が自分の中で大事になっているということも。そんな美しい思い出にこの日の記憶もきっと加わることになる。それを思い出せばいつだって足を前に踏み出すことができる。命や宇宙のことにいつだって光を当てながら歌い鳴らしてきたACIDMANだからこそそう思うことができる。改めてそう思えた「Loop」再現ツアーはやはり今こそが最高だと思えたのだ。
この3人であることも、2人がひたすら大木の思想についていくという関係性も、ACIDMANはずっと変わらない。変わったのは大木が面白い宇宙おじさんになったり、大木と浦山のステージ上での立ち位置が変わったことくらいだ。
でもライブを見るようになった「Loop」のリリースから20年経って、自分の中でのACIDMANというバンドは変わった。あの頃よりも今の方がはるかに自分にとって大事なバンドになった。だからこそまた次は「equal」の再現ツアーもよろしく。
1.Type A
2.アイソトープ
3.Swayed
4.波、白く
5.Rebirth
6.FREE STAR
7.ALE
8.星のひとひら
9.愛を両手に
10.Slow View
11.O
12.静かなる嘘と調和
13.リピート
14.今、透明か
15.飛光
16.ドライドアウト
17.Turn Around
encore
18.ALMA
19.夜のために
20.Your Song
バンドは先週もイベントGGでこの会場でライブを行ったばかりであるが、そのZepp Hanedaの中に入るとステージ前に張られた紗幕には「Loop」のジャケットの上にツアータイトルと日付、会場名が映し出されているのが期待を高まらせる。個人的にはこのアルバムリリース後のタイミングからライブに行くようになったために、当時のフェスのセットリストにもこのアルバムの収録曲が多数入っていただけに実に思い入れのあるアルバムである。
開演時間の前にはアナウンスが入り、注意事項とともにこのツアーが20年ぶりのアルバム再現であることを改めて告げると、19時になったあたりで紗幕には前作アルバムの「INNOCENCE」のツアーから過去のアルバムツアーを遡っていく映像が映し出される。ずっと3人とも変わらないように感じているACIDMANも、こうして映像で振り返ってみると昔の方が若さを感じる出で立ち(特に大木)をしていると感じるが、それはバンドが止まることなくずっと我々がその姿を見てくることができたからこそ、大きく変わることなくグラデーションのように少しずつ変わってきたということでもあるのだが、映像が20年前の「Loop」ツアーの時のものになるとそこで終わり、紗幕の向こう側で浦山一悟がドラムを叩く姿が見え、ステージ逆サイドの下手には佐藤雅俊のベースを弾く姿、そして最後にステージ中央で大木伸夫がギターを弾く姿が巨大なシルエットとして見えるのが実にカッコいいのであるが、それはつまりすでにメンバーはステージ上にスタンバイしているということであり、紗幕が落ちると激しい浦山のドラムのビートによる「Loop」のオープニング曲「Type A」でライブもスタートするのであるが、バンドの演奏の迫力はもちろん、観客の歓声の大きさと腕を振り上げる光景の激しさはとても20年前のアルバムの再現ライブとは思えないほど。個人的にはACIDMANのアルバムの中で最もアッパーなオープニング曲だと思っているだけに、この曲で始まるライブもやはり最大限に気持ちを昂らせてくれる。
しかしながら「創」の再現ライブの時もそうだったのであるが、いわゆる再現ライブというとだいたいはアルバムを収録曲順通りに演奏して、それが終わったら他の曲を…的なものになりがちなのだが、ACIDMANの再現ライブがそうではないのはアルバムとは曲順を変えてこの2曲目で「アイソトープ」が演奏され、大木がイントロのギターを刻んで起きる間隔で佐藤が思いっきり観客を煽って
「オイ!オイ!オイ!オイ!」
と勇壮な声が上がる。その声を聞いていて、こうして観客が声が出せるようになってからこの再現ライブをやることができて本当に良かったなと思う。英語歌詞の曲であるが、サビに入った時の一気に視界が開けていくような、五感が研ぎ澄まされていくような感覚は20年経った今でも全く変わることはない。
するとやはりアルバムとは曲順を変えて、大木のギターもリズム隊もポストロック的な、これもまた実にACIDMANらしいテクニックの高さをフルに生かした曲である「Swayed」では化学というか量子的というか、というような映像がステージ背面をいっぱいに使ったスクリーンに映し出されることによって曲の世界観であり、ACIDMANというバンドの持つ世界観や雰囲気に一気に引き込ませてくれる。じわじわと温めた演奏が一気に大木の叫び的なボーカルによって爆発していくというドラマチックな展開もまた、2枚目のアルバムでこの境地に達していたのかと今更になって驚かされる。
それはイントロから激しいサウンドが鳴らされる「波、白く」というライブにおけるキラーチューンにおいてもそうであるのだが、サビでの大木の安定感と力強さをともに感じさせる歌唱も、それを支えるというよりもむしろぶつかり合いながら一つになるような演奏も、全てが客席に一気に迫り来るかのようである。それはACIDMANが変わらないようでいて常に進化を遂げてきたバンドであるということを改めて示してくれるものである。
そうして迎えた20年ぶりの再現ツアーへの感慨を大木が口にすると、
「20年前のツアーでは東京ではZepp Tokyoでやりました。その時に来てくれた人もいますか?」
と問いかけると結構多くの人が手を挙げており、その人たちに向かって拍手も起こると、
「20年前も来てくれた人たち、歳取ったね〜(笑)」
と笑わせてくれるおじさんたちらしいMCをするようになったことだけは20年という時間の経過を感じさせるのであるが、
「でも20年前も来てくれた人が今日も来てくれて、我々もこうしてこのツアーを20年を経てできているのは、みんな生きてきたから、生きているからです。これでしかありません」
と着地するというあたりも実に大木らしいのであるが、「Loop」の再現ツアーでありながらも、メンバーもバンドも20年生き続けてきたからこそ生み出すことができた曲である、今やライブでおなじみの「Rebirth」という「Loop」収録曲以外の曲もセトリに入ってくるというあたりはさすがACIDMANであり、再現ライブという予想がつきやすいライブを予想できないものへとしてくれるのであるが、そのまま曲間なしで浦山がビートでアウトロから繋げるようにすると、大木がイントロでギターをその場でループさせて客席頭上のミラーボールが煌びやかに輝き出して、間奏で大木が前に出てきて客席を見渡してマイクを通さずに「ありがとう」と口にしながら、観客もサビで飛び跳ねる軽快な四つ打ちチューン「FREE STAR」と続くことによって、20年前のアルバムの曲たちと今のライブでおなじみの曲たちとの間に距離や違和感が全くないということを改めて実感させてくれる。それはACIDMANがずっとブレることなく同じことを歌い続けてきたからこそである。
それはまさにファンタジーな歌詞に合わせるかのように、バンドの代表曲で言うと「ALMA」の時のような星空などの美しい自然の映像がスクリーンいっぱいに映し出される「ALE」→「星のひとひら」という、まさか「Loop」の再現ライブでこの曲たちを聴けるとはと思わざるを得ない曲でもそうであり、盛り上がるというよりもグッと集中して聴き入ることによって曲の世界観に浸るような曲たちだからこそ、この曲たちが鳴らされている最中は良い意味で今この瞬間が「Loop」の再現ツアーであるということを忘れさせてくれる。それくらいに今目の前で鳴っている音楽が全てであり、ACIDMANの世界として貫かれているということである。
そんな「Loop」収録曲ではないのに引き込まれていく最大の曲はスクリーンに歌詞が映し出されることによって、大木の描く世界にどっぷりと浸かることができる「愛を両手に」だろう。その歌詞からはやはり大木の、そして大木の世界観を増幅させる佐藤と浦山の優しさを感じざるを得ないし、歌詞が映し出されるからこそ、
「幸せだったかい?
幸せだったかい?
今でも 星の数ほど 覚えているよ
あなたと生きた日々の全て」
というサビのフレーズを聞いていると、自分にとっての大切だった、いなくなってしまった人の存在を思い出させる。それはきっと聴き手それぞれにとってのそうした存在を想起させることだろうし、大木の感情を込めた歌い方が実に優しさを感じさせるからこそ、心が震えるような感覚になるのである。
しかしそんな曲の後にも大木は
「いつか大木語録っていうのを作りますので、その際は皆さま、お買い上げよろしくお願いします(笑)」
とやはり面白おじさんっぷりを発揮してシリアスな空気に包まれていた会場を和ませてくれるのであるが、
「僕らはアルバムに毎回必ずインスト曲を収録していて、「Loop」にもインスト曲があります。音だけで感情を表現したいと思って、こうしてインスト曲を入れてます」
と、バンドにとってインスト曲が大切な表現であることを改めて伝えてから演奏されたのは、まさにタイトル通りにゆっくりと流れていく心象風景を聴き手の脳内に描かせる「Slow View」であり、佐藤のベースがそのまま曲の展開になっているかのように、静謐に始まったものが曲が進むにつれて躍動感を増していく。「Swayed」の時のような映像もまたその感覚をさらに増大させてくれるものであるが、やはりACIDMANファンの方々はずっとこうしたインスト曲を聴いてきたからか、演奏中の集中力が凄まじい。それは他のバンドのライブではなかなか見れないものであり、20年以上かけて培ってきたバンドとファンの関係性の強さを感じさせる。
その「Slow View」から再び「Loop」の世界に戻って演奏されたのはほぼアルバム通りの流れで(アルバムだとインタールード的な「16185-0」を挟む)演奏された「O」であり、そのノイジーな大木のギターが鳴り響く中でリフレインされる
「再生された空」
というフレーズは退廃的な映像も相まって、一度壊れてしまったものを音楽の力によって蘇らせていくかのように感じられる。それは期せずしてコロナ禍というACIDMANのライブが見れない時期や、観客が声を出せない時期を経て今こうしてこの曲(おそらくこうした再現ツアーという機会でもないとまず演奏されない)をまた聴けているという状況に重なっているようにも感じられるのである。
で、そんな中で事前にこのツアーのセトリを見ていなかったものとしては最も驚かされたのは「Slow View / 飛光」のシングルのカップリング曲である「静かなる嘘と調和」が演奏されたこと。おそらくもうそうそうライブで聴くことはできない曲だろうけれど、カップリングという立ち位置の曲だからこそ、シングルのタイトル曲である2曲以上に「創」の後にまたACIDMANが新しい境地に足を踏み入れたんだなと思ったリリース当時のことを思い出す。まだ青春パンクブームの真っ只中であったが、BUMP OF CHICKENやACIDMANのシングルがオリコン上位に入るようになったことによってシーンの流れが変わりつつあったことも。その時はまだ制服を着た学生で、クラスの音楽好きな人と一緒にCDを貸し借り(だいたい貸す側だったけど)して聴いたりしていたことなんかも。それくらいに長い年月を共にしてきたバンドであり、音楽であり、この曲を聴くと当時のことを思い出すのは、この曲がその歌詞に浸りながら聴けるような曲だからだ。
そして大木のギターによるイントロが鳴らされた瞬間に歓声が起きたのは「Loop」を象徴する名曲だとも言える「リピート」。そこに佐藤のベースと浦山のドラムが重なることによってさらに有機的に、生の実感を持つバンドサウンド。それは背景に美しい森の中や、その森を上空から撮影したような、何らかのエネルギーが放射されているような映像が映し出されていたからかもしれない。そんな映像に合いすぎているこの曲の歌詞はACIDMANの曲の中で写経したくなるようなもののトップクラスと言えるものであるが、
「何を手に入れた?」
というリフレインとともにアウトロでどんどん激しさを増していくバンドサウンドは、インスト曲ではないけれどやはりACIDMANは音だけで感情や情景を表すことができるバンドなんだなと改めて実感させてくれる。アッパーな曲まではいかないけれど、でもメンバーの鳴らしている音や姿はどんな曲よりも強いグルーヴを放っているし、これは絶対にこの3人じゃないと生み出せないものである。
そんなハイライトの一つと言っていい瞬間を描いた後には大木が
「普段はみんなこんな話を聞きたくないだろうなと思って、ファニコンっていう会員制サイトの中でだけ話してるんだけど、やっぱり話したいから宇宙の話をしますね(笑)」
と、朗らかな宇宙おじさんとして元素を始まりとした宇宙の話を始める。正直言って文系でしかない自分としては全ては理解できないけれど、
「元素が融合していって星になって、最後に行き着く元素は鉄なんです。元素記号Feね(笑)
鉄まで行き着くと、星は爆発してバラバラになって飛び散ってしまうんです。その鉄は皆さんが生きているからこそ流れている血の成分です。(客席から拍手が起こる)
つまり、何が言いたいかっていうと、透明ですか?っていうことなんです(笑)」
と、上手くと言っていいのかわからないけれど、とりあえず曲に繋げるような宇宙についてのMCにさらなる歓声が湧き上がると、その言葉から繋がるように「今、透明か」が演奏され、バンドサウンドもさらに激しさを増すことによって「Loop」の世界がクライマックスに突入していくことを感じさせるのであるが、曲最後の
「溢れた」
という大木の叫びによるリフレインにはこちらの感情までもが溢れ出しそうになる。大木は「Loop」を作った当時のことを
「世の中への怒りとかもあったかもしれないけど、とにかくがむしゃらに、無我夢中になって作ったアルバムだった」
と言っていたが、ACIDMANのアルバムの中でもトップクラスにアッパーな曲が入っているイメージが強いアルバムでもあるし、それをこのフレーズから今も強く感じられる。それは20年経ってもACIDMANが当時と変わらぬ衝動を持っているからこそ出来ることである。
その衝動がイントロから爆発するのは、ACIDMANの中でもトップクラスに激しい曲と言えるような「飛光」であり、この日随所で使用されていたステージから放たれるレーザー光線がまさに飛光というように客席に向かって輝くのであるが、この曲はサビで声を張り上げ続けなければいけないために、リリース当時は大木が歌いきれない場面も多々あった。しかし今はそんなことが全くないし、でも声を張り上げるようにして歌うというのは変わっていない。つまり衝動はそのままに技術を向上させ、ボーカリストとして進化してきた20年だったということだ。その大木のボーカルがあるからこそ、佐藤の激しく体を動かす姿もより躍動感に満ち溢れているように見えるのである。
そして個人的に「Loop」における「Your Song」的な立ち位置の曲だと思っている「ドライドアウト」が続け様に演奏されると、もちろんコーラスパートでは大合唱が起きて、それまでは大人しく見ていたような人すらも腕を挙げているくらいの熱狂っぷり。もうそうせざるを得ないくらいに、今目の前で鳴っている音が我々観客に衝動を与えてくれている。その衝動によってついにダイバーすらも出現するのであるが、予期していなかったことだったのかセキュリティがおらずに受け止められず、曲終わりに大木は
「僕らはダイブに関して全然肯定も否定もしてないんで、本当に好きに楽しんで欲しい。衝動でそうなったなら嬉しいんだけど、こっちのケアが間に合わなかった。本当に申し訳ない。好きに楽しんで欲しいけど、怪我だけはして欲しくないんだ。怪我してしまったらどんな楽しい最高の日もそうではなくなってしまうから」
と告げたあたりにもACIDMANのバンドとしての真摯さ、誠実さを感じざるを得ない。だからこそそのバンドのスタンスに対して拍手が起こっていたのが、ちゃんとファンがバンドの思いをわかっているということだ。
そんな大木が
「基本的には人間は常に前を、上を見て生きていくべきだと思う。でも時には後ろを振り返ることも大切だと思う」
と曲の持つメッセージを改めて伝えてから最後に演奏されたのは「Loop」の最後を担う曲である「Turn Around」であり、こうした再現ライブやツアーを行うこともある意味では振り返りであり、そうした美しい思い出があるからこそ、我々は日々を生きていける。そんなことを思っていたら、背面のスクリーンにはアウトロで真っ白な状態に徐々に色がついていき、開演前と同じような映像が浮かび上がる。その見事な演出にも大きな拍手が起こる中で3人はステージを去って行った。
アンコールに応えてメンバー3人がステージに登場すると大木が
「みんな俺たちのことをすぐに忘れちゃう。でもそれはしょうがない。だからまたすぐに会える予定を作りました」
と、これぞACIDMAN!なセトリで構成されたライブ「This is ACIDMAN」が福岡と東京で開催されることを告知する。福岡になったのはこれまでに東名阪で開催したところ、福岡からも開催を望む声が大きかったからというものに応えたからというのもACIDMANらしいが、大木が日程を確認しようとスクリーンの方を振り返ったらすでに日程が消えていて、前を向いたらまたスクリーンに日程が映し出されたことによって、観客から
「大木!後ろ!後ろ!」
というかつてのドリフのコントのように大木が後ろを向くと日程が消えていて
「後ろに何もないじゃないか」
という小芝居が展開されるというのこそが20年を経たからこそのものだと言えるかもしれない。当時では絶対にそんなことをやることはなかっただろう。
佐藤、浦山もそれぞれにこうしてこの再現ツアーができていることの喜びを語ると、大木は先日のGG2023の時にも話していたように、国際天文学の会議が今年日本で開催されること、そのテーマ曲に「ALMA」が選ばれたことを語り、
「自分のエゴでしかないですけど、この曲をやりたいと思います」
と言って、星空が煌めく壮大な映像の前で「ALMA」を演奏するのであるが、この曲はかつて行われたバンドの楽曲人気投票で1位を獲得した曲である。ということはこの選曲は大木のエゴと観客の求めるものが完全に一致している曲である。だからこそこの日もやはり、
「世界の夜に 降り注ぐ星 全ての哀しみ洗う様に
さあ 降り注げ 今、 降り注げ 心が消えてしまう前に」
というフレーズの大木の歌唱に心が震える。その感覚を味わうたびに、まだ自分の心は消えてないと思えるのである。
そうして壮大に締めたかと思いきや、
「もう少し、もう少し上まで行きましょう!」
と大木が言って演奏されたのはアルバムとしては最新作である一昨年リリースの「INNOCENCE」収録のアッパーなギターロックチューン「夜のために」であるのだが、スクリーンに次々に歌詞が映し出される中でその演奏を聴いていると、いつだってACIDMANは今が1番カッコいいと思う。再現ツアーで聴きたかった過去の曲を聴いても、最新の曲を聴いてそう思うことができる。それは20年前から変わらずにずっと我々にそう思わせてくれてきたからこそ、今でもこんなにたくさんの人でZeppの規模が満員になっているのだ。ライブで聴くたびに触れてきたことであるが、
「世界はきっと美しいはずなんだよ」
というフレーズはyamaに大木が提供したタイトルと同じものであり、大木がACIDMANの曲でも提供曲でもずっと同じことを歌い続けてきたことがわかる。それがこれから先も決してブレることがないことも。
そうして最新こそ最高と思わせて終わるかと思いきや、
「最後にもう1曲!」
と言ってさらに演奏されたのは「Your Song」。手拍子が起きたり拳が振り上がる中でサビでは佐藤と浦山とともに観客の大合唱が響き渡るのであるが、この曲をライブで聴くと、今までにライブで観てきたこの曲の光景を思い出す。それこそ去年のSAI、2017年に初開催されたSAI、「創」再現ライブ、This is ACIDMANに武道館ワンマン、フェスの大トリ…。気付いたら20年を超える中でこの曲が本当にたくさんの大切な思い出を作ってくれたことを実感する。それくらいにこの曲が、ACIDMANというバンドの存在が自分の中で大事になっているということも。そんな美しい思い出にこの日の記憶もきっと加わることになる。それを思い出せばいつだって足を前に踏み出すことができる。命や宇宙のことにいつだって光を当てながら歌い鳴らしてきたACIDMANだからこそそう思うことができる。改めてそう思えた「Loop」再現ツアーはやはり今こそが最高だと思えたのだ。
この3人であることも、2人がひたすら大木の思想についていくという関係性も、ACIDMANはずっと変わらない。変わったのは大木が面白い宇宙おじさんになったり、大木と浦山のステージ上での立ち位置が変わったことくらいだ。
でもライブを見るようになった「Loop」のリリースから20年経って、自分の中でのACIDMANというバンドは変わった。あの頃よりも今の方がはるかに自分にとって大事なバンドになった。だからこそまた次は「equal」の再現ツアーもよろしく。
1.Type A
2.アイソトープ
3.Swayed
4.波、白く
5.Rebirth
6.FREE STAR
7.ALE
8.星のひとひら
9.愛を両手に
10.Slow View
11.O
12.静かなる嘘と調和
13.リピート
14.今、透明か
15.飛光
16.ドライドアウト
17.Turn Around
encore
18.ALMA
19.夜のために
20.Your Song
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