Base Ball Bear 「Guitar! Guitar! Drum! Drum! Bass! Bass!」 TOUR @千葉LOOK 2/3
- 2023/02/04
- 19:42
昨年11月に、結成してから色々あったりもしたけれど、その20年間の軌跡と生み出してきた音楽がどれだけ素晴らしいものだったのかということを示すような3回目の日本武道館ワンマンライブを行った、Base Ball Bear。
その武道館ワンマン時に会場で販売されていた新曲「海になりたい part.3」もシングルとしてリリースされた2023年に行うツアーの初日がこの日の千葉LOOK。千葉の有名高校で始まった同世代のバンドを千葉のライブハウスで見れるというのは実に嬉しいことである。
当たり前にソールドアウトで満員な会場(最近千葉LOOKに来た中ではかなり男性客の比率が多いだけによりステージが見えない)が開演時間の19時を少し過ぎたところで場内が暗転するとおなじみのXTCのSEが流れてメンバー3人がステージに登場するのだが、そのメンバーたちを迎える観客の拍手の大きさと長さはこの日の観客たちがどれくらいこの日を、ベボベのライブを楽しみに待っていたのかということが言葉を発しなくてもこれ以上ないくらいに伝わってくる。その拍手はドラムセットに立って久しぶりの千葉LOOKの天井の低さを確かめるように天井に手を当てた堀之内大介(ドラム)が音を鳴らすまで止むことはなかった。
その観客のバンドへの想いの強さと深さに身が引き締まるような感じもする中で小出祐介(ボーカル&ギター)と関根史織(ベース)がドラムセットに集まって気合いを入れるようにするおなじみの堀之内会議が行われると、マイクスタンドの前に立った小出がギターを思いっきり掻き鳴らし、そこに関根と堀之内のリズムが加わり、それぞれの鳴らす音が力強いからこそ衝突しているようにも感じられるが、それが今も失われることなく持ち続けているこのバンドの蒼さによって折り重なって調和していくかのような「海になりたい part.3」からスタート。後にMCでもネタになっていたが、そもそも千葉LOOKは極狭のキャパのライブハウスなのでステージと客席が非常に近い、超近接戦闘のような会場なのだが、それにしても堀之内のドラムが視覚的にも聴覚的にも近く感じる。それくらいに力強いということであるが、小出のボーカルは最初はまだその久々の近さによるバランスを掴み切れていないような感じもあった。演奏しながらステージ中央に出てくるようにして身体を動かす関根の安定感は今やバンドを支える屋台骨と言っていいだろう。
「どうもこんばんは、Base Ball Bearです」
と曲終わりに小出が挨拶すると、3人が向かい合うようにしてキメを打ち、そのリズムに合わせて観客が腕を上げるのはバンド初期からの代表曲にして、これぞベボベな1曲と言える名曲「GIRL FRIEND」。この日は特に会場で声出しに関するアナウンスもなかったし、メンバーも言及していなかったが、そのキメに合わせて「オイ!」という掛け声を出していいのかどうなのかまだ観客側が戸惑っているような感じもあった。それがこのツアーが進むごとにかつてのように声が出せるようになっていればいいなと思うし、この曲のギターを歌いながら弾きこなしている小出はやっぱり凄い。かつて専任のギターが弾いていたものを1人で歌いながら弾いているのだから。
そんな小出のギターが爽やかかつシャープになっていくのは「いまは僕の目を見て」で、さりげなくも関根と堀之内のコーラスが重なっていくことによって、この3人でこうした近年の名曲を生み出してきたんだよな、としみじみと思うし、ステージと客席の距離が近いからこそ、いまはメンバーの目がよく見える。それを美しいと感じられるのだ。
そんな久しぶりの距離の近さに小出も感慨深さを口にする最初のMCでは、
「リリースでも周年でもないから好きなことをやれるツアー」
と、この後の選曲に含みを持たせながらも、
「でもセトリがどうだったかなんてのはあくまで結果論だから。それよりも今の最新のバンドの姿を見て欲しいっていう。だからパドックみたいなもんですよ、競馬の(笑)
今日の調子どうかな?肌ツヤどうかな?っていう(笑)」
という小出節が炸裂する例えはやはり秀逸であるが、まさか小出から競馬の例え話を聞くようになるとは全く想像していなかったことである。
その想像していなかった感がセトリに現れるのは、小出がやはりシャープなギターを刻み、関根と堀之内のリズムが軽快に跳ねる「Shine On You Cypress Girl」。特に堀之内のドラムの細かい手数や関根の重ねるコーラスなどは後のMCで関根が「難しいから大変」と言っていたように、実に演奏難度が高いのがよくわかるのであるが、曲を作った本人であり、4人編成で作った曲を1本のギターで鳴らすというアレンジを施して演奏している小出が1番難しいと思う。その小出のギターアレンジによって、どこかバンド全体の音がギュッと固まったようにも感じられるのであるが、それは密集感の強いこの会場だからこそというのもあったのだろうか。
すると一気にダークな雰囲気に転じるサウンドが鳴らされるのであるが、この曲なんだっけ…とそのイントロの段階では思ってしまったのはこの「透明26時」(「ドラマチック」のカップリング)が1%足りとも演奏されるなんて思ってなかった曲だからであるが、どこかセクシャルな歌詞は今の年齢とキャリアを重ねたベボベが歌うことによって、背伸びをした少年少女の曲ではなくて大人の曲に感じられる。あんなに爽やかなアニメタイアップ曲のカップリングがこの曲だったというあたりにやはりベボベは昔から攻めまくっていたバンドだったんだなと改めて思う。
曲終わりからセッション的なイントロが演奏されたアレンジによって再び何の曲だか最初はわからなかったのが、小出が鳴らすギターとそこに加わるリズムによって徐々に曲の輪郭があらわになっていくのはかつて若手時代はよくライブでも演奏していた「愛してる」なのだが、その若さやフレッシュさ、青さという原曲に宿っていた要素から、さらに削ぎ落とされてタイトなアレンジの、この今の3人でこの曲を鳴らすとこうなるというものに変化している。そのサウンドの変化が
「愛してる、はず」
という当時は愛の感情に生じる迷いをそのまま歌っていたフレーズにどこか強い確信を与えてくれている。様々なことを乗り越えてきたバンドの経験やそれぞれの人生の深みが、今この曲を演奏することによって新たな表情を与えている。ずっと変わらぬ少女性を持ったままだと思っていた関根のサビでのリズミカルなコーラスもどこか大人っぽさを感じさせる。そう思うくらいに一緒に歳を重ねてきたんだなと実感せざるを得ない。
この日は節分ということで、堀之内が楽屋で恵方巻を頬張っていたという、
「小柄な女性が言うとギャップで面白いけど、堀之内さんが言っても「そりゃそうだな」としか思えない(笑)」
と小出に一刀両断される話から、ラジオ公開収録のようなMCがスタートすると、ステージが狭いことによってその堀之内のドラムセットがかなり前に出てきており、2人よりはちょっと後ろの位置なのに顔の大きさは2人と変わらないように見える、という「堀之内3D論」を小出が唱えると、客席がステージに近いことによって堀之内はMCでマイクを使わなくても全然場内全体にちゃんと伝わるということが判明してしまう。逆に関根はこの距離感でもMCがちゃんと聞こえないのであるが、その内容は
「ライブハウスで育ったゴリゴリのロックバンドっぷりを、この近さの会場だからちゃんと見せようぜ!」
という実にカッコいいものであり、ちゃんと聞こえていなかったのがもったいないくらいである。そんなMCをまとめる小出はベテランっぽく、早くも先ほど演奏した曲たちの振り返りを行っており、自身が来年40歳というオッサンでしかないような年齢に突入してきていることを自覚している。
そんなMCから突入した「何才」も「今になってまさかこの曲をこんなに普通に演奏するとは!」というものであるのだが、後で本人たちも振り返って絶賛していたように、静と動どちらにも振り切れないというギリギリのラインで踏みとどまることによって曲の持ち味をしっかり活かすというのがわかる演奏に。本人たちも距離が近い会場だと衝動的に行きたくなると言っていたが、それが合う曲とそうでない曲の見極めができていて、ライブでリミッターが外れない演奏をしているというのはさすが20年を超える活動をしてきたバンドである。
そんな3人でアレンジした曲の後には3人で生み出した「プールサイダー」が爽やかに、しかし力強く演奏され、近年はほとんど毎回と言っていいくらいにライブで鳴らされてきている曲なだけにバンドに馴染んでいる感、染み込んでいる感が他の曲よりも強いし、それは堀之内による
「just have fun!」
のコーラスの力強さと、それに合わせて腕を挙げる観客の姿もそうである。
「楽しもうよ今を」
というフレーズ通りに今この瞬間が楽しいし、
「きらきらを抱きしめて 君に会いに行こう」
というフレーズ通りにこうして千葉で待つ我々に会いに来てくれたのだ。
すると小出がギターを掻き鳴らし始めたイントロを聴いた瞬間に「え、まさか…」と思ったのは歌い始めで現実となる。それは「神々LOOKS YOU」のカップリングである隠れた名曲というにはあまりに勿体なさ過ぎる「BOYS MAY CRY」。そんなレア中のレア曲であってもサビではたくさんの観客が腕を挙げている。この曲の存在を、この曲の名曲っぷりをここにいる人がみんな知っている。この曲が聴けたのももちろんであるが、それがわかるのが本当に嬉しい。小出のボーカルもこの曲は歌いやすいからかここからさらに力強さを増していくのだが、最後のサビ前では堀之内と関根がリズムに合わせて手拍子をし、それが観客にも広がっていく。自分としてもベボベの曲でトップクラスに好きな曲であるし、その時のメンバーの表情が本当に楽しそうだったから、もっとこの曲をライブで演奏してくれていいのにと思った。そんなことを思っている時に
「辛かったら 俺の胸で泣いたっていいよ」
と小出が歌っているのだから、そのフレーズにつられて泣いてしまいそうになっていた。
その「BOYS MAY CRY」でも刻んでいた小出のカッティングギターがよりファンク、R&Bというブラックミュージックのエッセンスを強くしていくのは、やはりこちらも実に久々にライブで演奏された「どうしよう」。スリーピースのタイトなサウンドでのアレンジだからこその抑制された中でのグルーヴ、特に関根のベースがそれを生み出しているし、3人でのコーラスのハーモニーは今のベボベの進化に直結しているものであると思う。なんならこの曲はずっとこうして3人で演奏されてきたかのようにすら感じられる。それくらいにツアー初日の久しぶりの曲とは思えないくらいにすでに完成度が高い。
だからこそ小出も演奏後にすぐに
「いやー、楽しい〜!」
と口に出すのであるが、今回のツアーはこうした小さなライブハウスを回る15本の長めのつあであるが、小出はデビュー時はこうして全国を回るツアーに行くのがあまり好きじゃなかったのが、
「その街に行けば待っていてくれる人がいて、全国を飛び回って見に来てくれる人がいる」
ということを実感したことによってツアーの楽しさに目覚めてきたという。しかしそう思った直後にコロナ禍になってしまっただけに、今こうしてツアーをやれていることの喜びを噛み締めているとも。
小出「昔はツアーでホテルのロビーに朝に集合すると「またこの人たちか…」って思ったりしてたけど、今はそういう時に「チッ」って舌打ちするくらい(笑)
でもこんなに楽しいなら47都道府県ツアーとかやりたいですね。むしろ94本ツアーやりたい(笑)日本一周×2回のツアー(笑)」
堀之内「絶対仲悪くなるから!(笑)」
と言うくらいに今はツアーをやりたいモードなのだが、そんな小出と、小出にツッコミを入れる堀之内はこのツアーの前に2人だけでスタジオに入っていたりしていたという。
堀之内「同級生!同クラ!」
という2人はかつては最も意見がぶつかり合っていた2人でもある。そんな2人が今、最も良いと言える関係性になれている。
「来年40歳になるけど、それも悪くないかもしれない」
と小出は言っていたけれど、その年齢になってきたことによって関係性も変わってきたのだろう。その姿を見ていると、自分も同世代として歳を重ねていくのも悪くないな、これからも楽しく生きていけそうだなと思える。そう思えるということは、これから先もベボベと一緒に生きていけるということだ。
そんなツアーという旅への思いをベボベらしい爽やかなギターロックに乗せた「風来」が、ツアー初日であるだけにこの日はまたここから始まっていくスタートの曲として響き渡る。
「青い風 もう行けよって 親指を立てて笑う
風まかせ 誰もがJourney 掌を透かして掴む 灯り
「血のめぐりを固めないためには『同じ姿勢でいないこと』」
湯に浸かり 次の旅 思うよ」
という歌詞の通りにこれからもベボベは旅をして生きていく。2019年の年末のCOUNTDOWN JAPAN出演時に最後の曲としてこの曲を演奏したものの、年明けからコロナ禍になって旅が出来なくなってしまった。そんな経験をこれから二度とすることがなく、バンドも我々も旅ができるように。そんな感慨がこのツアー初日の「風来」には刻まれていた。きっとこれからツアーを経ていくたびにこの曲が持つ意味は濃く深くなっていくはずだ。
するとこの日最も小出が激しくギターをカッティングすることによってリズムと合わさって激しくグルーヴし、観客の体も揺さぶるのは「曖してる」。タイトルを口にすると「愛してる」と全く同じであるが、サウンドはベボベの曲の中でトップクラスのファンキーさを持った曲であるだけに、この曲では今この瞬間に生じる衝動を思いっきり込めることができる。だからこそ小出のスピード感溢れる歌唱がバンドのテンポとともにさらに加速していく。その演奏はスリーピースバンドとしてのタイトさの極みとすら言えるものだ。それすらもこれから先、さらに進化していくのがわかるのだから楽しみは尽きない。
そんなファンキーな熱量を残したままであっても一気に爽やかなギターロックへと転換していくのは「DIARY KEY」。ファンクなどの様々な音楽を自分たちの音楽に取り入れた上でのベボベらしいギターロックへの回帰。だからそこにはかつての青春性だけではなく、これまでに様々な扉の鍵を開けてきた人生が滲んでいる。そんな経験が全てBase Ball Bearというバンドの日記に記されている。それはそんなバンドをずっと見てきた我々もそうだ。アルバムとしては最新作のタイトル曲であるこの曲が我々の日記の最新に近いページには確かに刻まれているのだ。
いくら自由にセトリを決めることができるからとはいえ、「曖してる」から「DIARY KEY」、さらには関根のベースと堀之内のドラムのリズムのみの演奏に小出のラップ的な歌唱が乗ることで強いグルーヴを生み出す「PARK」へと至るというのはあまりにも展開が激しすぎやしないだろうかとも思う。しかしこの曲が今までよりもさらに力強く感じられるのは、ここまでの曲たちを全て3人バージョンにアレンジして、3人だけのサウンドで鳴らしてきたバンドの地力の強さがさらに向上したからこそだし、小出のラップからのサビでの、まさに青すぎる空に向かって突き抜けるようなボーカルも「The CUT」をフェスなどでも演奏し続けてきた経験が積み重なってきたことによってより爆発力を獲得してきたと言える。
そんな「PARK」のグルーヴが残り続けるアウトロからそのまま電子音が流れて繋がるのはその音の中から徐々に小出のギターの音が立ち上がっていく「yoakemae」であり、この満員の観客の距離の近さが、かつてはイントロから「オイ!オイ!」という声が上がり、
「夜明け前は」
のコーラスフレーズでは大合唱が起きていた光景を思い出させてくれる。音源のサウンドはクールに感じられるかもしれないが、サビでの爆発力含めてライブではこれ以上ないくらいに熱くなれる曲であり、観客が飛び跳ねて腕を挙げるという光景は全く変わっていない。それでもこの日は客席からは声が上がることはなかったのは、みんなまだ本当に声を出していいのかわからないが故に必死に我慢していたところもあるのだろう。
そして小出が
「今日はありがとうございました、Base Ball Bearでした」
と挨拶すると、関根の重いベースのイントロが響く「Stairway Generation」へ。この曲で「yoakemae」から続く熱さは演奏的にも、汗が噴き出てくるくらいに客席にいて感じる温度的にも最高潮に達するのだが、その瞬間に思い出した。ベボベのライブは若手時代から渋谷のQUATTROやもうなくなってしまった渋谷AXやZepp Tokyoなど、いつもこうやって客席で熱狂しては汗をかきまくっていたということを。そんな、実はめちゃくちゃ熱いバンドであるベボベのライブの光景が戻ってきたことを告げるような全国ツアーがついにこの日始まったのだ。
割とすぐに出てきたアンコールで3人が楽器を取ると、小出が鳴らしたギターのイントロによってまたしても「まさか…」と思っていると、やはりそれは「C2」収録の「HUMAN」という名曲にして全く予想だにしなかった選曲であった。サビのファルセット混じりでありながらもスピード感のあるボーカルは実に歌いこなすのが難しいと思うのであるが、小出はそれを執念と言っていいような力を発揮して歌い切っているし、
「僕らただただただただ味わってる 僕らただただ味わってる
息をするように 人間味を
僕らだらだらだらだらだらだらだらだらだらだら味わってく
現実的な人間味を」
というフレーズはこの曲を収録した「C2」のリリース後以降に様々な経験をしてきた今のベボベだからこそ、かつてよりも響くものがある。
そう、「C2」はベボベのディスコグラフィーの中でもトップクラスの名盤だと思っているのだが、ファンにとってはなかなか辛い記憶を思い出してしまうようなアルバムでもある。それはこのアルバムが4人で作った最後のアルバムであり、そのリリースツアーの直後に3人にならざるを得なくなり、様々なギタリストの力を借りたりして…という記憶が蘇ってくるからだ。
でもそんな曲たちも8年ほど経って、それ以降のベボベが様々なことを乗り越えてきて、今が最高と言い切れるようなバンドになったからこそ、この日演奏された「どうしよう」も「曖してる」もこの「HUMAN」も素直に楽曲の良さを感じられるとともに、曲の持つ説得力をかつて以上に感じられるようになった。それはきっとこれからも様々な曲でそう感じさせてくれるはずだ。こんなにも、今まではやらないだろうと思っていた曲をライブで聴くことができているのだから。
そんなライブの最後に演奏されたのは「changes」。この曲をこんなに至近距離で鳴らしているのを聴けるなんて全然思ってなかった。何万人も観客がいるようなフェスのメインステージでも演奏されてきたのも何回も見てきたから。でも今でもこの曲を鳴らす3人の姿は来年40歳になるとは思えないくらいにフレッシュであり、堀之内の弾けるような笑顔をこうして見れていることも含めて、心から楽しいと思えた。いや、もう「楽しいー!」と文章上でも感情を思いっきり込めたくなるくらいに楽しかったのだ。
「さぁ、すべてがいま変わってく すべてが始まる
新現実 誰の物でもない 新しい自分
変わったのは僕自身だ」
というフレーズの通りに、またこのツアーが始まったことによってベボベも新しく生まれ変わっていく。それはそんなベボベの姿を見た我々もそうだ。その始まりが千葉であって本当に嬉しかった。
小出は最後に
「ここからツアー行ってきます!」
と力強く言った。そうして細かくツアーを回ってくれるからこそ、毎月のようにベボベのライブを見れる機会がある。メジャーデビューした時には様々なイベントやフェスに出まくっていたからこそ、当時も毎月のようにベボベのライブを見ることができていた。きっと自分の人生の中でライブを見た回数はトップ3に入っているバンドだろう。当時もいろんな場所でベボベのライブを見れて楽しかったけれど、今もやっぱり楽しい。いや、あの頃よりも楽しいと思えている。それはこれから先もずっとベボベと一緒に生きていくことができることがわかっているからである。
1.海になりたい part.3
2.GIRL FRIEND
3.いまは僕の目を見て
4.Shine On You Cypress Girl
5.透明26時
6.愛してる
7.何才
8.プールサイダー
9.BOYS MAY CRY
10.どうしよう
11.風来
12.曖してる
13.DIARY KEY
14.PARK
15.yoakemae
16.Stairway Generation
encore
17.HUMAN
18.changes
その武道館ワンマン時に会場で販売されていた新曲「海になりたい part.3」もシングルとしてリリースされた2023年に行うツアーの初日がこの日の千葉LOOK。千葉の有名高校で始まった同世代のバンドを千葉のライブハウスで見れるというのは実に嬉しいことである。
当たり前にソールドアウトで満員な会場(最近千葉LOOKに来た中ではかなり男性客の比率が多いだけによりステージが見えない)が開演時間の19時を少し過ぎたところで場内が暗転するとおなじみのXTCのSEが流れてメンバー3人がステージに登場するのだが、そのメンバーたちを迎える観客の拍手の大きさと長さはこの日の観客たちがどれくらいこの日を、ベボベのライブを楽しみに待っていたのかということが言葉を発しなくてもこれ以上ないくらいに伝わってくる。その拍手はドラムセットに立って久しぶりの千葉LOOKの天井の低さを確かめるように天井に手を当てた堀之内大介(ドラム)が音を鳴らすまで止むことはなかった。
その観客のバンドへの想いの強さと深さに身が引き締まるような感じもする中で小出祐介(ボーカル&ギター)と関根史織(ベース)がドラムセットに集まって気合いを入れるようにするおなじみの堀之内会議が行われると、マイクスタンドの前に立った小出がギターを思いっきり掻き鳴らし、そこに関根と堀之内のリズムが加わり、それぞれの鳴らす音が力強いからこそ衝突しているようにも感じられるが、それが今も失われることなく持ち続けているこのバンドの蒼さによって折り重なって調和していくかのような「海になりたい part.3」からスタート。後にMCでもネタになっていたが、そもそも千葉LOOKは極狭のキャパのライブハウスなのでステージと客席が非常に近い、超近接戦闘のような会場なのだが、それにしても堀之内のドラムが視覚的にも聴覚的にも近く感じる。それくらいに力強いということであるが、小出のボーカルは最初はまだその久々の近さによるバランスを掴み切れていないような感じもあった。演奏しながらステージ中央に出てくるようにして身体を動かす関根の安定感は今やバンドを支える屋台骨と言っていいだろう。
「どうもこんばんは、Base Ball Bearです」
と曲終わりに小出が挨拶すると、3人が向かい合うようにしてキメを打ち、そのリズムに合わせて観客が腕を上げるのはバンド初期からの代表曲にして、これぞベボベな1曲と言える名曲「GIRL FRIEND」。この日は特に会場で声出しに関するアナウンスもなかったし、メンバーも言及していなかったが、そのキメに合わせて「オイ!」という掛け声を出していいのかどうなのかまだ観客側が戸惑っているような感じもあった。それがこのツアーが進むごとにかつてのように声が出せるようになっていればいいなと思うし、この曲のギターを歌いながら弾きこなしている小出はやっぱり凄い。かつて専任のギターが弾いていたものを1人で歌いながら弾いているのだから。
そんな小出のギターが爽やかかつシャープになっていくのは「いまは僕の目を見て」で、さりげなくも関根と堀之内のコーラスが重なっていくことによって、この3人でこうした近年の名曲を生み出してきたんだよな、としみじみと思うし、ステージと客席の距離が近いからこそ、いまはメンバーの目がよく見える。それを美しいと感じられるのだ。
そんな久しぶりの距離の近さに小出も感慨深さを口にする最初のMCでは、
「リリースでも周年でもないから好きなことをやれるツアー」
と、この後の選曲に含みを持たせながらも、
「でもセトリがどうだったかなんてのはあくまで結果論だから。それよりも今の最新のバンドの姿を見て欲しいっていう。だからパドックみたいなもんですよ、競馬の(笑)
今日の調子どうかな?肌ツヤどうかな?っていう(笑)」
という小出節が炸裂する例えはやはり秀逸であるが、まさか小出から競馬の例え話を聞くようになるとは全く想像していなかったことである。
その想像していなかった感がセトリに現れるのは、小出がやはりシャープなギターを刻み、関根と堀之内のリズムが軽快に跳ねる「Shine On You Cypress Girl」。特に堀之内のドラムの細かい手数や関根の重ねるコーラスなどは後のMCで関根が「難しいから大変」と言っていたように、実に演奏難度が高いのがよくわかるのであるが、曲を作った本人であり、4人編成で作った曲を1本のギターで鳴らすというアレンジを施して演奏している小出が1番難しいと思う。その小出のギターアレンジによって、どこかバンド全体の音がギュッと固まったようにも感じられるのであるが、それは密集感の強いこの会場だからこそというのもあったのだろうか。
すると一気にダークな雰囲気に転じるサウンドが鳴らされるのであるが、この曲なんだっけ…とそのイントロの段階では思ってしまったのはこの「透明26時」(「ドラマチック」のカップリング)が1%足りとも演奏されるなんて思ってなかった曲だからであるが、どこかセクシャルな歌詞は今の年齢とキャリアを重ねたベボベが歌うことによって、背伸びをした少年少女の曲ではなくて大人の曲に感じられる。あんなに爽やかなアニメタイアップ曲のカップリングがこの曲だったというあたりにやはりベボベは昔から攻めまくっていたバンドだったんだなと改めて思う。
曲終わりからセッション的なイントロが演奏されたアレンジによって再び何の曲だか最初はわからなかったのが、小出が鳴らすギターとそこに加わるリズムによって徐々に曲の輪郭があらわになっていくのはかつて若手時代はよくライブでも演奏していた「愛してる」なのだが、その若さやフレッシュさ、青さという原曲に宿っていた要素から、さらに削ぎ落とされてタイトなアレンジの、この今の3人でこの曲を鳴らすとこうなるというものに変化している。そのサウンドの変化が
「愛してる、はず」
という当時は愛の感情に生じる迷いをそのまま歌っていたフレーズにどこか強い確信を与えてくれている。様々なことを乗り越えてきたバンドの経験やそれぞれの人生の深みが、今この曲を演奏することによって新たな表情を与えている。ずっと変わらぬ少女性を持ったままだと思っていた関根のサビでのリズミカルなコーラスもどこか大人っぽさを感じさせる。そう思うくらいに一緒に歳を重ねてきたんだなと実感せざるを得ない。
この日は節分ということで、堀之内が楽屋で恵方巻を頬張っていたという、
「小柄な女性が言うとギャップで面白いけど、堀之内さんが言っても「そりゃそうだな」としか思えない(笑)」
と小出に一刀両断される話から、ラジオ公開収録のようなMCがスタートすると、ステージが狭いことによってその堀之内のドラムセットがかなり前に出てきており、2人よりはちょっと後ろの位置なのに顔の大きさは2人と変わらないように見える、という「堀之内3D論」を小出が唱えると、客席がステージに近いことによって堀之内はMCでマイクを使わなくても全然場内全体にちゃんと伝わるということが判明してしまう。逆に関根はこの距離感でもMCがちゃんと聞こえないのであるが、その内容は
「ライブハウスで育ったゴリゴリのロックバンドっぷりを、この近さの会場だからちゃんと見せようぜ!」
という実にカッコいいものであり、ちゃんと聞こえていなかったのがもったいないくらいである。そんなMCをまとめる小出はベテランっぽく、早くも先ほど演奏した曲たちの振り返りを行っており、自身が来年40歳というオッサンでしかないような年齢に突入してきていることを自覚している。
そんなMCから突入した「何才」も「今になってまさかこの曲をこんなに普通に演奏するとは!」というものであるのだが、後で本人たちも振り返って絶賛していたように、静と動どちらにも振り切れないというギリギリのラインで踏みとどまることによって曲の持ち味をしっかり活かすというのがわかる演奏に。本人たちも距離が近い会場だと衝動的に行きたくなると言っていたが、それが合う曲とそうでない曲の見極めができていて、ライブでリミッターが外れない演奏をしているというのはさすが20年を超える活動をしてきたバンドである。
そんな3人でアレンジした曲の後には3人で生み出した「プールサイダー」が爽やかに、しかし力強く演奏され、近年はほとんど毎回と言っていいくらいにライブで鳴らされてきている曲なだけにバンドに馴染んでいる感、染み込んでいる感が他の曲よりも強いし、それは堀之内による
「just have fun!」
のコーラスの力強さと、それに合わせて腕を挙げる観客の姿もそうである。
「楽しもうよ今を」
というフレーズ通りに今この瞬間が楽しいし、
「きらきらを抱きしめて 君に会いに行こう」
というフレーズ通りにこうして千葉で待つ我々に会いに来てくれたのだ。
すると小出がギターを掻き鳴らし始めたイントロを聴いた瞬間に「え、まさか…」と思ったのは歌い始めで現実となる。それは「神々LOOKS YOU」のカップリングである隠れた名曲というにはあまりに勿体なさ過ぎる「BOYS MAY CRY」。そんなレア中のレア曲であってもサビではたくさんの観客が腕を挙げている。この曲の存在を、この曲の名曲っぷりをここにいる人がみんな知っている。この曲が聴けたのももちろんであるが、それがわかるのが本当に嬉しい。小出のボーカルもこの曲は歌いやすいからかここからさらに力強さを増していくのだが、最後のサビ前では堀之内と関根がリズムに合わせて手拍子をし、それが観客にも広がっていく。自分としてもベボベの曲でトップクラスに好きな曲であるし、その時のメンバーの表情が本当に楽しそうだったから、もっとこの曲をライブで演奏してくれていいのにと思った。そんなことを思っている時に
「辛かったら 俺の胸で泣いたっていいよ」
と小出が歌っているのだから、そのフレーズにつられて泣いてしまいそうになっていた。
その「BOYS MAY CRY」でも刻んでいた小出のカッティングギターがよりファンク、R&Bというブラックミュージックのエッセンスを強くしていくのは、やはりこちらも実に久々にライブで演奏された「どうしよう」。スリーピースのタイトなサウンドでのアレンジだからこその抑制された中でのグルーヴ、特に関根のベースがそれを生み出しているし、3人でのコーラスのハーモニーは今のベボベの進化に直結しているものであると思う。なんならこの曲はずっとこうして3人で演奏されてきたかのようにすら感じられる。それくらいにツアー初日の久しぶりの曲とは思えないくらいにすでに完成度が高い。
だからこそ小出も演奏後にすぐに
「いやー、楽しい〜!」
と口に出すのであるが、今回のツアーはこうした小さなライブハウスを回る15本の長めのつあであるが、小出はデビュー時はこうして全国を回るツアーに行くのがあまり好きじゃなかったのが、
「その街に行けば待っていてくれる人がいて、全国を飛び回って見に来てくれる人がいる」
ということを実感したことによってツアーの楽しさに目覚めてきたという。しかしそう思った直後にコロナ禍になってしまっただけに、今こうしてツアーをやれていることの喜びを噛み締めているとも。
小出「昔はツアーでホテルのロビーに朝に集合すると「またこの人たちか…」って思ったりしてたけど、今はそういう時に「チッ」って舌打ちするくらい(笑)
でもこんなに楽しいなら47都道府県ツアーとかやりたいですね。むしろ94本ツアーやりたい(笑)日本一周×2回のツアー(笑)」
堀之内「絶対仲悪くなるから!(笑)」
と言うくらいに今はツアーをやりたいモードなのだが、そんな小出と、小出にツッコミを入れる堀之内はこのツアーの前に2人だけでスタジオに入っていたりしていたという。
堀之内「同級生!同クラ!」
という2人はかつては最も意見がぶつかり合っていた2人でもある。そんな2人が今、最も良いと言える関係性になれている。
「来年40歳になるけど、それも悪くないかもしれない」
と小出は言っていたけれど、その年齢になってきたことによって関係性も変わってきたのだろう。その姿を見ていると、自分も同世代として歳を重ねていくのも悪くないな、これからも楽しく生きていけそうだなと思える。そう思えるということは、これから先もベボベと一緒に生きていけるということだ。
そんなツアーという旅への思いをベボベらしい爽やかなギターロックに乗せた「風来」が、ツアー初日であるだけにこの日はまたここから始まっていくスタートの曲として響き渡る。
「青い風 もう行けよって 親指を立てて笑う
風まかせ 誰もがJourney 掌を透かして掴む 灯り
「血のめぐりを固めないためには『同じ姿勢でいないこと』」
湯に浸かり 次の旅 思うよ」
という歌詞の通りにこれからもベボベは旅をして生きていく。2019年の年末のCOUNTDOWN JAPAN出演時に最後の曲としてこの曲を演奏したものの、年明けからコロナ禍になって旅が出来なくなってしまった。そんな経験をこれから二度とすることがなく、バンドも我々も旅ができるように。そんな感慨がこのツアー初日の「風来」には刻まれていた。きっとこれからツアーを経ていくたびにこの曲が持つ意味は濃く深くなっていくはずだ。
するとこの日最も小出が激しくギターをカッティングすることによってリズムと合わさって激しくグルーヴし、観客の体も揺さぶるのは「曖してる」。タイトルを口にすると「愛してる」と全く同じであるが、サウンドはベボベの曲の中でトップクラスのファンキーさを持った曲であるだけに、この曲では今この瞬間に生じる衝動を思いっきり込めることができる。だからこそ小出のスピード感溢れる歌唱がバンドのテンポとともにさらに加速していく。その演奏はスリーピースバンドとしてのタイトさの極みとすら言えるものだ。それすらもこれから先、さらに進化していくのがわかるのだから楽しみは尽きない。
そんなファンキーな熱量を残したままであっても一気に爽やかなギターロックへと転換していくのは「DIARY KEY」。ファンクなどの様々な音楽を自分たちの音楽に取り入れた上でのベボベらしいギターロックへの回帰。だからそこにはかつての青春性だけではなく、これまでに様々な扉の鍵を開けてきた人生が滲んでいる。そんな経験が全てBase Ball Bearというバンドの日記に記されている。それはそんなバンドをずっと見てきた我々もそうだ。アルバムとしては最新作のタイトル曲であるこの曲が我々の日記の最新に近いページには確かに刻まれているのだ。
いくら自由にセトリを決めることができるからとはいえ、「曖してる」から「DIARY KEY」、さらには関根のベースと堀之内のドラムのリズムのみの演奏に小出のラップ的な歌唱が乗ることで強いグルーヴを生み出す「PARK」へと至るというのはあまりにも展開が激しすぎやしないだろうかとも思う。しかしこの曲が今までよりもさらに力強く感じられるのは、ここまでの曲たちを全て3人バージョンにアレンジして、3人だけのサウンドで鳴らしてきたバンドの地力の強さがさらに向上したからこそだし、小出のラップからのサビでの、まさに青すぎる空に向かって突き抜けるようなボーカルも「The CUT」をフェスなどでも演奏し続けてきた経験が積み重なってきたことによってより爆発力を獲得してきたと言える。
そんな「PARK」のグルーヴが残り続けるアウトロからそのまま電子音が流れて繋がるのはその音の中から徐々に小出のギターの音が立ち上がっていく「yoakemae」であり、この満員の観客の距離の近さが、かつてはイントロから「オイ!オイ!」という声が上がり、
「夜明け前は」
のコーラスフレーズでは大合唱が起きていた光景を思い出させてくれる。音源のサウンドはクールに感じられるかもしれないが、サビでの爆発力含めてライブではこれ以上ないくらいに熱くなれる曲であり、観客が飛び跳ねて腕を挙げるという光景は全く変わっていない。それでもこの日は客席からは声が上がることはなかったのは、みんなまだ本当に声を出していいのかわからないが故に必死に我慢していたところもあるのだろう。
そして小出が
「今日はありがとうございました、Base Ball Bearでした」
と挨拶すると、関根の重いベースのイントロが響く「Stairway Generation」へ。この曲で「yoakemae」から続く熱さは演奏的にも、汗が噴き出てくるくらいに客席にいて感じる温度的にも最高潮に達するのだが、その瞬間に思い出した。ベボベのライブは若手時代から渋谷のQUATTROやもうなくなってしまった渋谷AXやZepp Tokyoなど、いつもこうやって客席で熱狂しては汗をかきまくっていたということを。そんな、実はめちゃくちゃ熱いバンドであるベボベのライブの光景が戻ってきたことを告げるような全国ツアーがついにこの日始まったのだ。
割とすぐに出てきたアンコールで3人が楽器を取ると、小出が鳴らしたギターのイントロによってまたしても「まさか…」と思っていると、やはりそれは「C2」収録の「HUMAN」という名曲にして全く予想だにしなかった選曲であった。サビのファルセット混じりでありながらもスピード感のあるボーカルは実に歌いこなすのが難しいと思うのであるが、小出はそれを執念と言っていいような力を発揮して歌い切っているし、
「僕らただただただただ味わってる 僕らただただ味わってる
息をするように 人間味を
僕らだらだらだらだらだらだらだらだらだらだら味わってく
現実的な人間味を」
というフレーズはこの曲を収録した「C2」のリリース後以降に様々な経験をしてきた今のベボベだからこそ、かつてよりも響くものがある。
そう、「C2」はベボベのディスコグラフィーの中でもトップクラスの名盤だと思っているのだが、ファンにとってはなかなか辛い記憶を思い出してしまうようなアルバムでもある。それはこのアルバムが4人で作った最後のアルバムであり、そのリリースツアーの直後に3人にならざるを得なくなり、様々なギタリストの力を借りたりして…という記憶が蘇ってくるからだ。
でもそんな曲たちも8年ほど経って、それ以降のベボベが様々なことを乗り越えてきて、今が最高と言い切れるようなバンドになったからこそ、この日演奏された「どうしよう」も「曖してる」もこの「HUMAN」も素直に楽曲の良さを感じられるとともに、曲の持つ説得力をかつて以上に感じられるようになった。それはきっとこれからも様々な曲でそう感じさせてくれるはずだ。こんなにも、今まではやらないだろうと思っていた曲をライブで聴くことができているのだから。
そんなライブの最後に演奏されたのは「changes」。この曲をこんなに至近距離で鳴らしているのを聴けるなんて全然思ってなかった。何万人も観客がいるようなフェスのメインステージでも演奏されてきたのも何回も見てきたから。でも今でもこの曲を鳴らす3人の姿は来年40歳になるとは思えないくらいにフレッシュであり、堀之内の弾けるような笑顔をこうして見れていることも含めて、心から楽しいと思えた。いや、もう「楽しいー!」と文章上でも感情を思いっきり込めたくなるくらいに楽しかったのだ。
「さぁ、すべてがいま変わってく すべてが始まる
新現実 誰の物でもない 新しい自分
変わったのは僕自身だ」
というフレーズの通りに、またこのツアーが始まったことによってベボベも新しく生まれ変わっていく。それはそんなベボベの姿を見た我々もそうだ。その始まりが千葉であって本当に嬉しかった。
小出は最後に
「ここからツアー行ってきます!」
と力強く言った。そうして細かくツアーを回ってくれるからこそ、毎月のようにベボベのライブを見れる機会がある。メジャーデビューした時には様々なイベントやフェスに出まくっていたからこそ、当時も毎月のようにベボベのライブを見ることができていた。きっと自分の人生の中でライブを見た回数はトップ3に入っているバンドだろう。当時もいろんな場所でベボベのライブを見れて楽しかったけれど、今もやっぱり楽しい。いや、あの頃よりも楽しいと思えている。それはこれから先もずっとベボベと一緒に生きていくことができることがわかっているからである。
1.海になりたい part.3
2.GIRL FRIEND
3.いまは僕の目を見て
4.Shine On You Cypress Girl
5.透明26時
6.愛してる
7.何才
8.プールサイダー
9.BOYS MAY CRY
10.どうしよう
11.風来
12.曖してる
13.DIARY KEY
14.PARK
15.yoakemae
16.Stairway Generation
encore
17.HUMAN
18.changes