[Alexandros] But wait. Tour 2022 @相模女子大学グリーンホール 1/17
- 2023/01/18
- 19:57
先月に代々木第一体育館で見た、[Alexandros]のアリーナツアーファイナルが強く脳裏に焼き付いているのは、まだ1ヶ月しか経っていないというのもあるが、そのライブが声出し可能ライブであり、我々が本当に久しぶりにバンドと一緒に歌うことができたからだ。
そんなツアーファイナルを終えたばかりの[Alexandros]がこうしてすぐにホールでワンマンをやるというのはこのライブが元々は8月に予定されていたのがこの日に延期になったからであり、それはライブタイトルが「2022」になっていることからも明らかであるが、期せずしてツアーファイナルの1ヶ月後にまたツアーファイナルを見るという実に珍しい状態になっている。
会場の相模女子大学グリーンホールは相模大野という町田の隣の駅から徒歩すぐのところにあるホールであるが、1階が25列ほどしかないという規模感は代々木第一体育館で2daysをやったバンドにとってはかなり小さいと言っていいだろう。だからこそステージと客席の距離がめちゃくちゃ近く感じる。
代々木体育館の時と同様に18時30分開演というのはワンマンの時間が長いこのバンドだからこそであるが、その時間を少し過ぎたあたりで、ストレイ・キャッツの「Rock This Town」が流れる中でステージ背面のスクリーンにはこのツアーの全会場のこれまでのオフショット的な映像が次々に流れていく。先月の代々木体育館のものも流れるのはこの日が本当の意味でファイナルになったことを感じさせるが、最後にはこの相模原のゆるキャラであろうキャラが映し出されて、日付の針は今日になっていく。
映像の後には「Burger Queen」のSEが流れ、収録アルバムにしてデビューアルバム「Where's My Potato?」のジャケットも映し出されるのであるが、その音と映像が徐々にバグるようになる中で、今回のツアーからおなじみのサポートメンバーもアンプもステージ上にはないけれど、袖には確かに存在しているという、つまりはドラムセットだけが置かれたステージにメンバー4人が登場。川上洋平(ボーカル&ギター)は前日の初日にライブを見たファンを驚かせたように、髪がかなり短くなり、紫のメッシュが入っている。その出で立ちは20代の若手バンドマンにしか見えないものであるが、リアド(ドラム)は長くなった髪を頭の上で結いているのがよりワイルドに見える。
そんな4人が最初に演奏するのが「Aleatoric」であるというあたりが、このツアーがやはり最新アルバム「But wait. Cats?」のリリースを受けてのものであることを感じさせるのであるが、スクリーンにはメンバーそれぞれのアップの演奏映像とともに名前が映し出されるというあたりはメンバーの自己紹介を兼ねた曲であると言えるだろう。もうすっかりライブのオープニングとしても定着してきただけに、この曲はバンドにとって新たな「Burger Queen」と言えるだろうか。
その曲に続いて川上がタイトルコールをして始まったのは初期の必殺曲「For Freedom」。代々木体育館では演奏されなかったのでこうしてライブで聴くのは久しぶりであるのだが、スクリーンを使わずにバンドの鳴らす音だけで成立させるというあたりがこのバンドのライブの1番の強さがどこなのかということを表している。金髪がすっかりおなじみになった白井眞輝もステージ前に出てきてギターを弾きまくり、アウトロでは磯部寛之(ベース)が
「行くぞ相模原ー!」
と叫ぶ。その叫びに声援でリアクションが返ってくるというのは、このライブが代々木体育館の時と同様に声出し可能のライブだからだ。元の日程のままだったら間違いなく声は出せなかったために、これはむしろ結果オーライというか、延期になったことによって生じたポジティブな要素と言えるかもしれない。
「For Freedom」の後に演奏されることによって、曲の展開やサビに入る直前の転調も含めて、これはこの4人で作った「For Freedom」なんだな、ということがわかる「Baby's Alright」ではこの日はライブ開始時からギターを弾きまくる川上も含めてのアンサンブルが複雑でありながらもロックでありキャッチーに響くのであるが、2daysの2日目だからということもあるだろうが、アリーナでライブを終えたばかりだというのに完全にバンドのモードはホールでのライブそのものになっている。アリーナで聴くこの曲はその会場のスケールを感じさせるものだったが、この規模で聴くこの曲はこの日が接近戦であるということを感じさせてくれる。それくらいにメンバーとの距離も、鳴っている音も実に近く感じられる。
川上と白井が鳴らすギターのイントロでスクリーンに映し出されていたバンドの[]のマークが丸くなっていくと、それがサッカーボールの形に変化していくというのはもちろんサッカーアニメ「アオアシ」のタイアップになっていた「無心拍数」。ステージをクールに照らす青い照明はこの曲もそうであるが、ロックバンドとしての夢を追い続けているこのバンドにはこの蒼さが本当に良く似合うと思える。サビに含まれているコーラスパートでは声出し可能ライブだからこその観客の声もしっかり響いているのだが、曲間でもメンバーの名前を呼ぶ声が響いていたあたりは声を出せるのがあまりに久しぶり過ぎてどこか最初は遠慮していた感のある代々木体育館の時とはだいぶ違う。観客が声出しライブに慣れてきた感がある。きっと代々木もこの相模原も2daysどちらも来たという人もたくさんいたのだろう。
「我々のルーツを聴いてください!ロックキッズに戻ります!」
と川上が口にすると、スクリーンには黒いイナズマのマークが映し出され、メンバー全員であの象徴的なリフを鳴らすのは代々木体育館でも演奏されたAC/DC「Back in Black」のカバーであり、スクリーンのイナズマがサングラスの形に変化するとLenny Kravitz「Rock and Roll is Dead」と、リスペクトがあるからこその原曲に忠実なカバーなのだが、川上洋平が歌うことによってやはり[Alexandros]の音楽であり表現になるんだなと思うくらいに川上のボーカルの力(それは英語歌唱が流暢だからこそであるが)を思い知るのであるが、スクリーンには一転して赤と白のストライプが一面に広がる。代々木の時はガンズだったのがこの日は今でも海外サッカーやアメリカ大統領選でも流れるくらいの世界的クラシックになった、The White Stripes「Seven Nation Army」に変化している。この曲の象徴と言えるリフを鳴らす[Alexandros]のバンドとしてのカッコよさたるや。この選曲はジャック・ホワイトが今でもソロのライブでバンド時代のヒット曲を演奏しまくっていることも影響しているのだろうかとも思うけれど、この3曲のメドレーは見事なまでにそれぞれの曲がイントロ→Aメロ→サビという1曲の構成として成立している。そう感じさせる繋ぎ方もまたさすがである。
そんなカバーの後に演奏された「But wait. Cats?」収録の「クラッシュ」では、そうしたロッククラシックをぶっ壊してでも自分たちは前へ、先へ進んでいくという意思を示すかのように、スクリーンに映し出されたアンプが爆発するという演出が。その爆発した後の映像も、この曲のサウンドもどこか今までのこのバンドの曲にはない浮遊感を感じさせてくれる。アリーナ規模だと上空を漂うという感じだったが、このホールで聴くとさらに広い場所へ意識を連れて行ってくれるかのようだ。
川上がアコギに持ち替える中で、イントロのリアドの強靭なビートが観客を飛び跳ねさせるのはもちろん「Waitress, Waitress!」であり、もちろん磯部も腕を振って「オイ!オイ!」という声を出す観客を
「もっといけんだろー!」
と煽るのであるが、その直後には白井も
「俺の地元だぞー!」
と思いっきり叫んで煽る。その滅多に見られない白井の昂りっぷりが観客をさらに熱くしてくれるのだが、それはスパニッシュな要素も含んだこの曲の演奏までもがさらに熱くなるものでもあった。最後のサビ前には観客が「オイ!」と声を上げてジャンプするのも含めて、やはりこのバンドは観客の声などの力を自分たちのものに変換することができるバンドであることがよくわかる。
そんなこのバンドは白井が口にしたように、川上と白井がこの相模原市出身ということで、川上は成人式で訪れたこのグリーンホールでライブが出来ていることへの感慨を口にする。その時から白井と行動を共にし、2人ともスーツで出席していたという。地元が2人と異なる磯部は自身の地元である愛知県日進市で成人式に出席したらしいが、やはりその時もしっかりスーツを着ていたという。磯部は川上に
「紫の袴とか着ていたんじゃないの?(笑)」
と聞いたりしていたが、それはちょっとイメージ的にどうかと思ってしまう。
「まーくん、結婚おめでとう!」
という声が出せるからこその祝福の言葉も飛び交う中、そんな地元ならではのMCを挟むと、
「みんな上に手を挙げて!頭の中に雪降らしちゃっていいですか!」
と言った川上がこの日初めてギターを下ろしてピンボーカルになると、両手を叩きながら飛び跳ねて歌うという漲りっぷりで歌うのはこの日がより一層寒さを増していただけに時期的にさらにふさわしいものになった「SNOW SOUND」。スクリーンには演奏するメンバーの姿とともに歌詞も同時に映し出されるのであるが、そのメンバーの姿が映ることによって、このスクリーンがこんなに大きなものだったのかということがわかるとともに、川上が着ている水色のTシャツが自分たちの物販のものではなくて、PINK FLOYDのものであるということもハッキリわかる。さすがに代々木体育館の時のように雪が降ってくるかのような演出はなかったけれど、それだけに歌と演奏という軸をしっかり見せる、聴かせるものになっていた印象である。
そんな冬の曲から一転して同期の電子音が鳴ると白井も磯部もフライングVに持ち替える。それはもちろん「Kick & Spin」が演奏されるという合図なのだが、リアドのドラムによってリズムがさらに直線的なダンスサウンドになる中でまずは磯部が下手の客席の扉の前まで移動していくと、その先にしっかりとマイクスタンドが。そのマイクで
「Stay alright, stay alive」
のフレーズをコーラスするのであるが、磯部が煽りまくれるように、観客も一緒になって歌うことができる。白井も上手側の通路へと向かい、ハンドマイクの川上もステージ左右へと歩きながら歌う。アリーナ規模に比べたらメンバーの運動量は少ないかもしれないが、やはりその分「こんな近くまで来てくれるのか!」と思うくらいに客席に近い。なんなら観客のコーラスの声をマイクが拾いそうなレベルですらあるのだが、最後には川上が自身をステージ下から撮影するカメラを覗き込むようにしてしゃがみ込んで歌う。そうした全てのパフォーマンスがTシャツ1枚ですら暑いと思わせるくらいの熱気で会場を満たしていく。
川上がそのままギターを持たずに、
「相模原とか、相撲原とか、どーでもいいから」
と言ってから演奏された「どーでもいいから」ではスクリーンに次々に歌詞が映し出されるのであるが、マイケルジャクソンかというくらいにリズムに合わせてカクカクとした動きを見せる川上の言う通りに
「相撲原って言われる」
や
「相模原って町田の隣?」
など歌詞が相模原バージョンにアレンジされまくっている。代々木の時はここまではアレンジされていなかっただけにバンドの地元愛を感じさせるのであるが、ある意味では相模原で生活していた人だからこそわかる自虐ネタばかりなのはついつい笑ってしまう。この日の観客は相模原に住んでいる人は全体の1〜2割というくらいしかいなかったけれど。
すると川上と磯部が向かい合うような体制になり、スクリーンには2人それぞれの歌うフレーズがLINEのようにリズミカルに流れていく中で2人がラップのような掛け合いを見せて歓声を浴びるのはもちろん「Kaiju」で、スクリーンには代々木の時と同様に可愛らしい巨大な猫が口からビームを吐いて街を破壊する映像が映し出されるというのは川上と白井というロックシーン随一の猫派のメンバーがいるこのバンドならではだろう。曲中では磯部と肩を組むようにしてハンドマイクを向けてコーラスさせていた川上が最後にステージに倒れ込むようにしていたのはその猫の怪獣にやらせてしまったということだったりするのだろうか。
そんな「Kaiju」からヒップホップの要素を薄めてロック度を強化しまくったような「Beast」はこうしてライブで聴くのはかなり久しぶりな感じがする曲だ。次々に押し寄せてくる歌詞がスクリーンに映し出されることによって、
「反対の人追い出して
かたや賛成の人引っ張って
わからないでもないかもね
人の性丸出せばそんなもんだし」
などのフレーズが今のSNS上での誹謗中傷に対するこのバンドからのメッセージであるかのように響き、もちろん
「握手はなくたっていいけど 手と手を取り合いたい」
のフレーズではこの相模原育ちである川上と白井が長く続く友情を確かめるかのように手を伸ばす。最後の英語のフレーズがスクリーンの下から上へと上がっていくのはまるで[Alexandros]監督による「Beast」という映画のエンドロールを見ているかのようだ。
するとそのスクリーンには海面下で泡が漂うような映像が映し出される。その段階ですでに何の曲だかわかった人からは歓声や拍手も上がるのであるが、それはもちろん「Swan」のものであり、より音を削ぎ落として川上のキーも低くすることによって、サビで一気に海面に浮上していくかのようなカタルシスを感じさせてくれるアレンジになっている。というかこの辺りの流れはこのライブがアルバムのツアーではなくてベスト的な選曲のライブだったっけ?と思ってしまうくらいのものになっているのだが、そうした曲もライブではこうしてその都度のアレンジを加えて演奏されているというバンドとしての貪欲な進化っぷりは本当に凄まじいものがある。新しいアルバムの曲をどうライブでやるか考えながらも、これまでの曲もどうライブで変えるかを考えて、それを実行しているというわけなのだから。
そんな怒涛の展開から少し心穏やかにさせてくれるのは、レコードが回っているかと思ったらそれは実は洗濯機のドラム部分で…という映像とともに演奏された、まさに洗濯のCMとして起用されていた「日々、織々」。一気に日常感を感じさせるサウンドと歌詞は熱狂するだけではない心地良さを感じさせてくれるが、その振り幅の大きさが自然に受け止められているあたりにもうこのバンドはどんなサウンド、ジャンルの音楽をやっても[Alexandros]の音楽にすることができるんだなと思う。
MCではやはり地元であるだけにこの相模原の思い出を語るという、この会場でのライブでなければ聞けないことを話すのであるが、この会場が隣接している大きな公園の噴水の上で川上と白井が
「俺たち絶対いけるって」
と話したり、磯部も加えてその場所でアコギを弾きながら歌っていたという思い出も語る。それは磯部に
「お前がボーカルをやれよ」
と言われた出来事でもあるために、
「帰国子女ですけど、ボーカリストとしての川上洋平が生まれたのは間違いなくこの相模原です」
と地元への愛を口にしながら、
「京都だったら10-FEETが京都大作戦をやってて、熊本だったらWANIMAが1CHANCE FESTIVALをやってて。行くと「ようこそ!」みたいな感じで迎え入れてくれるんだけど、相模原でライブをやったらその感覚がわかるというか。こうしてみんなに今日相模原に来てもらってるけど、いつか俺たちも相模原でフェスをやりたいなって思うようになりました」
と、初めて地元凱旋ライブを行ったからこその新たな夢を語る。ドロスが主催するとなるとかなりの規模になるけれど、相模原にそうした場所はあるのだろうか。川上は
「もしそういうフェスを開催した時にはみんなまた相模原に来てください」
と言っていたけれど、その時には日本中の[Alexandros]のファンがこの相模原に集まることになるはずだ。そうしたMCを時には頷きながら、時には拍手しながら聞いていたリアドは我々と同じようにメンバーの過去を聞いては想いを馳せていたんだと思われる。
かつてはスペシャの冠番組でゲストとセッションしたりしていたが、なかなかというかむしろ全然主催フェスをやらなそうなイメージのこのバンドが作るフェスがどんなもので、誰が出演するのかが実に楽しみである。
そんな相模原ならではのMCの後には川上がアコギに持ち替え、
「バラードでも皆さん歌っていいんですよ」
と言って、「空と青」を弾き語り的な歌い出し部分から合唱させる。特に歌詞が映し出されるわけではないが、観客が歌詞を完璧に覚えていて合唱できるあたりはファンクラブに入っていてチケットを取った人も多いであろうこの規模でのライブならではと言えるだろう。最後のサビでも川上がマイクスタンドから離れるようにして合唱を巻き起こしたことによって、バラード曲であってもクールダウンという感じには全くならず、熱い時間が続くというのはこのバンドならではである。
さらには川上がエレキに持ち替えて歌い始めた「Rock The World」でも歌い出しから合唱を煽る。メンバーの名前を呼んだりする声も含めてもう完全に[Alexandros]のライブには観客の歌声や歓声が戻ってきたということであり、それがバンドのパフォーマンスにさらなる力を与えている。白井のタッピングギターも華麗に響き渡る中、スクリーンには演奏するメンバーの姿が映し出されていたのが、アウトロでは夜空に花火が上がる映像に変わる。それはこの曲が2021年のひたちなかでのロッキンが開催中止になった際に落ち込んでいたインタビュアーに川上がこの曲のデモを送ったというエピソードがあるからだろう。それくらいにこのバンドはあのひたちなかのGRASS STAGEを愛していた。またあそこでこのバンドがトリをやるライブと、その後に上がる花火が見れる日が来るだろうか。
「久しぶりの曲やります!」
と言って川上がアコギを弾きながら歌い始めたのは「風になって」。CMタイアップにもなったこの代表曲の一つをやらなくても成立するようなライブをこのバンドがこれまでにやってきたということも驚きであるが、川上は1コーラスをアコギを弾きながら歌うと、2コーラス目からはギターを置いてハンドマイクで歌う。まさに風になってステージ左右まで動き回りながら歌う川上は本当にこの日のライブを心から楽しんでいるのがわかる。
「今日、みんなが本当に熱い」
と何度も口にしていたが、今までに見てきたいくつもの記念碑的なライブ以上と言っていいくらいに楽しそうですらある。川上がそのくらいに楽しそうだからこそ、見ているこちらもより一層楽しくなるのだ。
その「風になって」でも最後のサビ前やアウトロでタイトルフレーズの合唱を巻き起こしていたが、川上がステージ中央に戻ってギターを掻き鳴らして始まった「Starrrrrrr」ではもちろんこの日最大級の大合唱が起こる。代々木の時にはその合唱を聞くのも、自分が声を出せることにも感動して泣いてしまっていたのだが、この日はそうはならなかったのはやはりその代々木を経て、こうしてみんなで声を出すことが当たり前のこととして戻ってきたからだ。それくらいにこの日のライブはコロナ禍前のホールでのライブと同じくらいに観客の声が響くものになっていた。それはもちろんホールであっても観客を飛び跳ねさせまくるバンドの演奏の熱さがあってこそだ。
するとスクリーンには何足ものスニーカーが地面を蹴る映像が映し出される。その地面を蹴るリズムに合わせてリアドがデジドラを連打するという、よりダンスミュージック的なアレンジが施されたのは、これまでにもこうしてライブのたびに激しくアレンジされてきた「Run Away」。代々木では演奏されていなかっただけにこうして聴けるのは嬉しい限りであるが、無数のスニーカーが融合して人間になり、そのスニーカー人間が踊るという映像はサカナクション「ネイティブダンサー」のMVを彷彿とさせる芸術性を感じさせる。川上も会場の中で1番解放されているかのように飛び跳ねて踊りまくるのだが、それは誰よりも川上がバンドの音に夢中になっているということだ。
そのダンサブルな流れはよりビッグビート・レイヴ的なサウンドへと進化を果たした「Girl A」へと繋がっていくのであるが、この後半に来てのダンスサウンドの連打っぷりはバンド側に体力がないとできない。それをもう中堅というよりは年齢的にはベテランの域に入っているドロスがやっているというのはバンドのストイックさと地力の強さを感じさせてくれるし、これから先にさらにベテランになってもこのバンドは変わらないんじゃないかと思わせてくれる。それはアウトロでの楽器を抱えたままでのメンバーの暴れっぷりも含めて。
その「Girl A」と繋がるのは川上がギターを置いて手元のサンプラーを操作する「we are still kids & stray cats」。CDJでもこの流れの通りに演奏されていただけに、これからもライブでダンスタイムを作り出す曲になってくれるのがわかるように川上も頭を振りながら踊りまくる。代々木の時のようにステージ中央から伸びる花道はないものの、この規模だからこそよりクラブの中で踊っているかのような感覚にさせてくれる。白井はいつの間にかこの曲の時だけのサングラスをしっかり着用してギターを弾いている。
そうして踊りまくった後に感慨に浸らせるように演奏された「awkward」ではスクリーンに歌詞の日本語訳とともにこのツアーのバックステージで撮影されたと思われる写真が次々に映し出されていく。メンバーだけではなく、袖で音を鳴らしているROSEとMullonのサポートメンバー2人もメンバーと一緒に笑いあったりしながら。その映像に合わせた演奏を聴いていて、ああ、もうこの日のライブが、そしてこのツアーが終わってしまうんだなという寂寞感が溢れてきた。それをこの曲が、この日の演奏がさらに強く引き出している。この曲が終わった後に長めの曲間があったのだが、川上が喋り始めるまで大きな拍手が長い時間止むことがなかったのはそう感じさせてくれたこの曲の演奏が本当に素晴らしかったのが観客に伝わっていたからだろう。最後にこの日の会場内で撮影したと思しき、相模原のゆるキャラと並んでの写真とともに「Sagamihara」というサインが浮かび上がったのを見て、この日ここで見ることができて本当に良かったと思えた。
そんな凱旋ライブの最後に演奏されたのはもちろん今やバンドにとって最大の代表曲と言える存在になった「閃光」。川上はマイクを持って前屈みになりながら観客を煽り、その姿を見た観客が腕を振り上げまくる。何よりも代々木より前のライブでは我々が一緒に歌うことが出来なかったコーラスパートで我々の声が重なっている。川上の喉には少し疲れも見えるけれど、それすらも観客からもらった力によって振り切るかのような歌唱。それは紛れもなく我々にとっての一筋の光だった。曲が終わった瞬間にステージが暗転してスクリーンに[Alexandros]というバンドロゴが映って、メンバーが暗闇の中でステージから去っていく(最後に去った白井は観客に手を振っているのがわかる)というストイックな演出までも含めて、あまりに完璧すぎた。
アンコールで再びメンバーが登場すると、川上が早くも観客のコーラスをイントロから煽る。磯部は自身のマイクスタンドを客席に向け、白井は自身の耳に手を当てて観客の声を聞こうとする。それは観客がそのコーラスを歌えることによって曲の真価を100%発揮することができるようになった「Dracula La」。磯部はマイクが客席に向いたままでもコーラスを行い、間奏では観客がリズムに合わせた完璧な手拍子を奏でる。スクリーンにアップで映るリアドがカメラ目線で歌詞を口ずさんでいる姿も含めて、ライブで聴くこの曲は我々を本当に幸せな気持ちにしてくれる。どんなに歌うキーが高くても、[Alexandros]とバンドを愛する人たちと一緒に歌えば、どこまででも高い声を出して歌えると思える。そうやって見ている人に普段は出ないような力を与えてくれるのだ。
そんな「Dracula La」がクライマックスを描き出す中で川上は髪色に紫を混ぜたことについて、
「相模原市の花が紫陽花だから」
と口にするのだが、どうやらそれはたまたまだったらしい。
そんな相模原だからこそのプレゼントとして、スマホのカメラで撮影を許可すると、「無心拍数」「閃光」という曲のコーラスパートのみを続けて演奏して観客の声をさらに煽ってから、川上はハンドマイクになって「Adventure」が演奏される。観客はみんなスマホでその歌っている姿、演奏している姿を撮影しているのであるが、川上はステージ左右の花道を移動しながら歌うだけにどうカメラに捉えるかが実に難しいのであるが、ライブ中に撮影するのに慣れていなさ過ぎて、後で見返したら前の席の人の頭ばかりが映っていた。
しかしながらやはり今この曲を聴くと代々木体育館で2曲目に演奏されていきなり観客の声を久しぶりに響かせていた瞬間のことを思い出す。今はやはりあの時のように歌うことで涙が出てくることはなくなったけれど、やはりこの曲は観客のコーラスあってこその曲だ。こうして歌えるようになるまでにはまさに、アリトアラユル問題や度重なる困難を乗り越えてきた。コロナ禍になってから、自分が普段からライブを観に行くバンドの中で最も早くZeppで観客を入れてライブをやっていたのがこのバンドだった。そうしたこのバンドの歩みや取り組んできたことが、こうして今この瞬間に結実している。
アリーナ規模ではおなじみの川上がカメラ目線で歌い、そのカメラを客席に向けるというロックスター的なパフォーマンスがないというのもこの規模ならではで逆に新鮮だ。
まだスマホを構えている人たちがたくさんいることによって、さらなるサービスとして川上は相模原で生活していた頃に小田急線をよく利用していたことを語る。実際にこの日も小田急線に乗ってきた人もたくさんいるらしいが、小田急線内の海老名駅では電車の発車メロディに出身アーティストである、いきものがかりの曲が使われていたりすることによって、
「小田急さん、我々の曲を相模大野駅の発車メロディに使ってください。こんな発車メロディを作ってきたので」
と言って、ROSEが「ワタリドリ」の発車メロディバージョン(ちゃんと上りと下りの2パターン用意されている)を演奏し、それを収めた動画を観客に拡散するように周知する。果たして次にこの場所に来る時にはこの発車メロディを聞くことができているだろうか。
そんな相模原への川上の思いは尽きることなく、
「何も特に観光する場所とか名産地とかないけれど」
と言いながらも、自身が通っていた高校の近くにあるラーメン屋や、前日に白井が訪れたラーメン屋などがあることを話したり、川上の親がこの日楽屋に得意料理のアドボ(SWEET LOVE SHOWERでのコラボメニュー「ようぺのおかん弁当」としてもおなじみ)を差し入れてくれたことを話すと、
「延期になって、今日がファイナルになって良かったな。このグリーンホールが改修工事をしてたんで、振替がこんなに先になっちゃったんだけど、地元でファイナルができて本当に良かったと思ってます。前に橋本の大学の学祭ではライブやったことあるんだけど、なんでもっと早くここでライブやらなかったんだろうな。次からは出来る限りツアーにこの会場を入れるようにしますので、その時はまた是非皆さん来てください。そして相模原を探索してください」
と最後まで相模原への愛を話しまくると、最後に白井が煌めくイントロのフレーズを奏でたのは「ワタリドリ」。この曲のファルセット部分のサビすらも川上は観客に歌わせようとする中、この日最もステージ左右の花道を最大限に活用して観客の近くで歌う。なんならもう観客にマイクを向けそうになるくらいの近さなのだが、この曲のアウトロでのおなじみの「イェー!」のコール&レスポンスでマイクスタンドごと客席に向けた時に、スタンドから思いっきりマイクが落ちた。その決まりきらなさみたいなものもただひたすらにカッコいいだけではなくて、そこから人間臭さが溢れ出ているこのバンドらしさだった。
演奏が終わってステージからメンバーが帰る際に、白井は
「ここでできて本当に良かった。来てくれてありがとう!」
と珍しく観客に思いを伝えてから去ると、川上はステージ左右の花道まで行って飛び跳ねながら観客に手を振りしながら、最後にステージ中央に戻ると
「愛してるぜ、相模原!」
と叫んだ。これまでにも何度もこの「愛してるぜ!」を聞いてきたが、こんなに気持ちがこもりまくったのは初めて聞いたかもしれない。それくらいにやはりこの場所でライブをやることは[Alexandros]にとって特別なことだったのだ。
正直、自分にとっては相模原や相模大野に思い入れは全くないし、町田のライブハウスには行ったことがあるが、この辺りのイメージは「千葉から行くにはめちゃ遠い」というくらいのものでしかない。でもこうして自分が心からカッコいいと思っている、愛するバンドが育った場所で、メンバーがここまでこの場所に対する思いを口にしたら、この街にまた来たいなと思うし、好きにならざるを得ない。
調べてみたら美味しそうなラーメン屋も(閉店時間が早い店ばかりでライブ後には選択肢がほとんどなかったけど)、居酒屋もたくさんあった。いつかこのバンドがこの地でフェスをやる時には泊まりでそうしたこの街の店や味も堪能してみたい。バンドの夢がこの地でのフェスであるなら、その時にこの地をさらに味わい尽くすのがファンの夢にもなる。川上が言っていたように、今このタイミング、ツアーファイナルとして来ることができて本当に幸せだと思った凱旋ライブだった。またこんな、ありもしないストーリーを描いてくれ。
1.Aleatoric
2.For Freedom
3.Baby's Alright
4.無心拍数
5.カバーメドレー
Back in Black (AC/DC)
Rock and Roll is Dead (Lenny Kravitz)
Seven Nation Army (The White Stripes)
6.クラッシュ
7.Waitress, Waitress!
8.SNOW SOUND
9.Kick & Spin
10.どーでもいいから
11.Kaiju
12.Beast
13.Swan
14.日々、織々
15.空と青
16.Rock The World
17.風になって
18.Starrrrrrr
19.Run Away
20.Girl A
21.we are still kids & stray cats
22.awkward
23.閃光
encore
24.Dracula La
25.Adventure
26.ワタリドリ
そんなツアーファイナルを終えたばかりの[Alexandros]がこうしてすぐにホールでワンマンをやるというのはこのライブが元々は8月に予定されていたのがこの日に延期になったからであり、それはライブタイトルが「2022」になっていることからも明らかであるが、期せずしてツアーファイナルの1ヶ月後にまたツアーファイナルを見るという実に珍しい状態になっている。
会場の相模女子大学グリーンホールは相模大野という町田の隣の駅から徒歩すぐのところにあるホールであるが、1階が25列ほどしかないという規模感は代々木第一体育館で2daysをやったバンドにとってはかなり小さいと言っていいだろう。だからこそステージと客席の距離がめちゃくちゃ近く感じる。
代々木体育館の時と同様に18時30分開演というのはワンマンの時間が長いこのバンドだからこそであるが、その時間を少し過ぎたあたりで、ストレイ・キャッツの「Rock This Town」が流れる中でステージ背面のスクリーンにはこのツアーの全会場のこれまでのオフショット的な映像が次々に流れていく。先月の代々木体育館のものも流れるのはこの日が本当の意味でファイナルになったことを感じさせるが、最後にはこの相模原のゆるキャラであろうキャラが映し出されて、日付の針は今日になっていく。
映像の後には「Burger Queen」のSEが流れ、収録アルバムにしてデビューアルバム「Where's My Potato?」のジャケットも映し出されるのであるが、その音と映像が徐々にバグるようになる中で、今回のツアーからおなじみのサポートメンバーもアンプもステージ上にはないけれど、袖には確かに存在しているという、つまりはドラムセットだけが置かれたステージにメンバー4人が登場。川上洋平(ボーカル&ギター)は前日の初日にライブを見たファンを驚かせたように、髪がかなり短くなり、紫のメッシュが入っている。その出で立ちは20代の若手バンドマンにしか見えないものであるが、リアド(ドラム)は長くなった髪を頭の上で結いているのがよりワイルドに見える。
そんな4人が最初に演奏するのが「Aleatoric」であるというあたりが、このツアーがやはり最新アルバム「But wait. Cats?」のリリースを受けてのものであることを感じさせるのであるが、スクリーンにはメンバーそれぞれのアップの演奏映像とともに名前が映し出されるというあたりはメンバーの自己紹介を兼ねた曲であると言えるだろう。もうすっかりライブのオープニングとしても定着してきただけに、この曲はバンドにとって新たな「Burger Queen」と言えるだろうか。
その曲に続いて川上がタイトルコールをして始まったのは初期の必殺曲「For Freedom」。代々木体育館では演奏されなかったのでこうしてライブで聴くのは久しぶりであるのだが、スクリーンを使わずにバンドの鳴らす音だけで成立させるというあたりがこのバンドのライブの1番の強さがどこなのかということを表している。金髪がすっかりおなじみになった白井眞輝もステージ前に出てきてギターを弾きまくり、アウトロでは磯部寛之(ベース)が
「行くぞ相模原ー!」
と叫ぶ。その叫びに声援でリアクションが返ってくるというのは、このライブが代々木体育館の時と同様に声出し可能のライブだからだ。元の日程のままだったら間違いなく声は出せなかったために、これはむしろ結果オーライというか、延期になったことによって生じたポジティブな要素と言えるかもしれない。
「For Freedom」の後に演奏されることによって、曲の展開やサビに入る直前の転調も含めて、これはこの4人で作った「For Freedom」なんだな、ということがわかる「Baby's Alright」ではこの日はライブ開始時からギターを弾きまくる川上も含めてのアンサンブルが複雑でありながらもロックでありキャッチーに響くのであるが、2daysの2日目だからということもあるだろうが、アリーナでライブを終えたばかりだというのに完全にバンドのモードはホールでのライブそのものになっている。アリーナで聴くこの曲はその会場のスケールを感じさせるものだったが、この規模で聴くこの曲はこの日が接近戦であるということを感じさせてくれる。それくらいにメンバーとの距離も、鳴っている音も実に近く感じられる。
川上と白井が鳴らすギターのイントロでスクリーンに映し出されていたバンドの[]のマークが丸くなっていくと、それがサッカーボールの形に変化していくというのはもちろんサッカーアニメ「アオアシ」のタイアップになっていた「無心拍数」。ステージをクールに照らす青い照明はこの曲もそうであるが、ロックバンドとしての夢を追い続けているこのバンドにはこの蒼さが本当に良く似合うと思える。サビに含まれているコーラスパートでは声出し可能ライブだからこその観客の声もしっかり響いているのだが、曲間でもメンバーの名前を呼ぶ声が響いていたあたりは声を出せるのがあまりに久しぶり過ぎてどこか最初は遠慮していた感のある代々木体育館の時とはだいぶ違う。観客が声出しライブに慣れてきた感がある。きっと代々木もこの相模原も2daysどちらも来たという人もたくさんいたのだろう。
「我々のルーツを聴いてください!ロックキッズに戻ります!」
と川上が口にすると、スクリーンには黒いイナズマのマークが映し出され、メンバー全員であの象徴的なリフを鳴らすのは代々木体育館でも演奏されたAC/DC「Back in Black」のカバーであり、スクリーンのイナズマがサングラスの形に変化するとLenny Kravitz「Rock and Roll is Dead」と、リスペクトがあるからこその原曲に忠実なカバーなのだが、川上洋平が歌うことによってやはり[Alexandros]の音楽であり表現になるんだなと思うくらいに川上のボーカルの力(それは英語歌唱が流暢だからこそであるが)を思い知るのであるが、スクリーンには一転して赤と白のストライプが一面に広がる。代々木の時はガンズだったのがこの日は今でも海外サッカーやアメリカ大統領選でも流れるくらいの世界的クラシックになった、The White Stripes「Seven Nation Army」に変化している。この曲の象徴と言えるリフを鳴らす[Alexandros]のバンドとしてのカッコよさたるや。この選曲はジャック・ホワイトが今でもソロのライブでバンド時代のヒット曲を演奏しまくっていることも影響しているのだろうかとも思うけれど、この3曲のメドレーは見事なまでにそれぞれの曲がイントロ→Aメロ→サビという1曲の構成として成立している。そう感じさせる繋ぎ方もまたさすがである。
そんなカバーの後に演奏された「But wait. Cats?」収録の「クラッシュ」では、そうしたロッククラシックをぶっ壊してでも自分たちは前へ、先へ進んでいくという意思を示すかのように、スクリーンに映し出されたアンプが爆発するという演出が。その爆発した後の映像も、この曲のサウンドもどこか今までのこのバンドの曲にはない浮遊感を感じさせてくれる。アリーナ規模だと上空を漂うという感じだったが、このホールで聴くとさらに広い場所へ意識を連れて行ってくれるかのようだ。
川上がアコギに持ち替える中で、イントロのリアドの強靭なビートが観客を飛び跳ねさせるのはもちろん「Waitress, Waitress!」であり、もちろん磯部も腕を振って「オイ!オイ!」という声を出す観客を
「もっといけんだろー!」
と煽るのであるが、その直後には白井も
「俺の地元だぞー!」
と思いっきり叫んで煽る。その滅多に見られない白井の昂りっぷりが観客をさらに熱くしてくれるのだが、それはスパニッシュな要素も含んだこの曲の演奏までもがさらに熱くなるものでもあった。最後のサビ前には観客が「オイ!」と声を上げてジャンプするのも含めて、やはりこのバンドは観客の声などの力を自分たちのものに変換することができるバンドであることがよくわかる。
そんなこのバンドは白井が口にしたように、川上と白井がこの相模原市出身ということで、川上は成人式で訪れたこのグリーンホールでライブが出来ていることへの感慨を口にする。その時から白井と行動を共にし、2人ともスーツで出席していたという。地元が2人と異なる磯部は自身の地元である愛知県日進市で成人式に出席したらしいが、やはりその時もしっかりスーツを着ていたという。磯部は川上に
「紫の袴とか着ていたんじゃないの?(笑)」
と聞いたりしていたが、それはちょっとイメージ的にどうかと思ってしまう。
「まーくん、結婚おめでとう!」
という声が出せるからこその祝福の言葉も飛び交う中、そんな地元ならではのMCを挟むと、
「みんな上に手を挙げて!頭の中に雪降らしちゃっていいですか!」
と言った川上がこの日初めてギターを下ろしてピンボーカルになると、両手を叩きながら飛び跳ねて歌うという漲りっぷりで歌うのはこの日がより一層寒さを増していただけに時期的にさらにふさわしいものになった「SNOW SOUND」。スクリーンには演奏するメンバーの姿とともに歌詞も同時に映し出されるのであるが、そのメンバーの姿が映ることによって、このスクリーンがこんなに大きなものだったのかということがわかるとともに、川上が着ている水色のTシャツが自分たちの物販のものではなくて、PINK FLOYDのものであるということもハッキリわかる。さすがに代々木体育館の時のように雪が降ってくるかのような演出はなかったけれど、それだけに歌と演奏という軸をしっかり見せる、聴かせるものになっていた印象である。
そんな冬の曲から一転して同期の電子音が鳴ると白井も磯部もフライングVに持ち替える。それはもちろん「Kick & Spin」が演奏されるという合図なのだが、リアドのドラムによってリズムがさらに直線的なダンスサウンドになる中でまずは磯部が下手の客席の扉の前まで移動していくと、その先にしっかりとマイクスタンドが。そのマイクで
「Stay alright, stay alive」
のフレーズをコーラスするのであるが、磯部が煽りまくれるように、観客も一緒になって歌うことができる。白井も上手側の通路へと向かい、ハンドマイクの川上もステージ左右へと歩きながら歌う。アリーナ規模に比べたらメンバーの運動量は少ないかもしれないが、やはりその分「こんな近くまで来てくれるのか!」と思うくらいに客席に近い。なんなら観客のコーラスの声をマイクが拾いそうなレベルですらあるのだが、最後には川上が自身をステージ下から撮影するカメラを覗き込むようにしてしゃがみ込んで歌う。そうした全てのパフォーマンスがTシャツ1枚ですら暑いと思わせるくらいの熱気で会場を満たしていく。
川上がそのままギターを持たずに、
「相模原とか、相撲原とか、どーでもいいから」
と言ってから演奏された「どーでもいいから」ではスクリーンに次々に歌詞が映し出されるのであるが、マイケルジャクソンかというくらいにリズムに合わせてカクカクとした動きを見せる川上の言う通りに
「相撲原って言われる」
や
「相模原って町田の隣?」
など歌詞が相模原バージョンにアレンジされまくっている。代々木の時はここまではアレンジされていなかっただけにバンドの地元愛を感じさせるのであるが、ある意味では相模原で生活していた人だからこそわかる自虐ネタばかりなのはついつい笑ってしまう。この日の観客は相模原に住んでいる人は全体の1〜2割というくらいしかいなかったけれど。
すると川上と磯部が向かい合うような体制になり、スクリーンには2人それぞれの歌うフレーズがLINEのようにリズミカルに流れていく中で2人がラップのような掛け合いを見せて歓声を浴びるのはもちろん「Kaiju」で、スクリーンには代々木の時と同様に可愛らしい巨大な猫が口からビームを吐いて街を破壊する映像が映し出されるというのは川上と白井というロックシーン随一の猫派のメンバーがいるこのバンドならではだろう。曲中では磯部と肩を組むようにしてハンドマイクを向けてコーラスさせていた川上が最後にステージに倒れ込むようにしていたのはその猫の怪獣にやらせてしまったということだったりするのだろうか。
そんな「Kaiju」からヒップホップの要素を薄めてロック度を強化しまくったような「Beast」はこうしてライブで聴くのはかなり久しぶりな感じがする曲だ。次々に押し寄せてくる歌詞がスクリーンに映し出されることによって、
「反対の人追い出して
かたや賛成の人引っ張って
わからないでもないかもね
人の性丸出せばそんなもんだし」
などのフレーズが今のSNS上での誹謗中傷に対するこのバンドからのメッセージであるかのように響き、もちろん
「握手はなくたっていいけど 手と手を取り合いたい」
のフレーズではこの相模原育ちである川上と白井が長く続く友情を確かめるかのように手を伸ばす。最後の英語のフレーズがスクリーンの下から上へと上がっていくのはまるで[Alexandros]監督による「Beast」という映画のエンドロールを見ているかのようだ。
するとそのスクリーンには海面下で泡が漂うような映像が映し出される。その段階ですでに何の曲だかわかった人からは歓声や拍手も上がるのであるが、それはもちろん「Swan」のものであり、より音を削ぎ落として川上のキーも低くすることによって、サビで一気に海面に浮上していくかのようなカタルシスを感じさせてくれるアレンジになっている。というかこの辺りの流れはこのライブがアルバムのツアーではなくてベスト的な選曲のライブだったっけ?と思ってしまうくらいのものになっているのだが、そうした曲もライブではこうしてその都度のアレンジを加えて演奏されているというバンドとしての貪欲な進化っぷりは本当に凄まじいものがある。新しいアルバムの曲をどうライブでやるか考えながらも、これまでの曲もどうライブで変えるかを考えて、それを実行しているというわけなのだから。
そんな怒涛の展開から少し心穏やかにさせてくれるのは、レコードが回っているかと思ったらそれは実は洗濯機のドラム部分で…という映像とともに演奏された、まさに洗濯のCMとして起用されていた「日々、織々」。一気に日常感を感じさせるサウンドと歌詞は熱狂するだけではない心地良さを感じさせてくれるが、その振り幅の大きさが自然に受け止められているあたりにもうこのバンドはどんなサウンド、ジャンルの音楽をやっても[Alexandros]の音楽にすることができるんだなと思う。
MCではやはり地元であるだけにこの相模原の思い出を語るという、この会場でのライブでなければ聞けないことを話すのであるが、この会場が隣接している大きな公園の噴水の上で川上と白井が
「俺たち絶対いけるって」
と話したり、磯部も加えてその場所でアコギを弾きながら歌っていたという思い出も語る。それは磯部に
「お前がボーカルをやれよ」
と言われた出来事でもあるために、
「帰国子女ですけど、ボーカリストとしての川上洋平が生まれたのは間違いなくこの相模原です」
と地元への愛を口にしながら、
「京都だったら10-FEETが京都大作戦をやってて、熊本だったらWANIMAが1CHANCE FESTIVALをやってて。行くと「ようこそ!」みたいな感じで迎え入れてくれるんだけど、相模原でライブをやったらその感覚がわかるというか。こうしてみんなに今日相模原に来てもらってるけど、いつか俺たちも相模原でフェスをやりたいなって思うようになりました」
と、初めて地元凱旋ライブを行ったからこその新たな夢を語る。ドロスが主催するとなるとかなりの規模になるけれど、相模原にそうした場所はあるのだろうか。川上は
「もしそういうフェスを開催した時にはみんなまた相模原に来てください」
と言っていたけれど、その時には日本中の[Alexandros]のファンがこの相模原に集まることになるはずだ。そうしたMCを時には頷きながら、時には拍手しながら聞いていたリアドは我々と同じようにメンバーの過去を聞いては想いを馳せていたんだと思われる。
かつてはスペシャの冠番組でゲストとセッションしたりしていたが、なかなかというかむしろ全然主催フェスをやらなそうなイメージのこのバンドが作るフェスがどんなもので、誰が出演するのかが実に楽しみである。
そんな相模原ならではのMCの後には川上がアコギに持ち替え、
「バラードでも皆さん歌っていいんですよ」
と言って、「空と青」を弾き語り的な歌い出し部分から合唱させる。特に歌詞が映し出されるわけではないが、観客が歌詞を完璧に覚えていて合唱できるあたりはファンクラブに入っていてチケットを取った人も多いであろうこの規模でのライブならではと言えるだろう。最後のサビでも川上がマイクスタンドから離れるようにして合唱を巻き起こしたことによって、バラード曲であってもクールダウンという感じには全くならず、熱い時間が続くというのはこのバンドならではである。
さらには川上がエレキに持ち替えて歌い始めた「Rock The World」でも歌い出しから合唱を煽る。メンバーの名前を呼んだりする声も含めてもう完全に[Alexandros]のライブには観客の歌声や歓声が戻ってきたということであり、それがバンドのパフォーマンスにさらなる力を与えている。白井のタッピングギターも華麗に響き渡る中、スクリーンには演奏するメンバーの姿が映し出されていたのが、アウトロでは夜空に花火が上がる映像に変わる。それはこの曲が2021年のひたちなかでのロッキンが開催中止になった際に落ち込んでいたインタビュアーに川上がこの曲のデモを送ったというエピソードがあるからだろう。それくらいにこのバンドはあのひたちなかのGRASS STAGEを愛していた。またあそこでこのバンドがトリをやるライブと、その後に上がる花火が見れる日が来るだろうか。
「久しぶりの曲やります!」
と言って川上がアコギを弾きながら歌い始めたのは「風になって」。CMタイアップにもなったこの代表曲の一つをやらなくても成立するようなライブをこのバンドがこれまでにやってきたということも驚きであるが、川上は1コーラスをアコギを弾きながら歌うと、2コーラス目からはギターを置いてハンドマイクで歌う。まさに風になってステージ左右まで動き回りながら歌う川上は本当にこの日のライブを心から楽しんでいるのがわかる。
「今日、みんなが本当に熱い」
と何度も口にしていたが、今までに見てきたいくつもの記念碑的なライブ以上と言っていいくらいに楽しそうですらある。川上がそのくらいに楽しそうだからこそ、見ているこちらもより一層楽しくなるのだ。
その「風になって」でも最後のサビ前やアウトロでタイトルフレーズの合唱を巻き起こしていたが、川上がステージ中央に戻ってギターを掻き鳴らして始まった「Starrrrrrr」ではもちろんこの日最大級の大合唱が起こる。代々木の時にはその合唱を聞くのも、自分が声を出せることにも感動して泣いてしまっていたのだが、この日はそうはならなかったのはやはりその代々木を経て、こうしてみんなで声を出すことが当たり前のこととして戻ってきたからだ。それくらいにこの日のライブはコロナ禍前のホールでのライブと同じくらいに観客の声が響くものになっていた。それはもちろんホールであっても観客を飛び跳ねさせまくるバンドの演奏の熱さがあってこそだ。
するとスクリーンには何足ものスニーカーが地面を蹴る映像が映し出される。その地面を蹴るリズムに合わせてリアドがデジドラを連打するという、よりダンスミュージック的なアレンジが施されたのは、これまでにもこうしてライブのたびに激しくアレンジされてきた「Run Away」。代々木では演奏されていなかっただけにこうして聴けるのは嬉しい限りであるが、無数のスニーカーが融合して人間になり、そのスニーカー人間が踊るという映像はサカナクション「ネイティブダンサー」のMVを彷彿とさせる芸術性を感じさせる。川上も会場の中で1番解放されているかのように飛び跳ねて踊りまくるのだが、それは誰よりも川上がバンドの音に夢中になっているということだ。
そのダンサブルな流れはよりビッグビート・レイヴ的なサウンドへと進化を果たした「Girl A」へと繋がっていくのであるが、この後半に来てのダンスサウンドの連打っぷりはバンド側に体力がないとできない。それをもう中堅というよりは年齢的にはベテランの域に入っているドロスがやっているというのはバンドのストイックさと地力の強さを感じさせてくれるし、これから先にさらにベテランになってもこのバンドは変わらないんじゃないかと思わせてくれる。それはアウトロでの楽器を抱えたままでのメンバーの暴れっぷりも含めて。
その「Girl A」と繋がるのは川上がギターを置いて手元のサンプラーを操作する「we are still kids & stray cats」。CDJでもこの流れの通りに演奏されていただけに、これからもライブでダンスタイムを作り出す曲になってくれるのがわかるように川上も頭を振りながら踊りまくる。代々木の時のようにステージ中央から伸びる花道はないものの、この規模だからこそよりクラブの中で踊っているかのような感覚にさせてくれる。白井はいつの間にかこの曲の時だけのサングラスをしっかり着用してギターを弾いている。
そうして踊りまくった後に感慨に浸らせるように演奏された「awkward」ではスクリーンに歌詞の日本語訳とともにこのツアーのバックステージで撮影されたと思われる写真が次々に映し出されていく。メンバーだけではなく、袖で音を鳴らしているROSEとMullonのサポートメンバー2人もメンバーと一緒に笑いあったりしながら。その映像に合わせた演奏を聴いていて、ああ、もうこの日のライブが、そしてこのツアーが終わってしまうんだなという寂寞感が溢れてきた。それをこの曲が、この日の演奏がさらに強く引き出している。この曲が終わった後に長めの曲間があったのだが、川上が喋り始めるまで大きな拍手が長い時間止むことがなかったのはそう感じさせてくれたこの曲の演奏が本当に素晴らしかったのが観客に伝わっていたからだろう。最後にこの日の会場内で撮影したと思しき、相模原のゆるキャラと並んでの写真とともに「Sagamihara」というサインが浮かび上がったのを見て、この日ここで見ることができて本当に良かったと思えた。
そんな凱旋ライブの最後に演奏されたのはもちろん今やバンドにとって最大の代表曲と言える存在になった「閃光」。川上はマイクを持って前屈みになりながら観客を煽り、その姿を見た観客が腕を振り上げまくる。何よりも代々木より前のライブでは我々が一緒に歌うことが出来なかったコーラスパートで我々の声が重なっている。川上の喉には少し疲れも見えるけれど、それすらも観客からもらった力によって振り切るかのような歌唱。それは紛れもなく我々にとっての一筋の光だった。曲が終わった瞬間にステージが暗転してスクリーンに[Alexandros]というバンドロゴが映って、メンバーが暗闇の中でステージから去っていく(最後に去った白井は観客に手を振っているのがわかる)というストイックな演出までも含めて、あまりに完璧すぎた。
アンコールで再びメンバーが登場すると、川上が早くも観客のコーラスをイントロから煽る。磯部は自身のマイクスタンドを客席に向け、白井は自身の耳に手を当てて観客の声を聞こうとする。それは観客がそのコーラスを歌えることによって曲の真価を100%発揮することができるようになった「Dracula La」。磯部はマイクが客席に向いたままでもコーラスを行い、間奏では観客がリズムに合わせた完璧な手拍子を奏でる。スクリーンにアップで映るリアドがカメラ目線で歌詞を口ずさんでいる姿も含めて、ライブで聴くこの曲は我々を本当に幸せな気持ちにしてくれる。どんなに歌うキーが高くても、[Alexandros]とバンドを愛する人たちと一緒に歌えば、どこまででも高い声を出して歌えると思える。そうやって見ている人に普段は出ないような力を与えてくれるのだ。
そんな「Dracula La」がクライマックスを描き出す中で川上は髪色に紫を混ぜたことについて、
「相模原市の花が紫陽花だから」
と口にするのだが、どうやらそれはたまたまだったらしい。
そんな相模原だからこそのプレゼントとして、スマホのカメラで撮影を許可すると、「無心拍数」「閃光」という曲のコーラスパートのみを続けて演奏して観客の声をさらに煽ってから、川上はハンドマイクになって「Adventure」が演奏される。観客はみんなスマホでその歌っている姿、演奏している姿を撮影しているのであるが、川上はステージ左右の花道を移動しながら歌うだけにどうカメラに捉えるかが実に難しいのであるが、ライブ中に撮影するのに慣れていなさ過ぎて、後で見返したら前の席の人の頭ばかりが映っていた。
しかしながらやはり今この曲を聴くと代々木体育館で2曲目に演奏されていきなり観客の声を久しぶりに響かせていた瞬間のことを思い出す。今はやはりあの時のように歌うことで涙が出てくることはなくなったけれど、やはりこの曲は観客のコーラスあってこその曲だ。こうして歌えるようになるまでにはまさに、アリトアラユル問題や度重なる困難を乗り越えてきた。コロナ禍になってから、自分が普段からライブを観に行くバンドの中で最も早くZeppで観客を入れてライブをやっていたのがこのバンドだった。そうしたこのバンドの歩みや取り組んできたことが、こうして今この瞬間に結実している。
アリーナ規模ではおなじみの川上がカメラ目線で歌い、そのカメラを客席に向けるというロックスター的なパフォーマンスがないというのもこの規模ならではで逆に新鮮だ。
まだスマホを構えている人たちがたくさんいることによって、さらなるサービスとして川上は相模原で生活していた頃に小田急線をよく利用していたことを語る。実際にこの日も小田急線に乗ってきた人もたくさんいるらしいが、小田急線内の海老名駅では電車の発車メロディに出身アーティストである、いきものがかりの曲が使われていたりすることによって、
「小田急さん、我々の曲を相模大野駅の発車メロディに使ってください。こんな発車メロディを作ってきたので」
と言って、ROSEが「ワタリドリ」の発車メロディバージョン(ちゃんと上りと下りの2パターン用意されている)を演奏し、それを収めた動画を観客に拡散するように周知する。果たして次にこの場所に来る時にはこの発車メロディを聞くことができているだろうか。
そんな相模原への川上の思いは尽きることなく、
「何も特に観光する場所とか名産地とかないけれど」
と言いながらも、自身が通っていた高校の近くにあるラーメン屋や、前日に白井が訪れたラーメン屋などがあることを話したり、川上の親がこの日楽屋に得意料理のアドボ(SWEET LOVE SHOWERでのコラボメニュー「ようぺのおかん弁当」としてもおなじみ)を差し入れてくれたことを話すと、
「延期になって、今日がファイナルになって良かったな。このグリーンホールが改修工事をしてたんで、振替がこんなに先になっちゃったんだけど、地元でファイナルができて本当に良かったと思ってます。前に橋本の大学の学祭ではライブやったことあるんだけど、なんでもっと早くここでライブやらなかったんだろうな。次からは出来る限りツアーにこの会場を入れるようにしますので、その時はまた是非皆さん来てください。そして相模原を探索してください」
と最後まで相模原への愛を話しまくると、最後に白井が煌めくイントロのフレーズを奏でたのは「ワタリドリ」。この曲のファルセット部分のサビすらも川上は観客に歌わせようとする中、この日最もステージ左右の花道を最大限に活用して観客の近くで歌う。なんならもう観客にマイクを向けそうになるくらいの近さなのだが、この曲のアウトロでのおなじみの「イェー!」のコール&レスポンスでマイクスタンドごと客席に向けた時に、スタンドから思いっきりマイクが落ちた。その決まりきらなさみたいなものもただひたすらにカッコいいだけではなくて、そこから人間臭さが溢れ出ているこのバンドらしさだった。
演奏が終わってステージからメンバーが帰る際に、白井は
「ここでできて本当に良かった。来てくれてありがとう!」
と珍しく観客に思いを伝えてから去ると、川上はステージ左右の花道まで行って飛び跳ねながら観客に手を振りしながら、最後にステージ中央に戻ると
「愛してるぜ、相模原!」
と叫んだ。これまでにも何度もこの「愛してるぜ!」を聞いてきたが、こんなに気持ちがこもりまくったのは初めて聞いたかもしれない。それくらいにやはりこの場所でライブをやることは[Alexandros]にとって特別なことだったのだ。
正直、自分にとっては相模原や相模大野に思い入れは全くないし、町田のライブハウスには行ったことがあるが、この辺りのイメージは「千葉から行くにはめちゃ遠い」というくらいのものでしかない。でもこうして自分が心からカッコいいと思っている、愛するバンドが育った場所で、メンバーがここまでこの場所に対する思いを口にしたら、この街にまた来たいなと思うし、好きにならざるを得ない。
調べてみたら美味しそうなラーメン屋も(閉店時間が早い店ばかりでライブ後には選択肢がほとんどなかったけど)、居酒屋もたくさんあった。いつかこのバンドがこの地でフェスをやる時には泊まりでそうしたこの街の店や味も堪能してみたい。バンドの夢がこの地でのフェスであるなら、その時にこの地をさらに味わい尽くすのがファンの夢にもなる。川上が言っていたように、今このタイミング、ツアーファイナルとして来ることができて本当に幸せだと思った凱旋ライブだった。またこんな、ありもしないストーリーを描いてくれ。
1.Aleatoric
2.For Freedom
3.Baby's Alright
4.無心拍数
5.カバーメドレー
Back in Black (AC/DC)
Rock and Roll is Dead (Lenny Kravitz)
Seven Nation Army (The White Stripes)
6.クラッシュ
7.Waitress, Waitress!
8.SNOW SOUND
9.Kick & Spin
10.どーでもいいから
11.Kaiju
12.Beast
13.Swan
14.日々、織々
15.空と青
16.Rock The World
17.風になって
18.Starrrrrrr
19.Run Away
20.Girl A
21.we are still kids & stray cats
22.awkward
23.閃光
encore
24.Dracula La
25.Adventure
26.ワタリドリ
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