「ハンブレッダーズ方向性会議」 ハンブレッダーズ / 四星球 @Zepp Haneda 1/25
- 2023/01/26
- 19:20
このライブはそもそもは昨年11月に予定されていた四星球主催の「四星球方向性会議」の対バンにハンブレッダーズが出演するはずだったのが、ハンブレッダーズのメンバーのコロナ感染によって出演がキャンセルになったことによるお返しライブ的な側面が強いライブであると思われる。それはすでに方向性は固まっているハンブレッダーズがそのライブと同じ「方向性会議」というライブタイトルをつけていることからもわかる。
・四星球
この日は呼ばれた側ということで、先攻が四星球。果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのかとも思うが、ハンブレッダーズのファンの客層が明らかに若いだけに少し出てくる前はアウェー感も感じる。
しかし19時になって場内に流れ始めたのはハンブレッダーズのいつものSE。それだけに絶対機材的にはハンブレッダーズではないのがわかっていても客席が「え!?」となるのがよくわかるのであるが、北島康雄(ボーカル)による
「今日はハンブレッダーズをおんぶしてきました、オンブレッダーズとしてやらせていただきます!」
という言葉とともに、この日は仮装などはなく、メンバー全員最初から法被姿だなと思ったのだが、その背中には段ボール製のハンブレッダーズのメンバーの人形を背負っている。しかもちゃんとその人形にブリーフを履かせているというあたりがさすが四星球であるが、木島の人形をステージ端に置き、北島はドラムセット前にムツムロの人形を置こうとするのだが、ムツムロ人形がすぐに倒れてしまい、
「こら!ムツムロ!ちゃんと座らないとダメでしょ!ムツムロ君が座るまでライブ始めませんよ!」
と言ってドラムセットのライザーに無理矢理立てかけるようにムツムロ人形を座らせると、その人形たちを製作したまさやん(ギター)を称える歌である「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」でライブがスタートすると、観客がエアギターをしたりその場でぐるぐる回ったりしながら、そのまさやんがギターソロを炸裂させる…と思ったらなんと早くもハンブレッダーズのukicasterが「うき↓」という、まやさんと同じアピール段ボールを装着してステージに現れてまさやんと一緒にギターを弾くのであるが、その後に観客がエアギターを上に放り投げる振りで段ボール製のムツムロギターを渡されたukicasterは投げるべきタイミングでギターを投げられず、
「あいつギター投げてない!」
と北島に言われて演奏ストップ→やり直しになってしまう。結局曲終わりまでずっとステージにい続けたukicasterだったが、1曲目からまさかのコラボにしてとんでもない情報量である。
そんな先制攻撃に驚かされると、
「我々2023年のライブハウス初めでございます!」
と言ってモリス(ドラム)のリズムに合わせた観客とU太(ベース)の手拍子も響き渡る「ライブハウス音頭」が演奏される。最近はフェスなどのライブハウス以外での大きな会場でもライブをよく見るようになった四星球であるが、やはりこうしてライブハウスで聞くこの曲は共感の固まりと言っていい曲だ。さすがにこのZepp Hanedaは近隣にライブハウスがほとんどないだけに同じ地域にある他のライブハウスの名前は出なかったけれど、ライブハウスで生きてきたバンドであり、音頭を作っても成立するバンドである四星球だからこそ生まれた曲である。
その「ライブハウス音頭」はコロナ禍になった直後にワイドショーやニュースなどで「ライブハウスが感染の温床だ」みたいに報道されまくった時期に生まれたライブハウス讃歌であるが、四星球にしては珍しく曲間全くなくまさやんがギターを鳴らし始めて演奏されたのはまさかのハンブレッダーズ「ライブハウスで会おうぜ」のカバー。まさやんのギタリストが1人だけなのに完コピできるギターも、力強すぎるU太とモリスのリズムも、コミックバンドであるが故にあまりそうは見られないが、実は超絶テクニックを持つ天才音楽集団である四星球の実力が完璧なカバーによってしっかり伝わるのだが、この曲は「ライブハウス音頭」と同じことを歌っている。四星球だから作れたのが「ライブハウス音頭」であり、ハンブレッダーズだから作れたのが「ライブハウスで会おうぜ」なのだ。世代も音楽性もキャラクターも思考も全く違うだけに距離があるようにも感じられる両者に実は通じる部分がある。それはライブハウスに救われて、ライブハウスで今も生き続けている人間のバンドであるということだ。そんな繋がりをこのカバーは感じさせてくれるし、自分もそういう人間であり続けたいと思う。
しかし
「久しぶりのライブハウスでのライブだから、なんか疲れたんで休んでいいですか」
と言って北島がステージに横たわると、まさやんが
「あれ!?これ生まれたての馬じゃない!?」
と言い、観客もその場にしゃがんでその馬が起き上がる瞬間をまさやんとともに振り付けしながら応援する「UMA WITH A MISSION」に繋がるというこのギャップの凄まじさ。2マンだとフェスなどより持ち時間が長いために当然すぐには立ち上がらず、ゆず「栄光の架橋」が流れる中で立ち上がろうとしても再度倒れ込み、水を舌をペロペロさせて飲んだり、ムツムロ人形を操ったりしながらという小ネタも挟む形で3回ほどやり直した上でようやく馬も観客も立ち上がる。その瞬間のバカらしいはずなのに言いようのない一体感を得られるのはなんなんだろうか。
そんなバカバカしさの後に
「知らぬ間に始まった人生が」
と四星球屈指のキラーチューンである「クラーク博士と僕」を演奏し始めるのであるが、すぐにはバンドの演奏に入らずに、
「ハンブレッダーズはいつも「スクールカーストの最底辺」という言葉を言いますが、我々が学生の頃は「スクールカースト」という言葉はありませんでした。我々のちょっと上の世代の方々が熱狂していたブルーハーツはかつて「劣等生でじゅうぶんだ」と歌っていました。きっとあの頃の「劣等生」が今の「スクールカースト最底辺」なんだと思うんです。つまり、ハンブレッダーズは令和のブルーハーツだと思っております!
水曜日の放課後、あいつらは帰宅部やからすぐに帰るだろうけど、今日は僕もバスケ部休んで一緒に帰ろうかな。そんで好きな音楽の話をみんなでしたい」
というあまりにも強すぎるハンブレッダーズへの愛情を口にしてから始まったことによって、ただでさえ名曲である「クラーク博士と僕」がさらに輝いて感じられる。それはU太もベースを弾きながら飛び跳ねまくり、まさやんが何度もギターを放り投げてはキャッチする(最後は照明に当たりそうなほど高かった)というパフォーマンスとも無関係ではないはずだ。それはロックバンド…ではなくてコミックバンドとしての衝動があってこそできるものだからだ。
そんな四星球は昨年は「UMA WITH A MISSION」と、「北島の乳首を洗濯バサミで挟んで引っ張る時のインスト曲」の2曲しか新曲を作っておらず、2023年は新たな曲として早くも「がんばってんだねす」が演奏される。これはマジモードの四星球の曲であり、四星球なりのユーモアを交えながらも頑張って生きている人を肯定してあげるような曲。つまりは普通にめちゃくちゃ良い曲なのである。そのメロディセンスにこそ四星球がここまでたくさんの人に支持されながら続いてきた理由があるのだ。
そんな四星球が演奏しながら振り上げる拳に観客たちも呼応する「夜明け」から繋がるのはもちろん「妖怪泣き笑い」であり、手拍子をしたり飛び跳ねたりというライブハウスの楽しさが詰まっている中で、U太がベースを自分で取り替えてエフェクティブなサウンドに変えながら北島が間奏で観客を座らせると、
「短い時間に2度も座らされるなんて思わなかったよね(笑)
ヒット曲もないのにメジャーで5周年を迎えさせてもらいました。ひとえにこうしてライブを見てくれているあなたのおかげと思っております。活動歴だと四星球20周年。ハンブレッダーズ14年目。20周年の時にまたやりましょう。今日来た人しかわからないことやるんで絶対来てくださいね。今はこっちから見ていてハンブレッダーズと四星球、どっちのファンか一目でわかるけど6年後にはわかるようになってるから!」
という言葉の後に訪れるサビで一斉にジャンプした瞬間の楽しさとともに込み上げる感動。それは
「たくさん笑えば 涙が出るなら
たくさん泣いたら 笑えるのかな
たくさん笑えば たくさん泣いたら
顔がシワクチャで 妖怪みたいだ」
というこの曲の歌詞そのもののようなカタルシスをもたらしてくれる。まさやんはピックを上に投げて口でキャッチするというパフォーマンスに挑んで見事に成功するが、それゆえにギターを弾くのが遅れてしまって北島に突っ込まれていたが。
そしてコミックバンドでありながらも、それこそブルーハーツなどのパンクロックに影響されたということ、四星球が熱い生き様を持っているということを感じさせる「薬草」のヤケクソでも、というかだからこそ生きていく力をもらえるサウンドによって観客を飛び跳ねさせまくると、北島はマイクスタンドを握りしめて
「僕がジジイ 君がババアになっても
物陰に隠れてキスをしよう」
と、ハンブレッダーズ「ファイナルボーイフレンド」のフレーズを口ずさむ。その姿と歌唱を見て、本当に四星球はハンブレッダーズのことが大好きなんだなと思った。曲を完コピしたり、歌い出しに追加したり。人間としても弟のように思っていながらも、ただただ我々と同じようにハンブレッダーズのファンでもあるかのような。そんな歌い出しが追加されたからこそ、森高千里へのアンサーソングである「君はオバさんにならない」がいつもとは違って「ファイナルボーイフレンド」を違う角度から歌ったように聞こえた。それは「ライブハウス音頭」と「ライブハウスで会おうぜ」をそう感じたように。
演奏後にはハンブレッダーズ「再生」がBGMとして流れる中、
「ハンブレッダーズが、ライブの最後に文字を作って伏線回収するのが好きって言ってくれたんで」
と言ってメンバーの人形の手足を次々に解体し、最後にムツムロギターまでをも解体して「WE ♡ ハンブレ」の文字を作ってみせた。
「本当はこれは今日やらないつもりだったんですけど」
と北島が言っていたのは、その「WE ♡ ハンブレ」を持ちうる全ての手段や技術やひらめきを使って表していたからなんじゃないかと思った。
昨年末に久しぶりにフェスでBRAHMANを見た時に「このフェスでも全てを持っていかれる感覚はやっぱり強すぎる」と思った。全くサウンドもバンドとしてのタイプも違うけれど、四星球も自分にとってはそんなバンドだ。フェスだろうが対バンだろうが、ライブをやればその場を全て掻っ攫っていってしまう、ジョーカーのようなバンド。そうしたバンドだから自分は四星球をコミックバンドであり、日本屈指のライブモンスターだと思っている。
1.鋼鉄の段ボーラーまさゆき w/ ukicaster
2.ライブハウス音頭
3.ライブハウスで会おうぜ
4.UMA WITH A MISSION
5.クラーク博士と僕
6.がんばってんだねす (新曲)
7.夜明け
8.妖怪泣き笑い
9.薬草
10.君はオバさんにならない
・ハンブレッダーズ
そんな四星球のライブの後であるだけに、おなじみのSEが流れると手拍子だけではなく、どこか笑い声すら聴こえてくる感じがしたのは自分だけだろうか。2ヶ月前のリベンジとして、ハンブレッダーズがようやくこのZepp Hanedaのステージに立つ。
「ここまで散々紹介にあずかりました、ハンブレッダーズです(笑)」
というムツムロアキラ(ボーカル&ギター)の挨拶からしても、あれだけ四星球が名前を出したり人形を使ったりしてくれたからこそという感がある中、そのムツムロがギターを掻き鳴らしながら歌い始めた「BGMになるなよ」で幕を開ける。やはりバンドの演奏からは気合いが漲っているのがよくわかるが、
「愛と平和を歌っても相変わらずな世界で
変わらず愛と平和を歌うのが僕の戦いさ」
という歌い出しがハンブレッダーズというバンドの意思を表明する中、自分は続く
「名前も顔もない人に後ろ指を指されても
フルボリュームの耳栓があるから
何も聞こえないんだ」
というフレーズが大好きである。それは音楽が流れていればいつだって自分は最強だって思える、あの感じをこのフレーズが言い当ててくれているからだ。
「今は君にしか聴こえないその胸の高鳴りよ
世界にとって都合のいいBGMになるなよ」
というフレーズも、ながら聴きできるような、すぐに流れては頭から消えていくような音楽じゃなくて、一回聴いたら突き刺さってぬけない、BGMにならないような音楽にこそ救われてきた身として拳を振り上げずにはいられない。もちろんそれはハンブレッダーズの音楽もそうした存在だからだ。
曲始まりでメンバー4人が
「だけど世界中の誰もが
あの歌を歌ってしまったら
僕はきっと聴かなくなってしまうだろう」
というサビのフレーズで声を重ねるというアレンジによって始まったのは、まさにその「自分だけのフェイバリットソング」ということを歌った「フェイバリットソング」であるのだが、この曲では最も自由にukicaster(ギター)とでらし(ベース)が演奏しながらステージを走り回り、木島のドラムセットの後ろで追いかけっこしているようにすら見える。メンバーの見た目が幼いというのもあるけれど、そうした姿は本当にバンドを始めたばかりの少年たちがそのままステージに立って音を鳴らしているかのようだ。そしてその姿が我々をさらに楽しくしてくれる。
バンドは昨年アルバム「ヤバすぎるスピード」をリリースし、これからそのリリースツアーが控えているだけに、もっとその新作モードになるかと思っていた中で冒頭2曲がこれまでのキラーチューンだったのでこの日のセトリが予想できなくなる中、3曲目でその新作収録の「アイラブユー」が演奏される。
「君との会話の心地よさ 阪急電車だ」
「ふたりで行こうぜ 万博公園の映画館」
という大阪出身ならではのフレーズも巧みに取り入れながら、サビでは実に小気味良く「アイラブラブラブラブ…」と歌う。そのリズムの良さが疾走感に繋がってるとも思っているのだが、それを支える木島のビートの力強さと正確さには見るたびに驚かされてしまう。四星球同様にそうは見えないけれど、実はハンブレッダーズも演奏がめちゃくちゃしっかりしているバンドであるということがライブを観るとよくわかる。
「やりすぎじゃないですか?(笑)」
とムツムロが四星球について話し始めると、
「今日やってた新曲とか「君はオバさんにならない」とかめちゃくちゃ良い曲じゃないですか。でもそういう曲ばかりじゃなくて、馬が立ち上がる曲とかがあるからより良い曲に聞こえる。
それはヤンキーが更生してまともに働いてるのが偉い、みたいな錯覚ですよ(笑)普通にずっと真面目に働いてる方が偉いのに(笑)
だから我々も馬が立ち上がるみたいな曲ばっかりやった後に「BGMになるなよ」やったらめちゃくちゃ良い曲に聞こえますよ(笑)
そうやってゲスト側なのに主催みたいなライブをやられて、後から出てくるとやりづらくて仕方ないので、我々の方向性としては四星球とはもう対バンしないということを決めました(笑)」
と言って笑わせるのであるが、結果的にこのMCが四星球のことしか喋っていないというのが、ハンブレッダーズがどれだけ四星球が大好きかということを表している。
そんなMCの後にムツムロがタイトルを口にしただけで客席が「えっ!?」みたいになったのは、まさか今になってやるとは思っていなかった「CRYING BABY」が演奏されたからであるが、深く青い照明がメンバーを照らす姿はこの曲が持っている蒼さを呼び起こすかのようだ。ハンブレッダーズはヤバすぎるくらいにリリースペースが速いし、そうして生まれた新しい曲をライブでガンガンやっていくバンドであるだけにこうした初期と言える時期の曲が聴けるというのはそりゃあ驚くし、聴けてよかったという人もたくさんいたはずである。
ukicasterの軽快なカッティングギターとでらし&木島のハネるようなリズムによって観客の体が揺れる「プロポーズ」と、ひたすらに拳を振り上げるだけではないタイプの曲が聴けるのは持ち時間が長めの2マンだからであるが、
「国道沿いのファミレスで
ミックスグリルを頼んで
食後のデザートにはアイスシャーベット」
というフレーズの凄まじい情景喚起力。この歌詞はムツムロの実体験ではなくて妄想でありフィクションだとも思うけれど、何故こんなに「この単語だからこそこんなに脳内にイメージが浮かぶのか」という単語を的確に選べるのだろうか。そうして曲の世界の中に入っていけるからこそ、
「ああ この瞬間 この世界はなんだか
君と僕だけのためにある気がする」
というサビのフレーズがここにいる1人1人のためのものになるのだ。ライブハウスを愛し、ライブハウスで生きてきたバンドだけれど、この曲はアリーナのような場所で鳴らしたらどんな光景が見れるんだろうかと想像してしまう。
すると四星球にお返しをするかのようにムツムロが「君はオバさんにならない」を歌ってから、
「めちゃくちゃ良い曲だけど、俺にはロマンチック過ぎるなって。それを俺が歌うとこうなる」
と言って、北島も引用していた
「僕がジジイ 君がババアになっても
物陰に隠れてキスをしよう」
と歌い始めたのは「ファイナルボーイフレンド」であり、やはりこの2組はそれぞれの視点と感性で同じテーマを歌ってきたバンドであるということが改めてわかるし、この曲や「プロポーズ」が個人的に異彩を放ってるなと思うのは、ハンブレッダーズはひたすら「音楽へのラブソング」を歌ってきたバンドであり、そんなバンドが歌う「愛する1人へのラブソング」だからである。それが沁みるのはメロディの美しさと、そのメロディを最大限に引き出すことができるムツムロのボーカルの力あってこそである。
そんな「音楽へのラブソング」を歌ってきたハンブレッダーズの始まりと言えるのはもちろん「DAY DREAM BEAT」であり、この4人でのバンドになったからこそ、さらにライブで鳴らすと疾走感を感じられるようになっているのはより青春感が増しているからかもしれないが、
「ひとり 登下校中 ヘッドフォンの中は宇宙
唇だけで歌う 自分の歌だとハッキリわかったんだ」
というフレーズが何度聴いてもリアルに響くのは、自分がかつて同じ体験をしてきたからというのはもちろん、今もその真っ只中にいるんじゃないかと思うから。それはハンブレッダーズのような、そう感じさせてくれるバンドがいるからこそそう思える。「ネバーエンディング思春期」とは本当によく言ったものだな、と思うくらいに、今ではこの曲が自分の歌だとハッキリわかる。
そんな「DAY DREAM BEAT」から連なるテーマの新曲が、すでに「BORUTO」のテーマソングに決まって話題になっているシングルのカップリング曲となる「THE SONG」。パンクと言っていいような激しく疾走するビートに乗ってムツムロはサビの最後に指をさすようにして
「ヘッドホンをしろ」
と歌う。そこから自分たちの音楽が流れれば、必ず聴いてるあなたを引っ張り上げてやるからという思いを感じるのは、ヘッドホンの中は宇宙だから。早く歌詞をじっくり読みながら聴きたいし、配信されたばかりのシングルのタイトル曲「またね」も早くライブで聴いてみたいところだ。
さらにはハンブレッダーズなりのダンスチューンである「常識の範疇」では木島が軽快な四つ打ちを刻む中でムツムロは
「俺たちのライブは自由に楽しんでいいから。腕を挙げても踊ってもいいし、後ろで腕を組んでても大丈夫。ちゃんと見えてるから」
と言うのだが、そのムツムロが2コーラス目で歌詞をすっ飛ばしたことによって、
「歌詞を飛ばしても大丈夫だから(笑)」
と言って自由っぷりをステージ上からアピールして笑わせてくれるあたりはさすがである。というかもはや狙ってやったんじゃないかと思うくらいに。
するとムツムロはやはり「ライブハウスで会おうぜ」と「ライブハウス音頭」という曲を両バンドが同じ時期にリリースしたことについて、
「同じ時期に同じことを考えてる人がいたんだな」
と口にしながら、
「ちょうどその時期に初めて四星球と対バンして。今もまだそうかもしれないけど、ライブハウスに行くのが怖いとか、今は行きたくても行けないっていう人もたくさんいたんだろうなって」
と振り返りながら、
「さっき一緒に下校するみたいな話をしてくれたけど、同じ学校だったら本当に頼もしい先輩になってくれただろうなって思う。本当に大好きなバンドだったから、こうやって仲良くなれたのが本当に嬉しい」
と四星球への愛を語る。最初の「もう対バンはしない」というのも、四星球の強さをちゃんと知っているからそう言いたくなるのだ。あらゆるものが違う両バンドが心から通じ合っていて、信頼し合っているということがよくわかる。だからもう対バンしないなんてことにはならないだろうし、
「さっき「令和のブルーハーツって言ってくれたけど、俺たちも四星球も、もうブルーハーツより長くやってる。長く続けてるバンドの方がカッコいいと思ってるから、ブルーハーツより俺たちと四星球の方がカッコいいと思ってる。そのためには生きないといけないんで、みんなも少しでも長く生きてほしいと思います」
と言って演奏されたのは、かつてバンドの形態が変わってしまった時に、それでも続けていくことを歌にした「銀河高速」。
「時代の波ならば HIP HOP
イマドキ女子は皆 Tik Tok
未だに僕らはロックンロールと
フォークソングをシンガロング」
という歌詞の韻の踏みっぷりも実に見事であるが、その歌詞をメンバー全員が声を重ねて歌うことによって、ムツムロの書いたものからバンドの意思として昇華されていく。個人的にはこの曲あたりからハンブレッダーズのコーラスワークは劇的に進化したと思っているのだが、それはメンバー全員が本当に胸に抱えていることを全力で歌うようになったからだと思っている。時代の波じゃなくても、イマドキじゃなくても、ロックンロールをシンガロングする人生でありたいと思わせてくれる曲である。
そんなハンブレッダーズの生き急ぎっぷりをタイトルでも示してくれるのは「ヤバすぎるスピード」。1年以内にフルアルバムを2枚リリースしているというペースもそうであるが、
「時給900円から固定給」
というフレーズなどはまさに「銀河高速」から連なるものであるし、最後に木島のドラムが激しいツービートになるというアレンジもまた高速のさらにその先へと足を踏み出したバンドの現状を感じさせてくれる。
そんなライブの最後に演奏されたのは、ムツムロとukicasterによる、一回聴いたら忘れられないくらいにクセになるギターリフが絡み合う「ワールドイズマイン」。基本的にムツムロとukicasterと木島は表情のバリエーションが実に少ないタイプだと思っているのだけど、それでも楽しんでいるということはでらしとukicasterが位置を入れ替わってコーラスしたりする姿を見ていて実によくわかる。それがこの瞬間以外に何もないな、と思うくらいに我々を楽しく、熱くさせてくれるからこそ、
「何も持っていないハズの
僕らがドキドキしている
この世界はきっと僕らのものなのさ」
と心から思うことができる。この音楽がライブハウスで鳴ってさえいれば、ほかにどんなことがあっても。
アンコールでメンバーが再び登場すると、ムツムロは普段からよく着ているブランドとコラボしたバンドの新作Tシャツを嬉しそうに観客に見せながら、
「じゃあ四星球がカバーしてくれた曲をやります」
と言って「ライブハウスで会おうぜ」を本家として演奏するのだが、この曲は最近はライブで毎回やるという曲ではない。でもやっぱりこのライブハウスで、かつ同じテーマの曲を持つ四星球との対バンとなると演奏しなくてはいけない曲だ。こうして一度は流れてしまったライブハウスでの対バンが、同じライブハウスで行われている。それはライブハウスで会えたということ。だからこそその演奏を聴いていていつも以上に感動してしまったのだが、涙を流したってここじゃきっとバレないはずだ。コロナ禍になって感謝することがあるとすれば、コロナ禍にならなければ生まれなかったこんな名曲が生まれたということ。でも、もうこうした曲を作らなくてもいいような世の中であって欲しいと思う。この曲に願いを込めなくても、当たり前にライブが開催され続けて、当たり前にライブハウスで会えるように。
そんな間違いなくハイライトと言えるような演奏の後には、なんとでらしが自身のマイクスタンドで
「知らぬ間に始まった人生が知らぬ間に終わっていく」
と「クラーク博士と僕」を歌い始め、ムツムロがボーカルにスイッチしてそのままカバーへ突入していく。それは自分たちの曲をカバーしてくれた四星球へのお返しかと思いきや、曲中には本家の四星球メンバーも登場し、ハンブレッダーズのメンバーは次々に四星球のメンバーに楽器を渡していく。すると曲が終わる頃にはステージには四星球しか居なくなっており、
「なんで俺らしかいないねん!」
と北島が突っ込むと、ムツムロがピンク、木島とukicasterは青の法被を着た、四星球バージョンのハンブレッダーズが登場。ムツムロは自身がピンクが似合わないことを自虐的に口にしていると、唯一コロナにかからずに前回の対バンに参加したでらしはその時と同じ昆布のコスプレ(いわば茶色の全身タイツ)でステージに現れ、そのまま合体バンドになる。その瞬間だけ写真を撮っていいということになるのもこの2組それぞれのライブだったらまずないことだろう。
そんな2組のコラボで演奏される曲はなんとブルーハーツ「TRAIN-TRAIN」の合体バージョン。四星球が口にしてきたブルーハーツがこんなところで回収されるとは、とも思うけれど、この2組は北島が言ったように「令和のブルーハーツ」と、その北島たち自身が「コミックバンド版ブルーハーツ」と言える組み合わせなのかもしれない。(ブルーハーツにもコミックソングとまではいかないが、「何だこの曲?」と思うような曲も中期以降にはあったりする)
その合体バンドはギター、ベースが2人ずつであることによってムツムロはハンドマイクになって最初に歌った北島からボーカルを引き継ぐと、ドラムも最初は木島だったのが2コーラス目からはモリスにチェンジし、木島はカメラを持ってステージや客席を撮影するという役目に。演奏ももちろん抜群に上手い両バンドであるために凄まじい音の迫力になるのだが、本当に少年たちがバンドを始めてブルーハーツのカバーをしているような、そんな初々しい笑顔に溢れていた。
しかし、タイトルがコールされた時には四星球のファンの方々はともかく、ハンブレッダーズファンの若い人たちはこの曲はおろかブルーハーツの存在を知っているのだろうかとも思った。でも演奏が始まればそんな心配は杞憂だったことがすぐにわかった。
「見えない自由が欲しくて 見えない銃を撃ちまくる」
のフレーズでの原曲ではマーシーの、この日はメンバー全員でのコーラス部分でそのフレーズに合わせるように観客が突き上げた拳が動く。なんならずっと拳が上がりっぱなしという、なんならこの日最高の盛り上がりと言っていいくらいだった。
それはハンブレッダーズがずっと音楽への愛を歌ってきたバンドだからこそ、そのハンブレッダーズを好きな人たちもハンブレッダーズだけが好きなんじゃなくて、様々な音楽やバンドを聴いている人たちだということがこの光景を見ただけでわかる。こういうバンドがいて、そのバンドを愛する人たちがいるからこそ、この日本のロックの歴史を作ったアンセムはこれからも精一杯デカい声で歌われていく。
演奏が終わった後にテンションが上がりきってしまった観客が
「誕生日おめでとうー!」
とこのライブの直前に誕生日を迎えた木島を祝うと、最後にステージに残った木島は
「気をつけて帰ってね〜」
と言った。それは自分たちのファンクラブに「帰宅部」という名前をつけたこのバンドらしすぎる最後の言葉だった。
ハンブレッダーズを最初に聴いた時、自分にとってはもう過ぎ去ったものを歌っているバンドだと思ってしまっていた。描写が学生時代を思わせるものも多く、なかなか自分はもうそこにリアリティを感じられない年齢になってしまっていたからだ。
でもそんな印象はライブを見るたびに覆されてきた。今ではもうこのバンドは完全に、かつての学生時代の自分のようなやつのためのバンドだとすら思っている。テレビで流れてくることもない、クラスのほとんどの人が知らないパンクバンドばかり聴いていることが唯一のアイデンティティだった自分のようなやつのための。あの頃の自分にハンブレッダーズを聴かせたらどう思うだろうか。きっと、自分の歌だとハッキリわかるはずだ。
そう思ってるからこそ、どんな寒波が襲ってきても熱くなれる場所である、ライブハウスでまた会おうぜ。
1.BGMにになるなよ
2.フェイバリットソング
3.アイラブユー
4.CRYING BABY
5.プロポーズ
6.ファイナルボーイフレンド
7.DAY DREAM BEAT
8.THE SONG
9.常識の範疇
10.銀河高速
11.ヤバすぎるスピード
12.ワールドイズマイン
encore
13.ライブハウスで会おうぜ
14.クラーク博士と僕 w/ 四星球
15.TRAIN-TRAIN (ブルーハーツのカバー) w/ 四星球
・四星球
この日は呼ばれた側ということで、先攻が四星球。果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのかとも思うが、ハンブレッダーズのファンの客層が明らかに若いだけに少し出てくる前はアウェー感も感じる。
しかし19時になって場内に流れ始めたのはハンブレッダーズのいつものSE。それだけに絶対機材的にはハンブレッダーズではないのがわかっていても客席が「え!?」となるのがよくわかるのであるが、北島康雄(ボーカル)による
「今日はハンブレッダーズをおんぶしてきました、オンブレッダーズとしてやらせていただきます!」
という言葉とともに、この日は仮装などはなく、メンバー全員最初から法被姿だなと思ったのだが、その背中には段ボール製のハンブレッダーズのメンバーの人形を背負っている。しかもちゃんとその人形にブリーフを履かせているというあたりがさすが四星球であるが、木島の人形をステージ端に置き、北島はドラムセット前にムツムロの人形を置こうとするのだが、ムツムロ人形がすぐに倒れてしまい、
「こら!ムツムロ!ちゃんと座らないとダメでしょ!ムツムロ君が座るまでライブ始めませんよ!」
と言ってドラムセットのライザーに無理矢理立てかけるようにムツムロ人形を座らせると、その人形たちを製作したまさやん(ギター)を称える歌である「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」でライブがスタートすると、観客がエアギターをしたりその場でぐるぐる回ったりしながら、そのまさやんがギターソロを炸裂させる…と思ったらなんと早くもハンブレッダーズのukicasterが「うき↓」という、まやさんと同じアピール段ボールを装着してステージに現れてまさやんと一緒にギターを弾くのであるが、その後に観客がエアギターを上に放り投げる振りで段ボール製のムツムロギターを渡されたukicasterは投げるべきタイミングでギターを投げられず、
「あいつギター投げてない!」
と北島に言われて演奏ストップ→やり直しになってしまう。結局曲終わりまでずっとステージにい続けたukicasterだったが、1曲目からまさかのコラボにしてとんでもない情報量である。
そんな先制攻撃に驚かされると、
「我々2023年のライブハウス初めでございます!」
と言ってモリス(ドラム)のリズムに合わせた観客とU太(ベース)の手拍子も響き渡る「ライブハウス音頭」が演奏される。最近はフェスなどのライブハウス以外での大きな会場でもライブをよく見るようになった四星球であるが、やはりこうしてライブハウスで聞くこの曲は共感の固まりと言っていい曲だ。さすがにこのZepp Hanedaは近隣にライブハウスがほとんどないだけに同じ地域にある他のライブハウスの名前は出なかったけれど、ライブハウスで生きてきたバンドであり、音頭を作っても成立するバンドである四星球だからこそ生まれた曲である。
その「ライブハウス音頭」はコロナ禍になった直後にワイドショーやニュースなどで「ライブハウスが感染の温床だ」みたいに報道されまくった時期に生まれたライブハウス讃歌であるが、四星球にしては珍しく曲間全くなくまさやんがギターを鳴らし始めて演奏されたのはまさかのハンブレッダーズ「ライブハウスで会おうぜ」のカバー。まさやんのギタリストが1人だけなのに完コピできるギターも、力強すぎるU太とモリスのリズムも、コミックバンドであるが故にあまりそうは見られないが、実は超絶テクニックを持つ天才音楽集団である四星球の実力が完璧なカバーによってしっかり伝わるのだが、この曲は「ライブハウス音頭」と同じことを歌っている。四星球だから作れたのが「ライブハウス音頭」であり、ハンブレッダーズだから作れたのが「ライブハウスで会おうぜ」なのだ。世代も音楽性もキャラクターも思考も全く違うだけに距離があるようにも感じられる両者に実は通じる部分がある。それはライブハウスに救われて、ライブハウスで今も生き続けている人間のバンドであるということだ。そんな繋がりをこのカバーは感じさせてくれるし、自分もそういう人間であり続けたいと思う。
しかし
「久しぶりのライブハウスでのライブだから、なんか疲れたんで休んでいいですか」
と言って北島がステージに横たわると、まさやんが
「あれ!?これ生まれたての馬じゃない!?」
と言い、観客もその場にしゃがんでその馬が起き上がる瞬間をまさやんとともに振り付けしながら応援する「UMA WITH A MISSION」に繋がるというこのギャップの凄まじさ。2マンだとフェスなどより持ち時間が長いために当然すぐには立ち上がらず、ゆず「栄光の架橋」が流れる中で立ち上がろうとしても再度倒れ込み、水を舌をペロペロさせて飲んだり、ムツムロ人形を操ったりしながらという小ネタも挟む形で3回ほどやり直した上でようやく馬も観客も立ち上がる。その瞬間のバカらしいはずなのに言いようのない一体感を得られるのはなんなんだろうか。
そんなバカバカしさの後に
「知らぬ間に始まった人生が」
と四星球屈指のキラーチューンである「クラーク博士と僕」を演奏し始めるのであるが、すぐにはバンドの演奏に入らずに、
「ハンブレッダーズはいつも「スクールカーストの最底辺」という言葉を言いますが、我々が学生の頃は「スクールカースト」という言葉はありませんでした。我々のちょっと上の世代の方々が熱狂していたブルーハーツはかつて「劣等生でじゅうぶんだ」と歌っていました。きっとあの頃の「劣等生」が今の「スクールカースト最底辺」なんだと思うんです。つまり、ハンブレッダーズは令和のブルーハーツだと思っております!
水曜日の放課後、あいつらは帰宅部やからすぐに帰るだろうけど、今日は僕もバスケ部休んで一緒に帰ろうかな。そんで好きな音楽の話をみんなでしたい」
というあまりにも強すぎるハンブレッダーズへの愛情を口にしてから始まったことによって、ただでさえ名曲である「クラーク博士と僕」がさらに輝いて感じられる。それはU太もベースを弾きながら飛び跳ねまくり、まさやんが何度もギターを放り投げてはキャッチする(最後は照明に当たりそうなほど高かった)というパフォーマンスとも無関係ではないはずだ。それはロックバンド…ではなくてコミックバンドとしての衝動があってこそできるものだからだ。
そんな四星球は昨年は「UMA WITH A MISSION」と、「北島の乳首を洗濯バサミで挟んで引っ張る時のインスト曲」の2曲しか新曲を作っておらず、2023年は新たな曲として早くも「がんばってんだねす」が演奏される。これはマジモードの四星球の曲であり、四星球なりのユーモアを交えながらも頑張って生きている人を肯定してあげるような曲。つまりは普通にめちゃくちゃ良い曲なのである。そのメロディセンスにこそ四星球がここまでたくさんの人に支持されながら続いてきた理由があるのだ。
そんな四星球が演奏しながら振り上げる拳に観客たちも呼応する「夜明け」から繋がるのはもちろん「妖怪泣き笑い」であり、手拍子をしたり飛び跳ねたりというライブハウスの楽しさが詰まっている中で、U太がベースを自分で取り替えてエフェクティブなサウンドに変えながら北島が間奏で観客を座らせると、
「短い時間に2度も座らされるなんて思わなかったよね(笑)
ヒット曲もないのにメジャーで5周年を迎えさせてもらいました。ひとえにこうしてライブを見てくれているあなたのおかげと思っております。活動歴だと四星球20周年。ハンブレッダーズ14年目。20周年の時にまたやりましょう。今日来た人しかわからないことやるんで絶対来てくださいね。今はこっちから見ていてハンブレッダーズと四星球、どっちのファンか一目でわかるけど6年後にはわかるようになってるから!」
という言葉の後に訪れるサビで一斉にジャンプした瞬間の楽しさとともに込み上げる感動。それは
「たくさん笑えば 涙が出るなら
たくさん泣いたら 笑えるのかな
たくさん笑えば たくさん泣いたら
顔がシワクチャで 妖怪みたいだ」
というこの曲の歌詞そのもののようなカタルシスをもたらしてくれる。まさやんはピックを上に投げて口でキャッチするというパフォーマンスに挑んで見事に成功するが、それゆえにギターを弾くのが遅れてしまって北島に突っ込まれていたが。
そしてコミックバンドでありながらも、それこそブルーハーツなどのパンクロックに影響されたということ、四星球が熱い生き様を持っているということを感じさせる「薬草」のヤケクソでも、というかだからこそ生きていく力をもらえるサウンドによって観客を飛び跳ねさせまくると、北島はマイクスタンドを握りしめて
「僕がジジイ 君がババアになっても
物陰に隠れてキスをしよう」
と、ハンブレッダーズ「ファイナルボーイフレンド」のフレーズを口ずさむ。その姿と歌唱を見て、本当に四星球はハンブレッダーズのことが大好きなんだなと思った。曲を完コピしたり、歌い出しに追加したり。人間としても弟のように思っていながらも、ただただ我々と同じようにハンブレッダーズのファンでもあるかのような。そんな歌い出しが追加されたからこそ、森高千里へのアンサーソングである「君はオバさんにならない」がいつもとは違って「ファイナルボーイフレンド」を違う角度から歌ったように聞こえた。それは「ライブハウス音頭」と「ライブハウスで会おうぜ」をそう感じたように。
演奏後にはハンブレッダーズ「再生」がBGMとして流れる中、
「ハンブレッダーズが、ライブの最後に文字を作って伏線回収するのが好きって言ってくれたんで」
と言ってメンバーの人形の手足を次々に解体し、最後にムツムロギターまでをも解体して「WE ♡ ハンブレ」の文字を作ってみせた。
「本当はこれは今日やらないつもりだったんですけど」
と北島が言っていたのは、その「WE ♡ ハンブレ」を持ちうる全ての手段や技術やひらめきを使って表していたからなんじゃないかと思った。
昨年末に久しぶりにフェスでBRAHMANを見た時に「このフェスでも全てを持っていかれる感覚はやっぱり強すぎる」と思った。全くサウンドもバンドとしてのタイプも違うけれど、四星球も自分にとってはそんなバンドだ。フェスだろうが対バンだろうが、ライブをやればその場を全て掻っ攫っていってしまう、ジョーカーのようなバンド。そうしたバンドだから自分は四星球をコミックバンドであり、日本屈指のライブモンスターだと思っている。
1.鋼鉄の段ボーラーまさゆき w/ ukicaster
2.ライブハウス音頭
3.ライブハウスで会おうぜ
4.UMA WITH A MISSION
5.クラーク博士と僕
6.がんばってんだねす (新曲)
7.夜明け
8.妖怪泣き笑い
9.薬草
10.君はオバさんにならない
・ハンブレッダーズ
そんな四星球のライブの後であるだけに、おなじみのSEが流れると手拍子だけではなく、どこか笑い声すら聴こえてくる感じがしたのは自分だけだろうか。2ヶ月前のリベンジとして、ハンブレッダーズがようやくこのZepp Hanedaのステージに立つ。
「ここまで散々紹介にあずかりました、ハンブレッダーズです(笑)」
というムツムロアキラ(ボーカル&ギター)の挨拶からしても、あれだけ四星球が名前を出したり人形を使ったりしてくれたからこそという感がある中、そのムツムロがギターを掻き鳴らしながら歌い始めた「BGMになるなよ」で幕を開ける。やはりバンドの演奏からは気合いが漲っているのがよくわかるが、
「愛と平和を歌っても相変わらずな世界で
変わらず愛と平和を歌うのが僕の戦いさ」
という歌い出しがハンブレッダーズというバンドの意思を表明する中、自分は続く
「名前も顔もない人に後ろ指を指されても
フルボリュームの耳栓があるから
何も聞こえないんだ」
というフレーズが大好きである。それは音楽が流れていればいつだって自分は最強だって思える、あの感じをこのフレーズが言い当ててくれているからだ。
「今は君にしか聴こえないその胸の高鳴りよ
世界にとって都合のいいBGMになるなよ」
というフレーズも、ながら聴きできるような、すぐに流れては頭から消えていくような音楽じゃなくて、一回聴いたら突き刺さってぬけない、BGMにならないような音楽にこそ救われてきた身として拳を振り上げずにはいられない。もちろんそれはハンブレッダーズの音楽もそうした存在だからだ。
曲始まりでメンバー4人が
「だけど世界中の誰もが
あの歌を歌ってしまったら
僕はきっと聴かなくなってしまうだろう」
というサビのフレーズで声を重ねるというアレンジによって始まったのは、まさにその「自分だけのフェイバリットソング」ということを歌った「フェイバリットソング」であるのだが、この曲では最も自由にukicaster(ギター)とでらし(ベース)が演奏しながらステージを走り回り、木島のドラムセットの後ろで追いかけっこしているようにすら見える。メンバーの見た目が幼いというのもあるけれど、そうした姿は本当にバンドを始めたばかりの少年たちがそのままステージに立って音を鳴らしているかのようだ。そしてその姿が我々をさらに楽しくしてくれる。
バンドは昨年アルバム「ヤバすぎるスピード」をリリースし、これからそのリリースツアーが控えているだけに、もっとその新作モードになるかと思っていた中で冒頭2曲がこれまでのキラーチューンだったのでこの日のセトリが予想できなくなる中、3曲目でその新作収録の「アイラブユー」が演奏される。
「君との会話の心地よさ 阪急電車だ」
「ふたりで行こうぜ 万博公園の映画館」
という大阪出身ならではのフレーズも巧みに取り入れながら、サビでは実に小気味良く「アイラブラブラブラブ…」と歌う。そのリズムの良さが疾走感に繋がってるとも思っているのだが、それを支える木島のビートの力強さと正確さには見るたびに驚かされてしまう。四星球同様にそうは見えないけれど、実はハンブレッダーズも演奏がめちゃくちゃしっかりしているバンドであるということがライブを観るとよくわかる。
「やりすぎじゃないですか?(笑)」
とムツムロが四星球について話し始めると、
「今日やってた新曲とか「君はオバさんにならない」とかめちゃくちゃ良い曲じゃないですか。でもそういう曲ばかりじゃなくて、馬が立ち上がる曲とかがあるからより良い曲に聞こえる。
それはヤンキーが更生してまともに働いてるのが偉い、みたいな錯覚ですよ(笑)普通にずっと真面目に働いてる方が偉いのに(笑)
だから我々も馬が立ち上がるみたいな曲ばっかりやった後に「BGMになるなよ」やったらめちゃくちゃ良い曲に聞こえますよ(笑)
そうやってゲスト側なのに主催みたいなライブをやられて、後から出てくるとやりづらくて仕方ないので、我々の方向性としては四星球とはもう対バンしないということを決めました(笑)」
と言って笑わせるのであるが、結果的にこのMCが四星球のことしか喋っていないというのが、ハンブレッダーズがどれだけ四星球が大好きかということを表している。
そんなMCの後にムツムロがタイトルを口にしただけで客席が「えっ!?」みたいになったのは、まさか今になってやるとは思っていなかった「CRYING BABY」が演奏されたからであるが、深く青い照明がメンバーを照らす姿はこの曲が持っている蒼さを呼び起こすかのようだ。ハンブレッダーズはヤバすぎるくらいにリリースペースが速いし、そうして生まれた新しい曲をライブでガンガンやっていくバンドであるだけにこうした初期と言える時期の曲が聴けるというのはそりゃあ驚くし、聴けてよかったという人もたくさんいたはずである。
ukicasterの軽快なカッティングギターとでらし&木島のハネるようなリズムによって観客の体が揺れる「プロポーズ」と、ひたすらに拳を振り上げるだけではないタイプの曲が聴けるのは持ち時間が長めの2マンだからであるが、
「国道沿いのファミレスで
ミックスグリルを頼んで
食後のデザートにはアイスシャーベット」
というフレーズの凄まじい情景喚起力。この歌詞はムツムロの実体験ではなくて妄想でありフィクションだとも思うけれど、何故こんなに「この単語だからこそこんなに脳内にイメージが浮かぶのか」という単語を的確に選べるのだろうか。そうして曲の世界の中に入っていけるからこそ、
「ああ この瞬間 この世界はなんだか
君と僕だけのためにある気がする」
というサビのフレーズがここにいる1人1人のためのものになるのだ。ライブハウスを愛し、ライブハウスで生きてきたバンドだけれど、この曲はアリーナのような場所で鳴らしたらどんな光景が見れるんだろうかと想像してしまう。
すると四星球にお返しをするかのようにムツムロが「君はオバさんにならない」を歌ってから、
「めちゃくちゃ良い曲だけど、俺にはロマンチック過ぎるなって。それを俺が歌うとこうなる」
と言って、北島も引用していた
「僕がジジイ 君がババアになっても
物陰に隠れてキスをしよう」
と歌い始めたのは「ファイナルボーイフレンド」であり、やはりこの2組はそれぞれの視点と感性で同じテーマを歌ってきたバンドであるということが改めてわかるし、この曲や「プロポーズ」が個人的に異彩を放ってるなと思うのは、ハンブレッダーズはひたすら「音楽へのラブソング」を歌ってきたバンドであり、そんなバンドが歌う「愛する1人へのラブソング」だからである。それが沁みるのはメロディの美しさと、そのメロディを最大限に引き出すことができるムツムロのボーカルの力あってこそである。
そんな「音楽へのラブソング」を歌ってきたハンブレッダーズの始まりと言えるのはもちろん「DAY DREAM BEAT」であり、この4人でのバンドになったからこそ、さらにライブで鳴らすと疾走感を感じられるようになっているのはより青春感が増しているからかもしれないが、
「ひとり 登下校中 ヘッドフォンの中は宇宙
唇だけで歌う 自分の歌だとハッキリわかったんだ」
というフレーズが何度聴いてもリアルに響くのは、自分がかつて同じ体験をしてきたからというのはもちろん、今もその真っ只中にいるんじゃないかと思うから。それはハンブレッダーズのような、そう感じさせてくれるバンドがいるからこそそう思える。「ネバーエンディング思春期」とは本当によく言ったものだな、と思うくらいに、今ではこの曲が自分の歌だとハッキリわかる。
そんな「DAY DREAM BEAT」から連なるテーマの新曲が、すでに「BORUTO」のテーマソングに決まって話題になっているシングルのカップリング曲となる「THE SONG」。パンクと言っていいような激しく疾走するビートに乗ってムツムロはサビの最後に指をさすようにして
「ヘッドホンをしろ」
と歌う。そこから自分たちの音楽が流れれば、必ず聴いてるあなたを引っ張り上げてやるからという思いを感じるのは、ヘッドホンの中は宇宙だから。早く歌詞をじっくり読みながら聴きたいし、配信されたばかりのシングルのタイトル曲「またね」も早くライブで聴いてみたいところだ。
さらにはハンブレッダーズなりのダンスチューンである「常識の範疇」では木島が軽快な四つ打ちを刻む中でムツムロは
「俺たちのライブは自由に楽しんでいいから。腕を挙げても踊ってもいいし、後ろで腕を組んでても大丈夫。ちゃんと見えてるから」
と言うのだが、そのムツムロが2コーラス目で歌詞をすっ飛ばしたことによって、
「歌詞を飛ばしても大丈夫だから(笑)」
と言って自由っぷりをステージ上からアピールして笑わせてくれるあたりはさすがである。というかもはや狙ってやったんじゃないかと思うくらいに。
するとムツムロはやはり「ライブハウスで会おうぜ」と「ライブハウス音頭」という曲を両バンドが同じ時期にリリースしたことについて、
「同じ時期に同じことを考えてる人がいたんだな」
と口にしながら、
「ちょうどその時期に初めて四星球と対バンして。今もまだそうかもしれないけど、ライブハウスに行くのが怖いとか、今は行きたくても行けないっていう人もたくさんいたんだろうなって」
と振り返りながら、
「さっき一緒に下校するみたいな話をしてくれたけど、同じ学校だったら本当に頼もしい先輩になってくれただろうなって思う。本当に大好きなバンドだったから、こうやって仲良くなれたのが本当に嬉しい」
と四星球への愛を語る。最初の「もう対バンはしない」というのも、四星球の強さをちゃんと知っているからそう言いたくなるのだ。あらゆるものが違う両バンドが心から通じ合っていて、信頼し合っているということがよくわかる。だからもう対バンしないなんてことにはならないだろうし、
「さっき「令和のブルーハーツって言ってくれたけど、俺たちも四星球も、もうブルーハーツより長くやってる。長く続けてるバンドの方がカッコいいと思ってるから、ブルーハーツより俺たちと四星球の方がカッコいいと思ってる。そのためには生きないといけないんで、みんなも少しでも長く生きてほしいと思います」
と言って演奏されたのは、かつてバンドの形態が変わってしまった時に、それでも続けていくことを歌にした「銀河高速」。
「時代の波ならば HIP HOP
イマドキ女子は皆 Tik Tok
未だに僕らはロックンロールと
フォークソングをシンガロング」
という歌詞の韻の踏みっぷりも実に見事であるが、その歌詞をメンバー全員が声を重ねて歌うことによって、ムツムロの書いたものからバンドの意思として昇華されていく。個人的にはこの曲あたりからハンブレッダーズのコーラスワークは劇的に進化したと思っているのだが、それはメンバー全員が本当に胸に抱えていることを全力で歌うようになったからだと思っている。時代の波じゃなくても、イマドキじゃなくても、ロックンロールをシンガロングする人生でありたいと思わせてくれる曲である。
そんなハンブレッダーズの生き急ぎっぷりをタイトルでも示してくれるのは「ヤバすぎるスピード」。1年以内にフルアルバムを2枚リリースしているというペースもそうであるが、
「時給900円から固定給」
というフレーズなどはまさに「銀河高速」から連なるものであるし、最後に木島のドラムが激しいツービートになるというアレンジもまた高速のさらにその先へと足を踏み出したバンドの現状を感じさせてくれる。
そんなライブの最後に演奏されたのは、ムツムロとukicasterによる、一回聴いたら忘れられないくらいにクセになるギターリフが絡み合う「ワールドイズマイン」。基本的にムツムロとukicasterと木島は表情のバリエーションが実に少ないタイプだと思っているのだけど、それでも楽しんでいるということはでらしとukicasterが位置を入れ替わってコーラスしたりする姿を見ていて実によくわかる。それがこの瞬間以外に何もないな、と思うくらいに我々を楽しく、熱くさせてくれるからこそ、
「何も持っていないハズの
僕らがドキドキしている
この世界はきっと僕らのものなのさ」
と心から思うことができる。この音楽がライブハウスで鳴ってさえいれば、ほかにどんなことがあっても。
アンコールでメンバーが再び登場すると、ムツムロは普段からよく着ているブランドとコラボしたバンドの新作Tシャツを嬉しそうに観客に見せながら、
「じゃあ四星球がカバーしてくれた曲をやります」
と言って「ライブハウスで会おうぜ」を本家として演奏するのだが、この曲は最近はライブで毎回やるという曲ではない。でもやっぱりこのライブハウスで、かつ同じテーマの曲を持つ四星球との対バンとなると演奏しなくてはいけない曲だ。こうして一度は流れてしまったライブハウスでの対バンが、同じライブハウスで行われている。それはライブハウスで会えたということ。だからこそその演奏を聴いていていつも以上に感動してしまったのだが、涙を流したってここじゃきっとバレないはずだ。コロナ禍になって感謝することがあるとすれば、コロナ禍にならなければ生まれなかったこんな名曲が生まれたということ。でも、もうこうした曲を作らなくてもいいような世の中であって欲しいと思う。この曲に願いを込めなくても、当たり前にライブが開催され続けて、当たり前にライブハウスで会えるように。
そんな間違いなくハイライトと言えるような演奏の後には、なんとでらしが自身のマイクスタンドで
「知らぬ間に始まった人生が知らぬ間に終わっていく」
と「クラーク博士と僕」を歌い始め、ムツムロがボーカルにスイッチしてそのままカバーへ突入していく。それは自分たちの曲をカバーしてくれた四星球へのお返しかと思いきや、曲中には本家の四星球メンバーも登場し、ハンブレッダーズのメンバーは次々に四星球のメンバーに楽器を渡していく。すると曲が終わる頃にはステージには四星球しか居なくなっており、
「なんで俺らしかいないねん!」
と北島が突っ込むと、ムツムロがピンク、木島とukicasterは青の法被を着た、四星球バージョンのハンブレッダーズが登場。ムツムロは自身がピンクが似合わないことを自虐的に口にしていると、唯一コロナにかからずに前回の対バンに参加したでらしはその時と同じ昆布のコスプレ(いわば茶色の全身タイツ)でステージに現れ、そのまま合体バンドになる。その瞬間だけ写真を撮っていいということになるのもこの2組それぞれのライブだったらまずないことだろう。
そんな2組のコラボで演奏される曲はなんとブルーハーツ「TRAIN-TRAIN」の合体バージョン。四星球が口にしてきたブルーハーツがこんなところで回収されるとは、とも思うけれど、この2組は北島が言ったように「令和のブルーハーツ」と、その北島たち自身が「コミックバンド版ブルーハーツ」と言える組み合わせなのかもしれない。(ブルーハーツにもコミックソングとまではいかないが、「何だこの曲?」と思うような曲も中期以降にはあったりする)
その合体バンドはギター、ベースが2人ずつであることによってムツムロはハンドマイクになって最初に歌った北島からボーカルを引き継ぐと、ドラムも最初は木島だったのが2コーラス目からはモリスにチェンジし、木島はカメラを持ってステージや客席を撮影するという役目に。演奏ももちろん抜群に上手い両バンドであるために凄まじい音の迫力になるのだが、本当に少年たちがバンドを始めてブルーハーツのカバーをしているような、そんな初々しい笑顔に溢れていた。
しかし、タイトルがコールされた時には四星球のファンの方々はともかく、ハンブレッダーズファンの若い人たちはこの曲はおろかブルーハーツの存在を知っているのだろうかとも思った。でも演奏が始まればそんな心配は杞憂だったことがすぐにわかった。
「見えない自由が欲しくて 見えない銃を撃ちまくる」
のフレーズでの原曲ではマーシーの、この日はメンバー全員でのコーラス部分でそのフレーズに合わせるように観客が突き上げた拳が動く。なんならずっと拳が上がりっぱなしという、なんならこの日最高の盛り上がりと言っていいくらいだった。
それはハンブレッダーズがずっと音楽への愛を歌ってきたバンドだからこそ、そのハンブレッダーズを好きな人たちもハンブレッダーズだけが好きなんじゃなくて、様々な音楽やバンドを聴いている人たちだということがこの光景を見ただけでわかる。こういうバンドがいて、そのバンドを愛する人たちがいるからこそ、この日本のロックの歴史を作ったアンセムはこれからも精一杯デカい声で歌われていく。
演奏が終わった後にテンションが上がりきってしまった観客が
「誕生日おめでとうー!」
とこのライブの直前に誕生日を迎えた木島を祝うと、最後にステージに残った木島は
「気をつけて帰ってね〜」
と言った。それは自分たちのファンクラブに「帰宅部」という名前をつけたこのバンドらしすぎる最後の言葉だった。
ハンブレッダーズを最初に聴いた時、自分にとってはもう過ぎ去ったものを歌っているバンドだと思ってしまっていた。描写が学生時代を思わせるものも多く、なかなか自分はもうそこにリアリティを感じられない年齢になってしまっていたからだ。
でもそんな印象はライブを見るたびに覆されてきた。今ではもうこのバンドは完全に、かつての学生時代の自分のようなやつのためのバンドだとすら思っている。テレビで流れてくることもない、クラスのほとんどの人が知らないパンクバンドばかり聴いていることが唯一のアイデンティティだった自分のようなやつのための。あの頃の自分にハンブレッダーズを聴かせたらどう思うだろうか。きっと、自分の歌だとハッキリわかるはずだ。
そう思ってるからこそ、どんな寒波が襲ってきても熱くなれる場所である、ライブハウスでまた会おうぜ。
1.BGMにになるなよ
2.フェイバリットソング
3.アイラブユー
4.CRYING BABY
5.プロポーズ
6.ファイナルボーイフレンド
7.DAY DREAM BEAT
8.THE SONG
9.常識の範疇
10.銀河高速
11.ヤバすぎるスピード
12.ワールドイズマイン
encore
13.ライブハウスで会おうぜ
14.クラーク博士と僕 w/ 四星球
15.TRAIN-TRAIN (ブルーハーツのカバー) w/ 四星球