Base Ball Bear 「Guitar! Guitar! Drum! Drum! Bass! Bass!」 TOUR @Zepp DiverCity 3/8
- 2023/03/09
- 19:14
先月にすでにツアー初日の千葉LOOKでのワンマンを見ているが、Base Ball Bearの今回の「Guitar! Guitar! Drum! Drum! Bass! Bass!」ツアーはコロナ禍になって以降初めてというくらいに実に久々に全国を細かく回るものになっているのであるが、関東でも千葉から横浜や水戸などを周り、この日は今回のツアーでは最大級の大箱となるZepp DiverCityへ。通常であればツアーファイナルに1番大きい会場に…となりがちなものであるが、まだこの日はツアー中盤である。
基本的な流れは千葉LOOKと変わらないので、詳細はそちらのレポも参照にしていただきたい。
(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-1165.html?sp)
さすがにソールドアウトとはならなかったものの、平日にもかかわらずたくさんの人が詰めかけた会場にはOasisなどのBGMが流れている中、19時を少し過ぎたあたりでおなじみのXTCのSEが流れてメンバーが登場するのであるが、ベボベはこの日のライブから観客の声出しを解禁したということもあり、客席から大きな歓声が上がる。それも実に久しぶりなことであるが、声が出せるようになっても長く大きく拍手が小さくなることはないあたりが、本当に観客たちがベボベのライブを待ち望んでいたことがわかるのであるが、堀之内大介(ドラム)はその観客の声出しによってテンションが上がったのか、珍しくSEの段階で観客に手拍子を求めるような仕草をする。とはいえそこは変態的ポップバンドのXTCの曲であり、その曲に手拍子するのが慣れていないだけにあまり手拍子のリズムは揃っていなかったけれど。
昨年11月の日本武道館ワンマンの際に新曲として販売され、全国流通版もリリースされた、今のベボベとしての爽やかなギターロックサウンドの「海になりたい part.3」から始まるというのは変わらないけれども、広いステージであるだけにメンバーの頭上には無数の棒のようなものが飾り付けられているというのは関東屈指の小箱である千葉LOOKとは全く違うものであり、そのステージの様子だけでも同じツアー内でも全く違う印象を抱かせるのであるが、それ以上に違う印象を持たせるのはなんといってもバンドの演奏であり、20年に渡ってバンドを続けていて、もはやキャリア的にも年齢的にも完全にベテランと言える域に突入してもまだまだ進化できるということを示してくれているかのようであるし、至近距離のライブハウスで見るのも楽しかったが、ベボベの曲やサウンドはやはりこのくらいのキャパにふさわしいスケールを持って響くものなんだなということを実感する。
それは続く「GIRL FRIEND」でもそうなのだが、何よりも千葉LOOKの時とは違うのは、観客がイントロのキメに合わせて力強く「オイ!」と叫んでいること。そうそう、ベボベのライブはこうだった、合唱するわけではないけれど、観客がみんなで声を出すことによってより楽しくなれるものなんだよな、ということを思い出させてくれる。それは小出祐介(ボーカル&ギター)の
「ハートに火をつけてくれよ」
のフレーズの後に「エーオ」とコーラスするのを、近年の堀之内と関根史織(ベース&コーラス)だけではなくて観客も歌うというのもそうだ。それをバンドの鳴らす大きな音の中でもはっきりと聞き取ることができている。客席にいたみんながこの瞬間を待っていたんだよな、と思うとこんな序盤で、しかもすでに初日に参加しているツアーなのに早くも感動し過ぎて泣きそうになってしまっていた。
しかしこの日から声出しが解禁になったことに触れながらも、そんな感動をよそに
小出「ツアーで関東シリーズとして何公演か回ってきまして、ライブ後にメンバーを撮影した映像を毎回チェックしてるんですけど、俺全然動いてないなって思った。何この人、全然動かないじゃん!って!(笑)」
堀之内「いや、お前のことだよ!(笑)」
というワンマンおなじみかつ楽しみの一つである公開ラジオ的なMCが始まり、
小出「逆に関根さんがめちゃくちゃ動いてるから、より俺が全然動いてないみたいに見えた。だから逆に関根さんは今日は田淵君くらいに動いて(笑)モニター飛び越えたりするくらいに(笑)」
堀之内「そういう曲ねぇわ!」
小出「そしたら俺も田淵君みたいになるから。ダブル田淵君。ダブチ」
堀之内「ダブルチーズバーガーみたいになってるじゃん!(笑)」
と、昨年初めてツーマンの対バンを果たした同世代バンド、UNISON SQUARE GARDENの名前を出しつつ、ツアーを経てきたことによってか小出のボケも堀之内のツッコミもさらにキレを増している。このMCも演奏ではないけれどバンドの進化だと言っていいのかもしれない。
そんなMCの後には、メロディもコーラスも実に美しい曲だけれど、この日はどこかテンポ自体は速くなっているわけではないのにどこか今までよりも疾走感やスピード感を感じさせた「いまは僕の目を見て」こそライブでよく演奏されている曲であるが、堀之内が細かくリズムを刻み、小出がファルセットボーカルを響かせる、実に13年ぶりに演奏されたことになる「Shine On You Cypress Girl」からライブで久しぶりに演奏する曲が続く。流れ、曲自体はツアーを通して同じではあるのだが、そうして繰り返し演奏してきたことによって、そんな久しぶりの曲たちが今のスリーピース(それくらいに演奏されていなかったということは今の編成になってから演奏するのは初めてということである)の形によりスッと入り込んでいる。つまりは
「作った時やレコーディングした時のことを全く覚えていない」
という曲でさえも完全に自分たちのものにしているということだ。それくらいにずっと演奏され続けてきた曲であるかのような安定感や安心感と、ロックバンドとしての衝動が両立した、実はベボベは今こそ最強なんじゃないか?と思うくらいのパフォーマンスを展開している。
それはリズムこそ跳ねながらも、小出の鳴らすノイジーなギターサウンドも歌詞の内容も、深く青い照明までも実に重たさを感じさせる、
小出「この曲何のシングルのカップリングだっけ?」
堀之内「「ドラマチック」ですかね。
(観客が頷いたのを見て)こういうやり取りが良いですよね〜」
と、本当にどうやって作ったのかを全く覚えていなそうな「透明26時」もそうであるが、それは小出の言う通りに当時のベボベがどれだけ目まぐるしい活動をしていたかということを示すものでもあり、そうした時期を超えたからこそ、堀之内の軽やかでありながらも強靭なエイトビートのドラムのイントロが加わったアレンジによって演奏された「愛してる」が、過去の曲を今の自分たちにふさわしい、その曲の魅力をよりしっかりと伝える形にアップデートすることができているという今のベボベの地に足が着いた活動っぷりを感じさせてくれる。コロナ禍になって観客の声がなくなってコーラスの頻度も声量もさらに増さざるを得ない場面を経験してきたからこそ、関根のボーカルパートの歌唱もさらに進化していると感じられる。
そんなライブの進化に自分たちも自覚的なようで、
小出「去年の11月に武道館でワンマンやってから4ヶ月ぶりの東京でのワンマンですけど、武道館を経てさらにめちゃくちゃライブ良くなってる感じしない?」
関根「めちゃくちゃする。マジでそう思う」
と言いながらも、ツアー前に音作りを見直したりという要素もあるものの、具体的に何で今になってここまでライブが良くなっているのかは本人たちもハッキリとはわかっていないらしいが、それは小出が
「いろんなところで初武道館をやって僕の心が折れたってことを話してますけど、当時はプロデューサーに玉井さんが(agehaspringsの玉井健二)入っててくれたから、何か責任が発生してもずっと逃げてた。だから俺の責任の所在はどこ?ってなってたのが、武道館で心が折れて天狗にならなかったことで、ポップスに行くことを選ばなかった。あそこで俺が調子に乗ってたらポップスの道を選んで売れ線の曲ばかり作ってたかもしれない。髭ダンみたいなバンドになってたかもしれない(笑)
でもそういう道を選ばずに、ロックバンドとして生きていく道を選んだ。タイアップをガンガンやるようなバンドにはならなかったけど、この道を選んで本当に良かったと思ってる」
と言ったこと、その言葉に堀之内と関根が深く頷いていたことが全てだと思う。ロックバンドとしてライブハウスを回ってライブを重ねるという道を選んだからこそ、こうして今でもライブが進化しているのがわかるライブバンドになれたのだ。ベボベがその道を選んでくれて本当にありがとうと思うのは、それが何よりもカッコいいということをその音で示してくれているからだ。
「何才になってもそうやって生きていきたい」
と口にしてから演奏された「何才」からは今のバンドのグルーヴの強さを感じさせるような曲も演奏されていくのであるが、千葉LOOKと比べて本編内で唯一変わったのは8曲目が「プールサイダー」から「ヒカリナ」になった部分。他の会場ではまた別の曲が演奏されたりもしたらしいが、この曲のタイトル通りに光がきらめくようなメロディを押し出すような堀之内の四つ打ちのリズムは観客も飛び跳ねずにはいられないというくらいに軽やかでありながらも凛とした強さを感じさせる曲だ。こうしてまた最近はあまりライブで聴けなかった曲が聴けるのは嬉しい限りであるし、先ほどのMCを受けてかこの2曲では間奏で小出がステージ前に出てきてギターソロを弾いていた。もちろんその姿を見た観客は大きな拍手と歓声を送る。なんだかやっぱりその光景はずっとライブを見てきた身としても実に新鮮に感じられるのだが。
そして小出がギターを激しく、しかし優雅にカッティングするのはこのツアーの個人的最大の楽しみであり喜びの曲である「BOYS MAY CRY」であるのだが、「神々LOOKS YOU」のカップリングという、ファンクラブに入っていてその先行でチケットを取った人が大半という濃いベボベファンが集まったであろう千葉LOOKの何倍もの人がいるこのZepp規模でもサビでたくさんの人が腕を上げている。ライブでほとんど演奏されなくても、みんなこの曲の名曲っぷりを知っている。自分はずっとこの曲をベボベの隠れた名曲だと思ってきたけれど、そんな曲がついに隠れることなくその存在感を発揮したのがこのツアーだ。ラスサビ前に堀之内がスティックを叩く仕草をすると観客もみんな手拍子をするのも実に楽しいだけに、これからはライブの定番曲になってはくれないだろうか。そう思うくらいに、良い曲ばかりあるというか、良い曲しかないベボベのディスコグラフィーの中でもトップクラスに大好きな曲なのだ。
一転して淡い照明に照らされながらメンバーが削ぎ落としたサウンドで演奏する「どうしよう」も久しぶりながらもこのツアーで完全に今の自分たちのものにしており、それゆえに観客も盛り上がるというよりも音に身を任せて体を揺らすようにすると、このツアーが久しぶりに本数が多くて日本のいろんな場所を回るものになるものであることについて話し始め、
小出「前回の「DIARY KEY」のアルバムツアーなんか8本だけですよ?アルバムツアーが8本ってマジで無理じゃない?」
関根「マジで無理〜(なぜかギャルっぽくてテンション高い)」
小出「でも僕は東京生まれ東京育ちで、前はあんまり他所に行くのとか好きじゃなくて。昔ツアーで沖縄に行った時にみんなは居酒屋に行ってゴーヤチャンプルー食べたりしてるのにほっともっとで弁当買って一人でホテルで食べて(笑)
ほっともっとにゴーヤチャンプルー弁当のポスターあったのに海苔弁買って(笑)
っていうくらいに外にも出たくないってくらいにキモい尖り方をしていたんだけど(笑)、やっぱりコロナになって旅が出来なくなって寂しい気持ちがあって。前回のツアーの山口公演で空港から車で会場に向かう途中の山の中に24時間営業の山賊のおにぎり屋みたいな店があって。そこは山口の人が免許を取ったら練習がてら行く店みたいなんだけど、店の前に赤い絨毯が敷かれたベンチみたいなのが置いてあって、そこに座って3人でおにぎり食べて。たまたま結成記念日が近かったからその写真撮ってあげたりして」
関根・堀之内「そうそう、そういうことするのめちゃくちゃ珍しいなって思った」
小出「そういうのが楽しいって思えるようになったんだよね。だからこれからも旅をしていきたいし、このライブが終わったら関東以外の場所に旅をしに行ってきます」
と、千葉LOOKの時もテーマとしては同じ「旅」とそれが出来なくなったことを口にしていたが、こうした全く違うエピソードを話してくれることによって、その「旅」をテーマにした曲である「風来」を聴いていると、3人がスタッフたちと飛行機で空港まで行って、そこからワイワイしたりしながら車で移動してご飯を食べて会場へ行って…というこの日だからこそのイメージが浮かんでくる。その旅の最中にこうして目の前にいてくれて、音を鳴らしているのを見れることが本当に尊く感じられるのである。
そして怒涛の後半の口火を切るのは小出がギターをカッティングし、関根の重いベースの音がグルーヴを作る「曖してる」であり、「愛してる」と同時にこの曲が聴けるというのもこのツアーの目玉の一つであるが、小出のスピード感あふれる歌唱も千葉LOOKの時よりもやはりはるかに進化しているというか、曲自体を自分自身の元に引き寄せているような歌唱になっている。それによってやはり小出は同世代のバンドの中でも一際歌唱力が高いボーカリストであると思えるし、それが今でも武道館などの大きな会場でライブができるバンドになれた理由の一つだと思う。間奏では小出と関根が並んでステージ前に出てきて演奏するという、ダブル田淵とまではいかなくても今まで見ることがなかった光景を見れるというのはついついグッときてしまう。
そのグルーヴが推進力になることによって「DIARY KEY」というほぼ最新と言える時期の曲もさらにアップデートされており、これが現状のこの曲の完成形とすら思えるくらいなのだが、この曲あたりから堀之内のドラムの一打一打がさらに強くなってきている。元から持ちうるパワーを注ぎ込むドラマーだったけれど、このツアーでさらにそこが進化し、観客の声によって発する力を自分のものにしているかのような。
だからこそ関根のベースのグルーヴが引っ張るというイメージが強かった、小出のラップ歌唱が見事な「PARK」もこの日は堀之内のドラムが牽引しているように感じられた。ヒップホップの要素を取り入れながらもロックバンドとしか感じられないライブになっているのは間違いなくその生のリズムの強さによってそう感じられる部分だろう。
そして小出がエフェクターを駆使しながら、デジタルなようでありながらも人力のサウンドを鳴らし、それに合わせて照明も明滅するとイントロで再び「オイ!オイ!」というコールが起こりまくるのは「yoakemae」であり、さすがに
「夜明け前は」
のフレーズでは関根のボーカルが強いことによって観客の声までは聞こえなかったけれども、音源だけを聴くとクールなイメージもある(特にこの曲の時期の)ベボベはライブになると本当に熱い。きっとたくさんの観客が汗をかきながら飛び跳ね、声を出していただろうけれど、そうしたくなるというか、そうならざるを得ないくらいにバンドの演奏が熱いからだ。それが観客をさらに熱くしていき、またその熱量がバンドに伝わって…というライブならではの幸福な循環が今もずっと続いている。それを感じさせてくれるくらいに本当にカッコいいバンドだと思える。
そして小出が
「今日はどうもありがとうございました」
と言って関根が重いベースのイントロを鳴らして始まった「Stairway Generation」でもやはり観客の「オイ!オイ!」というコールが力強く響く。ようやくまたこうして声が出せるようになったんだから、このツアーが終わったら今度はこうして観客が声を出すようなタイプの曲をたくさん演奏するようなライブもやってくれないかなと思っていた。できればこれくらいたくさんのベボベを好きな人が集まれるような場所で。
アンコールで再びメンバーが登場すると、言葉を発するよりも先に少しダークなギターサウンドとトーンの低い小出のボーカル、薄暗い照明によって始まったのはなんと「Project Blue」。千葉LOOKでこの位置で演奏されて歓喜した「HUMAN」はやらないんかい、とも思うけれども、まさか今になってこの曲が聴けるとは。関根のボーカルによる
「二分後の僕達を染めるのは何色か」
という一気に光が射し込むような清冽なサビのメロディが、室内であるライブハウスにいながらにしてベボベの描く青空に包み込まれるような感覚になっていく。曲がそれくらいのスケールを持ち合わせていて、バンドの表現力がそれをさらに拡張するようなレベルになった。つまりはこの曲は今の最強のベボベでこそ演奏されるべき曲で、その真価を最大限に発揮することができていると言えるのかもしれない。
そんなクライマックスにふさわしい曲を演奏しながらもまだライブは終わらず、小出が再び
「ツアー各地、行ってきます!」
と言って演奏されたのはイントロで小出のギターが我々の明日に確信と希望を与えてくれるように鳴り響き、その瞬間にたくさんの観客の腕が上がる「changes」。小出はやはり前に出てきて演奏するというこのツアー中に手に入れた新たなパフォーマンスを披露すると、関根もステップを踏むようにしてベースを弾き、堀之内のシンバル系の金物の音の一つが「なんでこんな音が出せるんだ…」と思ってしまうくらいに力強く響く。それは
「新現実 誰の物でもない 新しい自分
変わったのは僕自身だ」
と最後に小出が高らかに歌い上げた通りに、変わることを恐れることなく進化し続けてきた今のベボベこそが最強だということを示すようだった。おなじみの堀之内の去り際のマイクを通さずとも響き渡る
「ありがとうございました!」
の言葉を聞いている時には、2ヶ月後の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンが楽しみになるとともに、これ以上進化したらどうなってしまうのか…という末恐ろしさすら感じてしまっていたし、
「久しぶりに皆さんの声が聞けて嬉しかったです」
という小出の言葉を聞くことができたのも嬉しかった。
小出の言葉の通りにまだ若手だった頃はどんなバンドにもなれる、どんな方向にも行けるようなポテンシャルをBase Ball Bearは持っていた。しかし小出が口にしていたような、実はめちゃマニアックかつ難解なことをやりながらもポップスになるというOfficial髭男dismのような道ではなく、誰かに求められるものよりもひたすらに自分たちのやりたいと思うことをやるバンドとして、そのポテンシャルを(実は節目節目のライブで小出はそうしたことを口にしてきたが)ロックバンドとしてのBase Ball Bearに全振りしてきた。それを選んだからこそ、今ここでこうしたライブをやることができている。そんなロックバンドであり続けることを選んだ3人の生き様が確かに鳴っていたライブだった。
出会ってからもう18年も経つということには驚いてしまうけれど、それでもベボベとはまだまだ一緒に楽しい思いをして生きていきたいと思うし、辛いことがあったらベボベの胸を借りて泣いたっていいだろうとも思う。そう思える存在がいてくれるということが自分の生きる力になる。それがきっと何千人分も重なっていた一夜だった。
1.海になりたい part.3
2.GIRL FRIEND
3.いまは僕の目を見て
4.Shine On You Cypress Girl
5.透明26時
6.愛してる
7.何才
8.ヒカリナ
9.BOYS MAY CRY
10.どうしよう
11.風来
12.曖してる
13.DIARY KEY
14.PARK
15.yoakemae
16.Stairway Generation
encore
17.Project Blue
18.changes
基本的な流れは千葉LOOKと変わらないので、詳細はそちらのレポも参照にしていただきたい。
(http://rocknrollisnotdead.jp/blog-entry-1165.html?sp)
さすがにソールドアウトとはならなかったものの、平日にもかかわらずたくさんの人が詰めかけた会場にはOasisなどのBGMが流れている中、19時を少し過ぎたあたりでおなじみのXTCのSEが流れてメンバーが登場するのであるが、ベボベはこの日のライブから観客の声出しを解禁したということもあり、客席から大きな歓声が上がる。それも実に久しぶりなことであるが、声が出せるようになっても長く大きく拍手が小さくなることはないあたりが、本当に観客たちがベボベのライブを待ち望んでいたことがわかるのであるが、堀之内大介(ドラム)はその観客の声出しによってテンションが上がったのか、珍しくSEの段階で観客に手拍子を求めるような仕草をする。とはいえそこは変態的ポップバンドのXTCの曲であり、その曲に手拍子するのが慣れていないだけにあまり手拍子のリズムは揃っていなかったけれど。
昨年11月の日本武道館ワンマンの際に新曲として販売され、全国流通版もリリースされた、今のベボベとしての爽やかなギターロックサウンドの「海になりたい part.3」から始まるというのは変わらないけれども、広いステージであるだけにメンバーの頭上には無数の棒のようなものが飾り付けられているというのは関東屈指の小箱である千葉LOOKとは全く違うものであり、そのステージの様子だけでも同じツアー内でも全く違う印象を抱かせるのであるが、それ以上に違う印象を持たせるのはなんといってもバンドの演奏であり、20年に渡ってバンドを続けていて、もはやキャリア的にも年齢的にも完全にベテランと言える域に突入してもまだまだ進化できるということを示してくれているかのようであるし、至近距離のライブハウスで見るのも楽しかったが、ベボベの曲やサウンドはやはりこのくらいのキャパにふさわしいスケールを持って響くものなんだなということを実感する。
それは続く「GIRL FRIEND」でもそうなのだが、何よりも千葉LOOKの時とは違うのは、観客がイントロのキメに合わせて力強く「オイ!」と叫んでいること。そうそう、ベボベのライブはこうだった、合唱するわけではないけれど、観客がみんなで声を出すことによってより楽しくなれるものなんだよな、ということを思い出させてくれる。それは小出祐介(ボーカル&ギター)の
「ハートに火をつけてくれよ」
のフレーズの後に「エーオ」とコーラスするのを、近年の堀之内と関根史織(ベース&コーラス)だけではなくて観客も歌うというのもそうだ。それをバンドの鳴らす大きな音の中でもはっきりと聞き取ることができている。客席にいたみんながこの瞬間を待っていたんだよな、と思うとこんな序盤で、しかもすでに初日に参加しているツアーなのに早くも感動し過ぎて泣きそうになってしまっていた。
しかしこの日から声出しが解禁になったことに触れながらも、そんな感動をよそに
小出「ツアーで関東シリーズとして何公演か回ってきまして、ライブ後にメンバーを撮影した映像を毎回チェックしてるんですけど、俺全然動いてないなって思った。何この人、全然動かないじゃん!って!(笑)」
堀之内「いや、お前のことだよ!(笑)」
というワンマンおなじみかつ楽しみの一つである公開ラジオ的なMCが始まり、
小出「逆に関根さんがめちゃくちゃ動いてるから、より俺が全然動いてないみたいに見えた。だから逆に関根さんは今日は田淵君くらいに動いて(笑)モニター飛び越えたりするくらいに(笑)」
堀之内「そういう曲ねぇわ!」
小出「そしたら俺も田淵君みたいになるから。ダブル田淵君。ダブチ」
堀之内「ダブルチーズバーガーみたいになってるじゃん!(笑)」
と、昨年初めてツーマンの対バンを果たした同世代バンド、UNISON SQUARE GARDENの名前を出しつつ、ツアーを経てきたことによってか小出のボケも堀之内のツッコミもさらにキレを増している。このMCも演奏ではないけれどバンドの進化だと言っていいのかもしれない。
そんなMCの後には、メロディもコーラスも実に美しい曲だけれど、この日はどこかテンポ自体は速くなっているわけではないのにどこか今までよりも疾走感やスピード感を感じさせた「いまは僕の目を見て」こそライブでよく演奏されている曲であるが、堀之内が細かくリズムを刻み、小出がファルセットボーカルを響かせる、実に13年ぶりに演奏されたことになる「Shine On You Cypress Girl」からライブで久しぶりに演奏する曲が続く。流れ、曲自体はツアーを通して同じではあるのだが、そうして繰り返し演奏してきたことによって、そんな久しぶりの曲たちが今のスリーピース(それくらいに演奏されていなかったということは今の編成になってから演奏するのは初めてということである)の形によりスッと入り込んでいる。つまりは
「作った時やレコーディングした時のことを全く覚えていない」
という曲でさえも完全に自分たちのものにしているということだ。それくらいにずっと演奏され続けてきた曲であるかのような安定感や安心感と、ロックバンドとしての衝動が両立した、実はベボベは今こそ最強なんじゃないか?と思うくらいのパフォーマンスを展開している。
それはリズムこそ跳ねながらも、小出の鳴らすノイジーなギターサウンドも歌詞の内容も、深く青い照明までも実に重たさを感じさせる、
小出「この曲何のシングルのカップリングだっけ?」
堀之内「「ドラマチック」ですかね。
(観客が頷いたのを見て)こういうやり取りが良いですよね〜」
と、本当にどうやって作ったのかを全く覚えていなそうな「透明26時」もそうであるが、それは小出の言う通りに当時のベボベがどれだけ目まぐるしい活動をしていたかということを示すものでもあり、そうした時期を超えたからこそ、堀之内の軽やかでありながらも強靭なエイトビートのドラムのイントロが加わったアレンジによって演奏された「愛してる」が、過去の曲を今の自分たちにふさわしい、その曲の魅力をよりしっかりと伝える形にアップデートすることができているという今のベボベの地に足が着いた活動っぷりを感じさせてくれる。コロナ禍になって観客の声がなくなってコーラスの頻度も声量もさらに増さざるを得ない場面を経験してきたからこそ、関根のボーカルパートの歌唱もさらに進化していると感じられる。
そんなライブの進化に自分たちも自覚的なようで、
小出「去年の11月に武道館でワンマンやってから4ヶ月ぶりの東京でのワンマンですけど、武道館を経てさらにめちゃくちゃライブ良くなってる感じしない?」
関根「めちゃくちゃする。マジでそう思う」
と言いながらも、ツアー前に音作りを見直したりという要素もあるものの、具体的に何で今になってここまでライブが良くなっているのかは本人たちもハッキリとはわかっていないらしいが、それは小出が
「いろんなところで初武道館をやって僕の心が折れたってことを話してますけど、当時はプロデューサーに玉井さんが(agehaspringsの玉井健二)入っててくれたから、何か責任が発生してもずっと逃げてた。だから俺の責任の所在はどこ?ってなってたのが、武道館で心が折れて天狗にならなかったことで、ポップスに行くことを選ばなかった。あそこで俺が調子に乗ってたらポップスの道を選んで売れ線の曲ばかり作ってたかもしれない。髭ダンみたいなバンドになってたかもしれない(笑)
でもそういう道を選ばずに、ロックバンドとして生きていく道を選んだ。タイアップをガンガンやるようなバンドにはならなかったけど、この道を選んで本当に良かったと思ってる」
と言ったこと、その言葉に堀之内と関根が深く頷いていたことが全てだと思う。ロックバンドとしてライブハウスを回ってライブを重ねるという道を選んだからこそ、こうして今でもライブが進化しているのがわかるライブバンドになれたのだ。ベボベがその道を選んでくれて本当にありがとうと思うのは、それが何よりもカッコいいということをその音で示してくれているからだ。
「何才になってもそうやって生きていきたい」
と口にしてから演奏された「何才」からは今のバンドのグルーヴの強さを感じさせるような曲も演奏されていくのであるが、千葉LOOKと比べて本編内で唯一変わったのは8曲目が「プールサイダー」から「ヒカリナ」になった部分。他の会場ではまた別の曲が演奏されたりもしたらしいが、この曲のタイトル通りに光がきらめくようなメロディを押し出すような堀之内の四つ打ちのリズムは観客も飛び跳ねずにはいられないというくらいに軽やかでありながらも凛とした強さを感じさせる曲だ。こうしてまた最近はあまりライブで聴けなかった曲が聴けるのは嬉しい限りであるし、先ほどのMCを受けてかこの2曲では間奏で小出がステージ前に出てきてギターソロを弾いていた。もちろんその姿を見た観客は大きな拍手と歓声を送る。なんだかやっぱりその光景はずっとライブを見てきた身としても実に新鮮に感じられるのだが。
そして小出がギターを激しく、しかし優雅にカッティングするのはこのツアーの個人的最大の楽しみであり喜びの曲である「BOYS MAY CRY」であるのだが、「神々LOOKS YOU」のカップリングという、ファンクラブに入っていてその先行でチケットを取った人が大半という濃いベボベファンが集まったであろう千葉LOOKの何倍もの人がいるこのZepp規模でもサビでたくさんの人が腕を上げている。ライブでほとんど演奏されなくても、みんなこの曲の名曲っぷりを知っている。自分はずっとこの曲をベボベの隠れた名曲だと思ってきたけれど、そんな曲がついに隠れることなくその存在感を発揮したのがこのツアーだ。ラスサビ前に堀之内がスティックを叩く仕草をすると観客もみんな手拍子をするのも実に楽しいだけに、これからはライブの定番曲になってはくれないだろうか。そう思うくらいに、良い曲ばかりあるというか、良い曲しかないベボベのディスコグラフィーの中でもトップクラスに大好きな曲なのだ。
一転して淡い照明に照らされながらメンバーが削ぎ落としたサウンドで演奏する「どうしよう」も久しぶりながらもこのツアーで完全に今の自分たちのものにしており、それゆえに観客も盛り上がるというよりも音に身を任せて体を揺らすようにすると、このツアーが久しぶりに本数が多くて日本のいろんな場所を回るものになるものであることについて話し始め、
小出「前回の「DIARY KEY」のアルバムツアーなんか8本だけですよ?アルバムツアーが8本ってマジで無理じゃない?」
関根「マジで無理〜(なぜかギャルっぽくてテンション高い)」
小出「でも僕は東京生まれ東京育ちで、前はあんまり他所に行くのとか好きじゃなくて。昔ツアーで沖縄に行った時にみんなは居酒屋に行ってゴーヤチャンプルー食べたりしてるのにほっともっとで弁当買って一人でホテルで食べて(笑)
ほっともっとにゴーヤチャンプルー弁当のポスターあったのに海苔弁買って(笑)
っていうくらいに外にも出たくないってくらいにキモい尖り方をしていたんだけど(笑)、やっぱりコロナになって旅が出来なくなって寂しい気持ちがあって。前回のツアーの山口公演で空港から車で会場に向かう途中の山の中に24時間営業の山賊のおにぎり屋みたいな店があって。そこは山口の人が免許を取ったら練習がてら行く店みたいなんだけど、店の前に赤い絨毯が敷かれたベンチみたいなのが置いてあって、そこに座って3人でおにぎり食べて。たまたま結成記念日が近かったからその写真撮ってあげたりして」
関根・堀之内「そうそう、そういうことするのめちゃくちゃ珍しいなって思った」
小出「そういうのが楽しいって思えるようになったんだよね。だからこれからも旅をしていきたいし、このライブが終わったら関東以外の場所に旅をしに行ってきます」
と、千葉LOOKの時もテーマとしては同じ「旅」とそれが出来なくなったことを口にしていたが、こうした全く違うエピソードを話してくれることによって、その「旅」をテーマにした曲である「風来」を聴いていると、3人がスタッフたちと飛行機で空港まで行って、そこからワイワイしたりしながら車で移動してご飯を食べて会場へ行って…というこの日だからこそのイメージが浮かんでくる。その旅の最中にこうして目の前にいてくれて、音を鳴らしているのを見れることが本当に尊く感じられるのである。
そして怒涛の後半の口火を切るのは小出がギターをカッティングし、関根の重いベースの音がグルーヴを作る「曖してる」であり、「愛してる」と同時にこの曲が聴けるというのもこのツアーの目玉の一つであるが、小出のスピード感あふれる歌唱も千葉LOOKの時よりもやはりはるかに進化しているというか、曲自体を自分自身の元に引き寄せているような歌唱になっている。それによってやはり小出は同世代のバンドの中でも一際歌唱力が高いボーカリストであると思えるし、それが今でも武道館などの大きな会場でライブができるバンドになれた理由の一つだと思う。間奏では小出と関根が並んでステージ前に出てきて演奏するという、ダブル田淵とまではいかなくても今まで見ることがなかった光景を見れるというのはついついグッときてしまう。
そのグルーヴが推進力になることによって「DIARY KEY」というほぼ最新と言える時期の曲もさらにアップデートされており、これが現状のこの曲の完成形とすら思えるくらいなのだが、この曲あたりから堀之内のドラムの一打一打がさらに強くなってきている。元から持ちうるパワーを注ぎ込むドラマーだったけれど、このツアーでさらにそこが進化し、観客の声によって発する力を自分のものにしているかのような。
だからこそ関根のベースのグルーヴが引っ張るというイメージが強かった、小出のラップ歌唱が見事な「PARK」もこの日は堀之内のドラムが牽引しているように感じられた。ヒップホップの要素を取り入れながらもロックバンドとしか感じられないライブになっているのは間違いなくその生のリズムの強さによってそう感じられる部分だろう。
そして小出がエフェクターを駆使しながら、デジタルなようでありながらも人力のサウンドを鳴らし、それに合わせて照明も明滅するとイントロで再び「オイ!オイ!」というコールが起こりまくるのは「yoakemae」であり、さすがに
「夜明け前は」
のフレーズでは関根のボーカルが強いことによって観客の声までは聞こえなかったけれども、音源だけを聴くとクールなイメージもある(特にこの曲の時期の)ベボベはライブになると本当に熱い。きっとたくさんの観客が汗をかきながら飛び跳ね、声を出していただろうけれど、そうしたくなるというか、そうならざるを得ないくらいにバンドの演奏が熱いからだ。それが観客をさらに熱くしていき、またその熱量がバンドに伝わって…というライブならではの幸福な循環が今もずっと続いている。それを感じさせてくれるくらいに本当にカッコいいバンドだと思える。
そして小出が
「今日はどうもありがとうございました」
と言って関根が重いベースのイントロを鳴らして始まった「Stairway Generation」でもやはり観客の「オイ!オイ!」というコールが力強く響く。ようやくまたこうして声が出せるようになったんだから、このツアーが終わったら今度はこうして観客が声を出すようなタイプの曲をたくさん演奏するようなライブもやってくれないかなと思っていた。できればこれくらいたくさんのベボベを好きな人が集まれるような場所で。
アンコールで再びメンバーが登場すると、言葉を発するよりも先に少しダークなギターサウンドとトーンの低い小出のボーカル、薄暗い照明によって始まったのはなんと「Project Blue」。千葉LOOKでこの位置で演奏されて歓喜した「HUMAN」はやらないんかい、とも思うけれども、まさか今になってこの曲が聴けるとは。関根のボーカルによる
「二分後の僕達を染めるのは何色か」
という一気に光が射し込むような清冽なサビのメロディが、室内であるライブハウスにいながらにしてベボベの描く青空に包み込まれるような感覚になっていく。曲がそれくらいのスケールを持ち合わせていて、バンドの表現力がそれをさらに拡張するようなレベルになった。つまりはこの曲は今の最強のベボベでこそ演奏されるべき曲で、その真価を最大限に発揮することができていると言えるのかもしれない。
そんなクライマックスにふさわしい曲を演奏しながらもまだライブは終わらず、小出が再び
「ツアー各地、行ってきます!」
と言って演奏されたのはイントロで小出のギターが我々の明日に確信と希望を与えてくれるように鳴り響き、その瞬間にたくさんの観客の腕が上がる「changes」。小出はやはり前に出てきて演奏するというこのツアー中に手に入れた新たなパフォーマンスを披露すると、関根もステップを踏むようにしてベースを弾き、堀之内のシンバル系の金物の音の一つが「なんでこんな音が出せるんだ…」と思ってしまうくらいに力強く響く。それは
「新現実 誰の物でもない 新しい自分
変わったのは僕自身だ」
と最後に小出が高らかに歌い上げた通りに、変わることを恐れることなく進化し続けてきた今のベボベこそが最強だということを示すようだった。おなじみの堀之内の去り際のマイクを通さずとも響き渡る
「ありがとうございました!」
の言葉を聞いている時には、2ヶ月後の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンが楽しみになるとともに、これ以上進化したらどうなってしまうのか…という末恐ろしさすら感じてしまっていたし、
「久しぶりに皆さんの声が聞けて嬉しかったです」
という小出の言葉を聞くことができたのも嬉しかった。
小出の言葉の通りにまだ若手だった頃はどんなバンドにもなれる、どんな方向にも行けるようなポテンシャルをBase Ball Bearは持っていた。しかし小出が口にしていたような、実はめちゃマニアックかつ難解なことをやりながらもポップスになるというOfficial髭男dismのような道ではなく、誰かに求められるものよりもひたすらに自分たちのやりたいと思うことをやるバンドとして、そのポテンシャルを(実は節目節目のライブで小出はそうしたことを口にしてきたが)ロックバンドとしてのBase Ball Bearに全振りしてきた。それを選んだからこそ、今ここでこうしたライブをやることができている。そんなロックバンドであり続けることを選んだ3人の生き様が確かに鳴っていたライブだった。
出会ってからもう18年も経つということには驚いてしまうけれど、それでもベボベとはまだまだ一緒に楽しい思いをして生きていきたいと思うし、辛いことがあったらベボベの胸を借りて泣いたっていいだろうとも思う。そう思える存在がいてくれるということが自分の生きる力になる。それがきっと何千人分も重なっていた一夜だった。
1.海になりたい part.3
2.GIRL FRIEND
3.いまは僕の目を見て
4.Shine On You Cypress Girl
5.透明26時
6.愛してる
7.何才
8.ヒカリナ
9.BOYS MAY CRY
10.どうしよう
11.風来
12.曖してる
13.DIARY KEY
14.PARK
15.yoakemae
16.Stairway Generation
encore
17.Project Blue
18.changes