サイトウヒロシ還暦祭 〜LUCKY VIBRATION〜 - a flood of circle / POLYSICS @千葉LOOK 7/6
- 2023/07/07
- 22:55
キャパも小さいしステージも見づらいのに、様々なアーティストがツアーで(特に初日)訪れることで有名なライブハウス、千葉LOOK。
その名物店長であり、今でもチケットもぎりや店頭販売などの最前線に立ち続けているサイトウヒロシ店長がついに還暦を迎えたということで(15年以上前からずっと見た目が変わらないだけにもうとっくに還暦を超えてると思っていた
)、今週の千葉LOOKはサイトウ店長の還暦祭となっており、ゆかりのあるアーティストたちが祝うために集結。この日はa flood of circleと POLYSICSという、千葉LOOKに数え切れないくらいに立ってきたであろう2組の対バン。
・a flood of circle
機材のセッティングからして先攻がこのバンドだということがわかる。(それはPOLYSICSの機材がめちゃわかりやすいということでもある)
アルバム「花降る空に不滅の歌を」のツアーを終えてから初めて見るa flood of circleは毎回ツアー初日をこの千葉LOOKで行い、佐々木亮介(ボーカル&ギター)は「歌声喫茶るっく」というこの会場の企画に千葉県出身ボーカリストたちと出演してきた存在である。
場内が暗転しておなじみのSEが鳴って手拍子に迎えられながらメンバーがステージに登場すると、亮介が
「オーイェーオーイェー」
と繰り返すように言ってから、
「おはようございます、a flood of circleです」
とおなじみの挨拶をすると、まさにこれが始まりの「A」とばかりに「A」のHISAYO(ベース)と渡邊一丘(ドラム)の重いリズムがずしりと響き渡るのはこの距離感の近さだからこそであるが、亮介は金髪混じりの髪色で、実に珍しい青色の革ジャンを着ているのがどこかまた新たなモードに入ったことを感じさせる爽やかさを放っている。それはこの久しぶりの選曲からも伝わるところである。
すると青木テツ(ギター)と亮介がギターを掻き鳴らし、渡邊がトライバルなビートを鳴らす、これも実に久しぶりな「Human License」で観客たちが一気に前に押し寄せていく。亮介のファルセット的なコーラスに合わせてその観客が飛び跳ねまくり、音は聞こえど渡邊のドラムセットが全く見えないというあたりは千葉LOOKで何度も見てきたフラッドのライブの光景である。
亮介が
「ヒロシ!ヒロシ!」
とまるでヒロシという選手を応援するかのようにサイトウ店長の名前を叫ぶ中で、渡邊がポコポコとしたカウベルの音を叩いて始まる「狂乱天国」は亮介がハンドマイクで
「祝いたいぜヒロシ」
と歌詞をこの日限定でしかないものに変えながら歌うと、そのまま客席に突入してモーゼの十戒のごとくに道が開いた中を歩いていき、ツナギを着たPOLYSICSファンの方々に一礼してからステージに戻るのであるが、さらに観客に支えられるようにして上に立って歌うという狂乱っぷりをフルに発揮する。それがこの日の祭という1日のモードを決定づけていたとも言える。
さらには亮介がタンバリンを持って叩きながらステージを歩き回って歌う「Sweet Home Battle Field」ではサビのコーラス部分でテツとともに客席からも大きな合唱が起こるのであるが、この曲がこの日に演奏されることが実に嬉しいのは、フラッドにとってこの千葉LOOKがホームであり愛すべき戦場であるということを感じさせてくれる曲であるから。この会場でのワンマンだとファンクラブに入っていてもなかなかチケットが取れないという状況もまたこの千葉LOOKがフラッドにとってホームであるということを物語っている。
そんな亮介が再びギターを持つと、それを激しく掻き鳴らす「The Beautiful Monkeys」が始まった瞬間にさらに観客が一気に前に押し寄せてモッシュのような空気にすらなる。それくらいに場の空気、雰囲気を一瞬で変えることができる必殺の曲というわけであるが、この激しさこそがロックンロールバンドの、それを愛する我々の本能であると思えるような光景が広がっているし、やはり選曲は新作モードからまたガラリと変わっている。
そんな中で亮介がアコギに持ち替えてブルースを歌うような感じで
「サイトウヒロシ還暦おめでとう〜。趣味はソロキャンプ〜。知ってるようで俺たちは何にも知らないのかもしれない〜。毎年一緒に東北に行って震災の跡地を見て、一緒に酒飲むだけじゃなくて泣いたりもしてる〜」
という言葉をサイトウ店長に送ることができるのはきっと亮介しかいないと思われるが、その東北に行った時に見た景色から思い浮かんだのがこの曲なのかもしれないと思うのは、渡邊の口笛も冴え渡る(姿は全く見えないけど)、フラッドのロマンチックサイドの名バラード「月に吠える」であり、その主人公の孤独な心情を示すかのようにして鳴らされる間奏でのテツのギターも本当に沁みる。改めてフラッドはずっと本当に素晴らしい名曲を作り続けてきたバンドなんだなと思わざるを得ない。
そのロマンチックサイドの曲には「月」というモチーフが共通して登場するのも亮介らしさであるが、そのモチーフで繋がるのが「Honey Moon Song」であるのだが、この日は最初から亮介が原曲の穏やかさとは全く違う、思いっきり荒々しく歌うような形で歌っていた。それはそこにさらに強い感情を込めていたからこそ、サイトウ店長への思いが強く伝わってくるのである。この曲を聴くとこれからも我々を、涙溢れるほど笑わせてほしいと心から思うのである。
そんなロマンチックな流れがより壮大になるのは渡邊のドラムの連打によって始まる「New Tribe」という選曲であり、
「生まれ変わるのさ 今日ここで変わるのさ」
というサビのフレーズは年齢を一つ重ねたことによってまた新しく生まれ変わるというこの日のライブのテーマとして最適なものであるのだが、「Honey Moon Song」の感情を込めた歌唱によってバンド全体の演奏とそれが重なり合うグルーヴがさらに熱く向上しているからこそ、この曲のサビでとんでもない解放感を味わうことができるのである。
そしてこの日の前日に誕生日を迎えたテツに
「おめでとうー!」
という観客の声も上がる(いつものようにクールなテツは応えることはしないけれど)と、そのテツが掻き鳴らすギターのリフがすでに名曲であることを伝えてくれるのは、Aメロでリズムに合わせて観客の手拍子が起こる「Boy」で、そのサビではさらに観客が前に押し寄せてモッシュのような状態になるのだが、
「Oh Yeah Keep On Rolling Oh Yeah Keep On Rolling」
という転がり続ける意志を示すような歌詞も「Boy」というタイトルも、千葉LOOKに訪れると貰えるフリーペーパーを読むとわかるサイトウ店長の変わらぬ少年らしさに向けた選曲なんじゃないかと思える。このライブハウスでロックに転がり続けてきた人であるだけに。
そんなフラッドの、亮介の思いをそのまま歌詞と曲にしたかのように
「届け 届いてくれ」
と叫ぶようにして歌われる「花」という選曲もまたそんなサイトウ店長への想いが届いて欲しいと言わんばかりのものであるが、それはきっと本人にもここにいた人たちにも届いていたはずだ。そうして叫び続ける声が花となって実を結ぶということも。それは良いことばかりじゃなくて、むしろ苦難の連続の歴史だったフラッドだからこそ、辛い時期もあったライブハウスの店長のためのイベントだからこそより一層そう感じることができるのである。
すると亮介は客席最前列の柵の上に立つようにしてマイクを通さずに
「俺の夢を叶えるのは俺しかいない」
と歌い始めたのは、最新アルバムのツアーを終えた後に唯一この日のセトリに入った「月夜の道を俺が行く」であり、
「気付けば結局 佐々木亮介」
というとんでもないフレーズでは観客が一斉に亮介のことを指差すという光景もツアーを経て完全におなじみになったものであるのだが、
「愛してるぜBaby?」
と歌いあげるというか叫びあげるようなサビのフレーズは目の前にいる人にも、そしてサイトウ店長にも向けられているようであったし、それはその誰もが
「俺の夢を叶えるのは俺しかいない
俺は行く 月夜の道を」
という存在だからである。
そんなライブの最後に演奏されたのは、渡邊の軽快なリズムに合わせて手拍子が起きる「ベストライド」であるのだが、亮介もテツもHISAYOも一斉にステージ前に出てきて演奏すると、あまりの激しさについにダイバーまでも出現するのであるが、サビでは大合唱も発生する中で亮介は
「サイトウヒロシのベストはいつも今なんだよ!」
と歌詞を変えて歌う。それは亮介は本当にサイトウ店長のことが大好きなんだろうなと思わざるを得ないものであったし、きっとこれからだって何回でも自分にとってのホームグラウンドと言えるこの千葉のライブハウスでフラッドのライブを見ることができると思っていた。この日のセトリが次以降のライブやリリースに繋がるモードではないかもしれないけれど、千葉LOOKといえばの歌声喫茶もまたやって欲しいな。
1.A
2.Human License
3.狂乱天国
4.Sweet Home Battle Field
5.The Beautiful Monkeys
6.月に吠える
7.Honey Moon Song
8.New Tribe
9.Boy
10.花
11.月夜の道を俺が行く
12.ベストライド
・POLYSICS
多分ライブを見るのは去年のロッキンに2度目の恋のピンチヒッターとして出演した時ぶり。昨年は25周年ツアーもあったが、最近あまりライブ見てないなと思ったら、実はこの日が4ヶ月ぶりのライブ。だからこそSEが鳴った段階でHeavy Polysickなファンたちが
「待ってたぞー!」
と早くも歓声を上げるくらいの熱狂っぷりで、そこに黄色いツナギ姿にバイザー姿のメンバー3人が登場すると、ハヤシヒロユキ(ボーカル&ギター&シンセ)が
「サイトウ店長、おめでトイス!」
の挨拶をしてから、演奏も照明もこのバンドの持つ熱量が燃え盛るような「カジャカジャグー」からスタートし、観客も飛び跳ねまくるのであるが、もうその姿からしてこの日の1本のライブを死ぬほど楽しみにしていた人がたくさんいることがわかる。毎月めちゃくちゃライブをやって生きてきたバンドなだけに、毎回ライブを観に行っている人は人生の中で4ヶ月もPOLYSICSのライブを摂取できないということはそうそうなかったんだろうなということが伝わってくる。
その熱量はハヤシのギターも轟音かつ高速で鳴り響き、コーラスだけではなくてボーカルも務めるフミ(ベース)とヤノ(ドラム)のリズム隊の強さ(この規模かつ久しぶりにライブを見ると本当にめちゃくちゃ上手いし、上手いだけではない人間としての強さが音に表れているのがわかる)によって、客席では早くもモッシュの嵐が起こる「How are you?」によってより明らかになるのであるが、そんな代表曲たちに続いて早くも演奏された新曲(「Cosmicなんちゃら」というタイトルで、サビでそのフレーズをハヤシが歌うのだが、なんて歌ってるかはよくわからない)は個人的な第一印象としては「POLYSICS流のヨーデル」というような曲であり、つまりは他のバンドからは絶対に生まれ得ないというあたりはPOLYSICSらしさしかない曲なのだが、観客たちはサビのタイミングを完璧にわかっているということはすでにライブで演奏されてきているんだろうと思う。バンドの演奏の仕上がりっぷりがよりそう感じさせる。
「トイス!」
のハヤシのおなじみの挨拶を観客が返せるようになったのも、コロナ禍ではあらかじめ録音していた音声を流したりしていたことを思い返すと実に感慨深いものがあるが(「トイス!」でそんな感情になる日が来るなんて思ってなかった)、同期だけではなくてハヤシもふんだんにシンセを弾く「Mad Mac」はほぼボーカルフレーズがないだけに、そのPOLYSICS流のダンスサウンドだけで観客を踊らせまくり、モッシュさせるような曲であり、そこにこそこのバンドの強さが表れているなと心から思う。
さらには「Stop Boom」からはハヤシのボーカルにヴォコーダーを通すことによって、よりデジタル感が増す(それでもパンクな人力感が溢れているからこんなに体が動いてしまう)と、「DNA Junction」、「Digital Dancing Zombie」ではそのヴォコーダーボーカルを通しながらも、POLYSICSのメロディのキャッチーさをしっかりと感じることができる。それはハッキリと何て歌ってるかわからないような歌唱なのにこの曲だとしっかり判別がつくというあたりからもわかることであるが、フェスなどの持ち時間ではこの辺りのセクションの曲はほとんど演奏されないために、この尺の長さだからこそ聴ける曲だろうとも思う。
そんなPOLYSICSは
「サイトウヒロシ店長、おめでトイス!」
の大合唱を起こしながら、
「2010年に活動休止した時、5ヶ月ライブやらなかったけど、4ヶ月ぶりってほぼそれくらいだよ(笑)」
と、これだけライブが空くのがバンドにとって異常事態だと言っていいことを告げると、そのライブをやりまくってきたキャリアの中でもうことあるごとにこの千葉LOOKでライブをやっており、1回のツアーで2回回ったり、DJハヤシの不法集会ライブもやったことがあるというくらいにここを訪れてきたのであるが、フラッドと対バンをするのも7年ぶりであり、その時には何故かハヤシと亮介とニューロティカのピエロの人ことあっちゃん(アツシ)の3人で飲みに行ったエピソードを明かすのだが、
ハヤシ「佐々木君があっちゃんのことを「あっちゃんさん」ってずっと呼んでて、あっちゃんが「さん付けしなくていいよ〜」って言ってたんだけど、俺も普通にあっちゃんって呼んでるから大丈夫だよって言ったら佐々木君もあっちゃんって呼ぶようになった」
フミ「何それ!めちゃくちゃ良い話じゃん!」
という詳細を話していると袖から亮介が出てきて、
「その節はありがとうございました。おかげであっちゃんって呼べるようになりました(笑)」
とハヤシに感謝だけ告げて去っていく。
そんな亮介の突然の登場の後に演奏された新曲は「物申したい!」とサビでハヤシが叫ぶ、タイトルもおそらくはそのままなパンクチューンであるのだが、歌詞の詳細はわからないけれど、これまではひたすらシュールな歌詞を歌ってきた、意味よりも響きを重視してきたPOLYSICSの今のメッセージソングと言えるものなのだろうか。
そんな新曲でこれからのPOLYSICSへの期待を高まらせながらも、後半は「Let'sダバダバ」で手拍子と合唱を響かせるのであるが、ヤノの「Let's!」の声に合わせて高くジャンプするHeavy Polysickなファンが今でも何人もいるのを見ることができるのは実に嬉しい。そんな中で間奏ではそのヤノも立ち上がって手拍子をしながら、ハヤシは観客にコール&レスポンスを求めて大きなダバダバコールを起こすのであるが、
「サイトウ店長だけで!」
とマイクを客席に向けるも全く声は返って来ずに、
「これ、いねぇな(笑)」
と客席にいないというまさかの展開によって逆に面白くなるというのもさすがサイトウ店長である。
こちらは昨年のライブですでに演奏していたのを聴いていた、タイトル通りにPOLYSICS流のB-BOPともいうべき「D.B.BOP」はしかし展開の激しさがさすがPOLYSICSと思わざるを得ないくらいに一筋縄ではいかない曲である。こうして様々なタイプの、しかしPOLYSICSでしか絶対に生まれない新曲が次々に生まれているというあたりは26年目を迎えてもまだまだこのバンドでやりたいことがたくさんあるということだろう。
そしてハヤシの顔の横で手を動かすポーズを観客も一斉に真似する「YOUNG OH! OH!」の激しいサウンドによってさらに客席のモッシュなどのノリは激しくなるのであるが、間奏での掛け声に合わせて腕を交互に上げるというおなじみの楽しみ方も「これがこんなに楽しかったのか」と思ってしまうのは、我々が声を上げながらその動作をすることができない数年間を過ごしてきたからだ。そう思うとその直後のハヤシの弾きまくり唸りまくりのギターソロのあまりの上手さにもなんだか感動してしまう。
さらに加速するべく、ハヤシとフミが曲始まりで変身するかのようなポーズを取るのは、やはり燃え盛るような熱さをその音と鳴らしている姿から放つ「URGE ON!!!」なのであるが、その間奏でハヤシが柵の上に足をかけてギターを弾こうとしたら、なんとそのままステージ側に倒れてしまう。それでもギターの音は鳴っていたので大事ではないことはわかっていたが、千葉LOOKはフミも言っていたように客席の後ろの方だとステージがほとんど見えない(それはポリのメンバーの身長によるところもあるとは言っていたけれど)だけに、立ち上がった姿が見えないと心配になってしまう。その後に立ち上がったハヤシは夏フェスなどでよく見たように、スタッフに後ろから水をかけられていたが、暑さによって倒れてしまったところもあったのだろうか。
そのハヤシが曲終わりでしっかり無事であることを口にすると、
「サイトウさん、ソロキャンプしてるときに酔っ払って焚き火の中に手を突っ込んだりしないで欲しいね(笑)これ実話だからね(笑)
我々POLYSICSはサイトウさんが50歳になった時にもこうやって祝わせてもらったんだけど、その時に背中に「50」って書いたツナギをプレゼントしたんだけど、あれ以来見てないな(笑)寝巻きにされてるのかな(笑)
でも今日フラッドと久しぶりに対バンしたら、話が止まらないくらい楽しかった。去年のツアーはワンマンしかなかったから、楽屋が賑やかなのが本当に楽しかった。だから今日はフラッドと、明日下痢するまで飲みたいと思います(笑)パンチ佐藤の言葉だけど(笑)」
と、今やタレントとして活躍する、元オリックスの野球選手であるパンチ佐藤のヒーローインタビュー時の名言を引用しながらサイトウ店長やフラッドも交えたこの日だからこそのMCをして笑わせてくれると、クライマックスはPOLYSICSのロックさとキャッチーさを同時に感じさせてくれる「Speed Up」で文字通りにさらにスピードアップするのであるが、この曲はライブでこそより映える、POLYSICSの魅力をあらゆる意味で最大限に感じさせてくれる曲だと、こうしてライブの後半で聴くことによって改めて思う。
そしてライブの最後を担うのは、今やPOLYSICSの中で1番激しい曲であるとすら言える「SUN ELECTRIC」で、
「飛べ」
というハヤシの歌唱に合わせてついにダイバーも出現するくらいの熱狂っぷりになったのだが、それもそうなるであろうというくらいのヴォコーダー越しでもわかるバンドの演奏のあまりの熱さ。それはPOLYSICSが今でも当代随一のライブバンドであり、ひたすらにライブで勝ってきたことによって、日本最大級のフェスのメインステージに辿り着いたバンドとなったことを示していた。
アンコールで再びメンバーが登場すると、この後のバンドやハヤシのスケジュールを告知してから改めてサイトウ店長に「おめでトイス」を叫んでから演奏されたのはPOLYSICS流のエレクトロとロックの融合と言える「Boys & Girls」であるのだが、こうして長い時間のPOLYSICSのライブを見ていたら、ひたちなかで開催されていた頃のロッキンのLAKE STAGEが恋しくなった。かつて何度となくPOLYSICSを見てきたあのメンバーが倒れるくらいに暑かったあのステージでのライブ。2019年、20周年を迎えたロッキンのLAKE STAGEのトップバッターとして最後にあのステージに立った時と同じように、客席からは最大限の声量でバンドに「ありがとうー!」と叫んでいた。あの時、LAKEが埋まるほどの人はいなかったけれど、それでもずっと行き続けてきたあの場所でのフェスでもトップクラスのライブとして記憶に残り続けている。それを思い出すくらいに、やっぱりPOLYSICSのライブは今でも最高に楽しかった。これから、今までよりももっとライブを見ていたいと思うくらいに。
1.カジャカジャグー
2.How are you?
3.新曲
4.Mad Mac
5.Stop Boom
6.DNA Junction
7.Digital Dancing Zombie
8.新曲
9.Let'sダバダバ
10.D.B.BOP
11.YOUNG OH! OH!
12.URGE ON!!!
13.Speed Up
14.SUN ELECTRIC
encore
15.Boys & Girls
自分がライブに行き始めた時からずっと行っていたり、人生で初めて行ったライブハウスもこの数年でなくなってしまった。だからこそ、こうして学生時代からずっと行き続けている千葉のライブハウスが、コロナ禍での20〜30人しか入れられなかった、胸が張り裂けそうになるくらいに厳しい時を経てもなお、こうして営業を続けていて、たくさんのバンドを千葉に連れてきてくれる。
それはやはり優しくも時にはバンドに厳しい言葉をサイトウ店長の人柄あってこそだ。そんなサイトウ店長にはずっとこの店のカウンターに立ち続けていて欲しいと思うし、60歳どころか70歳、80歳を超えてもずっと元気でいて欲しい。だからこそこのライブを見て言えるのは、サイトウ店長、おめでトイス。
その名物店長であり、今でもチケットもぎりや店頭販売などの最前線に立ち続けているサイトウヒロシ店長がついに還暦を迎えたということで(15年以上前からずっと見た目が変わらないだけにもうとっくに還暦を超えてると思っていた
)、今週の千葉LOOKはサイトウ店長の還暦祭となっており、ゆかりのあるアーティストたちが祝うために集結。この日はa flood of circleと POLYSICSという、千葉LOOKに数え切れないくらいに立ってきたであろう2組の対バン。
・a flood of circle
機材のセッティングからして先攻がこのバンドだということがわかる。(それはPOLYSICSの機材がめちゃわかりやすいということでもある)
アルバム「花降る空に不滅の歌を」のツアーを終えてから初めて見るa flood of circleは毎回ツアー初日をこの千葉LOOKで行い、佐々木亮介(ボーカル&ギター)は「歌声喫茶るっく」というこの会場の企画に千葉県出身ボーカリストたちと出演してきた存在である。
場内が暗転しておなじみのSEが鳴って手拍子に迎えられながらメンバーがステージに登場すると、亮介が
「オーイェーオーイェー」
と繰り返すように言ってから、
「おはようございます、a flood of circleです」
とおなじみの挨拶をすると、まさにこれが始まりの「A」とばかりに「A」のHISAYO(ベース)と渡邊一丘(ドラム)の重いリズムがずしりと響き渡るのはこの距離感の近さだからこそであるが、亮介は金髪混じりの髪色で、実に珍しい青色の革ジャンを着ているのがどこかまた新たなモードに入ったことを感じさせる爽やかさを放っている。それはこの久しぶりの選曲からも伝わるところである。
すると青木テツ(ギター)と亮介がギターを掻き鳴らし、渡邊がトライバルなビートを鳴らす、これも実に久しぶりな「Human License」で観客たちが一気に前に押し寄せていく。亮介のファルセット的なコーラスに合わせてその観客が飛び跳ねまくり、音は聞こえど渡邊のドラムセットが全く見えないというあたりは千葉LOOKで何度も見てきたフラッドのライブの光景である。
亮介が
「ヒロシ!ヒロシ!」
とまるでヒロシという選手を応援するかのようにサイトウ店長の名前を叫ぶ中で、渡邊がポコポコとしたカウベルの音を叩いて始まる「狂乱天国」は亮介がハンドマイクで
「祝いたいぜヒロシ」
と歌詞をこの日限定でしかないものに変えながら歌うと、そのまま客席に突入してモーゼの十戒のごとくに道が開いた中を歩いていき、ツナギを着たPOLYSICSファンの方々に一礼してからステージに戻るのであるが、さらに観客に支えられるようにして上に立って歌うという狂乱っぷりをフルに発揮する。それがこの日の祭という1日のモードを決定づけていたとも言える。
さらには亮介がタンバリンを持って叩きながらステージを歩き回って歌う「Sweet Home Battle Field」ではサビのコーラス部分でテツとともに客席からも大きな合唱が起こるのであるが、この曲がこの日に演奏されることが実に嬉しいのは、フラッドにとってこの千葉LOOKがホームであり愛すべき戦場であるということを感じさせてくれる曲であるから。この会場でのワンマンだとファンクラブに入っていてもなかなかチケットが取れないという状況もまたこの千葉LOOKがフラッドにとってホームであるということを物語っている。
そんな亮介が再びギターを持つと、それを激しく掻き鳴らす「The Beautiful Monkeys」が始まった瞬間にさらに観客が一気に前に押し寄せてモッシュのような空気にすらなる。それくらいに場の空気、雰囲気を一瞬で変えることができる必殺の曲というわけであるが、この激しさこそがロックンロールバンドの、それを愛する我々の本能であると思えるような光景が広がっているし、やはり選曲は新作モードからまたガラリと変わっている。
そんな中で亮介がアコギに持ち替えてブルースを歌うような感じで
「サイトウヒロシ還暦おめでとう〜。趣味はソロキャンプ〜。知ってるようで俺たちは何にも知らないのかもしれない〜。毎年一緒に東北に行って震災の跡地を見て、一緒に酒飲むだけじゃなくて泣いたりもしてる〜」
という言葉をサイトウ店長に送ることができるのはきっと亮介しかいないと思われるが、その東北に行った時に見た景色から思い浮かんだのがこの曲なのかもしれないと思うのは、渡邊の口笛も冴え渡る(姿は全く見えないけど)、フラッドのロマンチックサイドの名バラード「月に吠える」であり、その主人公の孤独な心情を示すかのようにして鳴らされる間奏でのテツのギターも本当に沁みる。改めてフラッドはずっと本当に素晴らしい名曲を作り続けてきたバンドなんだなと思わざるを得ない。
そのロマンチックサイドの曲には「月」というモチーフが共通して登場するのも亮介らしさであるが、そのモチーフで繋がるのが「Honey Moon Song」であるのだが、この日は最初から亮介が原曲の穏やかさとは全く違う、思いっきり荒々しく歌うような形で歌っていた。それはそこにさらに強い感情を込めていたからこそ、サイトウ店長への思いが強く伝わってくるのである。この曲を聴くとこれからも我々を、涙溢れるほど笑わせてほしいと心から思うのである。
そんなロマンチックな流れがより壮大になるのは渡邊のドラムの連打によって始まる「New Tribe」という選曲であり、
「生まれ変わるのさ 今日ここで変わるのさ」
というサビのフレーズは年齢を一つ重ねたことによってまた新しく生まれ変わるというこの日のライブのテーマとして最適なものであるのだが、「Honey Moon Song」の感情を込めた歌唱によってバンド全体の演奏とそれが重なり合うグルーヴがさらに熱く向上しているからこそ、この曲のサビでとんでもない解放感を味わうことができるのである。
そしてこの日の前日に誕生日を迎えたテツに
「おめでとうー!」
という観客の声も上がる(いつものようにクールなテツは応えることはしないけれど)と、そのテツが掻き鳴らすギターのリフがすでに名曲であることを伝えてくれるのは、Aメロでリズムに合わせて観客の手拍子が起こる「Boy」で、そのサビではさらに観客が前に押し寄せてモッシュのような状態になるのだが、
「Oh Yeah Keep On Rolling Oh Yeah Keep On Rolling」
という転がり続ける意志を示すような歌詞も「Boy」というタイトルも、千葉LOOKに訪れると貰えるフリーペーパーを読むとわかるサイトウ店長の変わらぬ少年らしさに向けた選曲なんじゃないかと思える。このライブハウスでロックに転がり続けてきた人であるだけに。
そんなフラッドの、亮介の思いをそのまま歌詞と曲にしたかのように
「届け 届いてくれ」
と叫ぶようにして歌われる「花」という選曲もまたそんなサイトウ店長への想いが届いて欲しいと言わんばかりのものであるが、それはきっと本人にもここにいた人たちにも届いていたはずだ。そうして叫び続ける声が花となって実を結ぶということも。それは良いことばかりじゃなくて、むしろ苦難の連続の歴史だったフラッドだからこそ、辛い時期もあったライブハウスの店長のためのイベントだからこそより一層そう感じることができるのである。
すると亮介は客席最前列の柵の上に立つようにしてマイクを通さずに
「俺の夢を叶えるのは俺しかいない」
と歌い始めたのは、最新アルバムのツアーを終えた後に唯一この日のセトリに入った「月夜の道を俺が行く」であり、
「気付けば結局 佐々木亮介」
というとんでもないフレーズでは観客が一斉に亮介のことを指差すという光景もツアーを経て完全におなじみになったものであるのだが、
「愛してるぜBaby?」
と歌いあげるというか叫びあげるようなサビのフレーズは目の前にいる人にも、そしてサイトウ店長にも向けられているようであったし、それはその誰もが
「俺の夢を叶えるのは俺しかいない
俺は行く 月夜の道を」
という存在だからである。
そんなライブの最後に演奏されたのは、渡邊の軽快なリズムに合わせて手拍子が起きる「ベストライド」であるのだが、亮介もテツもHISAYOも一斉にステージ前に出てきて演奏すると、あまりの激しさについにダイバーまでも出現するのであるが、サビでは大合唱も発生する中で亮介は
「サイトウヒロシのベストはいつも今なんだよ!」
と歌詞を変えて歌う。それは亮介は本当にサイトウ店長のことが大好きなんだろうなと思わざるを得ないものであったし、きっとこれからだって何回でも自分にとってのホームグラウンドと言えるこの千葉のライブハウスでフラッドのライブを見ることができると思っていた。この日のセトリが次以降のライブやリリースに繋がるモードではないかもしれないけれど、千葉LOOKといえばの歌声喫茶もまたやって欲しいな。
1.A
2.Human License
3.狂乱天国
4.Sweet Home Battle Field
5.The Beautiful Monkeys
6.月に吠える
7.Honey Moon Song
8.New Tribe
9.Boy
10.花
11.月夜の道を俺が行く
12.ベストライド
・POLYSICS
多分ライブを見るのは去年のロッキンに2度目の恋のピンチヒッターとして出演した時ぶり。昨年は25周年ツアーもあったが、最近あまりライブ見てないなと思ったら、実はこの日が4ヶ月ぶりのライブ。だからこそSEが鳴った段階でHeavy Polysickなファンたちが
「待ってたぞー!」
と早くも歓声を上げるくらいの熱狂っぷりで、そこに黄色いツナギ姿にバイザー姿のメンバー3人が登場すると、ハヤシヒロユキ(ボーカル&ギター&シンセ)が
「サイトウ店長、おめでトイス!」
の挨拶をしてから、演奏も照明もこのバンドの持つ熱量が燃え盛るような「カジャカジャグー」からスタートし、観客も飛び跳ねまくるのであるが、もうその姿からしてこの日の1本のライブを死ぬほど楽しみにしていた人がたくさんいることがわかる。毎月めちゃくちゃライブをやって生きてきたバンドなだけに、毎回ライブを観に行っている人は人生の中で4ヶ月もPOLYSICSのライブを摂取できないということはそうそうなかったんだろうなということが伝わってくる。
その熱量はハヤシのギターも轟音かつ高速で鳴り響き、コーラスだけではなくてボーカルも務めるフミ(ベース)とヤノ(ドラム)のリズム隊の強さ(この規模かつ久しぶりにライブを見ると本当にめちゃくちゃ上手いし、上手いだけではない人間としての強さが音に表れているのがわかる)によって、客席では早くもモッシュの嵐が起こる「How are you?」によってより明らかになるのであるが、そんな代表曲たちに続いて早くも演奏された新曲(「Cosmicなんちゃら」というタイトルで、サビでそのフレーズをハヤシが歌うのだが、なんて歌ってるかはよくわからない)は個人的な第一印象としては「POLYSICS流のヨーデル」というような曲であり、つまりは他のバンドからは絶対に生まれ得ないというあたりはPOLYSICSらしさしかない曲なのだが、観客たちはサビのタイミングを完璧にわかっているということはすでにライブで演奏されてきているんだろうと思う。バンドの演奏の仕上がりっぷりがよりそう感じさせる。
「トイス!」
のハヤシのおなじみの挨拶を観客が返せるようになったのも、コロナ禍ではあらかじめ録音していた音声を流したりしていたことを思い返すと実に感慨深いものがあるが(「トイス!」でそんな感情になる日が来るなんて思ってなかった)、同期だけではなくてハヤシもふんだんにシンセを弾く「Mad Mac」はほぼボーカルフレーズがないだけに、そのPOLYSICS流のダンスサウンドだけで観客を踊らせまくり、モッシュさせるような曲であり、そこにこそこのバンドの強さが表れているなと心から思う。
さらには「Stop Boom」からはハヤシのボーカルにヴォコーダーを通すことによって、よりデジタル感が増す(それでもパンクな人力感が溢れているからこんなに体が動いてしまう)と、「DNA Junction」、「Digital Dancing Zombie」ではそのヴォコーダーボーカルを通しながらも、POLYSICSのメロディのキャッチーさをしっかりと感じることができる。それはハッキリと何て歌ってるかわからないような歌唱なのにこの曲だとしっかり判別がつくというあたりからもわかることであるが、フェスなどの持ち時間ではこの辺りのセクションの曲はほとんど演奏されないために、この尺の長さだからこそ聴ける曲だろうとも思う。
そんなPOLYSICSは
「サイトウヒロシ店長、おめでトイス!」
の大合唱を起こしながら、
「2010年に活動休止した時、5ヶ月ライブやらなかったけど、4ヶ月ぶりってほぼそれくらいだよ(笑)」
と、これだけライブが空くのがバンドにとって異常事態だと言っていいことを告げると、そのライブをやりまくってきたキャリアの中でもうことあるごとにこの千葉LOOKでライブをやっており、1回のツアーで2回回ったり、DJハヤシの不法集会ライブもやったことがあるというくらいにここを訪れてきたのであるが、フラッドと対バンをするのも7年ぶりであり、その時には何故かハヤシと亮介とニューロティカのピエロの人ことあっちゃん(アツシ)の3人で飲みに行ったエピソードを明かすのだが、
ハヤシ「佐々木君があっちゃんのことを「あっちゃんさん」ってずっと呼んでて、あっちゃんが「さん付けしなくていいよ〜」って言ってたんだけど、俺も普通にあっちゃんって呼んでるから大丈夫だよって言ったら佐々木君もあっちゃんって呼ぶようになった」
フミ「何それ!めちゃくちゃ良い話じゃん!」
という詳細を話していると袖から亮介が出てきて、
「その節はありがとうございました。おかげであっちゃんって呼べるようになりました(笑)」
とハヤシに感謝だけ告げて去っていく。
そんな亮介の突然の登場の後に演奏された新曲は「物申したい!」とサビでハヤシが叫ぶ、タイトルもおそらくはそのままなパンクチューンであるのだが、歌詞の詳細はわからないけれど、これまではひたすらシュールな歌詞を歌ってきた、意味よりも響きを重視してきたPOLYSICSの今のメッセージソングと言えるものなのだろうか。
そんな新曲でこれからのPOLYSICSへの期待を高まらせながらも、後半は「Let'sダバダバ」で手拍子と合唱を響かせるのであるが、ヤノの「Let's!」の声に合わせて高くジャンプするHeavy Polysickなファンが今でも何人もいるのを見ることができるのは実に嬉しい。そんな中で間奏ではそのヤノも立ち上がって手拍子をしながら、ハヤシは観客にコール&レスポンスを求めて大きなダバダバコールを起こすのであるが、
「サイトウ店長だけで!」
とマイクを客席に向けるも全く声は返って来ずに、
「これ、いねぇな(笑)」
と客席にいないというまさかの展開によって逆に面白くなるというのもさすがサイトウ店長である。
こちらは昨年のライブですでに演奏していたのを聴いていた、タイトル通りにPOLYSICS流のB-BOPともいうべき「D.B.BOP」はしかし展開の激しさがさすがPOLYSICSと思わざるを得ないくらいに一筋縄ではいかない曲である。こうして様々なタイプの、しかしPOLYSICSでしか絶対に生まれない新曲が次々に生まれているというあたりは26年目を迎えてもまだまだこのバンドでやりたいことがたくさんあるということだろう。
そしてハヤシの顔の横で手を動かすポーズを観客も一斉に真似する「YOUNG OH! OH!」の激しいサウンドによってさらに客席のモッシュなどのノリは激しくなるのであるが、間奏での掛け声に合わせて腕を交互に上げるというおなじみの楽しみ方も「これがこんなに楽しかったのか」と思ってしまうのは、我々が声を上げながらその動作をすることができない数年間を過ごしてきたからだ。そう思うとその直後のハヤシの弾きまくり唸りまくりのギターソロのあまりの上手さにもなんだか感動してしまう。
さらに加速するべく、ハヤシとフミが曲始まりで変身するかのようなポーズを取るのは、やはり燃え盛るような熱さをその音と鳴らしている姿から放つ「URGE ON!!!」なのであるが、その間奏でハヤシが柵の上に足をかけてギターを弾こうとしたら、なんとそのままステージ側に倒れてしまう。それでもギターの音は鳴っていたので大事ではないことはわかっていたが、千葉LOOKはフミも言っていたように客席の後ろの方だとステージがほとんど見えない(それはポリのメンバーの身長によるところもあるとは言っていたけれど)だけに、立ち上がった姿が見えないと心配になってしまう。その後に立ち上がったハヤシは夏フェスなどでよく見たように、スタッフに後ろから水をかけられていたが、暑さによって倒れてしまったところもあったのだろうか。
そのハヤシが曲終わりでしっかり無事であることを口にすると、
「サイトウさん、ソロキャンプしてるときに酔っ払って焚き火の中に手を突っ込んだりしないで欲しいね(笑)これ実話だからね(笑)
我々POLYSICSはサイトウさんが50歳になった時にもこうやって祝わせてもらったんだけど、その時に背中に「50」って書いたツナギをプレゼントしたんだけど、あれ以来見てないな(笑)寝巻きにされてるのかな(笑)
でも今日フラッドと久しぶりに対バンしたら、話が止まらないくらい楽しかった。去年のツアーはワンマンしかなかったから、楽屋が賑やかなのが本当に楽しかった。だから今日はフラッドと、明日下痢するまで飲みたいと思います(笑)パンチ佐藤の言葉だけど(笑)」
と、今やタレントとして活躍する、元オリックスの野球選手であるパンチ佐藤のヒーローインタビュー時の名言を引用しながらサイトウ店長やフラッドも交えたこの日だからこそのMCをして笑わせてくれると、クライマックスはPOLYSICSのロックさとキャッチーさを同時に感じさせてくれる「Speed Up」で文字通りにさらにスピードアップするのであるが、この曲はライブでこそより映える、POLYSICSの魅力をあらゆる意味で最大限に感じさせてくれる曲だと、こうしてライブの後半で聴くことによって改めて思う。
そしてライブの最後を担うのは、今やPOLYSICSの中で1番激しい曲であるとすら言える「SUN ELECTRIC」で、
「飛べ」
というハヤシの歌唱に合わせてついにダイバーも出現するくらいの熱狂っぷりになったのだが、それもそうなるであろうというくらいのヴォコーダー越しでもわかるバンドの演奏のあまりの熱さ。それはPOLYSICSが今でも当代随一のライブバンドであり、ひたすらにライブで勝ってきたことによって、日本最大級のフェスのメインステージに辿り着いたバンドとなったことを示していた。
アンコールで再びメンバーが登場すると、この後のバンドやハヤシのスケジュールを告知してから改めてサイトウ店長に「おめでトイス」を叫んでから演奏されたのはPOLYSICS流のエレクトロとロックの融合と言える「Boys & Girls」であるのだが、こうして長い時間のPOLYSICSのライブを見ていたら、ひたちなかで開催されていた頃のロッキンのLAKE STAGEが恋しくなった。かつて何度となくPOLYSICSを見てきたあのメンバーが倒れるくらいに暑かったあのステージでのライブ。2019年、20周年を迎えたロッキンのLAKE STAGEのトップバッターとして最後にあのステージに立った時と同じように、客席からは最大限の声量でバンドに「ありがとうー!」と叫んでいた。あの時、LAKEが埋まるほどの人はいなかったけれど、それでもずっと行き続けてきたあの場所でのフェスでもトップクラスのライブとして記憶に残り続けている。それを思い出すくらいに、やっぱりPOLYSICSのライブは今でも最高に楽しかった。これから、今までよりももっとライブを見ていたいと思うくらいに。
1.カジャカジャグー
2.How are you?
3.新曲
4.Mad Mac
5.Stop Boom
6.DNA Junction
7.Digital Dancing Zombie
8.新曲
9.Let'sダバダバ
10.D.B.BOP
11.YOUNG OH! OH!
12.URGE ON!!!
13.Speed Up
14.SUN ELECTRIC
encore
15.Boys & Girls
自分がライブに行き始めた時からずっと行っていたり、人生で初めて行ったライブハウスもこの数年でなくなってしまった。だからこそ、こうして学生時代からずっと行き続けている千葉のライブハウスが、コロナ禍での20〜30人しか入れられなかった、胸が張り裂けそうになるくらいに厳しい時を経てもなお、こうして営業を続けていて、たくさんのバンドを千葉に連れてきてくれる。
それはやはり優しくも時にはバンドに厳しい言葉をサイトウ店長の人柄あってこそだ。そんなサイトウ店長にはずっとこの店のカウンターに立ち続けていて欲しいと思うし、60歳どころか70歳、80歳を超えてもずっと元気でいて欲しい。だからこそこのライブを見て言えるのは、サイトウ店長、おめでトイス。
Talking Rock! FES.2023 day1 @横浜アリーナ 7/8 ホーム
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